JP4115748B2 - 情報記録媒体、情報記録媒体に情報を記録、再生する装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、読み書き可能な情報記録媒体に関し、特に、動画像データおよび静止画データおよびオーディオデータ等の種々のフォーマットのデータを含むマルチメディアデータが記録される情報記録媒体に関する。さらに、そのような情報記録媒体に対してデータを記録する装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
650MB程度が上限であった書き換え型光ディスクの分野で数GBの容量を有する相変化型ディスクDVD−RAMが出現した。また、ディジタルAVデータの符号化規格であるMPEG(MPEG2)の実用化とあいまってDVD−RAMは、コンピュータ用途だけでなくオーディオ・ビデオ(AV)技術分野における記録・再生メディアとして期待されている。つまり従来の代表的なAV記録メディアである磁気テープに代わるメディアとして普及が予測される。
【0003】
(DVD−RAMの説明)
近年、書き換え可能な光ディスクの高密度化が進みコンピュータデータやオーディオデータの記録に留まらず、画像データの記録が可能となりつつある。
【0004】
例えば、光ディスクの信号記録面には、従来から凸凹上のガイド溝が形成されている。
【0005】
従来は凸または凹にのみ信号を記録していたが、ランド・グループ記録法により凸凹両方に信号を記録することが可能となった。これにより約2倍の記録密度向上が実現した。例えば特開平8−7282号公報に記載されたものが知られている。
【0006】
また、記録密度を向上させるために有効なCLV方式(線速度一定記録)の制御を簡易化し実用化を容易とするゾーンCLV方式なども考案、実用化されている。これは、例えば特開平7−93873号公報に開示されている。
【0007】
これらの大容量化を目指す光ディスクを用いて如何に画像データを含むAVデータを記録し、従来のAV機器を大きく超える性能や新たな機能を実現するかが今後の大きな課題である。
【0008】
このような大容量で書き換え可能な光ディスクの出現により、今後AVの記録・再生も従来のテープに代わり光ディスクが主体となることが考えられる。テープからディスクへの記録メディアの移行は、AV機器の機能・性能面で様々な影響を与える。
【0009】
ディスクへの移行において最大の特徴はランダムアクセス性能の大幅な向上である。仮にテープをランダムアクセスする場合、一巻きの巻き戻しに通常数分オーダーの時間が必要である。これは光ディスクメディアにおけるシーク時間(数10ms以下)に比べて桁違いに遅い。従ってテープは実用上ランダムアクセス装置になり得ない。
【0010】
このようなランダムアクセス性能によって、従来のテープでは不可能であったAVデータの分散記録が光ディスクでは可能となった。
【0011】
図1は、DVDレコーダのドライブ装置のブロック図である。ドライブ装置は、DVD−RAMディスク10のデータを読み出す光ピックアップ11、ECC(Error Correcting Code)処理部12、1トラックバッファ13、トラックバッファへ13の入出力を切り替えるスイッチ14、エンコーダ部15及びデコーダ部16を備える。
【0012】
図に示すように、DVD−RAMディスク10には、1セクタ=2KBを最小単位としてデータが記録される。また、16セクタ=1ECCブロックとして、ECC処理部12でエラー訂正処理が施される。
【0013】
トラックバッファ13は、DVD−RAMディスク10にAVデータをより効率良く記録するため、AVデータを可変ビットレートで記録するためのバッファである。DVD−RAM100への読み書きレート(Va)が固定レートであるのに対して、AVデータはその内容(ビデオであれば画像)の持つ複雑さに応じてビットレート(Vb)が変化するため、このビットレートの差を吸収するためのバッファである。例えば、ビデオCDのようにAVデータを固定ビットレートとした場合、トラックバッファ13は不要となる。
【0014】
このトラックバッファ13を更に有効利用すると、ディスク10上にAVデータを離散配置することが可能になる。図2を用いてこれを説明する。
【0015】
図2(a)は、ディスク上のアドレス空間を示す図である。図2(a)に示す様にAVデータが[a1,a2]の連続領域と[a3,a4]の連続領域に分かれて記録されている場合、a2からa3へシークを行っている間、トラックバッファに蓄積してあるデータをデコーダ部16へ供給することでAVデータの連続再生が可能になる。この時の状態を示したのが図2(b)である。
【0016】
位置a1で読み出しを開始したAVデータは、時刻t1からトラックバッファへ13入力されるとともに、トラックバッファ13からデータの出力が開始される。これにより、トラックバッファへの入力レート(Va)とトラックバッファからの出力レート(Vb)のレート差(Va−Vb)の分だけトラックバッファへデータが蓄積されていく。この状態が、検索領域がa2に達するまで、すなわち、時刻tt2に達するまで継続する。この間にトラックバッファ13に蓄積されたデータ量をB(t2)とすると、時間t2から、領域a3のデータの読み出しを開始する時刻t3までの間、トラックバッファ13に蓄積されているB(t2)を消費してデコーダ16へ供給しつづけられれば良い。
【0017】
言い方を変えれば、シーク前に読み出すデータ量([a1,a2])が一定量以上確保されていれば、シークが発生した場合でも、AVデータの連続供給が可能である。
【0018】
なお、ここでは、DVD−RAMからデータを読み出す、即ち再生の場合の例を説明したが、DVD−RAMへのデータの書き込み、即ち録画の場合も同様に考えることができる。
【0019】
上述したように、DVD−RAMでは一定量以上のデータが連続記録さえされていればディスク上にAVデータを分散記録しても連続再生/録画が可能である。
【0020】
更に、この大容量記録メディアであるDVD−RAMをより効果的に使用するため、DVD−RAMでは図3に示すように、UDF(Universal Disc Format)ファイルシステムをのせ、PC上でのアクセスを可能としている。UDFの情報は図中のVolumeに記録される。UDFファイルシステムの詳細は「Universal Disc Format Standard」に開示されている。
【0021】
(従来のAV機器)
次に従来、我々が使用してきたAV機器について説明する。
図4は、従来のAV機器とメディア、フォーマットの関係を示した図である。例えば、ユーザがビデオを見ようと思えば、ビデオカセットをVTRに入れ、テレビで見るのが当たり前であり、音楽を聞こうと思えば、CDをCDプレーヤやCDラジカセに入れてスピーカまたはヘッドホンで聞くのが当たり前であった。つまり、従来のAV機器では一つのフォーマット(ビデオまたはオーディオ)に対応した一つのメディアと一対になっているものであった。
【0022】
このため、ユーザは見たい、聞きたいものに対して、常にメディアやAV機器を取り替える必要があり、不便さを感じていた。
【0023】
(ディジタル化)
また、近年のディジタル技術の普及によって、パッケージソフトとしてDVDビデオディスクが、放送系としてディジタル衛星放送が実用化されてきた。これらの背景にディジタル技術の革新、特に国際標準規格であるMPEGの実用化があることは言うまでもない。
【0024】
図5は、前述したDVDビデオディスクとディジタル衛星放送で使用されているMPEGストリームの図である。MPEG規格は図5に示すような階層構造を持っている。ここで重要なことは、最終的にアプリケーションが使用するMPEGストリームは、DVDビデオディスクのようなパッケージメディア系とディジタル衛星放送のような通信メディア系とで異なることである。前者は「MPEGプログラムストリーム」と呼ばれ、DVDビデオディスクなどの記録単位となるセクタ(DVDの場合2048バイト)を意識したパック単位でデータの転送が行われ、後者は「MPEGトランスポートストリーム」と呼ばれ、特にATMを意識して188バイト単位のTSパケット単位でデータの転送が行われる。
【0025】
ディジタル技術や映像音声の符号化技術であるMPEGによってAVデータはメディアに依存無く自由に取り扱えるものと期待されてきたが、このような微妙な差もあって、現在までにパッケージメディアと通信メディアの双方に対応したAV機器やメディアは存在していない。
【0026】
(DVD−RAMによる影響)
大容量を有するDVD−RAMの登場は、従来のAV機器で感じていた不便さの解消に一歩近づくことを意味している。前述したようにDVD−RAMは、UDFファイルシステムを乗せることで、PCからのアクセスを可能とした。この結果、PC上でさまざまなアプリケーションソフトを使用して、ビデオ、静止画、オーディオなどさまざまなコンテンツをPCという一つの機器の上で楽しむことが可能になった。
