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JP4137024B2 - 樹脂製シリンダヘッドカバー - Google Patents

樹脂製シリンダヘッドカバー Download PDF

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JP4137024B2
JP4137024B2 JP2004224705A JP2004224705A JP4137024B2 JP 4137024 B2 JP4137024 B2 JP 4137024B2 JP 2004224705 A JP2004224705 A JP 2004224705A JP 2004224705 A JP2004224705 A JP 2004224705A JP 4137024 B2 JP4137024 B2 JP 4137024B2
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Description

本発明は、内燃機関の可変動弁機構への作動油圧給排を制御するオイルコントロールバルブが装着される樹脂製シリンダヘッドカバーに関する。
内燃機関のタイミングスプロケットやタイミングプーリーなどに油圧駆動の可変動弁機構を設ける場合には、オイルコントロールバルブから可変動弁機構までの作動油圧給排油路はカムシャフトに設けることになる。
このようにカムシャフトに設けた油路に作動油圧を供給する構成として、オイルコントロールバルブ専用のバルブケースを、シリンダヘッドカバーの上部に開口させた挿入口の上部に取り付け、このバルブケース内にオイルコントロールバルブを挿入して固定する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
このような構成ではオイルコントロールバルブとカムキャップとの距離が大きくなるので、内部に油路を有する中間部材を、オイルコントロールバルブとカムキャップとの間に特別に配置している。このことによりオイルコントロールバルブからバルブケース、中間部材、カムキャップ、カムシャフトを介して可変動弁機構へ作動油圧の給排油路が形成されることになる。
特許第3525709号公報(第4−5頁、図3)
しかし、特許文献1の構成では、金属加工が前提であることからオイルコントロールバルブと共にバルブケース及び中間部材についても高精度な加工が必要となる。特に、バルブケースは、中間部材とオイルコントロールバルブとを共に油密状態で装着しなくてはならないので、少なくともこれら2つの装着部位において高精度な加工が必要である。しかも、同一のバルブケースに対する加工であるので、相互に装着部位に切削抵抗等の変形を生じるおそれがある。このため中間部材を含めたオイルコントロールバルブの装着精度が低下するおそれがある。更に狭い範囲での多数の高精度な金属加工を施すことから切り粉などの異物が残留するおそれが高くなる。
上述したシリンダヘッドカバーやバルブケースを、軽量化のために樹脂にて形成することを検討した場合には、切り粉などの異物が残留するという前述した金属加工上の問題の或程度の部分は解決される。
しかし樹脂製のシリンダヘッドカバーをシリンダヘッドへ取り付ける際には、金属に比較して剛性が低いため、シリンダヘッドカバーが変形したり歪みを生じたりして、これがバルブケースにも影響する。このため、たとえ装着部位が高精度に加工できていても、シリンダヘッドへの取り付け時の変形や歪みにより、装着部位の寸法精度が低下してオイルコントロールバルブが適切に装着できなくなったり、オイルコントロールバルブの作動に支障が生じるおそれがある。
本発明は、オイルコントロールバルブの装着部位の変形を防止できる樹脂製シリンダヘッドカバーの提供を目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の樹脂製シリンダヘッドカバーは、内燃機関の可変動弁機構への作動油圧給排を制御するオイルコントロールバルブが装着される樹脂製シリンダヘッドカバーであって、収納凹部を形成すると共に該収納凹部の一部がオイルコントロールバルブの挿入開口部を形成している樹脂製シリンダヘッドカバー本体と、前記樹脂製シリンダヘッドカバー本体を形成する樹脂よりも高剛性の材料にて形成され、前記収納凹部に配置されて内部空間を装着穴とし、該装着穴に装着されるオイルコントロールバルブのポートに接続するための油孔を有するスリーブと、前記収納凹部をカバーして前記樹脂製シリンダヘッドカバー本体に取り付けられることにより前記収納凹部に収納された前記スリーブを固定する樹脂製キャップとを備えたことを特徴とする。
