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JP4270207B2 - 弾性表面波フィルタ及び通信機 - Google Patents

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Description

本発明は、平衡−不平衡変換機能を有し、振幅平衡特性および位相平衡特性の少なくとも一方が優れた、弾性表面波フィルタ、およびそれを備えた通信機に関するものである。
近年の携帯電話機といった通信機の小型化、軽量化に対する技術的進歩は目覚しいものがある。これを実現するための手段として、各構成部品の削減、小型化はもとより、複数の機能を複合した部品の開発も進んできた。このような状況を背景に、通信機のRF段に使用する弾性表面波フィルタに対し、平衡−不平衡変換機能、いわゆるバランの機能を持たせたものも近年盛んに研究され、GSM(Global System for Mobile communications)などを中心に使用されるようになってきた。このような平衡−不平衡変換機能を持たせた弾性表面波フィルタに関する特許も、いくつか出願されている。
図37に、特許文献1に開示されている、不平衡信号端子側のインピーダンスが50Ω、平衡信号端子側のインピーダンスが200Ωの平衡−不平衡変換機能を持たせた弾性表面波フィルタを示す。図37の構成は、3つの各くし型電極部(Inter−Digital Transducer、以下、IDTと記す)を有する縦結合共振子型弾性表面波フィルタ401において、中央に位置するIDT403の一方のくし歯状電極を弾性表面波の伝搬方向に略対称に2分割して、それぞれを平衡信号端子408、409に接続し、極性を反転させた左右の各IDT402、404を不平衡信号端子407に接続している。
これにより、上記弾性表面波フィルタでは、平衡−不平衡変換機能を備えることができ、さらに平衡信号端子側のインピーダンスは、不平衡信号端子側のインピーダンスの約4倍とすることができる。
また、特許文献2において、フロートバランスタイプで、IDTにおける弾性表面波の伝搬方向の中央部であって、弾性表面波の伝搬方向に対して垂直となる仮想中心軸を挟んでIDTが非対称であることが開示されている。
具体的には、1)互いに隣り合うくし型電極部同士の距離、2)IDTのピッチに対する電極指幅の比(デューティー、以下、dutyと記す)、3)IDTのピッチ、4)狭ピッチ電極指部のピッチを非対称にすることが記載されている。
特開平11−097966号公報(公開日:1999年4月9日) 特開2003−46369号公報(公開日:2003年2月14日)
平衡−不平衡変換機能を有する弾性表面波フィルタに関しては、不平衡信号端子と平衡信号端子のそれぞれの端子との間の通過帯域内での伝送特性において、振幅特性が等しく、かつ位相が180度反転していることが要求され、それぞれ振幅平衡度および位相平衡度と呼んでいる。
振幅平衡度および位相平衡度とは、前記平衡−不平衡変換機能を有するフィルタ装置を3ポートのデバイスと考え、例えば不平衡入力端子をポート1、平衡出力端子のそれぞれをポート2、ポート3としたときの、振幅平衡度=|A|、A=|20log(S21)|−|20log(S31)|、位相平衡度=|B−180|、B=|∠S21−∠S31|で定義する。このような平衡度は、理想的にはフィルタの通過帯域内で振幅平衡度が0dB、位相平衡度は0度とされる。
しかしながら、図37の構成においては、平衡度が悪いという問題があった。その理由は、IDT403と隣り合う電極指の極性がIDT402とIDT404とで異なっており(図37の410と411)、これにより、平衡信号端子408と平衡信号端子409とにそれぞれに入る(生じる)寄生容量、橋絡容量等が互いに異なるためである。また、隣接するIDTの電極指との相互作用による弾性表面波の励振も異なる。
本発明の目的は、上記の問題を解決し、平衡度が改善された平衡−不平衡変換機能を有し、かつ平衡信号端子のインピーダンスと不平衡信号端子のインピーダンスが相違する、例えば一方が他方の約4倍である弾性表面波フィルタおよびそれを用いた通信機を提供することにある。
本発明に係る第1の弾性表面波フィルタは、圧電基板と、前記圧電基板に構成された縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部とを備える弾性表面波フィルタであって、前記縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部は、複数の電極指を有する複数のくし歯状電極が対向するように組合わせられておりかつ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された少なくとも3つの奇数のくし型電極部と、前記くし型電極部を挟み込むように弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された第1,第2のリフレクタとを備え、前記少なくとも3つの奇数のくし型電極部が、中央に位置する中央くし型電極部と、前記中央くし型電極部の両側に配置された第1,第2のくし型電極部とを有し、前記第1くし型電極部の前記中央くし型電極部と隣り合う電極指がアース電極であり、前記第2のくし型電極部の前記中央くし型電極部と隣り合電極指がシグナル電極であり、前記中央くし型電極部の対向するいずれか一方側のくし歯状電極は、弾性表面波の伝搬方向に沿って2分割された第1,第2の分割くし歯状電極で構成されており、前記第1,第2の分割くし歯状電極は、それぞれ、第1,第2のくし型電極部に近い側に配置されており、かつ第1,第2の平衡信号端子にそれぞれ接続されており、前記中央くし型電極部に隣接する第1,第2のくし型電極部は、不平衡信号端子に接続されており、前記中央くし型電極部の2つの最外電極指の極性がアース電極または浮き電極とされており、前記第1のくし型電極部と前記第2のくし型電極部とのそれぞれは、前記中央くし型電極部と隣り合った隣接部分に相対的に電極指ピッチが狭い狭ピッチ電極指部を有し、前記第1のくし型電極部の前記狭ピッチ電極指部以外の部分の少なくとも一部における電極指ピッチは、前記第2のくし型電極部の前記狭ピッチ電極指部以外の部分の電極指ピッチよりも大きいことを特徴としている。
本発明に係る第2の弾性表面波フィルタは圧電基板と、前記圧電基板に構成された縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部とを備える弾性表面波フィルタであって、前記縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部は、複数の電極指を有する複数のくし歯状電極が対向するように組合わせられておりかつ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された少なくとも3つの奇数のくし型電極部と、前記くし型電極部を挟み込むように弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された第1,第2のリフレクタとを備え、前記少なくとも3つの奇数のくし型電極部が、中央に位置する中央くし型電極部と、前記中央くし型電極部の両側に配置された第1,第2のくし型電極部とを有し、前記第1のくし型電極部の前記中央くし型電極部と隣り合う電極指がアース電極であり、前記第2のくし型電極部の前記中央くし型電極部と隣り合う電極指がシグナル電極であり、前記中央くし型電極部の対向するいずれか一方側のくし歯状電極は、弾性表面波の伝搬方向に沿って2分割された第1,第2の分割くし歯状電極で構成されており、前記第1,第2の分割くし歯状電極は、それぞれ、第1,第2のくし型電極部に近い側に配置されており、かつ第1,第2の平衡信号端子にそれぞれ接続されており、前記中央くし型電極部に隣接する第1,第2のくし型電極部は、不平衡信号端子に接続されており、前記中央くし型電極部の2つの最外電極指の極性が共にシグナル電極であり、前記第1のくし型電極部と前記第2のくし型電極部とのそれぞれは、前記中央くし型電極部と隣り合った隣接部分に相対的に電極指ピッチが狭い狭ピッチ電極指部を有し、前記第2のくし型電極部の前記狭ピッチ電極指部以外の部分の少なくとも一部における電極指ピッチは、前記第1のくし型電極部の前記狭ピッチ電極指部以外の部分の電極指ピッチよりも大きいことを特徴としている。
本発明に係る第1の弾性表面波フィルタのある特定の局面では、前記第1くし型電極部と、該第1くし型電極部に隣り合う第1のリフレクタとの電極指中心間距離が、前記第2のくし型電極部と、第2のくし型電極部に隣り合う第2のリフレクタとの電極指中心間距離よりも大きくされている。
本発明に係る第2の弾性表面波フィルタのある特定の局面では、前記第2くし型電極部と第2くし型電極部に隣り合う第2のリフレクタとの電極指中心間距離が、前記第1くし型電極部と前記第1くし型電極部に隣り合っている第1のリフレクタとの電極指中心間距離よりも大きくされている。
