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JP4283179B2 - コネクタ - Google Patents

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JP4283179B2 JP2004201747A JP2004201747A JP4283179B2 JP 4283179 B2 JP4283179 B2 JP 4283179B2 JP 2004201747 A JP2004201747 A JP 2004201747A JP 2004201747 A JP2004201747 A JP 2004201747A JP 4283179 B2 JP4283179 B2 JP 4283179B2
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Description

本発明は、ガタツキ防止構造を備えたコネクタに関し、より詳細には、嵌合状態の雄型コネクタハウジングと雌型コネクタハウジングとの間のガタツキを防止する構造を備え、それにより両コネクタハウジング内の雌雄端子の電気接触部相互の摩耗の低減が図られたコネクタに関する。
図7および図8にガタツキ防止構造を備えた従来のコネクタが示される(例えば、特許文献1参照)。
このコネクタ61は、雌端子62を収容する一方のコネクタ63と、雄端子64を収容する他方のコネクタ65と、を備え、合成樹脂製の一方のコネクタハウジングの外側のフード部66の内面にガタツキ規制部67を一体に形成し、他方のコネクタハウジング68の外壁面をガタツキ規制部67の表面に隙間なく接触させて、両コネクタ63,65の嵌合方向と直交する方向(即ち、コネクタ嵌合直交方向)のガタツキを防止したものである。
一方のコネクタハウジングは雄型のインナハウジング64とその外側の矩形筒状のフード部66と、を有し、インナハウジング64内に雌端子62が収容されている。雌端子62は合成樹脂製のフロントホルダ69で二重係止されている。インナハウジング64の基部には防水パッキン71が装着されている。ガタツキ規制部67は略長方形状を有している。
フード部66とインナハウジング64との間に他方のコネクタハウジング68が挿入される。図8は完全嵌合直前の状態を示している。両コネクタハウジングの嵌合と同時に雄・雌両端子62,70が接続され、他方のコネクタハウジング68の先端部が防水パッキン71に密着し、フード部66のロックアーム72が他方のコネクタハウジング68の係合突起に係合して、両コネクタがロックされ、それらと同時に、一方のコネクタハウジングのフード部66と他方のコネクタハウジング68とのコネクタ嵌合直交方向のガタツキが規制突部67で防止され、車両走行時等の振動による雄・雌両端子62,70の電気接触部の摩耗の低減が図られる。
特開2002−198127号公報(第3−4頁、図4、図6)
しかしながら、上記従来のコネクタにあっては、コネクタ嵌合直交方向のガタツキは防止されるものの、コネクタ嵌合方向のガタツキが防止されないため、車両走行中の振動や近接の機器やエンジン等の振動による雄・雌両端子62,70の摩耗等が完全には解消されないという問題があった。また、一方のコネクタハウジングのフード部66と他方のコネクタハウジング68とのガタツキは防止されるものの、一方のコネクタハウジングの肝心の端子収容部であるインナハウジング64と他方のコネクタハウジング68とのガタツキが直接的には防止されないため、雄・雌端子62,70相互のガタツキが生じやすく、両端子62,70の摩耗が完全には解消されないという懸念があった。更に、長期にわたって使用された場合に、ガタツキ規制部67が車両走行時等の振動によって摩耗や圧縮変形を起こし、コネクタ嵌合直交方向のガタツキを生じかねないという懸念もあった。
また、両コネクタハウジング間にリング状のガタツキ規制部材を介在させて、コネクタ嵌合方向およびコネクタ嵌合直交方向のうち少なくとも一方向のガタツキを規制することも考えられるが、別部品であるガタツキ規制部材を設けると、両コネクタハウジング間のガタツキが直接的には規制されず耐振動性能が不十分となるという問題や、ガタツキ規制部材の寸法精度のばらつきによって耐振動性能が安定しないという問題や、ガタツキ規制部材と両コネクタハウジングの摺動抵抗によってコネクタの嵌合荷重が増加するという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、嵌合状態の雄型コネクタハウジングと雌型コネクタハウジングとの間に生じるコネクタ嵌合方向およびコネクタ嵌合直交方向のガタツキを確実に防止できる構造を備え、これにより雄・雌両端子の電気接触部の摩耗等を確実に防止できるコネクタを提供することにある。
