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JP4275686B2 - ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

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JP4275686B2 JP2006192990A JP2006192990A JP4275686B2 JP 4275686 B2 JP4275686 B2 JP 4275686B2 JP 2006192990 A JP2006192990 A JP 2006192990A JP 2006192990 A JP2006192990 A JP 2006192990A JP 4275686 B2 JP4275686 B2 JP 4275686B2
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Description

本発明は、ポリウレタンフォームの製造方法、および該製造方法により得られたポリウレタンフォームに関する。
現在、地球温暖化の防止や、循環型社会の構築をめざし、技術開発の取り組みが世界規模で行われている。二酸化炭素は、前記地球温暖化を招く原因となる気体の1つであり、該二酸化炭素の排出量の削減が求められている。
例えば、現在、用いられているポリウレタンフォームの多くは、石油由来物質を原料とするものである。そのため、当該ポリウレタンフォームの製造量が増大した場合、廃棄時の焼却処理の際に発生する二酸化炭素が増大し、それにより、水、植物などに貯蔵される二酸化炭素の量と、大気中の二酸化炭素の量とのバランスが崩され、大気全体に占める二酸化炭素の量を漸増させる原因となりうる。
そこで、ポリウレタンフォームの原料成分であるポリオールとして、前記石油由来物質に代えて、植物由来原料である曝気大豆油(特許文献1を参照のこと)またはヒマシ油(特許文献2を参照のこと)を用いて、ポリウレタンフォームを製造する試みがなされている。しかしながら、かかる特許文献1または2に記載のポリウレタンフォームは、例えば、高度な快適性、安全性などを求められる自動車シートなどの乗り物シートに用いた場合、そのフォーム物性が、熱老化の防止や経年耐久性を発揮させるには不十分であるという欠点がある。
特表2002−524627号公報 特開2005−320437号公報
本発明は、前記従来技術の欠点を鑑みてなされたものであり、1つの側面では、優れた成形性を発現し、圧縮永久歪および湿熱永久歪が小さいポリウレタンフォームを提供できること、該ポリウレタンフォームを簡便に製造することができることなどの少なくとも1つを達成しうる、ポリウレタンフォームの製造方法を提供することを1つの課題とする。また、本発明は、他の側面では、優れた成形性を発現し、小さい圧縮永久歪および湿熱永久歪を示す、ポリウレタンフォームを提供することを他の課題とする。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 ヒマシ油またはその誘導体に、炭素数3〜4のアルキレンオキサイドが付加された化合物あり、末端水酸基が2級または3級水酸基で、かつ水酸基価20〜350であるヒマシ油ポリオール(a1)と、該ヒマシ油ポリオール以外のポリオールとして平均官能基数2.3〜6.0であり、かつ水酸基価25〜750である、ポリエーテルポリオール及びポリマーポリオールから選ばれたポリオール(a2)とを、10/90〜70/30の重量比〔(a1)/(a2)〕となるように配合した混合物であるポリオール成分(A)と、
イソシアネート化合物(B)と、
を反応させることを特徴とする、ポリウレタンフォームの製造方法、
〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られたものであり、JIS K 6400−4に準拠して測定したコア部における圧縮永久歪が、20%以下であり、かつ該圧縮永久歪の値を、JIS K 6400−4に準拠して測定した湿熱永久歪の値で割った値が、1以上である、ポリウレタンフォーム、
に関する。
本発明のポリウレタンフォームの製造方法によれば、優れた成形性を発現し、圧縮永久歪および湿熱永久歪が小さいポリウレタンフォームを提供できること、該ポリウレタンフォームを簡便に製造することができることなどの少なくとも1つを達成することができるという優れた効果を奏する。また、本発明のポリウレタンフォームによれば、優れた成形性を発現し、小さい圧縮永久歪および湿熱永久歪を示すという優れた効果を奏する。そのため、本発明のポリウレタンフォームによれば、家具、自動車用シート、ヘッドレストなど、湿熱などへの耐久性が要求される用途に幅広く使用できるという優れた効果を奏する。
本発明は、1つの側面では、ヒマシ油またはその誘導体に、炭素数3〜4のアルキレンオキサイドが付加された化合物あり、末端水酸基が2級または3級水酸基で、かつ水酸基価20〜350であるヒマシ油ポリオール(a1)と、ヒマシ油ポリオール以外のポリオールとして平均官能基数2.3〜6.0であり、かつ水酸基価25〜750である、ポリエーテルポリオール及びポリマーポリオールから選ばれたポリオール(a2)とを含有したポリオール成分(A)と、
