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JP4255865B2 - 非接触三次元形状測定方法及び装置 - Google Patents

非接触三次元形状測定方法及び装置 Download PDF

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JP4255865B2 JP2004071128A JP2004071128A JP4255865B2 JP 4255865 B2 JP4255865 B2 JP 4255865B2 JP 2004071128 A JP2004071128 A JP 2004071128A JP 2004071128 A JP2004071128 A JP 2004071128A JP 4255865 B2 JP4255865 B2 JP 4255865B2
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Description

本発明は、非接触三次元形状測定方法及び装置に係り、特に、デザイン形状のデジタル化によるCADへの展開や、試作・量産部品の形状精度評価(リバースエンジニアリング)のための非接触デジタイザに用いるのに好適な、実物大の自動車等の大きな測定範囲の三次元形状を、非接触で短時間に測定することが可能な、位相をシフトさせつつ測定対象に投影した格子パターンを、投影方向とは別の方向から観測することにより、測定対象の形状に応じて変形した格子像のコントラストを解析することで形状を得るようにした非接触三次元形状測定方法及び装置に関する。
三次元形状を非接触で短時間に測定する技術として、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されたような、測定対象に格子状のパターンを投影し、測定対象各部の高さ分布に応じて変形した格子像から三次元形状を測定する、モアレトポグラフィを利用したモアレ法がある。このモアレ法には、図1に示す如く、投影用と観察用の2枚の格子G1、G2を投影レンズL1と撮像レンズL2の手前に配置し、格子G1をレンズL1により測定対象に投影し、物体形状に応じて変形した格子線をレンズL2を通じてもう一つの格子G2上に結像させ、縞等高線を基準面から所定距離h1、h2、h3、…、の所に生じさせるようにした格子撮影型と、図2に示す如く、基準面に1枚の大きな格子Gを配置し、投影レンズL1の位置に点光源S、撮像レンズL2の位置に観察眼eを配置して、格子Gの光源Sによる影を測定対象上に落し、物体形状に応じて変形した格子Gの影を形成させ、これを格子Gを通して観察眼eにより観察することにより、この格子Gと変形した格子の影とによって生じるモアレ縞を観測するようにした実体格子型がある。更に、特許文献4には、実体格子型のモアレ法に対して位相シフト法を適用可能とすることが記載されている。
一方、非特許文献1には、図3に示すような、格子パターン投影に位相シフトを組合せた非接触形状測定方法が記載されている。
これは、次に示すような手順で形状を測定する。
(1)例えば照明ランプ10を用いて、投影レンズ14の手前に配置された格子フィルタ12を照明することにより、撮像光学系(撮像レンズ20)の焦点位置とは異なる位置から格子パターンを測定ワーク8に投影する。
(2)格子シフト機構16により、格子フィルタ12を矢印Aに示す横方向に移動(位相シフト)させ、撮像レンズ20を介して撮像素子22で得られる画像のピクセルの濃淡変化を正弦波形状にする。
(3)等間隔の位相シフト量毎に、複数枚撮像する。
(4)各画素の位相及びコントラストを計算する。
(5)測定ワーク8の位置を高さ方向(あるいは焦点方向等)へステップ移動して、(2)〜(4)を繰り返す。測定ワーク8の位置は最低2回移動する。
(6)各画素の最大コントラストをとる合焦位置を求め、縞次数を求める。
(7)各画素の最大コントラストのときの位相を選択し、位相分布を求める。
(8)基準位相との位相差を計算する。
(9)位相差と縞次数を用いて奥行き方向の距離(高さ)を計算する。
特開平10−246612号公報 米国特許第5175601号明細書 米国特許第5319445号明細書 特開2002−267429号公報 殿岡 雅仁他6名、「格子パターン投影法を用いた位相及びコントラスト検出による表面形状計測」、精密工学会誌、社団法人精密工学会、平成12年1月、第66巻第1号、p132−136