前述した目的を達成するため、本発明に係るコネクタは、下記(1)、(2)、(3)および(4)を特徴としている。
(1)雄端子を保持する雌型コネクタハウジングと、
前記雄端子と電気的に接続可能な雌端子を保持し、且つ該雌端子を前記雄端子に接続するように前記雌型コネクタハウジングと嵌合可能である雄型のインナハウジングと、
前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとの嵌合方向に前記インナハウジングを移動自在に保持するアウタハウジングと、
前記インナハウジングの外周面上に形成された、前側に向かうに従って徐々にインナハウジングの軸心線へ近づくように傾斜する傾斜面と
前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとの嵌合時に前記インナハウジングを受け入れるために前記雌型コネクタハウジング内に形成された前面が開口した有底筒形のコネクタ嵌合室と、
前記コネクタ嵌合室の周壁の内周面に形成された、後側に向かうに従って徐々に雌型コネクタハウジングの軸心線へ近づくように前記傾斜面と同一の傾斜角度で傾斜するテーパー状の規制面と、
前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に設けられ、前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとの完全嵌合時に前記傾斜面が前記規制面と面接触するまで当該規制面を押圧するように前記インナハウジングを前記雌型コネクタハウジングへの嵌合方向に弾性反発力で付勢する金属製のコイルバネと、を備えたこと。
(2)前記インナハウジングにその周壁後部の複数箇所から後方に延長するように片持ち状に形成された一対の係合突部の板状本体からそれぞれ突出する係合突起と、前記アウタハウジングにその後部にある前記ハウジング装着部の内周壁面から後方にそれぞれ延長するように片持ち状に形成された一対の係止突部の板状本体からそれぞれ突出する係止突起と、から成り、前記コイルバネによる前記アウタハウジングからの前記インナハウジングの前記嵌合方向の前抜けを前記係合突起と前記係止突起とが係合することで防止する前抜け防止機構を更に備えたこと。
(3)前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとの嵌合動作を支援し、更には前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとの完全嵌合状態を維持可能なコネクタ嵌脱動作支援機構を更に備え、
前記コネクタ嵌脱動作支援機構が、
前記雌型コネクタハウジングの外周面上で前記嵌合方向と直交する方向に並ぶように前記雌型コネクタハウジングの両側に形成された一対の係合ロック突起と、
前記アウタハウジングの外周面上で前記嵌合方向と直交する方向に並ぶように前記アウタハウジングの両側に形成された一対の枢軸と、
前記枢軸を中心に回動自在となるように前記枢軸に取り付けられた回転ロックレバーと、
を備え、
前記回転ロックレバーが前記係合ロック突起をそれぞれ受け入れて案内する一対の円弧形のロック溝を有しており、前記回転ロックレバーが回動されることにより前記係合ロック突起が前記ロック溝に案内されて前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとが嵌合または離脱するものであること。
(4)前記傾斜面を複数に分割するように、前記嵌合方向に延びるスリットが周方向に間隔をおいて複数設けられていること。
上記(1)の構成のコネクタによれば、雄型コネクタハウジングであるインナハウジングと雌型コネクタハウジングとの完全嵌合時に、規制面とガタツキ規制部の傾斜面とが、コイルバネの弾性反発力(換言すれば、弾性復元力)を受けて強固に面接触するので、コネクタ嵌合直交方向のガタツキのみならずコネクタ嵌合方向のガタツキも防止される。よって、雄・雌両端子の電気接触部の摩耗等が確実に防止される。尚、上記(1)の構成のコネクタは、合成ゴム、エラストマ樹脂、等を構成材料として成形された弾性部材と比較して、熱等により経年変化や特性変化し難く、へたり量が少ない金属製のコイルバネを備えているので優れている。
上記(2)の構成のコネクタによれば、弾性反発力の高いコイルバネによるアウタハウジングからのインナハウジングの嵌合方向の前抜けが前抜け防止機構を設けることにより防止される。