本発明の構成では、高い加工精度が必要なのはオイルコントロールバルブが装着されるスリーブの装着穴であり、スリーブの装着穴以外は装着穴ほどの高い加工精度は不要である。したがって高精度な加工は極めて少なくなり、加工による負担は軽減する。更に複数の加工箇所間の影響も無くなり、切削抵抗等による装着穴の寸法精度上の影響もなくなる。
そしてこのスリーブは、樹脂製シリンダヘッドカバー本体を形成する樹脂よりも高剛性の材料にて形成されている。したがって、樹脂製シリンダヘッドカバー本体の収納凹部内にて樹脂製キャップにてカバーされて樹脂製シリンダヘッドカバーとして一体化されていても、樹脂製シリンダヘッドカバー本体側の変形や歪みの影響が、内部の装着穴に及びにくい。
このため樹脂製シリンダヘッドカバーをシリンダヘッドへ締結する時に樹脂製シリンダヘッドカバーに変形や歪みが生じたり、あるいはクリープ現象によって樹脂製シリンダヘッドカバーが変形する場合があっても、これらの変形や歪みに対抗して、スリーブ内部の装着穴の寸法精度は維持される。
このように本発明の樹脂製シリンダヘッドカバーは、オイルコントロールバルブの装着不良や作動不良などを引き起こすおそれのある装着部位の変形を防止できる。
請求項2に記載の樹脂製シリンダヘッドカバーでは、請求項1において、前記スリーブは金属材料にて形成されていることを特徴とする。
このように樹脂製シリンダヘッドカバー本体を形成する樹脂よりも高剛性の材料としては、金属材料を挙げることができる。金属材料にて高精度に装着穴を加工してスリーブを成形し、収納凹部に配置して樹脂製キャップにて固定することにより、オイルコントロールバルブを適切に装着することができるようになる。
請求項3に記載の樹脂製シリンダヘッドカバーでは、請求項1又は2において、前記収納凹部は、前記樹脂製シリンダヘッドカバー本体の内面側に形成され、一部がオイルコントロールバルブの挿入開口部として外面側に開放されていることを特徴とする。
収納凹部の形成位置は、樹脂製シリンダヘッドカバー本体の外面側でも内面側でも可能であるが、上述したごとく内面側に形成することで、樹脂製キャップは樹脂製シリンダヘッドカバー本体の内面側に取り付けることにより収納凹部内のスリーブを固定する状態となる。このため樹脂製キャップと収納凹部との間から作動油が漏出したとしても外部に漏れることはない。したがって、樹脂製シリンダヘッドカバー本体に対する樹脂製キャップの取り付けは、取り付け強度とスリーブへの密着固定のみ考慮すれば良く、取り付け作業が容易となる。
請求項4に記載の樹脂製シリンダヘッドカバーでは、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記樹脂製キャップは、前記スリーブに設けられた油孔に対応した位置に作動油を給排するための油孔又油路を形成していることを特徴とする。
このように樹脂製キャップは、スリーブに設けられた油孔に対応した位置に作動油を給排するための油孔又油路を形成することにより、オイルコントロールバルブに対して作動油を給排するための油孔又油路を形成する部品点数を少なくでき、軽量化や製造コストを低減できる。
請求項5に記載の樹脂製シリンダヘッドカバーでは、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記樹脂製キャップは、前記樹脂製シリンダヘッドカバー本体の収納凹部の周縁部と溶着によって接合されることにより、前記収納凹部内の前記スリーブを固定することを特徴とする。
このように樹脂製キャップは溶着により樹脂製シリンダヘッドカバー本体に接合して取り付けても良く、容易に収納凹部内のスリーブを固定することができる。
請求項6に記載の樹脂製シリンダヘッドカバーでは、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記スリーブの外周には、前記スリーブに設けられた油孔に対応した位置に油孔を有するゴム状弾性体からなる円筒状ガスケットが圧縮状態で配置されて、前記スリーブと、前記収納凹部及び前記樹脂製キャップとの間でのシールがなされていることを特徴とする。
このような円筒状ガスケットの圧縮状態は、樹脂製キャップの取り付け時に、樹脂製キャップにて圧力をかけつつ、円筒状ガスケットに覆われたスリーブを収納凹部内に配置することにより容易に実現できる。このようにゴム状弾性体からなる円筒状ガスケットをスリーブの周りに配置することにより、スリーブと樹脂製キャップとの間、及びスリーブと収納凹部との間を、容易にシールすることができる。
[実施の形態1]
図1の斜視図は上述した発明が適用されたシリンダヘッドカバー2の主要部を示している。図1の(A)は外観を示し、(B)はシリンダヘッドカバー2を裏返してみた斜視図である。図2の(A)は平面図、(B)は底面図である。尚、本シリンダヘッドカバー2が適用される内燃機関は吸気バルブのバルブタイミングと排気バルブのバルブタイミングとの両方を調節可能とするものである。