しかしながら特許文献1〜4では、図4のように、位相が2π変化する毎に同じ出力が繰返されるため、位相シフトのみでは、投影された格子の何番目のラインが映っているかを特定できず、縞の次数を決定できない。従って、測定範囲がA、B、C、D、…、のいずれかに限定され、測定範囲を1縞の次数以内にすると、格子間隔が広くなり、測定精度が落ちる。逆に格子間隔を小さくし、高精度を確保しようとすると、奥行き方向の測定範囲が小さくなる。又、ピントが合っているピクセルに比べて、ピントがボケているピクセルは測定精度が悪くなる等の問題点を有していた。
一方、非特許文献1では、測定のステップ数が少ない場合は、最大コントラストを求める際に行うガウス関数のフィッティング時に誤差が発生するので、ステップとステップの間に位置する点の精度が落ちる。移動回数を増やすことで、この誤差は減少できるが、測定時間の増大を伴う。また、測定ワークを動かす、あるいは照明光学系、撮像光学系を動かすため、装置が複雑になる。更に、奥行き方向の測定範囲は、ステップ数を増やすことで広げることはできるが、測定時間、装置面の制約がある等の問題点を有していた。
本発明は、前記従来の問題を解決するべくなされたもので、小型化可能な単純な構成で、奥行き方向の測定範囲を拡大して、測定範囲の全体に亘って、高精度測定を実現することを課題とする。
本発明は、位相をシフトさせつつ測定対象に投影した格子パターンを、投影方向とは別の方向から観測することにより、測定対象の形状に応じた変形した格子像のコントラストを解析することで形状を得るようにした非接触三次元形状測定方法において、位相と同時に投影側と撮像側のフォーカスを連続的にシフトさせ、奥行き方向の測定範囲を拡大するようにして、前記課題を解決したものである。
本発明は、又、位相をシフトさせつつ測定対象に投影した格子パターンを、投影方向とは別の方向から観測することにより、測定対象の形状に応じた変形した格子像のコントラストを解析することで形状を得るようにした非接触三次元形状測定装置において、フォーカスと位相をシフトさせながら、測定対象に格子パターンを投影する手段と、フォーカスをシフトさせながら測定対象に投影されたパターンの画像データを入力する手段と、入力された画像データを処理して、三次元マップを作成する手段とを備えることにより、同じく前記課題を解決したものである。
又、前記三次元マップを作成する手段が、フォーカス中心から縞次数を決定して、位相をアンラップし、位相の絶対値を計算する手段と、縞次数の格子面と撮像点のエピポーララインの交点の三次元位置を計算する手段とを含むようにしたものである。
更に、投影光学系と撮像光学系の歪み(ディストーション)を補正する手段を備えるようにしたものである。
又、投影光学系と撮像光学系を一つのシフト機構に搭載して、Z軸方向に駆動するようにしたものである。
本発明においては、格子の縞次数の決定を可能にし、高精度のまま奥行き方向の測定範囲を広げるため、フォーカスシフトを組合わせる。
本発明によれば、格子パターンの縞次数をフォーカス中心から求め、位相をアンラップし、奥行き(Z)方向の絶対値を求めると共に、フォーカスを連続的にシフトさせているので、高精度を維持しつつ、奥行き方向の測定範囲が飛躍的に拡大する。しかも、ピクセル毎にフォーカスが合ったときの位相から三次元座標値を計算するので、全ての測定点にピントが合った状態で座標値を求めることができ、XY方向も高精度に測定できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明を実施するための装置の全体構成を図5に示す。
本実施形態は、図3に示した従来例と同様の装置において、更に、格子フィルタ12を矢印Aで示す横方向に一定速度で移動させる格子シフト機構16ごと、格子フィルタ12を矢印Bで示す前後方向に一定速度で移動させるための第1のフォーカスシフト機構18と、カメラ等の撮像素子22を同じく矢印Bで示す前後方向に一定速度で移動させるための第2のフォーカスシフト機構24とを設けると共に、フォーカスをシフトしてもピクセルに写っている測定ワーク8上の撮像点が変化しないように、投影レンズ15及び撮像レンズ21を、いずれも像側テレセントリック光学系としたものである。
前記格子フィルタ12用の第1のフォーカスシフト機構18と、撮像素子22用の第2のフォーカスシフト機構24は、同期して移動するように制御される。
前記格子フィルタ12の位相シフト量に対応して、撮像素子22の撮像タイミングが決定される。この撮像タイミングに合わせて、照明ランプ10が点灯される。該照明ランプ10としては、例えばキセノンフラッシュやハロゲンランプが用いられる。