上記(3)の構成のコネクタによれば、コネクタ嵌脱動作支援機構によって、特に、雌型コネクタハウジングと当該雌型コネクタハウジング側へコイルバネにより付勢されているインナハウジングとの完全嵌合を簡単な構成で容易に行なうことができる。
上記(4)の構成のコネクタによれば、分割されたガタツキ規制部の傾斜面がそれぞれ雌型コネクタハウジングの規制面に面接触する。例えば、ガタツキ規制部が一体型の傾斜面を有している場合、その傾斜面全周にわたって精度良く平滑に形成されていないと、規制面に対して良好に密着できず、所々に隙間ができて、これら隙間で傾き等が生じる可能性が高い。しかし、分割されたガタツキ規制部の傾斜面をそれぞれ雌型コネクタハウジングの規制面に当接させると、例え寸法誤差があったとしても、分割されているガタツキ規制部の各部分に生じる変形によって寸法誤差が吸収され、良好な面接触が得られることになり、この良好な面接触によってインナハウジングと雌型コネクタハウジングとが相互に強く結合される。
本発明によれば、雄型コネクタハウジングと雌型コネクタハウジングとの完全嵌合時に、コイルバネの弾性反発力(換言すれば、弾性復元力)によるガタツキ規制部の傾斜面と規制面との強固な面接触により振動時のコネクタ嵌合方向および嵌合直交方向のガタツキが防止されるから、両コネクタハウジング内の雄・雌端子の電気接触部の摩耗が確実に防止され、電気接続の信頼性が向上する。
また、本発明によれば、分割されたガタツキ規制部の傾斜面それぞれと雌型コネクタハウジングの規制面とが面接触することにより、ガタツキ規制効果が高まり、両コネクタハウジングが相互に強く結合される。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るコネクタの一実施形態(雄型コネクタ11と雌型コネクタ41とが嵌合した状態のコネクタ10)の横断面図、図2は図1の雄型コネクタ11の外観斜視図(回転ロックレバー17の位置はコネクタ10が完全嵌合状態にあるときの位置が示される。)、図3は図2の雄型コネクタ11の分解斜視図、そして図4は図2の雄型コネクタ11の縦断面図である。
図1〜図4に示されるように、コネクタ10は、雄型コネクタ11と、該雄型コネクタ11と嵌合可能な雌型コネクタ41と、該雌型コネクタ41と係合可能なように雄型コネクタ11の枢軸20,20により回動自在に支持された回転ロックレバー17と、を具備する。尚、回転ロックレバー17は、枢軸20,20および雌型コネクタ41の係合ロック突起46,46と協働して、雄型コネクタ11と雌型コネクタ41とが少ない力で容易に嵌合および離脱されるように雄型コネクタ11および雌型コネクタ41の嵌脱動作を支援し、更には雄型コネクタ11と雌型コネクタ41とをそれらの完全嵌合状態が維持されるようにロック可能であるコネクタ嵌脱動作支援部材である。
雄型コネクタ11は、その雄型コネクタハウジングとして、アウタハウジング12と、該アウタハウジング12内でコネクタ嵌合方向に移動可能なように該アウタハウジング12により支持された雄型のインナハウジング13と、を備える。インナハウジング13は、雄型コネクタ11の端子収容部として機能し、その内部に2つの雌端子50をそれぞれ収容する2つの端子収容室13dを有している。雌端子50はそれぞれ弾性係止ランス(不図示)により仮係止されて端子収容室13d内に保持される。雄型コネクタ11は、更に、環状の防水パッキン14と、雌端子50をインナハウジング13の端子収容室13dに本係止するためのフロントホルダ15と、一対の金属製のコイルバネ16,16と、上述した回転ロックレバー17と、を備える。一方、雌型コネクタ41は、2つ(1つのみ図示されている。)の雄端子51を保持した(より詳細には、2つの雄端子51と一体成形された)雌型コネクタハウジング42を有する。
ここで、説明の都合上、前後、上下、そして左右の定義を次のように定める。前後方向をコネクタ嵌合方向と定め、『前』を雄型コネクタ11、雌型コネクタ41各々の嵌合先端側とし、そしてその反対側を『後』とする。上下方向を2つの雌端子50の並び方向やそれらの電気接続対象である2つの雄端子51の並び方向と定め、『上』を回転ロックレバー17の操作部17aが位置する側(例えば、図1の奥側、図2の上側、図4の上側)とし、そしてその反対側を『下』とする。左右方向を枢軸20の並び方向や係合ロック突起46の並び方向と定める。