このシリンダヘッドカバー2では、図3の分解斜視図に示すごとく、樹脂製シリンダヘッドカバー本体4に設けられた2つの収納凹部6,8に対して、それぞれスリーブ10,12とゴム製の円筒状ガスケット14,16との組み合わせたものが配置されている。そして、樹脂製キャップ18,20が収納凹部6,8の周縁部6a,8aと溶着にて接合されている。このことによりスリーブ10,12と円筒状ガスケット14,16との組み合わせ物が収納凹部6,8内部に固定されている。
樹脂製シリンダヘッドカバー本体4は図4の斜視図(裏返した配置図)に示すごとく、樹脂にて一体成形されている。樹脂製シリンダヘッドカバー本体4の内面4a側に設けられた収納凹部6,8の内、第1収納凹部6は吸気バルブのバルブタイミングを調節するためのオイルコントロールバルブ(以下、「OCV」と称する)を装着し、第2収納凹部8は排気バルブのバルブタイミングを調節するためのOCVを装着するためである。
第1収納凹部6は半円筒状に形成されて、軸方向が吸気カムシャフト軸方向とは直交する方向に配置され、かつ樹脂製シリンダヘッドカバー本体4の頂板部4bに平行に配置されている。そして第1収納凹部6の先端側の一部がOCVの挿入開口部6bとして樹脂製シリンダヘッドカバー本体4の外面4c側に開放されている。
第2収納凹部8についても、基本的な形状は第1収納凹部6と同様であり、半円筒状に形成されて軸方向が吸気カムシャフト軸方向とは直交する方向に配置されている。ただし第1収納凹部6と異なり、挿入開口部8b側が斜め上方を向くように頂板部4bに対して傾けて配置されている。このことにより樹脂製シリンダヘッドカバー本体4の外面4c側に挿入開口部8bが開放されている。
これら収納凹部6,8内にそれぞれ配置されているスリーブ10,12は図5に示すごとくである。ここで(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は斜視図、(E)は左側面図、(F)は右側面図である。更に、スリーブ10,12を覆うゴム製の円筒状ガスケット14,16は図6に示すごとくである。ここで(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は斜視図、(E)は左側面図である。尚、スリーブ10,12の装着穴10a,12aに装着されるOCV22,24は図7に示すごとくである。ここで(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は斜視図、(E)は右側面図、(F)は背面図である。
本実施の形態では、スリーブ10,12は金属製であり円筒状に形成されている。スリーブ10,12を構成している金属材料は、OCV22,24のスプールハウジング22a,24aと略同一の熱膨張率の材料、具体的にはアルミニウム合金にて形成されている。尚、スリーブ10,12はOCV22,24のスプールハウジング22a,24aと全く同一の金属材料にて形成しても良い。
スリーブ10,12には、OCV22,24のスプールハウジング22a,24aに設けられた5つのポートp1,p2,p3,p4,p5に対応した位置に、内側の装着穴10a,12aから外側に貫通する孔が開口されることで油孔s1,s2,s3,s4,s5が形成されている。スリーブ10,12のOCV挿入端10b,12bの内側にはOCV22,24の装着作業を容易にするためのテーパー面10c,12cが形成されている。
このスリーブ10,12の外周面を覆う円筒状ガスケット14,16は、スリーブ10,12の油孔s1〜s5に対応した位置に貫通孔g1,g2,g3,g4,g5を備え、更に円筒状ガスケット14,16の外周面には貫通孔g1〜g5の周りに突条h1が網目状に形成されている。更にOCV22,24の挿入側の端部近くに全周に渡る突条h2が形成されている。尚、各突条h1,h2は図においてそれぞれ塗りつぶして示しているが、円筒状のガスケット本体14a,16aと共にゴムにて一体成形されている。
この突条h1,h2により、スリーブ10,12と円筒状ガスケット14,16との組み合わせ物が収納凹部6,8と樹脂製キャップ18,20との間に挟持された場合に、スリーブ10,12の外周面と収納凹部6,8及び樹脂製キャップ18,20の内周面との間にて油孔s1〜s5に対するシールが行われる。更に樹脂製シリンダヘッドカバー本体4の外部との間でのシールが行われる。
収納凹部6,8は長さ方向においてスリーブ10,12の長さと同じであり、径方向においては、スリーブ10,12と円筒状ガスケット14,16との組み合わせ物の直径よりもわずかに小さい直径となっている。したがってスリーブ10,12と円筒状ガスケット14,16との組み合わせ物を、円筒状ガスケット14,16の突条h1,h2を押し縮めながら、収納凹部6,8に挿入する。このことにより、図8に示すごとく収納凹部6,8内に、スリーブ10,12と円筒状ガスケット14,16との組み合わせ物を配置することができる。