本発明に係る第1及び第2の弾性表面波フィルタの他の特定の局面では、前記第1,第2の分割くし歯状電極のうち、前記第1のくし型電極部に近い第1の分割くし歯状電極の少なくとも一部の電極指ピッチが、第2の分割くし歯状電極の電極指ピッチよりも大きくされている。
本発明に係る第1及び第2の弾性表面波フィルタのの特定の局面では、前記縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部に対しカスケード接続された第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部をさらに備える。
本発明に係る通信機は、本発明に従って構成された弾性表面波フィルタを備えることを特徴とする。
本発明の弾性表面波フィルタは、以上のように、圧電基板に、弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された、少なくとも3つの奇数個のIDTと、少なくとも3つのIDTが配置されている部分を挟む第1,第2のリフレクタとを備え、少なくとも3つの奇数個のIDTのうち、中央に位置する中央IDTの一方のくし歯状電極にて、弾性表面波の伝搬方向に沿って互いに略対称に2分割してなる第1,第2分割くし歯状電極を有している、平衡−不平衡変換機能を発揮する弾性表面波装置において、前記IDTおよびリフレクタの少なくとも一方の設計パラメータを、前記第1,第2分割くし歯状電極の間に表面波伝搬方向と直交する方向に想定した仮想中心軸を間に挟む、一方領域と他方領域とで異ならせた構成である。
上記構成においては、2分割してなる第1,第2分割くし歯状電極を設けたことによって、平衡−不平衡変換機能を有し、かつ平衡信号端子のインピーダンスが、不平衡信号端子のインピーダンスと相違する、例えば不平衡信号端子のインピーダンスの約4倍である弾性表面波フィルタが得られる。
また、上記構成によれば、前記IDTおよびリフレクタの少なくとも一方の設計パラメータを、前記仮想中心軸を間に挟む一方の領域と他方の領域との間で異ならせたことにより、振幅平衡度や位相平衡度といった平衡度を改善できる。
本発明の他の弾性表面波フィルタでは、以上のように、圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された、少なくとも3つの奇数個のIDTを備え、該各IDTの中央IDTの一方のくし歯状電極にて、弾性表面波の伝搬方向に沿って互いに略対称に2分割してなる第1,第2分割くし歯状電極により平衡−不平衡変換機能を発揮する構造において、前記中央IDTと異なる第1,第2のIDTと、不平衡信号端子との間にそれぞれ接続された第1,第2の弾性表面波共振子とを備え、前記第1,第2の弾性表面波共振子の設計パラメータが異なっている。
本発明のさらに他の弾性表面波フィルタでは、以上のように、前記中央IDTと異なる第1,第2のIDTと、不平衡信号端子との間にそれぞれ接続された第1,第2の弾性表面波共振子に代えて、前記第1,第2の分割くし歯状電極と第1,第2の平衡信号端子との間にそれぞれ接続された第1,第2の弾性表面波共振子を備え、前記第1,第2の弾性表面波共振子の設計パラメータが異なっている。
上記構成によれば、前記第1,第2の弾性表面波共振子の設計パラメータを異ならせたことにより、振幅平衡度や位相平衡度といった平衡度を改善できる。
[図1]図1は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第一形態の電極構成を示す概略構成図である。
[図2]図2は上記電極構成における電極指ピッチを説明する要部構成図である。
[図3]図3は上記実施の第一形態におけるパッケージの裏面端子を示す平面図である。
[図4]図4は上記実施の第一形態のデバイス構造を示す概略断面図である。
[図5]図5は上記実施の第一形態と第一従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図6]図6は上記第一従来例と第一比較例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図7]図7は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第二形態の電極構成を示す概略構成図である。
[図8]図8は上記実施の第二形態と第二従来例との振幅平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図9]図9は従来例の弾性表面波フィルタに係る電極構成を示す概略構成図である。
[図10]図10は上記の実施の第一および第二の各形態における、別のパッケージの裏面端子を示す平面図である。
[図11]図11は上記実施の第一および第二の各形態における、別のデバイス構造を示す概略断面図である。
[図12]図12は上記実施の第一および第二の各形態における、さらに別のデバイス構造を示す概略断面図である。
[図13]図13は上記実施の第一および第二の各形態における、一変形例の概略構成図である。
[図14]図14は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第三形態と第一従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図15]図15は上記実施の第三形態の一変形例と第一従来例との振幅平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図16]図16は上記弾性表面波フィルタにおける、2つのIDT間の最外電極指の電極指中心間距離を説明するための概略構成図である。
[図17]図17は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第四形態と第一従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図18]図18は上記実施の第四形態の一変形例と第二従来例との振幅平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図19]図19は上記弾性表面波フィルタにおける、IDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離を説明するための要部構成図である。
[図20]図20は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第五形態と第一従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図21]図21は上記実施の第五形態の一変形例と第二従来例との振幅平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図22]図22は上記弾性表面波フィルタにおける、dutyを説明するための要部構成図である。
[図23]図23は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第六形態と第一従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図24]図24は上記実施の第六形態の一変形例と第二従来例との振幅平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図25]図25は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第七形態と第一従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図26]図26は上記実施の第七形態の一変形例と第二従来例との振幅平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図27]図27は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第八形態と第一従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図28]図28は上記実施の第八形態の一変形例と第二従来例との振幅平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図29]図29は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第九形態の電極構成を示す概略構成図である。
[図30]図30は上記実施の第九形態と第三従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図31]図31は上記実施の第九形態における、別の電極構成を示す概略構成図である。
[図32]図32は上記実施の第九形態における、さらに別の電極構成を示す概略構成図である。
