JP4135577B2 - 温度測定装置及びそれを用いた空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線を検知する検知手段を用いて放射温度分布を測定する温度測定装置及びそれを用いた空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の温度測定装置として、室内空間に設置された検知手段のセンサ部を回動して、赤外線の光量信号と回動時の位置信号とから室内空間の温度分布を測定するものがある。その温度分布に応じて空気調和装置が制御され、室内の温度分布が均一に保持される。
【0003】
このような温度測定装置のセンサ部は、赤外線センサと、該赤外線センサの前に設けられて赤外線を赤外線センサに集光するフレネルレンズとを有している。
【0004】
この温度測定装置において、室内空気がフレネルレンズに直接に接するので、フレネルレンズの透過率等の要因から、該フレネルレンズと赤外線センサとの間に温度差が生じる。この結果、赤外線センサが人などの赤外線をそのまま検知しないという問題があった。特に、空気調和装置の起動時のように、室内の温度が大きく変動するときには、室内の空気に直接面するセンサ部のフレネルレンズ自体の温度と赤外線センサ自体の温度とに差が生じることが多い。赤外線センサはフレネルレンズから放射される赤外線も感知するため、この温度差のある状態では、赤外線センサによって得られた出力信号による測定温度は、実際の室内の温度とは異なる誤差を含んだものとなる。
【0005】
そこで、従来、例えば特許文献1に示される温度測定装置のように、フレネルレンズの裏面に温度センサを設け、この温度センサによってフレネルレンズ自体の温度を直接測定し、赤外線センサから得られる出力信号による測定温度を補正するものが知られている。
【0006】
しかし、このようなフレネルレンズ自体の温度を直接測定するものでは、フレネルレンズの温度を測定するために、新たに温度センサが必要となる上、熱容量の小さいフレネルレンズの温度を正確に測定することは困難である。
【0007】
一方、ドーム状の保護カバーを設けてフレネルレンズを含むセンサ部を室内の雰囲気から遮断し、センサ部が室内の温度変化や埃等による汚れの影響を受けないようにするものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、例えば、特許文献3では、赤外線センサの走査範囲内の温度測定装置と離れた位置に温度基準体を配置し、この温度基準体に設けられた温度センサにより、温度基準体の表面温度を検出して温度測定装置の赤外線センサから得られる出力信号による測定温度を補正するものが知られている。
【0009】
【特許文献1】
特開平2−196933号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平6−147999号公報
【0011】
【特許文献3】
特公平5−70055号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のセンサ部を覆う保護カバーを設けるものでは、センサ部全体は均一な温度に維持されるものの、保護カバーとセンサ部との間で新たに温度差が生じる。この結果、センサ部の測定温度に誤差が生じるという問題があった。
【0013】
また、上記温度基準体の表面温度を検出するものでは、温度基準体を別途設けなければならず、構造が複雑となり、コストがかかるという問題がある。
【0014】
さらに、保護カバーの温度は、保護カバー外部の雰囲気温度及び保護カバーの接する取付機器の表面温度の影響を受けるため、温度基準体等による室内温度測定のみでは不十分で、保護カバー自体の温度を正確に測定する必要がある。一方、保護カバー自体の温度を測定する方法としては、サーミスタ等の使用も考えられるが、赤外線透過率を高める目的から、保護カバーは非常に薄く、その熱容量は小さいため、正確に保護カバーの温度を測定することは難しい。