本発明に係る処理は、図6に示すような手順に従って行なわれる。即ち、まずステップ100で、一定速度でフォーカスと位相をシフトさせながら、連続的に測定ワーク8の画像データを入力する。あるピクセルの濃淡波形の例を図7に示す。データ入力時間は、例えば30fpsのカメラ(撮像素子22)で128枚撮像するとして、4.3秒である。ここで、横軸の時間tは、撮像枚数に対応している。
次いでステップ200に進み、入力したデータを計算機内で処理して、三次元マップを作成する。即ち、フォーカス中心と位相は、図8に示すような関係にあるので、ステップ210で、フォーカス中心から縞次数を決定して、0〜2π→0〜nπへ位相接続(アンラップと称する)し、位相の絶対値を計算する。又、図9に示す如く、縞次数の格子面と、撮像面のエピポーララインは、カメラロケーション、焦点距離、画像中心等の既知のパラメータと、ステップ210で求めた絶対位相から求まるので、ステップ220で、その交点の三次元位置を、画面座標(u,v)の撮像点の三次元位置として計算する。これを画像全体にわたって計算することで、三次元マップを作成する。
前出ステップ100における画像データ入力は、具体的には、図10に示す手順により行なわれる。即ち、まずステップ102で、投影光学系と撮像光学系のフォーカスシフト機構18、24を初期位置へ移動させる。
次いでステップ104で、照明ランプ10を点灯させ、格子フィルタ12のパターンを測定ワーク8上に投影する。
次いでステップ106で、投影光学系と撮像光学系のフォーカスシフト機構18、24を、次式に示す如く、一定速度Vで移動させる。
f=V*t+z0 …(1)
次いでステップ108に進み、格子シフト機構16を、次式に示す如く、一定速度ωで移動させる。
φ=ω*t+φ0 …(2)
次いでステップ110に進み、必要な撮像枚数Kに到達したか否かを判定する。撮影枚数iがKに到達したときは、そのまま、この手順を終了する。
一方、撮像枚数iが必要撮像枚数Kより小さい場合には、ステップ112に進んで撮像し、ステップ114で計算機のメモリへ画像を転送し、ステップ116で、格子の位相が所定値2π/n進むまで待つ。
前出ステップ200における三次元マップ作成に際しては、図11に示すように、画像の全画素について、左上隅の画素を(u、v)=(0,0)として、まずv=0,すなわち1行目の画素について、左端のu=0よりu=wまで、濃淡波形の抽出から三次元位置(4)の計算までを実施し、次にv=1の行について、上記処理を実施、最後のv=hの行まで同様に繰り返し実施し、画像の全画素の三次元位置の計算が終了する。
具体的には、図12に示す如く、ステップ250で画像座標の濃淡波形を抽出した後、ステップ260に進み、濃淡波形のオフセット成分と揺らぎ成分を除去する。このステップ260における濃淡波形のオフセット成分と揺らぎ成分の除去は、濃淡波形のオフセット成分を排除すると共に、ピンボケによるワーク撮像点近傍からの反射光の入射や、周辺環境の照明変化によるオフセット成分の揺らぎを排除するために行なう。但し、揺らぎの変化は、位相シフトによる濃淡変化より、十分緩やかであるとする。
具体的には、図13に示す如く、ステップ262で濃淡波形の微分波形を計算することによって、オフセットと揺らぎ成分を除去できる。即ち、撮像枚数がi番目の画像座標(u,v)の濃淡波形を次式
Gi=A(i)sin{(2πi/n)+φ}+B+ε(i) …(3)
(但し、A(i)=波形の振幅変動、B=オフセット、ε(i)=揺らぎ成分)
で表わすと、微分波形は次式となり、オフセットと揺らぎ成分を除去できる。
Figure 0004255865
又、離散データを微分するため、微分波形はπ/nだけ位相が進む。
なお、ステップ260の濃淡波形のオフセット成分と揺らぎ成分の除去は、図14に示す変形例の如く、ステップ264で、ある位相シフト量での濃淡波形のオフセット値を、その近傍(前後)±πの濃淡値の平均値として除去することも可能である。
即ち、画像座標(u,v)の濃淡波形を、前出(3)式で、表すと、iにおけるオフセット+揺らぎ成分B+ε(i)は、次の(4a)式となり、オフセットと揺らぎ成分を除去した濃淡波形gi は、次の(4b)式となる。
Figure 0004255865
この場合、除去後の濃淡波形の位相は、ずれない。
