JP4121083B2 - ブラシレスオルタネータ用界磁コイルのボビン装置 - Google Patents
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Description
従来のボビン装置では、プレートの円筒部が外嵌状態に継鉄部の肉薄部に装着され、溶接により一体化されているので、プレートの円筒部に装着されるボビンは、継鉄部の肉薄部の厚み分、内径が大きくなってしまう。その結果、界磁コイルの巻回径が大きくなり、導線の長さが長くなるので、界磁コイルの材料が多くなり、コストダウンを図れない、という不具合があった。また、丸棒から旋削加工により肉薄部を有する継鉄部を作製しているので、材料の廃棄率が大きくなり、製造時間が長くなり、コストダウンが図れない、という不具合もあった。
また、ボビンの円筒部に穿設された溶接用穴からプレートの円筒部と継鉄部の肉薄部とを溶接しているので、溶接仕様の変更に伴って溶接箇所の変更や増加があると、溶接穴位置や個数を変更したボビンを作製しなければならず、設計自由度が低下すると共に、コストダウンが図れない、という不具合もあった。
図1はこの発明の実施の形態1に係るブラシレスオルタネータを示す縦断面図、図2は図1に示されるブラシレスオルタネータにおける界磁コイルのボビン装置周りを示す要部拡大断面図、図3はこの発明の実施の形態1に係るブラシレスオルタネータにおける界磁コイルのボビン装置に適用されるプレートを示す斜視図である。
そして、第1磁極鉄心4は、シャフト挿通穴が軸心位置に穿設された円柱状の第1ボス部5と、第1ボス部5の一端から径方向外方に延設された厚肉リング状の第1継鉄部6と、第1継鉄部6の外周から軸方向他端側に延設された第1爪状磁極部7とを有している。そして、第1磁極鉄心4は、第1ボス部5のシャフト挿通穴にシャフト17を圧入して相対回転不能に取り付けられている。
一方、第2磁極鉄心8は、シャフト挿通穴が軸心位置に穿設された円筒状の第2ボス部9と、第2ボス部9の他端外周に配置された厚肉リング状の第2継鉄部10と、第2継鉄部10の外周から一端側に延出するように配置された第2爪状磁極部11とを有している。そして、第2ボス部9がそのシャフト挿通穴にシャフト17を圧入し、その一端面を第1ボス部5の他端面に突き合わせた状態で、相対回転不能に取り付けられている。また、第2爪状磁極部11が、第1爪状磁極部7と噛み合うように配置され、第1および第2爪状磁極部7、11の内周側に配設された非磁性体で作製されたリング12と第1および第2爪状磁極部7、11とを溶接や鑞付けするなどして一体化されている。さらに、第2継鉄部10が、第2ブラケット21の内壁面に固着され、第2ボス部9と第2爪状磁極部11との間に微小な隙間を持って配設されている。
第1ブラケット20および第2ブラケット21は、固定子鉄心15の軸方向両端の肩部を挟んで通しボルト23により締着一体化されている。そして、第1ブラケット20が第1軸受18を介してシャフト17の一端側を回転自在に支持し、第2ブラケット21が第2軸受19を介してシャフト17の他端側を回転自在に支持している。これにより、回転子2が、第1および第2ブラケット20、21内に回転自在に配設されている。
プーリ24が第1ブラケット20から外部に延出するシャフト17の一端部に固着されており、エンジン(図示せず)により駆動されるようになっている。
一方、プーリ24がエンジンによって駆動され、シャフト17が回転される。これにより、回転子2が回転され、回転磁界が固定子鉄心15に与えられ、起電力が固定子巻線16に発生する。この交流の起電力が整流器22によって直流に整流され、バッテリに充電される。
この時、界磁コイル13は第2ブラケット21に固着された第2継鉄部10に装着されているので、第1ボス部5、第1継鉄部6および第1爪状磁極部7が一体に形成された第1磁極鉄心4と、第2磁極鉄心8の第2ボス部9および第2爪状磁極部11とが回転することになる。つまり、界磁コイル13は回転しない。
第2継鉄部10は、断面矩形のリング状に形成されている。そして、段差部100が第2継鉄部10の内周面を一端から軸方向長さpにわたって大径化して環状に形成されている。さらに、回り止め用の凹部101が第2継鉄部10の一端面に凹設されている。
プレート31は、図3に示されるように、軟鋼板をプレス成形して作製され、円筒状の円筒部310と、円筒部310の一端から径方向外方に延設された円盤状の鍔部311とを備えている。
ボビン32は、樹脂によって概略糸巻き状に作製され、円筒状の円筒部320と、円筒部320の両端から径方向外方に延設された円盤状の一対の鍔部321、322とを備えている。そして、回り止め用の突起323が他端側の鍔部322の外周面に突設されている。
プレート31の円筒部310の外径は、第2継鉄部10の段差部100の内径にほぼ等しく、鍔部311の外径は、第2継鉄部10の外径にほぼ等しい。そして、段差部100の深さは、円筒部310の肉厚より僅かに大きく形成され、溶接痕が第2継鉄部10の内周から径方向内方に突出しないようになっている。また、ボビン32の円筒部320の内径は、プレート31の円筒部310の外径にほぼ等しい。そして、ボビン32の軸方向長さは、プレート31の円筒部310の軸方向長さから段差部100の軸方向長さ(p)を減じた長さにほぼ等しい。さらに、ボビン32の鍔部321、322の径方向長さは、プレート31の鍔部311の径方向長さとほぼ等しい。なお、突起323は、第2継鉄部10に凹設された凹部101に係合する位置関係で鍔部322に突設されている。