アウタハウジング12およびインナハウジング13は、それぞれ合成樹脂材料を射出成形することにより形成されたものである。アウタハウジング12は、その前面12aが開口した中空の略楕円筒状に形成されており、その中空部にインナハウジング13がコネクタ嵌合方向に沿って移動自在に配置される。図3および図4に示されるように、インナハウジング13は、その略楕円筒状形の周壁13a後部の上下部分から後方にそれぞれ延長するように片持ち状に形成された一対の係合突部13bを有している。当該係合突部13bは、それらの板状本体からそれぞれ上下方向に突出する係合突起13cを有している。一方、アウタハウジング12は、その後部にあるハウジング装着部18の内周壁面の上下部分から後方にそれぞれ延長するように片持ち状に形成された一対の係止突部12bを有している。当該係止突部12bは、それらの板状本体からそれぞれ上下方向に突出する係止突起12cを有している。
インナハウジング13の係合突部13bはアウタハウジング12内で係止突部12bにより係止されるが、より詳細には、係合突起13cの前面がアウタハウジング12に対するインナハウジング13の前側への移動を規制するように係止突起12cの後面と係合(当接)する。このように、雄型コネクタ11は、インナハウジング13がコネクタ嵌合方向にアウタハウジング12から前抜けしないようにする前抜け防止機構(即ち、係合突部13bおよび係止突部12b)を備えている。
インナハウジング13を囲みながらハウジング装着部18から前方に延設されたアウタハウジング12の外周壁は、インナハウジング13との間に形成された環状の隙間に嵌入される雌型コネクタ41の雌型コネクタハウジング42の周壁43を案内するフードとして機能する。
また、アウタハウジング12の外周壁の左右の対向箇所には、図3に示されるように、それぞれコネクタ嵌合方向に沿ってスリット状に形成されたロック突起受け入れ部19が設けられている。また、アウタハウジング12の外周壁上でロック突起受け入れ部19それぞれの延長線上には枢軸20がアウタハウジング12の外周壁と一体に形成されている。枢軸20それぞれには、後側に向かうに従って徐々に内側へ近づくように傾斜する傾斜面20aが設けられている。アウタハウジング12のハウジング装着部18の後壁内面の左右部分には、一対のコイルバネ16,16の後端部をそれぞれ収容するバネ収容穴23が形成されている。
インナハウジング13の前面21には、フロントホルダ15の雄端子挿入穴15aとそれぞれ一直線上に並ぶ収容室開口21aと、フロントホルダ15の挿入部15bが挿入され且つ係止される挿入穴21bが形成されている。インナハウジング13の収容室開口21aは端子収容室13dと連通しており、雌型コネクタ41の雄端子51の電気接触部は雄型コネクタ11と雌型コネクタ41との嵌合の際にフロントホルダ15の雄端子挿入穴15aおよびインナハウジング13の収容室開口21aを通って端子収容室13d内へ導かれ、端子収容室13d内に配置された雌端子50の電気接触部と接触して、これと電気的に接続される。
インナハウジング13の周壁13aの前部の外周面上にはガタツキ規制部24が周方向にわたって連続して周壁13aと一体的に形成されている。ガタツキ規制部24は、それ単体では四つ角を丸めた略四角錐に近い外形を有する環状体であり、インナハウジング13の周壁13aの外周面上に突設されている。ガタツキ規制部24は、より詳細には、その後側から前側に向かうに従って徐々にインナハウジング13の軸心線へ近づくように傾斜する傾斜面24aと、傾斜面24aの後周端からコネクタ嵌合方向と直交する方向にインナハウジング13の周壁13aに向けて延長する垂直面24bと、を有している。傾斜面24aは、図1に示されるように、雄型コネクタ11と雌型コネクタ41との完全嵌合時に、雌型コネクタハウジング42の周壁43の内周面に形成された規制面45と面接触する。
インナハウジング13の周壁13aの後部には、一対のコイルバネ16,16の前端部をそれぞれ収容するために、アウタハウジング12のバネ収容穴23にそれぞれ対向するように配置されたバネ収容穴25が形成されている。尚、図3に示されるように、インナハウジング13の周壁13aの後部の両側面中央は、それぞれの内部にバネ収容穴25が形成されるため突出している。
防水パッキン14は、合成ゴム、エラストマ樹脂、等を構成材料として成形されたものであり、中空の略楕円筒状に形成されている。この防水パッキン14は、インナハウジング13におけるガタツキ規制部24の前側の周壁13aに装着され、フロントホルダ15により前抜けしないようにされている。
