JP4257138B2 - 音叉型水晶振動子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は小型化、高性能化、耐衝撃性、低廉化を実現する新形状の音叉型水晶振動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
音叉型水晶振動子は、腕時計、置き掛け時計、コンピューター、携帯電話、家電製品、AV機器、OA機器等の時間や周波数の基準源として大量に使用されている。このような従来の音叉型水晶振動子について、以下に図面を用いて説明する。
【0003】
図3は従来の音叉型水晶振動子を示し(a)は平面図であり、(b)はB−B’断面図であり、図4は従来の溝付き音叉型水晶振動子の音叉腕部の断面図である。
【0004】
図3(a)(b)において、音叉型水晶振動子60は左音叉腕部61右音叉腕部62及び二つの腕部を結合する基部63、二つの腕部と基部で囲まれた音叉又部64から構成されている。X,Y,Z軸は水晶の結晶軸を表している。
【0005】
左音叉腕部61の側面に設けられた側面電極65,66は、右音叉腕部62の表面及び裏面に設けられた平面電極71,72と同電位になるように接続されている。同様に右音叉腕部62の側面に設けられた側面電極69,70は、左音叉腕部61の表面及び裏面に設けられた平面電極67,68と同電位になるように接続されている(接続部は図示せず。以下図1、図2、図4も同様。)。
【0006】
交流電圧が電極を通じて音叉腕部に印加されると、矢印で示したような電界が発生する。この電界のX軸方向成分が、水晶内部で方向が反対となる。この結果それぞれの音叉腕部がその中立線の左右で伸びと縮みが起こり、左右の音叉腕部がX軸方向に逆位相で屈曲振動を行う。
【0007】
近年、携帯電話に代表される小型携帯機器の普及により、音叉型水晶振動子の小型化、高性能化、耐衝撃性、低廉化に対する強い要望がある。この実現のため、図5に示した溝付き音叉型水晶振動子が提案されている。これは左音叉腕部73の表面及び裏面の長手方向に沿って溝75,76、及び右音叉腕部74の表面及び裏面の長手方向に沿って溝77,78を設けて、左の音叉腕部に側面電極79、80と右音叉腕部に側面電極83,84及び各音叉腕部の溝に平面電極に相当する左の溝電極81,82と右の溝電極85,86を形成したものである。各電極の接続は、図3のタイプと同様に行われる。
【0008】
このような溝付き音叉型水晶振動子に交流電圧が電極を通じて音叉腕部に印加されると、矢印で示したように側面電極と溝電極間に垂直な電界が発生する。この電界はX軸方向で発生した電界そのものである。このため図3に示したタイプに比べ、電気機械変換効率が良くなり、CI値やQ値の良好な小型の音叉型水晶振動子が得られる(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0009】
上記の音叉型水晶振動子は、フォトリソグラフィー技術と化学エッチング技術により作られている。一例として、音叉型の代表的周波数である32.768kHzについて、図3に示したタイプの寸法は、全長3.5mm、全幅0.75mm、厚さ0.1mm、音叉腕の長さ2.5mm、音叉腕の幅0.25mmに対して、溝付き音叉型は、全長2.2mm、全幅0.56mm、厚さ0.2mm、音叉腕の長さ1.6mm、音叉腕の幅0.1mmと小型化されている。溝部は溝幅0.07mm、溝長さ1.3mm、溝深さ0.05mmである。尚、一枚の水晶ウエハーから溝付き音叉型水晶振動子が400個作られる。
【0010】
【特許文献1】
特開昭52−61985号公報(第7−8頁、第4図)
【特許文献2】
特開昭2002−76827号公報(第6−7頁、図2)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の溝付き音叉型水晶振動子は、溝の断面形状が長方形を有しているため、音叉腕部の溝部分の厚さは、外形部分の厚さの約半分となる。又、この薄い部分の面積は音叉腕部全体の面積の約60%を占める。このため音叉腕部の機械的強度に問題があり、衝撃や振動等の外乱を受けたとき、音叉基部側の溝部が短手方向に破損すると言う問題があった。又、溝を形成する加工工程が複雑なため、低廉化が実現できないと言う問題もあった。
【0012】
本発明の目的は、上記課題を解決しようとするもので、小型化、高性能化、耐衝撃性、低廉化に最適な音叉型水晶振動子を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の音叉型水晶振動子は、以下に記した特徴を有する。
【0014】
請求項1に係わる発明の音叉型水晶振動子は、音叉型水晶振動子において、当該振動子の音叉腕部の表面及び裏面に、横断面形状で略V型の溝を前記音叉腕部の長手方向に沿ってそれぞれ二ヶ所ずつ形成し、これら二ヶ所の略V型の溝が前記音叉腕部の中心線に対して対称位置にあることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項2に係わる発明の音叉型水晶振動子は、当該振動子の音叉腕部の表面及び裏面に、横断面形状で略V型の溝を前記音叉腕部の長手方向に沿って、いずれか一方の面で一ヶ所、他方の面で二ヶ所形成し、一ヶ所の略V型の溝は前記音叉腕部の中央部に、二ヶ所の略V型の溝は前記音叉腕部の中央線に対して対称位置にあることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の第一の実施の形態の音叉型水晶振動子を示し(a)は平面図であり、(b)はA−A’断面図であり、図2は本発明の第二の実施の形態の音叉型水晶振動子の音叉腕部の断面図である。