イソシアネート化合物(B)と、
を反応させることを特徴とする、ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオールが前記ヒマシ油ポリオール(a1)を含むものであることに1つの特徴がある。したがって、本発明の製造方法によれば、例えば、大気中の二酸化炭素量の増大などに代表される環境への負荷を軽減できるという優れた効果を発揮する。加えて、本発明の製造方法によれば、優れた耐久性を示すポリウレタンフォームを形成させることができるという優れた効果を発揮する。
また、本発明の製造方法は、ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオールが前記ヒマシ油ポリオール(a1)と、ヒマシ油ポリオール以外のポリオールとして平均官能基数2.3〜6.0であり、かつ水酸基価25〜750である、ポリエーテルポリオール及びポリマーポリオールから選ばれたポリオール(a2)とを含有したものであることにも1つの特徴がある。したがって、本発明の製造方法によれば、ポリウレタンフォームを良好に形成させることができるという優れた効果を発揮する。
前記ヒマシ油ポリオール(a1)は、ヒマシ油またはその誘導体に、炭素数〜4のアルキレンオキシドを付加することにより得られる化合物である。
前記ヒマシ油は、水酸基を有するリシノール酸を、75重量%以上含むものであればよい。また、本発明においては、前記ヒマシ油(一般に市場に流通しているヒマシ油)の誘導体も用いられうる。前記ヒマシ油の誘導体としては、例えば、前記ヒマシ油(一般に市場に流通しているヒマシ油)を、酸化重合、多価アルコール(例えば、ポリアルキレングリコールなど)との反応によるエステル交換などの公知の手法により誘導体化させて得られるヒドロキシ脂肪酸を含有した誘導体などが挙げられる。本発明においては、入手が容易であり、安価である観点から、好ましくは、一般に市場に流通しているヒマシ油を加工せずそのまま用いることが望ましい。
前記アルキレンオキシドは、ポリオールの反応性を高め、容易に良好な成形性のフォームを得ることができる観点から、炭素数〜4の化合物である前記アルキレンオキシドとしては、特に限定されないが、例えば、ロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフラン)などが挙げられる。本発明においては、前記アルキレンオキシドは、単独で、または2種以上を混合して、ヒマシ油またはその誘導体に付加させればよい。また、ヒマシ油またはその誘導体への前記アルキレンオキシドの付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、およびそれらの混合付加のいずれであってもよい。
前記ヒマシ油ポリオール(a1)は、湿熱永久歪を小さくする観点から、末端水酸基が2級または3級水酸基であることが好ましい。このように、前記ヒマシ油ポリオール(a1)において、末端水酸基が2級または3級水酸基であることにより、該ヒマシ油ポリオール(a1)中におけるオキシエチレン基の割合が低くなるとともに、得られたポリウレタンフォームの湿熱永久歪を小さくすることができるという優れた効果を発揮する。
また、前記ヒマシ油ポリオール(a1)は、フォーム中の天然油脂(ヒマシ油)またはその誘導体の割合を適切に維持する観点から、水酸基価が、20以上、好ましくは、25以上であり、フォームの架橋度を良好に維持して、永久歪の低いフォームを得る観点から、350以下、好ましくは、300以下である。
前記ポリオール(a2)において、平均官能基数は、得られるポリウレタンフォームの圧縮残留歪を小さくする観点から2.3以上であり、得られるポリウレタンフォームに十分な伸びを発揮させる観点から6.0以下である。
また、前記ポリオール(a2)において、水酸基価は、得られるポリウレタンフォームに十分な機械強度を発揮させる観点から25以上であり、得られるポリウレタンフォームに十分な機械強度を発揮させ、かつ得られるポリウレタンフォーム中のイソシアネート含有量を低減させる観点から750以下である。前記水酸基価は、例えば、JIS K 0070に基づき測定されうる。
なお、前記ポリオール(a2)は、2種以上の混合物であってもよい。この場合、平均官能基数は、混合物全体として、平均した値が、2.3〜6.0であればよい。また、水酸基価は、混合物全体として、平均した値が、25〜750であればよい。
