JP4255606B2 - クロロプレン系ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロロプレン系ゴムに従来使用されているエチレンチオウレアやトリメチルチオウレアなどの加硫促進剤に代わる新規な加硫促進剤に関する。
更に詳しくは、本発明は下記の一般式(1)で示される構造を有する化合物を含有する加硫促進剤と、これを含有したクロロプレン系ゴム組成物に関するものであり、更に詳しくは加硫することによって、引張強度や伸び、圧縮永久ひずみなどの物性に優れるクロロプレン系ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
クロロプレン系ゴムの加硫促進剤としては、エチレンチオウレアやトリメチルチオウレアなどが使用されている。
しかしながら、本願の一般式(1)で示される構造の化合物を加硫促進剤として用いた例はこれまでなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、クロロプレン系ゴムに従来使用されてきたエチレンチオウレアなどの汎用の加硫促進剤に代わる新規な加硫促進剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、クロロプレン系ゴムの加硫促進剤として使用されていなかった、下記の一般式(1)で示される化合物を含有する加硫促進剤を使用することによりクロロプレン系ゴムを効率よく、効果的に架橋し得ることを見出し、本発明を完成させるに到った。
すなわち本発明は、下記の一般式(1)で示される化合物を含有するクロロプレン系ゴム用加硫促進剤である。
【0005】
【化3】
【0006】
(ここで、R1は炭素数1〜10のアルキル基、フェニレン基、シクロアルキル基であり、これらの基は炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、フェニル基、シクロアルキル基、またはアミノ基で置換されていてもよい。また、R2は、水素である。更に、R3およびR4は、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、シクロアルキル基であり、これらの基は炭素数1〜5のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜5のアルコキシル基で置換されていてもよい。また、R3およびR4は同一でも異なっていてもよい。)
【0007】
また本発明は、下記の一般式(2)で示される構造のジカルボン酸と、下記の一般式(3)および(4)で示される構造のアミンとの2置換塩化合物を含有するクロロプレン系ゴム用加硫促進剤である。
【0008】
【化4】
【0009】
(但し、一般式(2)においてR1は炭素数1〜10のアルキル基、フェニレン基または、シクロアルキル基であり、これらの基は炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、フェニル基、シクロアルキル基または、アミノ基で置換されていてもよい。また、一般式(3)および(4)においてR2は、水素である。更に、一般式(3)および(4)においてR3およびR4は、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基または、シクロアルキル基であり、これらの基は炭素数1〜5のアルキル基、アミノ基または、炭素数1〜5のアルコキシル基で置換されていてもよい。また、R3およびR4は同一でも異なっていてもよい。)
【0010】
また、本発明は上記の加硫促進剤を配合してなる加硫可能なクロロプレン系ゴム組成物である。
本発明のクロロプレン系ゴムは、キサントゲン変性クロロプレン系ゴム、メルカプタン変性クロロプレン系ゴム及び硫黄変性クロロプレン系ゴムから選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
また、本発明のクロロプレン系ゴム組成物は、金属化合物を少なくとも1種添加されていることが好ましい。
更に、本発明は上記のクロロプレン系ゴムを加硫することによって得られる加硫物である。
【0011】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明で用いる一般式(1)の構造を有する化合物は、下記の一般式(2)で示される構造のジカルボン酸と下記の一般式(3)および(4)で示される構造のアミンとの2置換塩化合物として得ることが出来る。
本発明で用いる一般式(2)の構造を有する化合物は、下記の一般式(2)において、R1が炭素数1〜10のアルキル基、フェニレン基または、シクロアルキル基のいずれかである化合物であり、これらの基は炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、フェニル基、シクロアルキル基または、アミノ基で置換されていてもよい。
【0012】
【化5】
【0013】
また、一般式(3)の構造を有する化合物は、下記の一般式(3)において、R2が水素であり、R3が炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基または、シクロアルキル基である化合物であり、これらの基は炭素数1〜5のアルキル基、アミノ基または、炭素数1〜5のアルコキシル基で置換されていてもよい。
【0014】
【化6】
【0015】
また、一般式(4)の構造を有する化合物は、下記の一般式(4)において、R2が水素であり、R4が炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基または、シクロアルキル基である化合物であり、これらの基は炭素数1〜5のアルキル基、アミノ基または、炭素数1〜5のアルコキシル基で置換されていてもよい。
