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JP4134578B2 - 内燃機関用点火コイル - Google Patents

内燃機関用点火コイル Download PDF

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JP4134578B2
JP4134578B2 JP2002067117A JP2002067117A JP4134578B2 JP 4134578 B2 JP4134578 B2 JP 4134578B2 JP 2002067117 A JP2002067117 A JP 2002067117A JP 2002067117 A JP2002067117 A JP 2002067117A JP 4134578 B2 JP4134578 B2 JP 4134578B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用点火コイル(以下、点火コイルと略す。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の点火コイルは、図13に示すように、棒状の中心コア110の外周側に同軸上に配置された一次コイル120(外周側コイル)、二次コイル130(内周側コイル)及び円筒状の外周コア140等を備えている。そして、点火コイルを構成するそれらの部品間相互の線膨張係数の差異によって、構成部品にクラック(亀裂)が発生することを防止するために、一次コイル120が巻かれる一次スプール121(外周側巻き枠)の筒部121aの外周にシリコンテープ122(接着抑制層)を配置し、一次スプール121とモールド用樹脂(注型樹脂)174とが完全に接着してしまうことを防止して(一次スプールと注型樹脂とを剥離させて)いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の点火コイルでは、シリコンテープ122の端部、すなわち一次スプール121の筒部121aにおいてつば部121bに近い部位では、一次スプール121と注型樹脂174とが接着してしまう。このため、冷熱負荷時にその部位に応力が集中し、図13中の破線dのように、一次スプール121における筒部121aとつば部121bの接続部にクラックが発生すると共に、この一次スプール121のクラック発生部を起点として、一次スプール121の軸方向端部よりも軸方向外側に向かって注型樹脂174のクラックが進展する。
【0004】
そして、二次コイル130の引き出し線132が引き出し線接続部184aに接続された低圧ターミナル184が、注型樹脂174のクラック進展向き(一次スプール121の軸方向端部よりも軸方向外側)に配設されているため、注型樹脂174のクラックが引き出し線接続部184aに達して二次コイル130の引き出し線132が断線してしまう恐れがあった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、注型樹脂のクラックに基づく引き出し線の断線を防止することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項に記載の発明では、磁性材料からなる棒状の中心コア(110)と、中心コア(110)の外周側に巻かれた内周側コイル(130)と、中心コア(110)と内周側コイル(130)との間に配設され、内周側コイル(130)の巻線を巻くための電気絶縁材料からなる内周側巻き枠(131)と、内周側コイル(130)の外周側に巻かれた外周側コイル(120)と、内周側コイル(130)と外周側コイル(120)との間に配設され、外周側コイル(120)の巻線を巻くための電気絶縁材料からなる外周側巻き枠(121)と、外周側巻き枠(121)の軸方向端部よりも軸方向外側に配設され、内周側コイル(130)の引き出し線(132)が引き出し線接続部(184a)に接続された低圧ターミナル(184)とを備え、内周側コイル(130)と外周側コイル(120)との間に電気絶縁性を有する樹脂材(174)が充填されて両コイル(120、130)がモールド固定され、外周側コイル(120)の内周面と外周側巻き枠(121)の外周面との間に配設された接着抑制層(122)により、外周側巻き枠(121)の外周面と樹脂材(174)との接着を抑制するようにした内燃機関用点火コイルであって、外周側巻き枠(121)の軸方向端部近傍から引き出し線接続部(184a)側に向かう樹脂材(174)のクラックが引き出し線接続部(184a)に到達するのを阻止するクラック到達阻止部材(184b)が、外周側巻き枠(121)の軸方向端部と引き出し線接続部(184a)との間に設けられており、クラック到達阻止部材は、低圧ターミナル(184)に一体に形成されたプレート(184b)であることを徴とする。