図12のステップ260終了後、ステップ270に進み、フォーカス中心(図8の(1))を計算する。このステップ270におけるフォーカス中心の計算は、縞次数を決定するべく、フォーカスが合っているZ軸方向の奥行きを計算するために行なわれる。即ち、格子投影の位相シフトピッチが、2π/n(但しnは整数)とすると、nデータおきの濃淡変化は、フォーカスのコントラスト曲線となり、コントラスト曲線の頂点、即ち、濃淡値が最大となる位置がフォーカス中心となる。従って、コントラスト曲線を正規分布曲線と見なし、統計計算で頂点を求めることができる。
具体的な処理手順を図15に示す。ここでは、nデータおきの濃淡変化の曲線(j本の抽出波形)の2乗波形それぞれについて、度数平均値を求め、抽出波形の山の高さに対応した係数(面積比)による重み係数を付けて平均して求める。
図12のステップ270終了後、ステップ290に進み、フォーカス中心の位相(図8の(2))(−π〜π)を計算する。このステップ290における位相計算は、格子パターン投影の縞の位相を計算するために行なわれる。ここで、フォーカスからずれたところの波形は、撮像点近傍の反射光が混入しているため、フォーカス中心に近いデータの重みを大きくして、位相を求めることができる。
即ち、格子パターン投影の位相シフトピッチが2π/n(但しnは整数)とすると、nデータおきの微分波形値は正規分布曲線となり、位相2πi/n(但しi=0,1,…,n−1)におけるフォーカシングのコントラスト曲線を表わす。又、各位相のコントラスト曲線は、フォーカス中心の頂点の高さに比例する。更に、コントラスト曲線と濃淡値の中央ラインで囲まれる面積(≒nデータおきの微分波形値の総和)が、コントラスト曲線の頂点の高さに比例する。そこで、図16に具体的な処理手順を示す如く、ステップ292で求めたマザーウェーブmjと積算し、ステップ300でフーリエ積分することによって、位相を求める。即ち、π/8〜(15π)/8まで、π/4毎に8つの位相のコントラスト曲線があるので、その各曲線と濃淡値の中央ラインにより囲まれる面積を求め、図17のように各位相の区間の面積により形成される正弦波を求める(フーリエ積分)。そして、マザーウェーブとこの正弦波の位相差をφとして求める。これを、全画素(u,v)について行う。
図12のステップ290終了後、ステップ310に進み、位相をアンラップし、フォーカス中心に最も近い縞次数の位相として絶対位相(図8の(3))を計算する。このステップ310における位相のアンラップは、フォーカス中心に最も近い縞を求め、絶対位相を計算するために行なわれる。具体的な処理手順を図18に示す。即ち、図8の(2)で、左端から数えて、格子のどの縞次数に当たるかを計算する。従って、ステップ322のφfocusは、アンラップのおおよその値(アンラップの位相に近い値)になる。又、ステップ324中の式において、exp(iφ)は、−π〜+πの間の正確な位相であり、右辺第2項は、角度(φ−φfocusの端数角)を求め、
φfocus=(2π×次数)+φfocusの端数角
であるので、
φunwrap=(2π×次数)+φ
により正確な位相が求められる。
図12のステップ310終了後、ステップ330に進み、実際の点Piの三次元位置(図8の(4))を計算して、ステップ240に戻る。このステップ330における三次元位置の計算は、撮像している点の三次元位置を計算するために行なわれる。具体的な処理手順を図19に示す。
図6のステップ220で三次元位置を計算する際に、必要であれば、ステップ400で測定ヘッドの歪み(ディストーション)補正を行なって、高精度化を図る。
具体的には、投影光学系と撮像光学系は、図20に示すような歪みを持っているため、この歪みを考慮したカメラモデル式で補正する。
予め既知の格子パターンを撮影することによって得られた歪み座標(udist,vdist)から元のピンホール座標(xpin,ypin)を求めるためのカメラモデル式の例を次に示す。
dist=(udist−u0)/fu、ydist=(vdist−v0)/fv …(5)
pin=xdist+(g1+g3)xdist 2+g4distdist
+g1dist 2+(k12+k24)xdist …(6)
pin=xdist+g2dist 2+g3distdist
+(g2+g4)ydist 2+(k12+k24)ydist…(7)
但し、r2=xdist 2+ydist 2
一方、投影レンズによる歪みを補正するために、ピンホール座標(xpin,ypin)から歪み座標(udist,vdist)を求める計算は、ニュートン法による収束計算で求めることができる。具体的には次のようにして行なう。
(1)初期値設定
(xdist,ydist)=(xpin,ypin) …(8)
(2)誤差計算