【0015】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、センサ部を覆う保護カバーの温度を測定する構成に工夫を加えることにより、新規の温度センサ等を追加することなく、誤差の少ない温度測定が行える温度測定装置及びそれを備えた空気調和装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、対象空間の赤外線を検知する検知手段(20)を備え、対象空間の温度を測定する温度測定装置を対象とする。
【0017】
そして、上記検知手段(20)は、赤外線を感知する回動自在なセンサ部(30)と、このセンサ部(30)を覆うカバー体(40)とを備え、このカバー体(40)には、センサ部(30)が対象空間の赤外線を感知するための測定領域(42)と、センサ部(30)がカバー体(40)の赤外線を感知するように測定領域(42)の赤外線透過率よりも赤外線透過率が低い低透過領域(41)とが形成される一方、センサ部(30)がカバー体(40)の測定領域(42)を介して感知した赤外線の出力信号からセンサ部( 30 )が感知したカバー体( 40 )の低透過領域( 41 )の赤外線の出力信号を減算補正する補正手段(51)を備えている。
【0018】
上記の構成によると、検知手段(20)のセンサ部(30)は、回動されて対象空間の赤外線を感知する。センサ部(30)を保護するカバー体(40)の低透過領域(41)は赤外線を通し難い。センサ部(30)はこのカバー体(40)の低透過領域(41)を介してカバー体(40)の赤外線を感知する。一方、カバー体(40)の測定領域(42)は低透過領域(41)に比べて赤外線を通し易い。センサ部(30)はこのカバー体(40)の測定領域(42)を介して対象空間の赤外線を感知する。センサ部(30)がカバー体(40)の測定領域(42)を介して感知した赤外線の出力信号は、センサ部(30)が感知したカバー体(40)の低透過領域(41)の赤外線の出力信号に基づいて補正手段(51)によって減算補正される。このことで、温度測定装置は対象空間の温度を測定する。
【0019】
請求項2の発明では、検知手段(20)は、センサ部(30)を回動させる走査機構(22)を備え、センサ部(30)と走査機構(22)とカバー体(40)とが一体に形成されるものとする。
【0020】
上記の構成によると、センサ部(30)は走査機構(22)によって回動される。検知手段(20)のセンサ部(30)と走査機構(22)とカバー体(40)とが1つのユニットとして取り付けられ又は取り外される。
【0021】
請求項3の発明では、走査機構(22)は、互いに直交する2つの軸を中心にセンサ部(30)を回動させるように構成され、カバー体(40)は、センサ部(30)の2つの回動軸の少なくともいずれか1つの回動軸を中心に回動するように構成されている。
【0022】
上記の構成によると、センサ部(30)は、走査機構(22)によって互いに直交する2つの軸を中心に回動される。このセンサ部(30)の2つの回動軸の少なくともいずれか1つの回動軸を中心にカバー体(40)が回動する。
【0023】
請求項4の発明では、上記請求項1から3のいずれか1項の温度測定装置を備えている。この構成では、対象空間に設置された検知手段(20)のセンサ部(30)が対象空間を走査し、赤外線の出力信号から対象空間の温度分布を測定し、その温度分布に応じて空気調和装置が制御される。
【0024】
請求項5の発明では、天井埋込形又は天井吊下型の室内機(10)を備え、温度測定装置は、室内機(10)の前面パネル(12)の開口(15)から温度を測定するように構成されている一方、温度測定装置におけるカバー体(40)の低透過領域(41)は、前面パネル(12)から真下に向かう部分に形成されるものとする。
【0025】
上記の構成によると、温度測定装置は、天井埋込形又は天井吊下型の室内機(10)の前面パネル(12)に設けられ、天井側から下側に向けられる状態で赤外線を感知して温度を測定する。室内機(10)の空調が直接届かない対象空間に対応するカバー体(40)の下側部分にカバー体(40)の低透過領域(41)が形成されている。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものでは全くない。