【0016】
【化7】
【0017】
本発明で用いる一般式(2)の構造を有する化合物としては、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカン二酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、テトラドデカン二酸、ペンタドデカン二酸、ヘキサドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロオクタン−1,2−ジカルボン酸、シクロオクタン−1,3−ジカルボン酸、シクロオクタン−1,4−ジカルボン酸、シクロオクタン−1,5−ジカルボン酸などが挙げられる。
【0018】
本発明で用いる一般式(3)及び一般式(4)の構造を有する化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、1−アミノオクタデカン、アニリン、ベンジルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、2−アミノトルエン、3−アミノトルエン、4−アミノトルエン、2,4−ジメチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2,4,5−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、2,3,4,5−テトラメチルアニリン、2,3,5,6−テトラメチルアニリン、2,3,4,6−テトラメチルアニリン、2−エチル−3−ヘキシルアニリン、2−エチル−4−ヘキシルアニリン、2−エチル−5−ヘキシルアニリン、2−エチル−6−ヘキシルアニリン、3−エチル−4−ヘキシルアニリン、3−エチル−5−ヘキシルアニリン、3−エチル−2−ヘキシルアニリン、4−エチル−2−ヘキシルアニリン、5−エチル−2−ヘキシルアニリン、6−エチル−2−ヘキシルアニリン、4−エチル−3−ヘキシルアニリン、5−エチル−3−ヘキシルアニリン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2−アミノベンジルアミン、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、2−(4−アミノフェニル)エチルアミン、2−(3−アミノフェニル)エチルアミン、2−(2−アミノフェニル)エチルアミン、2,3−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、2,3−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−m−フェニレンジアミン、3,4−ジメチル−o−フェニレンジアミン、3,5−ジメチル−o−フェニレンジアミン、3,6−ジメチル−o−フェニレンジアミン、1,3−ジアミノ−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,4,5,6−テトラメチル−1,3−フェニレンジアミン、3,4,5,6−テトラメチル−1,2−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエン、2,3−ジアミノ−4,5−ジエチルトルエン、2,4−ジアミノ−4,6−ジエチルトルエン、2,3−ジアミノ−5,6−ジエチルトルエン、2,4−ジアミノ−3,6−ジエチルトルエン、2,5−ジアミノ−3,4−ジエチルトルエン、2,5−ジアミノ−3,6−ジエチルトルエン、2,5−ジアミノ−4,6−ジエチルトルエン、2,3−ジアミノ−4,5−ジエチルトルエン、2,3−ジアミノ−4,6−ジエチルトルエン、2,3−ジアミノ−4,5,6−トリエチルトルエン、2,4−ジアミノ−3,5,6−トリエチルトルエン、2,5−ジアミノ−3,4,6−トリエチルトルエン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、4−メトキシアニリン、2−メトキシ−3−メチルアニリン、2−メトキシ−4−メチルアニリン、2−メトキシ−5−メチルアニリン、2−メトキシ−6−メチルアニリン、3−メトキシ−2−メチルアニリン、3−メトキシ−4−メチルアニリン、3−メトキシ−5−メチルアニリン、3−メトキシ−6−メチルアニリン、4−メトキシ−2−メチルアニリン、4−メトキシ−3−メチルアニリン、2−エトキシアニリン、3−エトキシアニリン、4−エトキシアニリン、4−メトキシ−5−メチルアニリン、4−メトキシ−6−メチルアニリン、2−メトキシ−3−エチルアニリン、2−メトキシ−4−エチルアニリン、2−メトキシ−5−エチルアニリン、2−メトキシ−6−エチルアニリン、3−メトキシ−2−エチルアニリン、3−メトキシ−4−エチルアニリン、3−メトキシ−5−エチルアニリン、3−メトキシ−6−エチルアニリン、4−メトキシ−2−エチルアニリン、4−メトキシ−3−エチルアニリン、2−メトキシ−3,4,5−トリメチルアニリン、3−メトキシ−2,4,5−トリメチルアニリン、4−メトキシ−2,3,5−トリメチルアニリンなどが挙げられる。
【0019】
また、本発明で用いられる一般式(1)の構造を有する化合物の具体的な例としては、上記に例示した一般式(2)で示される構造のジカルボン酸と上記に例示した一般式(3)および(4)で示される構造のアミンとの2置換塩化合物が例示される。