【0011】
これによると、クラック到達阻止部材により樹脂材のクラックが引き出し線接続部に達するのを防止して、引き出し線の断線を防止することができる。
【0014】
請求項に記載の発明では、磁性材料からなる棒状の中心コア(110)と、中心コア(110)の外周側に巻かれた内周側コイル(130)と、中心コア(110)と内周側コイル(130)との間に配設され、内周側コイル(130)の巻線を巻くための電気絶縁材料からなる内周側巻き枠(131)と、内周側コイル(130)の外周側に巻かれた外周側コイル(120)と、内周側コイル(130)と外周側コイル(120)との間に配設され、外周側コイル(120)の巻線を巻くための電気絶縁材料からなる外周側巻き枠(121)と、内周側コイル(130)の引き出し線(132)が引き出し線接続部(184a)に接続された低圧ターミナル(184)とを備え、内周側コイル(130)と外周側コイル(120)との間に電気絶縁性を有する樹脂材(174)が充填されて両コイル(120、130)がモールド固定され、外周側巻き枠(121)の内周面に樹脂材(174)が直接接触しており、外周側コイル(120)の内周面と外周側巻き枠(121)の外周面との間に配設された接着抑制層(122)により、外周側巻き枠(121)の外周面と樹脂材(174)との接着を抑制するようにした内燃機関用点火コイルであって、外周側コイル(120)は一次コイル、内周側コイル(130)は二次コイルであり、二次コイル(130)と外周側巻き枠(121)との間で、かつ外周側巻き枠(121)の軸方向端部よりも軸方向内側に、二次コイル(130)の引き出し線(132)が接続された引き出し線接続部(184a)が配設されていることを特徴とする。
【0015】
これによると、樹脂材のクラックの進展向きが外周側巻き枠の軸方向外側であるのに対し、引き出し線接続部を外周側巻き枠の軸方向内側に配設しているため、樹脂材のクラックが引き出し線接続部に達するのを防止して、引き出し線の断線を防止することができる。
【0018】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係る点火コイルを車両走行用のエンジン(内燃機関)のスパークプラグ(点火装置)に高い電圧(例えば、30kV)を供給する車両用点火コイルに適用したものであって、図1は本実施形態に係る点火コイル100の軸方向断面図(全体断面図)であり、図2は図1のA−A断面図であり、図3は図1のB部拡大図である。
【0020】
因みに、本実施形態に係る点火コイル100は、外形状を棒(スティック)状とすることによりプラグキャップと一体化されており、この点火コイル100は、装着時においては、シリンダヘッド(図示せず。)に形成されたプラグホール内に収容される。また、上記のプラグキャップとは、スパークプラグと点火コイルとを電気的に接続するキャップ状のコネクタである。
【0021】
なお、以下の説明では、点火コイル100の軸方向(図1の紙面上下方向)を単に軸方向と言い、点火コイル100の径方向を単に径方向と言う。
【0022】
図1〜図3において、110は磁性材料(本実施形態では、ケイ素鋼板)からなる棒状の中心コアであり、この中心コア110は、図2に示すように、磁界の向き略平行(紙面垂直方向)に延びる複数枚の薄帯板を積層することにより構成されたラミネーションコアである。なお、中心コア110の長手方向両端側には、後述する一次コイル120により誘起される磁界の向きと逆向きの極性を有する永久磁石112、113が配設されている。
【0023】
そして、中心コア110の外周側にはスパークプラグ側に電気的に接続される二次コイル(内周側コイル)130が配置され、この二次コイル130の外側には二次コイル130に発生する高電圧を制御するイグナイタからの制御信号が入力される一次コイル(外周側コイル)120が配置されている。
【0024】
なお、点火コイル100では、一次コイル120に入力された電圧を昇圧して二次コイル130から出力するものであるので、二次コイル130の巻き数は、一次コイル120の巻き数より多く、かつ、二次コイル130が一次コイル120より内側に配置されているため、二次コイル130の巻線の線径を、一次コイル120の巻き線の線径より小さくしている。
【0025】
また、121は二次コイル130と一次コイル120との間に配設された一次コイル120の巻線を巻くための一次スプール(外周側巻き枠)である。この一次スプール121は、図3に示すように、一次コイル120の内側に位置する円筒状の筒部121aと、筒部121aにおける軸方向端部から径外方に向かって延びる円盤状のつば部121bとを有し、樹脂(本実施形態では、PPE樹脂)等の電気絶縁材料にて形成されている。
【0026】