【0027】
図6に示すように、画面上に表示されているファイルにマウスカーソルを移動しダブルクリック(またはシングルクリック)するだけで画面左上のようにファイルの内容である動画像が再生される。
【0028】
このような利便性は、PCの持つ柔軟さとDVD−RAMの持つ大容量があいまって実現できた世界であるといえる。
【0029】
確かに近年のPCの普及によって、図6に示すようにPC上でさまざまなAVデータが簡単に扱えるようになってきた。しかしながら、PCユーザの数が増えているとはいえ、テレビやビデオなどの民生用AV機器の普及率や使い易さには及ばないことは言うまでもない。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、次世代AV記録メディアとして期待されるDVD−RAM等の光ディスクにおいて、その性能を最大限に引き出す上で支障となる以下の課題を解決する。
【0031】
DVDレコーダが目指す世界は、図7に示すような単一のメディア、単一のAV機器でさまざまなフォーマットやコンテンツをユーザが個々のフォーマットを意識すること無く、自由に表示再生できる世界である。
【0032】
図8は、DVDレコーダにおけるメニュー画面の一例である。このメニューでは、ディジタル衛星放送の”1)洋画劇場”、地上波放送の”朝の連続ドラマ”、”ワールドカップ決勝”やCDからダビングした”4)ベートーヴェン”が、記録元のメディアや記録フォーマットを意識すること無くテレビ画面上で選択可能である。
【0033】
このようなDVDレコーダを実現する際の最大の課題は、様々なフォーマットからなるAVデータおよびAVストリームを如何に統一的に管理できるかである。
【0034】
限られたフォーマットのみを管理するのであれば、特別な管理手法を用いる必要はないが、既存の多数のフォーマットだけでなく今後登場する新たなフォーマットに対しても対応ができる管理手法を用いておくことが、前述したDVDレコーダの目指す世界を実現することにつながってくる。
【0035】
また、さまざまなAVストリームを統一的に扱えるか否かによって生じるユーザインターフェースの差異によっては、従来例で説明したような不便さ、つまり、コンテンツやフォーマット毎にユーザが意識して操作を行う必要が出てくる可能性がある。
【0036】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、さまざまなAVストリームを統一的に扱える情報記録媒体を提供し、さらに、そのような情報記録媒体に対するデータの記録、再生装置及び方法を提供することにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る記録媒体は、ビデオオブジェクトと、前記ビデオオブジェクトを管理する管理情報とを記録する情報記録媒体である。ビデオオブジェクトに許されるフォーマットには、少なくともデータ転送の単位サイズが異なる2種類以上のフォーマットがある。管理情報は、記録された各ビデオオブジェクトに対応する、タイプ情報とオブジェクト情報とを含む。タイプ情報は記録される各ビデオオブジェクトのフォーマット種類を示す。オブジェクト情報は、ビデオオブジェクトのフォーマット種類に依存した形式で複数種類の情報を含む。複数種類の情報には、対応するビデオオブジェクトの再生時刻とその時刻に再生されるビデオオブジェクトの再生区間が記録された情報記録媒体上のアドレスを得るためのマップ情報が含まれる。
【0038】
本発明に係る再生装置は、上記の情報記録媒体を再生する再生装置である。その再生装置は、情報記録媒体からビデオオブジェクトと管理情報を読み出す読み出し手段と、読み出したビデオオブジェクトをビデオオブジェクトのフォーマット種類にしたがいデコードする複数のデコード手段と、読み出し手段とデコード手段とを制御する制御手段とを備える。制御手段は、読み出した管理情報に基づき、再生区間として読み出すビデオオブジェクトのアドレスと、読み出したビデオオブジェクトをデコードするデコード手段とを判定する。
【0039】
本発明に係る記録装置は、上記の情報記録媒体にデータを記録する記録装置である。その記録装置は、ビデオオブジェクトと管理情報とを情報記録媒体に記録する記録手段と、記録手段を制御する制御手段とを備える。制御手段は、記録されるビデオオブジェクトの管理情報として、記録されるビデオオブジェクトのマップ情報をビデオオブジェクトのフォーマットタイプに基づき生成する。
【0040】
本発明に係る再生方法は、上記の情報記録媒体を再生する再生方法である。その再生方法は、情報記録媒体からビデオオブジェクトと管理情報を読み出す読み出しステップと、読み出したビデオオブジェクトをビデオオブジェクトのフォーマット種類にしたがいデコードする複数のデコードステップと、読み出しステップと前記デコードステップとを制御する制御ステップとを包含する。制御ステップは、読み出した管理情報に基づき、再生区間として読み出すビデオオブジェクトのアドレスと、読み出したビデオオブジェクトをデコードするデコードステップとを判定する。
【0041】
本発明に係る記録方法は、上記の情報記録媒体にデータを記録する記録方法である。その記録方法は、ビデオオブジェクトと管理情報とを情報記録媒体に記録する記録ステップと、記録ステップを制御する制御ステップとを包含する。制御ステップは、記録されるビデオオブジェクトの管理情報として、記録されるビデオオブジェクトのマップ情報をビデオオブジェクトのフォーマットタイプに基づき生成する。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を用いて本発明に係る情報記録媒体、記録装置及び再生装置の一実施形態であるDVD−RAM、DVDレコーダ及びDVDプレーヤについて詳細に説明する。
【0043】
(DVD−RAM上のデータ論理構成)
本発明に係るDVD−RAMは、一枚のディスクにおいて種々のフォーマットのAVデータおよびAVストリームの記録を可能とし、これらのデータを統一的に管理可能とするものである。これにより、例えば、地上波放送、MPEGトランスポートストリームフォーマットで送信されるディジタル放送、ディジタルビデオカメラで撮影した映像、ディジタルスチルカメラで撮影した静止画及びMPEGプログラムストリームで記録されたビデオデータ等の種々の異なるフォーマットのAVストリームを一枚のディスクに記録することが可能となる。また、DVD−RAMに記録されたデータは、所定の順序で再生することができる。このために、本発明に係るDVD−RAMは、AVデータおよびAVストリームのフォーマットの種類に依存せずにAVデータおよびAVストリームを管理するための管理情報を備えている。
【0044】
まず、本発明に係るDVD−RAMに記録されるデータのデータ構成について図9を用いて説明する。図9(a)は、DVD−RAMディスク100についてファイルシステムを通して見えるディスク100上のデータ構成を、図9(b)は、ディスク100上の物理セクタの構成を示した図である。
【0045】
図に示すように、物理セクタの先頭部分にはリードイン領域31があり、サーボを安定させるために必要な規準信号や他のメディアとの識別信号などが記録されている。リードイン領域31に続いてデータ領域33が存在する。この部分に論理的に有効なデータが記録される。最後にリードアウト領域35がありリードイン領域31と同様な規準信号等が記録される。
【0046】
データ領域33の先頭にはボリューム情報と呼ばれるファイルシステム用の管理情報が記録される。ファイルシステムは周知の技術であるためここでの説明は省略する。
【0047】
ファイルシステムを介して図9(a)に示すようにディスク100内のデータをディレクトリやファイルとして扱うことが可能になる。図9(a)に示すように、DVDレコーダが扱う全てのデータは、ROOTディレクトリ直下のVIDEO_RTディレクトリ下で管理される。
【0048】
本実施形態のDVDレコーダが扱うファイルには、オーディオ・ビデオデータ(AVデ−タ)を含むAVファイルと、それらのAVファイルを管理するための情報を含む管理情報ファイルの2種類のファイルがある。図9(a)に示す例では、管理情報ファイルは「VIDEO_RT.IFO」であり、AVファイルは、動画データを含むファイルである「M_VOB.VOB」、ディジタル放送用映像データを含むファイルである「D_VOB.VOB」、オーディオ用データを含むファイルである「AOB.AOB」等である。以下にこれらのファイルについて詳細に説明する。
【0049】
