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JP4111537B2 - マクロファージ浸潤に関連する病気あるいは容体、特に脳卒中、心筋梗塞を治療するための薬剤 - Google Patents

マクロファージ浸潤に関連する病気あるいは容体、特に脳卒中、心筋梗塞を治療するための薬剤 Download PDF

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JP4111537B2 JP50766996A JP50766996A JP4111537B2 JP 4111537 B2 JP4111537 B2 JP 4111537B2 JP 50766996 A JP50766996 A JP 50766996A JP 50766996 A JP50766996 A JP 50766996A JP 4111537 B2 JP4111537 B2 JP 4111537B2
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Description

発明の技術分野
本発明は酸素および/あるいはグルコース欠乏組織などの病気により損傷された部位への白血球の湿潤により特徴づけられる病気あるいは容体を治療するための薬剤に関する。この発明の適用の対象の1つは脳卒中である。この発明の適用の対象の他の1つは心筋梗塞である。さらに本発明の適用の対象は損傷部位への白血球の浸潤により特徴づけられる病気あるいは容体を治療するための薬剤である。
発明の背景
組織(および各細胞)が酸素および/あるいはグルコース欠乏の場合、細胞、したがってその細胞からなる組織が損なわれる。その結果、とりわけ、炎症反応がその損傷部位に生じる。この炎症反応はとりわけ、炎症細胞(マクロファージ、好中球、他の白血球)の損傷部位への移行が見られる。
例えば、脳卒中あるいは心筋梗塞、心臓発作の間、原因の如何を問わず、血管中の血液の供給が阻害され減少する。その結果、酸素およびグルコースの欠乏が生じ、少なくともその部位が損傷される。
この損傷により、とりわけ、炎症応答がその損傷部位に生じ、炎症細胞(マクロファージ、好中球、他の白血球)の損傷部位への移行が生じる。その損傷(外傷)のため、プロスタグランジン合成が増大する。
未熟児において酸素およびグルコースの欠乏が脳に生じた場合、同じシナリオ、つまり、乳児の脳の酸素欠乏により炎症応答(炎症細胞、例えばマクロファージ、好中球、他の白血球の移行)が生じる。
したがって、本発明の目的は、薬剤組成物(例えば注射可能(滅菌))、治療法、公知の薬品の新規な用途を提供するものであり、これにより組織、細胞の損傷(例えば脳卒中、心筋梗塞、その他の損傷部位へのマクロファージ、好中球、他の白血球の浸潤あるいは移行による炎症応答により特徴づけられる病気)を減少させることである。
本発明の他の目的は、薬剤組成物、治療法、公知の薬品の新規な用途を提供し、細胞の活性(マクロファージ、好中球、他の白血球)を抑え、人体の抗炎症応答を緩和(変化)させることである。
本発明の他の目的は以下の説明から当業者にとって自明であると思われる。
本発明の概要
本発明の1つの態様においては、酸素およびグルコースの欠乏により組織あるいは細胞に損傷が生じた場合、ヒアルロン酸あるいはその薬理学的に許容し得る塩(例えばヒアルロン酸ナトリウム)をその損傷部位にその時点(例えば、脳卒中、心筋梗塞、その他の損傷部位へのマクロファージ、好中球、他の白血球の浸潤による炎症応答により特徴づけられる病気の発生時点あるいはその直後)で投与することにより炎症細胞(例えば、マクロファージ、好中球、他の白血球)の活性を調整または転形する(例えば、それらの損傷部位への移行を減少させる)ことを特徴とする。この本発明の機構については確定したものでないが、ヒアルロン酸あるいはその塩(例えばヒアルロン酸ナトリウム)が結合を介して炎症細胞(例えば、マクロファージ、好中球、他の白血球)のヒアルロン酸(HA)レセプターをブロック(阻止)し、これら炎症細胞の損傷組織への移行をブロックするものと推察する。
この場合のヒアルロン酸の好ましい形態は分子量が750,000ダルトン未満{例えば50,000ダルトン未満、約100,000ないし300,000ダルトンの間のものである。
