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JP4247650B2 - 磁気記録再生装置及びバッドスポットの処理方法 - Google Patents

磁気記録再生装置及びバッドスポットの処理方法 Download PDF

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JP4247650B2
JP4247650B2 JP2000068637A JP2000068637A JP4247650B2 JP 4247650 B2 JP4247650 B2 JP 4247650B2 JP 2000068637 A JP2000068637 A JP 2000068637A JP 2000068637 A JP2000068637 A JP 2000068637A JP 4247650 B2 JP4247650 B2 JP 4247650B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録再生装置及びバッドスポット検出方法に関し、例えばサーバー等のデータをバックアップするテープストリーマーに適用することができる。本発明は、バッドスポットの識別情報を長手トラックに記録することにより、簡易かつ確実にバッドスポットを検出することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、テープストリーマーは、高い信頼性により所望のデータを記録再生できるように、リードアフターライトにより記録したデータを正しく再生できない部位については、バットスポットとして記録再生に使用しないようになされている。
【0003】
すなわちテープストリーマは、記録時、リードアフターライトにより記録したデータを正しく再生できるか否か判定し、正しく再生できない場合にはリトライの処理を繰り返す。さらにテープストリーマは、正しく再生できない部位は、例えば磁気テープの傷等によると考えられることにより、記録中にあってはバッドスポットに設定し、続く斜めトラックにバッドスポットのデータを記録すると共に、この部位の位置情報をメモリに記録して保持し、記録の処理が完了すると、磁気テープの所定領域に記録する。テープストリーマは、この磁気テープに記録されたバッドスポットの位置情報に従って、このバッドスポットの部分については記録再生に使用しないようにする。
【0004】
またデータの記録を完了した後、磁気テープにバッドスポットの位置情報を記録しないうちに磁気テープが排出される場合も考えられることにより、必要に応じていわゆるリカバリーの処理により斜めトラックに記録したバッドスポットの情報を検出し、この検出結果によりバッドスポットの位置情報を改めて検出して磁気テープに記録するようになされている。
【0005】
テープストリーマにおいては、斜めトラックの所定本数によりトラックセットを構成し、このトラックセットの複数個を単位にしてリトライの処理を実行する。さらにテープストリーマにおいては、この斜めトラックに種々の管理用データであるサブコードデータを記録し、このサブコードデータの1つとして直前の処理単位に係る複数本のトラックセットについて、バッドスポットの情報を記録するようになされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこのようにして斜めトラックに記録したバッドスポットのデータを検出するリカバリーの処理においては、斜めトラックに記録されたバッドスポットのデータを確実に再生することが必要になる。しかしながら記録密度が増大すると、サブコードのデータを正しく再生できないことも考えられ、この場合、リカバリーの処理でリトライを繰り返すことになる。
【0007】
これにより従来のバッドスポットの処理方法にあっては、簡易かつ確実にバッドスポットを検出する点において、未だ不十分な問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比して簡易かつ確実にバッドスポットを検出することができる磁気記録再生装置又はバッドスポットの処理方法を提案しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため請求項1又は請求項4の発明においては、磁気記録再生装置又はバッドスポットの処理方法に適用して、磁気テープの長手方向に延長する長手トラックに、バッドスポットの識別情報を記録する。さらに長手トラックに記録された識別情報を再生する再生用ヘッドを、識別情報を前記長手トラックに記録する記録用ヘッドに比して、少なくとも、記録単位の2倍分の長さに対応する距離だけ先行する側に配置する
【0010】
請求項1又は請求項4の構成によれば、磁気テープの長手方向に延長する長手トラックに、バッドスポットの識別情報を記録することにより、トラッキング制御により斜めトラックを走査しなくても、例えば早送り再生等によっても識別情報を検出することができ、これにより簡易にバッドスポットを検出することができる。また斜めトラックを走査する場合に比して線速度が遅いこと等により、高い信頼性によりバッドスポットのデータを記録再生することができ、その分確実にバッドスポットを検出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0012】
(1)第1の実施の形態の構成
(1−1)全体構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るバックアップシステムを示す斜視図である。このバックアップシステム1は、大型のコンソール2にテープストリーマ3等を配置して構成される。すなわちこのバックアップシステム1は、正面の下側より順次テープストリーマ3、電源ユニット4、CPUユニット5が配置され、背面側にテープカセットの搬送機構6が配置される。
【0013】
ここで電源ユニット4は、このバックアップシステム1の各部に電源を供給し、CPUユニット5は、このバックアップシステム1全体の動作を制御する。テープストリーマ3は、搬送機構6により装填されるテープカセットにホストコンピュータからのデータを記録し、またこのテープカセットに記録されたデータを再生してホストコンピュータに出力する。
【0014】
搬送機構6は、棚6Aに複数のテープカセットを収納できるように構成され、CPUユニット5の制御により、この棚6Aに保持されたテープカセットをテープストリーマ3に搬送して装填し、またこれとは逆にテープストリーマ3より排出されたテープカセットを元の棚6Aに搬送する。このため搬送機構6は、このコンソール2の上下方向に可動するエレベータ6Bと、このエレベータ6Bに搭載されて、棚6Aとの間でテープカセットを出し入れし、またテープストリーマ3との間でテープストリーマを出し入れするハンドブロック6Cとが配置されるようになされている。なおこの実施の形態に係るテープストリーマ3に適用されるテープカセットにおいては、背面に非接触型のICタグが配置され、これら棚6A、エレベータ6BにはこのICタグをアクセスするリーダライタが配置されるようになされている。
【0015】