本発明のクロロプレン系ゴム組成物における一般式(2)で表される化合物の添加量は、クロロプレン系ゴム100質量部あたり0.01〜20質量部、好ましくは0.1質量部〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
なお、本明細書において他に注記したものを除き、全ての部はクロロプレン系ゴム100質量部あたりの部数(質量部)であり、そして百分率は全組成物の質量による。
【0020】
一般式(3)及び一般式(4)で表される化合物の添加量は、クロロプレン系ゴム100質量部あたりそれぞれ0.01〜20質量部、好ましくは0.1質量部〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0021】
クロロプレン系ゴムはクロロプレン系単量体の重合体であり、一般に乳化重合により製造されるが、本発明で用いるクロロプレン系ゴムとしては、クロロプレンの単独重合体またはクロロプレンと共重合可能な他の単量体1種以上との混合物(以下クロロプレン系単量体と称する)を重合して得られた共重合体(両者を合わせて本明細書においてはクロロプレン系ゴムと称する)が用いられる。
クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、硫黄、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン、並びにアクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステル類などであり、本発明の目的を満たす範囲で用いることが出来る。
【0022】
本発明で用いるクロロプレン系ゴムを得る重合方法には特に制限はなく、通常の重合方法が使用でき、クロロプレン系単量体をクロロプレンの重合に一般に用いられる重合開始剤の存在下に、通常用いられる方法により乳化重合して得ることが出来る。
この乳化重合を実施する場合の乳化剤に制限はなく、一般にクロロプレンの乳化重合に使用される乳化剤、例えば炭素数6〜22の飽和または不飽和の脂肪族のアルカリ金属塩、ロジン酸または不均化ロジン酸のアルカリ金属塩、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物のアルカリ金属塩などが用いられる。
【0023】
クロロプレン系ゴムは、分子量調整剤の種類により、イオウ変性タイプ、メルカプタン変性タイプ、キサントゲン変性タイプに分類される。イオウ変性タイプは、イオウとクロロプレン系単量体を共重合したポリマーをチウラムジスルフィドで可塑化し、所定のムーニー粘度に調整するものである。メルカプタン変性タイプは、n−ドデシルメルカプタン、ターシャリ−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調整剤に使用するものである。また、キサントゲン変性タイプは、アルキルキサントゲン化合物を分子量調整剤に使用するものである。
本発明のクロロプレン系ゴムとしては、これらのうちから選ばれた1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
重合開始剤としては特に制限されないが、クロロプレンの乳化重合に一般に用いられる公知の過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物類が用いられる。
【0025】
本発明において重合温度及びモノマーの最終転化率は特に制限されないが、重合温度は0〜50℃であることが好ましく、更に20〜50℃であることが好ましい。また、モノマーの最終転化率は60〜90質量%の範囲に入るように行うことが好ましく、この転化率に達した時点で重合禁止剤を少量添加して重合を停止させる。
重合禁止剤としては、例えば、チオジフェニルアミン、4−ターシャリ−ブチルカテコール、2,2−メチレンビス−4−メチル−6−ターシャリ−ブチルフェノールなどの通常用いられる禁止剤が用いられる。
【0026】
未反応の単量体は、例えば、スチームストリッピング法によって除去し、その後、ラテックスのpHを調整し、常法の凍結凝固、水洗、熱風乾燥などの方法により重合体を単離することができる。
【0027】
本発明で用いるクロロプレン系ゴム組成物におけるゴム成分は、クロロプレン系ゴムを主成分とするものであるが、クロロプレン系ゴムの他に、必要に応じて天然ゴム、ブチルゴム、BR、NBR、EPDM等を含有することができる。
【0028】
本発明で加硫剤として用いられる金属化合物としてはベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、バリウム、ゲルマニウム、チタニウム、錫、ジルコニウム、鉛、アンチモン、バナジウム、砒素、ビスマス、クロム、モリブデン、タングステン、テルル、セレン、鉄、ニッケル、コバルト、オスミウムなどの元素単体および、上記元素の酸化物および水酸化物が用いられる。
【0029】
好ましくは、上記の加硫剤として用いられる金属化合物のうち酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、二酸化アンチモン、三酸化アンチモンが用いられ、酸化亜鉛が最も好ましい。これらは2種以上を併用して用いることもできる。これらの金属酸化物の添加量は、クロロプレン系ゴム100質量部に対して2〜20質量部が好ましい。
【0030】
更に、上記金属化合物のうち酸化マグネシウムについては、酸化マグネシウムを添加することにより加硫速度が遅くなる場合があるために、添加量を2質量部以下とするか、場合によっては添加しない方が好ましい。
【0031】
本発明のクロロプレン系ゴム組成物は、従来よりゴム、プラスチックに使用されている各種の添加剤を用途に応じてそれぞれの目標物性に到達するように配合することができる。これらの添加剤としては、補強剤、軟化剤、加工助剤、老化防止剤等が挙げられる。