[図33]図33は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第十形態と第三従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図34]図34は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第十一形態と第三従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図35]図35は本発明の弾性表面波フィルタに係る実施の第十二形態と第三従来例との位相平衡度の結果をそれぞれ示すグラフである。
[図36]図36は本発明の弾性表面波フィルタであって、図1に示した縦結合共振子型弾性表面波フィルタに第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部がカスケード接続されている弾性表面波フィルタの電極構造を示す模式的平面図である。
[図37]図37は従来例の弾性表面波フィルタの電極構成を示す概略構成図である。
符号の説明
501:縦結合共振子型弾性表面波フィルタ(縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部)
503、504、505:IDT(くし型電極部)
516、517:分割くし歯状電極
A:仮想中心軸
本発明の実施の各形態について図1ないし図35に基づいて説明すれば、以下の通りである。
(実施の第一形態)
図1ないし図4を用いて、本発明に係る弾性表面波フィルタの実施の第一形態の構成を説明する。なお、以後の実施の各形態では、DCS受信用フィルタを例にとって説明を行っていく。まず、図1を用いて、実施の第一形態の電極構成について説明する。
実施の第一形態では、40±5°YcutX伝搬LiTaOからなる圧電基板(図示せず)上に縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部501、および縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部501に直列に接続された弾性表面波共振子502が、アルミニウム(Al)電極により形成されている。
縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部501の構成は、IDT(中央IDT)504を弾性表面波の伝搬方向に沿った方向の両側からそれぞれ挟み込むように、第1,第2のIDT503、505が形成されている。また、IDT503〜505の配置されている領域の両側に各リフレクタ506、507がそれぞれ形成されている。
IDTは、帯状の基端部(バスバー)と、その基端部の一方の側部から直交する方向に延びる複数の、互いに平行な帯状の電極指とを備えた、くし歯状電極を2つ備えており、上記各くし歯状電極の電極指の側部を互いに対面するように互いの電極指間に入り組んだ状態にて上記各くし歯状電極を有するものである。
よって、IDTでは、2つのくし歯状電極に対し各基端部(バスバー)を介して入力電気信号に基づく電位差が生じると、その部分の圧電基板の表面上に弾性表面波が発生し、その弾性表面波は各電極指の幅方向(各電極指の長手方向に対し直交する方向)の双方向に圧電基板の表面上を伝搬する。
一方、電気信号が入力されていないIDTでは、伝搬してきた弾性表面波により圧電基板の表面上に発生した電位差を各電極指によって検出し、出力電気信号に変換して出力できる。
このようなIDTでは、各電極指の長さや幅、隣り合う各電極指の間隔、互いの電極指間での入り組んだ状態の対面長さを示す交叉幅を、それぞれ設定することにより信号変換特性や、通過帯域の設定が可能となっている。
前記各リフレクタは、互いに略平行に配置された一対の帯状の各基端部(バスバー)と、それら各基端部の側部から直交する方向に延びて互いにつながっている、複数の、互いに平行な帯状の電極指とを備えている。各リフレクタは、それらの電極指を各IDTの各電極指と略平行に、かつ、弾性表面波の伝搬方向に沿って配置することにより、伝搬してきた弾性表面波をその伝搬方向に向かって反射することができるものである。
図1を見るとわかるように、IDT503とIDT504の隣り合っている部分、およびIDT504とIDT505との隣り合っている部分では、数本の電極指のピッチが、IDTの他の部分よりも小さく設定されている(図1の参照番号514、515で示す箇所)。
IDT504は、その一方のくし歯状電極が弾性表面波の伝搬方向に沿った方向にて、互いにほぼ等しく2分割された第1,第2の分割くし歯状電極516、517をそれぞれ互いに隣り合って有している。第1の分割くし歯状電極516は第1の平衡信号端子512に接続されている。第2の分割くし歯状電極517は第2の平衡信号端子513に接続されている。
前記弾性表面波共振子502には、IDT508を両側(弾性表面波の伝搬方向に沿った両側)から挟み込むように各リフレクタ509、510がそれぞれ形成されている。IDT508の一方のくし歯状電極が不平衡信号端子511に接続されている一方、IDT508の他方のくし歯状電極が各IDT503、505に接続されていることにより、弾性表面波共振子502は、前記縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部501に直列に接続されていることになる。
図3に実施の第一形態の、パッケージの裏面端子を示す(デバイスの上面から見た透視図で示している)。裏面端子601が弾性表面波共振子502に接続される不平衡信号端子、各裏面端子602、603がそれぞれ分割くし歯状電極516、517に接続される平衡信号端子、各裏面端子604、605がアース端子である。
実施の第一形態の弾性表面波フィルタは、図4に示すように圧電基板705の電極面とパッケージのダイアタッチ面703の間をバンプ706で導通を取るフェイスダウン工法を用いて作製されている。パッケージは、底板701と側壁部702とキャップ704とを有している。
実施の第一形態の特徴は図1において、IDT503とIDT505との各電極指ピッチ(図2においてBで示した距離)が互いに異ならされていることである。このとき、IDT503の電極指ピッチの方が、IDT505の電極指ピッチより0.001μm大きくなるように設定されている。
また、このとき、IDT504における、各IDT503、505と隣り合っている電極指は中性点電極(浮き電極でもアース電極でもよい)であり、IDT504と隣り合っているIDT503の電極指はアース電極であり、IDT504と隣り合っているIDT505の電極指はシグナル電極となっている。
さらに実施の第一形態では、IDT503とIDT505とでピッチを互いに異ならせた点以外は、図1に示した2分割したIDT504の第1の分割くし歯状電極516と第2の分割くし歯状電極517との間の中間を中心に、弾性表面波の伝搬方向に対して垂直方向に延びるように仮想的に設けた仮想中心軸Aに対して、圧電基板上のレイアウト(各電極のレイアウト)、パッケージの全て(例えば各裏面端子のレイアウト、図3参照)が互いに軸対称になるようにしている。
これにより、IDT504と隣り合う電極指の極性がIDT503とIDT505とで互いに異なっている点以外の不平衡成分が入らない(発生しない)ようにしている。
縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部501の詳細な設計は、ピッチを小さくしていない電極指のピッチで決まる波長をλIとすると、以下のとおりである。
交叉幅:69.7λI
IDT本数(503、504、505の順)17(3)/(3)26(3)/(3)17本(カッコ内はピッチを小さくした電極指の本数、カッコ外はそれ以外の電極指の本数)
リフレクタ本数:200本
duty:0.72(IDT、リフレクタ共)
電極膜厚:0.095λI
弾性表面波共振子502の詳細な設計は、以下のとおりである。
交叉幅:42.7λI
IDT本数:145本
リフレクタ本数:100本
duty:0.72
電極膜厚:0.097λI
次に、本実施の第一形態の作用・効果について説明する。図5に、実施の第一形態の構成の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、IDT503とIDT505との電極指ピッチを同じにした、第一従来例の位相平衡度の結果を破線にて図5に合わせて示す。第一従来例は、IDT503とIDT505との電極指ピッチを同じにした以外は、実施の第一形態の構成と弾性表面波フィルタの設計、圧電基板上のレイアウト、パッケージの実装方法等、すべて同じである。DCS受信用フィルタの通過帯域は、1805MHzないし1880MHzである。
この範囲における位相平衡度は図5によると、第一従来例では、最大約9度であるのに対し、実施の第一形態では最大約8度と、約1度位相平衡度が改善されている。これは、平衡信号端子512と平衡信号端子513との間の位相のずれを、第1IDT503と第2IDT505の電極指ピッチを異ならせることで補正した効果である。