そして収納凹部6,8との間で、スリーブ10,12と円筒状ガスケット14,16との組み合わせ物を挟むようにして、樹脂製キャップ18,20を収納凹部6,8に対して溶着して接合する。このことにより図1に示したごとくOCV22,24が装着可能なシリンダヘッドカバー2が完成する。
ここで樹脂製キャップ18,20について説明する。第1樹脂製キャップ18を図9に示す。図9において(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は斜視図、(E)は左側面図、(F)は背面図である。尚、ガスケット28aは(A)(D)のみに配置して示している。
この第1樹脂製キャップ18は、樹脂(本実施の形態では樹脂製シリンダヘッドカバー本体4と同一の樹脂)にて一体成形されたものであり、半円筒状のキャップ本体26と接続部28とを備えている。キャップ本体26の頂部には接続部28に渡って、第1スリーブ10の油孔s4,s5に対応する中間油路30,32が形成されている。この中間油路30,32は接続部28内を軸位置をずらしながら形成されており、接続部28先端の開口部30a,32aはキャップ本体26の軸方向とは直交する方向にずらされている。
キャップ本体26の基端縁部26aの一方には半円状に2つの排出油路34,36が形成されている。この排出油路34,36は、第1樹脂製キャップ18の基端縁部26aを、第1収納凹部6の周縁部6aに溶着させた場合に、周縁部6aの一方に設けられている排出油路6c,6dと共に排出油路60,62(図1)を形成する。この排出油路60,62は第1スリーブ10の油孔s1,s3に対応するものであり、シリンダヘッドカバー2内に作動油を排出するものである。
2つの排出油路34,36の間には、内側に凹状に供給油路37が形成されている。この供給油路37は第1収納凹部6の内周面に設けられた凹状の供給油路6eと共に作動油圧の供給を受けるものである。
第2樹脂製キャップ20を図10に示す。図10において(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は斜視図、(E)は左側面図、(F)は右側面図、(G)は背面図である。尚、ガスケット40aは(A)(D)のみに配置して示している。
この第2樹脂製キャップ20は、樹脂(本実施の形態では樹脂製シリンダヘッドカバー本体4と同一の樹脂)にて一体成形されたものであり、半円筒状のキャップ本体38と接続部40とを備えている。キャップ本体38の頂部には接続部40に渡って、第2スリーブ12の油孔s4,s5に対応する中間油路42,44が形成されている。この中間油路42,44は接続部40内を軸位置をずらしながら形成されており、接続部40先端の開口部42a,44aはキャップ本体38の軸方向とは直交する方向にずらされている。
キャップ本体38の基端縁部38aの一方には半円状に2つの排出油路45,46が形成されている。この排出油路45,46は、第2樹脂製キャップ20の基端縁部38aを、第2収納凹部8の周縁部8aに溶着させた場合には、周縁部8aの一方に設けられている排出油路8c,8d及び排出凹部48と共に排出油路63,64を形成する。尚、第2樹脂製キャップ20の排出油路45と第2収納凹部8の排出油路8cとの組み合わせのみでは、シリンダヘッドカバー2内に作動油を排出できないので排出凹部48が設けられている。
2つの排出油路45,46の間には、内側に凹状に供給油路47が形成されている。この供給油路47は第2収納凹部8の内周面に設けられた凹状の供給油路8eと共に作動油圧の供給を受けるものである。
これらの各構成により図1のごとくのシリンダヘッドカバー2が形成される。このシリンダヘッドカバー2を図11の断面図に示すごとくシリンダヘッド50に固定する。このことにより、第1樹脂製キャップ18の接続部28が吸気カムシャフト52用のカムキャップ54の頂面に当接して、中間油路30がカムキャップ油路54aを介して遅角油路52aに接続し、中間油路32がカムキャップ油路54bを介して進角油路52bに接続する。この時、接続部28の先端に設けられたガスケット28aにより当接面から作動油が漏れないようにシールがなされる。このことにより中間油路30に接続している第1スリーブ10の油孔s4が遅角油路52a側に接続され、中間油路32に接続している第1スリーブ10の油孔s5が進角油路52b側に接続される。
更に第2樹脂製キャップ20の接続部40が排気カムシャフト56用のカムキャップ58の頂面に当接して、中間油路42がカムキャップ油路58aを介して遅角油路56aに接続し、中間油路44がカムキャップ油路58bを介して進角油路56bに接続する。この時、接続部40の先端に設けられたガスケット40aにより当接面から作動油が漏れないようにシールがなされる。このことにより中間油路42に接続している第2スリーブ12の油孔s4が遅角油路56a側に接続され、中間油路44に接続している第2スリーブ12の油孔s5が進角油路56b側に接続される。
