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JP3783957B2 - 内燃機関用点火コイル - Google Patents

内燃機関用点火コイル Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関用点火コイルに関し、特にプラグホールに直接搭載するスティック状の内燃機関用点火コイルに関する。
従来のスティック状の内燃機関用点火コイル(以下、「内燃機関用点火コイル」を点火コイルという)として、軸中心に棒状のコアを配設し、その外周に一次コイルおよび二次コイルを巻回した樹脂製のスプール、さらにその外周に外周コアを配設し、点火コイルのハウジング内に部材間の絶縁材として樹脂を充填するものが知られている。ハウジング内に充填する樹脂は絶縁材としてだけではなく、コイルの線材間に浸透しコイルの巻線崩れを防ぐ役割を果たしている。
外周コアはハウジング内で直接樹脂絶縁材と接しているので、熱膨張率の異なる外周コアと樹脂絶縁材とが温度変化により膨張および収縮を繰り返すと、外周コアの端部角部と接する樹脂絶縁材に絶縁欠損部であるクラック(crack) が発生することがある。低電圧部である外周コアと接する樹脂絶縁材にクラックが発生すると、高電圧部である二次コイルや高圧ターミナルと外周コアとの間でクラックを通って放電する恐れがある。高電圧部と低電圧部との間で放電が発生すると、点火装置である点火プラグに印加する電圧が低下するので点火プラグに所望の高電圧を印加できなくなる。
また、例えばコイルとターミナルとを接続する引出線にまでクラックが達すると、引出線が断線する恐れがある。
スティック状の点火コイルではないが、コアの表面をエラストマーでオーバーコートすることによりコアの角部を覆っている点火コイルが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1ではこれにより、コアの角部とエポキシ樹脂とが直接接することを防止し、コアの角部付近のエポキシ樹脂にクラックが発生することを抑制している。
実公昭59−30501号公報
しかしながら、スティック状の点火コイルはプラグホールの内径に合わせて外径が規制されるので、実公昭59−30501号公報に開示される点火コイルのように外周コアにコーティングするとコーティングの厚み分点火コイルの外径が大きくなるという問題がある。
本発明の目的は、点火コイルの径方向の体格を大型化することなく外周コアの軸方向の端部内周角部付近の樹脂絶縁材にクラックが発生することを抑制し、所望の高電圧を発生する点火コイルを提供することにある。
本発明の他の目的は、外周コアの軸方向の端部に係止される弾性部材の組付けが容易な点火コイルを提供することにある。
本発明の請求項記載の点火コイルによると、一次コイルおよび二次コイルの
外周に配設される外周コアの軸方向の端部に弾性部材が係止されるので、外周コアの端部に絶縁樹脂が直接接することを防止する。したがって、熱膨張率の異なる外周コアおよび樹脂絶縁材が温度変化に伴い膨張および収縮を繰り返しても、弾性部材を係止する外周コアの端部付近の樹脂絶縁材に絶縁欠損部としてのクラックが発生することを抑制できる。
さらに、弾性部材が外周コアの端部と鍔部の軸方向端面との間だけに係止されることにより、点火コイルの体格を径方向に拡大することなく外周コアの端部付近の樹脂絶縁材にクラックが発生することを抑制できる。
さらに、弾性体からなる弾性部材が外周コアの端部と鍔部の軸方向端面との間に係止されるので、熱膨張率の異なる外周コアと樹脂絶縁材との熱膨張率の差を弾性部材が弾性変形することにより吸収することができる。したがって、外周コアの端部において絶縁樹脂材にクラックが発生することをさらに良好に抑制することができる。これにより、高電圧部としての二次コイルや高圧ターミナル等と低電圧部としての外周コアとの間で放電することを抑制できるので、点火プラグに印加する電圧が低下することを防止し所望の高電圧を点火プラグに印加できる。
さらに、一次スプールに形成された取付部に弾性部材を取付けることにより、一次スプールに弾性部材を取付けた状態で外周コアに一次スプールを挿入することができる。したがって、挿入時において一次スプールから弾性部材が外れにくいので、組付け性が向上し組付け工数を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例について図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例による点火コイルを図1、図2および図3に示す。