そして、筒部121aおよびつば部121bにおける一次コイル120側の面にはシリコンテープ122が巻かれており、このシリコンテープ122は、筒部121aおよびつば部121bと後述するモールド用樹脂(注型樹脂)とが完全に接着してしまうことを防止する接着抑制層を構成している。
【0027】
また、131は二次コイル130と中心コア110との間に配設された二次コイル130の巻線を巻くための二次スプール(内周側巻き枠)であり、この二次スプール131は樹脂(本実施形態では、PPE樹脂)等の電気絶縁材料にて略円筒状に形成されている。
【0028】
なお、二次コイル130は、高電圧側(本実施形態では、二次コイル130における軸方向端部のうちスパークプラグ側)に向かうほど、コイルの厚み(コイルの巻き段数)が減少するように巻かれている。
【0029】
この二次コイル130の端部に設けられた高電圧側の引き出し線(図示せず。)は第1高圧ターミナル181に接続され、この第1高圧ターミナル181とスパークプラグの端子に接触する導電性材料からなるスプリング182とは、第2高圧ターミナル183によって電気的に接続(中継)されている。
【0030】
一方、二次コイル130における軸方向端部のうち低電圧側(反スパークプラグ側)に設けられた低圧側引き出し線132は、低圧ターミナル184の引き出し線接続部184aに熱応力回避のために数回巻き付けられた後、先端部が引き出し線接続部184aにはんだ付けされている。
【0031】
この低圧ターミナル184は、一次スプール121のつば部121bよりも軸方向外側に配設されており、図示しない車両の直流電源に電気的に接続される。また、低圧ターミナル184の引き出し線接続部184aは、つば部121bよりも軸方向外側で、かつ、一次スプール121の筒部121aの内周面を軸方向に延長した線cよりも内側に位置している。
【0032】
そして、二次スプール131の内周面側(二次スプール131と中心コア110との間)には、中心コア110のエッジ部分(角部)が直接に二次スプール131に接触することを防止する緩衝部材(本実施形態では、ゴム製のチューブ)111が配設されている。
【0033】
因みに、緩衝部材(収縮チューブ)111は、加熱することにより径寸法が縮小するものであり、中心コア110を緩衝部材(収縮チューブ)111内に挿入した状態で加熱することにより、中心コア110に緩衝部材(収縮チューブ)111を密着させている。
【0034】
また、一次コイル120の外周側には、磁性材料(本実施形態では、ケイ素鋼板)からなる筒状の外周コア140が配設されており、この外周コア140は、例えば板状の磁性材料を円筒状に端面が重ならないように丸め、同軸上に積層することにより構成されているとともに、その内周面(一次コイル120側の面)全域には、外周コア140と注型樹脂とが完全に接着してしまうことを防止する接着抑制材(本実施形態では、フッ素樹脂)が被覆(コーティング)されている。
【0035】
ところで、図1中、160は制御信号が配信されるケーブル(図示せず。)が接続されるコネクタ部であり、161は一次コイル130に制御信号を供給するターミナル(端子)である。
【0036】
170は樹脂(本実施形態では、PPS樹脂)からなる点火コイル100のハウジングであり、このハウジング170は、コネクタ部160や点火コイル100をカムカバー(図示せず。)に固定するためのブラケット部162が一体化された第1ハウジング部171、外周コア140の外周側を覆って点火コイル本体部(一次コイル120や二次コイル130等が収容された部位)を保護する第2ハウジング部172、並びに第1高圧ターミナル181や第2高圧ターミナル183等が収納された第3ハウジング(高圧タワー)173等の3つの部位からなるものである。
【0037】
そして、ハウジング170内(特に、外周コア140内)には、電気絶縁性を有する注型樹脂(本実施形態では、エポキシ系樹脂)が充填されて両コイル120、130及びその他の部品がモールド固定されている。なお、図1〜3中、174は充填された樹脂(注型樹脂)により構成された樹脂層を示している。
【0038】
本実施形態では、筒部121aおよびつば部121bにおける一次コイル120側の面に巻かれたシリコンテープ122により、筒部121aおよびつば部121bにおける一次コイル120側の面と樹脂層(充填された注型樹脂)174との接着が防止される(一次スプール121と樹脂層174とが剥離する)ため、筒部121aとつば部121bの接続部にはクラックが発生しない。
【0039】
そして、樹脂層174におけるシリコンテープ122の端部(すなわちつば部121bの外周端部)近傍の部位に応力が集中するため、樹脂層174のクラックは、図3に破線dで示すように、つば部121bの外周端部を起点として外方に向かって進展する。このように、引き出し線接続部184aの設置位置とは異なる向きに樹脂層174のクラックが進展することにより、樹脂層174のクラックが引き出し線接続部184aに達するのを防止して、低圧側引き出し線132の断線を防止することができる。
