JP4109436B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される自動変速機の変速制御装置に関し、特に、フェール発生時の変速制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動変速機の変速制御装置として、例えば特開平1−172663号公報に記載の技術が知られている。この公報に記載の自動変速機には、実際のギア比と、指令された変速段のギア比とを比較することで、変速機の故障部分を検出する技術が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、単にギア比に基づいて故障を検出しているため、締結要素の滑り、バルブステック等の機械的な故障が原因なのか、シフトソレノイドの断線等による電気的な故障が原因なのかを認識できず、フェールの原因を特定できないという問題があった。
【0004】
本発明は、上述のような問題点に着目してなされたもので、自動変速機の変速制御装置において、変速段のギア比よりも実際のギア比が大きいといったフェールが発生したときに、確実にフェールの原因をつきとめることで、安全性の高いフェール制御を行うことが可能な自動変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の問題を解決する手段として、請求項1記載の発明では、複数の摩擦要素の締結又は解放の組み合わせにより実現する複数の前進変速段及び後進変速段を備え、走行状態に応じた自動変速又は手動操作による手動操作により、前記複数の前進変速段をシフトソレノイドにより制御された複数のシフトバルブのオン・オフ状態によって切り換える自動変速機の変速制御装置において、自動変速機の実ギア比を検出する実ギア比検出手段と、前記シフトバルブの少なくとも1つがオン状態となることで達成する第1の変速段による走行時に、検出された実ギア比が、前記第1の変速段を達成するシフトバルブの少なくとも1つがフェールすることで達成される第2の変速段のギア比近傍領域かどうかを判断するフェール判断手段と、検出された実ギア比が前記第2の変速段のギア比近傍と判断したときは、フェールしたと考えられる前記シフトバルブの作動を制御するシフトソレノイドを強制的に所定時間OFFし、前記シフトソレノイドの作動を確認するフェール確認手段と、該フェール確認手段により前記第1の変速段を達成するシフトソレノイドのフェールと確認されたときは、前記第1の変速段を達成するシフトソレノイドのフェールを記憶するとともに、予め設定されたフェール制御を行い、該フェール確認手段により前記第 1 の変速段を達成するシフトソレノイドのフェールと確認されないときは、該予め設定されたフェール制御とは異なる他のフェール制御を行うフェール制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置において、
前記フェール判断手段において判断する第2の変速段のギア比近傍領域を、前記第2の変速段のギア比よりも所定割合大きな値よりも小さく、所定割合小さな値よりも大きな値としたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の自動変速機の変速制御装置において、
前記フェール確認手段において強制的にOFFする所定時間を、自動変速機内の油圧変化や容量変化が起こらない範囲の時間としたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3に記載の自動変速機の変速制御装置において、
前記フェール確認手段は、前記シフトソレノイドの作動確認を一回のみ行うことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4に記載の自動変速機の変速制御装置において、
前記自動変速機を、
第1サンギアと第1キャリアと第1リングギアとを有する第1遊星歯車機構と、
第2サンギアと第2キャリアと第2リングギアとを有する第2遊星歯車機構と、
第3サンギアと第3キャリアと第3リングギアとを有する第3遊星歯車機構と、
前記第2サンギアに直結されている入力部材と、
前記入力部材と前記第1サンギアとを選択的に断接する第1クラッチと、
前記入力部材と第2キャリアとを選択的に断接する第2クラッチと、
前記第1キャリアと前記第2リングギアとを選択的に断接する第3クラッチと、