なお、本実施形態においては、個々のAVストリームをオブジェクト(Object)として定義している。すなわち、オブジェクトには、MPEGプログラムストリーム、MPEGトランスポートストリーム、オーディオストリームや静止画データ等の種々のAVストリームが含まれる。ここでは、これらのAVストリームを抽象化してオブジェクトとして捕らえることにより、これらのAVストリームの管理情報を、統一化したオブジェクト情報(ObjectI)として定義する。
【0050】
(管理情報)
最初に、管理情報について図10を用いて説明する。管理情報は、オブジェクトの記録位置等を管理するオブジェクト情報80と、DVD−RAMに記録されているデータの中で再生されるべきデータの再生順序及び再生時間等を定義するPGC情報50、70とを有する。
【0051】
AVストリームは、そのフォーマットによって個々の違いはあるが、例えば時間属性を有するなど共通化できる要素も有しているため、このような抽象化が可能である。また、同一フォーマットを有するAVストリームは同一AVファイル内に記録順に格納される。
【0052】
オブジェクト情報(ObjectI)80は、オブジェクトに関する一般情報(Object GI)80aと、オブジェクトの属性情報(AttributeI)80bと、オブジェクトの再生時間をディスク上のアドレスに変換するアクセスマップ80cとから構成されている。
【0053】
アクセスマップ80cを必要とするのは、AVストリームが一般に時間軸とデータ(ビット列)軸の二つの基準を有しており、この二つの基準間には完全な相関性がないためである。例えば、ビデオストリームの国際標準規格であるMPEG−2ビデオの場合、可変ビットレート(画質の複雑さに応じてビットレートを変える方式)を用いることが主流になりつつあり、この場合、先頭からのデータ量と再生時間との間に比例関係がないため、時間軸を基準にしたランダムアクセスができない。この問題を解決するため、オブジェクト情報80は、時間軸とデータ(ビット列)軸との間の変換を行なうためのアクセスマップ80cを有している。後述するように1つのオブジェクトは複数のオブジェクトユニット(VOBU)からなるため、アクセスマップ80cはオブジェクトユニット毎に時間領域とアドレス領域とを対応づけるためのデータを有している。
【0054】
PGC情報50、70は、DVD−RAM100に記録される画像データや音声データすなわちオブジェクトの再生を制御するための情報である。PGC情報50、70は、DVDプレーヤが連続してデータ再生を行う際の一つの単位を示す情報である。すなわち、PGC情報50、70は、再生するオブジェクトと、そのオブジェクトにおける任意の再生区間とを示したセル60、61、62、63の再生シーケンスを示す。セル60…については後述する。PGC情報50、70には、DVDレコーダがオブジェクト記録時に全記録オブジェクトを示すように自動生成するオリジナルPGC情報50と、ユーザが自由に再生シーケンスを定義できるユーザ定義PGC情報70の2種類がある。ユーザ定義PGC情報70がユーザにより定義される点を除いて、両PGC情報50、70の構成、機能は同様であるので、以下、オリジナルPGC情報50について詳細に説明する。
【0055】
図10に示すように、オリジナルPGC情報50は少なくとも1つのセル情報60、61、62、63を含む。セル情報60…は再生するオブジェクトを指定し、かつ、そのオブジェクトの再生区間を指定する。通常、PGC情報50は複数のセルをある順序で記録している。PGC情報50におけるセル情報の記録順序は、各セルが指定するオブジェクトが再生されるときの再生順序を示す。
【0056】
一のセル情報60には、それが指定するオブジェクトの種類を示すタイプ情報(Type)60aと、オブジェクトの識別情報であるオブジェクトID(Object ID)60bと、時間軸上でのオブジェクト内の開始位置情報(Start)60cと、時間軸上でのオブジェクト内の終了位置情報(End)60dとが含まれる。
【0057】
データ再生時は、PCG情報50内のセル情報60が順次読み出され、各セルにより指定されるオブジェクトが、セルにより指定される再生区間分再生される。
【0058】
(オブジェクト情報のサブクラス)
抽象化したオブジェクト情報を実際のAVストリームに適用するためには、より具体化する必要がある。この考え方は、オブジェクト指向モデルに見られるクラスの継承、特に、オブジェクト情報をスーパークラスとして、各AVストリーム用に具体化した構造をサブクラスと捉えるとわかり易い。図11に具体化したサブクラスを示す。
【0059】
本実施形態では、図11に示すように、オブジェクト情報のサブクラスとして、動画サブクラス、静止画集サブクラス、オーディオサブクラス、ディジタル放送サブクラスの各サブクラスを定義する。すなわち、ビデオ用のオブジェクト情報(MPEGプログラムストリーム)である動画オブジェクト情報(M_VOBI:Movie Video Object Information)、ディジタル放送データ(MPEGトランスポートストリーム)用のオブジェクト情報であるディジタル放送オブジェクト情報(D_VOBI:Digital Video Object Information)、オーディオ用のオブジェクト情報であるオーディオ・オブジェクト情報(AOBI:Audio Object Information)、静止画集用のオブジェクト情報である静止画オブジェクト情報(S_VOBSI:Still Picture Video Object Information)を具体例として定義する。以下、それぞれのオブジェクト情報について説明する。
【0060】
動画オブジェクト情報82は、MPEGプログラムストリームの一般情報(M_VOB_GI)82aと、動画オブジェクトのストリーム情報(M_VOB_STI)82bと、Tマップ82cとを有する。
【0061】
一般情報(M_VOB_GI)82aは、動画オブジェクトの識別情報(M_VOB_ID)と、動画オブジェクトの記録時刻(M_VOB_REC_TM)と、動画オブジェクトの開始時刻情報(M_VOB_V_S_PTM)と、動画オブジェクトの終了時刻情報(M_VOB_V_E_PTM)とから構成される。
【0062】
動画オブジェクトのストリーム情報(M_VOB_STI)82bは、ビデオストリームのコーディングモードをはじめとするビデオストリーム情報(V_ATR)と、オーディオストリームの本数(AST_Ns)と、オーディオストリームのコーディングモードをはじめとするオーディオストリーム情報(A_ATR)とから構成される。
【0063】
Tマップ82cは、AVファイル内での動画オブジェクトの先頭アドレスと、各動画オブジェクトユニット(VOBU)の再生時間(VOBU_PB_TM)と、データサイズ(VOBU_SZ)とを有する。ここで、動画オブジェクトユニット(VOBU)とは、動画オブジェクト(M_VOB)内の最小アクセス単位を示すが、その詳細は後述する。
【0064】
ディジタル放送オブジェクト情報(D_VOBI)86は、MPEGトランスポートストリームの一般情報(D_VOB_GI)86aと、ストリーム情報(D_VOB_STI)86bと、Tマップ86cとを有する。
【0065】
ディジタル放送オブジェクトの一般情報(D_VOB_GI)86aは、ディジタル放送オブジェクトの識別情報(D_VOB_ID)と、ディジタル放送オブジェクトの記録時刻(D_VOB_REC_TM)と、ディジタル放送オブジェクトの開始時刻情報(D_VOB_V_S_PTM)と、ディジタル放送オブジェクトの終了時刻情報(D_VOB_V_E_PTM)とから構成される。
【0066】
ディジタル放送オブジェクトのストリーム情報(D_VOB_STI)は、ディジタル放送で配送される付加情報を格納する情報(PROVIDER_INF)を含む。Tマップ86cは、AVファイル内でのディジタル放送オブジェクト(D_VOB)の先頭アドレスと、各オブジェクトユニット(VOBU)の再生時間(VOBU_PB_TM)と、データサイズ(VOBU_SZ)とを有する。
【0067】
オーディオ・オブジェクト情報(AOBI)88は、オーディオストリームの一般情報(AOB_GI)88aと、オーディオストリームのストリーム情報(AOB_STI)88bと、Tマップ88cとから構成される。オーディオストリームの一般情報(AOB_GI)88aは、オーディオ・オブジェクトの識別情報(AOB_ID)と、オーディオ・オブジェクトの記録時刻(AOB_REC_TM)と、オーディオ・オブジェクトの開始時刻情報(AOB_S_TM)と、オーディオ・オブジェクトの終了時刻情報(AOB_E_TM)とから構成される。AOBのストリーム情報(AOB_STI)88bは、オーディオストリームのコーディングモードをはじめとするオーディオストリーム情報(A_ATR)を含む。Tマップは、AVファイル内でのAOB先頭アドレスと、オーディオ・オブジェクトユニット(AOBU)毎の再生時間(AOBU_PB_TM)と、データサイズ(AOBU_SZ)とを有する。ここで、オーディオ・オブジェクトユニット(AOBU)は、オーディオ・オブジェクト(AOB)内の最小アクセス単位を示すが、その詳細は後述する。