実施の第一形態では、IDT505に対してIDT503の電極指ピッチが大きくなるように設定した。次に、これとは逆に、IDT503に対してIDT505の電極指ピッチが大きくなるようにした場合(第一比較例)の位相平衡度の結果を調査した。図6に、その場合の位相平衡度の結果を一点鎖線にて示す。比較として、第一従来例の位相平衡度の結果も、破線にて図6に合わせて示す。この場合、第一比較例は、第一従来例よりも位相平衡度が悪化している。どちらの平衡信号端子の対地容量を大きくするかは、各IDT503ないし505の、隣り合う電極指の並び方で決まる。
実施の第一形態の場合は、IDT504の各IDT503、505と隣り合っている電極指(最外電極指)は中性点電極(アース電極)であり、IDT504と隣り合っているIDT503の電極指はアース電極である。このような電極指の並びの場合、実施の第一形態のようにIDT503の電極指ピッチをIDT505より大きく設定することで、平衡信号端子間の平衡度の結果を改善することができる。
(実施の第二形態)
次に、図7のように、中央くし型電極部であるIDT804の第1,第2のIDT803、805と隣り合っている電極指(最外電極指)がシグナル電極である場合を実施の第二形態として調査した。図8に、図7の構成において、IDT804と隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT805の電極指ピッチを、IDT804と隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT803より0.001μm大きくした実施の第二形態の振幅平衡度の結果を実線にて示す。また比較として、IDT803とIDT805との各電極指ピッチを同じとした、第二従来例の振幅平衡度の結果を破線にて図8に合わせて示す。第二従来例は、IDT803とIDT805との各電極指ピッチを互いに同じにした以外は、実施の第二形態の構成と弾性表面波フィルタの設計、圧電基板上のレイアウト、パッケージの実装方法等、すべて同じである。
図8を見ると、実施の第二形態の方が第二従来例よりも振幅平衡度が約0.2dB改善されていることがわかる。つまりIDT804における、各IDT803、805と隣り合っている電極指がシグナル電極である場合は、IDT804と隣り合う電極指がシグナル電極であるIDT805の電極指ピッチを、IDT804と隣り合う電極指がアース電極であるIDT803より大きくすることで、平衡信号端子間の平衡度が改善されると言える。
本発明は仮想中心軸Aに対して左右(仮想中心軸Aを挟んで分けられる各領域)の設計パラメータを互いに異ならせることで平衡度の結果を改善しているが、図9で示すように、中央に位置するIDT205の両端から信号を取り出すことで平衡−不平衡変換機能を備えるようにした弾性表面波フィルタにおいて、仮想中心軸222に対して左右の設計パラメータを互いに異ならせるという構成が、特開2003−046369号公報に記載されている。
上記公報に記載の発明の構成は、平衡−不平衡変換機能を有する弾性表面波フィルタにおいて左右で設計パラメータを異ならせるという点で本発明と一致しているが、図9に示すように、図1に示すような中性点を有さず、かつ1つのIDTの両端(各くし歯状電極の双方から)から平衡信号をそれぞれ取り出す構成としている。
このため、上記公報の構成では、左右で設計パラメータを異ならせることで起こるIDT204からIDT205へ、IDT206からIDT205へ伝搬する弾性表面波が非対称となることは平衡度にはまったく影響しない。
上記公報の構成においては、左右で設計パラメータを異ならせることでIDT204とIDT205、IDT205とIDT206とが隣り合う箇所で容量が非対称となり、これにより、各平衡信号端子210、211への寄生容量が変わることのみ、平衡度に影響する。
これに対し、本発明の構成は、図1においてIDT504を弾性表面波の伝搬方向に2分割し、かつ平衡信号端子を接続していない側の電極指をアースに落としているため、平衡信号端子512に接続されている電極指と平衡信号端子513に接続されている電極指は、別のIDTと考えることができる。このため、左右非対称設計を行うことでIDT503とIDT504、IDT504とIDT505が隣り合う箇所で容量が非対称となる以外に、IDT503からIDT504へ、IDT505からIDT504へ伝搬する弾性表面波が非対称となることも平衡度に影響することになる。
以上のように、本発明は、IDT504を弾性表面波の伝搬方向に2分割して、平衡−不平衡変換機能を持たせた弾性表面波フィルタにおいて、特開2003−046369号公報の発明とは別の作用・効果を利用して、平衡度の結果を改善するものである。
以上説明したように、実施の第一および第二の各形態では、圧電基板上に弾性表面波の伝搬方向に沿って形成された少なくとも3つの奇数個のくし型電極部すなわちIDTを有する縦結合共振子型弾性表面波フィルタを有し、奇数個のIDTのうち中央に位置するIDTの一方のくし歯状電極を弾性表面波の伝搬方向に2分割し、中央に位置するIDTの左右に隣接するIDTの極性を反転させることで平衡−不平衡変換機能を持たせた弾性表面波フィルタにおいて、左右のIDTの電極指ピッチを異ならせることで、弾性表面波フィルタの平衡信号端子間の平衡度の結果を改善することができる。
また、実施の第一形態では、余計な不平衡成分をなくすために、左右のIDTの電極指ピッチを異ならせる以外は、圧電基板上のレイアウト、パッケージ等は同じになるようにした。そのため、パッケージの裏面端子の数が5つの場合の例を示したが、本発明はこのようなパッケージに限らず、中央IDTの第1,第2の分割くし歯状電極の間を中心に弾性表面波の伝搬方向に垂直に引いた仮想中心軸Aに対して軸対称にできるパッケージであれば、どのようなパッケージを用いてもよい。
例えば、図10のように6つの端子を有するパッケージの場合、端子901を不平衡信号端子、各端子902、903を平衡信号端子とし、各端子904ないし906をアース端子とすることで、仮想中心軸Aに対して軸対称とすることができる。また実施の第一および第二の各形態では図4のように、フェイスダウン工法でパッケージと圧電基板の導通を取る方法で弾性表面波フィルタを作製したが、これはワイヤボンド工法であっても問題はない。
またフェイスダウン工法で作製する構成としては図4の構成に限らず、例えば、図11のように集合基板1001上に圧電基板1002をフリップチップ工法で接合し、その上に樹脂1003を覆って封止して、ダイシングにより1パッケージ単位に切断してなる構成、図12のように同じく集合基板1101上に圧電基板1102をフリップチップ工法で接合し、その上にシート状の樹脂材1103を覆って封止して、ダイシングにより1パッケージ単位に切断してなる構成で、弾性表面波フィルタが作製されていてもよい。
実施の第一および第二の各形態では、3つのIDTを有する縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部に弾性表面波共振子を直列接続した構成を示したが、弾性表面波共振子が接続されていない構成や、さらには弾性表面波共振子が並列接続された構成においても、同様な効果が得られる。また、図13のように、5つのIDTを設けた構成であってもよい。
また、図36に示すように、図1に示す縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部501に、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部551をカスケード接続した構成であってもよい。
第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部551は、縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部501の前段にカスケード接続されている。ここで、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部551は、3個のIDT552〜554と、IDT552〜554が設けられている領域の表面波伝搬方向両側に設けられた反射器555,556とを有する。中央のIDT553が不平衡端子511に電気的に接続されている。IDT553の両側のIDT552,554が、それぞれ、縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部551のIDT503,505に接続されている。この場合、第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部551の中央部に位置するIDT553は、総電極指本数が偶数本であることが望ましい。また、縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部501と第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部を接続している各シグナルラインを伝送する各信号の位相が互いに約180度異なるように、各IDTの向きを調整しておくことが望ましい。上記の構成にすることで、さらに平衡度の優れた弾性表面波フィルタが得られる。