【0027】
図1に本願発明の実施形態に係るセパレート型の空気調和装置の室内機(10)を示す。この室内機(10)は、室内の天井に埋設配置される天井埋込型の室内機(10)である。室内機(10)は、天井の上側に埋設配置される矩形箱状のケーシング(11)と該ケーシング(11)の下端開口側に室内側から装着される矩形平板状の前面パネル(12)とを備えている。なお、以下では、上下というと室内機(10)の設置状態における上下方向を表すものとする。
【0028】
前面パネル(12)には、その中央部に矩形開口状の吸込口(13)が設けられると共に、この吸込口(13)を囲むように4つの吹出口(14)が該前面パネル(12)の周縁に設けられる。
【0029】
詳細は図示しないが、上記ケーシング(11)内には、吸込口(13)の上方に遠心式のファンが配置され、ファンの外周側に熱交換器が配置される。
【0030】
さらに、上記前面パネル(12)の室内に露出する表面側の1つの角部には温度測定装置の検知手段としてのセンサユニット(20)が配置される。このセンサユニット(20)は、室内機(10)を天井側に設置した状態において、室内の壁面、床面又は人体等の検知対象物からの赤外線を検知し、これを現在の室内温度に関する検知情報として出力する。
【0031】
図2に拡大詳示するように、センサユニット(20)は、上記前面パネル(12)の外周側の4つの角部のうちの1つに開口するセンサ取付孔(15)に挿入された状態で配置されている。センサユニット(20)は、その筒状の取付ブラケット(21)を前面パネル(12)に固定した状態でセンサ取付孔(15)に取付固定されている。
【0032】
上記取付ブラケット(21)には、赤外線を検出するための赤外線センサ(32)を所望の方向に向けるための走査機構(22)が設けられている。走査機構(22)は水平方向回動と垂直方向回動の2軸の回動機構を有する。
【0033】
具体的には、上記取付ブラケット(21)の上側には、該取付ブラケット(21)を垂直方向に貫通する垂直シャフト(23a)を有する水平回動モータ(23)が設けられている。この水平回動モータ(23)の垂直シャフト(23a)の先端側には、水平回動部(24)が回動可能に支持されている。
【0034】
上記水平回動部(24)には、上記垂直シャフト(23a)に対して90°の角度を有する水平シャフト(図示せず)を駆動軸とする垂直回動モータ(25)が配置されている。水平回動部(24)の水平モータと反対側の下端部には、赤外線センサ(32)を含むセンサ部(30)が配置されている。垂直回動モータ(25)の水平シャフトの端部は、このセンサ部(30)の側方からセンサ部(30)に挿入されている。このことで、センサ部(30)が略180°の範囲に亘り往復揺動される。
【0035】
上記センサ部(30)が、走査機構(22)における水平回動モータ(23)により、その垂直シャフト(23a)を中心に水平面内で360°回動される。また、垂直回動モータ(25)により、その水平シャフトを中心に略180°の範囲を往復揺動されることで、このセンサ部(30)は室内の広範囲に亘って走査可能とされている。
【0036】
図3に拡大詳示するように、センサ部(30)は、筒状のレンズホルダ(31)と、このレンズホルダ(31)の一端に配設された赤外線センサ(32)と、該赤外線センサ(32)と所定の距離を置いた他端に設けられたフレネルレンズ(33)とを有する。
【0037】
上記フレネルレンズ(33)は、例えばポリエチレン等の樹脂材料からなり、赤外線透過量が高いものとなっている。このフレネルレンズ(33)により、赤外線の方向が限定され、赤外線センサ(32)に指向性が与えられると共に、赤外線が効率よく赤外線センサ(32)に入力される。
【0038】
上記赤外線センサ(32)は、人体及び壁面等から放射される赤外線を上記フレネルレンズ(33)を通して検知するものである。赤外線センサ(32)には、例えばサーモパイルが使用されている。つまり、赤外線センサ(32)は、熱電対を直列につないで高電圧の出力を得るようになっている。又は、赤外線センサ(32)は熱電対を並列にして大電流の出力を得るようにしたものでもよい。