前記第3キャリアと前記第3リングギアとを選択的に断接する第4クラッチと、
前記第2キャリアと変速機ケースとを選択的に断接する第1ブレーキと、
前記第1サンギアと変速機ケースとを選択的に断接する第2ブレーキと、
前記第3リングギアと変速機ケースとを選択的に断接する第3ブレーキと、
前記第3キャリアに直結されている出力部材とを備え、
前記第1クラッチと第2クラッチと第3クラッチと第4クラッチと第1ブレーキと第2ブレーキと第3ブレーキへの締結圧を制御する第1,第2及び第3シフトバルブと、
前記第1シフトバルブの作動を制御する第1シフトソレノイドと、
前記第2シフトバルブの作動を制御する第2シフトソレノイドと、
前記第3シフトバルブの作動を制御する第3シフトソレノイドと、
を備えた自動変速機とし、
前記変速制御装置を、
前記第1,第2及び第3シフトバルブを作動することで第3クラッチと第3ブレーキを締結することにより第1速、前記第1及び第2シフトバルブを作動することで第3クラッチと第2ブレーキと第3ブレーキを締結することにより第2速、前記第2シフトバルブを作動することで第2クラッチと第3クラッチと第3ブレーキを締結することにより第3速、前記第3シフトバルブを作動することで第2クラッチと第2ブレーキと第3ブレーキを締結することにより第4速、前記第1及び第3シフトバルブを作動することで第2クラッチと第2ブレーキと第4クラッチを締結することにより第5速の前進ギア段を達成する変速制御手段を有する変速制御装置とし、
前記第1の変速段を第1速または第2速とし、前記第2の変速段を第5速とし、前記作動を確認するシフトソレノイドを前記第2シフトソレノイドとしたことを特徴とする。
【0010】
【発明の作用及び効果】
請求項1記載の自動変速機の変速制御装置にあっては、フェール判断手段において、シフトバルブの少なくとも1つがオン状態となることで達成する第1の変速段による走行時に、検出された実ギア比が、第1の変速段を達成するシフトバルブの少なくとも1つがフェールすることで達成される第2の変速段のギア比近傍領域かどうかが判断される。更に、フェール確認手段において、検出された実ギア比が第2の変速段のギア比近傍と判断したときは、フェールしたと考えられるシフトバルブの作動を制御するシフトソレノイドを強制的に所定時間OFFし、シフトソレノイドの作動が確認される。すなわち、検出された実ギア比が第2の変速段のギア比近傍と判断した時点で、どのシフトバルブがフェールしているかは、ある程度推定できる。しかし、単純な実ギア比検出手段の検出フェールや、締結要素の滑り等によるフェールの可能性があるため、推定したシフトソレノイドを強制的に所定時間OFFすることで、作動確認を行う。
【0011】
そして、フェール制御手段において、フェール確認手段により第1の変速段を達成するシフトソレノイドのフェールと確認されたときは、第1の変速段を達成するシフトソレノイドのフェールが記憶されるとともに、予め設定されたフェール制御が行われる。これにより、ギア比の異常を記憶せず、シフトソレノイドの異常のみ記憶することで、フェールの原因を特定できるとともに、その原因に応じたフェール制御を行うことができるため、より安全性を確保することができる。
【0012】
請求項2に記載の自動変速機の変速制御装置にあっては、フェール判断手段において判断する第2の変速段のギア比近傍領域が、第2の変速段のギア比よりも所定割合大きな値よりも小さく、所定割合小さな値よりも大きな値とされている。すなわち、ギア比を検出する際、例えば変速機入力回転数と変速機出力回転数の比を算出することで検出される。このとき、低速度領域では、変速機入出力回転数が小さいため、変速機入力回転数もしくは変速機出力回転数に予め設定された回転数を加算した値を用いてギア比を算出すると、誤差が大きくなってしまう。よって、算出されたギア比の所定割合によって近傍領域を設定することで、低車速領域でも確実に実ギア比と近傍領域とを比較判断することができる。
【0013】
請求項3に記載の自動変速機の変速制御装置にあっては、フェール確認手段において強制的にOFFする所定時間が、自動変速機内の油圧変化や容量変化が起こらない範囲の時間とされたことで、作動確認によって自動変速機の締結状態等に変化を及ぼすことがなく、安全性を確保することができる。
【0014】