また、実施の第一および第二の各形態では、IDT503(803)とIDT505(805)のピッチをすべて異ならせたが、一部のピッチのみを異ならせてもよい。実施の第一および第二の各形態では、40±5°YcutX伝搬LiTaO基板を用いたが、効果が得られる原理からもわかるとおり、本発明はこの基板に限らず、64°〜72°YcutX伝搬LiNbO、41°YcutX伝搬LiNbOなどの基板でも同様な効果が得られる。上記効果は、以下の他の形態でも同様である。
(実施の第三形態)
実施の第三形態の構成は、基本的な構成は実施の第一形態と同じであるが、実施の第三形態では図1において、IDT504の2分割した各分割くし歯状電極516、517のうち、IDT504に隣り合う電極指がアース電極であるIDT503に近い側に位置する分割くし歯状電極516の電極指ピッチを、IDT504に隣り合う電極指がシグナル電極であるIDT505に近い側に位置する分割くし歯状電極517よりも0.001μm大きくしている。
続いて、本実施の第三形態の構成における作用・効果として、図14に実施の第三形態の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、各分割くし歯状電極516、517の電極指ピッチを互いに同じにした、第一従来例の位相平衡度の結果を破線にて図14に合わせて示す。実施の第三形態では、第一従来例に対して、位相平衡度が改善していることがわかる。
次に、図7の構成において、IDT804の2分割した第1,第2分割くし歯状電極816、817のうち、IDT804に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT803に近い側に位置する第1分割くし歯状電極816の電極指ピッチを、IDT804に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT805に近い側に位置する第2の分割くし歯状電極817よりも0.001μm大きくした場合(一変形例)の振幅平衡度の結果を図15に二点鎖線にて示す。比較として、第1,第2の分割くし歯状電極816、817の電極指ピッチを互いに同じにした、第二従来例の振幅平衡度の結果を破線にて図15に合わせて示す。
実施の第三形態の一変形例の方が第二従来例よりも、振幅平衡度が改善していることがわかる。すなわち、実施の第三形態のように2分割したくし歯状電極のピッチを異ならせる場合は、2分割した分割くし歯状電極の左右IDTに隣り合う電極指の極性を問わず、2分割した分割くし歯状電極に隣り合う電極指がアース電極となるIDTに近い側に位置するIDTの電極指ピッチを大きくすることで、弾性表面波フィルタの平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。
また、実施の第三形態では、第1の分割くし歯状電極516(816)と第2の分割くし歯状電極517(817)のピッチをすべての部分で異ならせたが、一部においてのみピッチを異ならせてもよい。
(実施の第四形態)
本発明に係る実施の第四形態の構成は、基本的な構成は実施の第一形態と同じであるが、実施の第四形態では図1において、IDT504とIDT504に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT503の最外電極指の電極指中心間距離(図16のCで示す距離)を、IDT504とIDT504に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT505の最外電極指の電極指中心間距離より0.002λI(λI:IDTの電極指ピッチで決まる波長)大きくしている。
次に、本実施の第四形態の作用・効果として、図17に、実施の第四形態の構成の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、IDT504とIDT503の最外電極指の電極指中心間距離とIDT504とIDT505の最外電極指の電極指中心間距離を同じにした、第一従来例の位相平衡度の結果を破線にて図17に合わせて示す。実施の第四形態では、第一従来例に対して、位相平衡度が改善していることがわかる。
次に、図7の構成において、IDT804とIDT804に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT803の最外電極指の電極指中心間距離を、IDT804とIDT804に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT805の最外電極指の電極指中心間距離より0.002λI大きくした場合(一変形例)の振幅平衡度の結果を図18に二点鎖線にて示す。比較として、IDT804とIDT803の最外電極指の電極指中心間距離とIDT804とIDT805の最外電極指の電極指中心間距離を同じにした、第二従来例の振幅平衡度の結果を破線にて図18に合わせて示す。
実施の第四形態の一変形例の方が第二従来例よりも、振幅平衡度が改善していることがわかる。すなわち、実施の第四形態のように2分割した分割くし歯状電極と左右のIDTとの最外電極指の電極指中心間距離を異ならせる場合は、2分割した分割くし歯状電極の左右IDTに隣り合う電極指の極性を問わず、2分割した分割くし歯状電極に隣り合う電極指がアース電極となるIDTに近い側に位置するIDTと2分割した分割くし歯状電極の最外電極指の電極指中心間距離を大きくすることで、弾性表面波フィルタの平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。
(実施の第五形態)
本発明に係る実施の第五形態の構成は、基本的な構成は実施の第一形態と同じであるが、実施の第五形態では図1において、IDT504とIDT504に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT503と第1のリフレクタ506の最外電極指の電極指中心間距離(図19のDで示した距離)を、IDT504とIDT504に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT505と第2のリフレクタ507の最外電極指の電極指中心間距離より0.01λI大きくしている。
以下に、本実施の第五形態の作用・効果として、図20に、実施の第五形態の構成の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、IDT503とリフレクタ506の最外電極指の電極指中心間距離と、IDT505とリフレクタ507の最外電極指の電極指中心間距離を同じにした、第一従来例の位相平衡度の結果を破線にて図20に合わせて示す。実施の第五形態では、第一従来例に対して、位相平衡度が改善していることがわかる。
次に、図7の構成において、IDT804に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT805と第2のリフレクタ807の最外電極指の電極指中心間距離を、第1のIDT803と第1のリフレクタ806の最外電極指の電極指中心間距離より0.01λI大きくした場合(一変形例)の振幅平衡度の結果を、図21に二点鎖線にて示す。比較として、IDT803とリフレクタ806の最外電極指の電極指中心間距離と、IDT805とリフレクタ807の最外電極指の電極指中心間距離を同じにした、第二従来例の振幅平衡度の結果を破線にて図21に合わせて示す。
実施の第五形態の変形例の方が第二従来例よりも、振幅平衡度が改善していることがわかる。すなわち、実施の第五形態のように左右IDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離を異ならせる場合は、2分割した分割くし歯状電極の左右IDTに隣り合う電極指が中性点電極である場合は2分割した分割くし歯状電極に隣り合う電極指がアース電極であるIDTとリフレクタの間隔を、2分割した分割くし歯状電極の左右IDTに隣り合う電極指がシグナル電極である場合は2分割した分割くし歯状電極に隣り合う電極指がシグナル電極であるIDTとリフレクタの間隔を反対側に対して大きくすることで、弾性表面波フィルタの平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。
(実施の第六形態)
本発明に係る実施の第六形態の構成は、基本的な構成については実施の第一形態と同じであるが、実施の第六形態では図1において、IDT504に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT503の電極指のduty(図22のF/E)を、IDT504に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT505の電極指のdutyより0.04大きくしている。
以下に、本実施の第六形態の作用・効果として、図23に、実施の第六形態の構成の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、IDT503の電極指のdutyとIDT505の電極指のdutyを同じにした、第一従来例の位相平衡度の結果を破線にて図23に合わせて示す。実施の第六形態では、第一従来例に対して、位相平衡度が改善していることがわかる。