図2は、CPUユニット5を周辺構成と共に示すブロック図である。CPUユニット5において、ホストコンピュータインターフェース(ホストコンピュータIF)5Aは、例えばSCSI(Small Computer System Interface )によりホストコンピュータ8と接続され、ホストコンピュータ8からのコマンド、記録に供するデータを取り込んで内部バスBUSに出力し、またこれとは逆に内部バスBUSに出力されるホストコンピュータ8へのステータスデータ、再生したデータ等をホストコンピュータ8に出力する。
【0016】
ストリーマインターフェース(ストリーマIF)5Bは、例えばSCSIによりテープストリーマ3と接続され、バスBUSに出力される所定の制御コマンド、記録に供するデータをテープストリーマ3に出力し、またこれとは逆にテープストリーマ3より出力されるステータスデータ、再生したデータ等をテープストリーマ3より受信して内部バスBUSに出力する。
【0017】
コントロールパネル5Dは、コンソール2の正面に配置されてオペレータによる各種操作を受け付け、内部バスBUSを介して、オペレータによる操作をCPU5Cに通知する。ドライバ5Eは、CPU5Cの制御により、エレベータ6B、ハンドブロック6Cを駆動する。
【0018】
CPU5Cは、メモリ5Fにワークエリアを確保して所定の処理手順を実行することにより、ホストコンピュータ8からのコマンドに応動してバックアップシステム1全体の動作を制御する。すなわちホストコンピュータ8よりアクセスコマンドが入力されると、テープストリーマ3にテープカセットの記録再生を指示する。このときホストコンピュータ8からのアクセスコマンドがテープストリーマ3に装填されているテープカセットと異なるテープカセットに対するものの場合、搬送機構6を制御して対応するテープカセットをテープストリーマ3に装填する。またオペレータによりいわゆるバージンテープのフォーマットが指示された場合、同様に搬送機構6の制御によりテープカセットをテープストリーマ3に装填し、テープストリーマ3に初期化の処理を指示する。
【0019】
(1−2)テープストリーマの構成
図3は、テープストリーマ3を示す正面及び背面を示す平面図である。テープストリーマ3は、正面に、挿入口3Aが形成され(図3(A))、この挿入口3Aよりテープカセットを挿入し、また排出できるようになされている。またテープストリーマ3は、背面に各種接続用のコネクタが配置され、例えばCPUユニット5を省略して直接ホストコンピュータ8と接続することもできるようになされている。
【0020】
(1−2−1)テープストリーマのフォーマット
図4は、このテープストリーマ3による記録トラックのフォーマットを示す略線図である。テープストリーマ3においては、磁気テープ10の上下に長手トラックがそれぞれ形成され、この長手トラックの間に、斜めトラックが形成される。ここで上下の長手トラックは、1つがコントローラトラック10Aに割り当てられ、トラッキング制御用のコントロール信号が記録されるようになされている。またこのコントロールトラックの下側にサブコードトラック10Cが配置され、このサブコードトラック10Cに後述するバッドスポットのデータ等が記録される。また他方の長手トラックは、IDトラック10Bに割り当てられ、斜めトラックを管理する情報が管理テーブルにより記録されるようになされている。
【0021】
これに対して斜めトラックは、正及び負のアジマス角による1組の記録トラックを順次配置して形成される。各斜めトラックは、ほぼ中央部分により2つに分断されるように形成され、1組の記録トラックのうちの、先行する側の記録トラックは、この中央の分断された部位に、トラッキング制御用のパイロット信号を記録した領域TPが形成されるようになされている。
【0022】
さらに斜めトラックは、2組、4本の記録トラックで1つのトラックセットが形成され、このトラックセットを単位として形成されるようになされている。各トラックセットには、各トラックセットの識別に使用するトラックセットIDが設定され、このトラックセットIDがIDトラック10Bに記録する情報の一部に割り当てられるようになされている。なおトラックセットIDは、全てのトラックセットで単純増加する物理トラックセットIDと、ダミー、EOD等を除いて単純増加する論理トラックセットIDとがそれぞれ設定されるようになされている。またトラックセットIDは、SMPTEによるタイムコードに変換されてIDトラック10Bに記録されるようになされている。
【0023】
各斜めトラックは、このトラックセットの先行側より、それぞれ記録再生系の各チャンネルに対応するAトラック、Bトラック、Cトラック、Dトラックに割り当てられるようになされている。
【0024】
トラックセットは、ユーザーデータの記録に使用されるユーザートラックセット、ファイルの区切りを示すテープマークに割り当てられるテープマークトラックセット、データの終了端を示すEOD(End Of Data )トラックセット、ダミートラックを形成するダミートラックセット等に区別される。
【0025】
図5は、このようにして形成されるトラックセットと誤り訂正処理単位であるECCブロックとの関係を示す略線図である。テープストリーマ3は、記録に供するユーザーデータ等を所定のブロック単位で区切って誤り訂正符号を付加し、ECCブロックが形成される。テープストリーマ3は、8個のECCブロックのデータが1トラックセットに割り当てられる。このとき数字0〜7により示す各ECCブロックは、アウターパリティーの方向にそれぞれ4等分されて各トラックに割り当てられ、これによりトラック間インターリーブされて記録される。また各トラックに割り当てられるデータにおいては、配列が入れ換えられてワードインターリーブ処理されて記録されるようになされている。
【0026】
図6は、このECCブロックを示す略線図である。1つのECCブロックには、77×190バイトのユーザーデータ等が割り当てられ、77バイトのデータ列に対して27バイトのアウターパリティか生成され、このアウターパリティがデータ列に付加される。さらに2×104バイトのブロックIDが付加された後、このアウターパリティとは直交する方向の、ブロックIDを含む192バイトのデータ列に対して12バイトのインナーパリティが生成され、このインナーパリティがデータ列に付加される。
【0027】
これによりECCブロックは、積符号形式の誤り訂正符号が付加され、さらに4×104バイトの同期パターンSYNCが付加されて形成される。なおここでブロックIDは、ECCブロックの識別用IDであり、同期パターンSYNCは、ECCブロックの開始を示す特定のパターンである。
【0028】
これらによりテープストリーマ3では、77×190バイトのユーザーデータ等が割り当てられて1つのECCブロックが形成され、さらに8個のECCブロックが1つのトラックセットに割り当てられることにより、結果的には、1つのトラックセットに117040バイトのユーザーデータ等を割り当てることができるようになされている。
【0029】
図7は、この1つのユーザートラックセットに割り当てる117040バイトのデータ構成を示す略線図である。1つのトラックセットは、先頭に4バイトによるフォーマットIDが配置される。ここでフォーマットIDは、フォーマット識別用のIDであり、この実施の形態では4トラックによるトラックセットでユーザーデータを記録したことを示す値FFFF0000hの値が記述される。
【0030】
さらに続く136バイトにサブコードが割り当てられ、後述するVSIT、VIT、BST等のテーブル、ユーザーデータトラックセット、テープマークトラックセットの識別データ、論理トラックセットID等が割り当てられてトラックセットの管理用のデータ、論理トラックセットID等が記録される。
