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JP4116938B2 - 酸化染毛剤又は脱色剤組成物 - Google Patents

酸化染毛剤又は脱色剤組成物 Download PDF

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JP4116938B2
JP4116938B2 JP2003190836A JP2003190836A JP4116938B2 JP 4116938 B2 JP4116938 B2 JP 4116938B2 JP 2003190836 A JP2003190836 A JP 2003190836A JP 2003190836 A JP2003190836 A JP 2003190836A JP 4116938 B2 JP4116938 B2 JP 4116938B2
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Kao Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、髪に塗布された組成物をすすぎ流す時からシャンプー処理を経て髪を乾燥するまでの髪が濡れている段階において、髪のきしみ感や絡まりを防止する効果に特に優れ、髪につやとまとまり易さを付与すると共に、染毛力・脱色力が良好な酸化染毛剤又は脱色剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
毛髪の脱色及び染色には、アルカリ剤、酸化剤等の共存下での酸化反応によって毛髪を脱色ないし染色する、酸化性の染毛剤又は脱色剤が広く使用されている。しかし、酸化性の染毛剤又は脱色剤は、毛髪損傷を引き起こし易く、水洗、シャンプー又は乾燥時に、髪の絡まり、きしみ感、硬さ、ごわつき等を生じたり、髪の色、ツヤがなくなったり、まとまりが悪くなったりしてしまうという問題がある。また、酸化染毛剤や脱色剤の使用者の髪は、度重なる施術等により損傷を受けている場合が多いが、損傷した髪ではきしみ感や絡まりの問題はより大きなものであった。
【0003】
これに対し、カチオン性ポリマーを含有する酸化染毛剤による処理に続けて、アニオン界面活性剤を含有するシャンプーを使用することにより、濡れた髪のほどけ易さ及び乾いた髪に対する良好な化粧特性(つや、柔らかさ等)が得られることが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、特にシャンプー後の髪の濡れている時点におけるきしみ感や絡まりを防止する効果において満足し得るものではなかった。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第4362528号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
酸化染毛剤又は脱色剤の使用者は、シャンプー後の髪の濡れている時点におけるきしみ感や絡まりによって、染毛又は脱色処理による髪のダメージを最も感じるため、この時にきしみ感や絡まりを抑えられる酸化染毛剤及び脱色剤が待望されていた。従って本発明は、髪に塗布された組成物をすすぎ流す時からシャンプー処理を経て髪を乾燥するまでの髪が濡れている段階において、髪のきしみ感や絡まりを防止する効果が特に優れ、髪につやとまとまりやすさを付与すると共に、染毛力・脱色力が良好な酸化染毛剤又は脱色剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、酸化染毛剤又は脱色剤組成物に、不揮発性シリコーンとカチオン性ポリマーを含有させ、更に当該組成物中のアニオン基剤の含有量をカチオン性ポリマーの含有量と一定の関係を満たす範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
本発明は、アルカリ剤及び酸化染料中間体又は直接染料を含有する第1剤(脱色剤の場合は酸化染料中間体及び直接染料は含有しない)と過酸化水素を含有する第2剤を混合して用いる組成物であって、更に次の成分(A)〜(C)
(A)不揮発性シリコーン
(B)カチオン性ポリマー
(C)水
を含有し、当該組成物中の
(D)アニオン界面活性剤及びアニオン性ポリマーから選ばれるアニオン基剤
の含有量が、成分(B)の含有量に対して、次の関係
「成分(D)の陰イオン活量濃度/成分(B)の陽イオン活量濃度≦0.8」
(イオン活量濃度とは、「モル濃度×イオン価数」を意味する)
を満たし、混合後のpHが8〜12である酸化染毛剤又は脱色剤組成物を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤よりなる二剤型、又は、更に第3剤として過硫酸塩等の造粒物からなる粉末状酸化剤を組み合わせてなる三剤型の形態をとる。以下、本発明において「全組成物」とは、二剤型の場合には第1剤及び第2剤を混合した使用直前の組成物全体をいい、三剤型の場合は、第1剤、第2剤及び第3剤を混合した使用直前の組成物全体をいう。
【0009】
〔成分(A):不揮発性シリコーン〕
成分(A)の不揮発性シリコーンは、第1剤、第2剤及び第3剤のいずれか1以上に含まれる。不揮発性シリコーンは、髪に塗布された組成物をすすぎ流す時からシャンプー処理を経て髪を乾燥するまでの髪が濡れている段階において、髪のきしみ感や絡まりを防止するために必要であり、更には乾燥後の毛髪に対しても色の鮮明さや深み、ツヤ、柔らかさ、滑らかさ、ボリューム感(ボディ)、まとまり易さ及び保湿性を与えることにも寄与する。不揮発性シリコーンとしては、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン、鎖状のジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが挙げられ、2種以上を併用することもできる。中でもアミノ変性シリコーンを少なくとも1種使用することが好ましく、特にアミノ変性シリコーンと高重合シリコーンを併用することが好ましい。
【0010】
(アミノ変性シリコーン)
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有していればよく、末端水酸基の全て又は一部がメチル基等で封鎖されたアミノ変性シリコーンオイル、末端が封鎖されていないアモジメチコーンのどちらでもよい。例えば、好ましいアミノ変性シリコーンとしては、以下の一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【0011】
