JP4109500B2 - 熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂溶液、および熱硬化性樹脂シート - Google Patents
熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂溶液、および熱硬化性樹脂シート Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミド樹脂、熱硬化性樹脂および無機酸化物を必須成分とし、誘電特性、耐熱性に優れる熱硬化性樹脂組成物、ならびに、樹脂シートに関する。とくに、積層回路基板、コンデンサ、携帯電話、ITS、GPS,アンテナ、無線LAN、高周波基板、高速コネクタなどに良好に使用することができる高誘電率、低誘電正接、耐熱性という特徴を有する熱硬化性樹脂組成物、および、樹脂シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高機能化、高性能化、小型化が進んでおり、それらに伴って、用いられる電子部品に対する小型化、軽量化が求められてきている。そのため、半導体素子パッケージ方法やそれらを実装する配線材料または配線部品も、より高密度、高機能、かつ、高性能なものが求められるようになってきた。とくに、半導体パッケージ、COL(チップ・オン・リード)パッケージおよびLOC(リード・オン・チップ)パッケージ、MCM(Multi Chip Module)などの高密度実装材料や多層FPCなどのプリント配線板材料、さらには、航空宇宙材料、自動車部品固定材料として好適に用いることのできる良好な接着性を示す材料が求められている。とくに、このような目的には、回路形成後の安定性という観点から熱硬化性の接着剤が求められている。
【0003】
一方、情報通信機器の情報処理能力を向上させるために、大量の情報処理を可能とする信号の高周波化が進んできている。配線の電気的信頼性を保ち、回路の信号伝達速度の低下や信号の損失を抑えるため、回路基板を形成する材料(樹脂材料)として、GHz帯域において低比誘電率でかつ低誘電正接の誘電特性を示す材料が必要となってきている。一方で、回路基板の比誘電率は情報信号のインピーダンス整合や情報遅延などと大きく関係し、部品の小型化には比誘電率の大きな材料が求められている。すなわち、高周波領域においては誘電正接の小さい材料が求められるが、比誘電率に関しては、それが使用される場所や目的に応じて比誘電率の大きな材料や逆に比誘電率の小さな材料が求められる。
【0004】
一般に、高誘電率、低誘電正接の特徴をもつ樹脂は、液晶高分子(LCP)やポリスチレン(PSt)、ポリパラフェニレンスルフィド(PPS)などの熱可塑性樹脂に、高誘電率、低誘電正接の特徴をもつ無機フィラーを添加して製造される。しかし、これらは基本的に接着性をもたないうえに、加工性を重視して融解温度の低い熱可塑性樹脂を使用した場合には耐熱性に問題があり、耐熱性を重視して融解温度の高い熱可塑性樹脂を使用した場合には加工性に問題があった。そのため、これらの方法で作製された高誘電率、低誘電正接の特徴をもつ樹脂は、回路形成用としては全く不充分なものであった。そのため、高誘電率、低誘電正接、高耐熱性、高接着性という特徴を有する熱硬化性樹脂、あるいは樹脂シートが強く望まれていた。
【0005】
従来、接着材料としては、良好な加工性や接着性を示すエポキシ系接着材料や熱可塑性ポリイミド系接着材料が用いられている。エポキシ系接着材料は、加工性、接着性に優れるが、誘電特性に問題があった。すなわち、エポキシ系接着材料は、被着体同士を低い温度、低い圧力で貼りあわせ加工でき、また被着体との接着性にも優れるが、硬化後の樹脂において、GHz帯域の誘電率が4以上、誘電正接が0.02以上であり、GHz帯域における信号の伝達速度の低下や損失が大きいことが問題であった。
【0006】
一方、熱可塑性ポリイミド系接着材料は、誘電特性や耐熱性に優れるが、加工性に問題があった。すなわち、熱可塑性ポリイミド系接着剤は、熱膨張が小さい、熱分解温度が高いなど、耐熱性に優れ、また、GHz領域における誘電率は、3.5以下、誘電正接は0.02未満と誘電特性には優れるものの、被着体同士を接着させるためには、高温、高圧の条件下で貼り合わせ加工を行なわなければならないことが問題であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、加工性に優れ、さらに、高誘電率特性、低誘電正接、耐熱性、接着性を有する熱硬化性樹脂組成物、および、樹脂シートを提供することを目的とする。これらは、積層回路基板、コンデンサ、携帯電話、ITS、GPS、アンテナ、無線LAN、高周波基板、高速コネクタなどに良好に使用できる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の問題点を鋭意検討した結果、特定の構造を有するテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるポリイミド樹脂に、熱硬化性樹脂、および、1GHzにおける比誘電率が5以上で1GHzにおける誘電正接が0.02以下である無機酸化物を添加することにより、樹脂自体の物理的な性質を損なうことなく、比誘電率が3以上で、かつ誘電正接が0.02以下の優れた電気的性質を有する熱硬化性樹脂組成物が得られることを発見し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、前期の課題を解決するために、下記の要件を満たす。
【0010】
本発明の第1の樹脂組成物は、
(A)下記一般式(1):
【0011】
【化10】
【0012】
(式中、Vは、−O−、−CO−、−O−T−O−、および−COO−T−OCO−からなる群より選択された2価の基であり、Tは2価の有機基を表す。)
で表される酸二無水物を含む酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させて得られる少なくとも1種のポリイミド樹脂、
(B)熱硬化性樹脂、および、
(C)1GHzにおける比誘電率が5以上であり、かつ1GHzにおける誘電正接が0.02以下である無機酸化物
を含有する熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0013】
本発明の第2の樹脂組成物は、第1の樹脂組成物であって、硬化後の樹脂組成物の1GHzにおける比誘電率が3以上であり、かつ1GHzにおける誘電正接が0.02以下である熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0014】
本発明の第3の樹脂組成物は、第1または第2の樹脂組成物であって、前記ポリイミド樹脂(A)と熱硬化性樹脂(B)との混合比率が、重量比で20/80〜98/2である熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0015】
本発明の第4の樹脂組成物は、第1〜第3の樹脂組成物であって、前記ジアミン成分が、下記一般式(2):
【0016】
【化11】
【0017】
(式中、Yは、互いに独立しており、−C(=O)−、−SO2−、−O−、−S−、−(CH2)b−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)O−、および単結合からなる群より選択された1つを示す。aおよびbは1〜5の整数である。Rは、それぞれ独立しており、水素、炭素数1〜4のアルキル基、Cl基、Br基から選択される基を示す。)
で表されるジアミンを含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0018】
本発明の第5の樹脂組成物は、第1〜第4の樹脂組成物であって、前記ジアミン成分が、水酸基および/またはカルボキシル基を有するジアミンを含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0019】
本発明の第6の樹脂組成物は、第1〜第5の樹脂組成物であって、前記一般式(1)におけるTが、下記化学式(3):
【0020】
【化12】
【0021】
で表される基、および、下記一般式(4):
【0022】
【化13】
【0023】
(式中、Zは、−CQH2Q−、−C(=O)−、−SO2−、−O−およびS−からなる群より選択された2価の基であり、Qは1〜5の整数である。)
で表される基からなる群より選択された少なくとも1種である熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0024】
本発明の第7の樹脂組成物は、第1〜第6の樹脂組成物であって、前記熱硬化性樹脂(B)が、グリシジル基または脂環式エポキシ基を有するエポキシ樹脂からなる熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0025】
本発明の第8の樹脂組成物は、第1〜第7の樹脂組成物であって、前記熱硬化性樹脂(B)が、下記一般式(5):
【0026】
【化14】
【0027】
(式中、nは0以上の整数である。)
下記一般式(6):
【0028】
【化15】
【0029】
