JP4120730B2 - 電磁波シールド用複合部材とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電磁波シールド用複合部材とその製造方法に関し、特に該部材は既に作製された網の目状導電パターンを有する電磁波シールド性シートと保護シートとが接着重合されてなるものに関する。該部材が透明である場合には、例えばプラズマディスプレイ(以下、PDPと呼ぶ)の電磁波シールドフィルタとして有効に使用される。
【0002】
【従来の技術】
各種電子情報機器から発せられる電磁波は、電子機器相互に誤動作を招くとか、人体に対して悪影響を及ぼすとかの理由で問題となっていて、この問題解決のために検討も種々なされている。
例えば、次世代大型TVとして注目されているPDPでは、その発光原理に起因して、画面から強い電磁波が放射される。そこで、これを防止するために検討されている方法は、画面の前面に電磁波シールド性のフィルタを装着することによっている。
【0003】
一般に電磁波をシールドするための手段は、対象となる電子情報機器によって異なるが、特に内部又は画面が視認できて、電磁波をシールドする必要のある該機器にあっては、一般に次のような手段によって作製された電磁波シールド性部材が使用される。
(1)電気絶縁透明シート(プラスチック製、ガラス製の透明シート)上に銅箔をラミネートし、これをフォトエッチング法によって処理し、メッシュ状の銅の導電パターンを形成したもの。
(2)前記透明シート上に、銅を電解メッキし、これをフォトエッチング法によって処理し、メッシュ状の銅の導電パターンを形成したもの。
(3)銅、ニッケル又は銀等を表面にメッキして得た繊維のメッシュ織物を前記透明シート上に直接又はもう1枚の透明シートに挟んで固定したもの等である。
【0004】
そして、前記得られた電磁波シールド性部材はそのまま使用されることは少なく、まず導電パターン面を保護する工程が設けられる。この保護工程としては、例えば全面にスパッタリング等の薄膜形成手段によって、ITO(インジウム・スズ酸化物)、酸化ケイ素等の薄膜を被覆するとか、硬化性樹脂を全面にコーティングするとか、更には、該導電パターンを形成した電気絶縁透明シートと同種又は異種の該シート自身を使って、これを該導電パターン面に接着材(液状)を介してラミネートする等である(この方法をラミネート法と呼ぶ)。
【0005】
特に前記ラミネート法は、電磁波シールド性部材自身が柔軟で、PDPのような比較的サイズが大きく、かつ1つのパネルのような状態で使用される場合に適用される工程であり、導電パターンの保護と同時に該部材自身の支持機能も有することで有効である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで前記ラミネート法による電磁波シールド用部材においては、特により高い透明性を必要とするPDP等の用途にあっては、本来有すると考えていた高透明性も低下する傾向が見られるという問題がある。この原因は、透明保護シートのラミネートのために使う接着材による気泡の抱き込みとか、局部的接着不良によるためと考えられていた。これも特に有効な電磁波シールド性を得るために重要な因子である導電パターンの有する一定以上の高肉厚該パターンに対して、その低下傾向が大きく見られるのである。
【0007】
そこで本発明者らは、前記問題に鑑み、これを解決すべき鋭意検討した結果、逐にその解決手段を見い出し本発明に到達した。この解決手段は次の通りである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、請求項1の発明の電磁波シールド用複合部材は、電気絶縁シートを基体として、その上に肉厚3μm以上の網の目状導電パターンが設けられてなる電磁波シールド性シートの該導電パターン面と保護シートとが両面接着材にて接着重合されており、前記電気絶縁シートは、ポリプロピレン、非晶性環状オレフィンポリマ、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートから形成されており、前記網の目状導電パターンは、前記電気絶縁シート上に銅の薄膜層を下地層として設け、その後該下地層の上に銅の厚膜層を積層して設け、その後エッチングを行うことにより形成されており、前記両面接着材は、アクリル系又はシリコーン系のフィルム状芯材レスであり、前記導電パターン面と前記保護シート面とを前記両面接着材で貼着した後、加圧雰囲気下に放置することにより形成されることを特徴とするものである。