【0031】
さらに続く116884バイトからブロック管理テーブルのデータ長を除いたバイト数がユーザーデータ等の記録に割り当てられる。なおこの領域にユーザーデータを割り当てる場合に、ユーザーデータにより満たすことができない場合、ダミーデータが割り当てられる。
【0032】
ブロック管理テーブルは、最大4096バイトに設定される。ここでテープストリーマ3は、トラックセットの集合によるブロックを単位にして記録再生できるように構成され、ブロック管理テーブルは、これらブロックの管理に使用するテーブルが記録される。さらにトラックセットは、続く12バイトが予約に割り当てられ、残り4バイトが1つのトラックセットの終了を示すEOD(End Of Data )に割り当てられるようになされている。
【0033】
テープストリーマ3は、このようにしてトラックセットを基本の単位としてユーザーデータを記録し、また各種管理用のデータを記録する。
【0034】
図8は、磁気テープ10の全体のレイアウトを示す略線図である。磁気テープ10は、リールに接続されるリーダテープを除いた物理的な磁気テープ10の始端PBOT(Physical Beginning Of Tape)より所定距離だけ磁気テープ10を走行させた側に記録開始位置LBOT(Logical Beginning Of Tape )が設定され、また同様の物理的な終端PEOT(Physical End Of Tape)より磁気テープ10の走査開始端側に記録終了位置LEOT(Logical End Of Tape )が設定される。磁気テープ10は、これら記録開始位置LBOT及び記録終了位置LEOT間に種々のデータが記録され、これによりリーダテープ近傍の比較的エラーレートの劣化し易い領域を避けて使用されるようになされている。磁気テープ10は、これら記録開始位置LBOT及び記録終了位置LEOTの間が、1つの物理ボリュームを形成する。
【0035】
磁気テープ10は、記録開始位置LBOTより所定距離だけランアップエリアが形成され、このランアップエリアにて磁気テープ走行系をサーボロックできるようになされている。このため磁気テープ10は、このランアップエリアより順次斜めトラックが形成される。
【0036】
磁気テープ10は、このランアップエリアの続いてVSIT(Volume Set table)が記録され、このVSITを記録する先頭の物理トラックセットIDが0IDに設定される。ここでVSITは、記録開始位置LBOT及び記録終了位置LEOTの間の論理ボリュームを管理する種々のデータが記録される。すなわちVSITは、この磁気テープのボリューム名、磁気テープに記録されたファイル名、各ファイルに割り当てられたVITの物理トラックセットID等が記録され、これによりテープストリーマ3では、このVSITをアクセスして磁気テープ10を判別できるようになされ、さらに磁気テープ10に記録された各ファイル、各ファイルの記録位置等を確認できるようになされている。ここでVSITは、1つが1トラックセット(1ID)により形成され、同一の内容が10回、繰り返し記録されて高い信頼性を確保できるようになされている。
【0037】
また磁気テープ10は、このVSITの記録領域に続いて、90ID分、VSITのリトライエリアが形成され、これにより必要に応じてこのリトライエリアにVSITを記録し直してリカバーの処理等を実行できるようになされている。
【0038】
さらに磁気テープ10は、続いて位置余裕バンドが所定ID分形成され、これによりVSITを更新した場合でも、続く領域の記録済みのデータに何ら影響を与えないようになされている。磁気テープ10は、この位置余裕バンドから記録終了位置LEOTの間が論理ボリュームのエリアに割り当てられる。
【0039】
図9は、この論理ボリュームエリアに割り当てられる論理ボリュームを示す略線図である。磁気テープ10においては、ファイルのデリミタコードであるテープマークTMを間に挟んで、ファイル単位でデータが記録され(図9(A))、各ファイルは、ブロックにより構成されるようになされている(図9(B)及び(C))。
【0040】
テープストリーマ3では、この1つのファイルにDIT(Directory Information Table )及びEOD(End Of Data )を含む単位が1つの論理ボリュームを構成する。ここでDITは、DITが割り当てられてなる1つの論理ボリュームを管理するテーブルであり、1つの長さが40IDにより形成される。DITは、図9(D)により示すように、この40IDによる同一の内容が繰り返し7回記録され、これにより高い信頼性を確保できるようになされている。
【0041】
なお各DITは、それぞれ図8において上述したランアップエリアが先頭に割り当てられ、これによりサーボ系をロックできるようになされている。また続いて後ろ側に位置余裕バンドが配置され、これによりVSITと同様に、更新した場合でも、続く領域の記録済みのデータに何ら影響を与えないようになされている。
【0042】
DITは、図9(E)に示すように、1IDによるVIT(Volume Information Table)、1IDによるBST(Bad Spot Table)、1IDによるLIDT(Logical ID Table)、20IDによるFIT(File Information Table)、1IDによるUIT(User Information Table)が設定されるようになされている。なおDITは、残り16ID分がリザーブに設定されるようになされている。
【0043】
ここでVITは、その物理トラックセットIDがVSITに記録され、これによりVSITの記録を基準にしてこのVITをアクセスできるようになされ、さらにはDIT全体をアクセスできるようになされている。なおVITは、物理トラックセットIDと一致するように論理トラックセットIDが設定される。VITは、このDITが割り当てられた論理ボリュームのボリュームラベル、ユーザートラックセットの最初の物理トラックセットID、最後の物理トラックセットIDが割り当てられる。
【0044】
BSTは、磁気テープ10における傷等によりテープストリーマ3により使用困難と設定された領域(以下バットスポットと呼ぶ)の位置情報が割り当てられる。すなわちテープストリーマ3においては、記録時におけるリードアフタライト、リトライの処理により、誤り訂正困難なビット誤りが発生した場合には、この領域以降のデータについては、改めて磁気テープに記録し直す。テープストリーマ3においては、このようにして改めて磁気テープに記録し直してなるデータに対して、このデータを本来記録すべき領域をバッドスポットと定義する。BSTは、このようなバッドスポットの開始端の物理トラックセットID、終了端の物理トラックセットIDが記録される。
【0045】
LIDT(Logical ID Table)は、ブロック毎の高速検索に使用され、200論理トラックセットID毎に、ファイル番号、物理トラックセットID、ブロック番号のデータが記録される。これによりテープストリーマ3では、アクセス対象であるブロックの位置を大まかに検出して高速度で頭出しできるようになされている。
【0046】
FITは、テープマークの物理トラックセットIDと各ブロックのブロック番号を記録して形成される。UTは、ボリュームが更新されたか否かを示す情報であり、更新の有無を示すステータスデータが、更新前はFFFFFFFFhとされ、更新後は00000000hとされる。