尚、第1スリーブ10の油孔s2に接続している第1樹脂製キャップ18の供給油路37及び第1収納凹部6の供給油路6eは、供給油路6e側にて分配油路66aに接続して作動油圧供給油路66側から作動油圧を供給されている。そして第2スリーブ12の油孔s2に接続している第2樹脂製キャップ20の供給油路47及び第2収納凹部8の供給油路8eは、供給油路8eにて分配油路66bに接続して作動油圧供給油路66側から作動油圧を供給されている。図11に示したごとくシリンダヘッドカバー2がシリンダヘッド50に取り付けられた際には、樹脂製シリンダヘッドカバー本体4の内面に突出する油圧コネクタ68がシリンダヘッド50側の油圧供給部50aに接続される。このため油圧コネクタ68から作動油圧供給油路66へ作動油圧が供給され、各スリーブ10,12の油孔s2側に作動油圧が供給可能となる。尚、図11において円筒状ガスケット14,16は全体を塗りつぶして示している。
このようにシリンダヘッド50上に取り付けられたシリンダヘッドカバー2に対して、第1収納凹部6内部の第1スリーブ10の装着穴10a内に挿入開口部6b側からOCV22のスプールハウジング22aを挿入してボルトなどで樹脂製シリンダヘッドカバー本体4側に固定する。このことで、OCV22の各ポートp1〜p5が油孔s1〜s5に接続する。
更に、第2収納凹部8内部の第2スリーブ12の装着穴12a内に挿入開口部8b側からOCV24のスプールハウジング24aを挿入してボルトなどで樹脂製シリンダヘッドカバー本体4側に固定する。このことで、OCV24の各ポートp1〜p5が油孔s1〜s5に接続する。
こうして図12のごとくOCV22,24が装着される。そして、このOCV22,24に対して、ECU(電子制御ユニット)74により、エンジンの運転状態に応じて電磁ソレノイド部22b,24bに対する励磁電流を制御する。このことで作動油圧供給油路66及び分配油路66a,66bから油孔s2を介してスプールハウジング22a,24aのポートp2へ供給されてくる作動油圧を、油孔s4,s5の一方に供給し他方から油孔s1,s3側へ排出する。こうして中間油路30,32,42,44、カムキャップ油路54a,54b,58a,58b及びカムシャフト52,56内に設けられた各油路52a,52b,56a,56bを介して可変動弁機構70,72に対する作動油圧の給排が実行される。
例えば、中間油路30,42、カムキャップ油路54a,58a及び油路52a,56aを介して可変動弁機構70,72に作動油圧が供給され、中間油路32,44、カムキャップ油路54b,58b及び油路52b,56bを介して作動油圧が排出されると可変動弁機構70,72は遅角側に駆動される。このことで、タイミングスプロケットに対するカムシャフト52,56の回転位相が遅れ側にずれてバルブタイミングが遅角する。
この逆に中間油路32,44、カムキャップ油路54b,58b及び油路52b,56bを介して可変動弁機構70,72に作動油圧が供給され、中間油路30,42、カムキャップ油路54a,58a及び油路52a,56aを介して作動油圧が排出されると可変動弁機構70,72は進角側に駆動される。このことで、タイミングスプロケットに対するカムシャフト52,56の回転位相が進み側にずれてバルブタイミングが進角する。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).本実施の形態の構成では、高い加工精度が必要なのはOCV22,24が装着されるスリーブ10,12における装着穴10a,12aであり、これ以外は装着穴10a,12aほどの高い加工精度は不要である。したがって高精度な加工は極めて少なくなり、加工による負担は軽減する。更に複数の加工箇所間の影響も無くなり、切削抵抗等による装着穴10a,12aの寸法精度上の影響もなくなる。
更にこのスリーブ10,12は、樹脂製シリンダヘッドカバー本体4を形成する樹脂よりも高剛性の材料、ここでは金属であるアルミニウム合金にて形成されている。したがって、樹脂製シリンダヘッドカバー本体4の収納凹部6,8内にて、樹脂製キャップ18,20にて覆われて樹脂製シリンダヘッドカバー2に一体化されていても、樹脂製シリンダヘッドカバー2側の変形や歪みの影響が、内部の装着穴10a,12aに及びにくい。
このため樹脂製シリンダヘッドカバー2をシリンダヘッド50へ締結する時に樹脂製シリンダヘッドカバー2に変形や歪みが生じたり、あるいはクリープ現象によって樹脂製シリンダヘッドカバー2が変形する場合があっても、これらに対抗でき、装着穴10a,12aの寸法精度は維持される。