歪み座標(xdist,ydist)を仮のピンホール座標(xtemp,ytemp)へ変換し、求めたいピンホール座標との誤差(xerr,yerr)を計算する。
(xerr,yerr)=(xtemp,ytemp)−(xpin,ypin) …(9)
(3)修正量計算
(∂xpin/∂xdist)=1+2(g1+g3)xdist+g4dist
+k1(3xdist 2+ydist 2)+k2(5xdist 4+6xdist 2dist 2+ydist 4
…(10)
(∂xpin/∂ydist)=g4dist+2g1dist+2k1distdist
+4k2(xdist 3dist+xdistdist 3) …(11)
(∂ypin/∂xdist)=2g2dist+g3dist+2k1distdist
+4k2(xdist 3dist+xdistdist 3) …(12)
(∂ypin/∂ydist)=1+g3dist+2(g2+g4)ydist
+k1(xdist 2+3ydist 2)+k2(xdist 4+6xdist 2dist 2+5ydist 4
…(13)
Figure 0004255865
ただし、第2項による影響量は小さいことより、及び計算量を少なくするため、第2項を省略して、以下により計算してもよい。
(4)歪み座標の修正
(xdist,ydist)=(xdist,ydist)−(xdiff,ydiff) …(16)
(5)収束判定
例えば(xdiff<ε)、且つ(ydiff<ε)であれば収束計算を終了させる。そうでなければ、(2)に戻って座標を修正する。
ここで、fu、fvは焦点距離(X軸、Y軸)、u0、v0は画像中心を表わす線形パラメータ、k1、k2はラジアル方向の歪み係数、g0、g1、g2、g3は、直交方向の歪み係数を表わす歪みパラメータである。
発明者の実験によれば、前記カメラモデルでε=1×e-8の場合、平均1.5回、最大6回程度で収束する。
なお、歪み補正に関しては、次の文献に詳しく記載されている。
Juyang Weng,”Camera Calibration with Distortion Models and Accuracy Evaluation”IEEE Trans.Patt.Anal.Maching Intell.vol.14,no.4,pp965−980
Zhengyou Zhang,”AFlexible New Technique for Camera Calibration”Dec.2.1998,MSR−TR−98−71
なお、図19のステップ342〜354で、Newton−Raphson法により収束計算を行なっているのは、歪みが非線形であるので、その影響を除くためである。
このようにして、レンズ光学系とシフト機構系の歪みを補正することにより、XY方向の測定精度を高めることができる。なお、用途によっては歪みの補正を省略することもできる。
具体的な実施例のシステム構成を図21に示す。
本実施例は、格子パターンを投影する投影部、及び、異なる視点から撮像する撮像部を持つ測定ヘッド40と、撮像した画像データから三次元マップを計算する計算機(PC)50と、これらを接続するケーブル60とを含んで構成されている。
前記測定ヘッド40は、具体的には、図22(上から見た断面図)及び図23(図22のXXIII−XXIII線に沿う横断面図)に示す如く、格子フィルタ12を一定速度で移動させる格子シフト機構16と、格子パターンを投影するための照明ランプ10と、投影された格子パターンを撮像するための撮像素子(カメラ)22と、投影光学系のフォーカスを一定速度で移動させる第1のフォーカスシフト機構18と、撮像光学系のフォーカスを一定速度で移動させる第2のフォーカスシフト機構24と、フォーカスをシフトしても、ピクセルに写っているワーク上の撮像点が変化しないような、像側テレセントリック光学系を持つ投影レンズ15B、及び、撮像レンズ21と、格子フィルタ12のシフト量を検出して、カメラ22へ撮像タイミング信号を生成するカメラ制御ボード42と、格子シフト機構16の駆動装置とフォーカスシフト機構18、24の駆動装置を、同期させて移動させる制御回路(図示省略)と、撮像するときに照明ランプ10を点灯させるプロジェクタ制御ボード44とを備えている。図において、46は例えば手動の絞り、48は冷却ファンである。
ここで投影光学系(15)及び撮像光学系(21)を像側テレセントリックとしているのは、フォーカスをシフトしても、ピクセルに写っている測定ワーク8上の撮像点が変化しないようにするためである。