この炎症応答(損傷部位へのマクロファージ、好中球、他の白血球の移行、浸潤による炎症応答)を補助させるため、NSAID(非ステロイド系坑炎剤)を、HAレセプターをブロックするヒアルロン酸系物質とともに与えてもよい。これによりプロスタグランジン合成の抑制が達成される。
ヒアルロン酸あるいはその塩(好ましくは分子量が750,000ダルトン未満ヒアルロン酸ナトリウム)は、投与の形態にもよるが、1〜10mg/kg体重ないし15〜20mg/kg体重、あるいはそれ以上、例えば25mg/kg体重、さらに3000mg/70kg体重以上用いることもできる。成人(大人のラットを含め)の場合、ヒアルロン酸を過剰に投与することができるが、ラット新生児の場合は過剰の投与は損傷を生じさせる。
したがって、本発明の他の態様によれば、NSAID例えばインドメタシン(n−メチルグルタミンに溶解して)あるいは他のNSAID(例えばインドメタシンおよびNMG)を200mg/70kg体重以上のヒアルロン酸系物質、例えばヒアルロン酸ナトリウムとともに1〜2mg/kg体重の割合で用いる場合も、胃腸障害、神経異常、鬱などの主な副作用を生じさせるおそれもなく、インドメタシンの量を必要に応じてこれより多くした場合でも、そのような副作用は生じない。もし、ヒアルロン酸の量をこの下限値より少なくした場合は、NSAIDに伴う通常の副作用が再発する。同じことが他の治療薬についても言え、ヒアルロン酸系物質(例えばヒアルロン酸ナトリウム)を200mg/70kg体重以上投与した場合は、主な副作用は生じない。
好ましくは(実際のテストに基づいて)、ヒアルロン酸系物質(例えばヒアルロン酸ナトリウム)の好ましい投与量は約10〜25mg/kg体重であり、例えば背中に皮下投与した場合は1800mg/70kg体重程度である。静脈投与の場合はヒアルロン酸系物質の量をより少なくすることができる。その好ましい投与量は約10〜20mg/kg体重である。
ラット新生児の最近のテストでは、適当な1回投薬量としてヒアルロン酸系物質(例えばヒアルロン酸ナトリウム)の血液中の濃度は成人の場合、約3mg/mlとなることが見出された。投与量としては、約10〜25mg/kg体重(成人)の範囲である。より最近のラット新生児のテストでは、ヒアルロン酸の濃度は(ラット新生児に対し皮下投与後12時間)、血液中濃度は10mg/kgとなることが見出された。これらの量は状況に応じて調整することができる。
この投与は病気あるいは容体(例えば、脳卒中、心筋梗塞)の発生時、あるいは直後(24時間以内)になされるべきであり、投与は必要がなくなるまで続けられる。好ましくは、血液中の一定のレベルが持続されるべきである。例えば、最初の静脈注射で血液中で15mg/kg体重のレベルが達成されたなら、そのレベルが皮下投与(例えば皮下注射)により維持されるべきである。
NSAIDの有効量を同時に与えてもよい(例えばインドメタシンの場合、これを1〜2mg/kg体重の割合で)。
心筋梗塞、脳卒中のための治療薬、例えば凝血溶解剤も投与してもよい。この凝血溶解剤はTPA、ストレプトキナーゼ(たんぱく質分解物)、ウロキナーゼなどである。他の薬剤としては、NSAID、アセチルサリチル酸(アスピリン)、ベータ・ブロッカー、ヘパリン、プラスミノーゲン・アクチべーターなどである。
NSAID以外にも、ヒアルロン酸(例えば、分子量が750,000ダルトン未満、例えば300,000ダルトンのヒアルロン酸ナトリウム)とともに他の薬剤(脳卒中の場合)を投与してもよい。それらの薬剤は通常通りの量で用いられ、上記のものの他、抗血小板剤(凝血を防止し、血栓(凝固)を防止する)を用いてもよい。
ヒアルロン酸あるいはその塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム)、あるいはヒアルロン酸の同族体、類似化合物、誘導体、錯体、エステル、分画(フラグメント)および/またはサブユニットは、ステリベット(Aterivet)・ラバラトリーから入手することができる。その1つの分画はヒアルロン酸ナトリウム20mg/ml(300mg/瓶−ロット2F3)の15ml瓶である。このヒアルロン酸ナトリウム分画は平均分子量約225,000ダルトンの2%溶液である。この分画は、米国注射規格に従って3回蒸留され、滅菌された十分量の水を含んでいる。このヒアルロン酸あるいはヒアルロン酸ナトリウムの小瓶は第1種ホウケイ酸ガラスのもので内容物と反応しないブチル栓で密閉されている。