回転ロックレバー17は、枢軸20,20および係合ロック突起46,46と共にコネクタ嵌脱動作支援機構を構成する部材であり、金属、合成樹脂、等により形成されたものである。回転ロックレバー17は、操作部17aと、該操作部17aの左右両側からそれぞれ略直角に折り曲げられた側板部17b,17bと、を備え、断面略コ字形を有する。回転ロックレバー17の側板部17b,17bの間にはアウタハウジング12が挟まれるように配置される。各側板部17bは、アウタハウジング12の枢軸20に回動可能に係合される取付穴26と、アウタハウジング12の側面にバネ当接するバネ板部27と、円弧形のロック溝28と、を有する。ロック溝28は、それらの延長方向の一端が、雌型コネクタハウジング42の周壁43の左右側面上に形成された係合ロック突起46を容易に進入させることができるように、開口している。より詳細には、係合ロック突起46をロック溝28内に容易に受け入れ可能とするために、側板部17bの一部17c,17cをそれぞれ外側に膨出させることにより形成されたロック突起導入口29が、前述したロック溝28の開口と連設されている。
雌型コネクタ41は、その雌型コネクタハウジング42の周壁43の内側に、前面が開口した有底筒形のコネクタ嵌合室44を有している。コネクタ嵌合室44の周壁43の内周面は、前側から後側に向かうに従って徐々に雌型コネクタハウジング42の軸心線へ近づくように傾斜するテーパー状の規制面45を有している。規制面45は、雄型コネクタ11と雌型コネクタ41との嵌合の際に雄型コネクタ11のガタツキ規制部24の傾斜面24aに当接する面であり、傾斜面24aと同一の傾斜角度でコネクタ嵌合室44の周壁43に形成されている。
次に、雄型コネクタ11の組立方法について説明する。尚、雌型コネクタ41は、その雌型コネクタハウジング42および雄端子51をインサート成形することにより形成できるので、その組立方法に関しては詳細な説明を省略するが、雌型コネクタハウジング42に適宜な端子収容室を設けて、当該端子収容室内で雄端子51を弾性係止ランス等の適宜な係止手段により保持するようにしてもよい。
雄型コネクタ11は、次のようにして組み立てられる。端子収容室13dに雌端子50が収容されているインナハウジング13の周壁13aの前部に防水パッキン14を装着し、そしてインナハウジング13の挿入穴21bにフロントホルダ15の挿入部15bを挿入しながらフロントホルダ15をインナハウジング13に取り付ける。インナハウジング13へのフロントホルダ15の装着により、雌端子50が端子収容室13d内で二重係止され且つ防水パッキン14のインナハウジング13からの前抜けが防止される。
次に、インナハウジング13の後側からバネ収容穴25内にコイルバネ16の前端部をそれぞれ装着し、そしてバネ収容穴25からコイルバネ16の後端部をそれぞれ突出させた状態で、これらコイルバネ16の後端部をアウタハウジング12のバネ収容穴23内に装着しながらインナハウジング13をアウタハウジング12のハウジング装着部18に嵌入していく。
そして、コイルバネ16の弾性反発力(換言すれば、弾性復元力)に抗しつつもインナハウジング13をハウジング装着部18の奥側へ深く押し込んでいき、インナハウジング13の係合突部13bをアウタハウジング12の係止突部12bに係合させると、コイルバネ16がインナハウジング13とアウタハウジング12との間で挟まれた状態が維持される。このようにして、インナハウジング13がアウタハウジング12に組み付けられる。尚、インナハウジング13とアウタハウジング12との組立が完了した状態でのコイルバネ16は、インナハウジング13およびアウタハウジング12により圧縮されていても、圧縮されていなくても、どちらでもよい。
次に、回転ロックレバー17をアウタハウジング12の後側に近づけ、そして回転ロックレバー17の一対の側板部17b,17bの間にアウタハウジング12が挟まれるように側板部17b,17bの間にアウタハウジング12を挿入していくと、側板部17b,17bの端縁が枢軸20,20の傾斜面20a,20aにそれぞれ当接し、そして各側板部17b,17bが外側に一時的に押し広げられながら取付穴26,26がそれぞれ枢軸20,20の左右に位置する所まで来たとき取付穴26,26内に枢軸20,20が係合される。このようにアウタハウジング12に回転ロックレバー17が取り付けられて、雄型コネクタ11の組立が終了する。
このようにして、回転ロックレバー17は、アウタハウジング12に対して、枢軸20を中心にして前後方向に回転自在に取り付けられるが、特に、回転ロックレバー17は、その操作部17aがアウタハウジング12の上面に対して略垂直な方向に沿って配置されて起立した状態になる図5(a)に示すアンロック位置と、操作部17aがアウタハウジング12の上面に対して略水平な方向に沿って配置されるよう後方に倒された倒伏状態になる図1、図2、図4および図5(b)に示すロック位置と、に切り換え可能である。