【0009】
そして、請求項2の発明の電磁波シールド用複合部材は、前記加圧雰囲気における温度条件は、室温〜60℃の範囲であることを特徴とし、請求項3の発明の電磁波シールド用複合部材は、前記網の目状導電パターンは、パターンの線幅が1〜25μmであり、パターンの開口率が56〜96%であることを特徴とし、請求項4の発明の電磁波シールド用複合部材は、前記両面接着材の厚さが10μm〜150μmであることを特徴としている。
【0010】
また、請求項5の発明の電磁波シールド用複合部材は、電気絶縁シートを基体として、その上に肉厚3μm以上の網の目状導電パターンが設けられてなる電磁波シールド性シートの該導電パターン面と保護シートとが両面接着材にて接着重合されており、前記電気絶縁シートは、ポリプロピレン、非晶性環状オレフィンポリマ、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートから形成されており、前記網の目状導電パターンは、前記電気絶縁シート上に銅の薄膜層を下地層として設け、その後該下地層の上に銅の厚膜層を電解メッキにより積層して設け、その後エッチングを行うことにより形成されており、前記両面接着材は、アクリル系又はシリコーン系のフィルム状芯材レスであり、前記導電パターン面と前記保護シート面とを前記両面接着材で貼着した後、加圧雰囲気下に放置することにより形成されることを特徴としている。以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、肉厚3μm以上の網の目状導電パターンの設けられる基体の電気絶縁シート及び該導電パターン面に接着重合する保護シートは、一般にガラス製、プラスチック製の厚さ約0.05〜10mmのシート状物であり、そしてその透明性については、対象となる電子情報機器と使用目的によって決まり、不透明であっても良い場合もあれば、半透明以上、より高い透明性を必要とする場合もある。従って、不透明であっても良い場合には、セラミックスもあれば着色されたガラス又はプラスチック製のシートもある。
【0012】
そして、前記厚さ約0.05〜10mmについては、最終的に得られる電磁波シールド用部材としての必要特性、その製造に至るまでの工程等を考慮して各々設定されるが、保護シートの方は約1〜10mmの硬直で板状の厚さのものを選び、電気絶縁シートの方は約0.05〜0.5mmのフィルム状のものの中から選んで、両者を組み合わせて複合するのが望ましい。
【0013】
尚、前記電気絶縁シートがプラスチック製である場合には、一般には、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレン又はスチレンとアクリロニトリル又はメチルメタアクリレートとの共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリプロピレンとかシクロペンテン、ノルボネン、テトラシクロドデカン等の環状オレフィンモノマによる単独又はエチレン等の共重合による非晶性環状オレフィンポリマ、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、各種液晶性ポリマ等が使用される。
勿論、これらに特定されるものではなく、これらの例示の中から、更には他のものから選ぶにしても、寸法安定性、衝撃強度、耐薬品性、耐候性等を主に、透明性の必要な場合にはより透明性に優れたことを前提に最適なものを選ぶことになる。
【0014】
そして、前記絶縁シートには、網の目状導電パターンが設けられるが、該導電パターンの設定に際しては、まず電磁波が最も効果的にシールドされるようにパターン設計される。そして透明性を必要とする場合には開口率を、更に該導電パターンの該シートとの密着性、製造のし易さ等も考慮される。ここで、特に電磁波のシールド効率は導電材の種類、形成されるパターンの形状、肉厚、線幅、開口率(形状と線幅によって決まる)に左右される。つまり、電気抵抗の最も小さい(一般に10−3Ω・cm以下)導電材を使って、より密度の高いパターン形状(線幅を太くするか、線幅を細く線数を多くするかのいずれか)で、より肉厚の厚いパターンで設計するのが良い。ここで、導電材については一般に金、銀、銅のいずれかが良いが、より密度の高いパターン形状については、特に透明性も必要とする場合には、開口率も考慮する必要があるので、パターン密度(形状)は自ずから決まってしまうものである。従って形成パターンの肉厚をより厚くすることが唯一の手段ということになる。