このように本実施の形態の樹脂製シリンダヘッドカバー2は、OCV22,24の装着不良や作動不良などを引き起こすおそれのある装着部位の変形を防止できる。
(ロ).収納凹部6,8は、樹脂製シリンダヘッドカバー本体4の内面4a側に形成されている。このため樹脂製キャップ18,20は樹脂製シリンダヘッドカバー本体4の内面4a側に接合されることで収納凹部6,8内のスリーブ10,12を固定することになる。このため樹脂製キャップ18,20と樹脂製シリンダヘッドカバー本体4との間から作動油が漏出したとしても外部に漏れることがない。したがって樹脂製シリンダヘッドカバー本体4に対する樹脂製キャップ18,20の接合は、接合強度とスリーブ10,12への密着固定のみ考慮すれば良く、接合作業に高精度を要せず接合作業が容易となる。
(ハ).樹脂製キャップ18,20は、スリーブ10,12に設けられた油孔s4,s5に対応した位置に作動油を給排するための中間油路30,32,42,44を形成している。このことにより、OCV22,24側から可変動弁機構70,72側への作動油給排のための油路を形成する部品点数を少なくでき、軽量化や製造コスト低減が可能となる。
又、本実施の形態では、供給油路6e,8e,37,47及び油孔に相当する排出油路60,62,63,64についても、収納凹部6,8と樹脂製キャップ18,20とにより形成している。このことから、更に部品点数を少なくでき、軽量化や製造コストを低減できる。
(ニ).樹脂製キャップ18,20と収納凹部6,8とは、基端縁部26a,38aと周縁部6a,8aとの溶着により接合されている。このことにより容易に収納凹部6,8内のスリーブ10,12を固定することができる。
(ホ).スリーブ10,12の外周には、スリーブ10,12に設けられた油孔s1〜s5に対応した位置に油孔としての貫通孔g1〜g5を有するゴム状弾性体、ここではゴム製の円筒状ガスケット14,16が厚み方向にて圧縮状態で配置されている。このことによりスリーブ10,12と、収納凹部6,8及び樹脂製キャップ18,20との間でのシールがなされている。
このような円筒状ガスケット14,16の圧縮状態は、樹脂製キャップ18,20の接合時に、樹脂製キャップ18,20にて、円筒状ガスケット14,16にて覆ったスリーブ10,12に対して圧力をかけつつ収納凹部6,8内に配置することにより容易に実現できる。このようにゴム状弾性体からなる円筒状ガスケット14,16をスリーブ10,12の周りに配置することにより、スリーブ10,12と樹脂製キャップ18,20との間、及びスリーブ10,12と収納凹部6,8との間を、容易にシールすることができる。
[実施の形態2]
本実施の形態の樹脂製シリンダヘッドカバー102を図13の斜視図に示す。本実施の形態では第1収納凹部106も第2収納凹部108も共に樹脂製シリンダヘッドカバー本体104の頂板部104bに対して傾けて一体成形されている。他の構成は基本的に前記実施の形態1と同じである。
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)〜(ホ)の効果を生じる。
(ロ).カムシャフト及びカムキャップ側の油路を吸気側も排気側も同一配置とすれば、第1収納凹部106も第2収納凹部108も同一形状の樹脂製キャップを用いることができるので、部品が共通化でき、コストが低減できる。
[実施の形態3]
本実施の形態の樹脂製シリンダヘッドカバー202を図14の斜視図に示す。本実施の形態では第1収納凹部206も第2収納凹部208も共に樹脂製シリンダヘッドカバー本体204の頂板部204bに対して平行に一体成形されている。ただし第1収納凹部206と第2収納凹部208とではOCVの装着のために頂板部204bにおける高さが異なっている。他の構成は基本的に前記実施の形態1と同じである。
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)〜(ホ)の効果を生じる。
(ロ).前記実施の形態2の(ロ)の効果を生じる。
[実施の形態4]
本実施の形態の樹脂製シリンダヘッドカバー302を図15の斜視図に示す。本実施の形態では第1収納凹部306も第2収納凹部308も共に樹脂製シリンダヘッドカバー本体304の頂板部304bに対して平行であるが、OCVの装着方向が逆に配置されて一体成形されている。したがって第1収納凹部306と第2収納凹部308とで、前記実施の形態3のようにOCVの装着のために頂板部304bにおける高さを変える必要がない。他の構成は基本的に前記実施の形態1と同じである。
以上説明した本実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)〜(ホ)の効果を生じる。