まず、界磁コイル13がボビン32に巻回される。そして、プレート31がボビン32に挿入される。ついで、ボビン32から延出するプレート31の円筒部310の軸方向他端部が第2継鉄部10の段差部100に内嵌状態に嵌め込まれる。この時、円筒部310の端面が段差部100の端面に突き当てられ、プレート31が軸方向に関して第2継鉄部10に位置決めされる。また、円筒部310の軸方向他端部の外周面が段差部100の内周面に密接している。さらに、鍔部322に形成された突起323が第2継鉄部10に凹設された凹部101に係合され、ボビン32が周方向に関して第2継鉄部10に位置決めされる。
その後、第2継鉄部10とプレート31の円筒部310との径方向に重なった部位が例えば周方向に等角ピッチで4箇所、内周側から例えばスポット溶接され、ボビン装置30が組み立てられる。
また、第2継鉄部10とプレート31との溶接部の薄肉側(プレート31の円筒部310)がボビン32の軸方向外側で径方向内方に露出しているので、ボビン32に影響されずに両者を溶接することができる。これにより、溶接作業性が向上される。さらに、溶接仕様の変更に伴って溶接箇所の変更や増加があっても、ボビン32の形状を変更することなく対処でき、設計自由度が高められるとともに、コストダウンが図られる。
また、従来のボビン装置のような継鉄部から延出する肉薄部が不要となるので、ボビン32の円筒部320の外径が肉薄部の厚み分小さくなる。そこで、界磁コイル13の巻回径が小さくなり、導線の長さが短くなり、界磁コイル13の材料節約の面からコストダウンが図られる。しかも、従来のボビン装置のような旋削加工を用いることなく第2継鉄部10を作製できるので、材料の廃棄率が少なくなり、製造時間が短くなり、コストダウンを図ることができる。
また、本ボビン装置30は、ボビン32の外径を従来のボビン装置のボビン外径より小さくできるので、界磁コイル13の巻回スペースが大きくなる。そこで、本ボビン装置30では、界磁コイル13の巻回数を多くして低速回転数域での出力低下分を補うことができるので、低速回転数域での出力を維持しつつ、高速回転数域での出力を高めることができる交流発電機を実現できる。
なお、高速回転数域での出力向上は、界磁コイル13の内周径が縮小したことにより「単位長さ当たりの起磁力=(電流アンペア×コイルの巻回数)÷磁路の長さ」が増大した結果によるものと推考される。また、低速回転数域での出力低下は、段差部100を形成したことにより磁路を横切るギャップが拡大した結果によるものと推考される。
図4はこの発明の実施の形態2に係るブラシレスオルタネータにおける界磁コイルのボビン装置に適用されるプレートを示す斜視図である。
図4において、プレート40は、軟鋼板をプレス成形して作製され、円筒状の円筒部400と、円筒部400の一端から径方向外方に延設された円盤状の鍔部401と、円筒部400の他端から軸方向外方に延設された4つの舌片402とを備えている。そして、4つの舌片402は、周方向に等角ピッチで円筒部400に形成され、それぞれ軸方向長さp、周方向幅lに形成されている。
また、図示されていないが、周方向幅lおよび軸方向長さpを有する段差部が第2継鉄部の内周面に周方向に等角ピッチで4つ形成されている。なお、この第2継鉄部は環状の段差部100に代えて短冊状の段差部を形成している点を除いて、上記実施の形態1における第2継鉄部10と同様に構成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
プレート40の円筒部400および舌片402の外径は、第2継鉄部の段差部の内径にほぼ等しく、鍔部401の外径は、第2継鉄部の外径にほぼ等しい。そして、段差部の径方向深さは、円筒部400および舌片402の肉厚より僅かに大きく形成され、溶接痕が第2継鉄部の内周から径方向内方に突出しないようになっている。さらに、段差部の軸方向長さlおよび周方向幅pは舌片402の軸方向長さおよび周方向幅にほぼ等しい。また、ボビン32の円筒部320の内径は、プレート40の円筒部400の外径にほぼ等しい。そして、ボビン32の軸方向長さは、プレート40の円筒部400の軸方向長さにほぼ等しい。さらに、ボビン32の鍔部321、322の径方向長さは、プレート40の鍔部401の径方向長さとほぼ等しい。
また、この実施の形態2では、第2継鉄部の内周面が段差部間に存在しているので、環状の段差部100が形成されている上記実施の形態1に比べて、磁路を横切るギャップが少なくなる。その結果、段差部を形成することに起因する低速回転数域での出力低下が抑えられる。
Claims (3)
- 肉厚リング状の継鉄部と、円筒部およびこの円筒部の一端から径方向外方に延設された円盤状の鍔部を有するプレートと、界磁コイルが巻回されるボビンとを備え、
段差部が上記継鉄部の内周面に該継鉄部の一端から軸方向に所定長さにわたって凹設され、上記プレートの円筒部の軸方向他端部がその外周面を上記段差部の内周面と密接するように該段差部に内嵌状態に嵌め合わされて上記継鉄部に溶接され、上記ボビンが上記継鉄部と上記プレートとで形成される空間に装着されていることを特徴とするブラシレスオルタネータ用界磁コイルのボビン装置。 - 上記プレートの円筒部の軸方向他端部が内周側から上記継鉄部に溶接されていることを特徴とする請求項1記載のブラシレスオルタネータ用界磁コイルのボビン装置。
- 上記プレートの円筒部の軸方向他端部は、軸方向外方に延出する所定の周方向幅を持った舌片に形成され、上記段差部は、上記舌片が嵌め合わされる周方向幅および軸方向長さに形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のブラシレスオルタネータ用界磁コイルのボビン装置。
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