【0068】
静止画オブジェクト情報(S_VOBSI)84は、静止画像の一般情報(S_VOBS_GI)84aと、静止画像のストリーム情報(S_VOBS_STI)84bと、Sマップ84cとからなる。静止画像の一般情報(S_VOBS_GI)84aは、静止画オブジェクトの識別情報(S_VOBS_ID)と、静止画オブジェクトの記録時刻(S_VOBS_REC_TM)、静止画オブジェクトの開始静止画番号(S_VOBS_S_NO)、静止画オブジェクトの終了静止画番号(S_VOBS_E_NO)とから構成される。静止画像のストリーム情報(S_VOBS_STI)84bは、静止画オブジェクトの圧縮フォーマットをはじめとする静止画属性情報(V_ATR)を含む。Sマップ84cは、AVファイル内でのS_VOBSの先頭アドレスと各静止画のデータサイズ(S_VOB_SZ)とを有する。
【0069】
このように、抽象化されているオブジェクト情報を具体化することで、図11に示すように、個々のAVストリームに対し、対応するストリーム情報テーブルが定義できる。
【0070】
(オブジェクト情報とセル情報の対応)
次に、図12を用いてオブジェクト情報(ObjectI)の具体化の1つである動画オブジェクト情報(M_VOBI)について、セル情報との対応関係について説明する。
【0071】
セル情報に指定されたタイプ情報(Type)の値が、「M_VOB」であれば、そのセルは動画オブジェクトに対応していることを意味する。同様に、タイプ情報の値が「D_VOB」であれば、そのセルはディジタル放送用オブジェクトに対応し、タイプ情報の値が「AOB」であれば、オーディオ・オブジェクトに対応していることを意味する。
【0072】
オブジェクトID(Object ID)をもとに、対応するオブジェクト情報(VOBI)を見つけることができる。オブジェクトIDと、動画オブジェクト情報(M_VOBI)における一般情報(M_VOB_GI)に含まれる動画オブジェクトID(識別番号)(M_VOB_ID)とは一対一に対応している。
【0073】
このように、タイプ情報(Type)とオブジェクトID(Object ID)によって、セル情報に対応するオブジェクト情報を探しだすことが可能である。
【0074】
セル情報における開始情報位置(Start)は、動画オブジェクトの開始時刻情報(M_VOB_V_S_PTM)と対応し、それらが示す値が同一時刻であれば、そのセルは動画オブジェクトの先頭からの再生を示している。開始位置情報(Start)の値が開始時刻情報(M_VOB_V_S_PTM)より大きい場合、そのセルは動画オブジェクトの途中からの再生を示している。また、この場合、開始時刻情報(M_VOB_V_S_PTM)の値と、開始位置情報(Start)の値との差(時間差)だけ、セルは動画オブジェクトの先頭から遅れて再生を開始することを意味する。また、セルの終了位置情報(End)と動画オブジェクトの終了時刻情報(M_VOB_V_E_PTM)も同様の関係を有している。
【0075】
このように、セル情報内の開始位置情報(Start)と、終了位置情報(End)と、動画オブジェクト情報(M_VOBI)内の一般情報(M_VOB_GI)内の開始時刻情報(M_VOB_V_S_PTM)と、終了時刻情報(M_VOB_V_E_PTM)とから当該セルの再生開始および終了位置を動画オブジェクト内の相対時間として得ることができる。
【0076】
動画オブジェクト内のTマップは、動画オブジェクトユニット(VOBU)毎の再生時間とデータサイズとから構成されるテーブルである。前述したセルの動画オブジェクト内での再生開始および終了相対時間をこのTマップを参照することによりアドレスデータに変換することができる。
【0077】
以下に、Tマップを参照したアドレス変換について図13を用いて具体的に説明する。
【0078】
図13において、(a)は時間軸上でのビデオ表示を表現した動画オブジェクト(M_VOB)を、(b)は動画オブジェクトユニット(VOBU)毎の再生時間長とデータサイズから構成されるタイムマップを、(c)は、データ(セクタ列)軸上で表現した動画オブジェクトを、(d)は動画オブジェクト(M_VOB)の一部を拡大したパック列、(e)はビデオストリーム、(f)はオーディオストリームをそれぞれ示している。
【0079】
動画オブジェクト(M_VOB)は、MPEGプログラムストリームのことであって、MPEGプログラムストリームでは、ビデオストリーム、オーディオストリームを順にパケット(PESパケット)化して、このパケット(PESパケット)を複数束ねたパックのシーケンスである。この場合、1パック内に1パケット(PESパケット)を入れ、1パックを1セクタ(=2048B)としてアクセスし易くしている。また、パック化したビデオパック(V_PCK)およびオーディオパック(A_PCK)を多重化して1本のストリームにしている。この様子を示しているのが、図13(c)、(d)、(e)、(f)である。
【0080】
また、MPEGシステムストリーム(プログラムストリームおよびトランスポートストリームの総称)は、多重化したビデオおよびオーディオストリームの同期再生用にストリーム中にタイムスタンプを有している。プログラムストリームの場合、タイムスタンプはフレームの再生時刻を示すPTS(Presentation Time Stamp)である。前述の動画オブジェクトの開始時刻情報(M_VOB_V_S_PTM)、動画オブジェクトの終了時刻情報(M_VOB_V_E_PTM)は、このPTSを基準に求められた時刻情報である。一方、トランスポートストリームの場合は、バッファへの入力時刻を示すPCR(Program Clock Reference)をタイムスタンプとして用いる。
【0081】
ここで動画オブジェクトユニット(VOBU)について説明する。動画オブジェクトユニット(VOBU)とは動画オブジェクト(M_VOB)内の最小アクセス単位を示す。MPEGビデオストリームは高効率な画像圧縮を実現するために、ビデオフレーム内での空間周波数特性を用いた画像圧縮だけでなく、ビデオフレーム間つまり時間軸上での動き特性を用いた画像圧縮を行っている。これは、あるビデオフレームを伸長する場合に、時間軸上の情報、即ち、未来または過去のビデオフレームの情報が必要となり、ビデオフレームを単独で伸長することができないことを意味している。この問題を解決するため、MPEGビデオストリームでは、約0.5秒に1枚の割合で、時間軸上での動き特性を用いないビデオフレーム(I−ピクチャ)を挿入して、ランダムアクセス性を高めている。
【0082】
動画オブジェクトユニット(VOBU)は、このI−ピクチャの先頭データを含むパックを先頭として、次のI−ピクチャの先頭データを含むパックの直前のパックまでの区間とする。Tマップでは、この各オブジェクトユニット(VOBU)のデータサイズ(パック数)と、オブジェクトユニット(VOBU)内のビデオフレームの再生時間(フィールド数)とから構成されている。
【0083】
例えば、セルのStartで示す値と、動画オブジェクトの開始時刻情報(M_VOB_V_S_PTM)の示す値との差が1秒(60フィールド)であったと仮定する。
【0084】
Tマップ内の各オブジェクトユニット(VOBU)の再生時間を先頭から積算していくことで、動画オブジェクト(M_VOB)の先頭からの各オブジェクトユニットの再生開始時刻を求めることができる。同様に各オブジェクトユニットのデータサイズ(パック数)を積算していくことで、動画オブジェクト(M_VOB)の先頭からの各オブジェクトユニットのアドレスを求めることができる。
【0085】
本実施形態の場合、動画オブジェクト(M_VOB)の先頭からそれぞれ24、30、24フィールドのオブジェクトユニット(VOBU)が並んでいるので、動画オブジェクト(M_VOB)の先頭から1秒(60フィールド)後のビデオフレームは先頭から3番目のオブジェクトユニット(VOBU#3)に含まれていることが求められる。また、オブジェクトユニット(VOBU)のデータ量が動画オブジェクトの先頭からそれぞれ125、98、115セクタであるから、3番目のオブジェクトユニット(VOBU#3)の先頭アドレスは、オブジェクトの先頭から223セクタであることが求められる。
【0086】
これに、AVファイル内でのM_VOBの先頭アドレス(ADR_OFF)である5010セクタを加算することで、再生を開始するデータの先頭アドレスが求まる。
【0087】