前記ポリオール(a2)としてはポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、これらのコポリオール、これらの任意の2種以上の混合物などが挙げられる。なかでも、安価に、より永久歪の低いフォームを得る観点から、好ましくは、ポリエーテルポリオールおよびポリマーポリオールが望ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、前記低分子アルコール化合物、前記低分子アミン化合物、前記低分子アミノアルコール化合物、フェノール化合物などを開始剤として用い、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラメチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを開環重合させて得られる、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール;前記ポリエステルポリオール、前記ポリカーボネートポリオールなどを脱水縮合して得られるポリエステルエーテルポリオールなどが挙げられる。前記ポリエーテルポリオールのなかでも、良好な反応性を発揮させ、該ポリエーテルポリオールを用いて得られるポリウレタンフォームに良好な成形性を発揮せしめる観点から、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドを用いて得られたポリエーテルポリオールが望ましい。なお、前記エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドを用いて得られたポリエーテルポリオールは、ランダム重合体、ブロック重合体およびランダム重合とブロック重合とが混合した重合体のいずれであってもよい。
前記ポリマーポリオールは、例えば、ポリエーテルポリオール中で、エチレン性不飽和モノマーを重合させる方法、重合体微粒子をポリエーテルポリオールに混合する方法、エチレン性不飽和基を有するマクロモノマーとエチレン性不飽和モノマーとをポリエーテルポリオール中で重合させる方法などにより製造されうる。前記エチレン性不飽和モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。前記ポリマーポリオールのなかでも、好ましくは、ポリエーテルポリオール中で、エチレン性不飽和モノマーを重合させることにより得られる化合物が望ましい。とりわけ、前記ポリマーポリオールとしては、好ましくは、ポリオキシプロピレントリオール中で、エチレン性不飽和モノマーを重合させることにより得られる化合物が望ましい。なお、重合体微粒子をポリエーテルポリオールに混合する方法により、ポリマーポリオールを製造する場合、得られるポリマーポリオールの粘度を低減させ、該ポリマーポリオールを用いて得られるポリウレタンフォームの成型時における作業性を向上させる観点から、好ましくは、重合体微粒子の含有量が50重量%以下であることが望ましい。
前記ポリオール成分(A)において、ヒマシ油ポリオール(a1)と、ポリオール(a2)との配合比(重量比)は、得られるポリウレタンフォームに良好な反発弾性を発揮せしめ、かつ圧縮永久歪を低くする観点、ポリウレタンフォームの製造時における硬化時間の短縮および生産性の向上の観点から、10/90以上、好ましくは、15/85以上、より好ましくは、20/80以上であり、70/30以下、好ましくは、60/40以下、より好ましくは、50/50以下である。
前記イソシアネート化合物(B)としては、特に限定されないが、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ポリメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのイソシアネート化合物が挙げられる。また、本発明の製造方法においては、本発明の目的を阻害しないものであれば、前記イソシアネート化合物(B)は、前記イソシアネート化合物の変性物であってもよい。前記イソシアネート化合物の変性物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルポリオール、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールなどで変性させた、二量化変性物、三量化変性物、尿素変性物、カルボジイミド変性物などが挙げられる。これらのイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。なかでも、得られるポリウレタンフォームに良好な成形性を発現させる観点から、好ましくは、トルエンジイソシアネート単独、ジフェニルメタンジイソシアネート単独、または該トルエンジイソシアネートとジフェニルメタンジイソシアネートとの組み合わせ、該ジフェニルメタンジイソシアネートのポリエーテルポリオールによる変性物が望ましく、得られるポリウレタンフォームに良好な成形性および反発弾性を発現させる観点から、より好ましくは、該ジフェニルメタンジイソシアネートのポリエーテルポリオールによる変性物が望ましい。
本発明の製造方法において、前記ポリオール成分(A)と、前記イソシアネート化合物(B)とを、イソシアネートインデックスが、少なくとも90、得られるポリウレタンフォームの湿熱永久歪を低くする観点から、好ましくは、90以上、得られるポリウレタンフォームに良好な反発弾性を発揮させる観点から、150以下、より好ましくは、120以下となるように配合されることが望ましい。