前記計算機50は、測定ヘッド40の撮像素子22から入力した画像をキャプチャするフレームグラバ52と、測定ヘッド40のシフト機構16、18、24を制御するモーション制御ボード54と、測定ヘッド40を制御するための、フォーカスと位相を同時にシフトさせながら、連続画像を入力し、計算機50のメインメモリへ転送する機能、測定ヘッド40の測定範囲に相当する画像をライブ表示する機能、及び、測定の奥行き範囲を設定する機能を有するソフトウェア(図示省略)と、三次元マップを作成するための、フォーカスシフトにより振幅が変動する濃淡波形から、フォーカス中心を計算する機能、フォーカス中心付近の濃淡波形の位相を計算する機能、フォーカス中心データを使って位相をアンラップする機能、光学系の歪みを考慮して、画像上の座標を補正する機能、撮像素子22のピクセルを起点とするエピポーララインと、格子パターン投影の格子面の交点を求め、ピクセルに投影されている三次元位置を計算する機能、画像データが正常に入力できたことを確認できるように、入力した連続画像を再生する機能、作成した三次元マップを表示する機能、及び、三次元マップの点群データを、IGESなどのCADフォーマットで保存する機能を有するソフトウェア(図示省略)を備えている。
本実施例により測定ワーク(ここでは自動車)8を測定している様子を図24に示す。
以下、撮像枚数を128枚とし、投影側と撮像側の間隔を500mmに設定した測定例を説明する。ここで、間隔を広くすると、縞次数間が狭まり、分解能が上がる。今、測定ワーク8が図25に示すような形状の実物大の自動車であり、測定範囲がX方向4000mm×Y方向3000mm×Z方向2000mm、ワーク中心迄の距離が4800mm、画像サイズが320×240ピクセルであったとすると、焦点深度が無限大のピンホール光学系のときは、図26に示すように、手前から奥まではっきりと格子パターンが投影され、撮像される。一方、実際の光学系は、焦点深度が有限であるので、図27のように、焦点位置によって格子パターンの投影範囲が制限される。
次に、三次元マップを作成する過程を図28乃至図31に示す。今、フォーカス中心画像のみから求めた三次元マップが、フルスケールの奥行き表現で図28(a)、200mmピッチの奥行き表現で図28(b)に示す如くであった場合、位相画像は図29、アンラップ位相画像は図30に示す如くとなり、最終的に得られる三次元マップ画像は、フルスケールの奥行き表現で図31(a)、200mmピッチの奥行き表現で図31(b)に示す如くとなる。図では分かり難いが、特に200mmピッチの奥行き表現の場合、図31(b)は図28(b)に比べて滑らかな形状が得られていることは明らかである。
実機を想定したノイズ成分を付加したデータの測定結果の誤差を図30に示す。タイヤは光が返ってこないため、ノイズに埋もれて低精度となっているが、他の部分については高精度な測定結果が得られている。
なお、前記実施例では自動車が測定対象とされていたが、測定対象の種類は、これに限定されない。光源も、キセノンフラッシュやハロゲンランプに限定されない。
次に、画像測定機での実施例について説明する。この実施例は、(1)画像測定機の撮像光学系(測定光学系)はそのまま使用して、投影光学系を追加する、あるいは、(2)画像測定機の撮像光学系を使用せずに、図33に示す如く、撮像光学系及び投影光学系が組み込まれた測定ヘッド40を画像測定機のZ軸へ、上記画像測定機の撮像光学系と並列に取り付け、格子シフト及びフォーカスシフトを画像測定機のZ軸駆動により行う方法がある。
図33の実施例では、格子シフト機構とフォーカスシフト機構は、Z軸方向のガイド機構60で代用できる。フォーカスシフトは、現行の画像測定機と同様に測定ヘッド40自体がZ軸方向に上下して行う。格子パターンは斜めから投影されるので、測定ヘッド40が上下することで、測定ワーク8へ投影される格子パターンが移動し、位相シフトされる。フォーカスシフト速度と位相シフト速度は、投影光学系の角度の調節か、格子間隔の調節で、設定する。
図において、6は測定ワーク8が載置されているステージ、11は発光素子、15、21はそれぞれ両側テレセントリックの投影レンズ及び撮像レンズ、45は照明制御回路、62はZ軸ガイド機構の送りモータ、64は該送りモータ62を制御するためのモーション制御ユニットである。
(2)の方法であると、画像測定機に限らず、三次元測定機(Z軸がモータで、一定速で駆動できるタイプの三次元測定機)にも取り付けて使用することができる。いずれの場合も、格子パターンが斜めから投影されるため、Z軸方向の移動のみで良い。