尚、図5(a)および図5(b)は、図1に示すコネクタのコネクタ嵌脱動作支援機構(即ち、回転ロックレバー17、枢軸20,20、および係合ロック突起46,46)のロック動作説明図である。図5(a)から明らかなように、回転ロックレバー17が起立したアンロック位置に配置されているとき、ロック突起導入口29は、前側、即ち、雄型コネクタ11と雌型コネクタ41との嵌合動作開始時に雌型コネクタハウジング42に向かって開口した状態にある。
次に、コネクタ10の嵌合方法について説明する。
雄型コネクタ11の回転ロックレバー17をアンロック位置、即ち、図5(a)に示すように配置させた状態で、アウタハウジング12とインナハウジング13との間の環状空間に雌型コネクタハウジング42の周壁43を嵌入していくと、インナハウジング13も雌型コネクタハウジング42のコネクタ嵌合室44に嵌入していく。その際、雌型コネクタハウジング42の係合ロック突起46がアウタハウジング12のロック突起受け入れ部19に進入した後、ロック突起導入口29を通してロック溝28の一端の開口内に配置される。図5(a)は、このときの状態を示しており、雄型コネクタ11と雌型コネクタ41とは半嵌合状態にある。
次いで操作部17aを後方へ押して枢軸20を中心に回転ロックレバー17を回動し、図5(a)に示されるアンロック位置から後方のロック位置側に倒していくと、係合ロック突起46がロック溝28の一端から他端に向けてロック溝28に案内されながら該ロック溝28に沿って移動し、これにより雄型コネクタ11と雌型コネクタ41との嵌合動作が進行する。この際、コネクタ嵌合室44の奥側の規制面45がインナハウジング13のガタツキ規制部24の傾斜面24aに当接する。この状態から更に操作部17aを後方へ押して回転ロックレバー17を回動していき、回転ロックレバー17を図5(b)に示されるロック位置に配置すると、雄型コネクタ11と雌型コネクタ41とが完全嵌合し且つそれらの内部では規制面45により傾斜面24aが押されてコイルバネ16が圧縮される。
このコネクタ完全嵌合状態では、回転ロックレバー17等のコネクタ嵌脱動作支援機構により雄型コネクタ11と雌型コネクタ41とが離脱不能にロックされ、それらの嵌合状態が維持されるので、雌型コネクタハウジング42の規制面45が、ガタツキ規制部24の傾斜面24aを介してコイルバネ16の弾性復元力により付勢されて、傾斜面24aに密着している状態も維持される(換言すれば、傾斜面24aが、規制面45と面接触しながらコイルバネ16の弾性復元力により規制面45を押圧する状態も維持される)。また、このコネクタ完全嵌合状態では、図1に示されるように、雌端子50の箱形の電気接触部内に雄端子51の平板形の電気接触部が挿入されており、雌端子50の電気接触部と雄端子51の電気接触部とが電気的に接続されている。また、このコネクタ完全嵌合状態では、防水パッキン14が、図1に示されるように、雌型コネクタハウジング42のコネクタ嵌合室44の内周面とインナハウジング13の周壁13aの外周面とにより挟持されて、それら内周面と外周面との間を液密に封止する。尚、雄型コネクタ11と雌型コネクタ41との離脱動作が、上述した回転ロックレバー17の回動操作とは逆方向の回動操作により為されることは言うまでもない。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば上述したインナハウジング13のガタツキ規制部24を図6に示すインナハウジング30のように変形してもよい。即ち、傾斜面24aを複数に分割するように、ガタツキ規制部24にコネクタ嵌合方向に延びるスリット31を周方向に所定の間隔をおいて複数設けてもよい。
さて、コネクタ10の特徴を簡潔に述べると次のようになる。
即ち、コネクタ10は、
雄端子51を保持する雌型コネクタハウジング42と、
雄端子51と電気的に接続可能な雌端子50を保持し、且つ該雌端子50を雄端子51に接続するように雌型コネクタハウジング42と嵌合可能である雄型のインナハウジング13と、
インナハウジング13と雌型コネクタハウジング42との嵌合方向にインナハウジング13を移動自在に保持するアウタハウジング12と、
インナハウジング13の外周面上に形成され且つ傾斜面24aを有するガタツキ規制部24と、
インナハウジング13と雌型コネクタハウジング42との嵌合時にインナハウジング13を受け入れるために雌型コネクタハウジング42内に形成されたコネクタ嵌合室44と、
コネクタ嵌合室44の内周面に形成された、傾斜面24aと面接触可能な規制面45と、
インナハウジング13とアウタハウジング12との間に配置され且つ、インナハウジング13と雌型コネクタハウジング42との完全嵌合時に傾斜面24aが規制面45と面接触し且つ当該規制面45を押圧するようにインナハウジング13を雌型コネクタハウジング42への嵌合方向に弾性反発力で付勢する金属製のコイルバネ16と、
