JP4134523B2 - 非接触給電の受電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触給電により電力の供給をうける受電装置の回路構成に関するものである。より詳しくは、軌道上に複数の搬送車を配置、非接触給電により、搬送車に電力供給を行う無人搬送システムにおける、受電装置の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
給電線から非接触の状態で、ピックアップコイルにより受電を行う受電装置の構成においては、様々な技術が公開されている。
この技術は、定電流からモータに印加するための定電圧を得るレギュレータ回路の受動素子化によりノイズ低減を図り、また騒音を防止を図るものであり、ピックアップ部に誘起された電力から定電流を得るピックアップ共振回路と、該ピックアップ共振回路部からの出力である定電流を定電圧に変換するインピーダンス変換部とを介在させて搬送車のモータへ定電圧を印加させるものである。
【0003】
そして、具体的な構成としては、インピーダンス変換部はT型の4端子回路で構成され、その直列素子が2つのインダクタで、また並列素子がキャパシタで夫々構成され、対応する一の入力端子と出力端子とを共通端子とし、対応する他の入力端子と出力端子との間に2つの前記インダクタを直列に接続し、両インダクタ間の接続点と前記共通端子との間に前記キャパシタを接続するものである。
また、インピーダンス変換部はT型の4端子回路で構成され、その直列素子が2つのキャパシタで、また並列素子がインダクタで夫々構成され、対応する一の入力端子と出力端子とを共通端子とし、対応する他の入力端子と出力端子との間に2つのキャパシタを直列に接続し、両キャパシタ間の接続点と前記共通端子との間にインダクタを接続するものである。
【0004】
このほかにも、インピーダンス変換部はπ型の4端子回路で構成され、その直列素子がインダクタで、また並列素子が2つのキャパシタで夫々構成され、対応する一の入力端子と出力端子とを共通端子とし、対応する他の入力端子と出力端子との間に前記インダクタを接続し、その両側の各接続端部と前記共通端子との間に前記各キャパシタを接続するものである。
そして、インピーダンス変換部はπ型の4端子回路で構成され、その直列素子がキャパシタで、また並列素子が2つのインダクタで夫々構成され、対応する一の入力端子と出力端子とを共通端子とし、対応する他の入力端子と出力端子との間に前記キャパシタを接続し、その両側の各接続端部と前記共通端子との間に前記各インダクタを接続するものが示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術においては、それでも受電回路が複雑であり、そのために基盤が大きくなり、それが取り付けられる搬送装置が大きくなる原因となっていた。
そこで、発明者は、より簡単な構成により安定した高電圧を取り出すことのできる受電回路を構成することを目的として、発明に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1に記載のごとく、ピックアップコイルと、受動素子からなるインピーダンス変換部と、整流回路とを備え、前記ピックアップコイルの出力の両端に、前記インピーダンス変換部の入力端がそれぞれ接続され、前記インピーダンス変換部の出力の両端に前記整流回路の入力端がそれぞれ接続され、電力が供給されている給電線から非接触で電力供給を受ける非接触給電の受電装置において、
前記インピーダンス変換部は、前記インピーダンス変換部の入力端の一方に、キャパシタを接続し、前記キャパシタの出力端の一方にリアクトルを接続し、前記リアクトルの出力端を前記インピーダンス変換部の出力端の一方に接続し、前記インピーダンス変換部の入力端の他方と出力端の他方とを接続し、それに前記キャパシタの出力端の他方を接続し、
前記ピックアップコイルのリアクタンスをL p 、前記コンデンサの容量をC、前記リアクトルのリアクタンスをL、角速度をωとし、F p =1―ω 2 L p Cで、かつ、F p =−L p /Lを満たすようにした。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例である非接触給電システムについて図面を参照しながら説明する。給電線を用いた非接触電力供給方式を用いた有軌道台車システムから説明する。
【0010】
図1は、給電線から非接触で電力を供給する方式の有軌道台車システムを模式的に示す図である。
図1において、軌道12は、搬送台車13(破線で示す)の移動経路に敷設されており、その軌道12に沿って銅線などの導電線を絶縁材料で被覆した給電線5が配置されている。
給電線5には、電力供給装置16が接続されており、該電力供給装置16により電力供給および供給電力の制御が行われるものである。
搬送台車13は、給電線5から電力を得るための受電ユニット9を有し、その受電ユニット9が取り出す電力を利用して軌道12上を往復移動可能とするものである。
【0011】
なお、軌道12は、主経路と副経路により構成されており、主経路と副経路は合流部において接続されるものである。副経路の近傍には積載部4が設けられているものである。積載部4においては、搬送車13へ荷物を積載したり、搬送車に積載されている荷物を積みおろしたりするものである。
搬送車13は、主経路を通り移動を行い、合流部より副経路に進入し、積載部4に到達するものである。
【0012】
