JP4131167B2 - フッ素ゴム積層金属板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素ゴム積層金属板に関する。さらに詳しくは、ガスケット材料、特に耐熱性、耐油性、耐LLC性等が必要とされるエンジン用シリンダヘッドガスケット材料等に好適に用いられるフッ素ゴム積層金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンシリンダヘッドガスケット等耐LLC性や耐水性などが必要とされるゴム積層金属板には、金属板としてステンレス鋼板が使用される。ステンレス鋼板上に直接加硫接着剤を塗布し、そこにゴムを積層させても耐液接着耐久性が悪く、これらの浸漬試験を実施すると接着剥離を生じるため、ステンレス鋼板表面には、接着剤塗布の前処理としてクロメート処理が施され、水やLLC(ロングライフクーラント)に対する耐液性を向上させているが、クロメート処理剤中には人体や環境に悪影響を及ぼすCr6+を含有しており、それを使用しない方が好ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は先に、Cr6+を含有しないゴム金属積層ガスケットとして、金属板上に(A)シラン系下塗り剤、(B)ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール樹脂および第3アミン化合物を含有する上塗り接着剤および(C)フッ素ゴムを順次積層したガスケットを(特開 2004-76911 号公報)、またCr6+を含有しないエンジン用シリンダヘッドガスケット素材として、ステンレス鋼板上に有機チタン化合物および平均粒径40nm以下の超微粒子金属酸化物を含有するシラン系下塗り剤、樹脂系上塗り接着剤およびゴムを順次積層したガスケット素材を(特開 2004-76699 号公報)、それぞれ提案している。これらのガスケット(素材)は、シリンダヘッドガスケットとして必要な特性である耐LLC性は良好であるものの、耐エンジン油性についてはさらなる向上が求められた。
【0004】
本発明の目的は、特別の表面処理を施さずともステンレス鋼板等の金属板と耐熱性、耐油性、耐LLC性などにすぐれたフッ素ゴムとを良好な接着性で積層させることができ、ガスケット材料等として好適に用いられるフッ素ゴム積層金属板を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、金属板/オルガノアルコキシシランの加水分解物または部分縮合物よりなる下塗り接着剤/フェノール樹脂系上塗り接着剤/フッ素ゴムよりなるゴム積層金属板において、フェノール系接着剤としてジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂およびレゾール型フェノール樹脂を含有する加硫接着剤が用いられたフッ素ゴム積層金属板によって達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
金属板としては、ステンレス鋼板が好んで用いられ、SUS304,301,301H,430等任意のものが使用される。
【0007】
下塗り接着剤としてのオルガノアルコキシシランの加水分解物または部分縮合物としては、一般式(RO)nSiX4-n(ここで、Rは低級アルキル基であり、Xはビニル基、アミノアルキル基、グリシドキシアルキル基、低級アルキル基等であり、nは1〜3である)で表わされるオルガノアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解物または部分縮合物が用いられる。加水分解反応または部分縮合反応は、オルガノアルコキシシラン中のアルコキシシラン基に対し当量以上の水を約40〜80℃で反応させることにより行われる。
【0008】
かかるオルガノアルコキシシランの加水分解物または部分縮合物としては、アミノ基含有アルコキシシランとビニル基含有アルコキシシランとの共重合オリゴマーが好んで用いられる。
【0009】
共重合オリゴマーの一方の成分であるアミノ基含有アルコキシシランとしては、例えばγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等が用いられる。これらのアミノ基含有アルコキシシランは、これをそのまま接着剤組成物の一成分として使用すると、皮膜形成が上手くできず、良好な接着剤を与えることができないので、ビニル基含有アルコキシシランとの共重合オリゴマーとして用いられる。
【0010】