(ロ).カムシャフト及びカムキャップ側の油路配置を調節することで、第1収納凹部306も第2収納凹部308も同一形状の樹脂製キャップを用いることができるので、部品が共通化でき、コストが低減できる。
更に樹脂製シリンダヘッドカバー302の高さを抑制することができる。
[実施の形態5]
本実施の形態の樹脂製シリンダヘッドカバー402を図16の斜視図に示す。本実施の形態では第1収納凹部406と第2収納凹部408とはOCVの装着方向が逆であるとともに、それぞれ樹脂製シリンダヘッドカバー本体404の頂板部404bに対して傾けられて一体成形されている。したがって第1収納凹部406と第2収納凹部408とで、前記実施の形態3のようにOCVの装着のために頂板部404bにおける高さを変える必要がない。他の構成は基本的に前記実施の形態1と同じである。
以上説明した本実施の形態5によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)〜(ホ)の効果を生じる。
(ロ).カムシャフト及びカムキャップ側の油路配置を調節することで、第1収納凹部406も第2収納凹部408も同一形状の樹脂製キャップを用いることができるので、部品が共通化でき、コストが低減できる。
更に樹脂製シリンダヘッドカバー402の高さを抑制することができるとともに、頂板部404bが水平にシリンダヘッドに取り付けられても、装着されたOCVのスプールハウジング側が下向きとなる。このため、漏出した作動油が樹脂製シリンダヘッドカバー402内部に確実に排出されるようになり、外部への作動油漏出をより確実に防止できる。
[実施の形態6]
本実施の形態の樹脂製シリンダヘッドカバー502を図17の斜視図に示す。本実施の形態では第1収納凹部506と第2収納凹部508とはOCVの装着方向が逆であるとともに、完全に樹脂製シリンダヘッドカバー502内部に収納されている。他の構成は基本的に前記実施の形態1と同じである。
以上説明した本実施の形態6によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)〜(ホ)の効果を生じる。
(ロ).前記実施の形態4の(ロ)の効果を生じると共に、樹脂製シリンダヘッドカバー502内にスペース的に余裕があれば、本実施の形態のごとくの構成により、OCVを装着できる樹脂製シリンダヘッドカバー502であっても、高さを変更させないようにできる。
[その他の実施の形態]
(a).前記各実施の形態では樹脂製キャップは収納凹部に対して溶着により接合されたが、これ以外の接合により収納凹部に樹脂製キャップを固定しても良い。例えば、接着剤によって接合しても良い。あるいは接着剤と溶着との両方を用いても良い。
(b).図1における第1収納凹部あるいは図14における両収納凹部は水平状態にて図示していたが、ここに装着される実際のOCVの姿勢がOCVの先端側、すなわちスプールハウジング側が水平面に対して下向きに傾くように樹脂製シリンダヘッドカバーをシリンダヘッドに配置しても良い。このようにしてOCVの先端側を下向きに傾かせることにより、装着穴とスプールハウジングとのクリアランスを介してわずかに漏れる作動油を、より確実にシリンダヘッドカバー内に排出することができる。更に、スリーブと収納凹部及び樹脂製キャップとの間で漏れた場合の作動油についても同様により確実にシリンダヘッドカバー内に排出することができる。
(c).前記各実施の形態において、樹脂製キャップは収納凹部の周縁部に接合したが、樹脂製キャップの内周面が円筒状ガスケットに対して密着押圧して、スリーブを固定できれば良く、収納凹部の周縁部以外の部分で樹脂製シリンダヘッドカバー本体に樹脂製キャップを接合させても良い。
実施の形態1のシリンダヘッドカバーの主要部を示す斜視図。 同じくシリンダヘッドカバーの主要部を示す構成説明図。 同じくシリンダヘッドカバーの主要部の分解斜視図。 同じく樹脂製シリンダヘッドカバー本体の収納凹部周辺の斜視図。 同じくスリーブの構成説明図。 同じく円筒状ガスケットの構成説明図。 同じくOCVの構成説明図。 同じく収納凹部にスリーブと円筒状ガスケットとの組み合わせ物を配置した状態を示す斜視図。 同じく第1樹脂製キャップの構成説明図。 同じく第2樹脂製キャップの構成説明図。 同じくシリンダヘッドに樹脂製シリンダヘッドカバーを取り付けた状態を示す縦断面図。 同じくOCVの配置状態と制御系統を示す斜視図。 実施の形態2の樹脂製シリンダヘッドカバーの主要部を示す斜視図。 実施の形態3の樹脂製シリンダヘッドカバーの主要部を示す斜視図。 実施の形態4の樹脂製シリンダヘッドカバーの主要部を示す斜視図。 実施の形態5の樹脂製シリンダヘッドカバーの主要部を示す斜視図。 実施の形態6の樹脂製シリンダヘッドカバーの主要部を示す斜視図。
符号の説明