【0017】
図1(a)(b)の第一の実施の形態において、音叉型水晶振動子1は左音叉腕部2、右音叉腕部3及び二つの腕部を結合する基部4、二つの腕部と基部で囲まれた音叉又部5から構成されている。X,Y,Z軸は水晶の結晶軸を表している。
【0018】
左音叉腕部2の表面及び裏面には、その長手方向に沿って、横断面形状で略V型の溝6,7及び8,9が形成されている。同様に、右音叉腕部3の表面及び裏面にも、略V型の溝10,11及び12,13が形成されている。即ち、これら略V型の溝は、それぞれの音叉腕部2,3の表裏面に二ヶ所ずつあり、音叉腕部2,3の幅及び厚さの中心線に対して、対称に形成されている。これら略V型の溝は、音叉腕部2,3の肉薄部分を補強し、腕部自体の強度を上げる働きをする。なお、これらの溝の幅wは音叉又部の幅Wより狭く作られている。
【0019】
左音叉腕部2の側面に設けられた側面電極14,15は、右音叉腕部3の表面の略V型の溝10,11とその間の平面部に設けられた溝電極20及び裏面の略V型の溝12,13とその間の平面部に設けられた溝電極21と同電位になるように接続されている。
【0020】
同様に右音叉腕部3の側面電極16,17は、左音叉腕部2の表面の略V型の溝6,7とその間の平面部に設けられた溝電極18及び裏面の略V型の溝8,9とその間の平面部に設けられた溝電極19と同電位になるように接続されている。
【0021】
交流電圧が電極を通じて音叉腕部に印加されると、矢印で示したように左腕部2の側面電極14,15と溝電極18,19間、及び右腕部3の側面電極16,17と溝電極20,21間に垂直な電界が発生する。これらの電界は、溝付き音叉型と同様にX軸方向で発生した電界そのものである。この結果、電気機械変換効率が良くなり、CI値やQ値の良好な小型の音叉型水晶振動子が得られた。
【0022】
又、略V型の溝を有しているため、従来構造の溝付き音叉型水晶振動子に比べ、音叉腕部の肉薄部分が減少して、音叉腕部の機械的強度が向上し、衝撃や振動等による破損がなくなり、耐衝撃性が大幅に改善された。さらに、V型の溝加工と音叉形状加工を同時に行えるので、工程が単純化され、低廉化が実現できた。
【0023】
図2の第二の実施の形態において、左音叉腕部22の表面及び裏面の電極形成域には、その長手方向に沿って、横断面形状で略V型の溝23が表面側に、同溝24,25が裏面側に形成されている。同様に右音叉腕部26の表面及び裏面の電極形成域にも、その長手方向に沿って、横断面形状で略V型の溝27が表面側に、同溝28,29が裏面側に形成されている。これらの溝は、表面側に二ヶ所、裏面側に一ヶ所でも良い。尚、一ヶ所の溝は、音叉腕部中央部に、二ヶ所の溝は、音叉腕部中心線に対して対称に形成されている。
【0024】
左音叉腕部22の側面に設けられた側面電極37,30は、右音叉腕部26に設けられた溝電極35,36と同電位になるように接続されている。同様に右音叉腕部26の側面に設けられた側面電極33,34は、左音叉腕部22に設けられた溝電極31,32と同電位になるよう接続されている。これにより、矢印で示したように垂直電界を発生させることができる。尚、この第二の実施の形態における略V型の溝幅も、音叉又部の幅より狭く作られている。この第二の実施の形態においても、垂直電界が得られると共に音叉腕部の機械的強度が向上した。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、音叉型水晶振動子において、当該振動子は、音叉腕部の表面及び裏面に、その長手方向に沿って、横断面形状で略V型の溝を請求項1では二ヶ所ずつ、請求項2では一方面側が一カ所、他方面側が二ヶ所それぞれ特定位置に形成することにより、垂直電界が得られると共に音叉腕部の機械的強度が向上し、加工工程も単純化された。この結果、小型で高性能、高耐衝撃性、低廉化の音叉型水晶振動子が実現でき、本発明の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の音叉型水晶振動子の第一の実施の形態を示し、(a)は平面図(b)は断面図である。
【図2】 本発明の音叉型水晶振動子の第二の実施の形態を示す音叉腕部の断面図である。
【図3】 従来の音叉型水晶振動子を示し、(a)は平面図(b)は断面図である。
【図4】 従来の溝付き音叉型水晶振動子を示す音叉腕部の断面図である。
【符号の説明】
1 音叉型水晶振動子
2 左音叉腕部
3 右音叉腕部
4 基部
5 音叉又部
6、7、8、9、10、11、12、13 略V型の溝
23、24、25、27、28、29 略V型の溝
14、15、16、17 側面電極
37、30、33、34 側面電極
18、19、20、21 溝電極
31、32、35、36 溝電極
Claims (2)
- 音叉型水晶振動子において、当該振動子の音叉腕部の表面及び裏面に、横断面形状で略V型の溝を前記音叉腕部の長手方向に沿ってそれぞれ二ヶ所ずつ形成し、これら二ヶ所の略V型の溝が前記音叉腕部の中心線に対して対称位置にあることを特徴とする音叉型水晶振動子。
- 音叉型水晶振動子において、当該振動子の音叉腕部の表面及び裏面に、横断面形状で略V型の溝を前記音叉腕部の長手方向に沿っていずれか一方の面で一ヶ所、他方の面で二ヶ所形成し、一ヶ所の略V型の溝は前記音叉腕部の中央部に、二ヶ所の略V型の溝は前記音叉腕部の中央線に対して対称位置にあることを特徴とする音叉型水晶振動子。
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