を備えている。
また、コネクタ10は、インナハウジング13とアウタハウジング12との間に設けられた前抜け防止機構を更に備え、当該前抜け防止機構がコイルバネ16によるアウタハウジング12からのインナハウジング13のコネクタ嵌合方向の前抜けを防止する。
また、コネクタ10は、インナハウジング13と雌型コネクタハウジング42との嵌合動作を支援し、更にはインナハウジング13と雌型コネクタハウジング42との完全嵌合状態を維持可能なコネクタ嵌脱動作支援機構を更に備えている。
また、コネクタ10のコネクタ嵌脱動作支援機構は、
雌型コネクタハウジング42の外周面上でコネクタ嵌合方向と直交する方向に並ぶように雌型コネクタハウジング42の両側に形成された一対の係合ロック突起46と、
アウタハウジング12の外周面上でコネクタ嵌合方向と直交する方向に並ぶようにアウタハウジング12の両側に形成された一対の枢軸20と、
枢軸20を中心に回動自在となるように枢軸20に取り付けられた回転ロックレバー17と、
を備え、
回転ロックレバー17が係合ロック突起46をそれぞれ受け入れて案内する一対の円弧形のロック溝28を有しており、回転ロックレバー17が回動されることにより係合ロック突起46がロック溝28に案内されてインナハウジング13と雌型コネクタハウジング42とが嵌合または離脱する。
また、コネクタ10は、そのインナハウジング(30)に傾斜面24aを複数に分割するように、ガタツキ規制部24にコネクタ嵌合方向に延びるスリット31が周方向に所定の間隔をおいて複数設けられている。
以上、説明したように、コネクタ10によれば、雄型コネクタハウジングの一部であるインナハウジング13と雌型コネクタハウジング42との完全嵌合時に、規制面45とガタツキ規制部24の傾斜面24aとが、コイルバネ16の弾性反発力(換言すれば、弾性復元力)を受けて強固に面接触するので、コネクタ嵌合直交方向のガタツキのみならずコネクタ嵌合方向のガタツキも防止される。よって、雄・雌両端子51,50の電気接触部の摩耗等が確実に防止される。尚、コネクタ10は、合成ゴム、エラストマ樹脂、等を構成材料として成形された弾性部材と比較して、熱等により経年変化や特性変化し難く、へたり量が少ない金属製のコイルバネ16を備えているので優れている。
また、コネクタ10によれば、弾性反発力の高いコイルバネ16によるアウタハウジング12からのインナハウジング13の嵌合方向の前抜けが前抜け防止機構を設けることにより防止される。
また、コネクタ10によれば、コネクタ嵌脱動作支援機構によって、特に、雌型コネクタハウジング42と当該雌型コネクタハウジング42側へコイルバネ16により付勢されているインナハウジング13との完全嵌合を容易に行なうことができる。
また、コネクタ10によれば、簡単な構成でインナハウジング13と雌型コネクタハウジング42との嵌合動作を支援でき、更にはインナハウジング13と雌型コネクタハウジング42との完全嵌合状態を維持可能なので、好ましい。
また、コネクタ10によれば、分割されたガタツキ規制部24の傾斜面24aがそれぞれ雌型コネクタハウジング42の規制面45に面接触する。例えば、ガタツキ規制部24が一体型の傾斜面24aを有している場合、その傾斜面24a全周にわたって精度良く平滑に形成されていないと、規制面45に対して良好に密着できず、所々に隙間ができて、これら隙間で傾き等が生じる可能性が高い。しかし、分割されたガタツキ規制部24の傾斜面24aをそれぞれ雌型コネクタハウジング42の規制面45に当接させると、例え寸法誤差があったとしても、分割されているガタツキ規制部24の各部分に生じる変形によって寸法誤差が吸収され、良好な面接触が得られることになり、この良好な面接触によってインナハウジング30と雌型コネクタハウジング42とが相互に強く結合される。
本発明に係るコネクタの一実施形態(雄型コネクタと雌型コネクタとが嵌合した状態のコネクタ)の横断面図である。 図1の雄型コネクタの外観斜視図(回転ロックレバーの位置はコネクタが完全嵌合状態にあるときの位置が示される。)である。 図2の雄型コネクタの分解斜視図である。 図2の雄型コネクタの縦断面図である。 (a)および(b)は図1に示すコネクタのコネクタ嵌脱動作支援機構のロック動作説明図である。 本発明のコネクタにおけるインナハウジングの一変形例を示す斜視図である。 従来のコネクタの一例を示す完全嵌合状態のコネクタの概略断面図である。 図7のコネクタの完全嵌合直前の状態を示す縦断面図である。
符号の説明
10 コネクタ
11 雄型コネクタ
12 アウタハウジング
12b 係止突部
12c 係止突起
13 インナハウジング