図1に示す点火コイル10は、図示しないエンジンブロックの上部に気筒毎に形成されたプラグホール内に収容され、図示しない点火プラグと図1の下側で電気的に接続している。
点火コイル10は樹脂材料からなる円筒状のハウジング11を備えており、このハウジング11内に形成された収容室11aに、コアとしての中心コア15、磁石16、17、二次スプール20、二次コイル21、一次スプール23、一次コイル24、外周コア25等が収容されている。ハウジング11はトランス部13に蓋部12が嵌合して構成されている。収容室11aに充填されたエポキシ樹脂26は点火コイル10内の各部材間に浸透し、樹脂絶縁材として部材間の電気絶縁を確実なものとしている。
円柱状の中心コア15は薄い珪素鋼板を横断面がほぼ円形となるように径方向に積層して組立てられている。コイルにより励磁されて発生する磁束の方向とは逆方向の極性を有する磁石16、17はそれぞれ中心コア15の軸方向両端に装着されている。また、中心コア15の外周を絶縁材としてゴム材18が覆っている。
二次スプール20はゴム材18の外周に配設されており、樹脂材料で成形されている。二次コイル21は二次スプール20の外周に巻回されており、二次コイル20の高電圧側にさらにダミーコイル22が一重巻き程度に巻回されている。ダミーコイル22は二次コイル21とターミナルプレート40とを電気的に接続している。単線ではなくダミーコイル22で二次コイル21とターミナルプレート40とを電気的に接続することにより、二次コイル21とターミナルプレート40との電気的接続部の表面積を大きくし、電気的接続部への電界集中を避けている。
一次スプール23は二次コイル21の外周に配設されており、樹脂材料で成形されている。二次コイル21の低電圧側に位置する一次スプール23の端部に径方向外側に張出した鍔部23aが形成されており、この鍔部23aに後述するリング部材51を嵌合する断面L字状の取付部23bが形成されている。一次コイル24は一次スプール23の外周に巻回されており、ターミナル31を介して図示しないスイッチング回路と電気的に接続されている。
外周コア25は一次コイル24のさらに外側に装着されている。外周コア25は、薄い珪素鋼板を筒状に巻回し巻回開始端と巻回終了端とを接続していないので軸方向に隙間を形成している。外周コア25は磁石16の外周位置から磁石17の外周位置にわたる軸方向長さを有する。
外周コア25の軸方向両端部の内周角部は、弾性体であるゴムで形成された弾性部材としてのリング部材50、51で覆われ、リング部材50、51を係止している。二次コイル21の高電圧側に位置する外周コア25の端部内周角部はリング部材50で覆われ、二次コイル21の低電圧側に位置する外周コア25の端部内周角部はリング部材51で覆われている。図2に示すように、リング部材51は鍔部23aに形成された取付部23bに嵌合することにより一次スプール24に取り付けられている。取付部23bにリング部材51を組付ける前の状態で、リング部材51の内径は取付部23bの外周面の外径よりも僅かに小さくなるように設定されている。これにより、取付部23bに対し径方向内側に向けてリング部材51の弾性力が働いている。
図1に示すように、制御信号入力用のコネクタ部30はプラグホールから突出するように蓋部12に設けられており、このコネクタ30に一次コイル24に制御信号を供給したり、二次コイル21および一次コイル24のアース側と接続する複数のターミナル31がインサート成形されている。ターミナル31を介して一次コイル24へ制御信号を供給するスイッチング回路は点火コイル10の外部に設けられている。各ターミナル31と二次コイル21および一次コイル24とは引出線で電気的に接続されている。
