JP4259077B2 - シートのカッティング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートをカット刃でカットするカッティング装置の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、一つのカット刃で、被切断物たるシートを完全に分離切断するフルカットと、当該シートに切り目を入れるのみのいわゆるハーフカットを実現できるカッティング装置が公知となっている。
例えば、特許文献1に開示されるチョッパ切断装置がある。この装置は、横長刃(カット刃)と刃受け台を有しており、該刃受け台は、高さの異なる2つの受け部を有している。そして、フルカット時には高い方の受け部が横長刃の下側に位置するように、ハーフカット時には低い方の受け部が横長刃の下側に位置するように、刃受け台を水平に移動制御するよう構成し、この結果、フルカットとハーフカットの切換を可能としている。
【0003】
【特許文献1】
特公平2−49880号公報(第(3)頁左列第5〜10行目、第3図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の技術では、受け部の高さそのものを変更させることができないので、例えば長年の使用により横長刃が磨耗した際には、ハーフカット時の切り目の深さが浅くなってしまい、これを解消するには横長刃を交換する必要があった。この結果、メンテナンスの必要が頻繁に発生することとなり、メンテナンスコストの増大やその間カッティング装置を使用できないロスが増大していたのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、印刷機構によって印刷が施されて走行経路を搬送されるシートを、当該印刷機構よりも下流側でカットするカッティング装置において、前記印刷機構の下流側に前記印刷機構と近接して設けられ、前記シートの幅方向に走行することによって当該シートをカットするカット刃と、前記カット刃の刃先に対向して配置される受け部材と、この受け部材に前記シートを挟んで配置される押さえ部材と、を備え、前記受け部材は、前記カット刃より上流側で前記シートを受ける第1受け面と、前記カット刃よりも下流側で前記シートを受ける第2受け面と、を備え、前記第1押さえ面は、前記第2押さえ面よりもシートの搬送方向に沿う長さが短く形成されているとともに、前記第1受け面は、前記第2受け面よりもシートの搬送方向に沿う長さが短く形成されており、前記第1受け面と前記第1押さえ面との間、及び、前記第2受け面と前記第2押さえ面との間で、前記シートを挟持し、この状態で当該シートを前記カット刃で切断するように構成するとともに、前記カット刃は、前記第1押さえ面と前記第2押さえ面との間に形成される間隙の中間位置よりも上流側に変位して配置され、前記受け部材は、前記押さえ部材に近接する方向に付勢されており、前記シートに対する前記カット刃の刃先の相対位置の変更が、前記カット刃に対する前記押さえ部材の、シート厚み方向における位置の変更によって行われるものである。
【0007】
【0008】
請求項2においては、前記受け部材の前記カット刃に対向する面における、前記第1受け面と前記第2受け面との間の部分に、前記カット刃のシート幅方向に沿設された中空部を設けたものである。
【0009】
請求項3においては、前記押さえ部材の位置の変更は、ステッピングモータの駆動により行われるものである。
【0010】
請求項4においては、前記シートは、粘着シートと剥離紙とが貼り合わされたものであり、また、前記押さえ部材は、前記シートを厚み方向全体にわたって切断するフルカットを行うための第一の位置と、前記粘着シートを切断し、且つ前記剥離紙を切断しないように前記カット刃でカットするハーフカットを行うための第二の位置とに、配置可能であるように構成しているものである。
【0011】
請求項5においては、カット刃の状況に応じて、前記シートに対する前記カット刃の刃先の相対位置を変更できるように構成したものである。
【0012】
請求項6においては、前記シートの種類を検出できるセンサを備え、検出されたシートの種類に応じて、当該シートに対する前記カット刃の刃先の相対位置を変更できるように構成したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔全体構成〕
まず、本発明を適用した一実施形態に係るテープ印字装置の概略を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るテープ印字装置の全体的な構成を示した斜視図、図2は蓋部を開いた状態のテープ印字装置の全体平面図、図3は同じく全体側面図である。
【0014】
図1に示すテープ印字装置1は、CPUやRAM等により構成される図示しない制御本体部を内部に備えた、筐体2を有する。筐体2の上面手前側には、電源キーや文字列入力キー等の各種操作キー群3を備える。また、筐体2には、入力した文字列等を表示する液晶ディスプレイ4が設けられている。
【0015】
筐体2の奥側上面には蓋部5が設けられ、回動開閉自在とされている。図2や図3には蓋部5を開いた状態が示され、図2に示すように、蓋部5の内部には、カートリッジ装着部6やテープ駆動印刷機構7、テープ切断機構(カッティング装置)8、テープ排出機構11が構成されている。
この蓋部5内部に形成されるカートリッジ装着部6には、ラベルテープを収納したテープカートリッジ10を装着可能としてある。
【0016】
この構成で、カートリッジ装着部6にテープカートリッジ10を装着し、前記キー群3のうち適宜のキー(印刷キー)を押すと、前記テープ駆動印刷機構7が駆動されて、テープカートリッジ10内のラベルテープが引き出される。そして、このラベルテープに、前述のキー群3で入力された文字列等が、テープ駆動印刷機構7によって印字される。印字後のラベルテープは、テープ切断機構8で切断された後に、テープ排出機構11によって、前記筐体2の一側側面に形成される排出口9(図2・図3)から排出される構成になっている。
【0017】
〔カートリッジ装着部の周辺の構成〕
次に、前記カートリッジ装着部6の周辺の構成について、図4以降を参照して詳細に説明する。
図4はカートリッジ装着部の構成を示す斜視図、図5は同じく平面図、図6はカートリッジ装着部にテープカートリッジを装着した状態を示す斜視図である。図7はテープカートリッジ内部でテープが繰り出される様子を示す平面図である。
【0018】
図4及び図5には、前記筐体2から取り外された状態のカートリッジ装着部6が示される。なお、図4・図5には、前記テープカートリッジ10が取り外された状態が図示されている。
【0019】