【0039】
上記フレネルレンズ(33)及び赤外線センサ(32)は光学部品であり、埃等の汚れの影響を受けやすい。また、フレネルレンズ(33)又は赤外線センサ(32)に室内空気の風等が直接当たると室内の正確な温度が測れない。このため、図2に示すように、センサ部(30)は、カバー体としてのドーム状の保護カバー(40)によってその下側部分を覆われ、室内の雰囲気から遮断されている。
【0040】
室内空気の温度を測定するためには、上記赤外線センサ(32)に波長が5μm以上の赤外線量を入射する必要があり、上記保護カバー(40)には、この波長領域で透過率の高いポリエチレンを使用する。保護カバー(40)は、例えば厚さ0.5mmの非常に薄い板厚のものからなる。
【0041】
上記保護カバー(40)は、取付ブラケット(21)に取付固定されており、センサユニット(20)は、センサ部(30)と走査機構(22)と保護カバー(40)とが一体に形成されて構成されている。
【0042】
図4に示すように、保護カバー(40)の下側の円盤状の領域は、低透過領域(41)を構成している。その低透過領域(41)の外側のその他の球面の領域が測定領域(42)を構成している。
【0043】
上記低透過領域(41)は、上記保護カバー(40)の内面に赤外線透過率の低い樹脂塗料を塗布することで形成され、その熱放射率が0.9以上となっている。この低透過領域( 41 )をセンサ部(30)が走査することで、カバー体(40)の赤外線が感知される。なお、塗布面は、測定温度精度や耐久性を考慮すると内面側が好ましい。
【0044】
上記低透過領域(41)は、前面パネルの真下側に向かう部分に位置し、低透過領域(41)の走査範囲は、室内機(10)の4つの吹出口(14)のいずれから吹き出た空気も到達することのない室内機(10)の真下側に相当する領域となっている。
【0045】
一方、図4(A)の範囲Sで示すように、測定領域(42)を通して赤外線センサ(32)は室内の赤外線を走査し、室内の温度分布を測定するようになっている。この領域は、透過率の高いポリエチレンのみからなるため、赤外線を通しやすく、保護カバー(40)自体の発する赤外線は比較的小さいものとなっている。
【0046】
図3に示すように、上記室内機(10)には、赤外線センサ(32)の検知信号を受けて風向等を制御するコントローラ(50)が設けられている。そして、このコントローラ(50)には、補正手段(51)が設けられている。該補正手段(51)は、上記センサ部(30)が感知した保護カバー(40)の低透過領域(41)の赤外線の出力信号に基づき、センサ部(30)がカバー体(40)の測定領域(42)を介して感知した赤外線の出力信号による測定温度を補正するように構成されている。
【0047】
−運転動作−
まず、センサユニット(20)において、走査機構(22)の水平回動モータ(23)及び垂直回動モータ(25)を回動させることで、センサ部(30)を保護カバー(40)における測定領域(42)を介して室内の広範囲に亘って連続的に走査させる(図4(A)の範囲S)。
【0048】
一連の走査の後、センサ部(30)が保護カバー(40)における低透過領域(41)を走査する。
【0049】
このようにして、センサ部(30)が保護カバー(40)における測定領域(42)を介して感知した赤外線の出力信号と位置信号とがコントローラ(50)に出力される。そして、センサ部(30)が保護カバー(40)における低透過領域(41)を介して感知した赤外線の出力信号と位置信号とがコントローラ(50)に出力される。
【0050】
このとき、垂直回動モータ(25)の通電時間をできるだけ短くし、保護カバー(40)内への熱の流入をできるだけ小さくするような構造とすることで、センサユニット(20)自体が発する熱の影響が低減できる。そのような状態では、センサ部(30)自体の温度は、ほぼ均一になり、温度測定誤差の熱的要因は保護カバー(40)とセンサ部(30)の温度差のみとみなせる。
【0051】