前記搬送台車13は天井走行車であっても床上走行車であっても良く、本実施例においては、天井走行車について説明する。
図2は有軌道台車システムを天井走行車に適用した場合の構成を示す搬送車の上部正面図であり、図3は同じく上部側面図である。
【0013】
図2および図3に示すごとく、搬送台車13の上部には、受電ユニット9および駆動輪14およびガイド輪17が設けられている。駆動輪14は搬送台車13の駆動機構に接続されており、該車輪14を駆動することにより、搬送台車13が軌道12に沿って移動するものである。
軌道12の内側には、ガイド輪17が当接しており、軌道12の後部中央下面には凸部が設けられており、駆動輪14が該凸部に当接しているものである。
ガイド輪17および駆動輪14は上部フレーム11において保持されており、該上部フレーム11は接続フレーム18の上面に固設されているものである。
【0014】
接続フレーム18の側面には、受電ユニット9が配設されている。そして、接続フレーム18の下面には、搬送部19が装着されているものである。搬送車13は該搬送部に荷物を載せ、軌道12を移動するものである。
受電ユニット9は、給電線ホルダ30と近接する位置に構成されている。
給電線ホルダ30は、給電線5を該給電線ホルダ30の搬送台車13側において保持しているものである。これにより、給電線ホルダ30を受電ユニット9に近づけ、給電線5より供給される電力を効率的に受けるものである。
【0015】
本実施例における、非接触給電を用いた無人搬送システムにおいて、一次回路である電力供給装置16から一定の電流が供給されるものであり、搬送車13は該搬送車13に設けられた二次回路である受電ユニット9により給電線5より非接触で電力の供給を受けるものである。
搬送車13に電力を供給する電力供給装置16は、一般的に用いられている定電圧電源と、インピーダンス変換部とを組合せて、給電線5に対し、できるだけ定電流に近い特性を持たせた正弦波電流を供給するようになっている。
【0016】
図4は受電ユニットと給電線の構成を示す正面断面図である。
図4に示すごとく、受電ユニット9は、正面視E字状に構成されており、該受電ユニット9の中央部先端が給電線5・5の間に挿入される構成となっている。そして、受電ユニット9を構成するコアの中央部先端にはピックアップコイル21が装着されており、該コイル21により、給電線5に発生した磁界から、電磁誘導を利用して電力を受電するものである。
受電ユニット9は、上下の突出部22・22とその間の中央の突出部23の間に形成した2つの凹部に構成した空間に給電線5・5をそれぞれ一本ずつ位置させる構成となっている。
コアは断面が略E字型をしたフェライト製の部材であり、該コアにピックアップコイル21が巻かれている。
そして、この給電線5・5に高周波電流を流すことによって発生する磁界を、ピックアップコイル21で受けるようにしている。そして、電磁誘導現象を利用し、ピックアップコイル21に発生する誘導電圧から電力を取り出す。このようにして、給電線5から受電ユニット9に非接触で電力を供給し、走行用のモーターを駆動したり、制御機器に電力を供給する。
給電線ホルダ30は、給電線5を平行に保持すると共に、搬送台車13の進行方向に配設されている。これにより、搬送台車13の受電ユニット9が、給電線ホルダ30に接触しない構成となっている。
【0017】
図4に示すごとく、給電線ホルダ30は、給電線保持部41、基部42、連結部43により構成されている。
給電線ホルダ30は略E字状に構成されており、基部42の側方に直角方向に突出した連結部43・43は、該連結部43・43が平行に構成されている。そして、連結部43の先端には給電線保持部41が構成されている。
連結部43は、前記受電ユニット9の突出部22・23・22の間隔に合わせ、凹部空間内に挿入されるものである。
給電線保持部41は、受電ユニット9に対して、該受電ユニット9の凹部空間中央より奥側(閉塞側)に配置され、給電線5・5を保持するものである。
【0018】
給電線保持部41には正面視円弧状の凹部が構成されており、該凹部に給電線5を保持するものである。給電線保持部41には側方に開口部が構成されており、該開口部より給電線5を給電線保持部41に挿入するものである。給電線保持部41において、開口部は基部42の反対側方向に設けられており、連結部43の延出方向に設けられている。
これにより、給電線5を挿入するための作業スペースを確保する事が容易であり、挿入時にかかる力を連結部43が受け、給電線5挿入の作業を容易にすることができるものである。
さらに、連結部43は中空構造になっており、基部42と前記給電線保持部41との間において、空洞が構成されている。
これにより、給電線ホルダ30の軽量化を行うとともに、強度を維持するものである。
【0019】
図5は搬送車に搭載される受電ユニットの構成を示す回路図である。
受電ユニット9はピックアップコイル21を含む共振回路52、インピーダンス変換回路53、そして整流回路54により構成されるものである。整流回路54には搬送車13に配設された駆動モータおよび制御回路により構成される駆動制御機構56に接続されているものである。
受電ユニット9は、給電線5より、高周波で供給される電力をピックアップコイル21により取り込み、共振回路52により電流を増幅するものである。そして、増幅された電流はインピーダンス変換回路53により、定電圧に変換され、整流回路54を介して搬送車13の駆動部および制御部に供給されるものである。
【0020】