2…樹脂製シリンダヘッドカバー、4…樹脂製シリンダヘッドカバー本体、4a…内面、4b…頂板部、4c…外面、6…第1収納凹部、6a…周縁部、6b…挿入開口部、6c,6d…排出油路、6e…供給油路、8…第2収納凹部、8a…周縁部、8b…挿入開口部、8c,8d…排出油路、8e…供給油路、10…第1スリーブ、10a,12a…装着穴、10b,12b…OCV挿入端、10c,12c…テーパー面、12…第2スリーブ、14,16…円筒状ガスケット、14a,16a…ガスケット本体、18…第1樹脂製キャップ、20…第2樹脂製キャップ、22,24…OCV、22a,24a…スプールハウジング、22b,24b…電磁ソレノイド部、22c,24c…Oリング、26…キャップ本体、26a…基端縁部、28…接続部、28a…ガスケット、30,32…中間油路、30a,32a…先端の開口部、34,36…排出油路、37…供給油路、38…キャップ本体、38a…基端縁部、40…接続部、40a…ガスケット、42,44…中間油路、42a,44a…先端の開口部、45,46…排出油路、47…供給油路、48…排出凹部、50…シリンダヘッド、50a…油圧供給部、52…吸気カムシャフト、52a,56a…油路、52a…遅角油路、52b…進角油路、54…カムキャップ、54a,54b…カムキャップ油路、56…排気カムシャフト、56a…遅角油路、56b…進角油路、58…カムキャップ、58a,58b…カムキャップ油路、60,62,63,64…排出油路、66…作動油圧供給油路、66a,66b…分配油路、68…油圧コネクタ、70,72…可変動弁機構、74…ECU、102…樹脂製シリンダヘッドカバー、104…樹脂製シリンダヘッドカバー本体、104b…頂板部、106…第1収納凹部、108…第2収納凹部、202…樹脂製シリンダヘッドカバー、204…樹脂製シリンダヘッドカバー本体、204b…頂板部、206…第1収納凹部、208…第2収納凹部、302…樹脂製シリンダヘッドカバー、304…樹脂製シリンダヘッドカバー本体、304b…頂板部、306…第1収納凹部、308…第2収納凹部、402…樹脂製シリンダヘッドカバー、404…樹脂製シリンダヘッドカバー本体、404b…頂板部、406…第1収納凹部、408…第2収納凹部、502…樹脂製シリンダヘッドカバー、506…第1収納凹部、508…第2収納凹部、g1,g2,g3,g4,g5…貫通孔、h1,h2…突条、p1,p2,p3,p4,p5…ポート、s1,s2,s3,s4,s5…油孔。

Claims (6)

  1. 内燃機関の可変動弁機構への作動油圧給排を制御するオイルコントロールバルブが装着される樹脂製シリンダヘッドカバーであって、
    収納凹部を形成すると共に該収納凹部の一部がオイルコントロールバルブの挿入開口部を形成している樹脂製シリンダヘッドカバー本体と、
    前記樹脂製シリンダヘッドカバー本体を形成する樹脂よりも高剛性の材料にて形成され、前記収納凹部に配置されて内部空間を装着穴とし、該装着穴に装着されるオイルコントロールバルブのポートに接続するための油孔を有するスリーブと、
    前記収納凹部をカバーして前記樹脂製シリンダヘッドカバー本体に取り付けられることにより前記収納凹部に収納された前記スリーブを固定する樹脂製キャップと、
    を備えたことを特徴とする樹脂製シリンダヘッドカバー。
  2. 請求項1において、前記スリーブは金属材料にて形成されていることを特徴とする樹脂製シリンダヘッドカバー。
  3. 請求項1又は2において、前記収納凹部は、前記樹脂製シリンダヘッドカバー本体の内面側に形成され、一部がオイルコントロールバルブの挿入開口部として外面側に開放されていることを特徴とする樹脂製シリンダヘッドカバー。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記樹脂製キャップは、前記スリーブに設けられた油孔に対応した位置に作動油を給排するための油孔又油路を形成していることを特徴とする樹脂製シリンダヘッドカバー。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記樹脂製キャップは、前記樹脂製シリンダヘッドカバー本体の収納凹部の周縁部と溶着によって接合されることにより、前記収納凹部内の前記スリーブを固定することを特徴とする樹脂製シリンダヘッドカバー。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記スリーブの外周には、前記スリーブに設けられた油孔に対応した位置に油孔を有するゴム状弾性体からなる円筒状ガスケットが圧縮状態で配置されて、前記スリーブと、前記収納凹部及び前記樹脂製キャップとの間でのシールがなされていることを特徴とする樹脂製シリンダヘッドカバー。
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