次に、図7の構成において、IDT804に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT803の電極指のdutyを、IDT804に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT805の電極指のdutyより0.04大きくした場合(一変形例)の振幅平衡度の結果を図24に二点鎖線にて示す。比較として、IDT803の電極指のdutyとIDT805の電極指のdutyを同じにした、第二従来例の振幅平衡度の結果を破線にて図24に合わせて示す。
実施の第六形態の一変形例の方が第二従来例よりも、振幅平衡度が改善していることがわかる。すなわち、実施の第六形態のように左右の電極指のdutyを異ならせる場合は、2分割した分割くし歯状電極の左右IDTに隣り合う電極指の極性を問わず、2分割した分割くし歯状電極に隣り合う電極指がアース電極となるIDTに近い側に位置するIDTの電極指のdutyを大きくすることで、弾性表面波フィルタの平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。また、実施の第六形態ではIDT503(803)とIDT505(805)のdutyをすべて異ならせたが、一部のdutyのみを異ならせてもよい。
(実施の第七形態)
本発明に係る実施の第七形態の構成は、基本的な構成については実施の第一形態と同じであるが、実施の第七形態では図1において、IDT504の2分割した各分割くし歯状電極516、517のうち、IDT504に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT503に近い側に位置する第1の分割くし歯状電極516の電極指のdutyを、IDT504に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT505に近い側に位置する第2の分割くし歯状電極517の電極指のdutyよりも0.04大きくしている。
以下に、本実施の第七形態の作用・効果として、図25に、実施の第七形態の構成の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、分割くし歯状電極516の電極指のdutyと、分割くし歯状電極517の電極指のdutyを同じにした、第一従来例の位相平衡度の結果を破線にて図25に合わせて示す。実施の第七形態では第一従来例に対して、位相平衡度が改善していることがわかる。
次に、図7の構成において、IDT804の2分割した分割くし歯状電極のうち、IDT804に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT805に近い側に位置する第2の分割くし歯状電極817の電極指のdutyを、IDT804に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT803に近い側に位置する第1の分割くし歯状電極816の電極指のdutyよりも0.04大きくした場合(一変形例)の振幅平衡度の結果を図26に二点鎖線にて示す。比較として、分割くし歯状電極816の電極指のdutyと、分割くし歯状電極817の電極指のdutyを同じにした、第二従来例の振幅平衡度の結果を破線にて図26に合わせて示す。
実施の第七形態の一変形例の方が第二従来例よりも、振幅平衡度が改善していることがわかる。すなわち、実施の第七形態のように2分割した各分割くし歯状電極のdutyを互いに異ならせる場合は、2分割した分割くし歯状電極の左右IDTに隣り合う電極指が中性点電極である場合は2分割した分割くし歯状電極に隣り合う電極指がアース電極であるIDTに近い側に位置するくし歯状電極を、2分割した分割くし歯状電極の左右IDTに隣り合う電極指がシグナル電極である場合は2分割したくし歯状電極に隣り合う電極指がシグナル電極であるIDTに近い側に位置する分割くし歯状電極のdutyを反対側の分割くし歯状電極に対して大きくすることで、弾性表面波フィルタの平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。また、実施の第七形態では分割くし歯状電極516(816)と分割くし歯状電極517(817)のdutyをすべて異ならせたが、一部のdutyのみを異ならせてもよい。
(実施の第八形態)
本発明に係る実施の第八形態の構成は、基本的な構成については実施の第一形態と同じであるが、実施の第八形態では図1において、IDT504に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT503とIDT504とが隣り合う箇所の狭ピッチ電極指のピッチを、IDT504に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT505とIDT504とが隣り合う箇所の狭ピッチ電極指のピッチよりも0.004λI大きくしている。
以下に、本実施の第八形態の作用・効果として、図27に、実施の第八形態の構成の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、IDT503とIDT504との間の狭ピッチ電極指部のピッチと、IDT505とIDT504の間の狭ピッチ電極指部のピッチを同じにした、第一従来例の位相平衡度の結果を破線にて図27に合わせて示す。実施の第八形態では第一従来例に対して、位相平衡度が改善していることがわかる。
次に図7の構成において、IDT804に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT803とIDT804とが隣り合う箇所における狭ピッチ電極指のピッチを、IDT804に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT805とIDT804とが隣り合う箇所における狭ピッチ電極指部のピッチより0.004λI大きくした場合(一変形例)の振幅平衡度の結果を図28に二点鎖線にて示す。比較として、IDT803とIDT804との間の狭ピッチ電極指部のピッチと、IDT805とIDT804の間の狭ピッチ電極指部のピッチを同じにした、第二従来例の振幅平衡度の結果を破線にて図28に合わせて示す。
実施の第八形態の一変形例の方が第二従来例よりも、振幅平衡度が改善していることがわかる。すなわち、実施の第八形態のように狭ピッチ電極指のピッチを左右で異ならせる場合は、2分割した分割くし歯状電極の左右IDTに隣り合う電極指の極性を問わず、2分割した分割くし歯状電極に隣り合う電極指がアース電極となるIDTに近い側に位置する分割くし歯状電極と、2分割した分割くし歯状電極が隣り合う箇所の狭ピッチ電極指のピッチを大きくすることで、弾性表面波フィルタの平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。
(実施の第九形態)
本発明に係る、実施の第九形態の構成を図29に示す。実施の第九形態の構成は、縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部501の構成は実施の第一形態と同じであるが、さらに弾性表面波共振子を2つ設け、各IDT503、505にそれぞれ接続している。その際、IDT504に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT503に接続している弾性表面波共振子502AのIDT、およびリフレクタの電極指ピッチを、IDT504に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT505に接続している弾性表面波共振子502Bより0.004λ(λ:弾性表面波共振子の電極指ピッチで決まる波長)大きくしている。弾性表面波共振子502Aと502Bの設計は、電極指ピッチを互いに異ならせている以外はすべて同じである。
以下に本実施の第九形態の作用・効果として、図30に、実施の第九形態の構成の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、各弾性表面波共振子502A、502Bの電極指ピッチを互いに同じとした、第三従来例の位相平衡度の結果を破線にて図30に合わせて示す。実施の第九形態では第三従来例に対して、位相平衡度が改善していることがわかる。
このように、各IDT503、505それぞれに弾性表面波共振子を接続して、それらの電極指ピッチを互いに異ならせる場合、2分割したIDT504と隣り合う電極指がアース電極となる第1のIDT503に接続されている第1の弾性表面波共振子の電極指ピッチを、IDT504と隣り合う電極指がシグナル電極となる第2のIDT505に接続されている第2の弾性表面波共振子の電極指ピッチより大きくすることで、平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。その際、IDT504のIDT503、505に隣り合う電極指の極性にはよらない。