他の成分であるビニル基含有アルコキシシランとしては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が用いられる。これらのビニル基含有アルコキシシランは、水に溶け難く、油状となって分離してしまい、他の成分と混合することができない。また、そのオリゴマーも水に溶け難く、沈殿を生じてしまうため、アミノ基含有アルコキシシランとのオリゴマーとして用いられる。
【0011】
オリゴマー化反応に際しては、アミノ基含有アルコキシシラン100重量部に対して、ビニル基含有アルコキシシラン50〜150重量部、好ましくは80〜120重量部および加水分解用の水20〜150重量部が用いられる。ビニル基含有アルコキシシランをこれより多い割合で用いると、上塗り剤またはゴムとの相溶性が悪くなって接着性が低下するようになり、一方これよりも少ない割合で用いると、耐水性が低下するようになる。
【0012】
オリゴマー化反応は、これらを蒸留装置および攪拌機を有する反応器内に仕込み、約60℃で約1時間攪拌する。その後、酸、例えばギ酸や酢酸をアミノ基含有アルコキシシラン1モルに対し約1〜2モルを1時間以内に添加する。この際の温度は約65℃に保たれる。さらに1〜5時間攪拌し、反応を進行させると同時に、加水分解によって生成したアルコールを減圧下で蒸留する。蒸留物が水しか存在しなくなった時点で蒸留を終了させ、その後シラン濃度が30〜80重量%になるように希釈して調節することにより、目的とする共重合オリゴマーが得られる。この共重合オリゴマーは、メタノール、エタノール等のアルコール系有機溶媒に可溶な程度のオリゴマーである。また、すでに共重合オリゴマーとして市販されているものをそのまま用いることもできる。
【0013】
なお、アミノ/ビニル基含有アルコキシシラン共重合オリゴマーをステンレス鋼等の金属とフッ素ゴムとの接合に用いることは、本出願人によって提案されているが(WO 02/24826)、後記比較例1の結果に示されるように、LLC等に対する耐液性の点では十分に満足できるものではなかった。
【0014】
また、共重合オリゴマーには有機金属化合物を添加して用いることが好ましく、有機金属化合物としては、トリイソプロポキシアルミニウム、モノ第2ブトキシジプロポキシアルミニウム、トリ第2ブトキシアルミニウム、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)等の有機アルミニウム化合物、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタン化合物、テトラn−プロピルジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、ジn−ブトキシジルコニウムビス(アセチルアセトネート)、ジn−ブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)等の有機ジルコニウム化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物が例示される。
【0015】
これらの有機金属化合物は、共重合オリゴマー100重量部当り約10〜50重量部、好ましくは約20〜40重量部の割合で用いられる。使用割合がこれよりも少ないと、耐LLC性や耐水性が低下するようになり、一方これよりも多い割合で使用されると、上塗り剤やゴムとの相溶性が悪くなって接着性が低下するようになる。
【0016】
以上の各成分を必須成分とする下塗り接着剤は、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系有機溶媒またはアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶媒と水との混合溶剤の約0.2〜3重量%濃度の溶液として調製され、用いられる。有機溶媒と水とは、前者が約100〜80重量%、また後者が約0〜20重量%となるような割合で混合して用いられる。水を併用した場合には、共重合オリゴマーのさらなる高分子量が進み、強じんな被膜を形成させることができる。この下塗り接着剤の経時安定性を必要とする場合には、有機または無機の酸を添加すると有効である。
【0017】
このような下塗り接着剤は、ステンレス鋼、軟鋼、銅、マグネシウム、アルミニウム、アルミニウムダイキャスト等の金属上に、これを浸せき、噴霧、はけ刷り、ロールコートなどの方法によって塗布し、室温下で、次いで約100〜250℃で約1〜20分間程度焼付け処理が実施される。一般に約0.1〜10μm程度の膜厚で形成される下塗り接着剤上には、フェノール樹脂系上塗り接着剤が塗布される。
【0018】
フェノール樹脂系上塗り接着剤としては、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂およびレゾール型フェノール樹脂を含有する加硫接着剤が用いられる。