上記出力信号を受けたコントローラ(50)は、制御手段(51)において、センサ部(30)が測定領域(42)を介して感知した赤外線の出力信号から、センサ部(30)が感知した低透過領域(41)の赤外線の出力信号を減算補正する。
【0052】
上記補正を数分に一度行いながら、温度測定装置が室内の温度測定を行う。
【0053】
このような温度測定装置による室内の温度測定結果から、例えば室内の人のいる位置に合わせて、壁面や床面からの放射熱がその人に不快感を与えないように、理想的な風量、風向及び空気の吹出温度を算出し、その算出結果に基づいて空気調和装置が制御される。
【0054】
−実施形態の効果−
本実施形態に係る温度測定装置は、センサ部(30)が感知した保護カバー(40)の低透過領域(41)の赤外線の出力信号に基づき、センサ部(30)が保護カバー(40)の測定領域(42)を介して感知した赤外線の出力信号による測定温度を補正する補正手段(51)を備えている。このため、センサ部(30)が、赤外線を通しにくい保護カバー(40)の低透過領域(41)を走査して、この低透過領域(41)を介して得られた赤外線により、保護カバー(40)自身の温度を直接保護カバー(40)から測定することができる。したがって、保護カバー(40)の接する空気調和装置の前面パネル(12)の表面温度の影響を受けずに、センサユニット(20)によって保護カバー(40)の温度を正確に測定することができる。この保護カバー(40)の温度が判れば、保護カバー(40)の測定領域(42)を介して感知された赤外線の出力データから保護カバー(40)の温度の影響を補正して対象空間の温度を正確に測定することができる。よって、保護カバー(40)の温度を測定するために別途温度センサを設ける必要もなく、正確に対象空間の温度を測定できる安価な温度測定装置が得られる。
【0055】
本実施形態に係る温度測定装置は、センサ部(30)と走査機構(22)と保護カバー(40)とが一体に形成されている。センサユニット(20)においては、製品ごとに保護カバー(40)自身のそれぞれの光学特性の影響を受けないように、センサ部(30)との調整が必要となるが、本実施形態に係る温度測定装置では、センサ部(30)と走査機構(22)と保護カバー(40)とを1つのユニットとして空気調和装置の前面パネル(12)に取り付け又は取り外しできるので、前面パネル(12)に取り付ける前にその調整が可能である。したがって、センサユニット(20)の取付後に調整を行う必要がないので、センサユニット(20)の取付作業が非常に容易となる。
【0056】
本実施形態に係る空気調和装置では、温度測定装置によって室内空間の温度分布を正確に測定することができるので、その温度分布に応じて空気調和装置を制御することにより、きめ細やかな空調制御が可能となる。
【0057】
本実施形態に係る空気調和装置では、温度測定装置を天井埋込形又は天井吊下型の室内機(10)の前面パネル(12)の開口(15)から温度を測定するように構成し、保護カバー(40)の低透過領域(41)を前面パネル(12)から真下に向かう部分に形成している。このため、低透過領域(41)は測定領域(42)と同様に対象空間と接しているため、測定結果に影響を与える測定領域(42)の保護カバー(40)自身の温度と同等の温度を正確に測定することができる。一方、保護カバー(40)の前面パネル(12)から真下に向かう部分は、空気調和装置の空調が直接届かない対象空間の走査範囲に相当するので、低透過領域(41)が測定領域(42)と重なることはなく、保護カバー(40)の領域を有効に使用することができる。
【0058】
本実施形態に係る空気調和装置では、保護カバー(40)の低透過領域(41)を赤外線透過率が低い樹脂塗料を塗布して形成している。このため、赤外線透過率が低い樹脂塗料を保護カバー(40)に塗布するだけで保護カバー(40)に容易に低透過領域(41)を形成することができる。したがって、安価な温度測定装置が得られる。
【0059】
−実施形態の変形例−
本実施形態の変形例では、保護カバー(40)を、センサ部(30)における走査機構(22)の2つのシャフトの少なくともいずれか1つの回動軸を中心に回動するように構成してもよい。例えば、保護カバー(40)を上記水平回動部(24)に固定することで、保護カバー(40)を水平回動モータ(23)の垂直シャフト(23a)を中心に回動させることができる。