【0015】
前記形成パターンの肉厚については、透明性の有無に関わらず、有効に電磁波をシールドするためにはどのような形成パターンでも3μm以上、好ましくは5μm以上必要である。これは幅広い範囲の電磁波を可能な限りシールドする必要があるからであるが、例えばPDPでは10〜100MHzの帯域の電磁波のシールドによって、例えばVCCI規制をクリアすることが要求される。従って、3μm未満の薄い肉厚パターンでは満足される電磁波シールド用複合部材は得られがたい。
尚、該肉厚の上限については50μmまでにすれば十分である。これは50μmよりも厚くしても更なるシールド効果の向上は見込めないからである。
【0016】
また、PDP等透明性も必要とする場合には、次のような条件で導電パターンを形成することが望ましい。つまり、肉厚3μm以上で、線幅を1〜25μmにし、そして開口率が56〜96%になるように格子状パターンでもって、透明(全光線透過率50%以上)な樹脂シート上に形成する。このように設定することで電磁波を有効にシールドしながら画面を鮮明に見ることができるのである。
【0017】
網の目状導電パターンの形成手段については、特に制限はない。一般には前記従来の技術の項で記載する(1)〜(3)の手段によるが、特に(2)に記載する銅を使ってこれを電解メッキし、フォトエッチングする方法については、例えば電気絶縁シート上に銅の無電解メッキを施し、その上に3μm以上の肉厚で銅を電解メッキする。そして所望するパターンのマスクで写真製版し、非パターン部分を酸でエッチング除去する。これによるパターン形成方法は他の方法よりも微細パターンを正確に作ることができるので望ましいが、しかし銅の無電解メッキ層が基体である電気絶縁シートとの密着性があまり良くないこともあって形成された銅パターンの剥離する可能性が高い。
【0018】
そこで、前記の銅の無電解メッキによる下地層をスパッタリング法で代表される物理的薄膜形成手段にかえて、これによる銅下地層とすることがより望ましい。この方法では、ドライな状態で直接に迅速に、かつ十分な密着力をもって電気絶縁シート面に形成することができる。従って、この上に形成される電解メッキによる銅層は、3μm以上の厚膜で十分な密着力を有しているので、微細パターンでも該シート面から剥離する可能性は少ないというものである。
【0019】
尚、形成された3μm以上の網の目状導電パターンは、一般にはその表面をそれ自身の有する色とは異色でもって着色される。これは、特に透明性を必要とする場合であって、表面を着色することでより視認性、コントラストを高め、目に疲労感を感じないのに有効であるからである。一般にこの異色は褐色〜黒色系である。着色手段については、化学的方法もあれば単に着色樹脂をコーティングする方法もある。ここで化学的方法は、例えば該パターンの銅表面を酸化剤(例えば亜塩素酸ナトリウムを主成分とする水溶液)又は硫化剤(硫黄又は硫化カリを主成分とする水溶液)にて処理する。それぞれ銅表面は酸化銅又は硫化銅に変化し着色される。この化学的方法は、他の着色樹脂によるコーテング等よりも着色鮮度が高く、かつ銅と一体的に形成されるので品質的にも優れている。
【0020】
そして、前記の通りの内容でもって得られた肉厚3μm以上の網の目状導電パターンを有する電磁波シールド性シートは、該導電パターン面を何らかの手段で保護し、実用に供せられるが、本発明では特に前記する保護シートを使って、これをフィルム状芯材レス両面接着材(以下、FL接着材と呼ぶ)にて接着重合することで達成するものである。
【0021】
ここで、前記保護に前記するような樹脂等によるシートを使うことで導電パターン面を完全に耐久的に保護することができるとともに、特に硬直で平面性を有し、かつ大サイズを必要とするPDP等への使用に対しては、電磁波シールド性シート自身を支持し、1つのパネルとして完成することができる。
【0022】
また、前記両者が特にFL接着材にて接着重合されることで、導電パターンの肉厚が3μm以上の厚いものに対しては勿論、更には種々の網の目パターン形状(正方形状、長方形状、菱形形状の格子状パターン、三角形、六角形、円形等)に対しても、気泡の抱き込みとか、局部的接着不良を起こすことはなく、完全に密着させることができる。そして又芯材レスつまり接着材のみをもって、それがフィルム状に加工されたものであることで、特に透明性を必要とするものに対しては、芯材(一般にポリエステルフィルムとか、ポリエチレンフィルムとか、ポリプロピレンフィルムとか、紙とか、不織布とかが使われる)自身による透明性低下要因は全くないものとなる。