請求項4に記載の自動変速機の変速制御装置にあっては、フェール確認手段において、シフトソレノイドの作動確認が一回のみ行われる。すなわち、シフトソレノイドの断線フェールではなく、例えば機械的要因(シフトバルブのスティックや、締結要素の滑り)等が原因の場合は、検出される実ギア比が第2の変速段のギア比近傍領域にある間は何度も作動確認が行われてしまうことで、シフトソレノイドの作動音が異音として発生してしまう。ここで、本発明は、基本的にフェールの原因が推定された状態で再度確認するものであるため、作動確認を一回のみ行うことで、異音等を発生させることなく、確実にフェール制御を行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の自動変速機の変速制御装置にあっては、自動変速機が、第1サンギアと第1キャリアと第1リングギアとを有する第1遊星歯車機構と、第2サンギアと第2キャリアと第2リングギアとを有する第2遊星歯車機構と、第3サンギアと第3キャリアと第3リングギアとを有する第3遊星歯車機構と、前記第2サンギアに直結されている入力部材と、前記入力部材と前記第1サンギアとを選択的に断接する第1クラッチと、前記入力部材と第2キャリアとを選択的に断接する第2クラッチと、前記第1キャリアと前記第2リングギアとを選択的に断接する第3クラッチと、前記第3キャリアと前記第3リングギアとを選択的に断接する第4クラッチと、前記第2キャリアと変速機ケースとを選択的に断接する第1ブレーキと、前記第1サンギアと変速機ケースとを選択的に断接する第2ブレーキと、前記第3リングギアと変速機ケースとを選択的に断接する第3ブレーキと、前記第3キャリアに直結されている出力部材とを備え、前記第1クラッチと第2クラッチと第3クラッチと第4クラッチと第1ブレーキと第2ブレーキと第3ブレーキへの締結圧を制御する第1,第2及び第3シフトバルブと、前記第1シフトバルブの作動を制御する第1シフトソレノイドと、前記第2シフトバルブの作動を制御する第2シフトソレノイドと、前記第3シフトバルブの作動を制御する第3シフトソレノイドとを備えている。
【0016】
そして、変速制御装置が、第1,第2及び第3シフトバルブを作動することで第3クラッチと第3ブレーキを締結することにより第1速、前記第1及び第2シフトバルブを作動することで第3クラッチと第2ブレーキと第3ブレーキを締結することにより第2速、前記第2シフトバルブを作動することで第2クラッチと第3クラッチと第3ブレーキを締結することにより第3速、前記第3シフトバルブを作動することで第2クラッチと第2ブレーキと第3ブレーキを締結することにより第4速、前記第1及び第3シフトバルブを作動することで第2クラッチと第2ブレーキと第4クラッチを締結することにより第5速の前進ギア段が達成する変速制御手段を備えている。
【0017】
このとき、フェール判断手段において、第1速または第2速による走行時に、検出された実ギア比が第5速のギア比近傍かどうかを判断され、フェール確認手段において、検出された実ギア比が第5速のギア比近傍領域と判断したときは、第2シフトバルブの作動を制御する第2シフトソレノイドの作動が強制的に所定時間OFFされ、第2シフトソレノイドの作動が確認される。すなわち、上述の構成を有する自動変速機にあっては、1速時に第2シフトソレノイドがフェールすると5速になってしまい、同様に、2速時に第2シフトソレノイドがフェールすると5速になる。よって、検出された実ギア比が第5速のギア比近傍と判断した時点で、第2シフトソレノイドがフェールしていることが、ある程度推定できる。しかし、単純な実ギア比検出手段の検出フェールや、締結要素の滑り等によるフェールの可能性があるため、第2シフトソレノイドを強制的に所定時間OFFすることで、作動確認を行う。
【0018】
そして、フェール制御手段において、フェール確認手段により第2シフトソレノイドのフェールと確認されたときは、第2シフトソレノイドのフェールが記憶されるとともに、予め設定されたフェール制御が行われる。これにより、フェールの原因を特定できるとともに、その原因に応じたフェール制御を行うことができるため、より安全性を確保することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。本実施例は、前進5速後退1速の自動変速機に適用される。
【0020】
まず、構成を説明する。