(式中、mは0以上の整数である。)
および、下記一般式(7):
【0030】
【化16】
【0031】
(式中、kは0以上の整数である。R4、R5、R6は、それぞれ独立に独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
で表される脂環式エポキシ化合物からなる群より選択された少なくとも1種からなる熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0032】
本発明の第9の樹脂組成物は、第1〜第8の樹脂組成物であって、前記熱硬化性樹脂(B)が、下記一般式(8):
【0033】
【化17】
【0034】
(R1は、−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)、−SO2−および−S−からなる群より選択された2価の基である。R2およびR3は、−H、−CH3および−CF3からなる群より選択された1価の基である。o、p、qは、それぞれ互いに独立した0〜2の整数である。)
で表される少なくとも1種類のシアン酸エステル、および/または、そのオリゴマーを含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0035】
本発明の第10の樹脂組成物は、第1〜第9の樹脂組成物であって、前記熱硬化性樹脂(B)が、下記化学式(9):
【0036】
【化18】
【0037】
(rは、0〜4の整数を表す。)
で表される少なくとも1種類のシアン酸エステル、および/または、そのオリゴマーを含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0038】
本発明の第11の樹脂組成物は、第1〜第10の樹脂組成物であって、前記無機酸化物(C)が、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウム・ストロンチウム、および酸化マグネシウムボロンからなる群より選択された少なくとも1種の無機酸化物である熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0039】
本発明の第12の樹脂組成物は、第1〜11の樹脂組成物であって、前記ポリイミド樹脂(A)および熱硬化性樹脂(B)と、無機酸化物(C)との混合比率が、重量比で40/60〜95/5である熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0040】
本発明の第1の樹脂溶液は、第1〜12の熱硬化性樹脂組成物に、さらに(D)有機溶媒を含有する熱硬化性樹脂溶液に関する。
【0041】
本発明の第1の樹脂シートは、第1〜第12の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を1層以上有する樹脂シートに関する。
【0042】
本発明の第2の樹脂シートは、第1の樹脂シートであって、芳香族ポリエステルフィルム、芳香族ポリイミドフィルムおよび芳香族ポリアミドフィルムからなる群より選択された少なくとも1種のフィルム層を1層以上有する樹脂シートに関する。
【0043】
本発明の第1の金属箔積層体は、第1〜第12の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を1層以上、および、金属箔層を1層以上有する金属箔積層体に関する。
【0044】
本発明の第2の金属箔積層体は、第1の金属箔積層体であって、金属箔層が銅箔層である金属箔積層体に関する。
【0045】
本発明により、GHz帯域において高誘電率、低誘電正接の特徴を有し、加工性、耐熱性に優れる熱硬化性樹脂組成物、樹脂溶液、樹脂シートおよび金属箔積層体を提供することができる。これらは、積層回路基板、コンデンサ、携帯電話、ITS、GPS、アンテナ、無線LAN、高周波基板、高速コネクタなどに良好に使用することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ポリイミド樹脂(A)、熱硬化性樹脂(B)、無機酸化物フィラー(C)の3つの要素成分で構成される。以下、各成分について具体的に説明する。
【0047】
本発明における第1の要素成分(A)であるポリイミド樹脂は、可溶性のポリイミド樹脂であることが好ましい。可溶性ポリイミド樹脂の「可溶性」とは、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどから選択される少なくとも1種の溶媒に、室温から100℃の温度範囲において、1重量%以上溶解することをいう。
【0048】
このような可溶性のポリイミド樹脂は、酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られ、酸二無水物成分は、下記一般式(1):
【0049】
【化19】
【0050】
(式中、Vは、−O−、−CO−、−O−T−O−および−COO−T−OCO−よりなる群から選択された2価の基であり、Tは2価の有機基を表す。)
で表される酸二無水物を含む。
【0051】
このなかでも、とくに、誘電特性に優れる点、耐熱性に優れる点などから、前記一般式(1)におけるTが、化学式(3):
【0052】
【化20】
【0053】
で表される基、および、一般式(4):
【0054】
【化21】
【0055】
(式中、Zは、−CQH2Q−、−C(=O)−、−SO2−、−O−および−S−からなる群より選択された2価の基であり、Qは1〜5の整数である。)
で表される少なくとも一種の酸二無水物を用いることが好ましく、とくに、溶媒に対する溶解性や耐熱性、熱硬化性成分との相溶性などの諸特性のバランスが良い点、入手しやすい点などから、一般式(10)で表される4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物を用いることが、好ましい。
【0056】
【化22】
【0057】
ここで、前記一般式(4)において、Qは1〜5の整数である。Qが5をこえる整数では、耐熱性が低下する傾向がある。
【0058】
前記酸二無水物は、全酸二無水物成分の50モル%以上用いることが好ましい。
【0059】
一般式(1)で表される酸二無水物以外の酸二無水物としては、たとえば、以下のものが例示される。ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4、4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンジフタル酸無水物などがあげられるが、これに限定されない。
【0060】
また、本発明に用いられるポリイミド樹脂は、ジアミン成分として下記一般式(2):
【0061】
【化23】
【0062】
(式中、Yは、互いに独立しており、−C(=O)−、−SO2−、−O−、−S−、−(CH2)b−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)O−、および単結合からなる群より選ばれた1つを示す。aおよびbは1〜5の整数である。Rは、それぞれ独立しており、水素、炭素数1〜4のアルキル基、Cl基、Br基から選択される基を示す。)
で表される少なくとも1種類のジアミンを用いて得られるポリイミド樹脂であることが好ましい。前記ジアミン化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、前記一般式(2)において、aおよびbは1〜5の整数である。aが0では溶解性が低下する傾向があり、5をこえる整数では耐熱性が低下する傾向がある。bが5をこえる整数では耐熱性が低下する傾向がある。また、式(2)において、複数個のYは各繰り返し単位間で同一であっても異なっていてもよく、各ベンゼン環には、メチル基やエチル基などの炭化水素基やBrやClなどのハロゲン基が導入されていてもよい。
【0063】
一般式(2)で表されるジアミンとしては、たとえば、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼンなどがあげられる。
【0064】
さらに、前記一般式(2)で表されるジアミンのなかでも、メタ位にアミノ基を有するジアミンは、パラ位にアミノ基を有するジアミン化合物よりもさらに溶解性に優れた熱可塑性ポリイミド樹脂を与えるので好ましい。
【0065】
このようなジアミンとしては、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテルなどがあげられる。
【0066】
前記ジアミンのうち、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンを用いることは、各種の有機溶媒に対する溶解性、はんだ耐熱性、PCT耐性に優れた樹脂組成物を与えるために、とくに好ましい。
【0067】
また、ジアミン成分は、水酸基および/またはカルボキシル基を有するジアミンを用いて得られるポリイミド樹脂であることも好ましい。水酸基および/またはカルボキシル基を有するジアミンを用いたポリイミド樹脂には、水酸基および/またはカルボキシル基が導入されているので、後述の熱硬化成分であるシアン酸エステル類の硬化触媒となり得る。したがって、低温あるいは短時間で硬化させることが可能である。また、シアン酸エステル類は、水酸基および/またはカルボキシル基と反応し得るため、ポリイミド樹脂がシアン酸エステルを介して架橋することが可能であり、さらに耐熱性、はんだ耐熱性およびPCT耐性に優れた樹脂組成物を与えることが可能である。