カートリッジ装着部6は金属平板からなるフレーム21を備え、この下面に、カートリッジ駆動モータ22が付設されている(図5等)。カートリッジ駆動モータ22のモータ軸23はフレーム21上面側に突出され、このモータ軸23と、前記フレーム21に回転自在に支持される巻取駆動軸24およびローラ駆動軸25が、減速ギア列26を介して連動連結される。
なお、図4・図5には図示されていないが、前記カートリッジ装着部6を筐体2に取り付けた際は、前記減速ギア列26の上側を覆う平板状のカバープレート34が図2に示すように設置され、当該減速ギア列26を塵や埃から保護する構成になっている。
【0020】
この構成で、前記テープカートリッジ10を図6のようにカートリッジ装着部6に装着したときは、当該カートリッジ10のハウジング80内部に回転自在に支持されるリボン巻取スプール83(後述)に前記巻取駆動軸24が、同様にカートリッジ10の内部で回転自在に支持される接合ローラ84(後述)に前記ローラ駆動軸25が、それぞれ係合する。
従って、この状態で前記カートリッジ駆動モータ22を回転駆動することで、テープカートリッジ10のリボン巻取スプール83及び接合ローラ84を駆動することができ、これがカートリッジ10内のテープ走行のための駆動力として用いられる。
【0021】
前記フレーム21には、軸27まわりに揺動可能となるように、アーム28が取り付けられる。アーム28の遊端側には、ともにゴム等の弾性部材を表面に配したプラテンローラ29及び送りローラ30が並べて設けられ、それぞれ回転自在とされている。
また、前記フレーム21にはプレート31が突設され、該プレート31のプラテンローラ29側の面には、サーマルヘッド32が配置される。このサーマルヘッド32は、テープ(具体的には、後述するラミネートテープ91)の搬送方向に垂直な方向に少なくとも一列以上配列された、複数の発熱素子を有している。
前記アーム28には図示しない付勢バネが取り付けられており、この付勢バネは、前記プラテンローラ29が前記プレート31に圧接し、かつ、前記送りローラ30がテープカートリッジ10の接合ローラ84に圧接する付勢力を、常時加えている。
【0022】
ここで本実施形態のテープ印字装置1は、テープカートリッジ10を交換することにより、様々な太さ・種類のラベルテープに印字可能とされている。
そしてこのテープカートリッジ10の種類を自動判別するために、フレーム21の上面の適宜位置には、図2や図4等に示すように、垂直に突出する押しボタンスイッチを「L」字状に五連で並べた構成のカートリッジ種類検出センサ70が設けられる。テープカートリッジ10側においては図7に示すように、このセンサ70の押しボタンスイッチの位置に対応する位置(ハウジング80の下面隅位置)に、カートリッジ種類表示孔71が形成される。このカートリッジ種類表示孔71は、前記押しボタンスイッチに相当する五箇所における孔の有無のパターンによって、当該テープカートリッジ10のラベルテープの幅・厚み・種類等を表現するよう構成している。従って、テープカートリッジ10をカートリッジ装着部6に取り付けた際は、カートリッジ種類検出センサ70の検出結果に基づいて、ラベルテープの種類をテープ印字装置1側で自動判別することができる。
【0023】
なお、本実施形態でテープ印字装置1に取り付けられるテープカートリッジ10は、ラミネート熱転写タイプのラベルテープを形成できるテープカートリッジとされている。これを以下説明する。
【0024】
このテープカートリッジ10は図7に示すように、合成樹脂製の箱状のハウジング80の内部に、ラミネートスプール81と、リボン供給スプール82と、リボン巻取スプール83と、接合ローラ84と、基材供給スプール85と、がそれぞれ回転自在に軸支された構成となっている。
【0025】
ラミネートスプール81の外周には、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の透明なラミネートテープ91が、小巻状に巻回される。また、リボン供給スプール82の外周には、インクリボン92が小巻状に巻回される。
また、基材供給スプール85の外周には、二重テープ93が巻回される。この二重テープ93は、両面に接着剤層を有する両面接着テープ93aと、その片面に貼り合わされる剥離テープ93bと、の二重構造をなしており、剥離テープ93bが貼られている側の面を外側に、前記粘着層が露出される側の面を内側に向けながら、前記基材供給スプール85の外周に巻回されている。
【0026】
また前述のとおり、ハウジング80内には接合ローラ84が回転自在に支持される。この接合ローラ84は、本体側の送りローラ30との圧接によって、基材供給スプール85からの二重テープ93と、ラミネートスプール81からのラミネートテープ91を接合するように構成している。
加えて、ハウジング80内にはリボン巻取スプール83が回転自在に支持され、このリボン巻取スプール83が、前述のリボン供給スプール82から供給されて使用済みとなったインクリボン92を巻き取るように構成している。
【0027】
前記リボン巻取スプール83及び前記接合ローラ84には、装置側のカートリッジ駆動モータ22の動力が伝達されて回転駆動される。この結果、ラミネートスプール81からのラミネートテープ91とリボン供給スプール82からのインクリボン92が互いに重ねられて、前記サーマルヘッド32へ送られる。そして、プラテンローラ29でサーマルヘッド32側へ圧接されながら、該サーマルヘッド32の発熱素子が選択的に加熱することによって、インクリボン92上のインクがラミネートテープ91に転写され、前記キー群3で入力された文字列や記号などの所望の画像が当該ラミネートテープ91上に形成されることになる。
【0028】
サーマルヘッド32を通過した後は、ラミネートテープ91と使用済みのインクリボン92は、二手に分かれて走行する。ラミネートテープ91は送りローラ30に向けて送られ、それと同時に、前述の基材供給スプール85から引き出された二重テープ93が、その粘着層露出側(即ち、前記剥離テープ93bが貼り合わされていない側)を外側に向けながら、接合ローラ84に送られる。この結果、送りローラ30と接合ローラ84との圧接によって、ラミネートテープ91と二重テープ93とが互いに接合され貼着される。
【0029】
この結果、文字や記号などが記録されたラミネートテープ91が二重テープ93上に設けられた形の、三層構造のラベルテープ100が形成され、このラベルテープ100が、接合ローラ84の回転によって前述の排出口9に向けて繰り出される。記録および排出が完了した後のラベルテープ100は、この排出口9近傍に設けられたテープ切断機構8で切断されるとともに、同じく排出口9近傍に設けられたテープ排出機構11で排出される。これらテープ切断機構8およびテープ排出機構11の詳細な構成は後述する。