【0040】
なお、本実施形態のシリコンテープ122の代わりに、筒部121aおよびつば部121bにおける一次コイル120側の面に、樹脂層174との接着を防止する接着抑制層としてのペ−スト状のシリコン接着剤を塗布してもよく、それによっても本実施形態と同様の効果が得られる。
【0041】
(第2実施形態)
図4および図5は第2実施形態を示すもので、図4は点火コイル100の要部(図1のB部に相当する部位)の軸方向断面図、図5は図4のE矢視図である。そして、本実施形態は、一次スプール121の構成およびシリコンテープ122の設置範囲が第1実施形態と異なり、その他の点は第1実施形態と共通する。
【0042】
本実施形態のシリコンテープ122は、従来と同様に、筒部121aにおける一次コイル120側の面のみに巻かれており、つば部121bにおける一次コイル120側の面には巻かれていない。
【0043】
一方、一次スプール121の筒部121aにおける低圧ターミナル184側の端部には、つば部121bよりもさらに低圧ターミナル184側に延びる円筒状のガイド片123が一体に形成されている。このガイド片123は筒部121aと同軸・同径で、その先端部は引き出し線接続部184aを超える位置まで軸方向に延びており、ガイド片123の内周部位に引き出し線接続部184aが位置するように構成されている。
【0044】
また、一次スプール121のつば部121bには切欠き部121cが形成され、この切欠き部121cはつば部121bの全周のうち引き出し線接続部184aと径方向に重なる部位に位置し、切欠き部121cの周方向長さは引き出し線接続部184aの周方向長さよりもやや長くなっている。
【0045】
本実施形態によると、シリコンテープ122の端部(筒部121a端部)を起点とするクラックは、図4に破線dで示すように、ガイド片123における外周面近傍に沿って軸方向に進展し、さらに樹脂層174のクラックはガイド片123の先端部からそのまま軸方向に進展する。
【0046】
このように、ガイド片123により樹脂層174のクラックの進展向きを引き出し線接続部184a設置位置以外の向きにガイドすることができるため、樹脂層174のクラックが引き出し線接続部184aに達するのを防止して、低圧側引き出し線132の断線を防止することができる。
【0047】
(第3実施形態)
図6は第3実施形態を示すもので、図6は点火コイル100の要部の構成図(図4のE矢視図に相当)である。
【0048】
そして、第2実施形態のガイド片123が円筒状であるのに対し、本実施形態のガイド片123は円弧状になっていて、引き出し線接続部184aと径方向に重なる部位に位置している。
【0049】
その他の点は第2実施形態と共通し、本実施形態においても第2実施形態と同様に、ガイド片123により樹脂層174のクラックの進展向きを引き出し線接続部184a設置位置以外の向きにガイドすることができるため、樹脂層174のクラックが引き出し線接続部184aに達するのを防止して、低圧側引き出し線132の断線を防止することができる。
【0050】
(第4実施形態)
図7は第4実施形態を示すもので、図7は点火コイル100の要部(図1のB部に相当する部位)の軸方向断面図である。そして、本実施形態は、引き出し線接続部184aを覆うカバー190を設けた点およびシリコンテープ122の設置範囲が第1実施形態と異なり、その他の点は第1実施形態と共通する。
【0051】
本実施形態のシリコンテープ122は、従来と同様に、筒部121aにおける一次コイル120側の面のみに巻かれており、つば部121bにおける一次コイル120側の面には巻かれていない。
【0052】
カバー190はシリコンゴム等にてチューブ状に形成されており、低圧側引き出し線132が引き出し線接続部184aにはんだ付けされた後、低圧側引き出し線132の捨て巻き部およびはんだ付け部を覆うようにして引き出し線接続部184aにカバー190が装着される。
【0053】
本実施形態によると、シリコンテープ122の端部(筒部121a端部)を起点とするクラックが引き出し線接続部184a側に進展しても、クラック到達阻止部材としてのカバー190により、樹脂層174のクラックが引き出し線接続部184aに達するのを防止して、低圧側引き出し線132の断線を防止することができる。
【0054】
なお、本実施形態のカバー190の代わりに、低圧側引き出し線132が引き出し線接続部184aにはんだ付けされた後、クラック到達阻止部材としてのペ−スト状のシリコン接着剤を引き出し線接続部184aに塗布して引き出し線接続部184aを被覆してもよく、それによっても本実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