尚、気泡の抱き込みとか局部的接着不良の発生がないのは芯材がないことで、FL接着材自身が動きやすいという機能を有していることによるものと考えられる。また、液状の接着材とは異なり、フィルム状で固形状態にあるために、得られる電磁波シールド用複合部材の品質にバラツキが少なく、即ち膜厚が一定に制御しやすいので画像歪みもなく、かつ製造工程管理もし易いという効果がある。
【0023】
前記FL接着材の厚さは、透明性を必要とするものに対しては可能な限り薄い方が好ましいが、しかし欠点のない完全な接着を行うためには、導電パターンの肉厚、形状、更には作業性をも考慮することが必要である。このような条件を加味すると、具体的には5μm〜2mm、好ましくは10〜150μm、更には20〜60μmの範囲で適宜選ぶのが良い。
【0024】
また、前記保護シートにおいては、単独に限らず、異種のもの同士の複合シートであっても、更には材料への練り込みやコーティング、貼り付けでハードコート加工、近赤外線防止加工、紫外線防止加工、表面反射防止加工、帯電防止加工等が施されていても良く制限はない。
【0025】
尚、前記FL接着材に使われる接着材の種類は、一般にアクリル系やシリコーン系に見られるように、フィルム状加工のし易い接着材が好ましく用いられる。また、この接着材に近赤外線防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤等が練り込まれていても良く何ら制限はない。
【0026】
次に、請求項2に記載する前記構成をとる電磁波シールド用複合部材の製造方法について説明する。この製造方法は2工程で完了する。まずその1工程では、前記絶縁シート上に設けられた肉厚3μm以上の網の目導電パターン面と保護シート面とをFL接着材でもって予備貼着する。この予備貼着という意味は、次の工程(最終)で行う高圧雰囲気下に放置することを除く他の手段による貼着である。従って、一般的に行われる単純な物理的手段ということになるが、具体的には、例えばロール巻きのFL接着材をガイドロールを介して引き出しつつ、まず該電気絶縁シートの網の目状導電パターン面又は保護シート面にローリングしながら全面貼着し、引き続き両者のいずれか一方をニッピングローラを介して重合しつつ接着する。この予備貼着工程は、次の高圧雰囲気下での放置工程を迅速に、容易に行い、無欠点の該複合部材として得るために必要なものである。
【0027】
そこで、前記の予備貼着によって引き起こされた気泡の抱き込み、局部的接着不良の欠点を完全に解消する必要があり、これを次の工程である加圧雰囲気下に放置することで達成することができるのである。該工程は、具体的にはまず前記貼着複合シートを約1〜10kg/cm2、好ましくは2〜8kg/cm2、更には3〜6kg/cm2に加圧された加圧容器内に約5〜60分間放置しておく。この放置状態にしておくだけで、内在する微細気泡は勿論、局部的接着不良も完全に消失する。ここで高圧の数値的内容は約1〜10kg/cm2ではあるが、これは内在する前記2つの欠点の状態(気泡と局部的接着不良の程度)等によって消失効率が異なることから例示したものであり、多くの場合にはこの圧力範囲で解決できるが、1kg/cm2より低くても、又10kg/cm2を超える必要のある場合もあるので特定はされない。
また、放置するに際して、加圧容器内を加熱しても良い。これは前記欠点解消がより迅速に進行するのに有効な場合があるからである。しかし、加熱するにしても各材料の耐熱温度を超えないようにするのが良く、通常室温〜60℃である。
尚、該工程は前記の通り、特に肉厚3μm以上の導電パターンを有するものにとって有効であるが、更には該パターンが微細で、複雑である場合にもより有効となる。これは、前記予備貼着工程で、これら微細で、複雑である場合には、気泡の抱き込みがより多くなりやすいからである。
【0028】
尚、本発明による効果は他の手段では得られないことを考慮すると、特異の作用によって達成されるものと考えられるがその機構は明らかではない。つまり他の手段、例えばFL接着材の代わりに液状接着材を使用して、本発明の前記同一の2工程をとったとしても、気泡、局部的接着不良の欠点は完全には解消されないばかりか、気泡の抱き込みが多い傾向にあること。これはコーティング厚みムラと微量の溶剤の残存が原因と考えられる。また、FL接着材に代えて、芯材のあるフィルム接着材を使用して、本発明と同一の2工程をとった場合にも、前記2つの欠点は完全には解消されない。これは芯材が中間に介在することで接着材自身の動きの自由度が制限されることで、いずれの欠点も解消されないことによるためと考えられる。