図1は実施の形態の油圧制御装置が適用された前進5速後退1速の自動変速機のギアトレーンを示すスケルトン図である。この動力伝達機構は、トルクコンバータ10、主変速機構12及び、副変速機構14及び車輪を駆動するファイナルドライブ機構16を有している。主変速機構12はトルクコンバータ10と同一軸線上に構成され、副変速機構14は、手変速機構12と平行に配置されている。
【0021】
トルクコンバータ10には、ロックアップ機構11が付設され、図示省略されたエンジンからの回転力が入力され、またトルクコンバータ10からの出力は軸20により主変速機構12に入力される。主変速機構12は、第1遊星歯車機構G1、第2遊星歯車機構G2、リバースクラッチC1、ハイクラッチC2、ロークラッチC3、ロウリバースブレーキB1、2−4ブレーキB2及びロウワンウェイクラッチOC1を備え、軸20から入力される回転力を軸22に変速して出力している。
【0022】
第1遊星歯車機構G1は、軸20上に配置され、サンギアS1と、インターナルギアR1と、サンギアS1及びインターナルギアR1と同時にかみ合うピニオンギアP1と、ピニオンギアP1を支持するキャリアPC1から構成されている。また、第2遊星歯車機構G2も軸20上に配置され、サンギアS2と、インターナルギアR2と、サンギアS2及びインターナルギアR2と同時にかみ合うピニオンギアP2と、ピニオンギアP2を支持するキャリアPC2から構成されている。
【0023】
リバースクラッチC1、ハイクラッチC2、ロークラッチC3、ロウリバースブレーキB1、2−4ブレーキB2及びロウワンウェイクラッチOC1を種々の組み合わせで作動させることにより、第1遊星歯車機構G1及び第2遊星歯車機構G2の各要素の回転状態を変え、軸20の回転速度に対する軸22の回転速度を変えることができる。軸22には、一体に取り付けられた主出力ギア24が設けられ、副変速機構14に連結された副入力ギア28とかみ合っている。
【0024】
副変速機構14は、第3遊星歯車機構G3、ダイレクトクラッチC4、リダクションブレーキB3及びリダクションワンウェイクラッチOC2を備え、副入力ギア28から入力される回転力を軸32に変速して出力している。第3遊星歯車機構G3は、サンギアS3と、副入力ギア28と一体に連結されるインターナルギアR3と、サンギアS3及びインターナルギアR3と同時にかみ合うピニオンギアP3と、ピニオンギアP3を支持し、軸32と一体に回転するように連結されたキャリアPC3から構成されている。
【0025】
ダイレクトクラッチC4、リダクションブレーキB3及びリダクションワンウェイクラッチOC2を、種々の組み合わせで作動させることにより、第3遊星歯車機構G3の各要素の回転状態を変え、副入力ギア28から入力された回転速度に対する軸32の回転速度を変えることができる。軸32には、一体に取り付けられた副出力ギア34が設けられ、ファイナルドライブ機構16と一体に回転するように連結されたファイナルギア36とかみ合っている。
【0026】
エンジンから上記自動変速機に入力される回転力は、トルクコンバータ10、軸20、主変速機構12、主出力ギア24、副入力ギア28、副変速機構14、軸32、副出力ギア34、ファイナルギア36及びファイナルドライブ機構16を順次伝達される。その間に、各クラッチ及びブレーキ等を図2に示すような組み合わせで、作動させることにより、前進5速後退1速の変速を行わせることができる。丸印は締結状態を示している。図2に1速(エンジンブレーキ走行なし)と記載された摩擦要素の組み合わせでは、エンジンからの逆起動力が伝達され、エンジンブレーキ走行は行われない。他の変速段では、逆起動力が伝達されるので、エンジンブレーキ走行が行われる。なお、ソレノイドバルブのオン、オフ状態と変速段の関係については後述する。
【0027】
なお、運転者はシフトレバーを介したセレクト操作により、駐車レンジ、Rレンジ、中立レンジと、前進5速の自動変速を行うDレンジ、4速以下の前進4速で自動変速を行う4レンジ、3速以下の前進3速で自動変速を行う3レンジ、2速以下の前進2速で自動変速を行う2レンジ及び1速が設定される1レンジから所望のレンジを選択することができる。
【0028】