また、シリコン接着剤を用いる場合、引き出し線接続部184aにおいてクラックが進展してくる面側だけにシリコン接着剤を塗布してもよい。さらに、シリコン接着剤を用いる場合、二次コイル130と引き出し線接続部184aとの間の低圧側引き出し線132にもシリコン接着剤を塗布することにより、その部位の低圧側引き出し線132の断線も防止することができる。
【0056】
(第5実施形態)
図8は第5実施形態を示すもので、図8は点火コイル100の要部(図1のB部に相当する部位)の軸方向断面図である。そして、本実施形態は、第4実施形態のカバー190の代わりに、低圧ターミナル184にプレート184bを設けたもので、その他の点は第4実施形態と共通する。
【0057】
プレート184bは低圧ターミナル184に一体に形成されており、一次スプール121の筒部121aにおける低圧ターミナル184側の端部と引き出し線接続部184aとの間に配置されている。
【0058】
本実施形態によると、シリコンテープ122の端部(筒部121a端部)を起点とするクラックが引き出し線接続部184aに向かって進展しても、クラック到達阻止部材としてのプレート184bにより、樹脂層174のクラックが引き出し線接続部184aに達するのを防止して、低圧側引き出し線132の断線を防止することができる。
【0059】
(第6実施形態)
図9は第6実施形態を示すもので、図9は点火コイル100の要部(図1のB部に相当する部位)の軸方向断面図である。そして、本実施形態は、第4実施形態のカバー190の代わりに、一次スプール121の筒部121aにおける低圧ターミナル184側の端部を覆うカバー200を設けたもので、その他の点は第4実施形態と共通する。
【0060】
リング状に形成されたカバー200は、一次スプール121の筒部121aにおける低圧ターミナル184側の端部に装着されて、筒部121aにおける低圧ターミナル184側の端部と引き出し線接続部184aとの間を遮るようになっている。
【0061】
本実施形態によると、クラック到達阻止部材としてのカバー200により、一次スプール121のクラック発生部を起点とする樹脂層174のクラックの進展向きが変えられる。この際、カバー200は筒部121aにおける低圧ターミナル184側の端部と引き出し線接続部184aとの間を遮るようにして配置されているため、樹脂層174のクラックは引き出し線接続部184a設置位置以外の向きに進展する。従って、樹脂層174のクラックが引き出し線接続部184aに達するのを防止して、低圧側引き出し線132の断線を防止することができる。
【0062】
なお、カバー200は、樹脂層174と接着しにくい樹脂にて形成するのが望ましい。あるいは、カバー200を弾性に富む材質にて形成することにより、冷熱負荷時にカバー200によりカバー200周辺の内部応力を低下させることができ、樹脂層174のクラックの発生ないしは進展を抑制することができる。
【0063】
(第7実施形態)
図10は第7実施形態を示すもので、図10は点火コイル100の要部(図1のB部に相当する部位)の軸方向断面図である。そして、本実施形態は、引き出し線接続部184aの位置およびシリコンテープ122の設置範囲が第1実施形態と異なり、その他の点は第1実施形態と共通する。
【0064】
本実施形態のシリコンテープ122は、従来と同様に、筒部121aにおける一次コイル120側の面のみに巻かれており、つば部121bにおける一次コイル120側の面には巻かれていない。
【0065】
低圧ターミナル184の引き出し線接続部184aは、二次コイル130と一次スプール121の筒部121aとの間で、かつ一次スプール121における軸方向端部よりも軸方向内側に配設されている。換言すると、引き出し線接続部184aは、一次スプール121の内周部位に配設されている。
【0066】
本実施形態によると、樹脂層174のクラックが一次スプール121よりも軸方向外側に向かって進展するのに対し、引き出し線接続部184aを筒部121aの内周部位に配設しているため、樹脂層174のクラックが引き出し線接続部184aに達するのを防止して、低圧側引き出し線132の断線を防止することができる。
【0067】
(第8実施形態)
図11は第8実施形態を示すもので、図11は点火コイル100の要部(図1のB部に相当する部位)の軸方向断面図である。そして、本実施形態は、外周コア140の設置範囲が第1実施形態と異なり、その他の点は第1実施形態と共通する。
【0068】
ところで、従来は、外周コア140における低圧ターミナル184側の端部が、一次コイル120における低圧ターミナル184側の端部まで延びていなかった。そのため、外周コア140における低圧ターミナル184側の端部に発生した樹脂層174のクラックが、一次コイル120にすぐに達してしまい、一次コイル120の断線やショートを引き起こす恐れがあった。