高圧ターミナル41はトランス部13にインサート成形されている。ターミナルプレート40の中央部は高圧ターミナル41を挿入する方向に折り曲げられた爪部を構成している。この爪部に高圧ターミナル41の先端が挿入することにより、高圧ターミナル41はターミナルプレート40と電気的に接続している。ダミーコイル22の高電圧端の線材は、フュージングまたははんだ付け等でターミナルプレート40に電気的に接続されている。スプリング42は高圧ターミナル41と電気的に接続するとともにプラグホールに点火コイル10を挿入した際に点火プラグと電気的に接続する。ハウジング11の高電圧側開口端にゴムからなるプラグキャップ19が装着されており、このプラグキャップ19に点火プラグを挿入する。スイッチング回路から一次コイル24に制御信号を供給すると二次コイル21に高電圧が発生し、この高電圧がダミーコイル22、ターミナルプレート40、高圧ターミナル41、スプリング42を介して点火プラグに印加される。
次に、点火コイル10の組付け手順について説明する。
(1) 外周コア25の一方の端部にリング部材50を嵌め込み、高圧ターミナル41およびスプリング42を有するトランス部13にリング部材50側から外周コア25を挿入する。リング部材50が図3に示すトランス部13の係止部13aに係止されることにより、外周コア25の挿入量が規定される。
(2) 中心コア15、磁石16、17、二次スプール20、二次コイル21、リング部材51を取付部23bに嵌合した一次スプール23、一次コイル24から構成されるコイル組立体を外周コア25に挿入する。リング部材51は取付部23bに径方向内側の弾性力を加えて嵌合しているので、取付部23bからリング部材51がずれにくい。リング部材51が外周コア25の端部内周角部に係止されることにより、コイル組立体の挿入量が規定される。
(3) 蓋部12をトランス部13に嵌合し、蓋部12の開口部12aからエポキシ樹脂を注入する。
上記組付け手順において、コイル組立体に外周コア25を組付け、外周コア25の低電圧側の端部内周角部を予めリング部材51で覆ってから外周コア25を含むコイル組立体をトランス部13に挿入してもよい。
ここで、エポキシ樹脂26の熱膨張率は珪素鋼板から形成された外周コア25の熱膨張率よりも大きいので、外周コア25の両端部内周角部がリング部材50、51で覆われておらず、エポキシ樹脂26が外周コア25の両端部内周角部と直接接していると、温度変化によりリング部材50、51とエポキシ樹脂26が膨張および収縮を繰り返すことにより外周コア25の両端部内周角部と接しているエポキシ樹脂26にクラックが発生し易い。外周コア25の両端部内周角部と接しているエポキシ樹脂26にクラックが発生すると、高電圧部である二次コイル21の高電圧側、ダミーコイル22、ターミナルプレート40または高圧ターミナル41と低電圧部である外周コア25との間でクラックを通って放電することがある。高電圧部と低電圧部との間で放電すると、点火プラグに印加する電圧が低下するので点火プラグに所望の高電圧を印加できなくなる。
しかしながら第1実施例では、外周コア25の両端部内周角部をゴム製のリング部材50、51で覆い、外周コア25の両端部内周角部とエポキシ樹脂26が直接接することを防止している。さらに、外周コア25とエポキシ樹脂26の熱膨張率の差をリング部材50、51が弾性変形することにより吸収することができる。したがって、外周コア25の両端部内周角部付近のエポキシ樹脂26にクラックが発生しないので、二次コイル21の高電圧側、ダミーコイル22、ターミナルプレート40または高圧ターミナル41と外周コア25との間で放電することを抑制できる。したがって、点火プラグに所望の高電圧を印加することができる。
また、一次スプール23の取付部23bにリング部材51を嵌合することができるので、外周コア25に一次スプール23を挿入する際にリング部材51が一次スプール23から外れにくい。これにより、リング部材51の組付け性が向上し、組付け工数が低減する。
(第2実施例)
本発明の第2実施例による点火コイルを図4に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分には同一符号を付す。
二次コイル21の低電圧側に位置する一次スプール27の端部に鍔部27aが形成されており、この鍔部27aに弾性部材としてのリング部材52を嵌合し取り付ける取付部としての環状溝27bが形成されている。リング部材52が環状溝27bに嵌合することによりリング部材52の軸方向の動きが規制されるので、外周コア25に一次スプール27を挿入するときにリング部材52がずれにくい。したがって、リング部材52を嵌合した一次スプール27の組付けがさらに容易になり、組付工数が低減する。二次コイル21の高電圧側に位置する外周コア25の端部内周角部は第1実施例と同様に図示しないリング部材50で覆われている。