13a 周壁
13b 係合突部
13c 係合突起
13d 端子収容室
14 防水パッキン
15 フロントホルダ
16 コイルバネ
17 回転ロックレバー
18 ハウジング装着部
19 ロック突起受け入れ部
20 枢軸
23 バネ収容穴
24 ガタツキ規制部
24a 傾斜面
25 バネ収容穴
26 取付穴
27 バネ板部
28 ロック溝
29 ロック突起導入口
30 インナハウジング
31 スリット
41 雌型コネクタ
42 雌型コネクタハウジング
43 周壁
44 コネクタ嵌合室
45 規制面
46 係合ロック突起
50 雌端子
51 雄端子

Claims (4)

  1. 雄端子を保持する雌型コネクタハウジングと、
    前記雄端子と電気的に接続可能な雌端子を保持し、且つ該雌端子を前記雄端子に接続するように前記雌型コネクタハウジングと嵌合可能である雄型のインナハウジングと、
    前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとの嵌合方向に前記インナハウジングを移動自在に保持するアウタハウジングと、
    前記インナハウジングの外周面上に形成された、前側に向かうに従って徐々にインナハウジングの軸心線へ近づくように傾斜する傾斜面と
    前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとの嵌合時に前記インナハウジングを受け入れるために前記雌型コネクタハウジング内に形成された前面が開口した有底筒形のコネクタ嵌合室と、
    前記コネクタ嵌合室の周壁の内周面に形成された、後側に向かうに従って徐々に雌型コネクタハウジングの軸心線へ近づくように前記傾斜面と同一の傾斜角度で傾斜するテーパー状の規制面と、
    前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に設けられ、前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとの完全嵌合時に前記傾斜面が前記規制面と面接触するまで当該規制面を押圧するように前記インナハウジングを前記雌型コネクタハウジングへの嵌合方向に弾性反発力で付勢する金属製のコイルバネと、を備えたことを特徴とするコネクタ。
  2. 前記インナハウジングにその周壁後部の複数箇所から後方に延長するように片持ち状に形成された一対の係合突部の板状本体からそれぞれ突出する係合突起と、前記アウタハウジングにその後部にある前記ハウジング装着部の内周壁面から後方にそれぞれ延長するように片持ち状に形成された一対の係止突部の板状本体からそれぞれ突出する係止突起と、から成り、前記コイルバネによる前記アウタハウジングからの前記インナハウジングの前記嵌合方向の前抜けを前記係合突起と前記係止突起とが係合することで防止する前抜け防止機構を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載したコネクタ。
  3. 前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとの嵌合動作を支援し、更には前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとの完全嵌合状態を維持可能なコネクタ嵌脱動作支援機構を更に備え、
    前記コネクタ嵌脱動作支援機構が、
    前記雌型コネクタハウジングの外周面上で前記嵌合方向と直交する方向に並ぶように前記雌型コネクタハウジングの両側に形成された一対の係合ロック突起と、
    前記アウタハウジングの外周面上で前記嵌合方向と直交する方向に並ぶように前記アウタハウジングの両側に形成された一対の枢軸と、
    前記枢軸を中心に回動自在となるように前記枢軸に取り付けられた回転ロックレバーと、
    を備え、
    前記回転ロックレバーが前記係合ロック突起をそれぞれ受け入れて案内する一対の円弧形のロック溝を有しており、前記回転ロックレバーが回動されることにより前記係合ロック突起が前記ロック溝に案内されて前記インナハウジングと前記雌型コネクタハウジングとが嵌合または離脱するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載したコネクタ。
  4. 前記傾斜面を複数に分割するように、前記嵌合方向に延びるスリットが周方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載したコネクタ。
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