【0069】
これに対し本実施形態では、図11に示すように、外周コア140における低圧ターミナル184側の端部(図11の上端)を、一次コイル120における低圧ターミナル184側の端部よりも、さらに低圧ターミナル184側(図11の上方)まで延長させている。
【0070】
従って、外周コア140における低圧ターミナル184側の端部に樹脂層174のクラックが発生しても、そのクラックは一次コイル120に達しないため、一次コイル120の断線やショートを防止することができる。
【0071】
なお、図11において、141は外周コア140と樹脂層174とが完全に接着してしまうことを防止する接着抑制材であり、本実施形態では外周コア140にフッ素樹脂を被覆(コーティング)して形成されている。
【0072】
(第9実施形態)
図12は第9実施形態を示すもので、図12は点火コイル100の要部(図1のB部に相当する部位)の軸方向断面図である。そして、本実施形態は、第4実施形態のカバー190の代わりに、一次スプール121の筒部121aにおける低圧ターミナル184側の端部近傍に、樹脂層174と接着しにくい材質よりなる剥離部材210を設けたもので、その他の点は第4実施形態と共通する。
【0073】
剥離部材210は、クラック到達阻止部材に相当し、具体的にはシリコンテープを用いている。剥離部材210は、一次スプール121の筒部121aの内壁に貼付けられる貼付部210aと、この貼付部210aから低圧ターミナル184側に延びる突出部210bとを有する。
【0074】
突出部210bの先端は引き出し線接続部184aを超える位置まで軸方向に延びて、突出部210bの内周部位に引き出し線接続部184aが位置している。従って、筒部121aにおける低圧ターミナル184側の端部と引き出し線接続部184aとの間は、剥離部材210によって遮られている。
【0075】
本実施形態によると、剥離部材210は筒部121aにおける低圧ターミナル184側の端部と引き出し線接続部184aとの間を遮るようにして配置されているため、一次スプール121のクラック発生部を起点とする樹脂層174のクラックが、引き出し線接続部184aに達するのを防止して、低圧側引き出し線132の断線を防止することができる。
【0076】
また、剥離部材210は樹脂層174と接着しにくい材質であるため、剥離部材210と樹脂層174は冷熱負荷時に容易に剥離し、樹脂層174のクラックの発生が抑制される。
【0077】
なお、剥離部材210の剛性を上げるために、シリコンテープにポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムを貼り合わせたものを用いてもよい。この場合、シリコンテープを外層とし、PET製フィルムを内層とするのが望ましい。
【0078】
また、剥離部材210は樹脂層174と接着しにくい材質であれば、PETテープ等シリコンテープ以外のものを用いることができる。
【0079】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、内周側が二次コイルであり、外周側が一次コイルであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、外周側を二次コイルとし、内周側を一次コイルとしてもよい。
【0080】
また、二次コイル130と引き出し線接続部184aとの間の低圧側引き出し線132、および引き出し線接続部184aに巻き付けられる低圧側引き出し線132を、より線(例えば3本以上)にしてもよい。これによると、低圧側引き出し線132が単線の場合よりも強度が増加し、樹脂層174のクラックが低圧側引き出し線132部に達しても断線しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る点火コイルの断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB部拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る点火コイルの要部の断面図である。
【図5】図4のE矢視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る点火コイルの要部の構成図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る点火コイルの要部の断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る点火コイルの要部の断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る点火コイルの要部の断面図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る点火コイルの要部の断面図である。