【0068】
水酸基および/またはカルボキシル基を有するジアミンとしては、水酸基および/またはカルボキシル基を有していれば、とくに限定されることはない.たとえば、2,4−ジアミノフェノールなどのジアミノフェノール類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシビフェニルなどのヒドロキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルメタンなどのヒドロキシジフェニルメタンなどのヒドロキシジフェニルアルカン類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5‘−テトラヒドロキシジフェニルエーテルなどのヒドロキシジフェニルエーテル化合物、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルホンなどのジフェニルスルホン化合物、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパンなどのビス[(ヒドロキシフェニル)フェニル]アルカン化合物類、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニルなどのビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル化合物類、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホンなどのビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホン化合物、3,5−ジアミノ安息香酸などのジアミノ安息香酸類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニルなどのカルボキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルメタンなどのカルボキシジフェニルメタンなどのカルボキシジフェニルアルカン類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルエーテルなどのカルボキシジフェニルエーテル化合物、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルスルホンなどのジフェニルスルホン化合物、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンなどのビス[(カルボキシフェニル)フェニル]アルカン化合物類、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニルなどのビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル化合物類、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホンなどのビス[(カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン化合物などをあげることができる。
【0069】
前記水酸基および/またはカルボキシル基を有するジアミンのなかでも、化学式:
【0070】
【化24】
【0071】
で表される3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを用いることは、とくに好ましい。
【0072】
本発明のポリイミド樹脂は、一般式(2)で表されるジアミンと水酸基を有するジアミンを併用することが好ましく、とくに水酸基を有するジアミンとして3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを併用することが、はんだ耐熱性およびプレッシャークッカーによる耐湿テスト(PCT)耐性の点から好ましい。式(2)で表されるジアミンを60〜99モル%と、水酸基を有するジアミン、とくに3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを40〜1モル%含むことが好ましい。3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルが40モル%をこえると、得られるポリイミド樹脂の溶解性が低下する。
【0073】
その他の使用可能なジアミン成分としては、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシドなどがあげられるが、これに限定されない。
【0074】
前記ポリイミド樹脂は、対応する前駆体のポリアミド酸重合体を脱水閉環して得られる。ポリアミド酸重合体は、酸二無水物成分とジアミン成分とを実質的に等モル反応させて得られる。
【0075】
反応の代表的な手順として、1種以上のジアミン成分を有機極性溶剤に溶解または拡散させ、そののち1種以上の酸二無水物成分を添加し、ポリアミド酸溶液を得る方法があげられる。各モノマーの添加順序は、とくに限定されず、酸二無水物成分を有機極性溶媒に先に加えておき、ジアミン成分を添加し、ポリアミド酸重合体の溶液としてもよく、ジアミン成分を有機極性溶媒中に先に適量加えて、つぎに過剰の酸二無水物成分を加え、過剰量に相当するジアミン成分を加えて、ポリアミド酸重合体の溶液としてもよい。このほかにも、当業者に公知の様々な添加方法がある。なお、ここでいう「溶解」とは、溶媒が溶質を完全に溶解する場合のほかに、溶質が溶媒中に均一に分散または拡散されて実質的に溶解しているのと同様の状態になる場合を含む。
【0076】
ポリアミド酸の重合反応に用いられる有機極性溶媒としては、たとえば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができる。さらに、必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
【0077】
前記の方法により得られたポリアミド酸溶液を、熱的または化学的方法により脱水閉環し、ポリイミドを得るが、ポリアミド酸溶液を熱処理して脱水する熱的方法、脱水剤を用いて脱水する化学的方法のいずれも用いられる。また、減圧下で加熱してイミド化する方法も用いることができる。以下に、各方法について説明する。
【0078】
熱的に脱水閉環する方法として、前記ポリアミド酸溶液を加熱処理によりイミド化反応を進行させると同時に、溶媒を蒸発させる方法を例示することができる。この方法により、固形のポリイミド樹脂を得ることができる。加熱の条件は特に限定されないが、300℃以下の温度で約5〜200分間の時間の範囲で行なうことが好ましい。
【0079】
また、化学的に脱水閉環する方法として、前記ポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒を加えることで脱水反応させ、有機溶媒を蒸発させる方法を例示することができる。これにより、固形のポリイミド樹脂を得ることができる。化学的方法において使用する脱水剤としては、たとえば、無水酢酸などの脂肪族酸無水物、無水安息香酸などの芳香族酸無水物などがあげられる。また、触媒としては、たとえば、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソキノリンなどの複素環式第3級アミン類などがあげられる。化学的に脱水閉環する際の条件は、100℃以下の温度が好ましく、有機溶媒の蒸発は、200℃以下の温度で約5〜120分間の時間の範囲で行なうことが好ましい。
【0080】
また、ポリイミド樹脂を得るための別の方法として、前記の熱的または化学的に脱水閉環する方法において、溶媒の蒸発を行なわない方法もある。具体的には、熱的イミド化処理または脱水剤による化学的イミド化処理を行なって得られるポリイミド樹脂溶液を、貧溶媒中に投入して、ポリイミド樹脂を析出させ、未反応モノマーを取り除いて精製、乾燥させ、固形のポリイミド樹脂を得る方法である。貧溶媒としては、溶媒とは良好に混合するがポリイミドは溶解しにくい性質のものを選択する。例示すると、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、メチルセロソルブ、メチルエチルケトンなどがあげられるが、これらに限定されない。
【0081】
つぎに、減圧下で加熱してイミド化する方法であるが、このイミド化の方法によれば、イミド化によって生成する水を積極的に系外に除去できるので、ポリアミド酸の加水分解を抑えることが可能で、高分子量のポリイミドが得られる。また、この方法によれば、原料の酸二無水物中に不純物として存在する片側または両側開環物が再閉環するので、より一層の分子量の向上効果が期待できる。
【0082】