以上では、先頭から60フィールド目のビデオフレームからの再生を想定したが、前述したようにMPEGビデオの性質上、任意のビデオフレームからのデコードおよび再生は不可能であるので、I−ピクチャの先頭から再生されるように、6フィールドずれた近傍のオブジェクトユニット(VOBU)の先頭からの再生としている。ただし、デコーダがこの6フィールド分をデコードのみ行い、表示をしないようにすることで、セルが指定するビデオフィールドからの再生も可能である。
【0088】
上記の説明と同じように、セルの終了位置に対応する動画オブジェクトの再生終了時刻、AVファイル内のアドレスを求めることができる。
【0089】
次に、ディジタル放送オブジェクト情報(D_VOBI)について説明する。ディジタル放送オブジェクト情報も、オブジェクト情報から派生したサブクラスであるので、基本的には動画オブジェクト情報と同様である。大きな違いは、動画オブジェクト(M_VOB)は地上波が録画されることにより作成されることである。即ち、動画オブジェクトはレコーダがそれ自身でエンコードを行ったAVストリームであるのに対して、ディジタル放送オブジェクト(D_VOB)は、ディジタル放送衛星から送られるデータが直接記録されるため、レコーダがそれ自身でエンコードを行ったAVストリームではない。
【0090】
つまり、それ自身でデータをエンコードした場合は、ストリームの内部構造が自明であるのに対して、データを直接記録した場合は、ストリームの内部を解析しない限り構造が分からないため、前述したTマップを作成することができないことになる。
【0091】
ディジタル衛星放送で供給されるMPEGトランスポートストリームを詳細に解析することはできるが、本実施形態では、MPEGトランスポートストリーム内の情報を用いてTマップを作成している。次にこの方法を説明する。
【0092】
図14において、(a)はMPEGトランスポートストリーム、(b)はトランスポートパケットの拡大図、(c)はPESパケット、(d)はビデオストリームをそれぞれ示す。
【0093】
図14(a)に示すように、MPEGトランスポートストリームは、トランスポートパケットのパケット列で構成され、トランスポートパケットは、ヘッダ、適用フィールド(adaptation field)及びペイロードから構成される。適用フィールドには、ランダムアクセスインジケータ(random_access_indicator)が含まれる。ランダムアクセスインジケータは、このトランスポートパケットまたは後続するトランスポートパケット(厳密には、同一のプログラムIDを有するトランスポートパケット)において、次のPESパケット(言い換えると、PESパケットの先頭バイトが最初に現れるPESパケット)内に、ビデオストリームまたはオーディオストリームのアクセス点があることを示すものである。特に、ビデオストリームの場合は、前述したI−ピクチャが含まれていることを意味している。
【0094】
このランダムアクセスインジケータをもとに、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)を決定し、Tマップを生成することが可能である。
【0095】
また、トランスポートパケットは、188バイトの固定サイズである。このため、DVD−RAMの1セクタ2048バイト内に複数のトランスポートパケット(2048バイト/188バイト=10TSパケット)が記録されることになる。動画オブジェクト(M_VOB)の場合、1パック=1セクタとして扱えるがディジタル放送オブジェクト(D_VOB)の場合はこの条件は成り立たない。しかしながら、DVD−RAMに対してデータの読み書きができる単位はセクタであるので、ディジタル放送オブジェクトの場合であっても、Tマップ内の情報は、ビデオフィールド数で現した動画オブジェクトユニット(VOBU)の再生時間長と、セクタ数で現した動画オブジェクトユニットのデータサイズとで構成する。
【0096】
このため、動画オブジェクトユニットを、トランスポートパケットからトランスポートパケットまでと定義すると、Tマップのアドレス精度が不足するので、その代わりに、当該トランスポートパケット含むセクタを用いて動画オブジェクトユニット(VOBU)を定義する。
【0097】
また、ディジタル放送オブジェクトのストリーム情報(D_VOB_STI)内のPROVIDER_INFフィールドには、放送事業社を識別するIDと、放送事業社毎の固有の情報とが含まれる。
【0098】
図15を用いてオーディオ・オブジェクト情報(AOBI)について説明する。オーディオ・オブジェクト情報も、動画オブジェクト情報と同様にオブジェクト情報から派生したサブクラスであるので、基本的には動画オブジェクト情報の場合と同様である。大きな違いは、オーディオ・オブジェクトがオーディオ専用のオブジェクトであり、かつ、MPEGシステムストリーム化されていない点である。以下に、オーディオ・オブジェクト情報を説明する。
【0099】
オーディオ・オブジェクトはMPEGシステムストリーム化されていないため、オーディオ・オブジェクト中にはタイムスタンプが付けられておらず、セルおよびオブジェクトの再生開始時刻や再生終了時刻を示すための基準時刻が存在しない。そこで、オーディオ・オブジェクト情報における一般情報(AOBI_GI)内のオーディオ・オブジェクトの開始時刻(AOB_A_S_TM)に0を入れ、オーディオ・オブジェクト情報の終了時刻(AOB_A_E_TM)にはオーディオ・オブジェクトの再生時間長を入れる。また、セル情報内のStartフィールドおよびEndフィールドには、オーディオ・オブジェクト内での相対時刻を入れる。
【0100】
また、オーディオデータはMPEGビデオデータと異なり、全てのオーディオフレーム単位で再生が可能であるので、オーディオフレームの整数倍でオーディオ・オブジェクトユニット(AOBU)を構成することが可能である。ただし、オーディオ・オブジェクトユニット(AOBU)を細かくとりすぎるとTマップで管理するデータが膨大になってしまうので動画オブジェクトのオブジェクトユニット(VOBU)と同程度の0.5秒間隔程度にオーディオ・オブジェクトユニット(AOBU)を構成して、各オーディオ・オブジェクトユニットの再生時間長とデータサイズとをTマップにて管理する。
【0101】
図16を用いて静止画オブジェクト情報(S_VOBSI)について説明する。静止画オブジェクト情報(S_VOBSI)も、動画オブジェクト情報と同様にオブジェクト情報から派生したサブクラスであるので、基本的には動画オブジェクト情報の場合と同様である。大きな違いは、静止画オブジェクトは、静止画データを複数集めたオブジェクトである点と、静止画オブジェクトがMPEGシステムストリーム化されていない点である。以下、静止画オブジェクト情報について説明する。
【0102】
静止画は、動画や音声等と異なり時間情報を有していない。そこで、静止画オブジェクトの一般情報(S_VOBS_GI)内の開始、終了情報には、開始静止画番号(Start_Video)および終了静止画番号(End_Video)をそれぞれ記述する。また、セル内のStartおよびEndフィールドには、時刻情報でなく、静止画オブジェクト内での静止画番号を記述する。
【0103】
また、静止画集での最小アクセス単位は静止画単位であるので、アクセスマップとして、各静止画のデータサイズ(S_VOB_SZ)を含むテーブルであるSマップを定義している。
【0104】
以上、説明したデータ構造をまとめたものを図17に示す。また、図17はDVD−RAMにおける管理情報全体を示す。以下に図17を用いて管理情報全体について説明する。図17に示すように、本実施形態のDVD−RAMには、前述のPGC情報50、70等の他に、ビデオ管理全体情報90や、各種のファイル情報テーブル92、94、96、98を備える。
【0105】
ビデオ管理全体情報(VMGI: Video Manager General Information)90は、ディスク全体に関する管理情報であり、例えば、オリジナルPGC情報50、ユーザ定義PGC情報70、及び、各種ファイル管理テーブル92、94…等の開始アドレスすなわちポインタ情報を含んでいる。このポインタ情報を参照することにより、これらのテーブル50、70、82、94…へのアクセスが可能となる。
【0106】
ここで、図17に示すファイル管理テーブル92、94、96、98について説明する。ファイル管理テーブル92、94、96、98のそれぞれは、オブジェクトから構成されるデータファイルを管理するためのテーブルであり、オブジェクトの種類毎に設けられている。例えば、動画オブジェクトを記録した動画ファイルを管理する動画ファイル管理テーブル92や、静止画オブジェクトを記録した静止画ファイルを管理する静止画ファイル管理テーブル94等がある。
【0107】