次に、受電ユニット9における整流回路以前の構成について説明する。
図6は受電ユニットにおける共振回路およびインピーダンス変換回路の構成を示す図である。
共振回路52は、ピックアップコイル21と共振コンデンサ61により構成され、ピックアップコイル21で電磁誘導により得られた電流を増幅するとともに定電流とするものである。インダクタンスをLp、コンデンサ61の容量をC、リアクトル62のインダクタンスをLとすると、Fp=−Lp/LでかつFp=1―ω2LpC(ω:角速度)となるように各定数を選定することで、共振回路52からの出力電力を非常に簡単な回路で、安定的に定電圧に変換することができる。
【0021】
次に、本発明に係る非接触受電装置の動作を説明する。
前述のごとく、電力供給装置16からは略正弦定電流が給電線5に供給される。そして、受電ユニット9のピックアップコイル21により、電磁誘導を利用して非接触で電流を取り出し、それを共振回路52にて、増幅すると共に定電流にする。
そして、その定電流をインピーダンス変換回路53で定電圧に変換し、整流回路54で直流に整流した後に、駆動制御機構56へと供給する。
【0022】
さらに、受電ユニット9の第二実施例である回路の構成について説明する。
図7は第二実施例である回路構成を示す図である。
第二実施例の回路は、ピックアップコイル21と、該ピックアップコイル21からの出力を増大させるための共振用のコンデンサ61と、定電圧変換用リアクトル62および、過電流を防ぐキャパシタ63により構成されるものである。
コンデンサ61はピックアップコイル21に並列に接続されており、該コンデンサ61に対して、直列にリアクトル62が接続される。そして、リアクトル62と並行にキャパシタ63を接続するものである。
受電ユニット9において、キャパシタ63を増設することにより、給電線5上を走行する他の搬送車13がメンテナンスなどにより給電線5から取り外されても、駆動制御機構56に過電流が流れるのを防ぐことができる。
【0023】
【発明の効果】
請求項1に記載のごとく、ピックアップコイルと、受動素子からなるインピーダンス変換部と、整流回路とを備え、前記ピックアップコイルの出力の両端に、前記インピーダンス変換部の入力端がそれぞれ接続され、前記インピーダンス変換部の出力の両端に前記整流回路の入力端がそれぞれ接続され、電力が供給されている給電線から非接触で電力供給を受ける非接触給電の受電装置において、前記インピーダンス変換部は、前記インピーダンス変換部の入力端の一方に、キャパシタを接続し、前記キャパシタの出力端の一方にリアクトルを接続し、前記リアクトルの出力端を前記インピーダンス変換部の出力端の一方に接続し、前記インピーダンス変換部の入力端の他方と出力端の他方とを接続し、それに前記キャパシタの出力端の他方を接続し、前記ピックアップコイルのリアクタンスをL p 、前記コンデンサの容量をC、前記リアクトルのリアクタンスをL、角速度をωとし、F p =1―ω 2 L p Cで、かつ、F p =−L p /Lを満たすようにしたので、1つのキャパシタ、1つのリアクタにより構成される簡単なインピーダンス変換回路で高圧電圧を安定して取り出すことができる。
また、前記ピックアップコイルのリアクタンスをL p 、前記コンデンサの容量をC、前記リアクトルのリアクタンスをL、角速度をωとし、F p =1―ω 2 L p Cで、かつ、F p =−L p /Lを満たすようにしたので、出力電圧は、Lに比例した定電圧を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】給電線から非接触で電力を供給する方式の有軌道台車システムを模式的に示す図。
【図2】有軌道台車システムを天井走行車に適用した場合の構成を示す搬送車の上部正面図。
【図3】同じく上部側面図。
【図4】受電ユニットと給電線の構成を示す正面断面図。
【図5】搬送車に搭載される受電ユニットの構成を示す回路図。
【図6】受電ユニットにおける共振回路および整流回路の構成を示す図である。
【図7】第二実施例である回路構成を示す図。
【符号の説明】
5 給電線
9 受電ユニット
30 給電線ホルダ
51 ピックアップコイル
52 共振回路
53 定電圧変換回路
54 整流回路
61 コンデンサ
62 リアクトル
63 キャパシタ
Claims (1)
- ピックアップコイルと、受動素子からなるインピーダンス変換部と、整流回路とを備え、前記ピックアップコイルの出力の両端に、前記インピーダンス変換部の入力端がそれぞれ接続され、前記インピーダンス変換部の出力の両端に前記整流回路の入力端がそれぞれ接続され、電力が供給されている給電線から非接触で電力供給を受ける非接触給電の受電装置において、
前記インピーダンス変換部は、前記インピーダンス変換部の入力端の一方に、キャパシタを接続し、前記キャパシタの出力端の一方にリアクトルを接続し、前記リアクトルの出力端を前記インピーダンス変換部の出力端の一方に接続し、前記インピーダンス変換部の入力端の他方と出力端の他方とを接続し、それに前記キャパシタの出力端の他方を接続し、
前記ピックアップコイルのリアクタンスをL p 、前記コンデンサの容量をC、前記リアクトルのリアクタンスをL、角速度をωとし、F p =1―ω 2 L p Cで、かつ、F p =−L p /Lを満たすようにしたことを特徴とする非接触給電の受電装置。
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