減圧下で加熱イミド化する方法の加熱条件は、80〜400℃が好ましいが、イミド化が効率よく行なわれ、しかも水が効率よく除かれる100℃以上がより好ましく、さらに好ましくは120℃以上である。最高温度は目的とするポリイミドの熱分解温度以下が好ましく、通常のイミド化の完結温度、すなわち250〜350℃程度が通常適用される。
【0083】
減圧する圧力の条件は、小さいほうが好ましいが、具体的には0.9〜0.001気圧、好ましくは0.8〜0.001気圧、より好ましくは0.7〜0.01気圧である。
【0084】
このようにして得られたポリイミド樹脂は、ガラス転移温度を比較的低温に有するが、とくに加工特性の良好な樹脂組成物を得るためには、ポリイミド樹脂のガラス転移温度は350℃以下が好ましく、より好ましくは320℃以下、とくに好ましくは280℃以下である。
【0085】
つぎに、本発明の第2の要素成分(B)である熱硬化性樹脂について述べる。熱硬化性樹脂(B)としては、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアナート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、トリアジン樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などをあげることができ、これらを単独または適宜組み合わせて用いることができる。また、前記熱硬化性樹脂以外に、高分子鎖の側鎖または末端にエポキシ基、アリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基などの反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子を、熱硬化性樹脂(B)として使用することも可能である。
【0086】
前記熱硬化性樹脂のなかでも、高接着性、低温加工性に優れ、耐熱性およびはんだ耐熱性を向上させることができるという点から、エポキシ樹脂、あるいはシアナート樹脂を用いることは、とくに好ましい。
【0087】
以下に、エポキシ樹脂について説明する。本発明では、任意のエポキシ樹脂が使用可能である。たとえば、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノール系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック系、ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック系エポキシ樹脂、ポリフェノール系エポキシ樹脂、ポリグリコール系エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリシロキサンなどを用いることができる。
【0088】
とくに、入手性、耐熱性、相溶性、絶縁性に優れる点から、下記一般式(5)、(6)、(7)から選択される少なくとも1種であることが好ましく、式(7)で表されるエポキシ樹脂が、とくに好ましい。
【0089】
【化25】
【0090】
【化26】
【0091】
【化27】
【0092】
(式中、n、m、kは、それぞれ互いに独立した0以上の整数である。R1は、−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)、−SO2−および−S−からなる群より選択された2価の基である。R2およびR3は、−H、−CH3および−CF3からなる群より選択された1価の基である。R4、R5、R6は、それぞれ互いに独立した水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0093】
ここで、式(7)において、n、m、kは、それぞれ互いに独立した0以上の整数、好ましくは0〜5の自然数である。R4、R5、R6は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。R4、R5、R6が、炭素数4をこえるアルキル基では、熱的特性が低下する傾向がある。
【0094】
熱硬化性樹脂(B)が前記エポキシ樹脂である場合の混合割合は、ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂との重量比で、20/80〜98/2が好ましく、50/50〜98/2がより好ましく、70/30〜90/10がとくに好ましい。少なすぎると接着強度が低くなるおそれがあり、多すぎると柔軟性または耐熱性が低下するおそれがある。
【0095】
好ましい実施態様として、本発明の樹脂組成物には、少なくとも1種の溶媒が含まれる。溶媒は、ポリイミド樹脂およびエポキシ樹脂を溶解するものであればとくに限定されないが、経済性および作業性の点を考えて沸点が160℃以下である溶媒が好ましい。さらには130℃以下の沸点を有する溶媒が好ましく、105℃以下の沸点を有する溶媒がとくに好ましい。このような低沸点溶媒としては、好適には、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す。沸点66℃)、1,4−ジオキサン(以下、ジオキサンと略す。沸点103℃)、モノグライム(沸点84℃)、ジオキソラン(沸点76℃)を使用することができる。これらは、1種のみで使用してもよく、2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0096】
本発明においては、ポリイミド樹脂(A)を構成成分として用いることにより、低吸水性および低温接着を可能とする優れた特性を得ることができる。また、(A)成分として3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを用いて得られるポリイミド樹脂を用い、(B)成分としてエポキシ樹脂を用いた場合には、(A)成分中に存在する水酸基とエポキシ樹脂とが反応することにより、架橋が進行し、エレクトロニクス用材料の信頼性試験であるPCT処理後の引き剥し強度保持率の高い優れたPCT耐性を有する樹脂組成物とすることができる。
【0097】
さらに、前記樹脂組成物には、はんだ耐熱性、耐熱性、接着性等必要に応じて、酸二無水物などの酸無水物系、アミン系、イミダゾール系などの一般に用いられるエポキシ硬化剤、促進剤や種々のカップリング剤を併用し得る。
【0098】
本発明における(B)成分である熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂の代わりに、シアン酸エステルおよび/またはそのオリゴマーを用いることは好ましい。
【0099】
本発明で用いるシアン酸エステルは、とくに限定されるものではないが、耐熱性に優れる点で、下記一般式(8):
【0100】
【化28】
【0101】
(R1は、−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)、−SO2−および−S−からなる群より選択された2価の基である。R2およびR3は、−H、−CH3および−CF3からなる群より選択された1価の基である。o、p、qは、それぞれ互いに独立した0〜2の整数である。)
で表される少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。ここで、一般式(8)において、o、pおよびqは、0〜2の整数である。oが2をこえる整数では、溶媒溶解性や他の樹脂との相溶性が低下する傾向がある。pおよびqが2をこえる整数では耐熱性が低下する傾向がある。
【0102】
一般式(8)で表されるシアン酸エステルのなかでも、ポリイミド樹脂と相溶性しやすい点や、入手しやすい点などから、化学式(9):
【0103】
【化29】
【0104】
で表される化合物群から選択されを用いることが好ましく、化学式:
【0105】
【化30】
【0106】
で表されるシアン酸エステルを用いることがとくに好ましい。ここで、化学式(9)において、rは0〜4の整数を表す。rが4をこえる整数では、溶媒溶解性や他の樹脂との相溶性が低下する傾向がある。
【0107】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いられるシアン酸エステルは、前記一般式(8)で表される単量体として用いることも可能であるが、単量体のシアナート基の一部を加熱などにより反応させたオリゴマーとして使用することが可能であり、またオリゴマーと単量体を併用することも可能である。シアン酸エステルのオリゴマーとしては、ロンザ社製の商品名BA200、旭チバ社製の商品名Arocy B−30、B−50、M−30、M−50などがあげられる。
【0108】
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物におけるポリイミド樹脂とシアン酸エステルの混合割合は、誘電特性を損なわない範囲であればとくに限定されないが、銅箔などの導体との接着性、高温時における樹脂の弾性率や線膨張係数などの耐熱性等諸特性の特性バランスから、ポリイミド樹脂とシアン酸エステルとの重量比で、20/80〜90/10が好ましく、50/50〜80/20がとくに好ましい。前記混合比率の範囲を逸脱すると、各種回路基板用材料として重要な特性である誘電特性、導体との接着性、耐熱性や導体、あるいは、回路基板との貼りあわせ加工性を損なうことになる。すなわち、ポリイミド樹脂を多く混合すると、加熱時の樹脂の流動性が低下し、加熱による貼りあわせ加工性に劣ることになる。逆に、シアン酸エステルを多く混合すると、接着性や誘電特性を損なうこととなる。