前述のようにPGC情報内のセル情報のオブジェクトIDに基きオブジェクト情報が特定されるが、この場合、ファイル管理テーブル92、94、96、98を介してオブジェクト情報のアドレスが特定される。このため、ファイル管理テーブル92、94、96、98は、管理するオブジェクト情報の数、オブジェクトID、オブジェクト情報のサイズ等の情報を有している。例えば、オブジェクトIDが順番を示す場合、セル情報により指定されたオブジェクトIDに基いて、その指定されたオブジェクト情報が、ファイル管理テーブルにより管理されているオブジェクト情報の中の何番目のオブジェクト情報であるかを認識できる。その後、そのオブジェクト情報の順番と、ファイルサイズとからファイル管理テーブルの開始アドレスを基準としたオフセット量を計算することにより、その指定されたオブジェクト情報のアドレスを得ることができる。
【0108】
図17に示すように、動画ファイル管理テーブル92は、動画オブジェクトを記録した動画ファイルを管理するテーブルである。動画ファイル管理テーブル92は、動画オブジェクト情報(M_VOBI)92a、92b…と、そのテーブル92が管理する動画オブジェクト情報の数、動画オブジェクトのサイズ等を含むテーブル管理情報(M_AVFITI)92hとを含む。このテーブル管理情報92hに記述されている動画オブジェクト情報の数だけ、動画オブジェクト情報がディスク上に続けて記録されている。動画オブジェクト情報92a…は、前述のように、一般情報(M_VOB_GI)、ストリーム情報(M_VOB_STI)、Tマップを含む。また、Tマップは、各動画オブジェクトユニット(VOBU)の表示時間およびサイズ(VOBU_ENT)を含む。
【0109】
また、静止画オブジェクトを記録した静止画ファイルの管理テーブル(S_AVFIT)94、ディジタル放送オブジェクトを記録したディジタル放送ファイルの管理テーブル(D_AVFIT)96、オーディオ・オブジェクトを記録したオーディオファイルの管理テーブル(A_AVFIT)98も同様の構成である。
【0110】
オリジナルPGC情報50には、再生すべき順にセル情報61、62、63…が記録されている。セル情報はオブジェクト情報への対応情報(タイプおよびオブジェクトID)と、オブジェクト内での再生区間情報(StartおよびEnd)とを有している。セルが示す再生区間情報は、オブジェクト情報内のアクセスマップを通してオブジェクト実態のアドレス情報に変換することができる。
【0111】
前述した通り、オリジナルPGC情報50とユーザ定義PGC情報70の違いは、オリジナルPGC情報50がディスクに記録されている全オブジェクトを再生するようにレコーダが自動生成したものに対して、ユーザ定義PGC情報70は、ユーザが好みに応じて自由に再生シーケンスを定義できるPGCであるだけであるので、ユーザ定義PGC情報70は、オリジナルPGC情報50と同一の構成を有している。
【0112】
このように、AVストリーム用管理情報を先に抽象化しておくことで、再生制御情報であるPGC情報、セル情報をAVストリームフォーマット毎に固有な情報に依存しない形で定義することが可能となり、AVストリームを統合的に管理することが可能となる。これにより、AVフォーマットを意識せずにユーザが自由にAVデータの再生ができる環境が実現できる。
【0113】
また、このような構成を有することにより、新たなAVフォーマットを取り込む場合、既存のAVフォーマットと同じようにオブジェクト情報から派生した管理情報を規定することで、データ構造中に簡単に取り込むことが可能である。
【0114】
(プレーヤモデル)
次に、図18を用いて上記光ディスクを再生するプレーヤモデルについて説明する。図18に示すように、プレーヤは、光ディスク100からデータを読み出す光ピックアップ1701と、読み出したデータのエラー訂正等を行なうECC処理部1702と、エラー訂正後の読み出しデータを一時的に格納するトラックバッファ1703と、動画オブジェクト(M_VOB)等のプログラムストリームを再生するPSデコーダ1705と、ディジタル放送オブジェクト(D_VOB)等のトランスポートストリームを再生するTSデコーダ1706と、オーディオ・オブジェクト(AOB)を再生するオーディオデコーダ1707と、静止画をデコードする静止画デコーダ1708と、各デコーダ1705、1706…へのデータ入力を切り換える切換え手段1710と、プレーヤの各部を制御する制御部1711とを備える。
【0115】
光ディスク100上に記録されているデータは、光ピックアップ1701から読み出され、ECC処理部1702を通してトラックバッファ1703に格納される。トラックバッファ1703に格納されたデータは、PSデコーダ1705、TSデコーダ1706、オーディオデコーダ1707、静止画デコーダ1708の何れかに入力されデコードおよび出力される。このとき、制御部1711が、読み出したデータから前述の方法で再生シーケンスを規定するPGC情報内のセル情報のタイプ情報を判断して切換え部1710を切り換えることにより、読み出しデータをデコードするために適した一のデコーダを選択する。
【0116】
また、本実施形態のプレーヤは、さらに、AVストリームを外部に供給するためのディジタルインタフェース1704を有している。これにより、AVストリームをIEEE1394やIEC958などの通信プロトコルを介して外部に供給することも可能である。これは、特に、新たなAVフォーマットを取り込んだ場合、プレーヤ内部のデコーダを介さずにディジタルインタフェース1704を通じて外部のAV機器に出力し、そのAV機器で再生させるときに有効となる。
【0117】
また、本プレーヤが新たなAVフォーマットをサポートする場合は、他のデコーダと同様にトラックバッファ1703に接続する、新たなAVフォーマットに対応したデコーダ1709をさらに備えればよい。
【0118】
(DVDレコーダの録画)
次に、図19を用いて上記光ディスクに対してデータの記録、再生を行なう本発明に係るDVDレコーダの構成および動作について説明する。
【0119】
図に示すように、DVDレコーダは、ユーザへの表示およびユーザからの要求を受け付けるユーザインターフェース部1901、DVDレコーダ全体の管理および制御を司るシステム制御部1902、VHFおよびUHFを受信するアナログチューナ1903、アナログ信号をディジタル信号に変換しMPEGプログラムストリームにエンコードするエンコーダ1904、ディジタル衛星放送を受信するディジタルチューナ1905、ディジタル衛星で送られるMPEGトランスポートストリームを解析する解析部1906、テレビおよびスピーカなどの表示部1907、AVストリームをデコードするデコーダ1908とを備える。デコーダ1908は、図18に示した第1及び第2のデコーダ等からなる。さらに、DVDレコーダは、ディジタルインターフェース部1909と、書きこみデータを一時的に格納するトラックバッファ1910と、DVD−RAM100にデータを書きこむドライブ1911とを備える。ディジタルインターフェース部1909はIEEE1394等の通信プロトコルにより外部機器にデータを出力するインタフェースである。
【0120】
このように構成されるDVDレコーダにおいては、ユーザインターフェース部1901が最初にユーザからの要求を受ける。ユーザインターフェース部1901はユーザからの要求をシステム制御部1902に伝え、システム制御部1902はユーザからの要求を解釈および各モジュールへ処理要求を行う。
【0121】
ユーザからの要求がアナログ放送の録画であった場合、システム制御部1902はアナログチューナ1903への受信とエンコーダ部1904へのエンコードを要求する。
【0122】
エンコーダ部1904はアナログチューナ1903から送られるAVデータをビデオエンコード、オーディオエンコードおよびシステムエンコードしてトラックバッファ1910に送出する。
【0123】
エンコーダ部1904は、エンコード開始直後に、エンコードしているMPEGプログラムストリームの再生開始時刻(M_VOB_V_S_PTM)をシステム制御部1902に送り、続いてTマップを作成するための情報として動画オブジェクトユニット(VOBU)の時間長およびサイズ情報をエンコード処理と平行してシステム制御部1902に送る。
【0124】
次にシステム制御部1902は、ドライブ1911に対して記録要求を出し、ドライブ1911はトラックバッファ1910に蓄積されているデータを取り出しDVD−RAMディスク100に記録する。この時、システム制御部1902はファイルシステムのアロケーション情報からディスク100上のどこに記録するかをあわせてドライブ1911に指示する。
【0125】