テープ排出機構11により排出口9から排出されたラベルテープ100は、前記剥離テープ93bを剥離することで粘着層を露出させることができ、任意の場所に貼設できる貼着ラベルとして用いることができる。
【0030】
〔テープ切断機構の構成〕
次に、前記テープ切断機構8の構成を説明する。
図8はテープ切断機構の全体構成を示す斜視図、図9はカートリッジ装着部を下面側から見た斜視図である。
図10はテープ切断機構において押さえ部材でラベルテープをフルカット位置/ハーフカット位置に移動させる様子を示した断面図である。
【0031】
このテープ切断機構8は、その切断機構フレーム33上に、ラベルテープ100を切断するカット刃35や、該カット刃35でラベルテープ100を切断する際に当該ラベルテープ100を挟持する押さえ部材36・受け部材37等を、一体的に組み付けて構成してある。
この切断機構フレーム33は、カートリッジ装着部6のフレーム21にネジ止めして固定できるようになっている。逆に言えば、この切断機構フレーム33は、切断機構フレーム33上の各機構同士が一体的に組みつけられている状態を保持したまま、前記ネジを取り外してカートリッジ装着部6のフレーム21から取り外し、図8の如くの状態でカット刃35の交換等の作業が可能となっている。この結果、メンテナンス性の向上が図られている。
【0032】
図8にテープ切断機構が示されるが、この図8は、サーマルヘッド32側(テープ走行方向上流側)が紙面手前に、排出口9側(下流側)が紙面奥側に、それぞれ向いた状態の斜視図である。
この図8を参照しながらテープ切断機構8の構成を説明すると、ラベルテープ100の走行経路の一側において、前記切断機構フレーム33にガイド軸38が垂直方向に支架されるとともに、当該ガイド軸38に平行させて、ネジ軸39が回転自在に軸支される。
【0033】
前記ガイド軸38にはカッターキャリッジ44が、ガイド軸38の長手方向(ラベルテープ100の幅方向であって、図8に矢印Aで示す方向)に沿って、往復動摺動自在となるよう支持されており、このカッターキャリッジ44のラベルテープ100側を向く端部にカット刃35が固定される。このカッターキャリッジ44は前記ネジ軸39に螺合しており、ネジ軸39が回転することで前記矢印A方向に往復動される構成となっている。
図9には、切断機構フレーム33を取り付けた状態のカートリッジ装着部6が、上下逆さに向けた斜視図として示されている。この図に示すように、前記ネジ軸39を駆動するカット刃駆動モータ40は、カートリッジ装着部6のフレーム21下面に付設される。カット刃駆動モータ40のモータ軸は、ウォームギア41及び減速歯車42・43を介して、前述のネジ軸39に連結されている。
この構成でカット刃駆動モータ40を正逆駆動することで、カッターキャリッジ44を前記矢印A方向に往復駆動でき、ラベルテープ100を横切るようにカット刃35を走行させて当該ラベルテープ100を切断することができる。
【0034】
なお、図8等に示すように、前記カッターキャリッジ44には位置検出リブ49が一体的に突設されるとともに、該カッターキャリッジ44の移動方向の両端側(即ち、カット刃35がラベルテープ100と干渉しない、ラベルテープ100の幅方向で脇の位置)には、リブ検出センサ50・50がそれぞれ設けられる。従って、カッターキャリッジ44が移動範囲の端部にある(端部にまで移動した)ことを、このリブ検出センサ50が位置検出リブ49を検出することで判定することができ、これが前記カット刃駆動モータ40の駆動制御に用いられる。
【0035】
そして、前記ガイド軸38,ネジ軸39,及びカッターキャリッジ44を囲むように、平面視「コ」字状の押さえ部材36が切断機構フレーム33に設けられる。
この押さえ部材36は、そのラベルテープ100側(後述の受け部材37側)を向く「コ」字状両端面を平坦に形成して、ここに二つの押さえ面36a・36bを形成している。この押さえ面36a・36bは、ラベルテープ100の幅方向(図8の矢印A方向)に細長く沿設されており、当該方向に沿う長手方向を有して設けられている。
また、この押さえ部材36は、適宜の摺動ガイド機構を介して前記切断機構フレーム33に設けられており、前記ラベルテープ100の厚み方向(図に矢印Bで示す方向)に、その位置を変更可能とされている。
【0036】
この押さえ部材36の位置変更のための構成が、フレーム21を下側から見た図である図9に示される。この図に示すように、押さえ部材駆動モータ45がフレーム21上面に付設されるとともに、そのモータ軸が当該フレーム21下面に突出され、当該突出部分にギア46が設けられている。このギア46は減速ギア列47を介して、フレーム21下面に枢支された「く」字状の第一アーム51の一端に連結される。該第一アーム51の他端には、前記切断機構フレーム33の側部に中央部を枢支された直線状の第二アーム52の一端が連結され、この第二アーム52の他端が前記押さえ部材36に連結される。
この構成で、前記押さえ部材駆動モータ45を正逆回転駆動することで、押さえ部材36を前記矢印B方向に往復移動させることができる。
【0037】
一方、図8等に示すように、ラベルテープ100の走行経路を挟んで押さえ部材36の反対側には、受け部材37が配置されている。受け部材37の上下端部には突起53が突出され、この突起53が、切断機構フレーム33に適宜形成されたガイド溝54に、摺動自在に嵌入される。この結果、押さえ部材36は、当該ガイド溝54の長手方向(ラベルテープ100の厚み方向であって、図8に矢印Bで示す方向)に移動可能となるよう、切断機構フレーム33に支持される。
受け部材37には、前記押さえ部材36の「コ」字状両端面(二つの押さえ面36a・36b)にそれぞれ対向する、二つの平坦な受け面37a・37bが形成されている。更には、二つの受け面37a・37bの間の位置には、溝(中空部)37cが設けられている。
前記受け面37a・37b,前記溝37cは、いずれも、ラベルテープの幅方向(図8における矢印A方向)に沿設され、当該矢印A方向に沿う長手方向を有するように構成されている。
【0038】
受け部材37と前記切断機構フレーム33との間には付勢バネ48が弾設されて、受け部材37を押さえ部材36側に近接させる方向の付勢力を常時加えている。
【0039】
この構成で、前述のカット刃35によってラベルテープ100を切断する前の段階で、前記押さえ部材駆動モータ45を回転駆動して押さえ部材36を受け部材37側へ移動させ、その押さえ面36a・36bと受け部材37の受け面37a・37bとの間でラベルテープ100を挟むようにする。すると、受け部材37は前記付勢バネ48による付勢力によって押さえ部材36側に押圧されるので、ラベルテープ100は受け部材37と押さえ部材36とで動かないように固定された状態とされ、当該状態とした上で前記カット刃35を図8の矢印A方向に走行させることで、ラベルテープ100を切断することができる。