【0109】
なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、シアン酸エステルの硬化触媒を用いることができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化後に優れた誘電特性を発現し得る程度までシアン酸エステルを反応させ得ることが必要であるが、シアン酸エステルの反応に200℃以上の高温かつ2時間以上の時間を要する場合があるため、シアン酸エステルの反応を促進させるために、触媒を用いることが好ましい。
【0110】
前記硬化触媒としては、シアン酸エステルの反応を促進し得る化合物であれば、限定されるものでない。具体例としては、亜鉛(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、ナフテン酸コバルト 銅(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸銅等の金属系触媒、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、p−t−オクチルフェノール、クミルフェノール、フェノール樹脂などの水酸基を有する有機化合物などをあげることができ、これらは、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。前記硬化触媒のうち、より硬化を促進することができる点で、金属系の触媒を用いることが好ましく、とくに亜鉛(II)アセチルアセトナート、銅(II)アセチルアセトナートが好ましい。硬化触媒の混合量は、用いる触媒の種類や反応を促進する程度によって異なる。たとえば、金属系硬化触媒であれば、シアン酸エステル100重量部に対して、0.001重量部〜0.1重量部の範囲内で用いることが好ましく、有機化合物であればシアン酸エステル100重量部に対して0.1重量部〜20重量部の範囲で用いることが好ましい。とくに、亜鉛(II)アセチルアセトナート、あるいは、銅(II)アセチルアセトナートを用いる場合は、シアン酸エステル100重量部に対して0.001〜0.05重量部の範囲内で用いることが好ましい。硬化触媒の使用量が前記範囲より少ないと、反応を促進する硬化が得られにくく、前記範囲より多いと、得られる熱硬化性樹脂組成物の保存安定性に支障が生じる可能性がある。
【0111】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、熱硬化性樹脂(B)として、シアン酸エステルおよび/またはそのオリゴマーのほかに、接着性や耐熱性、加工性などの諸特性を改善させるために、誘電特性を損なわない範囲で、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂や、高分子鎖の側鎖または末端に、エポキシ基、アリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基などの反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子を、単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。
【0112】
前記のように、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物(B)として、シアン酸エステルおよびエポキシ樹脂を混合して用いることができる。混合割合は、誘電特性を損なわない範囲で限定されないが、銅箔などの導体との接着性、高温時における樹脂の弾性率や線膨張係数などの耐熱性などの諸特性のバランスから、ポリイミド樹脂(A)、シアン酸エステルおよびエポキシ樹脂の合計量に占めるポリイミド樹脂(A)の重量比が0.5〜0.96、シアン酸エステルの重量比が0.02〜0.48、エポキシ樹脂の重量比が0.002〜0.48であることが好ましい。前記組成比率の範囲を逸脱すると、各種回路基板用材料として重要な特性である誘電特性、導体との接着性、耐熱性や導体あるいは回路基板と貼りあわせ加工性を損なうことになる。すなわち、ポリイミド樹脂成分が多すぎる場合には加熱時の樹脂の流動性が低下し、加熱による貼りあわせ加工性に劣る。さらに、熱硬化性という性質を発現するためには、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂とシアン酸エステルとの合計量が少なくとも4%以上であることが好ましい。逆に、シアン酸エステルが多過ぎる場合には、接着性や誘電特性を損なうこととなる。また、エポキシ樹脂が多すぎると誘電特性を損なうことになる。
【0113】
つぎに、本発明の第3の要素成分である無機酸化物について述べる。本発明では、樹脂組成物の比誘電率を高くし、誘電正接を低く保つために、比誘電率が5以上、誘電正接が0.02以下の無機酸化物を添加する。無機酸化物の比誘電率は、高ければ高いほど好ましく、誘電正接は、低ければ低いほど好ましい。しかしながら、一般的には、比誘電率の高い無機酸化物はその誘電正接も高くなる傾向にあるため、目的に合わせて無機酸化物を選択する必要がある。そして、一般的に、比誘電率が5未満の場合には、添加剤の添加による誘電率向上の効果が薄くなり、目的の誘電率を得るためには大量の添加が必要となるため好ましくない。また、誘電正接が0.02以上の添加剤を用いると、誘電正接を低く保つという本発明の目的を実現できなくなるため好ましくない。
【0114】
このような目的に合う酸化物として、チタン酸カルシウム(CaO・zTiO2)、チタン酸バリウム(BaO・zTiO2)、チタン酸バリウム・ストロンチウム((BaxSty)O・zTiO2)、酸化マグネシウムボロン(Mg2B2O5)などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。ここで、xは1〜0であり、yは1〜0であり、x+y=1を満足する数値である。zは任意の数値である。これらの無機酸化物は、その組成(たとえば分子式中のzの値や、x、yなどの値)、あるいは合成方法などによって、比誘電率(ε)、誘電正接(tanδ)の値が変化するが、代表的な値として、チタン酸カルシウム(ε/tanδ=95/0.0009)、チタン酸バリウム(ε/tanδ=240/0.017)、チタン酸バリウム・ストロンチウム(ε/tanδ=160/0.009)、酸化マグネシウムボロン(ε/tanδ=6/0.0005)のような値をあげることができる。
【0115】
これらは、通常0.1〜20μm程度の微細な粉体として得られ、針状の結晶として得られることも多い。これらの粉体は、本発明におけるポリイミド樹脂(A)、熱硬化性樹脂(B)の両成分からなる樹脂に添加される。これらは、熱硬化の前で液状状態である樹脂に添加し、攪拌機、ホモジナイザー、ローラー、ニーダーなどの機械的方法で混錬・分散することがのぞましい。良好な分散を実現するために、分散剤などを添加してもよい。
【0116】
樹脂成分量(すなわち、ポリイミド樹脂(A)と熱硬化性樹脂(B)との合計量)と、無機酸化物(C)の添加量との比は、重量比で40/60〜95/5であることが好ましく、50/50〜90/10であることがより好ましく、60/40〜80/20であることがより好ましい。添加量がこの範囲より少ないと誘電率を高くするという本来の目的が充分に達成されず、この範囲より多いと樹脂組成物としての機械的な性質・加工性などが損なわれる。このような範囲であれば、本発明の目的である比誘電率(ε)が3以上で、誘電正接(tanδ)が0.02以下であるような熱硬化性樹脂組成物を得ることができ、硬化後のフィルム状生成物、あるいは成型体は、いずれも優れた機械的な性質。すぐれた加工性を有する。
【0117】
本発明にかかる樹脂溶液は、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を溶媒に溶解させたものである。樹脂溶液の溶媒としては、熱硬化性樹脂組成物を溶解する溶媒であれば限定されるものでないが、沸点が150℃以下であることが好ましい。具体的には、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどのエーテル系などが好ましく用いられるが、前記エーテル系の溶媒に、トルエン、キシレン類、グリコール類などを混合した混合溶媒も好ましく用いることができる。本発明では、第3の成分(C)として、1GHzにおける比誘電率が5以上であり、1GHzにおける誘電正接が0.02以下である無機酸化物を添加するが、本発明における樹脂が溶液状であるということは、容易に均一な分散を実現することができるという点で好ましい。このような系においては、通常の分散機器である攪拌機、ホモジナイザー、ローラー、ニーダーが使用できるからである。
【0118】
本発明にかかる樹脂溶液は、溶媒中に本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物を構成する各成分を添加、攪拌して製造される。または、構成する各成分を予め溶媒で溶解した溶液を混合することにより製造することも可能である。