運転者がDレンジを選択した場合には、走行状態に応じて前進5速の自動変速を行わせることができる。5速から2速までは、エンジンブレーキ走行を行うが、1速が自動選択された場合には、エンジンブレーキ走行を行わない1速が設定される。4レンジを選択した場合には、4速以下の前進4速の変速が可能であり、全ての変速段でエンジンブレーキ走行を行う。3レンジを選択した場合には、3速以下の前進3速の変速が可能であり、全ての変速段でエンジンブレーキ走行を行う。2レンジを選択した場合には、2速以下の前進2速の変速が可能であり、全ての変速段でエンジンブレーキ走行を行う。1レンジを選択した場合には、エンジンブレーキ走行を行う1速で走行する。
【0029】
次に、上記動力伝達機構の油圧制御回路を図3に示す。この油圧制御回路は、リバースクラッチC1、ハイクラッチC2、ロークラッチC3、ダイレクトクラッチC4、2−4ブレーキB2及びリダクションブレーキB3に供給する油圧を制御し、締結及び開放を制御する3つのシフトバルブVA、VB及びVCと、ロウリバースブレーキB1に供給する油圧を制御するリバースインヒビットバルブVDと、5速から4速へシフトダウンする際にリダクションブレーキB3を締結するタイミング及び油圧を制御するリダクションレデューシングバルブVE、リダクションタイミングバルブVFと、ソレノイドバルブSA、ソレノイドバルブSB、ソレノイドバルブSC、ロークラッチタイミングソレノイドバルブSD及びリダクションタイミングソレノイドバルブSEと各ソレノイドバルブのオン、オフを制御するATCU41と、マニュアルバルブ42と、油路50〜89から構成されている。
【0030】
各シフトバルブはバルブ端面に作用する油圧の給排により切り換わり、油路の連通状態を変化させている。各ソレノイドバルブは、ATCU41によりオン、オフ制御され、シフトバルブのバルブ端面に作用する油圧の給排を制御している。
【0031】
個々のシフトバルブにおける油路の連通状態を説明する。まず、シフトバルブVAには、図中下方向に押す力として、スプリング力が上側のバルブ端面に作用し、上方向に押す力としては、下側のバルブ端面に油路50を介して供給される油圧が作用する。まず、油路50に油圧が供給されると、シフトバルブVAは上方向に押し上げられ第1の状態となり、シフトバルブVAの左右の油路を実線のように連通する。すなわち、油路51は油路58と、油路52は油路59と、油路54は油路60と、油路56は油路62と連通する。油路61はドレーンポート(図中×印)よりドレーンされる。
【0032】
シフトバルブVAの油路50に油圧が供給されていない場合には、スプリング力によりシフトバルブVAは下方向に押し下げられる第2の状態となり、シフトバルブVAの左右の油路は破線のように連通する。すなわち、油路52は油路58と連通し、油路53は油路59と連通し、油路55は油路61と連通し、油路57は油路62と連通する。油路60はドレーンされる。油路58は2−4ブレーキB2に接続され、油路59はハイクラッチC2に接続され、油路60はダイレクトクラッチC4に接続されている。また、油路61は、シフトバルブVCに接続され、油路62はシフトバルブVBに接続されている。
【0033】
次に、シフトバルブVBには、下方向に押す力として、スプリング力が作用し、上方向に押す力として、油路63に供給される油圧が作用する。まず、油路63に油圧が供給されると、シフトバルブVBが押し上げられる第1の状態となり、実線に示すように、油路64は油路67と、油路65は油路68と、油路66は油路70と連通する。油路69はドレーンされる。
【0034】
シフトバルブVBの油路63に油圧が供給されていない場合には、シフトバルブVBは下方向に押し下げられる第2の状態となり、破線で示すように、油路62は油路68と連通し、油路66は油路69と連通する。油路67及び油路70はドレーンされる。油路67は油路75及び油路77に接続され、油路68はリダクションブレーキB3に接続されている。また、油路69は、油路80を介して油路52及び油路54に接続され、また油路69は油路72に接続されている。油路70はロークラッチC3に接続されている。
【0035】
次に、シフトバルブVCには、下方向に押す力として、スプリング力が作用し、上方向に押す力として、油路71に供給される油圧が作用する。まず、油路71に油圧が供給されると、シフトバルブVCが押し上げられる第1の状態となり、実線に示すように、油路72は油路74と、油路61は油路64と連通する。シフトバルブVCの油路71に油圧が供給されていない場合には、シフトバルブVCは下方向に押し下げられる第2の状態となり、破線で示すように、油路73は油路74と連通する。油路64はドレーンされる。油路74は油路51及び油路53に接続されている。