本発明の製造方法において、ポリウレタンフォームの形成は、スラブ法、ワンショット法、セミプレマー法、プレポリマー法などの方法で行なわれうる。具体的には、ポリウレタンフォームは、例えば、ポリオール成分(A)と、イソシアネート化合物(B)とを、前記イソシアネートインデックスとなるように、配合し、混合し、金型内に反応性混合物を注入し、反応、発泡、硬化、成形する方法(モールド法)を行なうことにより形成されうる。
ポリウレタンフォームの形成に用いられる発泡剤としては、例えば、水、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、塩化メチレン、低沸点炭化水素、液化炭酸ガスなどが挙げられる。かかる発泡剤は、単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。前記水素原子含有ハロゲン化炭化水素としては、特に限定されないが、ハイドロフルオロカーボン化合物(HFC)、具体的には、例えば、HFC−134a、HFC−152a、HFC356mff、HFC236ea、HFC−245ca、HFCHFC365−mfcなどが挙げられる。また、前記低沸点炭化水素としては、沸点が−5〜70℃の炭化水素が挙げられ、特に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、温暖化係数が低く、地球環境への影響が低い観点から、水が、特に好適である。
本発明の製造方法においては、必要に応じて、触媒、整泡剤、架橋剤などを配合してもよい。
前記触媒としては、ウレタン樹脂の製造に通常使用される化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、3級アミン、ジアザビシクロアルケン化合物、それらの塩、有機金属化合物などが挙げられる。前記3級アミンしては、特に限定されないが、例えば、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾールなどが挙げられる。前記有機金属化合物としては、特に限定されないが、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄などの金属とオクテン酸、ナフテン酸などの有機酸との金属塩;ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナート、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛などの金属キレート化合物などが挙げられる。前記触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。なお、前記触媒の使用量は、ポリオール成分(A) 100重量部に対して、0.1〜10重量部であればよく、適宜調整されうる。
前記整泡剤としては、通常ポリウレタン樹脂の製造に用いられるものであればよく、特に限定されないが、例えば、ポリアルキルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーなどが挙げられる。前記整泡剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。前記整泡剤の使用量は、良好な製泡性を発揮させ、かつ収縮などが実質的に生じないフォームを得る観点から、ポリオール成分(A) 100重量部に対して、5重量部以下、好ましくは、3重量部以下であることが望ましい。
前記架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール化合物、低分子アミン化合物、低分子アミノアルコール化合物などの、分子量500未満の低分子活性水素化合物などが挙げられる。前記架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。前記架橋剤は、得られるポリウレタンフォームの圧縮永久歪を低くする観点から、ポリオール成分(A) 100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは、5重量部以下であることが望ましい。
本発明の製造方法においては、上述した発泡剤、触媒、整泡剤、架橋剤に加え、本発明の目的を阻害しないものであれば、所望の添加剤を用いてもよい。前記添加剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カリウム、硫酸バリウムなどの充填剤;乳化剤、フォーム安定化剤などの界面活性剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤などの老化防止剤;難燃剤、着色剤、抗カビ剤、消臭剤、破泡剤、分散剤、変色防止剤、可塑剤、溶剤、造膜助剤、分散剤、香料などが挙げられる。
本発明の製造方法によれば、植物由来原料であるヒマシ油ポリオールの使用量が著しく高い。そのため、本発明の製造方法によれば、環境への負荷が従来よりも顕著に少なく、しかも、成形性およびキュアー性が良好であり、特に、圧縮残留歪および湿熱残留歪が小さく、かつ永久歪と湿熱永久歪との差が小さなポリウレタンフォームを提供することができる。
本発明は、他の側面では、本発明の製造方法により得られ、JIS K 6400−4に準拠して測定したコア部における圧縮永久歪が、20%以下であり、かつ該圧縮永久歪の値を、JIS K 6400−4に準拠して測定した湿熱永久歪の値で割った値が、1以上である、ポリウレタンフォームに関する。