【0047】
(1−2−1)テープストリーマの概略構成
図10は、このようなフォーマットに係るテープストリーマ3を示すブロック図である。テープストリーマ3において、SCSIインターフェース(SCSIIF)21は、SCSIインターフェースによりCPUユニット5に接続され、またCPUユニットを使用しない場合には、直接ホストコンピュータに接続される。SCSIインターフェース21は、記録に供するユーザーデータを入力してメモリコントローラ22に出力し、またメモリコントローラ22から出力される再生されたデータをホストコンピュータに向けて出力する。またSCSIインターフェース21は、CPUユニット5、ホストコンピュータ8からのコマンドをメモリコントローラ22を介してメインCPU部23に通知する。またこれとは逆にメインCPUから出力されるステータス等をメモリコントローラ22を介して受け、このステータス等をホストコンピュータ8、CPUユニット5に出力する。
【0048】
メモリコントローラ22は、SCSIインターフェース21を介して入力されるユーザーデータをバッファメモリ24に一時保持し、さらにこのバッファメモリ24に保持したデータを続くECCエンコーダ(ECCENC)25の処理に応じたタイミングにより出力する。なおメモリコントローラ22は、ブロック管理テーブルのデータ、上述したDIT等ついては、メインCPU部23から対応するデータを入力してバッファメモリ24に一時保持し、ECCエンコーダ25に出力する。またこれとは逆に再生時、メモリコントローラ22は、ECCデコーダ26の処理に同期したタイミングにより、これらECCデコーダ(ECCDEC)26より出力されるユーザーデータ等をバッファメモリ24に一時保持し、さらにこの保持したユーザーデータをSCSIインターフェース21に出力する。また上述したDIT等にあっては、ECCデコーダ26より出力されるデータをメインCPU部23に出力する。またユーザーデータと共に入力されるエラー検出結果については、メインCPU部23のアクセスによりこのメインCPU部23に通知する。
【0049】
なおバッファメモリ24は、上述した所定個数のトラックセットに対応する容量を単位としたバンク構造により順次入力されるユーザーデータを処理し、これによりバンクメモリを構成するようになされている。これによりこのテープストリーマ3では、バッファメモリ24に構成される1つのバンクを処理の単位として、記録再生の処理を実行し、さらにはリトライの処理を実行するようになされている。これによりトラックセットにおいては、1つのバンクに満たないデータ量によりユーザーデータを記録する場合には、ユーザーデータに代えてダーミーデータが記録されたダーミートラックセットが形成されることになる。
【0050】
ECCエンコーダ25は、メモリコントローラ22より出力されるデータに誤り訂正符号を生成して付加することにより、また同期パターン等を付加することにより、図6について上述したECCブロックを構成する。さらにECCエンコーダ25は、このECCブロックによるデータを磁気ヘッドの配置に対応する複数系統により出力する。さらにこのときECCエンコーダ25は、所定順序によりこれらのデータを出力し、これによりトラック間インターリーブ、ワードインターリーブの処理を実行する。
【0051】
イコライザ28は、記録用ヘッドの配列に対応する複数系統によりECCエンコーダ25より出力されるデータをシリアルデータ列に変換し、さらに磁気テープ10の記録に適した方式により変調する。これによりイコライザ28は、記録用ヘッドの駆動に供する駆動信号を生成し、この駆動信号により回転ドラム29に搭載された記録用ヘッドを駆動する。
【0052】
回転ドラム29は、所定系統の記録用ヘッド、この記録用ヘッドの走査軌跡を走査する再生用ヘッドが配置され、サーボ回路31の制御により所定の回転速度により回転する。これによりテープストリーマ3は、所定速度により走行する磁気テープ10に順次斜めトラックを形成し、ユーザーデータ等を記録するようになされ、また再生用ヘッドにより記録結果をモニタできるようになされている。
【0053】
イコライザ30は、記録時、再生時、回転ドラム29に搭載された再生用ヘッドより再生信号を受け、この再生信号を波形等化、復調処理することにより磁気テープ10に記録されたデータを再生する。
【0054】
ECCデコーダ26は、このイコライザ30の出力データを取り込み、記録時に付加した誤り訂正符号により誤り訂正処理する。さらにECCデコーダ26は、このようにして誤り訂正処理して得られるユーザーデータ等を誤り訂正処理結果であるエラー検出結果と共にメモリコントローラ22に出力する。これによりテープストリーマ3では、磁気テープ10に記録されたデータをバッファメモリ24を介してホストコンピュータ8に出力し、また必要に応じてVSIT等のデータをメインCPU部23で取得できるようになされている。
【0055】
またECCデコーダ26は、このようにして得られるエラー検出結果をバッファメモリ24を介してメインCPU部23に通知し、これによりメインCPU部23の制御により必要に応じてリトライ等の処理を実行できるようになされている。なおECCデコーダ26は、ユーザーデータの記録時にあっては、単に誤り検出の処理を実行し、その結果得られるエラー検出結果をユーザーデータ等と共にバッファメモリ24に記録し、これによりリードアフタライトの処理において記録されたデータを正しく再生できたか否か判断できるようにする。なおECCデコーダ26は、このようなエラー検出結果を対応するエラーフラグのセットによりバッファメモリ24に格納する。
【0056】
かくするにつきメインCPU部23は、ランダムアクセスメモリ(RAM)33にワークエリアを確保して、SCSIインターフェース21を介して入力されるコマンドに応動して所定の処理手順を実行する中央処理ユニットを主に構成され、このテープストリーマ3全体の動作を制御し、また必要に応じてホストコンピュータ8にステータスを通知する。またこの処理において、必要に応じてバッファメモリ24をアクセスして磁気テープ10より再生したVSIT、DIT等の情報を取得し、さらにこの情報を基準にして磁気テープ10の駆動系等の動作を制御する。またユーザーデータを記録した後においては、対応するDIT、VSITの書き換えるように、全体の動作を制御する。
【0057】
システムコントローラ(シスコン)34は、デュアルポートRAM(DP−RAM)35を介して実行するメインCPU部23との間のデータ交換により、テープストリーマ3のメカ系の動作を制御する。すなわちテープストリーマ3において、センサ37は、カセット挿入口等に配置され、例えば磁気テープ10をローディング可能か否か等を検出してサーボ回路31に通知する。キャプスタンモータ(M)36は、サーボ回路31の制御により磁気テープ10を走行させる。固定ヘッド38は、磁気テープ10の長手トラック10A及び10Bを形成し、また長手トラック10A及び10Bの再生信号をサーボ回路31に出力する。
【0058】