【0040】
次に、カット刃35のカット態様の切換機構を説明する。
即ち、本実施形態のテープ切断機構8は、ラベルテープ100をその厚み方向途中まで部分的にカットするハーフカットと、ラベルテープ100をその厚み方向全体に渡って切断するフルカットと、の二つの態様でラベルテープ100をカットできるように構成している。
以下、これを図10を参照して説明する。
【0041】
図10(a)には、前記サーマルヘッド32により印字しながら前述の接合ローラ84にてラベルテープ100を走行させて繰り出す場合の、図8におけるX−X断面矢視図が示される。
サーマルヘッド32による印字が行われている状態では、前記押さえ部材36は、ラベルテープ100の走行経路から離れる方向(受け部材37から離れる方向)に十分退避するように、前記押さえ部材駆動モータ45によって移動される。前記受け部材37は付勢バネ48によって押さえ部材36側に付勢されているが、受け部材37の突起53(図8)がガイド溝54の端部に当接すると、受け部材37は押さえ部材36側へそれ以上移動できない。この結果、図10(a)に示すように、押さえ部材36の押さえ面36a・36bと受け部材37の受け面37a・37bとは互いに離間し、両部材36・37の間に隙間が形成される。
前記サーマルヘッド32による印字がされつつ前記接合ローラ84によって繰り出されるラベルテープ100は、当該隙間を通過して走行する。なお、カッターキャリッジ44はテープ走行経路の脇の位置に退避しているので、カッターキャリッジ44やカット刃35がラベルテープ100の走行の邪魔となることはない。
【0042】
サーマルヘッド32による印字が終了した後は、前記カートリッジ駆動モータ22が停止されて接合ローラ84による繰出しが停止されるとともに、前記押さえ部材駆動モータ45が駆動され、押さえ部材36が受け部材37に近接する方向に、適宜移動する。この結果、図10(b)あるいは(c)に示すように、ラベルテープ100は押さえ部材36と受け部材37の間に挟まれ、動かないように固定される。
【0043】
なお、このラベルテープ100の挟持固定の際に、押さえ部材36の位置を前記押さえ部材駆動モータ45で変更することにより、前述のフルカットとハーフカットの切換ができるように構成している。
【0044】
即ち、フルカットを行う場合は図10(b)のように、カット刃35がラベルテープ100の厚み方向全体をカットできる位置となるように、押さえ部材36を位置させる。具体的には、前記押さえ部材36の押さえ面36a・36bから前記カット刃35の先端が突出するその突出量が、前記ラベルテープ100の厚み全体よりも大きくなり、カット刃35の先端が受け部材37の溝37c内に位置することとなるような位置に、押さえ部材36を位置させるのである。
この図10(b)の状態でカット刃駆動モータ40を駆動してカッターキャリッジ44を移動させ、カット刃35をラベルテープ100を横切るように走行させると、ラベルテープ100は、ラミネートテープ91、二重テープ93の両面接着テープ93a・剥離テープ93bを含んだ、ラベルテープ100の厚み方向全体(三層全体)にわたって切り離され、切断されることになる(フルカット)。
【0045】
一方、ハーフカットを行う場合は図10(c)のように、カット刃35がラベルテープ100の厚み方向途中までをカットできる位置となるように、押さえ部材36を位置させる。具体的には、前記押さえ部材36の押さえ面36a・36bから前記カット刃35の先端が突出するその突出量が、(前記ラミネートテープ91の厚さ)+(前記二重テープ93の両面接着テープ93aの厚さ)となるようにし、残りの剥離テープ93bにはカット刃35が到達しないこととなるような位置に、押さえ部材36を位置させるのである。ただし、剥離テープ93bにカット刃35を僅かに食い込ませる位置としても構わない。
この図10(c)の状態でカット刃35をラベルテープ100を横切るように走行させることで、ラベルテープ100に対し、そのラミネートテープ91と両面接着テープ93aの部分にのみ(即ち、ラベルテープ100の三層構造のうち貼着ラベルとして用いられる二層の部分にのみ)、前記カット刃35による切込みを入れることができる(ハーフカット)。
【0046】
ここで、押さえ部材36の位置を図10(b)の位置とするか(c)の位置とするかは、前記押さえ部材駆動モータ45の駆動量(回転量)により制御することができる。本実施形態では押さえ部材駆動モータ45はステッピングモータにより構成しており、その駆動量は、押さえ部材駆動モータ45に供給するパルスの数によって容易に制御することができる。この制御構成についての詳細は後述する。
【0047】
〔テープ排出機構〕
次に、テープ排出機構11の構成を、図4を主に参照しながら説明する。
【0048】
図4に示すように、このテープ排出機構11はカートリッジ装着部6のフレーム21上に構成されている。具体的には、前記テープ切断機構8のすぐ下流側においてフレーム21にテープガイド14が設置されるとともに、ラベルテープ100の走行経路の一側において、ローラ軸61がテープガイド14に回転自在に支持される。該ローラ軸61には排出ローラ62が固定され、このローラ62の周面がラベルテープ100に接触し得るように構成している。
図4に示すように、フレーム21の下面には排出部駆動モータ63が付設され、そのモータ軸64がフレーム21の上面に突出される。前述のローラ軸61はこのモータ軸64に対し、減速ギア列65を介して連動連結されている。
【0049】
また、ラベルテープ100の走行経路を挟んで前記排出ローラ62の反対側においては、前記フレーム21に、押さえアーム66が支持される。押さえアーム66は「L」字状に形成されてその先端を前記排出ローラ62側に向けており、当該先端にはコロ67を遊転自在に支持する構成となっている。
【0050】
前記押さえアーム66は、前述のテープ切断機構8において押さえ部材36を移動させるための前記第二アーム52に連結されている。従って、押さえ部材駆動モータ45を駆動して押さえ部材36と受け部材37との間でラベルテープ100を挟持したときには、押さえアーム66も排出ローラ62側に移動し、その先端のコロ67と排出ローラ62との間でラベルテープ100を挟持できるようになっている。
【0051】
上記構成で、前記テープ切断機構8のカット刃35でラベルテープ100の切断(前述のフルカット)を行った後、前記排出部駆動モータ63を駆動すると、排出ローラ62は、その外周面と前記コロ67との間でラベルテープ100を挟んだ状態で、図4における時計回り方向に回転する。この結果、切断後のラベルテープ100は排出ローラ62により送り出されて、排出口9から図中左下方へ排出される。
【0052】
〔制御構成〕
次に、本実施形態における制御構成を説明する。