【0029】
尚、電磁波は該導電パターンからアースを取ることによって電荷を逃がさないと効果的にシールドすることができない。そのために、アース用電極を設けることが必要である。特に形状や方法は制限されないが、例えばフィルム端部を折り返す方式、銀ペースト塗布や銅箔テープによってフィルム端部を加工する方式が良く、そのためにFL接着材が邪魔にならないように重合接着することが望まれる。
【0030】
【実施例】
以下に比較例と共に、実施例によって更に詳述する。
(実施例1)
まず、肉厚3μm以上の網の目状導電パターンの設けられている電磁波シールド性シートを次のようにして作製した。
厚さ125μm、大きさ770×1200mm、全光線透過率90%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと呼ぶ)の片面をグロー放電にて前処理(密着性向上)し、これを銅をターゲットとして、マグネトロン式スパッタリング装置で厚さ0.12μmの銅薄膜を形成した。そして、該銅薄膜層に感光性樹脂であるネガ型フォトレジストを10μmの厚さで均一コーティングした後、線幅15μm、ピッチ200μmの正方形格子パターン画像を有するマスクを用いて写真製版した。そして銅の電解メッキを行い、該パターン部分にのみ厚さ8μmの銅厚膜層を積層した。更にその後、該レジストを剥離してから非パターン部分の該銅薄膜層のすべてをエッチング除去した。得られた銅パターンの肉厚は7.8μm、開口率は86%であった。
【0031】
次に前記銅パターンを硫黄を主成分として、これに生石灰、カゼイン及び助剤的に硫化カリを添加して水溶液となした硫化浴に浸漬(40℃−60秒)した、直ちに取り出して水洗・乾燥した。表層は硫化銅に変わり濃黒色に着色した。
【0032】
かくして得られた着色電磁波シールド性シートを用いて、次の方法で保護シートと接着重合し、目的とする電磁波シールド用複合部材を製造した。
【0033】
まず、次のようにして予備貼着した。保護シートとして厚さ3.2mm、大きさ960×540mmの風冷強化ガラス板(全光線透過率94%)を用い、これの片面に厚さ45μmの芯材レスアクリル系両面接着材(リンテック社製LSI31B)(両面離型フィルムでサンドイッチ状)をロールにて一定加圧下でローリング接着し、その上に前記得られた電磁波シールド性シートの格子状銅パターン面を一定加圧下でローリング接着し、両者を予備的に重合接着した(予備貼着シートと呼ぶ)。
【0034】
前記の予備接着シートを拡大顕微鏡(倍率500倍)にて観察したところ、10〜100μm程度の大きさの気泡がほぼ全面にわたって格子内に散見された。そこで更に前記で行った一定圧力の2倍の強さで設定したニッピングローラの間を通して予備接着の強化を試みた。これを再び拡大顕微鏡で観察したところ、気泡の大きさは若干小さく、少なくはなっていたが、依然として散見された。全体的な透明性は肉眼判定ではあるが曇った状態で鮮明さには欠けていた。以上の結果は、予備貼着手段では問題解決は不可能であることを示している。
【0035】
そこで前記2回のローリング貼着によって得た予備貼着シートを高圧容器に入れて次の条件で全体を加圧した。つまり、高圧容器内を40℃に加熱して、5kg/cm2の圧力を加え、30分間放置した。開放後取り出してこれを拡大顕微鏡で観察したところ、予備貼着シートで散見された微細気泡は完全に消失しており、透明性は劇的に向上した。かくして得られた複合材は極めて高い品質を有する透明複合板であり、これは例えばPDPの前面に設置することで電磁波を効果的にシールドしつつ、画像を鮮明に見ることができる。
【0036】
尚、例えばPDPのモジュールのガラス画面そのものを保護シートとして、これに直接に電磁波シールド性シートを同様工程で接着重合することもできる。このような手段による場合は、前記のような前面に設置することもないことになる。
【0037】
(比較例1)(網の目状導電パターンの肉厚が3μm未満の場合)
まず実施例1に従って、電磁波シールド性シートを作製した。ただし、銅の薄膜層に積層した電解メッキによる銅の厚膜層は2μmとした。
【0038】