【化1】
Figure 0004116938
【0012】
〔式中、R0は水酸基、水素原子又はRを示し、Rは置換又は非置換の炭素数1〜20の一価炭化水素基を示し、AはR、基−R′−(NHCH2CH2)nNH2、基OR又は水酸基を示し、R′は炭素数1〜8の二価炭化水素基を示し、nは0〜3の数を示し、p及びqはその和が数平均で10以上1000未満、好ましくは30以上1000未満、更に好ましくは40以上800未満となる数を示す。アミノ当量は200g/mol〜3万g/mol、好ましくは500g/mol〜1万g/mol、更に好ましくは600g/mol〜5000g/molである。〕
【0013】
アミノ変性シリコーンの好適な市販品の具体例としては、SF8451C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社,粘度600mm2/s,アミノ当量1700g/mol)、SF8452C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社,粘度700mm2/s,アミノ当量6400g/mol)、SF8457C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社,粘度1200mm2/s,アミノ当量1800g/mol)、KF8003(GE東芝シリコーン社,粘度1850mm2/s,アミノ当量2000g/mol)、KF867(GE東芝シリコーン社,粘度1300mm2/s,アミノ当量1700g/mol)等のアミノ変性シリコーンオイルや、SM8704C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社,アミノ当量1800g/mol)等のアモジメチコーンエマルションが挙げられる。また、アミノ変性シリコーンオイルは、エマルションの形で配合してもよい。アミノ変性シリコーンのエマルションは、機械的乳化(アミノ変性シリコーンと水との高剪断機械混合)、化学的乳化(アミノ変性シリコーンを水及び乳化剤で乳化)、若しくはこれらの組み合わせによって、又は乳化重合によっても調製することができる。
【0014】
〔高重合シリコーン〕
ここで、高重合シリコーンとは、数平均重合度1000以上のシリコーンを指し、更には数平均重合度1500以上、特に2000以上20000未満のシリコーンが好ましい。高重合シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコーン)、メチルフェニルポリシロキサン、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、WO96/31188に記載されているわずかに架橋されたシリコーンガム等が好ましいものとして挙げられる。
【0015】
数平均重合度が1000以上である高重合シリコーンの市販品の具体例としては、SH200-1,000,000cs(東レ・ダウコーニング・シリコーン社)、TSF451-100MA(GE東芝シリコーン社)、BY11-026(東レ・ダウコーニング・シリコーン社;高重合シリコーンの低粘度シリコーンによる希釈溶液)、KF9008(信越シリコーン社;高重合シリコーンの環状シリコーンによる希釈溶液)、BY22-050A(東レ・ダウコーニング・シリコーン社;高重合シリコーンのカチオンエマルション)、BY22-060(東レ・ダウコーニング・シリコーン社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、BY22-020(東レ・ダウコーニング・シリコーン社;高重合シリコーンを流動パラフィンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、KM904(信越シリコーン社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)等が挙げられる。
【0016】
成分(A)の含有量は、十分な効果発現の点から、全組成物中の0.02〜40重量%が好ましく、更には0.1〜20重量%、特に0.2〜15重量%が好ましい。また、成分(A)は、次式で表される換算アミノ当量が、500〜10万g/molとなる範囲で使用することが好ましく、更には1000〜8万g/mol、特に2000〜5万g/molとなる範囲で使用することが好ましい。
【0017】
換算アミノ当量(g/mol)=〔全組成物1g中の全シリコーン類の総重量(g/g)〕/〔全組成物1g中のアミノ変性シリコーンのアミノ基、イミノ基及びアンモニウム基の総モル数(mol/g)〕
【0018】
ここで、「全組成物1g中の全シリコーン類の総重量(g/g)」、並びに「全組成物1g中のアミノ変性シリコーンのアミノ基、イミノ基及びアンモニウム基の総モル数(mol/g)」は、以下のようにして求める。
【0019】
まず、第1剤と第2剤(三剤式の場合には、更に第3剤)の各々からシリコーン類を分画し、各剤中の全シリコーン類の総重量(g)及びアミノ変性シリコーンのアミノ基、イミノ基及びアンモニウム基の総モル数(mol)を定量する。次に全組成物における各剤の混合比率を勘案し、全組成物1g中の全シリコーン類の総重量(g/g)、並びに全組成物1g中のアミノ変性シリコーンのアミノ基、イミノ基及びアンモニウム基の総モル数(mol/g)を算出する。最後に前記の換算アミノ当量算出式を用いて、換算アミノ当量(g/mol)を算出する。
【0020】
〔成分(B):カチオン性ポリマー〕
成分(B)のカチオン性ポリマーは、第1剤、第2剤及び第3剤のいずれか1以上に含まれるが、各組成物の安定性向上の点から、成分(D)とは別の剤に含有させるのが好ましい。カチオン性ポリマーは、髪に塗布された組成物をすすぎ流す時からシャンプー処理を経て髪を乾燥するまでの髪が濡れている段階において、髪のきしみ感や絡まりを防止するために必要であり、更には乾燥時の毛髪にツヤ、柔らかさ、滑らかさ、ボリューム感(ボディ)、まとまり易さ及び保湿性を与える効果に寄与する。
【0021】