本発明のポリウレタンフォームは、本発明の製造方法により得られたものであるため、優れた成形性を発現し、小さい圧縮永久歪および湿熱永久歪を示すという優れた性質を発揮する。
以下、本発明を、実施例などにより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
(実験例1)
ヒマシ油(伊藤製油株式会社製、ヒマシ油D) 1000gに水酸化カリウム 16gを添加し、減圧下に脱水させ、110℃まで昇温させた。得られた産物に、プロピレンオキシド 2400gを、反応圧力4kg/cm2に維持しながら、分割して添加した。その後、混合物を、圧力降下が認められなくなるまで、維持した。得られた産物に、リン酸 26gを添加し、中和し、脱水した。その後、得られた産物を濾過して、塩を除去し、ポリオール(a1)−1を得た。
得られたポリオール(a1)−1の水酸基価を、JIS K 1557−1970に準拠して測定した。その結果、水酸基価は、50であった。また、前記ポリオール(a1)−1の平均官能基数を、13C−NMRの解析により算出した。その結果、前記ポリオール(a1)−1の平均官能基数は、約2.7であった。さらに、前記ポリオール(a1)−1の末端水酸基は、前記13C−NMRの解析により、2級水酸基であることが確認できた。
(実験例2)
水酸化カリウム 29g、プロピレンオキシド 4400g、リン酸 42gとしたことを除き、前記実験例1と同様の手法により、ポリオール(a1)−2を得た。また、前記実験例1と同様の手法により、得られたポリオール(a1)−2の水酸基価および平均官能基数を測定した。その結果、前記ポリオール(a1)−2の水酸基価は、30であり、平均官能基数は、約2.7であった。また、前記ポリオール(a1)−2の末端水酸基は、2級水酸基であった。
(実験例3)
ヒマシ油(伊藤製油株式会社製、ヒマシ油D) 1000gに水酸化カリウム 13gを添加し、減圧下に脱水させ、110℃まで昇温させた。得られた産物に、プロピレンオキシド 3330gを、反応圧力4kg/cm2に維持しながら、分割して添加した。その後、混合物を、圧力降下が認められなくなるまで、維持した。ついで、得られた産物に、エチレンオキシド 1100gを、反応圧力4kg/cm2に維持しながら、分割して添加した。その後、混合物を、圧力降下が認められなくなるまで、維持した。得られた産物に、リン酸 21gを添加し、中和し、脱水した。その後、得られた産物を濾過して、塩を除去し、ポリオール(a1’)を得た。また、前記実験例1と同様の手法により、得られたポリオール(a1’)の水酸基価および平均官能基数を測定した。その結果、前記ポリオール(a1’)の水酸基価は、30であり、平均官能基数は、約2.7であった。また、前記ポリオール(a1’)の末端水酸基は、1級水酸基であった。
(実験例4)
グリセリン 100gに水酸化カリウム 23gを添加し、減圧下に脱水させ、110℃まで昇温させた。得られた産物に、プロピレンオキシド 5000gを、反応圧力4kg/cm2に維持しながら、分割して添加した。その後、混合物を、圧力降下が認められなくなるまで、維持した。ついで、得られた産物に、エチレンオキシド 900gを、反応圧力4kg/cm2に維持しながら、分割して添加した。その後、混合物を、圧力降下が認められなくなるまで、維持した。得られた産物に、リン酸 37gを添加し、中和し、脱水した。その後、得られた産物を濾過して、塩を除去し、ポリオール(a2)−1を得た。また、前記実験例1と同様の手法により、得られたポリオール(a2)−1水酸基価および平均官能基数を調べた。その結果、前記ポリオール(a2)−1は、水酸基価が、28であり、グリセリンベースの3官能であった。また、前記ポリオール(a2)−1の末端オキシエチレン基末端含有量を測定した。その結果、前記ポリオール(a2)−1は、オキシエチレン基末端含有量が、15%であることがわかった。
(実験例5)
水酸化カリウム 20g、プロピレンオキシド 4700g、エチレンオキシド 1200g、リン酸 32gとしたことを除き、前記実験例4と同様の手法により、ポリオール(a2)−2を得た。また、前記実験例1と同様の手法により、得られたポリオール(a2)−2の水酸基価、平均官能基数およびオキシエチレン基末端含有量を測定した。その結果、前記ポリオール(a2)−2は、水酸基価が、28であり、平均官能基数が、約3.0であり、オキシエチレン基末端含有量が、20%であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールであることがわかった。
(実験例6)
水酸化カリウム 23g、プロピレンオキシド 4150g、エチレンオキシド 750g、リン酸 37gとしたことを除き、前記実験例4と同様の手法により、ポリオール(a2)−3を得た。また、前記実験例1と同様の手法により、得られたポリオール(a2)−3の水酸基価、平均官能基数およびオキシエチレン基末端含有量を測定した。その結果、前記ポリオール(a2)−3の水酸基価は、28であり、平均官能基数は、約3.0であり、オキシエチレン基末端含有量は、20%であった。