また、実施の第九形態では、各弾性表面波共振子502A、502BのIDTおよびリフレクタすべての電極指ピッチを異ならせたが、一部分の電極指について電極指ピッチを異ならせてもよい。また、図31のように、第1,第2の分割くし歯状電極516、517のそれぞれに弾性表面波共振子をそれぞれ接続し、各弾性表面波共振子1201、1202の各電極指ピッチを互いに異ならせてもよい。
その際、IDT504と隣り合う電極指がアース電極となる第1のIDT503に近い側に位置する第1の分割くし歯状電極516に接続されている弾性表面波共振子1201の電極指ピッチを、IDT504と隣り合う電極指がシグナル電極となる第2のIDT505に近い側に位置する第2の分割くし歯状電極517に接続されている弾性表面波共振子1202の電極指ピッチより大きくなるようにすることで、平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。
また、図32のように、上記弾性表面波共振子に代えて、2端子対弾性表面波共振子1301を用い、2端子対弾性表面波共振子1301のIDT1302とIDT1303との各電極指ピッチを互いに異ならせてもよい。
その際、IDT504と隣り合う電極指がアース電極となるIDT503に近い側に位置する第1の分割くし歯状電極516に接続されているIDT1302の電極指ピッチを、IDT504と隣り合う電極指がシグナル電極となるIDT505に近い側に位置する第2の分割くし歯状電極517に接続されているIDT1303の電極指ピッチより大きくなるようにすることで、平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。
(実施の第十形態)
本発明に係る、実施の第十形態の構成は基本的には実施の第九形態と同じであるが、IDT504に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT503に接続している第1の弾性表面波共振子502AのIDTとリフレクタの電極指ピッチのピッチ比(IDTの電極指ピッチ/リフレクタの電極指ピッチ)を、IDT504に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT505に接続している第2の弾性表面波共振子502Bより0.01小さくしている。弾性表面波共振子502Aと502Bの設計は、IDTとリフレクタのピッチ比を異ならせている以外はすべて同じである。
以下に、本実施の第十形態の作用・効果として、図33に、実施の第十形態の構成の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、弾性表面波共振子502A、502BのIDTとリフレクタのピッチ比を同じとした、第三従来例の位相平衡度の結果を破線にて図33に合わせて示す。実施の第十形態では第三従来例に対して、位相平衡度が改善していることがわかる。
このように、各IDT503、505のそれぞれに弾性表面波共振子を接続して、それらのIDTとリフレクタのピッチ比を異ならせる場合、第1,第2の分割くし歯状電極を有するIDT504と隣り合う電極指がアース電極となるIDT503に接続されている弾性表面波共振子のIDTとリフレクタのピッチ比を、IDT504と隣り合う電極指がシグナル電極となるIDT505に接続されている弾性表面波共振子のIDTとリフレクタのピッチ比より小さくすることで、平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。その際、IDT504における、各IDT503、505に隣り合う電極指の極性にはよらない。
また、図31のように、第1,第2の分割くし歯状電極のそれぞれに第1,第2の弾性表面波共振子をそれぞれ接続し、第1,第2の弾性表面波共振子1201、1202のIDTとリフレクタのピッチ比を互いに異ならせてもよい。
その際、IDT504と隣り合う電極指がアース電極となるIDT503に近い側に位置する分割くし歯状電極516に接続されている弾性表面波共振子1201のIDTとリフレクタのピッチ比を、IDT504と隣り合う電極指がシグナル電極となるIDT505に近い側に位置する分割くし歯状電極517に接続されている弾性表面波共振子1202のIDTとリフレクタのピッチ比より小さくなるようにすることで、平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。
(実施の第十一形態)
本発明に係る、実施の第十一形態の構成は基本的には実施の第九形態と同じであるが、IDT504に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT503に接続している第1の弾性表面波共振子502AのIDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離を、IDT504に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT505に接続している第2の弾性表面波共振子502Bより0.06大きくしている。弾性表面波共振子502Aと502Bの設計は、IDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離を異ならせている以外はすべて同じである。
以下に本実施の第十一形態の作用・効果として、図34に、実施の第十一形態の構成の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、弾性表面波共振子502A、502BのIDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離を同じとした、第三従来例の位相平衡度の結果を破線にて図34に合わせて示す。実施の第十一形態では第三従来例に対して、位相平衡度が改善していることがわかる。
このように、各IDT503、505のそれぞれに弾性表面波共振子を接続して、それらのIDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離を異ならせる場合、2分割したくし歯状電極を有するIDT504と隣り合う電極指がアース電極となるIDT503に接続されている弾性表面波共振子のIDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離を、IDT504と隣り合う電極指がシグナル電極となるIDT505に接続されている弾性表面波共振子のIDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離より小さくすることで、平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。その際、IDT504における、各IDT503、505に隣り合う電極指の極性にはよらない。
また、図31のように、第1,第2の分割くし歯状電極516、517に第1,第2の弾性表面波共振子をそれぞれ接続し、第1,第2の弾性表面波共振子1201、1202のIDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離を互いに異ならせてもよい。その際、IDT504と隣り合う電極指がアース電極となる第1のIDT503に近い側に位置する第1の分割くし歯状電極516に接続されている第1の弾性表面波共振子1201のIDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離を、IDT504と隣り合う電極指がシグナル電極となる第2のIDT505に近い側に位置する第2の分割くし歯状電極517に接続されている第2の弾性表面波共振子1202のIDTとリフレクタの最外電極指の電極指中心間距離より小さくなるようにすることで、平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。
(実施の第十二形態)
本発明に係る実施の第十二形態の構成は基本的には実施の第九形態と同じであるが、IDT504に隣り合う電極指がアース電極である第1のIDT503に接続している第1の弾性表面波共振子502AのIDTとリフレクタの電極指のdutyを、IDT504に隣り合う電極指がシグナル電極である第2のIDT505に接続している第2の弾性表面波共振子502Bより0.04小さくしている。弾性表面波共振子502Aと502Bの設計は、IDTとリフレクタの電極指のdutyを異ならせている以外はすべて同じである。
以下に本実施の第十二形態の作用・効果として、図35に、実施の第十二形態の構成の位相平衡度の結果を実線にて示す。比較として、弾性表面波共振子502A、502Bの電極指のdutyを同じとした、第三従来例の位相平衡度の結果を破線にて図35に合わせて示す。実施の第十二形態では第三従来例に対して、位相平衡度が改善していることがわかる。