そして、実施例1と同様の予備貼着条件にて前記電磁波シールド性シートとガラス保護板とを芯材レス両面接着材を介して予備貼着した。得られた予備的複合板を実施例1と同様に拡大顕微鏡で観察した。その結果は実施例1で観察されたような微細気泡はほとんどなく、実質的には実施例1で更に行った加圧雰囲気下での放置で得られた電磁波シールド用複合部材と大差は見られなかった。つまりこの結果は、導電パターンの肉厚が3μm未満であれば本発明のような加圧雰囲気下での放置操作は必要でないことを示している。
尚、LS131Bに代えて、芯材ありのシリコーン系両面接着材(厚さ100μm)を使って同様にまず予備貼着してみたが、この場合も気泡の抱き込み等は実質的には確認されなかった。3μm未満では他の手段でも差異はないことを示している。しかしながら、3μm未満では例えばPDPで要求される高い電磁波シールド能力は得られないことはいうまでもない。
【0039】
【発明の効果】
本発明は前記の通り構成されているので次のような効果を奏する。
【0040】
電磁波を有効にシールドするために特に必要な肉厚3μm以上の網の目状導電パターンに対して、そのパターンを保護するのに特にフィルム状芯材レス両面接着材を介して、保護シートでもって行ったことで、気泡の抱き込みとか局部的接着不良も内在しない状態で完全に密着保護された電磁波シールド用複合部材を得ることができるようになったこと。
【0041】
また特にPDP等からの電磁波をシールドするのに必要な条件である透明性に関して、前記の気泡の抱き込みとか局部的接着不良もなく、かつ芯材のない両面接着材を使っていることで、これらによる透明性の低下要因はなくなったこと。
【0041】
前記網の目状導電パターン面と保護シートとの貼着が液状の接着材によって行われないので、単純な製造工程でもって、迅速にかつ品質にバラツキの少ない電磁波シールド用部材を得ることができるようになったこと。
【0042】
そしてPDP、CRT等に限らず、電磁波を自ら発する電子情報機器、更には自ら発することはないが他から受けて誤動作を招くような各機器に対して電磁波をシールドするのにより効果的に利用できるようになった。
Claims (5)
- 電気絶縁シートを基体として、その上に肉厚3μm以上の網の目状導電パターンが設けられてなる電磁波シールド性シートの該導電パターン面と保護シートとが両面接着材にて接着重合されており、
前記電気絶縁シートは、ポリプロピレン、非晶性環状オレフィンポリマ、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートから形成されており、
前記網の目状導電パターンは、前記電気絶縁シート上に銅の薄膜層を下地層として設け、その後該下地層の上に銅の厚膜層を積層して設け、その後エッチングを行うことにより形成されており、
前記両面接着材は、アクリル系又はシリコーン系のフィルム状芯材レスであり、
前記導電パターン面と前記保護シート面とを前記両面接着材で貼着した後、加圧雰囲気下に放置することにより形成される電磁波シールド用複合部材。 - 前記加圧雰囲気における温度条件は、室温〜60℃の範囲である請求項1に記載の電磁波シールド用複合部材。
- 前記網の目状導電パターンは、パターンの線幅が1〜25μmであり、パターンの開口率が56〜96%であることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波シールド用複合部材。
- 前記両面接着材の厚さが10μm〜150μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電磁波シールド用複合部材。
- 電気絶縁シートを基体として、その上に肉厚3μm以上の網の目状導電パターンが設けられてなる電磁波シールド性シートの該導電パターン面と保護シートとが両面接着材にて接着重合されており、
前記電気絶縁シートは、ポリプロピレン、非晶性環状オレフィンポリマ、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートから形成されており、
前記網の目状導電パターンは、前記電気絶縁シート上に銅の薄膜層を下地層として設け、その後該下地層の上に銅の厚膜層を電解メッキにより積層して設け、その後エッチングを行うことにより形成されており、
前記両面接着材は、アクリル系又はシリコーン系のフィルム状芯材レスであり、
前記導電パターン面と前記保護シート面とを前記両面接着材で貼着した後、加圧雰囲気下に放置することにより形成される電磁波シールド用複合部材。
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