図11はテープ印字装置のブロック図である。図12はテープ印字装置の制御フローのメインフロー図、図13はフルカット処理のサブルーチンのフロー図、図14はハーフカット処理のサブルーチンのフロー図である。
【0053】
図11には本実施形態のテープ印字装置1の制御ブロック図が示され、このテープ印字装置1は、中央処理装置(CPU)101と、一時的なデータを保持しておくためのRAM102と、半固定的なデータを保持しておくための不揮発性メモリ(NV−RAM)103と、制御プログラム等の固定的データを格納するROM104とが、バス105で相互に接続される構成となっている。また、当該バス105には、前記操作キー群3からのキー入力を受け付けて処理するキー入力処理部106や、液晶ディスプレイ4の表示を制御するLCD制御部107や、前述したサーマルヘッド32や各種のモータ等を制御する印刷・切断機構制御部108が接続される。
【0054】
印刷・切断機構制御部108は、印字部であるサーマルヘッド32の発熱素子に印加する電流を制御するための、サーマルヘッド制御回路110を備える。更には、前記カートリッジ駆動モータ22や、押さえ部材駆動モータ45や、カット刃駆動モータ40や、排出部駆動モータ63などの各種モータ群の駆動/停止を制御するための、各種制御回路を備える(111〜114)。
また、印刷・切断機構制御部108はセンサ入力回路115を備え、カートリッジ種類検出センサ70や、前記リブ検出センサ50・50からの電気的な信号を受け取って処理するように構成してある。
【0055】
上記制御構成におけるメインフローが図12に示され、このメインフローのループにおいては、CPU101は先ずステップS101で、文字列編集キー群3aのうちいずれかが押されたか否かを判定し、キーが押された場合は文字列編集処理のサブルーチンを実行する(S102)。
このサブルーチン処理の詳細は省略するが、押されたキーに応じて、前記RAM102に記憶されている文字列に文字を追加したり削除して当該RAM102の記憶内容を更新し、更に液晶ディスプレイ4の表示を更新する処理を行っている。
【0056】
次に、ステップS103で印刷キー3bが押されたか否かを判定し、印刷キー3bが押された場合は、印刷処理のサブルーチンを実行する(S104)。
このサブルーチン処理の詳細も省略するが、この処理においては、カートリッジ駆動モータ22を駆動するとともに、前述の文字列編集処理において記憶されたRAM102の内容(入力文字列データ)を読み出して、当該入力文字列データに基づいて画像データを展開してRAM102に一時記憶する。そして、この画像データに基づき、所定のタイミングでサーマルヘッド32の発熱素子に選択的に電流を流して、対応する画像を前記ラミネートテープ91上に形成する。そして更にカートリッジ駆動モータ22の駆動を継続し、接合ローラ84でラミネートテープ91と前記二重テープ93とを接合させてラベルテープ100を形成し、最終的には当該ラベルテープ100の画像形成部分が前記カット刃35より下流側に位置した時点で、カートリッジ駆動モータ22の駆動を停止する。
【0057】
更にステップS105において「フルカット」キー3Fが押されたか否かを判定し、「フルカット」キー3Fが押された場合は、フルカット処理のサブルーチンを実行する(S106)。
また、ステップS107において「ハーフカット」キー3Hが押されたか否かを判定し、「ハーフカット」キー3Hが押された場合は、ハーフカット処理のサブルーチンを実行する(S108)。
以下、フルカット処理及びハーフカット処理のサブルーチンを説明する。
【0058】
〔フルカット処理のサブルーチン〕
フルカット処理のサブルーチンのフローは図13に示され、このフローにおいては先ず、前記押さえ部材36を前述の図10(a)の退避位置から図10(b)の位置に移動させるためのパルス数を、NV−RAM103の適宜の記憶領域103Xから読み出す(S201)。
即ち、本実施形態では、押さえ部材36が十分退避した図10(a)に示す位置を押さえ部材36の基準位置と定めて、この基準位置から押さえ部材36を図10(b)の位置に移動させるために必要な、押さえ部材駆動モータ45に対するパルス数を、予め算出してNV−RAMの前記記憶領域103Xに記憶させてある。
従って、読み出したパルス数だけのパルスを次のステップS202で押さえ部材駆動モータ45に送ることで、押さえ部材36を図10(b)の位置に移動させることができる。
なお、この押さえ部材36の移動と同時に前記コロ67も排出ローラ62側に移動するので、ラベルテープ100は、押さえ部材36と受け部材37との間で挟持されるとともに、コロ67と排出ローラ62との間でも挟持される。
【0059】
次にステップS203において、この図10(b)に示す状態でカット刃駆動モータ40を駆動して、カッターキャリッジ44をその一端から他端に向けて走行させる。この結果、図10(b)のラベルテープ100をその厚み方向全体にわたって切断することができる(フルカット)。
【0060】
ステップS203で切断され切り離されたラベルテープ100は、前記コロ67及び前記排出ローラ62との間で挟持された状態を維持している。
そして次にステップS204で、CPU101は排出部駆動モータ63を駆動し、前述の排出ローラ62を回転させ、ラベルテープ100を排出口9から排出する。
【0061】
テープ排出後は、ステップS205で押さえ部材駆動モータ45を駆動し、押さえ部材36を、元の図10(a)の退避位置に移動させて戻す。
前記ステップ201でNV−RAM103から読み出したパルス数だけ前記押さえ部材駆動モータ45を逆回転させることで、押さえ部材36を図10(a)の退避位置に正確に戻すことができる。ただし、退避位置を検出する特別なセンサを設けて、前記押さえ部材36が退避位置に移動したことをそのセンサが検出するまで押さえ部材駆動モータ45を駆動する構成としても構わない。
この結果、押さえ部材36と受け部材37との間に隙間が形成される。また、これと同時に前記コロ67も排出ローラ62から離間するので、再びラベルテープ100を印字して繰出可能な状態になる。以上で、フルカット処理のサブルーチンが終了する。
【0062】
〔ハーフカット処理のサブルーチン〕
次に、ハーフカット処理のサブルーチンを説明する。
ハーフカット処理のサブルーチンのフローが図14に示され、この処理では先ず、前記押さえ部材36を前述の図10(a)の退避位置から図10(c)の位置に移動させるためのパルス数を、NV−RAM103の適宜の記憶領域103Xから読み出す(S301)。