録画終了はユーザからのストップ要求によって指示される。ユーザからの録画停止要求は、ユーザインターフェース部1901を通してシステム制御部1902に伝えられ、システム制御部1902はアナログチューナ1903とエンコーダ部1904に対して停止要求を出す。
【0126】
エンコーダ1904はシステム制御部1902からのエンコード停止要求を受けエンコード処理を止め、最後にエンコードを行ったMPEGプログラムストリームの再生終了時刻(M_VOB_V_E_PTM)をシステム制御部1902に送る。
【0127】
システム制御部1902は、エンコード処理終了後、エンコーダ1904から受け取った情報に基づき動画オブジェクト情報(M_VOBI)を生成する。次に、この動画オブジェクト情報(M_VOBI)に対応するセル情報を生成するが、この時重要なのは、セル情報内のタイプ情報を「M_VOB」にすることである。前述した通り、セル情報内の情報は、動画オブジェクト(M_VOB)には依存しない形で構成されており、動画オブジェクト(M_VOB)に依存する情報は全て動画オブジェクト情報(M_VOBI)の中に隠蔽された形になっている。したがって、セル情報のタイプ情報の認識を誤ると、正常な再生ができなくなり、場合によってはシステムダウンが起こる場合もある。
【0128】
最後にシステム制御部1902は、ドライブ1911に対してトラックバッファ1910に蓄積されているデータの記録終了と、動画オブジェクト情報(M_VOBI)およびセル情報の記録を要求し、ドライブ1911がトラックバッファ1910の残りデータと、動画オブジェクト情報(M_VOBI)と、セル情報とをDVD−RAMディスク100に記録し、録画処理を終了する。
【0129】
次に、ユーザからの要求がディジタル放送の録画であった場合の動作について説明する。
【0130】
ユーザによるディジタル放送録画要求は、ユーザインターフェース部1901を通してシステム制御部1902に伝えられる。システム制御部1902はディジタルチューナ1905への受信と解析部1906へのデータ解析を要求する。
【0131】
ディジタルチューナ1905から送られるMPEGトランスポートストリームは解析部1906を通してトラックバッファ1910へ転送される。解析部1906は、最初にMPEGトランスポートストリームからディジタル放送オブジェクト情報(D_VOBI)の生成に必要な情報として、開始時刻情報(D_VOB_V_S_PTM)を抽出してシステム制御部1902に送る。次に、MPEGトランスポートストリーム中のオブジェクトユニット(VOBU)を決定し、Tマップ生成に必要なオブジェクトユニットの時間長とサイズとをシステム制御部1902に送る。なお、オブジェクトユニット(VOBU)の決定は、前述したようにTSパケットヘッダ中の適用フィールド(adaptation field)内のランダムアクセスインジケータ(randam_access_indicator)をもとに検出することにより可能である。
【0132】
次にシステム制御部1902は、ドライブ1911に対して記録要求を出力し、ドライブ1911はトラックバッファ1910に蓄積されているデータを取り出しDVD−RAMディスク100に記録する。この時、システム制御部1902はファイルシステムのアロケーション情報からディスク上のどこに記録するかをあわせてドライブ1911に指示する。
【0133】
録画終了はユーザからのストップ要求によって指示される。ユーザからの録画停止要求は、ユーザインターフェース部1901を通してシステム制御部1902に伝えられ、システム制御部1902はディジタルチューナ1905と解析部1906に停止要求を出す。
【0134】
解析部1906はシステム制御部1902からの解析停止要求を受け解析処理を止め、最後に解析を行ったMPEGトランスポートストリームの動画オブジェクトユニット(VOBU)の最後の表示終了時刻(D_VOB_V_E_PTM)をシステム制御部1902に送る。
【0135】
システム制御部1902は、ディジタル放送の受信処理終了後、解析部1906から受け取った情報に基づき、ディジタル放送オブジェクト情報(D_VOBI)を生成する。次に、このディジタル放送オブジェクト情報(D_VOBI)に対応するセル情報を生成するが、この時、セル情報内のタイプ情報として「D_VOB」を設定する。
【0136】
最後にシステム制御部1902は、ドライブ1911に対してトラックバッファ1910に蓄積されているデータの記録終了と、ディジタル放送オブジェクト情報およびセル情報の記録を要求する。ドライブ1911は、トラックバッファ1910の残りデータと、ディジタル放送オブジェクト情報(D_VOBI)、セル情報をDVD−RAMディスク100に記録し、録画処理を終了する。
【0137】
以上、ユーザからの録画開始および終了要求をもとに動作を説明したが、例えば、VTRで使用されているタイマー録画の場合では、ユーザの代わりにシステム制御部が自動的に録画開始および終了要求を発行するだけであって、本質的にDVDレコーダの動作が異なるものではない。
【0138】
(DVDレコーダの再生)
次にDVDレコーダにおける再生動作について説明する。
まず、ユーザインターフェース部1901がユーザからの要求を受ける。ユーザインターフェース部1901はユーザからの要求をシステム制御部1902に伝え、システム制御部1902はユーザからの要求の解釈および各モジュールへの処理要求を行う。ユーザからの要求がPGCの再生であった場合、システム制御部1902はPGC情報およびセル情報を解析してどのオブジェクトの再生かを解析する。なお、以下では、1つの動画オブジェクト(M_VOB)と、1つのセル情報とから構成されるオリジナルPGCの場合を説明する。
【0139】
システム制御部1902は最初にPGC情報内のセル情報内のタイプ情報を解析する。タイプ情報が「M_VOB」であった場合、再生するAVストリームがMPEGプログラムストリームとして記録されたAVストリームであることがわかる。次にシステム制御部1902は、セル情報のIDから対応する動画オブジェクト情報(M_VOBI)を、テーブル(M_AVFIT)から探し出す。次に、セル情報の開始および終了位置情報と、動画オブジェクト情報の開始時刻情報(M_VOB_V_S_PTM)及び終了時刻情報(M_VOB_V_E_PTM)と、Tマップとから、再生するAVデータの開始および終了アドレスを求める。
【0140】
次に、システム制御部1902はドライブ1911に対して、DVD−RAMディスク100からの読み出し要求を、読み出しアドレスと共に送る。ドライブ1911は、システム制御部1902に指示されたアドレスからAVデータを読み出し、トラックバッファ1910に格納する。
【0141】
次に、システム制御部1902は、デコーダ1908に対して、MPEGプログラムストリームのデコード要求を行う。デコーダ1908はトラックバッファ1910に格納されているAVデータを読み出し、デコード処理を行う。デコードされたAVデータは表示装置1907を通して出力される。
【0142】
ドライブ1911はシステム制御部1902から指示された全データの読み出し終了後、システム制御部1902に読み出し終了を報告し、システム制御部1902は、デコーダ1908に対して再生終了要求を出す。デコーダ1908はトラックバッファ1910が空になるまでデータの再生を行い、トラックバッファ1910が空になり、全てのデータのデコードおよび再生が終了した後、システム制御部1902に再生終了を報告を行い、再生処理が終了する。
【0143】
以上、1つの動画オブジェクト(M_VOB)、1つのセル情報から構成されるオリジナルPGCを例に説明を行ったが、オリジナルPGCが、1つのディジタル放送オブジェクト(D_VOB)のみを含む場合、複数の動画オブジェクトを含む場合、複数のディジタル放送オブジェクトを含む場合、もしくは、動画オブジェクトとディジタル放送オブジェクトとが混在する場合でも、同様の処理を行うことでAVストリームの再生が可能である。また、オリジナルPGCが複数セルを含む場合や、ユーザ定義PGCの場合も同様である。
【0144】
また、オーディオ・オブジェクト(AOB)や、静止画オブジェクト(S_VOBS)などのAVストリームもデコーダ1908内の構成が異なるだけであり、他のモジュールや、動作処理は基本的に同じである。この場合、デコーダ1908は、例えば、図18で示したPSデコーダ1705、TSデコーダ1706、オーディオデコーダ1707、静止画デコーダ1708で構成できる。
【0145】
次に、デコーダ1908が全てのAVストリームの再生機能を持たない場合の例について説明する。
【0146】
例えば、デコーダ1908がMPEGトランスポートストリームの再生機能を有していない場合、前述したようにデコーダ1908を通しての再生が不可能であるので、この場合、ディジタルインターフェース部1909を介して外部機器にデータを供給し、外部機器にてデータの再生を行う。