(実験例7)
ポリマーポリオール(第一工業製薬株式会社製、商品名:ハイフレックスND825Cを、実験例7)のポリオール(a2)−4とした。前記ポリオール(a2)−4の水酸基価は、28であり、平均官能基数は、約3.0である。
(試験例1)
表1に示される配合比(重量比)となるように、実験例1〜7のポリオールの少なくとも1種と、架教材a(ジエタノールアミン)と、触媒a(トリエチレンジアミンの33重量% ジプロピレングリコール溶液、東ソー株式会社製、商品名:TEDA L−33)と、触媒b〔ビス(2−メチルアミノエチル)エーテルの70重量% ジプロピレングリコール溶液、東ソー株式会社製、商品名: TOYOCAT ET〕と、整泡剤a(シリコン系整泡剤、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:SZ−1313)または整泡剤b(シリコン系整泡剤、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:L−5366)と、イソシアネート化合物〔ジフェニルメタンジイソシアネートに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールを反応させて得られたジフェニルメタンジイソシアネート系イソシアネート化合物、遊離NCO=29.0%、第一工業製薬株式会社製、商品名:DKシステムB−73E〕とを配合し、得られた混合物を、金型温度:55℃、金型形状:325×155×50cmで、22±1℃で、ハンドミキシングにより発泡させた。キュア条件は、55℃で5分とした。フォームを発泡させ、20℃で1昼夜放置後、以下のように、フォーム物性(オーバーオール密度、コア密度、圧縮残留歪、湿熱残留歪、25%硬さ)を測定した(実施例1〜9、比較例1および2)。
得られた各フォームのオーバーオール密度およびコア密度を、JIS K 7222(2005年)に準拠して測定した。
また、圧縮永久歪を、JIS K 6400−4に準拠して測定した。
さらに、湿熱永久歪を、JIS K 6400−4に準拠して測定した。
また、得られた各フォームの25%硬さ(ILD)を、JIS K 6400−2に準拠して、インストロン ジャパン カンパニィ リミティッド製、5581型を用いて測定した。
得られた各フォームの成形性を、独泡性およびキュア性、すなわち、スキンの剥がれや一昼夜おいても収縮の発生がないこと、および脱型したフォームに荷重をかけても変形しないことにより評価した。
結果を表1に示す。
Figure 0004275686
その結果、表1に示されるように、実施例1〜実施例9に示されるように、ヒマシ油に、炭素数〜4の範囲内のプロピレンオキサイドが付加され、末端水酸基が2級水酸基で、かつ水酸基価20〜350の範囲内(水酸基価50)であるヒマシ油ポリオール(a1)−1または(a1)−2と該ヒマシ油ポリオール以外のポリオール(a2)−1、(a2)−2、(a2)−3または(a2)−4とを配合させた場合には、成形性は、良好であり、圧縮永久歪および湿熱永久歪も低くなることがわかる。また、実施例1〜実施例9の場合、成形性も良好であることがわかる。
一方、ヒマシ油ポリオール単独を配合させた比較例1の場合、フォームが形成されなかった。また、末端水酸基が1級水酸基のヒマシ油ポリオールと該ヒマシ油ポリオール以外のポリオールとを配合させた場合には、前記実施例1〜9の場合に比べ、湿熱永久歪が大きくなることがわかる。
本発明のポリウレタンフォームの製造方法によれば、家具、自動車用シート、ヘッドレストなど、湿熱などへの耐久性が要求される用途に幅広く使用できるポリウレタンフォームを簡便に、効率よく提供できる。また、本発明のポリウレタンフォームによれば、家具、自動車用シート、ヘッドレストなど、湿熱などへの耐久性が要求される用途へのポリウレタンフォームの利用が可能になる。

Claims (2)

  1. ヒマシ油またはその誘導体に、炭素数3〜4のアルキレンオキサイドが付加された化合物あり、末端水酸基が2級または3級水酸基で、かつ水酸基価20〜350であるヒマシ油ポリオール(a1)と、該ヒマシ油ポリオール以外のポリオールとして平均官能基数2.3〜6.0であり、かつ水酸基価25〜750である、ポリエーテルポリオール及びポリマーポリオールから選ばれたポリオール(a2)とを、10/90〜70/30の重量比〔(a1)/(a2)〕となるように配合した混合物であるポリオール成分(A)と、
    イソシアネート化合物(B)と、
    を反応させることを特徴とする、ポリウレタンフォームの製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法により得られてなり、
    JIS K 6400−4に準拠して測定したコア部における圧縮永久歪が、20%以下であり、かつ該圧縮永久歪の値を、JIS K 6400−4に準拠して測定した湿熱永久歪の値で割った値が、1以上である、ポリウレタンフォーム。
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