【0019】
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂としては、ジヒドロベンゾオキサジン環を有し、ジヒドロベンゾオキサジン環の開環反応によって硬化する熱硬化性樹脂であれば任意のものを使用することができ、例えばフェノール性水酸基を有する化合物、1級アミンおよびホルムアルデヒドから、次式に示される如く、ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン誘導体が合成される。
【0020】
フェノール性水酸基を有する化合物としては、芳香環のフェノール性水酸基に対して少くとも一方のo−位に水素原子が結合していることが必要であり、好ましくは分子中にフェノール性水酸基が複数個存在する多官能性フェノール類が用いられる。具体的には、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等のフェノール類、1,5-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類、ノボラック型またはレゾール型フェノール樹脂、メラミンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂等のフェノール樹脂類が例示される。
【0021】
また、1級アミンとしては、アニリン、トルイジン等の芳香族アミン類またはメチルアミン、エチルアミン等の脂肪族アミンが例示される。
【0022】
これらのフェノール性水酸基を有する化合物と1級アミンのそれぞれ1モルに対して、2モル以上のホルムアルデヒドが用いられ、しゅう酸触媒等の存在下に、反応温度約70〜130℃、好ましくは約90〜110℃で約1/3〜4時間程度反応させた後、減圧下120℃以下で未反応のフェノール性化合物、1級アミン類、ホルムアルデヒド等を除去することにより、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が得られる。
【0023】
一方、レゾール型フェノール樹脂としては、フェノール、p-クレゾール、m-クレゾール、p-第3ブチルフェノール等のフェノール性水酸基に対してo-位および/またはp-位に2個または3個の置換可能な核水素原子を有するフェノール類またはこれらの混合物とホルムアルデヒドとを、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム、アンモニア等のアルカリ触媒の存在下において縮合反応させることによって得られるものが用いられる。
【0024】
加硫接着剤を構成するこれらの各成分は、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂100重量部に対して、レゾール型フェノール樹脂が約50〜1000重量部、好ましくは約100〜500重量部の割合で用いられる。レゾール型フェノール樹脂の割合がこれよりも多いと耐熱性が低くなり、一方これよりも少ない割合で用いられると耐水性、耐LLC性などが低下するようになる。また、焼付け温度を下げたり、短時間の焼付け処理で使用する場合には、これらの樹脂成分合計量100重量部当り約1〜20重量部のヘキサメチレンテトラミンを添加して用いることも有効である。
【0025】
以上の各成分からなる上塗り接着剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類の単独溶媒または混合溶媒に、約0.5〜10重量%の成分濃度になるように溶解させた有機溶媒溶液として用いられる。この上塗り接着剤中には、フッ素ゴムとの密着性を上げるために、被着フッ素ゴムの有機溶媒溶液を添加して用いることもできる。
【0026】
また、上塗り接着剤の塗布および焼付け処理は、下塗り接着剤と同様にして行うことができ、膜厚約0.1〜15μmの上塗り接着剤層を形成させる。
【0027】
フェノール樹脂系上塗り接着剤上には、未加硫のフッ素ゴムコンパウンドが接合され、フッ素ゴムの加硫温度(約150〜230℃)での加圧加硫が約0.5〜30分間行われる。フッ素ゴムの加硫物層は、片面厚さが約5〜120μm程度となるように、金属板の片面側または両面側に形成される。なお、粘着が不適な製品については、フッ素ゴム加硫物層の表面に粘着防止剤を塗布することも行われる。
【0028】
フッ素ゴムとしては、硬度(デュロメーターA)が80以上で、圧縮永久歪(100℃、22時間)が50%以下の加硫物層を形成するものであれば任意のもの、例えばポリオール加硫性およびパーオキサイド加硫性のいずれも使用することができ、未加硫のフッ素ゴムコンパウンドとしては、例えば次のような配合例が示される。