サーボ回路31は、センサ37によるテープカセットの検出結果に基づいて、所定の駆動系を駆動してテープカセットの装填、排出等の処理を実行し、また磁気テープ10のローディング、アンローディング等の処理を実行する。またサーボ回路31は、回転ドラム29を回転駆動し、この回転ドラム29の回転位相を基準にしたCTLトラック10Aの再生結果の判定により、キャプスタンモータ36の回転速度を制御し、これによりトラッキング制御の処理を実行する。なおサーボ回路31は、再生時にあっては、磁気テープ10の斜めトラックに割り当てられたトラッキング制御用のパイロット信号を基準にしてこれらトラッキング制御の処理を実行する。
【0059】
これに対して磁気テープ10を初期化する場合、サーボ回路31は、磁気テープ10を所定の走行速度で走行させた状態で固定ヘッド38を駆動することにより、磁気テープ10に長手トラック10A及び10Bを形成する。またサーボ回路31は、固定ヘッド38より得られる再生信号を処理して、管理用データを再生し、この管理用データをシステムコントローラ34に出力する。なおこの管理用データに割り当てられたタイムコードについては、タイムコードレコーダ(TCR)40に出力する。
【0060】
タイムコードレコーダ40は、この初期化の処理において、順次タイムコードを生成してサーボ回路31に出力し、サーボ回路31は、このタイムコードにより、またシステムコントローラ34より出力される各種データにより管理用データを生成して固定ヘッド38を駆動する。これに対して記録時、再生時、サーボ回路31より得られるタイムコードをトラックセットIDに変換して出力する。
【0061】
システムコントローラ34は、このサーボ回路31の動作を制御する他に、メインCPU部23を介してタイムコードレコーダ40から出力されるトラックセットIDをECCエンコーダ25等に出力する。
【0062】
インターフェースCPU(IFCPU)41は、DP−RAM42を介してメインCPU部23との間でデータ交換し、これにより棚6A、エレベータ6Bにおいてテープカセットの情報を取得できるようになされ、さらには他のコンピュータシステムとデータ通信できるようになされている。
【0063】
すなわちテープストリーマ3において、棚6A等に配置されたリーダライタは、アンテナ(ANT)44からテープカセット45の背面に配置されたICタグ46に電波を送信し、この電波によりICタグ46から応答が得られると、このICタグとの間でテープカセット45に関する種々の情報を送受する。
【0064】
ディスプレイCPU49は、メモリラベルインターフェース47を介してこのICタグの間で送受するデータをインターフェースCPU41との間で入出力する。またディスプレイCPU49は、インターフェースCPU41を介して入力されるデータに応じて所定の表示画面に種々のデータを表示する。なおこの表示としては、テープストリーマ3に装填されたテープカセットの情報の表示等である。
【0065】
SIO50は、たとえばRS−232C、RS−422等のシリアルインターフェースであり、メンテナンス用の情報を外部機器との間で送受する。イーサIOは、イーサネットのインターフェースであり、所定のネットワークに接続して種々の情報を送受できるようになされている。
【0066】
(1−2−1)バッドスポット検出処理
図11は、バッドスポットの処理に係るテープストリーマの主要な構成を示すブロック図である。なおこの図11においては、4つの斜めトラックによる1つのトラックセットを磁気テープ10上で幅方向に延長する矩形形状の領域により示す。
【0067】
このテープストリーマ3においては、ABトラックに対応する1対の記録用ヘッド40A及び40B、CDトラックに対応する1対の記録用ヘッド40C及び40Dが180度の角間隔により配置され、さらにこれらの記録用ヘッド40A〜40Dの走査軌跡を遅れて走査する対応する再生用ヘッド41A〜41Dが配置される。これによりテープストリーマ3は、記録用ヘッド40A〜40Dによりユーザーデータを記録しながら、再生用ヘッド41A〜41Dによりリードアフターライトの処理を実行できるようになされている。
【0068】
またテープストリーマ3は、サブコードトラック10Cに所定のデータを記録再生する長手ヘッド38が配置されるようになされている。テープストリーマ3においては、この長手ヘッド38により各トラックセットに対応してサブコードデータが記録される。さらにこのサブコードのデータに、対応する斜めトラックに記録するユーザーデータのファイルを特定するファイル番号、トラックセットに記録するユーザーデータの位置を1つのファイル上で特定するブロック番号、さらにはバッドスポットの有無を識別する識別情報としてのバッドスポットフラグ、対応するトラックセットの論理ID等が割り当てられる。
【0069】
テープストリーマ3において、システムコントローラ34は、各トラックセットについて、ECCデコーダー26よるリードアフターライトの結果を判定し、この判定結果より、誤り訂正困難なビット誤りにより正しくデータを再生困難なトラックセットが発生すると、メモリコントローラ22にリトライを指示する。またシステムコントローラ34は、このようにしてリトライを指示すると、このリトライに係るトラックセットに対応するサブコードデータについて、バッドスポットである旨を示すようにバッドスポットフラグの切り換えをサーボ回路31に指示する。
【0070】
ここでテープストリーマ3では、バッファメモリ24におけるバンク制御の単位である8トラックセットを単位にしてリトライの処理を実行し、これによりリトライする場合には、このリトライにより記録し直す8つのトラックセットに対して、直前の8つのトラックセットがバッドスポットに設定されることになる。システムコントローラ34は、これによりリトライを指示すると、リトライする8つのトラックセットをそれぞれ記録する際に、対応するサブコードにおいてバッドスポットフラグを切り換える。
【0071】
これに対してメモリコントローラ22は、リトライが指示されると、この直前に送出したバンクに係るデータを再びバッファメモリ24から出力するように制御し、これにより8つのトラックセットを記録単位にしてリトライの処理を実行する。
【0072】
これに対して再生時、メインCPU23は、DITより得られるBSTを基準にして、バッドスポットについては、磁気テープ10のテープテンションを低減するように磁気テープ走行系の動作を制御する。これによりメインCPU23は、バッドスポットについては読み飛ばすようになされ、この読み飛ばしにより磁気ヘッド40A〜41Dのクロッグ等を防止するようになされている。
【0073】
このときメインCPU23は、システムコントローラ34よりサブコードトラック10Cによるバッドスポットフラグの設定を取得し、DITより得られるBSTと比較する。メインCPU23は、これらの間に相違が検出されるとホストコンピュータにリカバリー処理が必要である旨通知する。
【0074】
すなわちCPU23は、CPUユニット5、ホストコンピュータ等の指示により磁気テープ10へのアクセスを開始する場合、シスコン34を介してサーボ回路31の動作を制御することにより、磁気テープ10をローディングし、VSITを事前に再生して取得する。さらにメインCPU23は、このVSITに従ってホストコンピュータ8により指示されたファイルをアクセス可能に磁気テープ10を走行させる。
【0075】