【0036】
リバースインヒビットバルブVDには、下方向に押す力として、油路75に供給される油圧及び油路78に供給される油圧が作用し、上方向に押す力として、スプリング力が作用する。まず、油路75または油路78に油圧が供給されると、リバースインヒビットバルブVDが押し下げられ、実線で示すように、油路77は油路79と連通する。リバースインヒビットバルブVDの油路75にも油路78にも油圧が供給されていない場合には、リバースインヒビットバルブVDは押し上げられ、破線で示すように、油路76は油路79と連通する。油路78はロークラッチタイミングソレノイドバルブSDに接続され、油路79はロウリバースブレーキB1に接続されている。
【0037】
また、油路55、油路66及び油路73は、マニュアルバルブ42に接続され、運転者によりDレンジ、4レンジ、3レンジ、2レンジ、1レンジが選択された場合、すなわち前進変速段が選択された場合には、Dレンジ圧(図中Dと記載)が供給される。また油路56及び油路76も油路84を介してマニュアルバルブ42に接続され、Rレンジが選択された場合には、ライン圧よりも高い油圧であるRレンジ圧(図中Rと記載)が供給される。なお、他のRレンジ以外のレンジが選択された場合には、油路84はドレーンされる。
【0038】
また、油路84は油路87を介してリバースクラッチC1に接続されている。油路57及び油路65は図示省略したパイロットバルブに接続され、常時パイロットバルブにより調圧されたライン圧(図中Lと記載)が供給されている。なお、ロークラッチタイミングソレノイドバルブSDは変速段として前進段が設定されている間は常時オン状態に保たれ、リバースインヒビットバルブVDを下方向に押し下げ、何らかの異常が生じて油路76に油圧が生じても、ロウリバースブレーキB1へ供給されることを妨げている。
【0039】
リダクションレデューシングバルブVEは調圧バルブであり、図中下方向に押す力としては、油路81に供給される油圧が作用し、上方向に押す力としては、油路82に供給される油圧及びスプリング力が作用する。油路83は油路84を介してマニュアルバルブ42に接続され、Rレンジが選択された場合には、Rレンジ圧が供給され、Rレンジ以外のレンジが選択された場合にはドレーンされる。
【0040】
まず、油路68にライン圧が供給され、油路83がドレーンされ、かつ油路82に油圧が供給されていない場合の油路の連通状態を説明する、油路81は油路85に接続されるため、油路85の油圧による下方向に押す力よりスプリングによる上方向に押す力が大きい場合には、バルブは上方向に押し上げられ、油路85の油圧は油路68に供給されるライン圧に近づく。逆に、油路85の油圧による下方向に押す力がスプリングによる上方向に押す力より大きい場合には、バルブは下方向に押し下げられ、油路85の油圧は油路83からドレーンされる。
【0041】
上記のように、油路85の油圧が高ければ、ドレーンして油路85の油圧を下げ、油路85の油圧が低ければ、ライン圧を供給して油路85の油圧を上げることにより、油路85の油圧による下方向に押す力とスプリングによる上方向に押す力が釣り合うように、油路85は調圧される。予め、スプリング力は、油路85に供給される油圧がリダクションブレーキB3を締結しない油圧となるように設定されているため、油路68に供給されるライン圧は、十分に減圧され油路85に供給される。
【0042】
油路68にライン圧が供給され、油路83がドレーンされ、かつ油路82に油圧が供給されている場合には、油路85の油圧による下方向に押す力と、スプリングによる上方向に押す力と油路82の油圧による上方向に押し上げる力の和が釣り合うように、油路85は調圧される。このとき、油路85の油圧は、油路82に油圧が供給されない時に油路85から出力される油圧より大きな油圧に調圧されるが、油路68に供給されるライン圧より大きくなることはない。
【0043】
油路83にRレンジ圧が供給された場合には、油路85の油圧がドレーンされることがないので、バルブは下に押し下げられ、図中破線で示すように、油路83と油路85が連通するため、油路85にはRレンジ圧が供給される。油路82はリダクションタイミングバルブVFに接続され、油路85は、リダクションブレーキB3と接続する油路86及び油路55にも接続されている。また、マニュアルバルブ42から出力されるRレンジ圧は油路84及び油路87を介してリバースクラッチC1にも供給されている。