【0060】
このようにすることで、本変形例に係る温度測定装置では、保護カバー(40)の特定の領域に汚れが蓄積されず、汚れによる影響が少なくなる。また、赤外線透過率を高める目的から、通常保護カバー(40)は非常に薄く成形されているため、風当たり等により保護カバー(40)の特定方向のみ温度分布が不均一になりやすいが、本変形例に係る温度測定装置では、保護カバー(40)が回転されることで保護カバー(40)の温度分布が均一化される。また、保護カバー(40)が水平回動モータ(23)の垂直シャフト(23a)と同期しているので、センサ部(30)の保護カバー(40)における走査範囲が限定され、保護カバー(40)における不均一な汚れの付着の影響を低減できる。したがって、特定の測定位置に測定誤差を蓄積させるのを防ぐことができる。
【0061】
さらに、保護カバー(40)が回動することで、監視カメラのように見えるので、防犯効果も期待できる。
【0062】
また、本実施形態の別の変形例では、保護カバー(40)において、低透過領域(41)のみを赤外線透過率の低い(熱放射率が0.9以上の)樹脂で成形すると共に、測定領域(42)をポリエチレンで成形する2色成形によって保護カバー(40)を成形してもよい。
【0063】
上記実施形態では、空気調和装置の室内機(10)は、室内の天井に埋設配置される天井埋込型の室内機(10)としたが、本実施形態のもう一つの変形例では、天井吊下型の室内機(10)としてもよい。また、空気調和装置の室内機(10)を壁掛けタイプにしてもよい。このときには、保護カバー(40)も室内機(10)の前面パネル(12)に沿って半球面の中心軸が室内側に向くように置かれ、例えば、その下側の球面の1/4に相当する部分を測定領域とする一方、上側球面の空調の届かない走査範囲に相当する部分に低透過領域を設ければよい。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明の温度測定装置は、検知手段(20)のセンサ部(30)が感知したカバー体(40)の低透過領域(41)の赤外線の出力信号に基づき、センサ部(30)がカバー体(40)の測定領域(42)を介して感知した赤外線の出力信号による測定温度を補正する補正手段(51)を備えている。このため、センサ部(30)は、赤外線を通しにくいカバー体(40)の低透過領域(41)を走査して、この低透過領域(41)を介して得られた赤外線により、カバー体(40)自身の温度を直接カバー体(40)から測定することができる。したがって、カバー体(40)の接する取付機器の表面温度の影響を受けずに、検知手段(20)によってカバー体(40)の温度を正確に測定することができる。このカバー体(40)の温度が判れば、カバー体(40)の測定領域(42)を介して感知された赤外線の出力データからカバー体(40)の温度の影響を補正して対象空間の温度を正確に測定することができる。よって、カバー体(40)の温度を測定するために別途温度センサを設ける必要もなく、正確に対象空間の温度を測定できる安価な温度測定装置が得られる。
【0065】
請求項2の発明は、センサ部(30)と走査機構(22)とカバー体(40)とが一体に形成されている。検知手段(20)においては、製品ごとにカバー体(40)自身のそれぞれの光学特性の影響を受けないように、センサ部(30)との調整が必要となるが、この発明の温度測定装置では、センサ部(30)と走査機構(22)とカバー体(40)とを1つのユニットとして空気調和装置等の機器に取り付け又は取り外しできるので、機器に取り付ける前にその調整が可能である。したがって、検出手段(20)の取付後に調整を行う必要がないので、検知手段(20)の取付作業が非常に容易となる。
【0066】