すなわち磁気テープ10に初めてのファイルを記録する場合には、VSITから所定の間隔を開けてDITを記録し、続いてホストコンピュータ8より出力されるデータを順次磁気テープ10に記録する。また以前に記録したファイルに追記する場合、VSITの記録を基準にして対応するファイルのDITを再生し、このDITより最後のブロックの終了端を検出し、この終了端より順次ホストコンピュータ8より入力されるデータを記録する。さらに記録の後においては、DIT等を記録する。またホストコンピュータ8よりデータの再生が指示された場合、対応するファイルの位置をVSITより検出してDITをアクセスし、このDITの記録に従って磁気テープ10に記録されたデータを再生する。
【0076】
このような処理において、メインCPU23は、バッドスポットに設定した論理IDを記録に残し、磁気テープ10への記録が完了すると、この論理IDによるバッドスポットの記録をDITに記録する。これによりメインCPU23は、このDITに設定されたBSTに従って磁気テープ走行系を制御して磁気ヘッドのクロッグ等を防止し、さらにはバッドスポットに係るデータについては処理しないで済むようにする。
【0077】
このようにして磁気テープ10のアクセスに使用するBSTと、長手トラック10Cより検出されるバッドスポットフラグとの間で相違が検出されると、この場合、バッドスポットの記録であるBSTの更新が何らかの理由で完了しないうちに動作が終了したと考えられることにより、リカバリーが必要である旨、ホストコンピュータに通知する。なおメインCPU23は、このバッドスポットを記録したBST以外についても、DITを構成するFIT、LIOT等が再生結果と相違する場合、リカバリーが必要である旨、ホストコンピュータに通知する。
【0078】
メインCPU23は、このような長手トラック10Cより検出されるバッドスポットフラグを記録に残しながら、このようなリカバリーの必要性を通知した後、この再生の処理に係るホストコンピュータからの指示をそのまま継続して実行する。メインCPU23は、このような再生の処理を継続した状態で、ホストコンピュータから再生結果によるリカバリーの処理が指示されると、現在再生中のファイルについてEODまで再生し、一連の処理を完了してDITを更新する。これによりメインCPU23は、長手トラックにこの種のバッドスポットに係るデータを記録した場合には、斜めトラックを再生しながら長手トラックからバッドスポットを検出できると言う特徴を有効に利用して、リカバリーの処理を実行するようになされている。
【0079】
これに対してメインCPU23は、別途、ホストコンピュータからリカバリーの処理が指示されると、一連のリカバリー処理を実行する。図12は、図8との対比によりDITのリカバリー処理の説明に供する略線図である。すなわちメインCPU23は、リカバリー処理のコマンドがホスト装置より入力されると、このコマンドに付加されたリカバリー処理のモードを検出する。ここでこのモードがBST、FIT、LIOT等のDITを構成するデータの再構築を指示するものの場合、メインCPU23は、必要に応じて物理的な磁気テープ10の始端PBOTまで磁気テープ10を巻き戻しした後、早送り再生によりVSITを頭出しする。さらに矢印Aにより示すように、VSITを再生し、このVSITより再構築に係るDITについて、対応するユーザーデータであるファイルの位置を確認する。
【0080】
このようにして処理対象のファイル位置が検出されると、メインCPU23は、同様の早送りにより対応するファイルの記録開始位置BODまで磁気テープ10を走行させた後、矢印Bにより示すように、このファイルを再生する。メインCPU23は、この再生の際に、処理モードに係るDITファイルのパラメータを構築し、このファイルのEODが検出されると、このファイルに対応するDITを頭出しする。メインCPU23は、矢印Cにより示すように、再生の処理により取得した各種パラメータによりDITを記録し直し、これによりDITを再構築する。メインCPU23は、DITの再構築を終了すると、必要に応じて磁気テープを巻き戻してこの処理を終了する。
【0081】
このリカバリーの処理において、メインCPU23は、ホストコンピュータから高速サーチによるBSTのリカバリーが指示されると、早送り再生により長手トラック10Cを再生してバッドスポットのデータを取得し、このデータによりBSTを構築してDITを再構築する。これによりメインCPU23は、長手トラック10Cに記録したデータにあっては、斜めトラックに記録した場合と異なり、簡易な構成により磁気テープ10を早送りして再生できる特徴を有効に利用して短時間でリカバリーの処理を実行できるようになされている。
【0082】
(2)第1の実施の形態の動作
以上の構成において、このバックアップシステム1では(図1及び図2)、CPUユニット5の管理等により棚6Aに収納されたテープカセットがテープストリーマ3に装填された後、ローディングされ、順次固定ヘッド38により磁気テープ10の長手トラックであるIDトラック10B、CTLトラック10Aが磁気テープ10に記録される(図4及び図10)。これにより1トラックセットを単位としてタイムコードによるトラックセットIDが管理用データの1つとして磁気テープ10に記録される。さらにその後、磁気テープ10が巻き戻された後、リーダーテープより所定距離だけ走行した位置にVSITが記録され(図8)、これによりこのテープカセットのボリューム名等が記録されて初期化の処理が完了する。このようにして初期化されたテープカセットは、CPUユニット5の管理により棚6Aの所定位置に搬送されて収納される。
【0083】
これに対してホストコンピュータ8よりデータのバックアップが指示されると、CPUユニット5の管理により、テープストリーマ3に該当するテープカセットが装填されていない場合、対応するテープカセットが棚6Aより取り出されてテープストリーマ3にセットされる。またそれまでテープストリーマ3に装填されていたテープカセットについては、テープストリーマ3より排出されて棚6Aに収納される。
【0084】
このようにしてテープストリーマ3にテープカセットが装填されると、テープストリーマ3においては、磁気テープをローディングしてVSITを再生し、このVSITよりホストコンピュータ8により指示されたファイルをアクセス可能に磁気テープ10を走行させる。すなわち磁気テープ10に初めてのファイルを記録する場合には、VSITから所定の間隔を開けてDITを記録し、続いてホストコンピュータ8より出力されるデータを順次磁気テープ10に記録する。また以前に記録したファイルに追記する場合、VSITの記録を基準にして対応するファイルのDITを再生し、このDITより最後のブロックの終了端を検出し、この終了端より順次ホストコンピュータ8より入力されるデータを記録する。またホストコンピュータ8よりデータの再生が指示された場合、対応するファイルの位置をVSITより検出してDITをアクセスし、このDITの記録に従って磁気テープ10に記録されたデータを再生する(図9)。
【0085】
すなわち記録時においては、ECCエンコーダ25により順次入力されるユーザーデータに積符号形式による誤り訂正符号を付加した後(図6)、1トラックセットを構成する4本のトラックによりトラック間インターリーブされて(図5)、またワード間のインターリーブにより順次磁気テープ10に記録される。さらにバッファメモリ24に設定されたバンクを単位にして磁気テープ10に記録される。
【0086】
このときテープストリーマ3においては(図12)、磁気テープ10に形成される4本の記録トラックが1つのトラックセットに設定されて、バッファメモリ24のバンク制御により、1つのバンクに対応する例えば8つのトラックセットを単位にしてユーザーデータが順次記録される。また各トラックセットを特定可能に、ユーザーデータに割り当てたトラックセットで順次値が増大する論理IDが各トラックセットに設定されてユーザーデータが記録される。