ヒアルロン酸および/またはその塩(ナトリウム塩)は以下の特徴を有する。
自然物から得られる精製され、実質的に発熱物質を含まないヒアルロン酸の分画は以下から選ばれる少なくとも1つの特徴を有する。
i)分子量が150,000〜225,000の範囲内である。
ii)全重量に基づいて硫酸塩化ムコ多糖類を約1.25%未満含む。
iii)全重量に基づいて0.6%未満のタンパク質を含む。
iv)全重量に基づいて150ppm未満の鉄を含む。
V)全重量に基づいて15ppm未満の鉛を含む。
Vi)0.0025%未満のグルコサミンを含む。
Vii)0.025%未満のグルクロン酸を含む。
Viii)0.025%未満のN−アセチルグルコサミンを含む。
iX)0.0025%未満のアミノ酸を含む。
X)UV吸収係数が257nmで約0.275未満である。
Xi)UV吸収係数が280nmで約0.25未満である。
Xii)pHが7.3〜7.9の範囲である。
好ましくは、ヒアルロン酸は水と混合され、ヒアルロン酸の分画が150,000〜225,000の範囲の平均分子量を有するものである。より好ましくは、ヒアルロン酸の分画は下記の特徴の少なくとも1つ有するものである(より好ましくはこれら全ての特徴を有していることである)。
i)全重量に基づいて硫酸塩化ムコ多糖類を約1%未満含む。
ii)全重量に基づいて0.4%未満のタンパクを含む。
iii)全重量に基づいて100ppm未満の鉄を含む。
iv)全重量に基づいて10ppm未満の鉛を含む。
V)0.00166%未満のグルコサミンを含む。
Vi)0.0166%未満のグルクロン酸を含む。
Vii)0.0166%未満のN−アセチルグルコサミンを含む。
Viii)0.00166%未満のアミノ酸を含む。
iX)UV吸収係数が257nmで約0.23未満である。
X)UV吸収係数が280nmで約0.19未満である。
Xi)pHが7.5〜7.7の範囲である。
ヒアルロン酸および/またはその塩(ナトリウム塩)、およびその同族体、類似化合物、誘導体、錯体、エステル、分画(フラグメント)および/またはサブユニットを上記の他のメーカーからのものを選ぶこともできる。
本発明者はその他、LifeCore Biomedical社から製造、販売されていて、以下の特性を有するヒアルロン酸ナトリウムを使用することを提案する。
Figure 0004111537
投与は皮下、静脈、注射などにより行うことができる。
発明の詳細な説明
本発明を以下の実施例を参照して説明する。
実施例1
手術30分前に7日齢のフィッシャ・ラット新生児に対し、分子量が300,000ダルトンのヒアルロン酸ナトリウムを0.6mg/60μl/動物で、皮下注射した。手術後、この動物を毎日1回7日間注射し、手術後、14日目に安楽死させた。右頸動脈を1時間、結紮した(脳卒中を生じさせるため)。動物を8%酸素の保育器に収容した。左側は縛らずにおき、対照とした。脳損傷は対照の動物において4日目、7日目までに発生したことが、ニスル染色(神経について)、グリオシス、GFAP、コネキシン43およびマクロファージ(ED−1、エピトープ)についての増大した染色から判明した。同様に、ヒアルロン酸レセプターの増大した染色が認められ、CD44もマクロファージおよびアストロサイトの増大が認められ、RHAMMはニューロン細胞、マクロファージのサブセットが増大した。組織的にも同様の損傷が認められ、ニューロンの明らかな損失が見られ、脳の右半分は崩壊した。7日間HAで治療した動物は14日目に安楽死させたが(対照動物と同様に)、上記のパラメータについてはいずれも陰性であった。すなわち、脳の崩壊、ニューロンの損失、マクロファージの増大、グリオチン蛋白あるいはヒアルロン酸レセプターの発現の増大は認められなかった。ヒアルロン酸で治療した動物の脳は形態学的に正常であった。但し、ニューロン活性についての機能テストは行わなかった。明瞭な形態学的変化がなかったことから、顕著な機能損傷は予想されなかった。
分子量が300,000ダルトンのヒアルロン酸ナトリウムを23gの動物に皮下注射したことは、70kgのヒトにとって1.8gの皮下注射に相当する。なお、静脈注射の場合は、その量は少なくて済む。
ヒトにはkg当り約85ccの血液がある。従って、平均の成人では血液が約6,000cc(70kgの体重のヒト)となる。従って、ヒアルロン酸ナトリウムの濃度は血液1cc当り0.3gのオーダーとなる。この濃度を達成するにはヒトの場合、25mg/kgのオーダーの投与量となる。