即ち、本実施形態では前述のフルカット処理の制御の場合と同様に、押さえ部材36が退避している基準位置から当該押さえ部材36を図10(c)の位置に移動させるために必要な、押さえ部材駆動モータ45に対するパルス数を、予め算出して、NV−RAM103の適宜の記憶領域103Yに記憶させてある。従って、この記憶領域103Yから読み出したパルス数だけのパルスを次のステップS302で押さえ部材駆動モータ45に送ることで、押さえ部材36を図10(c)の位置に移動させることができる。
【0063】
後はフルカット処理の場合と同様に、カット刃駆動モータ40を駆動する。カット刃35は図10(c)の状態で走行し、ラベルテープ100にハーフカットが前述のとおり施される。
なお、ハーフカット処理においては前述のとおり、切断されるのはラミネートテープ91及び二重テープ93の両面接着テープ93aであり、剥離テープ93bは切断されない(即ち、ラベルテープ100は完全には切り離されない)。従って、ラベルテープ100を排出することができないので、ハーフカット処理サブルーチンの制御においては、フルカット処理のステップS204に示すような排出部駆動モータ63の駆動(排出ローラ62の回転)は行われない。
最後に、押さえ部材36を図10(c)のハーフカット位置から(a)の退避位置に戻して(ステップS304)、サブルーチンを抜ける。以上で、ハーフカット処理のサブルーチンが終了する。
【0064】
なお、本実施形態のテープ印字装置は、テープカートリッジ10を交換することで様々な種類のラベルテープ100に印字することを可能としている。その中には、本実施の形態で説明したラベルテープ100の(ラミネートテープ91の厚み)+(二重テープ93の両面接着テープ93aの厚み)よりも、貼着ラベルとして用いられる部分(剥離テープ以外の部分)が厚かったり薄かったりする場合もある。
この場合、フルカットの場合はラベルテープの考え得る最大厚みよりも大きくなるようにカット刃35のラベルテープに対する突入深さを定めておけば問題ないが、ハーフカットの場合が問題になる。即ち、テープ印字装置1でハーフカットを行う場合には、貼着ラベルとして使用される部分(剥離テープ93b以外の部分)はカット刃35によって完全に切断されることが要求されるが、ラベルテープ100の種類が種々異なるということは、その貼着ラベルとして使用される部分の厚みも様々に異なり得ることを意味するからである。
【0065】
この点を解決するためには、本実施形態のテープ印字装置1の前記NV−RAM103に、前述のハーフカット処理サブルーチンのステップS302で押さえ部材駆動モータ45に送るべきパルス数を、テープカートリッジ10の種類に対応付けて、1対1でテーブル形式で予め保存させておけば良い。
そして、ハーフカット処理を行う際には前記ステップS301で、現在装着されているテープカートリッジの種類を前述のカートリッジ種類検出センサ70の検出結果として得てNV−RAM103前記テーブルに当てはめ、当該テープカートリッジに入っているラベルテープをハーフカットするには次のステップS302で幾つのパルスを送るべきかを、決定するのである。このようにすれば、テープカートリッジ10を交換して内部のラベルテープの厚みが種々異なった場合でも、ハーフカットを適切に行うことができる。
【0066】
〔カット刃の突出量の調整方法〕
以上に基本的な制御構成を説明したが、上述のようなテープ切断機構8はその長期間の使用に従い、カット刃35で多数のラベルテープ100を切断することによって、その刃先が徐々に損耗して丸くなってしまうことが避けられない。
この点、本実施形態のテープ切断機構8は、図10(a)の退避位置から図10(b)のフルカット位置あるいは(c)のハーフカット位置への移動を、押さえ部材駆動モータ45に対してパルスを与えることで行っている。従って、このパルス数をユーザ側で変更できるようにすることで、前述のカット刃35の刃先がある程度損耗しても、フルカットあるいはハーフカットを適切に行うことができるようになっている。
【0067】
具体的には、前記テープ印字装置1は、図12で示されるフロー制御を行う通常モードの他に、もう一つのモード(メンテナンスモード)を有している。通常モードとメンテナンスモードの切換は、前記操作キー群3の適宜のキー(例えば、「モード切替」キー)で行うようにすればよい。
このメンテナンスモードにおいては、図10(a)の退避位置から(b)あるいは(c)の切断位置に至るまでに必要なパルス数(前記ステップS202またはステップS302において押さえ部材駆動モータ45に送るパルス数)を増減できるようになっている。例えば「+」キーが押された場合はパルス数を1増加させ、「−」キーが押された場合はパルス数を1減少させる、といったようにである。
この処理は、NV−RAM103の前記記憶領域103X,103Yに記憶されているパルス数の値を読み出し、操作されたキー(「+」/「−」)に応じて当該値を増/減した後、当該記憶領域103X,103Yに上書きする形で保存すればよい。
【0068】
この構成で、例えばカット刃35が長期間の使用に伴って損耗し、ハーフカットを行う場合でも、ラミネートテープ91・両面接着テープ93aの部分(貼着ラベルとして用いられる部分)の切断が不十分になってしまったとする。
この場合はユーザは、前記「モード切替」キーを操作してテープ印字装置1をメンテナンスモードとし、「+」キーを1回から数回押せば良い。すると、NV−RAM103の前記記憶領域103X,103Yの記憶内容(即ち、前記退避位置から押さえ部材36を移動させる際に押さえ部材駆動モータ45に送るパルス数)を増加させることができる。
そして再び「モード切替」キーを操作してテープ印字装置1を通常モードとした上で、例えば「ハーフカット」キー3Hを押せば、前記ハーフカット処理サブルーチンのステップS302において、NV−RAM103の新しい記憶内容に従った数だけのパルスが、押さえ部材駆動モータ45に送られる。従って、先のメンテナンスモードにおいてパルス数を増加させた分だけ、カット刃35の突出量(ラベルテープ100に対するカット刃35の突入量)を増加させることができる。これは、パルス数をユーザが適宜調整することによって、ハーフカットの際に、ラミネートテープ91・両面接着テープ93aの厚みだけカット刃35を完全に突入させて切断できるようになることを意味する。
【0069】
本実施形態では以上に示したように、前記カット刃35に対する前記押さえ部材36の、ラベルテープ100の厚み方向における位置の変更によって、ラベルテープ100に対するカット刃35の刃先の相対位置の変更(ラベルテープ100に対するカット刃35の突入量の変更)を行うようにしている。
そしてカット刃35は、ラベルテープ100を横切る方向(図8の矢印Aの方向であって、図10における紙面垂直方向)に移動するのみで、ラベルテープ100の厚み方向(図8・図10に示す矢印Bの方向)には固定としている。即ち、カット刃35をラベルテープ100の厚み方向に移動させるのではなく、押さえ部材36を当該方向に移動させることでラベルテープ100をその厚み方向に移動させ、これによって、ラベルテープ100に対するカット刃35の突入量の変更を行うようになっている。