このように、IDT503、505それぞれに弾性表面波共振子を接続して、その電極指のdutyを異ならせる場合、2分割した各分割くし歯状電極516、517を有するIDT504と隣り合う電極指がアース電極となるIDT503に接続されている弾性表面波共振子の電極指のdutyを、IDT504と隣り合う電極指がシグナル電極となるIDT505に接続されている弾性表面波共振子の電極指のdutyより小さくすることで、平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。その際、IDT504における、各IDT503、505に隣り合う電極指の極性には何ら依存しない。
また、実施の第十二形態では弾性表面波共振子502Aと502BのIDTおよびリフレクタのすべての電極指のdutyを異ならせたが、一部分の電極指についてのみ電極指のdutyを異ならせてもよい。
さらに、図31のように、第1,第2の分割くし歯状電極のそれぞれに弾性表面波共振子をそれぞれ接続し、各弾性表面波共振子1201、1202の電極指のdutyを互いに異ならせてもよい。
その際、IDT504と隣り合う電極指がアース電極となる第1のIDT503に近い側に位置する第1の分割くし歯状電極516に接続されている弾性表面波共振子1201の電極指のdutyを、IDT504と隣り合う電極指がシグナル電極となる第2のIDT505に近い側に位置する第2の分割くし歯状電極517に接続されている弾性表面波共振子1202の電極指のdutyより小さくなるようにすることで、平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。
また、図32のように、弾性表面波共振子を2端子対弾性表面波共振子1301とし、各IDT1302、1303の電極指のdutyを異ならせてもよい。その際、IDT504と隣り合う電極指がアース電極となる第1のIDT503に近い側に位置する第1の分割くし歯状電極516に接続されているIDT1302の電極指のdutyを、IDT504と隣り合う電極指がシグナル電極となる第2のIDT505に近い側に位置する第2の分割くし歯状電極517に接続されているIDT1303の電極指のdutyより小さくなるようにすることで、平衡信号端子間の平衡度を改善することができる。
図32では、IDT504の分割されていないくし歯状電極が、他の実施の形態がアース電極となっているのと異なり、浮き電極となっているが、このような構成でも同様の効果が得られる。
また、上記の実施の第一ないし第十二の各形態では、効果を示す特性図として、振幅平衡度および位相平衡度の結果において、改善が見られた方を示したが、改善がみられない方の平衡度については、それぞれあまり変わらないか、若干悪化する程度であり、他の電気的特性にはほとんど影響ないことを確認した。
さらに、上記の実施の第一ないし第十二の各形態に記載の各発明は、中央IDTの最外電極指が、アース電極または浮き電極の場合と、シグナル電極の場合のように互いに並立できない場合を除いて、どのようにも組み合わせることができる。それらを組み合わせることが効果をより一層高めることが可能となる。
本発明の弾性表面波フィルタは、平衡側のインピーダンスと不平衡側のインピーダンスとを相違させて平衡−不平衡変換機能を有し、かつ、平衡度を改善できるものとなっているので、携帯電話等といった小型の通信機のフィルタ用いると、上記通信機の通信特性を向上できて、上記通信機に好適に利用できる。

Claims (7)

  1. 圧電基板と、前記圧電基板に構成された縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部とを備える弾性表面波フィルタであって、
    前記縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部は、複数の電極指を有する複数のくし歯状電極が対向するように組合わせられておりかつ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された少なくとも3つの奇数のくし型電極部と、前記くし型電極部を挟み込むように弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された第1,第2のリフレクタとを備え、
    前記少なくとも3つの奇数のくし型電極部が、中央に位置する中央くし型電極部と、前記中央くし型電極部の両側に配置された第1,第2のくし型電極部とを有し、前記第1くし型電極部の前記中央くし型電極部と隣り合う電極指がアース電極であり、前記第2のくし型電極部の前記中央くし型電極部と隣り合電極指がシグナル電極であり、
    前記中央くし型電極部の対向するいずれか一方側のくし歯状電極は、弾性表面波の伝搬方向に沿って2分割された第1,第2の分割くし歯状電極で構成されており、
    前記第1,第2の分割くし歯状電極は、それぞれ、第1,第2のくし型電極部に近い側に配置されており、かつ第1,第2の平衡信号端子にそれぞれ接続されており、
    前記中央くし型電極部に隣接する第1,第2のくし型電極部は、不平衡信号端子に接続されており、
    前記中央くし型電極部の2つの最外電極指の極性がアース電極または浮き電極とされており、
    前記第1のくし型電極部と前記第2のくし型電極部とのそれぞれは、前記中央くし型電極部と隣り合った隣接部分に相対的に電極指ピッチが狭い狭ピッチ電極指部を有し、
    前記第1のくし型電極部の前記狭ピッチ電極指部以外の部分の少なくとも一部における電極指ピッチは、前記第2のくし型電極部の前記狭ピッチ電極指部以外の部分の電極指ピッチよりも大きい、弾性表面波フィルタ。
  2. 圧電基板と、前記圧電基板に構成された縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部とを備える弾性表面波フィルタであって、
    前記縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部は、複数の電極指を有する複数のくし歯状電極が対向するように組合わせられておりかつ弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された少なくとも3つの奇数のくし型電極部と、前記くし型電極部を挟み込むように弾性表面波の伝搬方向に沿って配置された第1,第2のリフレクタとを備え、
    前記少なくとも3つの奇数のくし型電極部が、中央に位置する中央くし型電極部と、前記中央くし型電極部の両側に配置された第1,第2のくし型電極部とを有し、前記第1のくし型電極部の前記中央くし型電極部と隣り合う電極指がアース電極であり、前記第2のくし型電極部の前記中央くし型電極部と隣り合う電極指がシグナル電極であり、
    前記中央くし型電極部の対向するいずれか一方側のくし歯状電極は、弾性表面波の伝搬方向に沿って2分割された第1,第2の分割くし歯状電極で構成されており、
    前記第1,第2の分割くし歯状電極は、それぞれ、第1,第2のくし型電極部に近い側に配置されており、かつ第1,第2の平衡信号端子にそれぞれ接続されており、
    前記中央くし型電極部に隣接する第1,第2のくし型電極部は、不平衡信号端子に接続されており、
    前記中央くし型電極部の2つの最外電極指の極性が共にシグナル電極であり、
    前記第1のくし型電極部と前記第2のくし型電極部とのそれぞれは、前記中央くし型電極部と隣り合った隣接部分に相対的に電極指ピッチが狭い狭ピッチ電極指部を有し、
    前記第2のくし型電極部の前記狭ピッチ電極指部以外の部分の少なくとも一部における電極指ピッチは、前記第1のくし型電極部の前記狭ピッチ電極指部以外の部分の電極指ピッチよりも大きい、弾性表面波フィルタ。
  3. 記第1くし型電極部と、該第1くし型電極部に隣り合う第1のリフレクタとの電極指中心間距離が、前記第2のくし型電極部と、第2のくし型電極部に隣り合う第2のリフレクタとの電極指中心間距離よりも大きくされている、請求項に記載の弾性表面波フィルタ。
  4. 記第2くし型電極部と第2くし型電極部に隣り合う第2のリフレクタとの電極指中心間距離が、前記第1くし型電極部と前記第1くし型電極部に隣り合っている第1のリフレクタとの電極指中心間距離よりも大きくされている、請求項に記載の弾性表面波フィルタ。
  5. 前記第1,第2の分割くし歯状電極のうち、前記第1のくし型電極部に近い第1の分割くし歯状電極の少なくとも一部の電極指ピッチが、第2の分割くし歯状電極の電極指ピッチよりも大きくされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性表面波フィルタ。
  6. 前記縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部に対しカスケード接続された第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の弾性表面波フィルタ。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の弾性表面波フィルタを備えることを特徴とする、通信機。
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