【0087】
この記録の処理において、テープストリーマ3は、リードアフターライトの処理が実行され、誤り訂正困難なビット誤りの発生によりデータを正しく再生困難な場合、この8つのトラックセットによるバンクを単位にしてリトライの処理が繰り返される。これによりテープストリーマ3においては、高い信頼性により所望のデータを記録することができる。
【0088】
テープストリーマ3においては、このようにして正しくデータを再生できなかった部位については、磁気テープ10の長手トラックであるサブコードトラック10C(図11)にトラックセットとの対応により、バッドスポットフラグによるバッドスポットのデータが記録される。またこのバッドスポットによるトラックセットの論理IDが記録に残され、ファイルの記録終了後、磁気テープ10を巻き戻ししてDITに記録される。またこのとき必要に応じてVSITが更新される(図8及び図9)。これによりテープストリーマ3は、このVSIT、DITを検出してホストにより指示されたファイルをアクセス可能とされる。またバッドスポットについては、記録再生に使用しないようにしてその分高い信頼性により所望のデータを記録再生できるようにし、さらにはテープテンションを低下させて磁気ヘッドへの磁気テープの当たりを弱くし、これにより磁気ヘッドのクロッグを防止する。
【0089】
テープストリーマ3においては、このような磁気テープ10のアクセスにより磁気テープ10に記録されたデータを再生する場合、長手トラックであるサブコードトラック10Cにおけるバッドスポットの記録と、DITのBSTによるバッドスポットの記録とが比較される。ここでこの2つの記録に相違が見られる場合、この場合何らかの理由でこのファイルについては、DITを更新しないで記録を終了したと考えられる。すなわち磁気テープ10を素早くイジェクトしたい場合に、DITを更新しないうちにユーザーの指示により磁気テープ10をイジェクトした場合も考えられる。また、何らかの障害が発生した場合も考えられる。
【0090】
テープストリーマ3では、このようにして相違が検出されると、ホスト装置にリカバリー処理の必要を通知して処理を継続する。さらにこの通知により、ホスト装置より再生結果によるリカバリーの処理が指示されると、現在再生中のファイルについてEODまで再生し、一連の処理を完了してDITを記録し直す。すなわち長手トラックにこの種のバッドスポットに係るデータを記録した場合には、斜めトラックを再生しながら長手トラックからバッドスポットを検出することができる。すなわち簡易かつ確実にバッドスポットを検出することができる。これによりテープストリーマ3は、データの再生時間を有効に利用して、このデータの再生で併せてバッドスポットの位置を確認してリカバリーの処理を実行するようになされている。これによりテープストリーマ3においては、改めて磁気テープ10を再生してバッドスポットを検出しなくても、リカバリーの処理を実行することができ、その分簡易かつ確実にリカバリーの処理を実行することができる。
【0091】
これに対して別途、ホストコンピュータからBSTについてのリカバリーの処理が指示されると、テープストリーマ3では(図13)、磁気テープ10よりVSITが再生され、このVSITより再構築に係るDITについて、対応するユーザーデータであるファイルの位置が検出される。さらにこのファイルを再生して長手トラック10Cからバッドスポットが検出され、この検出結果によりDITが再構築される。この場合も、テープストリーマ3においては、長手トラック10Cに記録されたバッドスポットのデータよりバッドスポットの位置を検出できることにより、簡易かつ確実にバッドスポットを検出することができる。これによりテープストリーマ3では、例えば意図的にDITを更新しないでバックアップの処理を完了した後、例えばまとめてリカバリーの処理等を実行して使い勝手を向上することができる。
【0092】
テープストリーマ3は、このリカバリーの処理において、ホスト装置から高速サーチによるBSTのリカバリーが指示されると、早送り再生により長手トラック10Cを再生してバッドスポットのデータを取得し、このバッドスポットのデータよりDITを更新する。すなわち長手トラックに記録したデータにあっては、早送りしても確実に再生することができ、これによりテープストリーマ3では、リカバリーの処理を短時間で実行して使い勝手を向上することができる。
【0093】
(3)第1の実施の形態の効果
以上の構成によれば、バッドスポットの識別情報を磁気テープの長手トラックに記録することにより、従来に比して簡易かつ確実にバッドスポットを検出することができる。また必要に応じて、斜めトラックを再生しながらバッドスポットを検出することができ、また磁気テープを早送りしてバッドスポットを検出することができ、その分、使い勝手を向上することができる。
【0094】
(4)第2の実施の形態
図13は、図11との対比により本発明の第2の実施の形態に係るテープストリーマのバッドスポットの処理に係る要部を示すブロック図である。なおこの第2の実施の形態に係る説明においては、上述した第1の実施の形態に係る構成と同一の構成については、重複した説明は省略する。
【0095】
このテープストリーマ53では、磁気テープ10に代えて、テープカセット45の背面に配置されたICタグ46(図10参照)、又はCPUユニット等にVSIT、DITが記録されて保持される。これによりテープストリーマ3は、棚6A等に配置されたリーダライタ、カセット挿入口に配置されたリーダライタ等によりアクセスに係る磁気テープのVSIT、DITを取得し、又はCPUユニット等からアクセスに係る磁気テープのVSIT、DITを取得し、これらVSIT、DITにより磁気テープをアクセスする。また磁気テープへの記録が完了すると、同様のリーダライタを介してICタグ46に記録されたVSIT、DIT等を更新する。これによりテープストリーマ53では、いちいち磁気テープよりVSIT、DITを再生しなくても、磁気テープ10をアクセスできるように構成され、その分、アクセスに要する時間を短くできるようになされている。
【0096】
テープストリーマ53では、このようにしてICタグ46に記録するDITからBSTが除かれ、磁気テープ10の長手トラックであるサブコードトラック10Cにバッドスポットのデータが記録される。
【0097】
ここでテープストリーマ53において、システムコントローラ54及びメモリコントローラ52は、記録時、1トラックセットを単位にしてリードアフタライトの結果を判定し、1トラックセットを単位にしてリトライの処理を実行する。さらにリトライの処理を実行する場合には、記録用ヘッド38Aによりバッドスポットのデータをサブコードトラック10Cに記録する。
【0098】
テープストリーマ3では、バッドスポットのデータを記録するサブコードトラック10Cに加えて、再生専用の再生ヘッド38Bが配置される。ここでこの再生用ヘッド38Bは、記録用ヘッド38Aに比して、このテープストリーマ3におけるリトライの単位である1トラックセットに対応する磁気テープの走行距離の2倍の距離だけ先行する側に配置されるようになされている。これによりテープストリーマ3では、記録時においては、リードアフタライトの処理を待って長手トラック10Cに記録したバッドスポットのデータを、再生時においては、対応するトラックセットを再生する前に、先行して取得できるようになされている。