【0119】
本発明にかかる樹脂シートは、(A)前記一般式(1)で表される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物を必須成分とするポリイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂、好ましくは前記一般式(5)、(6)、(7)で表されるエポキシ樹脂、あるいは、一般式(8)で表されるシアン酸エステルおよび/またはそのオリゴマー、ならびに、(C)1GHzにおける比誘電率が5以上であり、かつ1GHzにおける誘電正接が0.02以下である無機酸化物を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物を含む樹脂層を1層以上有する樹脂シートである。
【0120】
本発明にかかる樹脂シートとは、前記構成から明らかなように、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物をシート状に加工したものであり、その形態としては、熱硬化性樹脂組成物のみからなる単層シート、フィルム基材の片面あるいは両面に本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を設けてなる2層あるいは3層シート、さらには、フィルム基材と熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を交互に積層させた多層シートなどがあげられる。フィルム基材としては、耐熱性、絶縁性の点から芳香族環を有する芳香族ポリエステルフィルム、芳香族ポリイミドフィルム、芳香族ポリアミドフィルムを好ましく用いることができる。
【0121】
本発明にかかる単層の樹脂シートは、前述の製造方法で得られた樹脂溶液を、支持体(フィルム基材)の表面に流延または塗布し(接着剤塗布工程)、塗布した樹脂溶液を乾燥させ(乾燥工程)、乾燥により得られたフィルム状接合材を支持体から剥離する(剥離工程)ことによって製造される。また、単層以外の樹脂シートは、前述の製造方法で得られた樹脂溶液を、支持体の表面に流延または塗布し(接着剤塗布工程)、塗布した樹脂溶液を乾燥させ(乾燥工程)ることによって製造される。
【0122】
本発明にかかる金属箔積層体は、(A)前記一般式(1)で表される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物を必須成分とするポリイミド樹脂、(B)前記一般式(5)、(6)、(7)で表されるエポキシ樹脂、あるいは、一般式(8)で表されるシアン酸エステルおよび/またはそのオリゴマー、ならびに、(C)1GHzにおける比誘電率が5以上であり、かつ1GHzにおける誘電正接が0.02以下である無機酸化物を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物を含む樹脂層を1層以上と、金属箔層を1層以上有する。前記金属箔としては、回路基板の導体として用いることのできる金属であれば、その具体的な構成は、とくに限定されるものではない。
【0123】
本発明にかかる金属箔積層体とは、前記構成から明らかなように、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と金属箔層を有する積層体であり、形態としては、金属箔の片面に樹脂層を設けてなる2層積層体や、金属箔と樹脂層を交互に積層させた多層金属箔積層体などがあげられる。
【0124】
本発明にかかる金属箔積層体も、前述の製造方法により得られた樹脂溶液を金属箔の表面に流延または塗布し(接着剤塗布工程)、流延または塗布した樹脂溶液を乾燥させて樹脂層を形成する(乾燥工程)ことによって製造される。あるいは、前記樹脂シートを金属箔表面に貼り付けてもよい。または、前記樹脂シートに化学めっきやスパッターなどにより金属箔を形成してもよい。
【0125】
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物、樹脂溶液、樹脂シート、金属箔積層体は、樹脂の硬化後、周波数1GHzにおける誘電率が3以上、とくには5以上となり、誘電正接が0.02以下、とくには0.01以下となる誘電特性を示すことが非常に好ましい。誘電特性が前記範囲内であれば、本発明の熱硬化性樹脂組成物、樹脂溶液、樹脂シート、金属箔積層体を用いて微細配線を形成した場合に、配線の電気的信頼性を維持し、回路の信号伝達速度を高速化することができる。
【0126】
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物、樹脂溶液、樹脂シート、金属箔積層体においては、熱硬化性樹脂(B)として前述したモノマー型のシアナート樹脂が含まれている場合には、該シアナート樹脂の反応を充分に進行させるために、接着後にポスト加熱処理を実施することがより好ましい。ポスト加熱処理の条件については、とくに限定されるものではないが、たとえば、加熱温度が150〜250℃の範囲内、加熱時間が1〜3時間の範囲内程度の条件を、好ましく適用することができる。
【0127】
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物、樹脂溶液、樹脂シートおよび金属箔積層体は、前記構成のポリイミド樹脂と、とくにシアナート樹脂とが含まれてなる低誘電接着剤を用いて製造されることが好ましい。
【0128】
従来のポリイミド系樹脂組成物を用いてFPCなどの積層構造体を製造する場合には、銅箔などの金属やポリイミドフィルムなどの樹脂フィルムに対して有効な接着力を発現させるために、接着条件として高温高圧が必要とされていた。つまり、その加工性・取扱性が劣っていた。また、加工性・取扱性を向上させるために、ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂とを混合しようとしても、ポリイミド樹脂が有機溶媒に対して難溶性であるため、困難であった。さらに、可溶性のポリイミド樹脂を用いることでエポキシ樹脂との混合を可能にした接着剤においては、加工性・取扱性は向上するものの、接着層の誘電率が高くなり、ポリイミド系接着剤を用いた長所のうち、とくに誘電特性を損なう結果となっていた。
【0129】
これに対して、前記構成のポリイミド樹脂に、とくにシアナート樹脂を混合した構成とした本発明の熱硬化性樹脂組成物、樹脂溶液、樹脂シート、金属箔積層体は、誘電特性・耐熱性に優れており、熱硬化性成分を含有しているため、加工性・取扱性にも優れる。それゆえ、前述のような従来の絶縁層で生じる問題点を充分に解消することが可能となる。その結果、フレキシブル印刷回路基板(FPC)やビルドアップ多層回路基板などの積層材料などの低誘電率、低誘電正接が要求されるような各種積層構造体の製造に好適に用いることができる。
【0130】
なお、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物、樹脂溶液、樹脂シート、金属箔積層体には、その特性を低下させない限り、前述した以外の成分が含まれていてもよいことはいうまでもない。同様に、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物、樹脂溶液、樹脂シート、金属箔積層体の製造方法においては、前述した以外の工程が含まれていてもよいことも言うまでもない。
【0131】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は、本発明を説明するためのものであり、限定するためのものではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行ない得る。
【0132】
なお、以下の実施例および比較例で得られた熱硬化性樹脂組成物、または、樹脂溶液を用いて得られた樹脂シートや金属箔積層体における樹脂層の樹脂硬化後の誘電特性、熱的特性および金属箔積層板の銅箔引剥強度は、つぎのようにして測定・評価した。
【0133】
〔誘電特性〕
測定装置として、空洞共振器摂動法複素誘電率評価装置(商品名、(株)関東電子応用開発製)を用い、下記周波数で誘電率および誘電正接を測定した。
測定周波数:1GHz、5GHz、10GHz
測定条件:温度22〜24℃、湿度45〜55%下
測定試料:前記測定条件下で、24時間放置した試料を使用した。
【0134】
〔熱的特性〕
熱的特性の評価として、熱膨張係数を評価した。熱膨張係数は、下記条件でTMA−50(商品名、島津製作所製)を使用して測定し、測定結果における100℃〜200℃間の平均の熱膨張率を試料の熱膨張率とした。
測定方法:引張モード(試料にかかる荷重が0gとなるように調整)
昇温速度:10℃/分
測定範囲:30℃〜300℃
測定試料:硬化後の樹脂を、硬化時の歪みを緩和させるために300℃で1分間加熱した試料を使用した。
【0135】
〔銅箔引剥強度〕
得られた金属箔積層体の金属箔をマスキングしたのちエッチングし、3mm幅の導体層を形成した。そして、JIS C6481にしたがって金属箔引剥強度(引き剥がし角度:180°)を測定した。
【0136】
〔はんだ耐熱試験〕