【0044】
リダクションタイミングバルブVFには、下方向に押す力として、リダクションタイミングソレノイドバルブSEに接続された油路88の油圧が作用し、上方向に押す力として、スプリング力が作用する。まず、リダクションタイミングソレノイドバルブSEがオンされ、油路88に油圧が供給されると、リダクションタイミングバルブVFが押し下げられ、破線で示すように、油路82はドレーンされる。
【0045】
リダクションタイミングソレノイドバルブSEがオフされ、油路88に油圧が供給されていない場合には、リダクションタイミングバルブVFは押し上げられ、実線で示すように、油路89が油路82と連通する。油路89には、図示省略されたアキュームコントロールバルブからアキュームコントロール圧(図中Aと表示)が供給されている。アキュームコントロール圧はリダクションタイミングバルブVF、油路82を介して、リダクションレデューシングバルブVEに作用した場合には、リダクションレデューシングバルブVEはライン圧を、リダクションブレーキB3が締結するに十分な油圧まで減圧して油路85に出力するように、設定されている。
【0046】
ATCU41は、運転者が手動操作によりシフトポジションとしてDレンジを選択した場合には、自動的に前進5速のなかから、走行状態に応じて適切な変速段を選択し、選択した変速段に応じてソレノイドバルブSA,SB及びSCのオン,オフ状態を制御する。また、運転者が3レンジを選択した場合には、3速以下の前進3速のなかから、走行状態に応じて適切な変速段を選択し、2レンジを選択した場合には、2速以下の前進2速のなかから、走行状態に応じて適切な変速段を選択し、選択した変速段に応じてソレノイドバルブSA,SB及びSCのオン,オフ状態を制御する。
【0047】
さらに、ATCU41は、5速及び後進段が選択された場合には、リダクションタイミングソレノイドバルブSEをオン状態に保つ。4速以下の前進段が選択された場合には、リダクションタイミングソレノイドバルブSEをオフ状態とするが、自動変速で、5速から4速へ変速された場合、すなわちDレンジでの5速からDレンジでの4速へダウンシフトした場合と、手動変速により5速から4速へ変速された場合、すなわちDレンジでの5速から4レンジでの4速にダウンシフトした場合には異なった制御を行う。
【0048】
まずDレンジでの5速からDレンジでの4速へダウンシフトした場合には、リダクションタイミングソレノイドバルブSEを所定時間オン状態に保った後、リダクションタイミングソレノイドバルブSEをオフ状態にする。Dレンジでの5速から4レンジでの4速にダウンシフトした場合には、直ちにリダクションタイミングソレノイドバルブSEをオフ状態にする。
【0049】
次に本発明に関連する変速段における油圧の供給状態を説明する。
[第1速の油圧供給状態]
第1速における油圧の供給状態を説明する。図4は、Dレンジで1速が選択された場合の油圧の供給状態を示している。ATCU41により、ソレノイドバルブSA、SB、SC及びSDはオン状態に制御される。このため、シフトバルブVA、VB、VC及びVDは、第1の状態となる。この場合には、油路66に供給されたDレンジ圧は、シフトバルブVB、油路70を介してロークラッチC3に供給され、ロークラッチC3は締結される。
【0050】
また、リダクションタイミングソレノイドバルブSEはオフされ、アキュームコントロール圧Aが油路82を介してシフトバルブVEを作動させることで、油路65に供給されたライン圧は、シフトバルブVB、油路68及びシフトバルブVEを介してリダクションブレーキB3に供給され、リダクションブレーキB3も締結される。また、ロークラッチタイミングソレノイドバルブSDはオンされているが、油路の連通には寄与していない。
【0051】
[第2速の油圧供給状態]
第2速における油圧の供給状態を説明する。図5は、Dレンジで2速が選択された場合の油圧の供給状態を示している。ATCU41により、ソレノイドバルブSA、SB及びSDはオン状態に制御される。このため、シフトバルブVA及びVBは、第1の状態となる。この場合には、油路66に供給されたDレンジ圧は、シフトバルブVB、油路70を介してロークラッチC3に供給され、ロークラッチC3は締結される。
【0052】