【0099】
すなわち図14(A)において対応する記録のタイミングを破線により関連付けて示すように、連続するトラックセットTS1、TS2、TS3により所望のデータを記録する場合、システムコントローラ54においては、例えばトラックセットTS2にユーザーデータを記録した後、リードアフターライトによりバッドスポットと判定すると、続くトラックセットTS3にユーザーデータを記録する際に、先のバッドスポットと判定したトラックセットTS3に対応するバッドスポットのデータを設定してユーザートラック10Cに記録する。また同様に、この続くトラックセットTS3がバッドスポットと判定されると、続くトラックセットTS4を記録するときに、併せてバッドスポットの記録をユーザートラック10Cに記録する。
【0100】
これに対して再生時、システムコントローラ54においては、図14(B)に示すように、先行する側に配置された再生用ヘッド38Bの再生信号を処理することにより、各トラックセットTS1、TS2、TS3の走査を開始する前に、それぞれ対応するバッドスポットのデータをサブコードトラック10Cより取得し、この取得したバッドスポットのデータにより動作を切り換える。
【0101】
図13及び図14の構成によれば、バッドスポットのデータを磁気テープの長手トラックに記録し、磁気テープに記録したBSTに代えてこの長手トラックに記録したバッドスポットのデータを基準にして磁気テープをアクセスすることにより、第1の実施の形態の効果に加えて、磁気テープよりVSIT、DIT等のデータを取得することなく、さらにはICタグ等よりバッドスポットのデータを取得することなく、バッドスポットを避けて磁気テープをアクセスすることができる。従ってその分、所望の磁気テープを短い時間でアクセスすることができる。
【0102】
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、8トラックセット又は1トラックセットをリトライの単位に設定して処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必要に応じて種々の数によるトラックセットを単位にしてリトライする場合、さらには種々の本数によるトラックを単位にしてリトライする場合に広く適用することができる。
【0103】
また上述の第2の実施の形態においては、サブコードトラックにバッドスポットのデータ等だけを記録する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、DITのデータを併せて記録し、例えばICタグ等に改めてDITのデータを記録しなくて良いようにしてもよい。
【0104】
また上述の実施の形態においては、搬送機構との組み合わせに係るテープストリーマに本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばホストコンピュータに直接接続する構成のテープストリーマにも広く適用することができる。
【0105】
また上述の実施の形態においては、コンピュータのデータを記録する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばビデオ信号、オーディオ信号を処理する場合にも広く適用することができる。
【0106】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、バッドスポットの識別情報を長手トラックに記録することにより、簡易かつ確実にバッドスポットを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るバックアップシステムを示す斜視図である。
【図2】図1のバックアップシステムを示すブロック図である。
【図3】図1のバックアップシステムのテープストリーマを示す正面図及び背面図である。
【図4】図3のテープストリーマによる記録フォーマットを示す略線図である。
【図5】図3のテープストリーマにおけるトラック間インターリーブの説明に供する略線図である。
【図6】図3のテープストリーマにおけるECCブロックの説明に供する略線図である。
【図7】図3のテープストリーマにおけるトラックセットの説明に供する略線図である。
【図8】図3のテープストリーマにおける磁気テープ全体の物理ボリュームの説明に供する略線図である。
【図9】図3のテープストリーマにおける各ボリュームの説明に供する略線図である。
【図10】図3のテープストリーマを示すブロック図である。
【図11】図3のテープストリーマのバッドスポットの処理に関連する要部を示すブロック図である。
【図12】リカバリーの処理の説明に供する略線図である。
【図13】図11との対比により第2の実施の形態に係るテープストリーマの要部を示すブロック図である。
【図14】記録時と再生時とのバッドスポットの処理の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
1……バックアップシステム、3、53……テープストリーマ、5……CPUユニット、6……搬送機構、8……ホストコンピュータ、10……磁気テープ、23……メインCPU部、24……バックアップメモリ、25……ECCエンコーダ、26……ECCデコーダ

Claims (4)

  1. 磁気テープに順次斜めトラックを形成して所望のデータを記録する磁気記録再生装置において、
    リードアフタライトの処理により、所定のトラック数又はトラックセット数による記録単位を単位にしてリトライの処理を実行すると共に、正しく再生できなかった領域をバッドスポットに設定し、
    前記磁気テープの長手方向に延長する長手トラックに、前記バッドスポットの識別情報を記録し、
    前記識別情報を前記長手トラックに記録する記録用ヘッドと、前記長手トラックに記録された前記識別情報を再生する再生用ヘッドとを有し、
    前記再生用ヘッドが前記記録用ヘッドに比して、少なくとも、前記記録単位の2倍分の長さに対応する距離だけ先行する側に配置された
    気記録再生装置。
  2. 前記長手トラックに記録された前記識別情報に基づいて、前記斜めトラックに記録されたデータを再生して出力する
    求項1に記載の磁気記録再生装置。
  3. 磁気テープに順次斜めトラックを形成して所望のデータを記録し、リードアフタライトの処理により、所定のトラック数又はトラックセット数による記録単位を単位にしてリトライの処理を実行すると共に、正しく再生できなかった領域をバッドスポットに設定するバッドスポットの処理方法において、
    前記磁気テープの長手方向に延長する長手トラックに、前記バッドスポットの識別情報を記録し、
    前記長手トラックに記録された前記識別情報を再生する再生用ヘッドを、前記識別情報を前記長手トラックに記録する記録用ヘッドに比して、少なくとも、前記記録単位の2倍分の長さに対応する距離だけ先行する側に配置する
    ッドスポットの処理方法。
  4. 前記長手トラックに記録された前記識別情報に基づいて、前記斜めトラックに記録されたデータを再生して出力する
    請求項3に記載のバッドスポットの処理方法。
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