【0029】
【0030】
ポリオール加硫性フッ素ゴムとしては、一般にフッ化ビニリデンと他の含フッ素オレフィン、例えばヘキサフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フッ化ビニル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等の少なくとも一種との共重合体が挙げられ、これらのフッ素ゴムは、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン、ヒドロキノン等のポリヒドロキシ芳香族化合物によってポリオール加硫される。
【0031】
また、パーオキサイド加硫性フッ素ゴムとしては、例えば分子中にヨウ素および/または臭素を有するフッ素ゴムが挙げられ、これらのフッ素ゴムは一般にパーオキサイド加硫に用いられている有機過酸化物によって加硫(架橋)される。この場合には、有機過酸化物と共に、トリアリルイソシアヌレートによって代表される多官能性不飽和化合物を併用することが好ましい。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係るフッ素ゴム積層金属板は、クロメート処理を施さないステンレス鋼板にあっても、ステンレス鋼板とフッ素ゴムを効果的に接合させ、フッ素ゴム積層ステンレス鋼板を形成させる。このフッ素ゴム積層ステンレス鋼板は、耐熱性および加熱条件下での耐エンジン油性、耐LLC性などにおいて満足される結果を示すので、こうした耐液性が要求されるエンジンシリンダ用ガスケット、自動車、工作機械用等のメタルガスケット等の用途に有効に用いることができる。
【0033】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
参考例1
攪拌機、加熱ジャケットおよび滴下ロートを備えた三口フラスコに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン40部(重量、以下同じ)および水20部を仕込み、pHが4〜5になるように酢酸を加えて調製し、数分間攪拌した。さらに攪拌を続けながら、ビニルトリエトキシシラン40部を滴下ロートを使って徐々に滴下した。滴下終了後、約60℃の温度で5時間加熱還流を行い、室温迄冷却して共重合オリゴマーを得た。
【0034】
この共重合オリゴマーを用いての下塗り接着剤A〜Cの調製が、次のように行われた。
(下塗り接着剤A)
共重合オリゴマー 100部
チタンテトラアセチルアセトネート 10部
メタノール 5000部
水 1000部
(下塗り接着剤B)
共重合オリゴマー 100部
アルミニウムモノアセチルアセトネート 10部
ビス(エチルアセトアセテート)
メタノール 5000部
水 1000部
(下塗り接着剤C)
市販シラン系接着剤 100部
(ロードファーイースト製品ケムロックAP-133)
メタノール 525部
【0035】
参考例2
フェノール500g、37%ホルマリン302.5gおよびしゅう酸1gを容量5Lのフラスコ中に仕込み、還流温度で6時間反応させた後、内部を減圧して未反応フェノールと水分とを除去し、ノボラック型フェノール樹脂を得た。
【0036】
この、ノボラック型フェノール樹脂300gをアニリン263gと混合し、80℃で5時間攪拌して均一な混合溶液を得た。この混合溶液を、90℃に加熱したホルマリン286gを仕込んだ容量5Lのフラスコ中に30分間かけて少量宛滴下し、滴下終了後30分間還流温度に保った後、100℃で2時間減圧して縮合水を除去し、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
【0037】
この熱硬化性樹脂を用いての上塗り接着剤A〜Fの調製が、次のように行われた。
(上塗り接着剤A)
熱硬化性樹脂 100部
レゾール型フェノール樹脂(樹脂濃度40%) 750部
(大日本インキ化学工業製品フェノライトTD-2400)
メチルエチルケトン 7150部
(上塗り接着剤B)
熱硬化性樹脂 100部
レゾール型フェノール樹脂(樹脂濃度50%) 600部
(住友ベークライト製品PR-50232)
メチルエチルケトン 7500部
(上塗り接着剤C)
熱硬化性樹脂 100部
レゾール型フェノール樹脂(PR-50232) 600部
ヘキサメチレンテトラミン 40部
メチルエチルケトン 8060部
(上塗り接着剤D)
熱硬化性樹脂 100部
レゾール型フェノール樹脂(PR-50232) 600部
後記未加硫フッ素ゴム溶液(固形分濃度25重量%) 680部