以上説明した第1実施例および第2実施例では、弾性部材としてのリング部材が外周コア25の軸方向の両端部内周角部を覆い外周コア25の両端部内周角部に係止されることにより、エポキシ樹脂26が外周コア25の両端部内周角部と直接接することを防止している。これにより、外周コア25の両端部内周角部付近のエポキシ樹脂26に温度変化によるクラックが発生することを抑制している。さらに、リング部材を弾性体であるゴムで形成することにより、外周コア25とエポキシ樹脂26との熱膨張率の差をリング部材が弾性変形することにより吸収するので、クラックがさらに発生しにくい。したがって、高電圧部である二次コイル21の高電圧側、ダミーコイル22、ターミナルプレート40または高圧ターミナル41と、低電圧部である外周コア25との間で放電することを抑制できるので、点火コイルに所望の高電圧を印加できる。
また、外周コア25の全面ではなく端部内周角部だけをリング部材で覆っているので、点火コイルの径が拡大しない。
また、体積の収縮が可能な材料、例えば単泡スポンジで弾性部材を形成すると、単泡スポンジは容易に変形するので、単泡スポンジに外周コアを押し当てることにより外周コアと当接する単泡スポンジの断面形状が外周コアの端部内周角部の形状に合わせてL字状に変形し外周コアの端部内周角部を覆うことができる。したがって、弾性部材の断面形状を予めL字状に形成することなく単純な板状に形成できるので、弾性部材の加工が容易になる。
上記複数の実施例では、外周コア25の両端部の内周角部をリング部材で覆ったが、外周コア25のいずれか一方の端部内周角部だけをリング部材で覆うことも可能である。
また上記複数の実施例では、外周コア25の両端部の内周角部を覆ったが、径方向に制限がない場合、例えば本実施例の二次コイル低電圧側の外周コアの端部を断面コ字状のリング部材で覆うようにしてもよい。また、弾性部材が外周コア25の端部を覆わず、弾性部材が外周コア25の端部に係止されるだけの構成を採用しても、エポキシ樹脂26が外周コア25の端部と直接接することを防止できる。これにより、外周コア25の端部付近のエポキシ樹脂26にクラックが発生することを抑制できる。
上記複数の実施例では、面押しまたは切削等の方法で外周コア25の端部角部を面取りして丸くすることにより、外周コア25の端部角部に接するリング部材が損傷することを防止できる。また、外周コア25の端部角部をリング部材が覆わない場合も外周コア25の端部角部付近のエポキシ樹脂26にクラックが発生することを抑制できる。
本発明の第1実施例による点火コイルを示す断面図である。 第1実施例による点火コイルの低電圧側示す模式的断面図である。 第1実施例による点火コイルの高電圧側を示す断面図である。 本発明の第2実施例による点火コイルの低電圧側を示す模式的断面図である。
符号の説明
10 点火コイル、11 ハウジング、15 中心コア(コア)、16、17 磁石、20 二次スプール、21 二次コイル、23 一次スプール、23b 取付部、24 一次コイル、25 外周コア、26 エポキシ樹脂(樹脂絶縁材)、27 一次スプール、27a 鍔部、27b 環状溝(取付部)、50、51、52 リング部材(弾性部材)

Claims (1)

  1. 内燃機関の点火装置に印加する高電圧を発生する内燃機関用点火コイルであって、
    棒状のコアと、
    前記コアの外周に巻回された一次コイルおよび二次コイルと、
    前記二次コイルを巻回する二次スプール、および前記二次スプールの外周側に配設され前記一次コイルを巻回する一次スプールと、
    前記一次スプールの端部に前記一次スプールの径方向外側に張り出して形成された鍔部と、
    前記一次コイルおよび前記二次コイルの外周に配設される外周コアと、
    前記点火コイル内に充填された樹脂絶縁材と、
    前記鍔部に形成された取付部に取り付けられ、前記外周コアの軸方向の前記二次コイル低電圧側に位置する前記外周コアの端部と前記鍔部の軸方向端面との間に係止されている弾性体よりなる弾性部材と、
    を備えることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
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