はんだ耐熱試験では、積層体を、40℃、湿度90%、96時間の環境試験後に、260℃のはんだ浴に10秒浸漬し、膨れや剥がれを目視にて判断した。
【0137】
〔PCT試験〕
エレクトロニクス用材料の信頼性試験であるPCT(Pressure Cooker Test)処理条件は、121℃、湿度100%、96時間とした。
PCT処理後の引き剥がし強度の保持率は、PCT処理前の引き剥がし強度をF1とし、PCT処理後の引き剥がし強度をF2とし、下記式により算出した。
(PCT処理後の引き剥がし強度の保持率(%))=F2÷F1×100
【0138】
実施例1
容量2000mlのガラス製フラスコに、ジメチルホルムアミド(以下、DMFという。)、0.95当量の1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、APBという。)および0.05当量の3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化社製)を仕込み、チッ素雰囲気下で撹拌し、溶解した。さらに、フラスコ内をチッ素置換雰囲気下、溶液を氷水で冷却しつつ撹拌し、1当量の4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物(以下、IPBPという。)を添加した。以上のようにして、ポリアミド酸重合体溶液を得た。なお、DMFの使用量は、APB、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルおよびIPBPのモノマー仕込濃度が30重量%となるようにした。
【0139】
このポリアミド酸溶液300gを、テフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、180分間、665Paの条件で減圧加熱し、80gの水酸基を有する熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。
【0140】
得られたポリイミド樹脂粉末、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂(商品名:エピコート1032H60、油化シェル社製、フェノールノボラック型固形エポキシ樹脂)、および、硬化剤として4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(以下、4,4’−DDSとする)を、それぞれジオキソランに溶解し、濃度が20重量%の溶液を得た。得られたそれぞれの溶液を、ポリイミド、エポキシ樹脂、4,4’−DDSの重量比が70:30:9になるように混合し、接着剤溶液を得た。
【0141】
このようにして得られた接着剤溶液100重量部に、チタン酸カルシウム(大塚化学(株)製、商品名:テラウエイブ、針状結晶(繊維軸径:0.1〜0.5μm、繊維長:1〜5μm、比誘電率(ε):95、誘電正接(tanδ):0.0009)40重量部を加え、ホモジナイザーを用いてチタン酸カルシウムの均一分散された接着剤溶液試料を得た。
【0142】
得られた接着剤溶液をアルミ箔上に塗布してフィルム状としたのち、200℃で60分間熱処理して硬化させ、さらにアルミ箔をエッチングで取り除いて、厚さ25μmのフィルムを得た。このフィルムの比誘電率は12、誘電正接は0.005であった。
【0143】
また、得られた接着剤溶液を、ポリイミドフィルム(アピカル12.5HP、鐘淵化学工業(株)製)に、グラビアコーターにて片面ずつ塗布したのち、170℃で2分間乾燥し、それぞれの接着剤層の厚さが5μmである接着層を形成した。得られた両面接着剤層付きポリイミドフィルムと厚さ5μmの銅箔とを、温度200℃、圧力3MPaで5分間加熱仮圧着し、積層体を得た。この積層体の導体層と反対の面の接着剤層に、18μmの厚延銅箔のマット面を、温度200℃、圧力3MPaで60分間加熱圧着し、接着剤層を硬化させ、この銅箔と積層体との引き剥し強度を測定したところ、常態で7.0N/cm、PCT後で4.9N/cmであり、PCT後保持率は70%であった。また、はんだ耐熱試験を行なったところ、260℃で膨れや剥がれは生じなかった。
【0144】
実施例2
ポリイミド、エポキシ樹脂、4,4’−DDSの重量比が50:50:15になるように混合したほかは、実施例1と同様にして接着剤溶液を得た。
【0145】
このようにして得られた接着剤溶液100重量部に、チタン酸バリウム・ストロンチウム(大塚化学(株)製、商品名:テラウエイブ、針状結晶(繊維軸径:0.1〜0.5μm、繊維長:1〜5μm、比誘電率(ε):160、誘電正接(tanδ):0.009)40重量部を加え、ホモジナイザーを用いてチタン酸バリウム・ストロンチウムの均一分散された接着剤溶液試料を得た。
【0146】
得られた接着剤溶液をアルミ箔上に塗布してフィルム状としたのち、200℃で60分間熱処理して硬化させ、さらにアルミ箔をエッチングで取り除いて、厚さ25μmのフィルムを得た。このフィルムの比誘電率は16、誘電正接は0.018であった。
【0147】
また、実施例1と同様にして積層体を得、銅箔と積層体との引き剥し強度を測定したところ、常態で7.7N/cm、PCT後で5.6N/cmであり、PCT後保持率は73%であった。また、はんだ耐熱試験を行なったところ、260℃で膨れや剥がれは生じなかった。
【0148】
実施例3
0.95当量のAPBおよび0.05当量の3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを、1当量の3、3’−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン(以下BAPS−Mという)に変更したほかは、実施例1と同様にして熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。実施例1と同様にして、ポリイミド、エポキシ樹脂、4,4’−DDSの重量比が70:30:9になるように混合した接着剤溶液を得た。
【0149】
このようにして得られた接着剤溶液100重量部に、チタン酸バリウム(大塚化学(株)製、商品名:テラウエイブ、針状結晶(繊維軸径:0.1〜0.5μm、繊維長:1〜5μm、比誘電率(ε):240、誘電正接(tanδ):0.017)40重量部を加え、ホモジナイザーを用いてチタン酸バリウム・ストロンチウムの均一分散された接着剤溶液試料を得た。得られた接着剤溶液をアルミ箔上に塗布してフィルム状としたのち、200℃で60分間熱処理して硬化させ、さらにアルミ箔をエッチングで取り除いて、厚さ25μmのフィルムを得た。このフィルムの比誘電率は20、誘電正接は0.017であった。
【0150】
また、実施例1と同様にして積層体を得、銅箔と積層体との引き剥し強度を測定したところ、常態で7.8N/cm、PCT後で5.7N/cmであり、PCT後保持率は73%であった。また、はんだ耐熱試験を行なったところ、260℃で膨れや剥がれは生じなかった。
【0151】
実施例4
0.95当量のAPBおよび0.05当量の3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを、0.8当量のAPBおよび0.2当量の3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルに変更したほかは、実施例1と同様にして熱可塑性ポリイミド樹脂を得た。実施例1と同様にして、ポリイミド、エポキシ樹脂、4,4’−DDSの重量比が70:30:9になるように混合した接着剤溶液を得た。
【0152】
このようにして得られた接着剤溶液100重量部に、酸化マグネシウムボロン(大塚化学(株)製、商品名:テラウエイブ、針状結晶(繊維軸径:0.2〜0.5μm、繊維長:10〜20μm、比誘電率(ε):6、誘電正接(tanδ):0.00005)50重量部を加え、ホモジナイザーを用いてチタン酸バリウム・ストロンチウムの均一分散された接着剤溶液試料を得た。
【0153】
得られた接着剤溶液をアルミ箔上に塗布してフィルム状としたのち、200℃で60分間熱処理して硬化させ、さらにアルミ箔をエッチングで取り除いて厚さ25μmのフィルムを得た。このフィルムの比誘電率は5、誘電正接は0.004であった。
【0154】
また、実施例1と同様にして積層体を得、銅箔と積層体との引き剥し強度を測定したところ、常態で8.2N/cm、PCT後で5.7N/cmであり、PCT後保持率は70%であった。また、はんだ耐熱試験を行なったところ、260℃で膨れや剥がれは生じなかった。
【0155】
比較例1
プラタボンドM1276(共重合ナイロン、日本リルサン社製)10g、エピコート1032H60(油化シェル社製)20g、ジアミノジフェニルスルホン1gを、83gのDMFに溶解した。得られた接着剤溶液に、実施例1と同じ方法でチタン酸カルシウムを添加、熱処理して厚さ25μmのフィルムを得た。このフィルムの比誘電率は10、誘電正接は0.005であった。
【0156】