カチオン性ポリマーとは、カチオン基又はカチオン基にイオン化され得る基を有するポリマーをいい、全体としてカチオン性となる両性ポリマーも含まれる。すなわち、カチオン性ポリマーとしては、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらのうち、前述の効果及び剤の安定性の点から、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含むポリマー、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、カチオン化セルロース誘導体が好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、カチオン化セルロース誘導体がより好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体が最も好ましい。
【0022】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体の骨格としては、次の一般式(2)又は(3)で示されるものが好ましい。
【0023】
【化2】
Figure 0004116938
【0024】
〔式中、R1及びR2は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、R3及びR4は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を示し、X-は陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、メチル硫酸アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン等)を示す。〕
【0025】
ジアリル4級アンモニウム塩と共重合体を構成するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩、アクリルアミドが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩が好ましい。アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩とジアリル4級アンモニウム塩との共重合体は、ジアリル4級アンモニウム塩の構成比率が高く、全体としてカチオン性ポリマーとなる。
【0026】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム-6,例えばマーコート100;ONDEO Nalco社)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22,例えばマーコート280,同295;ONDEO Nalco社)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-7,例えばマーコート550;ONDEO Nalco社)等が挙げられ、なかでもマーコート280、同295が好ましい。
【0027】
4級化ポリビニルピロリドン誘導体としては、次の一般式(4)で表されるものが好ましい。
【0028】
【化3】
Figure 0004116938
【0029】
〔式中、R5は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、R6、R7及びR8は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、Yは酸素原子又はイミノ基を示し、rは1〜10の整数を示し、sとtはその和が20〜8000となる数を示し、X-は前記と同じ意味を示す。〕
【0030】
本発明で用いられる4級化ポリビニルピロリドン誘導体の分子量としては1万〜200万、特に5万〜150万が好ましい。市販品としては、ガフコート734、同755、同755N(以上、アイエスピー・ジャパン社)等が挙げられる。
【0031】
カチオン化セルロース誘導体としては、例えば次の一般式(5)で表されるものが好ましい。
【0032】
【化4】
Figure 0004116938
【0033】
〔式中、Aはアンヒドログルコース単位の残基を示し、fは50〜2万の整数を示し、R9は、それぞれ次の一般式(6)で表される置換基を示す。〕
【0034】
【化5】
Figure 0004116938
【0035】
〔式中、R10及びR11は炭素数2又は3のアルキレン基を示し、gは0〜10の整数を示し、hは0〜3の整数を示し、iは0〜10の整数を示し、R12は炭素数1〜3のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を、R13、R14及びR15は同一でも異なってもよく、炭素数10までのアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、また式中の窒素原子を含む複素環を形成してもよい。X-は前記と同じ意味を示す。〕
【0036】
カチオン化セルロース誘導体のカチオン置換度、すなわちアンヒドログルコース単位当りのhの平均値は、0.01〜1、特に0.02〜0.5が好ましい。また、g+iの合計は平均1〜3である。カチオン置換度は、0.01未満では十分でなく、また1を超えてもかまわないが反応収率の点より1以下が好ましい。ここで用いるカチオン化セルロース誘導体の分子量は10万〜300万が好ましい。市販品としては、レオガードG、同GP(以上、ライオン社)、ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M(以上、ユニオンカーバイド社)等が挙げられる。その他のカチオン化セルロース誘導体としてはヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドが挙げられ、市販品としてはセルコートH-100、同L-200(以上、ナショナルスターチアンドケミカル社)等が挙げられる。
【0037】
これらカチオン性ポリマーは、成分(B)として2種以上を併用してもよく、またその含有量は、全組成物中の0.001〜20重量%が好ましく、更には0.01〜10重量%、特に0.05〜5重量%が好ましい。
【0038】
〔成分(C):水〕
成分(C)の水の含有量は、全組成物中の20重量%以上が好ましい。
【0039】
〔成分(D):アニオン基剤〕