又、前記説明では、格子シフト機構及びフォーカスシフト機構が、いずれも一定速度で移動するようにされていたが、シフト位置が把握できれば、一定速度で移動しなくても良い。
従来の格子投影型モアレ法の測定原理を示す光路図 従来の実体格子型モアレ法の測定原理を示す光路図 従来の格子パターン投影+位相シフトによる非接触形状測定法の原理を示す斜視図 同じく光路図 本発明の測定原理を示す斜視図 本発明による測定の手順を示す流れ図 本発明における、あるピクセルの濃淡波形の例を示すタイムチャート 同じくフォーカスと位相の関係を示す光路図 同じく格子面とエピポーララインの交点を示す斜視図 同じく画像データ入力の手順を示す流れ図 同じく画素の走査方法を示す図 同じく三次元マップ作成の手順を示す流れ図 同じくオフセット成分と揺らぎ成分の除去の手順の一例を示す流れ図 同じくオフセット成分と揺らぎ成分の除去の手順の他の例を示す流れ図 同じくフォーカス中心計算の手順を示す流れ図 同じく位相計算の手順を示す流れ図 同じく詳細を示す図 同じく位相のアンラップの手順を示す流れ図 同じく三次元位置計算の手順を示す流れ図 同じく歪み補正の原理を示す斜視図 具体的な実施例のシステム構成を示す図 実施例で用いた測定ヘッドの構成を示す断面図 図21のXXIII−XXIII線に沿う横断面図 実施例における測定の様子を示す斜視図 測定ワークを示す図 焦点深度が無限大のピンホール光学系を用いたときの格子投影画像を示す図 実際の光学系の格子投影画像を示す図 三次元マップを作成する過程のフォーカス中心画像を示す図 同じく位相画像を示す図 同じくアンラップ位相画像を示す図 同じく三次元マップ画像の例を示す図 同じく誤差分布画像の例を示す図 画像測定機に搭載した実施例の構成を示す図
符号の説明
6…ステージ
8…測定ワーク
10…照明ランプ
11…発光素子
12…格子フィルタ
15、15A、15B…投影レンズ
16…格子シフト機構
18、24…フォーカスシフト機構
21…撮像レンズ
22…撮像素子
40…測定ヘッド
50…計算機(PC)
60…Z軸ガイド機構
62…送りモータ

Claims (21)

  1. 位相をシフトさせつつ測定対象に投影した格子パターンを、投影方向とは別の方向から観測することにより、測定対象の形状に応じた変形した格子像のコントラストを解析することで形状を得るようにした非接触三次元形状測定方法において、
    位相と同時に投影側と撮像側のフォーカスを連続的にシフトさせて、奥行き方向の測定範囲を拡大したことを特徴とする非接触三次元形状測定方法。
  2. 一定速度でフォーカスと位相をシフトさせながら、連続的に前記測定対象の画像データを入力するステップと、
    入力したデータを計算機内で処理して、三次元マップを作成するステップと
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の非接触三次元形状測定方法。
  3. 前記三次元マップを作成するステップが、
    フォーカス中心から縞次数を決定して、位相をアンラップし、位相の絶対値を計算するステップと、
    縞次数の格子面と撮像点のエピポーララインの交点の三次元位置を計算するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項2に記載の非接触三次元形状測定方法。
  4. 前記三次元マップを作成するステップが、更に、
    画像座標の濃淡波形を抽出するステップと、
    該濃淡波形のオフセット成分と揺らぎ成分を除去するステップと、
    フォーカス中心を計算するステップと、
    フォーカス中心の位相を計算するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項3に記載の非接触三次元形状測定方法。
  5. 前記濃淡波形のオフセット成分と揺らぎ成分を除去するステップが、濃淡波形の微分波形を計算するものであることを特徴とする請求項4に記載の非接触三次元形状測定方法。
  6. 前記濃淡波形のオフセット成分と揺らぎ成分を除去するステップが、前記濃淡波形のある位相シフト量近傍±πの濃淡値を平均するものであることを特徴とする請求項4に記載の非接触三次元形状測定方法。
  7. 前記フォーカス中心を計算するステップが、nデータおきの濃淡変化の曲線の2乗波形それぞれについて、度数平均値を求め、抽出波形の山の高さに対応した係数による重み係数を付けて平均して求めるものであることを特徴とする請求項4に記載の非接触三次元形状測定方法。