【0070】
従って、簡素な構成で使い勝手の良いテープ切断機構8を提供できる。
例えば、単一のカット刃35でフルカットとハーフカットを切り換えることができ、低コストかつ多機能なテープ切断機構とすることができる。
また例えば、カット刃35の損耗に応じてカット刃35の突入量の変更を行わせることができるので、カット刃35が損耗しても長期間の使用が可能になり、カット刃35交換等のメンテナンス作業の頻度も低減することができる。
また、押さえ部材36の移動によってカット刃35のラベルテープ100への突入量を変更する構成としているので、カット刃35を矢印Aの方向にも矢印Bの方向にも可動とする構成に比して、簡素な構成とできるほか、可動部分のガタつきも押さえることができ、カット刃35のガタつき等の問題も回避することができる。
【0071】
また、前記受け部材37は、前記押さえ部材36に近接する方向に、付勢バネ48によって付勢されている。
【0072】
この構成とすることで、押さえ部材36と受け部材37との間でラベルテープ100を挟んで保持した状態で押さえ部材36を受け部材37から離れる方向に移動させると、受け部材37は付勢バネ48の付勢力によって、押さえ部材36側に追従するよう移動する。また、押さえ部材36を受け部材37側に移動させると、押さえ部材36の押動を受ける受け部材37も、前記付勢バネ48の付勢力に抗して移動する。
このように、押さえ部材36と受け部材37との間でラベルテープ100を挟持した状態を保持しつつ、押さえ部材36を移動させることができるので、容易に当該ラベルテープ100の位置を前記カット刃35に対して移動させることができる。また、受け部材37側に特別の移動機構を設ける必要がないので、構成を簡素とでき、製造コストも安価にできる。
【0073】
更には、前記受け部材には、その前記カット刃35に対向する面に、前記カット刃35のシート幅方向(矢印C方向)に沿設された溝37cを設けている。
【0074】
従って、前記カット刃35は、ラベルテープ100のフルカットを実現する場合でも、その刃先は図10(b)に示すように溝37c内に位置しながらその溝の沿設方向に走行することとなって、受け部材37には接触しない。従って、受け部材37の損傷を抑えることができ、カット刃35の刃先の損耗も顕著に遅らせることができる。
【0075】
また、本実施形態では、押さえ部材36の位置の変更を、ステッピングモータたる押さえ部材駆動モータ45の駆動によって行っている。
【0076】
従って、パルス波の数を異ならせる簡易な数値制御によって、カット刃35の刃先のラベルテープ100に対する突入量を精度良く調整することができる。
【0077】
また、前記ラベルテープ100は、ラミネートテープ91と両面接着テープ93aと剥離テープ93bの三者が貼り合わされた三層構造に構成してあり、これは見方を変えれば、ラミネートテープ91と両面接着テープ93aが一体となった二層構造の粘着テープ(粘着シートに相当)と、剥離テープ(剥離紙に相当)93bと、が貼り合わされたものとみることが可能である。
そして、前記押さえ部材36は、
前記ラベルテープ100を、前記二層構造の粘着テープ(91・93a)および前記剥離テープ93bを含めて、厚み方向全体にわたって前記カット刃35で切断する、フルカットを行うための図10(b)に示す位置(第一の位置)と、
前記二層構造の粘着テープ(91・93a)を切断し、且つ前記剥離テープ93bを切断しないように前記カット刃35で切断する、ハーフカットを行うための図10(c)に示す位置(第二の位置)と、
に、配置可能であるように構成している。
【0078】
従って、カット刃35の刃先の相対位置をラベルテープ100に対し変更できるから、粘着テープ(91・93a)を切断し剥離テープ93bを切断しないハーフカットを、正確に精度良く行うことができる。この結果、例えば、粘着テープ(91・93a)の厚み方向途中までしか刃先を突入できず、当該粘着テープの切断が不十分となってしまうカットミスを回避できる。
【0079】
加えて、本実施形態のテープ切断機構8は、カット刃35の損耗などの状況に応じて、前記ラベルテープ100に対するカット刃35の刃先の相対位置を変更できるように構成している。
【0080】
従って、カット刃35が損耗しても、ラベルテープ100に対するカット刃35の突入量を適宜調整することで、フルカット/ハーフカットを適切に行うことができる。従って、カット刃35の交換などのメンテナンス作業の頻度が低減し、メンテナンスコストを低減できる。
【0081】
また、本実施形態のテープ切断機構8は、前記ラベルテープ100の種類を検出できるセンサ(カートリッジ種類検出センサ70)を備えている。そして、検出されたラベルテープ100の種類に応じて、当該ラベルテープ100に対する前記カット刃35の刃先の相対位置を変更できるように構成している。
【0082】
この結果、切断されるラベルテープ100の種類が種々異なっても適切に切断を行うことができ、汎用性に優れたテープ切断機構とすることができる。
【0083】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0084】
即ち、請求項1に示す如く、シートをカットするカット刃を備えたカッティング装置において、前記カット刃の刃先に対向して配置される受け部材と、この受け部材に前記シートを挟んで配置される押さえ部材と、を備え、前記受け部材と前記押さえ部材との間で挟持されたシートを前記カット刃でカットするように構成するとともに、前記シートに対する前記カット刃の刃先の相対位置の変更が、前記カット刃に対する前記押さえ部材の、シート厚み方向における位置の変更によって行われるので、
カット刃のシートに対する突入量の変更を押さえ部材の位置の変更によって行うことができるので、カット刃はシート厚み方向について固定とでき、カット刃のガタつきを防止できる。また、その押さえ部材の位置の変更はシート厚み方向であるから、当該位置をキメ細かく調整することで、カット刃のシートに対する突入量の多段階の調整(あるいは微調整)も可能である。
【0085】
また、請求項1に示す如く、前記受け部材は、前記押さえ部材に近接する方向に付勢されているので、
押さえ部材をシート厚み方向に移動させれば、受け部材も付勢力によって、押さえ部材に追従するようにしてシート厚み方向に移動する。従って、簡易な構成で、カット刃のシートに対する突入量を調整できる。
【0086】
請求項2に示す如く、前記受け部材の前記カット刃に対向する面に、前記カット刃のシート幅方向に沿設された中空部を設けたので、