【図11】本発明の第8実施形態に係る点火コイルの要部の断面図である。
【図12】本発明の第9実施形態に係る点火コイルの要部の断面図である。
【図13】従来の点火コイルの要部の断面図である。
【符号の説明】
110…中心コア、120…一次コイル(外周側コイル)、
121…一次スプール(外周側巻き枠)、121a…筒部、
121b…つば部、122…シリコンテープ(接着抑制層)、
130…二次コイル(内周側コイル)、
131…二次スプール(内周側巻き枠)、132…引き出し線、
140…外周コア、174…樹脂材(樹脂層)、
184…低圧ターミナル、184a…引き出し線接続部。

Claims (2)

  1. 磁性材料からなる棒状の中心コア(110)と、
    前記中心コア(110)の外周側に巻かれた内周側コイル(130)と、
    前記中心コア(110)と前記内周側コイル(130)との間に配設され、前記内周側コイル(130)の巻線を巻くための電気絶縁材料からなる内周側巻き枠(131)と、
    前記内周側コイル(130)の外周側に巻かれた外周側コイル(120)と、
    前記内周側コイル(130)と前記外周側コイル(120)との間に配設され、前記外周側コイル(120)の巻線を巻くための電気絶縁材料からなる外周側巻き枠(121)と、
    前記外周側巻き枠(121)の軸方向端部よりも軸方向外側に配設され、前記内周側コイル(130)の引き出し線(132)が引き出し線接続部(184a)に接続された低圧ターミナル(184)とを備え、
    前記内周側コイル(130)と前記外周側コイル(120)との間に電気絶縁性を有する樹脂材(174)が充填されて前記両コイル(120、130)がモールド固定され、
    前記外周側コイル(120)の内周面と前記外周側巻き枠(121)の外周面との間に配設された接着抑制層(122)により、前記外周側巻き枠(121)の外周面と前記樹脂材(174)との接着を抑制するようにした内燃機関用点火コイルであって、
    前記外周側巻き枠(121)の軸方向端部近傍から前記引き出し線接続部(184a)側に向かう前記樹脂材(174)のクラックが前記引き出し線接続部(184a)に到達するのを阻止するクラック到達阻止部材(184b)が、前記外周側巻き枠(121)の軸方向端部と引き出し線接続部(184a)との間に設けられており、
    前記クラック到達阻止部材は、前記低圧ターミナル(184)に一体に形成されたプレート(184b)であることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
  2. 磁性材料からなる棒状の中心コア(110)と、
    前記中心コア(110)の外周側に巻かれた内周側コイル(130)と、
    前記中心コア(110)と前記内周側コイル(130)との間に配設され、前記内周側コイル(130)の巻線を巻くための電気絶縁材料からなる内周側巻き枠(131)と、
    前記内周側コイル(130)の外周側に巻かれた外周側コイル(120)と、
    前記内周側コイル(130)と前記外周側コイル(120)との間に配設され、前記外周側コイル(120)の巻線を巻くための電気絶縁材料からなる外周側巻き枠(121)と、
    前記内周側コイル(130)の引き出し線(132)が引き出し線接続部(184a)に接続された低圧ターミナル(184)とを備え、
    前記内周側コイル(130)と前記外周側コイル(120)との間に電気絶縁性を有する樹脂材(174)が充填されて前記両コイル(120、130)がモールド固定され、
    前記外周側巻き枠(121)の内周面に前記樹脂材(174)が直接接触しており、
    前記外周側コイル(120)の内周面と前記外周側巻き枠(121)の外周面との間に配設された接着抑制層(122)により、前記外周側巻き枠(121)の外周面と前記樹脂材(174)との接着を抑制するようにした内燃機関用点火コイルであって、
    前記外周側コイル(120)は一次コイル、前記内周側コイル(130)は二次コイルであり、
    前記二次コイル(130)と前記外周側巻き枠(121)との間で、かつ前記外周側巻き枠(121)の軸方向端部よりも軸方向内側に、前記二次コイル(130)の引き出し線(132)が接続された引き出し線接続部(184a)が配設されていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
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