成分(D)のアニオン基剤を含有させる場合、第1剤、第2剤及び第3剤のいずれか1以上に含有させることができるが、各組成物の安定性向上の点から、成分(B)とは別の剤に含有させるのが好ましい。アニオン性基剤としては、アニオン界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム等のN-アシル化グルタミン酸塩、N-アシル化サルコシン酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩等が挙げられる。脂肪酸塩は、第2剤にオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸等の脂肪酸として配合し、第1剤中のアンモニア等のアルカリで中和することによって形成させることもできる。また、アニオン性ポリマーとして、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0040】
成分(D)のアニオン基剤は、成分(B)のカチオン性ポリマーとのイオン活量濃度の比率「成分(D)の陰イオン活量濃度/成分(B)の陽イオン活量濃度」(以下、「イオン活量濃度比」という)が、0.8以下となる範囲で含有させることが、髪に塗布された組成物をすすぎ流す時からシャンプー処理を経て髪を乾燥するまでの髪が濡れている段階において、髪のきしみ感や絡まりを防止するために必要であり、イオン活量濃度比が0.001以上0.65以下、特に0.01以上0.4以下となる範囲で含有させることが好ましい。ここで、カチオン性ポリマーがカチオンユニットとアニオンユニットの両方を有する場合は、ポリマー内の両イオン性を相殺した後の残りのイオン性を用いて陽イオン活量濃度を求める。
【0041】
〔アルカリ剤〕
アルカリ剤は、第1剤に含まれる。アルカリ剤としては、アンモニア;モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン;1,3-プロパンジアミン等のアルカンジアミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;炭酸グアニジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩等が挙げられる。これらのアルカリ剤は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、十分な脱色・染毛効果の点、及び毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、全組成物中の0.05〜15重量%が好ましく、更には0.1〜10重量%、特に0.2〜5重量%が好ましい。
【0042】
上記アルカリ剤のうち、アンモニア及びアルカノールアミンが好ましく、アルカノールアミンとしてはモノエタノールアミンが好ましい。更には、それらの塩を併用することが好ましく、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウムが特に好ましい。更には、これらの含有量が下記範囲であることが最も好ましい。
【0043】
全組成物中の(a)アンモニア及びその塩をアンモニアとして換算した場合の含有量と、(b)モノエタノールアミン及びその塩をモノエタノールアミンとして換算した場合の含有量の合計が、十分な脱色・染毛効果の点、及び毛髪損傷や頭皮刺激、嗅覚刺激の低減の点から、全組成物中の0.05〜15重量%であることが好ましく、更には0.1〜10重量%、特に0.2〜5重量%であることが好ましい。また、(a)/(b)の比が、0.01:1〜2.0:1であることが好ましく、更には0.02:1〜1:1、特に0.05:1〜0.5:1であることが好ましい。
【0044】
〔酸化染料中間体又は直接染料〕
本発明の組成物が、脱色剤組成物である場合には、染料は含有せず、染毛剤組成物である場合には、第1剤に酸化染料中間体又は直接染料を含有する。
【0045】
酸化染料中間体としては、通常染毛剤に使用されている公知のプレカーサー及びカプラーを用いることができる。プレカーサーとしては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、N-メトキシエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、4,4′-ジアミノジフェニルアミン、1,3-ビス(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(4-アミノフェニル)アミノ)-2-プロパノール、PEG-3,3,2′-パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-アミノメチル-4-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-4-アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-アセタミドフェノール、3,4-ジアミノ安息香酸、5-アミノサリチル酸、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-1-(4′-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾールとこれらの塩等が挙げられる。
【0046】
また、カプラーとしては、例えばメタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4-ジアミノ-5-メチルフェネトール、2,4-ジアミノ-5-(2-ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4-ジメトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4-ジアミノ-5-フルオロトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノール、N-シクロペンチル-メタアミノフェノール、2-メチル-4-メトキシ-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2-メチル-4-フルオロ-5-アミノフェノール、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、4-ヒドロキシインドール、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4-メチレンジオキシフェノール、2-ブロモ-4,5-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシアニリン、1-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-メチルアミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジンとこれらの塩等が挙げられる。