【0032】
補強剤としてはカーボンブラック、シリカ等が挙げられ、ゴムの機械強度を増大させるために用いられる。補強剤の添加量は、一般的には、クロロプレン系ゴム100質量部に対して20〜80質量部程度である。また、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の充填剤も必要に応じて添加することができる。
【0033】
軟化剤としては、潤滑油、プロセスオイル、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、石油アスファルト等の石油系軟化剤、ナタネ油、アマニ油、ヒマシ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤が挙げられ、クロロプレン系ゴム100質量部に対して40質量部程度まで添加できる。
【0034】
加工助剤としては、ステアリン酸等の脂肪酸が挙げられ、クロロプレン系ゴム100質量部に対して0.5〜5質量部程度まで添加できる。
【0035】
老化防止剤としては、アミン系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩、フェノール系、ワックス等の老化防止剤が挙げられ、クロロプレン系ゴム100質量部に対して0.5〜10質量部程度添加することができる。
【0036】
本発明のクロロプレン系ゴム組成物は、良好な加工性を有するため、通常のゴムと同様の方法で、ニーダー、バンバリーまたはロール等の混練り機によって混合し、目的に応じた形状に成形加工し加硫物を得ることが出来る。具体的には各成分を加硫温度以下の温度で混練し、次いでその混合物を各種形状に成形して加硫して加硫物を得る。加硫時の温度や加硫時間は適宜設定することができる。加硫温度は130〜200℃が好ましく、140〜190℃が更に好ましい。
【0037】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
実施例及び比較例
表1に示す配合処方により、表2で説明した加硫促進剤を表3に示す量添加し、8インチロールを用いて配合して得たクロロプレン系ゴム組成物の加硫物について物性試験を行ない、結果を表3に示した。
油圧プレスにて160℃×30分間加硫した試験片を用いて、引張強度、伸び等の力学的特性を、JIS K6251に準拠して測定した。硬度は、JIS K6253に準拠してデュロメータ硬さ計を用いて測定を行った。
油圧プレスにて160℃×35分間加硫したサンプルを用いて、圧縮永久ひずみ試験を、JIS K6262に準拠して(試験条件は100℃×70時間、120℃×70時間)行った。
更に、加硫促進剤として従来使用されているエチレンチオウレア(#22)を使用して同様に試験し、参考例として結果を表3に併せて示した。
【0038】
ムーニースコーチ試験は、JIS K6300に準拠して、L形ローターを使用して、試験温度100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)および試験温度125℃におけるムーニー粘度の最低値(Vm)、スコーチタイム(MLt5)を測定した。
【0039】
振動式加硫試験機による加硫試験は、東洋精機製AUTOMATIC ROTORLESS RHEOMETER ALR−2を用いて160℃で測定を行い、JIS K6300に準拠して、Tc90を求めた。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
表1で用いたクロロプレンゴム(M−40)は、電気化学工業株式会社製メルカプタン変性タイプのクロロプレンゴムである。
表1で用いたMgOは、協和化学工業株式会社製、キョウワマグ150
表1で用いたZnOは、堺化学工業株式会社製、亜鉛華2種
表1で用いたSRFは、旭カーボン株式会社、#50
表1で用いた老防PAは、大内新興化学工業株式会社製、ノクラックPA
表3で用いた#22は、川口化学工業株式会社製、アクセル 22−S
表3で用いたDM(化学名:ジベンゾチアジルジスルフィド)は、大内新興化学工業株式会社製、ノクセラーDM
【0044】
【発明の効果】
実施例に示した通り、本発明の一般式(1)で表される塩化合物からなる新規な加硫促進剤を用いて、参考例で示したような従来の加硫促進剤と同等の加硫促進効果が得られ、引張強度、伸び、圧縮永久ひずみ等の力学的特性の優れた加硫物が得られる。
Claims (7)
- 下記の一般式(2)で示される構造のジカルボン酸と、下記の一般式(3)および(4)で示される構造のアミンとの2置換塩化合物を含有することを特徴とするクロロプレン系ゴム用加硫促進剤。
- クロロプレン系ゴムに請求項1または2記載の化合物を配合してなることを特徴とする加硫可能なクロロプレン系ゴム組成物。
- クロロプレン系ゴムがキサントゲン変性クロロプレン系ゴム、メルカプタン変性クロロプレン系ゴム及び硫黄変性クロロプレン系ゴムから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項3記載のクロロプレン系ゴム組成物。
- 金属化合物を少なくとも1種添加してなることを特徴とする請求項3または4記載のクロロプレン系ゴム組成物。
- 金属化合物として酸化亜鉛を添加してなることを特徴とする請求項3または4記載のクロロプレン系ゴム組成物。
- 請求項3〜6のいずれか1項記載のクロロプレン系ゴム組成物を加硫してなることを特徴とする加硫物。
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