請求項3の発明では、カバー体(40)をセンサ部(30)の2つの回動軸の少なくともいずれか1つの回動軸を中心に回動させる。このため、カバー体(40)の特定の領域に汚れが蓄積されず、汚れによる影響が少なくなる。また、赤外線透過率を高める目的から、通常カバー体(40)は非常に薄く成形されているため、風当たり等によりカバー体(40)の特定方向のみ温度分布が不均一になりやすいが、この発明の温度測定装置では、カバー体(40)が回転されることでカバー体(40)の温度分布が均一化される。したがって、特定の測定位置に測定誤差を蓄積させるのを防ぐことができる。
【0067】
請求項4の発明では、請求項1から3のいずれか1項の温度測定装置を備えている。このため、本発明の温度測定装置によって室内空間の温度分布を正確に測定することができるので、その温度分布に応じて空気調和装置を制御することにより、きめ細やかな空調制御が可能となる。
【0068】
請求項5の発明では、温度測定装置は、天井埋込形又は天井吊下型の室内機(10)の前面パネル(12)の開口(15)から温度を測定するように構成し、カバー体(40)の低透過領域(41)を前面パネル(12)から真下に向かう部分に形成している。このため、低透過領域(41)は測定領域(42)と同様に対象空間と接しているため、測定結果に影響を与える測定領域(42)のカバー体(40)自身の温度と同等の温度を正確に測定することができる。一方、カバー体(40)の前面パネル(12)から真下に向かう部分は、空気調和装置の空調が直接届かない対象空間の走査範囲に相当するので、低透過領域(41)が測定領域(42)と重なることはなく、カバー体(40)の領域を有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る温度測定装置を備えた室内機を室内側から見た斜視図である。
【図2】 温度測定装置のセンサ部を側方から見た断面図である。
【図3】 温度測定装置を側方から見た断面図である。
【図4】 本発明の実施形態に係る温度測定装置における保護カバーを示し、(A)は保護カバーを側方から見た断面図で、(B)は保護カバーの平面図である。
【符号の説明】
10 室内機
12 前面パネル
20 検知手段(センサユニット)
22 走査機構
30 センサ部
40 カバー体(保護カバー)
41 低透過領域
42 測定領域
51 補正手段
Claims (5)
- 対象空間の赤外線を検知する検知手段(20)を備え、対象空間の温度を測定する温度測定装置であって、
上記検知手段(20)は、赤外線を感知する回動自在なセンサ部(30)と、該センサ部(30)を覆うカバー体(40)とを備え、
上記カバー体(40)には、センサ部(30)が対象空間の赤外線を感知するための測定領域(42)と、センサ部(30)がカバー体(40)の赤外線を感知するように測定領域(42)の赤外線透過率よりも赤外線透過率が低い低透過領域(41)とが形成される一方、
上記センサ部(30)がカバー体(40)の測定領域(42)を介して感知した赤外線の出力信号から上記センサ部( 30 )が感知したカバー体( 40 )の低透過領域( 41 )の赤外線の出力信号を減算補正する補正手段(51)を備えていることを特徴とする温度測定装置。 - 請求項1において、
上記検知手段(20)は、センサ部(30)を回動させる走査機構(22)を備え、センサ部(30)と走査機構(22)とカバー体(40)とが一体に形成されていることを特徴とする温度測定装置。 - 請求項1において、
上記走査機構(22)は、互いに直交する2つの軸を中心にセンサ部(30)を回動させるように構成され、
上記カバー体(40)は、センサ部(30)の2つの回動軸の少なくともいずれか1つの回動軸を中心に回動するように構成されていることを特徴とする温度測定装置。 - 請求項1から3のいずれか1項の温度測定装置を備えていることを特徴とする空気調和装置。
- 請求項4において、
天井埋込形又は天井吊下型の室内機(10)を備え、
上記温度測定装置は、室内機(10)の前面パネル(12)の開口(15)から温度を測定するように構成される一方、
上記温度測定装置におけるカバー体(40)の低透過領域(41)は、前面パネル(12)から真下に向かう部分に形成されていることを特徴とする空気調和装置。
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