【0047】
プレカーサーとカプラーは、それぞれ2種以上を併用してもよく、その含有量は、それぞれ全組成物中の0.01〜5重量%、特に0.1〜4重量%が好ましい。
【0048】
直接染料としては、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料等が挙げられる。ニトロ染料としては、2-ニトロ-パラフェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-パラヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-オルトフェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HCブルーNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、HCイエローNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.5、HCレッドNo.3、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-パラフェニレンジアミン等が挙げられ、分散染料としては、ディスパーズバイオレット1、ディスパーズブルー1、ディスパーズブラック9等が挙げられ、塩基性染料としては、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド76、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31等が挙げられる。
【0049】
直接染料は、2種以上を併用してもよく、酸化染料中間体と併用してもよい。またその含有量は、全組成中に0.001〜5重量%、特に0.01〜3重量%が好ましい。
【0050】
〔過酸化水素〕
過酸化水素は、第2剤に含まれる。過酸化水素の含有量は、十分な脱色・染毛効果、及び毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、全組成物中の0.1〜10重量%が好ましく、特に1〜5重量%が好ましい。
【0051】
〔高級アルコール〕
本発明の組成物には、感触改善、安定性の観点から、第1剤、第2剤及び第3剤のいずれか1以上に、高級アルコールを含有させることが好ましい。これらは、界面活性剤と構造体を形成して分離を防ぐと共に、すすぎ時の感触を改善する効果がある。
【0052】
高級アルコールとしては、炭素数8〜22、特に16〜22のものが好ましく、具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等、及びこれらの混合物が挙げられる。特に感触面からベヘニルアルコールが好ましい。
【0053】
高級アルコールは、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、全組成物中の0.01〜20重量%、特に0.1〜10重量%が好ましい。
【0054】
〔界面活性剤〕
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、乳化物であることが好ましく、シリコーン類や高級アルコール類の乳化のため、第1剤及び第2剤のいずれか一方又は両方に、界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤としては、安定性の観点より、非イオン界面活性剤、例えば炭素数12〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルコキシ化(例えばエトキシ化又はプロポキシ化)高級アルコール、具体的には、ポリオキシエチレン(2〜40)アルキルエーテル等を全組成物中に1〜40重量%程度、好ましくは2〜20重量%程度用いることができる。また、感触面を考慮すれば、更にモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤を併用することが好ましい。ここで、モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、感触、乳化性能の面から、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。これらの使用比率は、(カチオン界面活性剤)/(非イオン界面活性剤+カチオン界面活性剤)の重量比が、0.8以下、更に0.6以下、特に0.4以下であるのが好ましい。
【0055】
界面活性剤と高級アルコールの重量比を、10:1〜1:10、好ましくは4:1〜1:8、特に1:1〜1:4とすると、混合前の第1剤又は第2剤をクリーム状にすることができる。
【0056】
〔有機溶剤〕
本発明の組成物には、媒体として、成分(C)の水に加え、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、エタノール、2-プロパノール等の低級アルカノール類、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール類、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン等のポリオール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンジルセロソルブ等のセロソルブ類、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類が挙げられる。
【0057】
〔剤型等〕