カット刃を最大限シートに突入させる(カット刃にシートを貫通させる)場合でも、カット刃の刃先は中空部に位置し、受け部材には接触しない。従って、受け部材の損傷を抑えることができ、また、カット刃の損耗を顕著に遅らせることができる。従って、カット刃や受け部材の寿命を延ばすことができる。
【0087】
請求項3に示す如く、前記押さえ部材の位置の変更は、ステッピングモータの駆動により行われるので、
ステッピングモータに与えるパルス波の数を異ならせる簡易な数値制御によって、カット刃の刃先のシート状物に対する突入量を精度良く調整することができる。
【0088】
請求項4に示す如く、前記シートは、粘着シートと剥離紙とが貼り合わされたものであり、また、前記押さえ部材は、前記シートを厚み方向全体にわたって切断するフルカットを行うための第一の位置と、前記粘着シートを切断し、且つ前記剥離紙を切断しないように前記カット刃でカットするハーフカットを行うための第二の位置とに、配置可能であるように構成しているので、
カット刃の刃先の相対位置をシートに対して変更できるから、前記第二の位置とすることで、粘着シートを切断し剥離紙を切断しないハーフカットを正確に精度良く行うことができる。従って、例えば、粘着シートの厚み方向途中までしか刃先を突入できずに当該粘着シートの切断が不十分となってしまうハーフカットミスを回避できる。
【0089】
請求項5に示す如く、カット刃の状況に応じて、前記シートに対する前記カット刃の刃先の相対位置を変更できるように構成したので、
例えばカット刃が損耗しても、シートに対するカット刃の突入量を適宜調整することで、適切なカッティングを行うことができる。従って、カット刃の交換などのメンテナンス作業の頻度が低減し、メンテナンスコストを低減できる。
【0090】
請求項6に示す如く、前記シートの種類を検出できるセンサを備え、検出されたシートの種類に応じて、当該シートに対する前記カット刃の刃先の相対位置を変更できるように構成したので、
切断されるシートの種類が種々異なっても適切にカッティングを行うことができ、汎用性に優れたカッティング装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るテープ印字装置の全体的な構成を示した斜視図。
【図2】 蓋部を開いた状態のテープ印字装置の全体平面図。
【図3】 同じく全体側面図。
【図4】 カートリッジ装着部の構成を示す斜視図。
【図5】 同じく平面図。
【図6】 カートリッジ装着部にテープカートリッジを装着した状態を示す斜視図。
【図7】 テープカートリッジ内部でテープが繰り出される様子を示す平面図。
【図8】 テープ切断機構の全体構成を示す斜視図。
【図9】 カートリッジ装着部を下面側から見た斜視図。
【図10】 テープ切断機構において押さえ部材でラベルテープをフルカット位置/ハーフカット位置に移動させる様子を示した断面図。
【図11】 テープ印字装置のブロック図。
【図12】 テープ印字装置の制御フローのメインフロー図。
【図13】 フルカット処理のサブルーチンのフロー図。
【図14】 ハーフカット処理のサブルーチンのフロー図。
【符号の説明】
1 テープ印字装置
8 テープ切断機構(カッティング装置)
35 カット刃
36 押さえ部材
37 受け部材
37c 溝(中空部)
45 押さえ部材駆動モータ(ステッピングモータ)
70 カートリッジ種類検出センサ(シートの種類を検出するセンサ)
100 ラベルテープ(シート)
Claims (6)
- 印刷機構によって印刷が施されて走行経路を搬送されるシートを、当該印刷機構よりも下流側でカットするカッティング装置において、
前記印刷機構の下流側に前記印刷機構と近接して設けられ、前記シートの幅方向に走行することによって当該シートをカットするカット刃と、
前記カット刃の刃先に対向して配置される受け部材と、
この受け部材に前記シートを挟んで配置される押さえ部材と、を備え、
前記受け部材は、前記カット刃より上流側で前記シートを受ける第1受け面と、前記カット刃よりも下流側で前記シートを受ける第2受け面と、を備え、
前記押さえ部材は、前記第1受け面に対向する第1押さえ面と、前記第2受け面に対向する第2押さえ面と、を備え、
前記第1受け面が、前記第2受け面よりもシートの搬送方向に沿う長さが短く形成されているとともに、前記第1押さえ面が、前記第2押さえ面よりもシートの搬送方向に沿う長さが短く形成されており、
前記第1受け面と前記第1押さえ面との間、及び、前記第2受け面と前記第2押さえ面との間で、前記シートを挟持し、この状態で当該シートを前記カット刃で切断するように構成するとともに、
前記カット刃は、前記第1押さえ面と前記第2押さえ面との間に形成される間隙の中間位置よりも上流側に偏位して配置され、
前記受け部材は、前記押さえ部材に近接する方向に付勢されており、
前記シートに対する前記カット刃の刃先の相対位置の変更が、前記カット刃に対する前記押さえ部材の、シート厚み方向における位置の変更によって行われることを特徴とする、
カッティング装置。 - 請求項1に記載のカッティング装置において、
前記受け部材の前記カット刃に対向する面における、前記第1受け面と前記第2受け面との間の部分に、前記カット刃のシート幅方向に沿設された中空部を設けたことを特徴とする、カッティング装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のカッティング装置において、
前記押さえ部材の位置の変更は、ステッピングモータの駆動により行われることを特徴とする、カッティング装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のカッティング装置において、
前記シートは、粘着シートと剥離紙とが貼り合わされたものであり、
また、前記押さえ部材は、
前記シートを厚み方向全体にわたって切断するフルカットを行うための第一の位置と、
前記粘着シートを切断し、且つ前記剥離紙を切断しないように前記カット刃でカットするハーフカットを行うための第二の位置とに、配置可能であるように構成していることを特徴とする、カッティング装置。 - 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のカッティング装置において、
前記カット刃の状況に応じて、前記シートに対する前記カット刃の刃先の相対位置を変更できるように構成したことを特徴とする、カッティング装置。 - 請求項1から請求項5までの何れか一項に記載のカッティング装置において、
前記シートの種類を検出できるセンサを備え、
検出されたシートの種類に応じて、当該シートに対する前記カット刃の刃先の相対位置を変更できるように構成したことを特徴とする、カッティング装置。
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