【0147】
システム制御部1902は、ユーザから再生要求されたPGC情報内のセル情報が、システムがサポートしていないディジタル放送オブジェクト(D_VOB)であることを検出した場合、デコーダ1908に対する再生要求の代わりに、ディジタルインターフェース1909に対してデータの外部出力要求を行う。ディジタルインターフェース部1909はトラックバッファ1910に蓄積されているAVデータを接続しているディジタルインターフェースの通信プロトコルに従いデータの転送を行う。なお、上述した処理以外は動画オブジェクト(M_VOB)の再生時と同様である。
【0148】
また、デコーダ1908が再生対象のAVストリームに対応しているか否かは、システム制御部1902が自身で判断しても良いし、システム制御部1902からデコーダ1908に問い合わせるようにしても良い。
【0149】
(DVDプレーヤ)
次に、図20を用いて上記光ディスクを再生する本発明にかかるDVDプレーヤの構成について説明する。本DVDプレーヤは前述のプレーヤモデルを実現するものである。
【0150】
図に示すように、DVDプレーヤは、ユーザへの表示およびユーザからの要求を受け付けるユーザインターフェース部2001、DVDプレーヤの構成要素全体の管理および制御を司るシステム制御部2002、テレビおよびスピーカ等からなる表示部2003、MPEGストリームをデコードするデコーダ2004、IEEE1394などに接続するディジタルインターフェース部2005、DVD−RAM100から読み出したデータを一時的に蓄積するトラックバッファ2006、DVD−RAM100からデータを読み出すドライブ2007を備える。このように構成されるDVDプレーヤは、前述したDVDレコーダと同様の再生動作を行なう。
【0151】
なお、本実施形態では、DVD−RAMを例に説明をしたが、他のメディアにおいても同様のことが言え、本発明はDVD−RAMや光ディスクにのみ制限されるものではない。
【0152】
また、本実施形態では、デコーダがサポートしていないAVストリームの場合にディジタルインターフェースを介して再生を行うとしたが、デコーダがサポートしているAVストリームであっても、ユーザの要求によってディジタルインターフェースを介して外部機器に出力するようにしても良い。
【0153】
また、本実施形態では、オーディオデータおよび静止画データをMPEGストリームでない独自のデータであるとして説明したが、これらのデータがMPEGシステムストリームの構成で記録されても良い。
【0154】
【発明の効果】
本発明によれば、様々なAVフォーマットを同時に記録できるだけでなく統合的に管理することが可能となり、種々の種類のオブジェクトすなわち多様なフォーマットで記録されるオブジェクトを1つの記録媒体上で管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 DVDレコーダのドライブ装置のブロック図
【図2】 ディスク上のアドレス空間及びトラックバッファ内データ蓄積量を示す図
【図3】 ファイルシステムとファイル構造を示す図
【図4】 従来のAV機器とメディアの関係を示す図
【図5】 MPEGプログラムストリームとトランスポートストリームを示す図
【図6】 PC上でAVデータを扱った場合を示す図。
【図7】 DVDレコーダが目指すAV機器とメディアの関係を示す図。
【図8】 DVDレコーダのメニューを説明する図。
【図9】 AVファイルとディレクトリの関係(a)と、ディスク上のアドレス空間(b)とを示す図。
【図10】 オブジェクト、オブジェクト情報及びPGC情報の関係を説明した図。
【図11】 オブジェクト情報から派生した各ストリーム管理情報を示す図。
【図12】 動画オブジェクト(M_VOB)と、動画オブジェクト情報(M_VOBI)及びPGC情報の関係を示す図。
【図13】 本発明に係るタイムマップを説明する図。
【図14】 MPEGトランスポートストリームを示した図。
【図15】 オーディオオブジェクト(AOB)と、オーディオオブジェクト情報(AOBI)との関係を示す図。
【図16】 静止画オブジェクト(S_VOBS)と、静止画オブジェクト情報(S_VOBSI)と、PGC情報との関係を示す図。
【図17】 DVD−RAMにおける管理情報を説明した図。
【図18】 本発明に係るプレーヤモデルのブロック図。
【図19】 DVDレコーダのブロック図。
【図20】 本発明に係るDVDプレーヤのブロック図。
【符号の説明】
50,70 PGC情報(PGCI: Program Chain Information)
60 セル情報(CellI: Cell Information)
80 オブジェクト情報(OBJECT I: Object Information)
80c アクセスマップ
100 DVD−RAM
1701 光ピックアップ
1704,1909,2005 ディジタルインターフェース部
1705 PSデコーダ
1706 TSデコーダ
1707 オーディオデコーダ
1708 静止画デコーダ
1710 選択部
1711 制御部
1902,2002 システム制御部
1908,2004 デコーダ
1906 解析部
1911,2007 ドライブ
Claims (7)
- ビデオオブジェクトと、前記ビデオオブジェクトを管理する管理情報とを記録する情報記録媒体において、
前記ビデオオブジェクトに許されるフォーマットには、少なくともデータ転送の単位サイズが異なる2種類以上のフォーマットがあり、
前記管理情報は、記録された各ビデオオブジェクトに対応する、タイプ情報とオブジェクト情報とを含み、
前記タイプ情報は記録される各ビデオオブジェクトのフォーマット種類を示し、
前記オブジェクト情報は、ビデオオブジェクトのフォーマット種類に依存した形式で複数種類の情報を含み、前記複数種類の情報には、対応するビデオオブジェクトの再生時刻とその時刻に再生されるビデオオブジェクトの再生区間が記録された情報記録媒体上のアドレスを得るためのマップ情報が含まれる、情報記録媒体。 - 前記管理情報は、さらに、再生するビデオオブジェクトの再生区間と再生順序を示す情報を含み、
前記タイプ情報は、各再生区間毎に対応するビデオオブジェクトのフォーマット種類を示す、請求項1記載の情報記録媒体。 - 前記タイプ情報が示すフォーマット種類には、少なくとも、MPEGトランスポートストリームが含まれる、請求項1記載の情報記録媒体。
- 請求項1記載の情報記録媒体を再生する再生装置であって、
前記再生装置は、
前記情報記録媒体から前記ビデオオブジェクトと前記管理情報を読み出す読み出し手段と、
読み出したビデオオブジェクトをビデオオブジェクトのフォーマット種類にしたがいデコードする複数のデコード手段と、
前記読み出し手段と前記デコード手段とを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、読み出した管理情報に基づき、再生区間として読み出すビデオオブジェクトのアドレスと、読み出したビデオオブジェクトをデコードするデコード手段とを判定する、再生装置。 - 請求項1記載の情報記録媒体にデータを記録する記録装置であって、
前記記録装置は、
前記ビデオオブジェクトと前記管理情報とを前記情報記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、記録されるビデオオブジェクトの管理情報として、記録されるビデオオブジェクトの前記マップ情報を前記ビデオオブジェクトのフォーマットタイプに基づき生成する、記録装置。 - 請求項1記載の情報記録媒体を再生する再生方法であって、
前記再生方法は、
前記情報記録媒体から前記ビデオオブジェクトと前記管理情報を読み出す読み出しステップと、
読み出したビデオオブジェクトをビデオオブジェクトのフォーマット種類にしたがいデコードする複数のデコードステップと、
前記読み出しステップと前記デコードステップとを制御する制御ステップとを包含し、
前記制御ステップは、読み出した管理情報に基づき、再生区間として読み出すビデオオブジェクトのアドレスと、読み出したビデオオブジェクトをデコードするデコードステップとを判定する、再生方法。 - 請求項1記載の情報記録媒体にデータを記録する記録方法であって、
前記記録方法は、
前記ビデオオブジェクトと前記管理情報とを前記情報記録媒体に記録する記録ステップと、
前記記録ステップを制御する制御ステップとを包含し、
前記制御ステップは、記録されるビデオオブジェクトの管理情報として、記録されるビデオオブジェクトの前記マップ情報を前記ビデオオブジェクトのフォーマットタイプに基づき生成する、記録方法。
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