本発明の組成物は、現在広く利用されている酸化染毛剤又は脱色剤と同様に、アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素等の酸化剤を含有する第2剤よりなる二剤型として、又は脱色力向上のため、更に第3剤として過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等)等の造粒物からなる粉末状酸化剤を組み合わせてなる三剤型として提供される。第1剤及び第2剤の剤形は、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状などとすることができ、エアゾール形態とすることもできる。第1剤と第2剤(三剤型の場合は更に第3剤)を混合し、毛髪に塗布したときに液だれしにくいような粘度になることが望ましく、25℃、ヘリカルスタンド付きB型回転粘度計(B8R型粘度計,TOKIMEC社)で測定した粘度が2000〜10万mm2/sが好ましい。ここで、粘度は、ローターT-Cを用い、10rpm、1分間回転させた後の値とする。
【0058】
〔pH〕
本発明の組成物のpH(25℃)は、脱色・染毛効果と皮膚刺激性の点から、使用時(混合時)において、8〜12とされるが、8〜10が好ましい。pH調整剤としては、前記のアルカリ剤のほか、塩酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸等の有機酸、リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二ナトリウム等のリン酸塩等が挙げられる。
【0059】
〔その他任意成分〕
本発明の組成物には、上記成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、環状ポリシロキサン、炭化水素類、動植物油脂、成分(B)及び(D)以外の天然又は合成の高分子、エーテル類、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤が挙げられる。
【0060】
〔処理法〕
本発明の組成物を用いて毛髪を染色又は脱色処理するには、例えば本発明の組成物の第1剤と第2剤(三剤型の場合は更に第3剤)を使用直前に混合した後、毛髪に適用し、所定時間放置後、洗い流し、乾燥すればよい。毛髪への適用温度は15〜45℃、適用時間は3〜45分間、特に5〜30分間が好ましい。この場合、まず酸化染毛剤又は脱色剤組成物を水で軽く洗い流した後、アニオン界面活性剤を含有するシャンプーを用いて洗髪し、次いで水洗すると、カチオン性ポリマーは適度に流出し、シリコーン類は適度に毛髪に残留し、良好なコンディショニング効果を示す。シャンプーとしては、ラウリルエトキシ(1〜3)硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤を5〜20重量%程度含有する一般的な水性シャンプーが好適である。
【0061】
【実施例】
実施例1
常法に従い、下記組成の第1剤及び第2剤からなる染毛剤組成物を調製した。
【0062】
Figure 0004116938
【0063】
*1:マーコート550(ONDEO Nalco社)
*2:マーコート280(ONDEO Nalco社)
*3:シリコーンSM8704C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社)
【0064】
・第2剤(クリーム状) (重量%)
過酸化水素水(35重量%) 16.2
8-キノリノール硫酸塩 0.04
ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル 1.0
ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル 1.0
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 0.17
セトステアリルアルコール 3.5
リン酸 pH3.5とする量
精製水 バランス
【0065】
第1剤と第2剤の混合比 1:1
混合後のpH 10
換算アミノ当量 26550(g/mol)
イオン活量濃度比 0.10
【0066】
実施例1の染毛剤は、染毛処理を繰り返し損傷を受けている毛髪に対して、塗布した染毛剤をすすぎ流す時からシャンプー処理を経て、髪を乾かし終わるまでの髪が濡れている段階において、きしみ感や絡まりを防止する効果を有する。また、乾燥後の髪にはつやとまとまりやすさを付与し、染毛力も良好である。
【0067】
【発明の効果】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、髪に塗布された組成物をすすぎ流す時からシャンプー処理を経て髪を乾燥するまでの髪が濡れている段階において、髪のきしみ感や絡まりを防止する効果に特に優れ、髪につやとまとまり易さを付与すると共に、染毛力・脱色力も良好である。

Claims (3)

  1. アルカリ剤及び酸化染料中間体又は直接染料を含有する第1剤と過酸化水素を含有する第2剤を混合して用いる組成物であって、更に次の成分(A)〜(C)
    (A)アミノ変性シリコーンと数平均重合度1000以上の高重合ジメチルポリシロキサンの組み合わせからなる不揮発性シリコーン
    (B)カチオン性ポリマー
    (C)水
    を含有し、次式
    換算アミノ当量(g/mol)=〔全組成物1g中の全シリコーン類の総重量(g/g)〕/〔全組成物1g中のアミノ変性シリコーンのアミノ基、イミノ基及びアンモニウム基の総モル数(mol/g)〕
    で表される換算アミノ当量が1000 〜5万g/molの範囲内であり、当該組成物中の
    (D)アニオン界面活性剤及びアニオン性ポリマーから選ばれるアニオン基剤
    の含有量が、成分(B)の含有量に対して、次の関係
    「成分(D)の陰イオン活量濃度/成分(B)の陽イオン活量濃度≦0.8」
    (イオン活量濃度とは、「モル濃度×イオン価数」を意味する)
    を満たし、混合後のpHが8〜12である酸化染毛剤組成物。
  2. 更に、高級アルコールを含有する請求項1記載の酸化染毛剤組成物。
  3. 更に、非イオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を含有する請求項1又は2記載の酸化染毛剤組成物。
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