実施例2
右頸動脈を3時間、結紮した(実施例1と比較して2時間長い)以外は実施例1と同様にして実験を行い、より大きい壊疽を生じさせた。この実施例2においては、各動物新生児に実際の体重に関係なく、同量(0.6mg)のヒアルロン酸ナトリウム(HA)を与えた。ヒアルロン酸ナトリウムの皮下注射は手術の際に行った。
皮下注射後、12時間目のHAの血液中の濃度は15〜20mg/kgであった。この濃度レベルを連続的に測定した結果、15mg/kgの濃度が24時間保たれた。
手術後、HAの注射を同じ量で24時間おきに7日間継続した。その7日間において、15mg/kgの濃度が低下することはなかった。
この動物の脳を対照動物を含めて2週間目に検査した。
HAの注射を行った3匹の動物は実施例1でHAの注射を行った動物の脳と同様の状態を示した。1匹の対照動物は著しい脳の損傷が認められた。これらのテストの結果から、1mg/kg(動物体重)の濃度でもマクロファージ、好中球、他の白血球の病気部位への浸潤をブロックでき、治療効果があると結論づけた。なお、HAの投与量は10mg/kg(動物体重)以上、例えば10〜20mg/kg(動物体重)が好ましい。
実施例3
ヒトおよび大人のラットはヒアルロン酸(HA)の過剰な投与に耐えられるが、ラット新生児はそれほど抵抗力はない。従って、実施例3では、より小さいラット新生児にHAを25mg/kg(動物体重)で投与した。その結果、脳の損傷が認められた。
実施例4
4匹のラットをイソプテラノールに曝し、心筋梗塞(心臓発作)を誘発させた。このイソプテラノールに曝し心筋梗塞を誘発させる方法は当業者に周知の手段であるので、詳細は説明しない。このラットの内の2匹については心筋梗塞の直後に分子量が300,000ダルトンのヒアルロン酸ナトリウムを15mg/kg(動物体重)注射した。この皮下注射は7日間(毎日、1回)継続して行われた。最初の皮下注射後、各ラットの12時間目のHAの血液中濃度は10mg/kgであった。
他の2匹については心筋梗塞の直後に生理食塩水を注射した(対照)。この皮下注射は7日間(毎日、1回)継続して行われた。ついで、ラットを死亡させた。食塩水を注射したラットは心臓組織が多量に蓄積された白血球で壊疽の状態にあった。これに対し、HA−治療を行ったラットについては、心臓組織に損傷は認められず、白血球の蓄積はなかった(凍結片のE0−1染色により判定)。
これらのテストの結果から、ヒトにおいて、10〜20mg/kg(体重)の投与が適当であると結論した。これより少ない量でも治療効果はあるが、最良の結果が得られない。すなわち、最良の効果が脳卒中、心筋梗塞の治療に望ましいからである。
好ましくは、最初に適当なHAを静脈注射して血液中のHAレベルを確立する。その後、皮下投与(皮下注射)でそのレベルを保つようにする。
なお、上記実施例は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲で種々の変更が可能なことは勿論である。

Claims (4)

  1. 損傷部位へのマクロファージ、好中球、他の白血球の浸潤により特徴づけられる脳卒中からもたらされる組織および細胞に対する損傷を治療するための薬剤であって、該薬剤がヒアルロン酸又はその薬理学的に許容し得る塩の有効量を含むと共に、静脈注射又は皮下注射に適した形態のものであることを特徴とする薬剤。
  2. 前記薬剤がNSAID、抗脳卒中剤、凝固溶解剤、ベータ・ブロッカー、アセチルサリチル酸、ストレプトキナーゼ、抗血小板薬、ヘパリン、プラスミノーゲン・アクチベーター、又はこれらの組合せから選ばれるものを更に含む請求項1記載の薬剤。
  3. 前記ヒアルロン酸又はその薬理学的に許容し得る塩が、750,000ダルトン未満の分子量を有するヒアルロン酸ナトリウムである請求項1又は2記載の薬剤。
  4. 前記ヒアルロン酸又はその薬理学的に許容し得る塩が、300,000ダルトン未満の分子量を有するヒアルロン酸ナトリウムである請求項1又は2記載の薬剤。
JP50766996A 1994-08-24 1995-08-02 マクロファージ浸潤に関連する病気あるいは容体、特に脳卒中、心筋梗塞を治療するための薬剤 Expired - Lifetime JP4111537B2 (ja)

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