メチルエチルケトン 10048部
(上塗り接着剤E)
レゾール型フェノール樹脂(PR-50232) 800部
メチルエチルケトン 7200部
(上塗り接着剤F)
o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂 100部
(ジャパンエポキシレジン製品エピコート180S65)
ノボラック型フェノール樹脂 40部
(大日本インキ化学工業製品フェノライトKA-1174)
2-エチル-4-メチルイミダゾール 0.1部
メチルエチルケトン 2660部
【0038】
なお、上塗り接着剤Dで用いられた未加硫フッ素ゴム溶液は、前記配合例Iの未加硫フッ素ゴムコンパウンド25重量%、メタノール6重量%およびメチルエチルケトン67重量%から形成されたフッ素ゴム溶液(固形分濃度25重量%)である。
【0039】
実施例1〜8、比較例1〜5
脱脂したSUS301鋼板(厚さ0.2mm)の表面をアルカリ洗浄した後、下塗り接着剤を塗布し、室温での乾燥および210℃、5分間の焼付処理を行い、冷却後下塗り接着剤層上に上塗り接着剤を塗布し、室温乾燥した後、各上塗り接着剤毎にそれらの最適温度(230℃または200℃)での焼付処理が約5分間行われた。
【0040】
このようにして形成された上塗り接着剤層上に、前記未加硫フッ素ゴム溶液を塗布し、60℃で15分間乾燥させて、片面厚さ20μmの未加硫フッ素ゴム層をSUS301鋼板の片面側に形成させ、これを他の片面側にも形成させた後、180℃、60Kgf/cm2(5.88MPa)、5分間の加圧加硫を行って、フッ素ゴム積層金属板を得た。
【0041】
得られたフッ素ゴム積層金属板について、JIS K5600-5-6の付着性(クロスカット法)試験により、初期、空気加熱(200℃)、エンジン油浸漬(150℃のエッソ社製品ユニフロ10W-30(GF-2)中に浸漬)およびLLC浸漬(120℃の制研化学製品L004NA 50%水溶液中に浸漬)を行い、次の評価基準に従って耐熱性を評価した。
0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥れがない
1:カットの交差点における塗膜の小さな剥れあり
クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上廻ることはない
2:塗膜がカットの線に沿っておよび/または交差点において剥れている
クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが、15%を上廻ることはない
3:塗膜がカットの縁に沿って部分的または全面的に大剥れを生じておりおよび/または目のいろいろの部分が部分的または全面的に剥れているクロスカット部分で影響を受けるのは明確に15%を超えるが、35%を上廻ることはない
4:塗膜がカットの縁に沿って部分的または全面的に大剥れを生じておりおよび/または数ヶ所の目が部分的または全面的に剥れている
クロスカット部分で影響を受けるのは明確に35%を上廻ることはない
5:分類4でも分類できない剥れ程度のいずれか
【0042】
得られた結果は、用いられた下塗り接着剤の種類、上塗り接着剤の種類および焼付温度と共に、次の表1〜2に示される。
Claims (7)
- 金属板/オルガノアルコキシシランの加水分解物または部分縮合物よりなる下塗り接着剤/フェノール樹脂系上塗り接着剤/フッ素ゴムよりなるゴム積層金属板において、フェノール系接着剤としてジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂およびレゾール型フェノール樹脂を含有する加硫接着剤が用いられたことを特徴とするフッ素ゴム積層金属板。
- 金属板がステンレス鋼板である請求項1記載のフッ素ゴム積層金属板。
- オルガノアルコキシシランの加水分解物または部分縮合物がアミノ基含有アルコキシシランとビニル基含有アルコキシシランとの共重合オリゴマーである請求項1記載のフッ素ゴム積層金属板。
- 有機金属化合物を含有する下塗り接着剤が用いられた請求項1記載のフッ素ゴム積層金属板。
- ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂がフェノール性水酸基を有する化合物、1級アミンおよびホルムアルデヒドの反応生成物である請求項1記載のフッ素ゴム積層金属板。
- さらにヘキサメチレンテトラミンを含有する加硫接着剤が用いられた請求項1記載のフッ素ゴム積層金属板。
- ガスケット材料として用いられる請求項1記載のフッ素ゴム積層金属板。
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