  8. 前記フォーカス中心の位相を計算するステップが、マザーウェーブと積算し、フーリエ積分することによって、位相を求めるものであることを特徴とする請求項4に記載の非接触三次元形状測定方法。
  9. 位相をシフトさせつつ測定対象に投影した格子パターンを、投影方向とは別の方向から観測することにより、測定対象の形状に応じた変形した格子像のコントラストを解析することで形状を得るようにした非接触三次元形状測定装置において、
    フォーカスと位相をシフトさせながら、測定対象に格子パターンを投影する手段と、
    フォーカスをシフトさせながら測定対象に投影されたパターンの画像データを入力する手段と、
    入力された画像データを処理して、三次元マップを作成する手段と、
    を備えたことを特徴とする非接触三次元形状測定装置。
  10. 前記三次元マップを作成する手段が、
    フォーカス中心から縞次数を決定して、位相をアンラップし、位相の絶対値を計算する手段と、
    縞次数の格子面と撮像点のエピポーララインの交点の三次元位置を計算する手段と、
    を含むことを特徴とする請求項9に記載の非接触三次元形状測定装置。
  11. 投影光学系と撮像光学系の歪みを補正する手段を更に備えたことを特徴とする請求項9に記載の非接触三次元形状測定装置。
  12. 投影光学系と撮像光学系が一つのシフト機構に搭載され、Z軸方向に駆動されることを特徴とする請求項9に記載の非接触三次元形状測定装置。
  13. 前記パターン投影手段が、
    格子フィルタを横方向に移動させる格子シフト機構と、
    該格子シフト機構ごと、格子フィルタを前後方向に移動させる第1のフォーカスシフト機構と、
    を含むことを特徴とする請求項9に記載の非接触三次元形状測定装置。
  14. 前記画像データ入力手段が、
    撮像素子を前後方向に移動させる第2のフォーカスシフト機構を含むことを特徴とする請求項9に記載の非接触三次元形状測定装置。
  15. 前記パターン投影手段の投影レンズと、前記画像データ入力手段の撮像レンズが、いずれも像側テレセントリック光学系とされていることを特徴とする請求項9に記載の非接触三次元形状測定装置。
  16. 前記パターン投影手段で格子フィルタを移動させる第1のフォーカスシフト機構と、前記画像データ入力手段で撮像素子を移動させる第2のフォーカスシフト機構が同期して駆動されることを特徴とする請求項9に記載の非接触三次元形状測定装置。
  17. 前記投影パターンの位相シフト量に対応して点灯される照明手段を更に備えたことを特徴とする請求項9に記載の非接触三次元形状測定装置。
  18. 前記パターン投影手段と画像データ入力手段が、測定ヘッドに一体化されていることを特徴とする請求項9に記載の非接触三次元形状測定装置。
  19. 前記三次元マップ作成手段が計算機で構成され、
    該計算機が、測定ヘッドの撮像素子から入力した画像をキャプチャするフレームグラバと、測定ヘッドのシフト機構を制御するモーション制御ボードと、測定ヘッドを制御するための、フォーカスと位相を同時にシフトさせながら、連続画像を入力し、計算機のメインメモリへ転送する機能、測定ヘッドの測定範囲に相当する画像をライブ表示する機能、及び、測定の奥行き範囲を設定する機能を有するソフトウェアと、三次元マップを作成するための、フォーカスシフトにより振幅が変動する濃淡波形から、フォーカス中心を計算する機能、フォーカス中心付近の濃淡波形の位相を計算する機能、フォーカス中心データを使って位相をアンラップする機能、光学系の歪みを考慮して、画像上の座標を補正する機能、撮像素子のピクセルを起点とするエピポーララインと、格子パターン投影の格子面の交点を求め、ピクセルに投影されている三次元位置を計算する機能、画像データが正常に入力できたことを確認できるように、入力した連続画像を再生する機能、作成した三次元マップを表示する機能、及び、三次元マップの点群データを、CADフォーマットで保存する機能を有するソフトウェアを備えたことを特徴とする請求項9又は10に記載の非接触三次元形状測定装置。
  20. 前記画像データ入力手段が、画像測定機の撮像光学系を利用したものであることを特徴とする請求項9に記載の非接触三次元形状測定装置。
  21. 前記測定ヘッドが画像測定機のZ軸へ、該画像測定機の撮像光学系と並列に取り付けられ、格子シフト及びフォーカスシフトが画像測定機のZ軸駆動により行われることを特徴とする請求項18に記載の非接触三次元形状測定装置。
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