また、得られた接着剤溶液を、ポリイミドフィルム(アピカル12.5HP、鐘淵化学工業(株)製)に、グラビアコーターにて片面ずつ塗布したのち、100℃で4分間乾燥し、それぞれの接着剤層の厚さが5μmである接着層を形成した。得られた両面接着剤層付きポリイミドフィルムと厚さ5μmの銅箔とを、温度200℃、圧力3MPaで5分間加熱仮圧着し、積層体を得た。この積層体の導体層と反対の面の接着剤層に18μmの厚延銅箔のマット面を、温度200℃、圧力3MPaで60分間加熱圧着し、接着剤層を硬化させ、この銅箔と積層体との引き剥し強度を測定したところ、常態で8.0N/cm、PCT後で2.0N/cmで、PCT後保持率は25%であった。また、はんだ耐熱試験を行なったところ、260℃で膨れや剥がれを生じ、実施例1に比較して耐熱性、接着性では劣るものであった。
【0157】
実施例5
容量2000mlのガラス製フラスコに、DMF、0.95当量のAPBおよび0.05当量の3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(和歌山精化社製)を仕込み、チッ素雰囲気下で撹拌し、溶解した。さらに、フラスコ内をチッ素置換雰囲気下、溶液を氷水で冷却しつつ撹拌した。1当量のIPBPを添加し、さらに3時間攪拌した。以上のようにして、ポリアミド酸重合体溶液を得た。なお、DMFの使用量は、APB、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルおよびIPBPのモノマーの仕込み濃度が30重量%となるようにした。
【0158】
このポリアミド酸溶液300gをフッ素樹脂コートしたバットに移し、真空オーブンで200℃、3時間、5mmHg(約0.007気圧、約5.65hPa)の圧力の条件で減圧加熱することによって、ポリイミド樹脂(a)を得た。このようにして得られたポリイミド樹脂(a)粉末30gを75gのジオキソランに加えて撹拌、溶解させ、ポリイミド溶液(A−1)を得た(固形分率(SC):30%)。
【0159】
つぎに、ジオキソランとトルエンの8:2の混合溶媒 70gに、シアン酸エステル(商品名:PRIMASET BADCY、ロンザ社製)のオリゴマー(商品名:BA200、ロンザ社製、化合物名:ビスフェノール−A−ジシアナート−4,4’−イソプロピリデンフェニルシアナート)30g、亜鉛(II)アセチルアセトナート0.08gを加え、30〜40℃で2時間攪拌、溶解させることによってシアン酸エステル溶液(B−1)を得た(SC=30%)。
【0160】
得られた溶液(A−1)80gとシアン酸エステル溶液(B−1)20gを混合し、熱硬化性樹脂を含む溶液(樹脂溶液)を調整した。
【0161】
このようにして得られた接着剤溶液100重量部に、チタン酸カルシュウム(大塚化学(株)製、商品名:テラウエイブ、針状結晶(繊維軸径:0.1〜0.5μm、繊維長:1〜5μm、比誘電率(ε):95、誘電正接(tanδ):0.0009)、40重量部を加え、ホモジナイザーをもちいてチタン酸カルシウムの均一分散された接着剤溶液試料を得た。
【0162】
得られた樹脂溶液を、支持体として厚さ125μmのPETフィルム(商品名セラピールHP、東洋メタライジング社製)の表面上に流延した。そののち、熱風オーブンにて60℃、80℃、100℃、120℃、140℃の温度で、各5分間加熱し、さらに、150℃で5分間加熱乾燥させて、PETフィルムを基材とする2層の樹脂シートを得た。該樹脂シートから、PETフィルムを剥離除去し、本発明にかかる単層の樹脂シートを得た。得られた樹脂シートの厚さは50μmであった。
【0163】
得られた樹脂シートを18μmの圧延銅箔(商品名:BHY−22B−T、(株)ジャパンエナジー製)で樹脂表面と銅箔粗化面が接するように挟み込み、温度200℃、圧力3MPaの条件で1時間加熱加圧したのち、さらに熱風オーブン中200℃で2時間加熱処理を行なうことによって熱硬化性樹脂組成物を硬化させて、銅箔積層体(単層樹脂シートを圧延銅箔で挟持した構成)を得た。得られた銅箔積層体を使用して、銅箔剥離強度を評価し、さらに、該銅箔積層体の銅箔を全面除去して得られたシートを用いて、誘電特性および熱的特性を評価した。その結果を表1に示した。
【0164】
実施例6〜11
APBに代えて、3,3’−ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン(BAPS−M)を用いたほかは、実施例5と同一の量および同一の条件で、ポリイミド樹脂(b)を得、ポリイミド樹脂(b)粉末30gを70gのジオキソランに加えて撹拌、溶解させポリイミド溶液(A−2)を得た(固形分率(SC):30%)。
【0165】
ジオキソランとトルエンの8:2の混合溶媒70gに、フェノールノボラック型のシアン酸エステルのオリゴマー(商品名:PRIMASET PT−30、ロンザ社製、化合物名:オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアナート)30g、亜鉛(II)アセチルアセトナート0.08gを加え、30〜40℃で2時間攪拌、溶解させることによってシアン酸エステル溶液(B−2)を得た(SC:30%)。
【0166】
表1に示すポリイミド溶液(A−1またはA−2)およびシアン酸エステル溶液(B−1またはB−2)を用い、これらを表1に示す配合比で混合したほかは、実施例5と同一の方法、条件で、チタン酸カルシウムの添加された樹脂溶液、樹脂シート、金属箔積層体を得、それぞれについて、銅箔剥離強度、誘電特性および熱的特性を評価した。その結果を表1に示す。なお、表1において、耐熱性の欄の○は、はんだ耐熱試験で膨れや剥がれが生じなかったことを示す。
【0167】
この結果から明らかなように、ポリイミド樹脂、シアン酸エステル、チタン酸カルシウムからなる樹脂組成物は、高誘電率、低誘電正接であるとともに、優れた耐熱性、接着性および線膨張係数を有する。
【0168】
【表1】
【0169】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物、樹脂溶液、樹脂シートおよび金属箔積層体は、ポリイミド樹脂、熱硬化性樹脂、無機酸化物を混合して用いる構成である。
【0170】
前記構成では、特別なポリイミド樹脂と熱硬化性成分を用いているため、耐熱性に優れるだけでなく、従来の熱可塑性ポリイミド樹脂系接着剤よりもガラス転移温度が比較的低温であり、より低温で接着することが可能で、加工性にも優れる。さらに、高比誘電率・低誘電正接の酸化物が添加されているため、得られる樹脂は、高誘電率かつ低誘電正接という特徴を有する。
【0171】
したがって、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物、樹脂溶液、樹脂シートおよび金属箔積層体は、積層回路基板、コンデンサ、携帯電話、ITS、GPS、アンテナ、無線LAN、高周波基板、高速コネクタなどに良好に使用できる。
Claims (15)
- (A)4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物からなる酸二無水物成分と、下記一般式(2):
- 硬化後の樹脂組成物の1GHzにおける比誘電率が3以上であり、かつ1GHzにおける誘電正接が0.02以下である請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリイミド樹脂(A)と熱硬化性樹脂(B)との混合比率が、重量比で20/80〜98/2である請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記ジアミン成分が、水酸基および/またはカルボキシル基を有するジアミンを含む請求項1、2または3記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂(B)が、グリシジル基または脂環式エポキシ基を有するエポキシ樹脂からなる請求項1、2、3または4記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記無機酸化物(C)が、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウム・ストロンチウム、および酸化マグネシウムボロンからなる群より選択された少なくとも1種の無機酸化物である請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリイミド樹脂(A)および熱硬化性樹脂(B)と、無機酸化物(C)との混合比率が、重量比で40/60〜95/5である請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の熱硬化性樹脂組成物に、さらに(D)有機溶媒を含有する熱硬化性樹脂溶液。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を1層以上有する樹脂シート。
- 芳香族ポリエステルフィルム、芳香族ポリイミドフィルムおよび芳香族ポリアミドフィルムからなる群より選択された少なくとも1種のフィルム層を1層以上有する請求項12記載の樹脂シート。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を1層以上、および、金属箔層を1層以上有する金属箔積層体。
- 金属箔層が銅箔層である請求項14記載の金属箔積層体。
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