また、油路73に供給されたDレンジ圧はシフトバルブVC、油路74、油路51、シフトバルブVA及び油路58を介して2−4ブレーキB2に供給され、2−4ブレーキB2は締結される。
【0053】
また、リダクションタイミングソレノイドバルブSEはオフされ、アキュームコントロール圧Aが油路82を介してシフトバルブVEを作動させることで、油路65に供給されたライン圧は、シフトバルブVB、油路68及びシフトバルブVEを介してリダクションブレーキB3に供給され、リダクションブレーキB3も締結される。また、ロークラッチタイミングソレノイドバルブSDはオンされているが、油路の連通には寄与していない。
【0054】
[第5速の油圧供給状態]
第5速における油圧の供給状態を説明する。図6は、Dレンジで5速が選択された場合の油圧の供給状態を示している。ATCU41により、ソレノイドバルブSA及びSCはオン状態に制御され、ソレノイドバルブSBはオフ状態に制御される。このため、シフトバルブVA及びVCは、第1の状態となり、シフトバルブVBは第2の状態となる。この場合には、油路66に供給されたDレンジ圧は、シフトバルブVB、油路69、油路80、油路52、シフトバルブVA及び油路59を介してハイクラッチC2に供給され、ハイクラッチC2は締結される。
【0055】
また、油路80に供給されたDレンジ圧は、油路54、シフトバルブVA及び油路60を介してダイレクトクラッチC4に供給され、ダイレクトクラッチC4も締結される。さらに、油路69に供給されたDレンジ圧は、油路72、シフトバルブVC、油路74、油路51、シフトバルブVA及び油路58を介して2−4ブレーキB2に供給され、2−4ブレーキB2も締結される。
【0056】
ロウリバースブレーキB1、リダクションブレーキB3、リバースクラッチC1及びロークラッチC3に接続された油路は、油圧が供給されている油路と連通されていないため、油圧が供給されず、ロウリバースブレーキB1、リダクションブレーキB3、リバースクラッチC1及びロークラッチC3は開放されている。また、ロークラッチタイミングソレノイドバルブSDはオンされているが、油路の連通には寄与していない。なお、リダクションタイミングソレノイドバルブSEはオンされ、油路82は図中破線で示すように、ドレーンされている。
【0057】
[第1速でシフトバルブSBが断線した場合の油圧供給状態]
第1速でシフトバルブSBが断線した場合における油圧の供給状態を説明する。図7は、Dレンジで1速が選択され、シフトバルブSBが断線した場合の油圧の供給状態を示している。ATCU41により、ソレノイドバルブSA、SB、SC及びSDはオン状態に制御されるが、断線によりソレノイドバルブSBはオフ状態となる。このため、シフトバルブVA及びVCは、第1の状態となり、シフトバルブVBは第2の状態となる。この場合には、油路66に供給されたDレンジ圧は、シフトバルブVB、油路69、油路80、油路52、シフトバルブVA及び油路59を介してハイクラッチC2に供給され、ハイクラッチC2は締結される。
【0058】
また、油路80に供給されたDレンジ圧は、油路54、シフトバルブVA及び油路60を介してダイレクトクラッチC4に供給され、ダイレクトクラッチC4も締結される。さらに、油路69に供給されたDレンジ圧は、油路72、シフトバルブVC、油路74、油路51、シフトバルブVA及び油路58を介して2−4ブレーキB2に供給され、2−4ブレーキB2も締結される。
【0059】
ロウリバースブレーキB1、リダクションブレーキB3、リバースクラッチC1及びロークラッチC3に接続された油路は、油圧が供給されている油路と連通されていないため、油圧が供給されず、ロウリバースブレーキB1、リダクションブレーキB3、リバースクラッチC1及びロークラッチC3は開放されている。また、ロークラッチタイミングソレノイドバルブSDはオンされているが、油路の連通には寄与していない。なお、リダクションタイミングソレノイドバルブSEはオフされ、アキュームコントロール圧AがシフトバルブVF及び油路82を介してシフトバルブVEに供給されているが、油路68に油圧が供給されていないため、リダクションブレーキB3は締結しない。
【0060】
この締結状態は、第5速と同一の締結要素が締結しているため、第1速時にシフトバルブVBが断線するとギア比は第5速となる。
【0061】
[第2速でシフトバルブSBが断線した場合の油圧供給状態]
第2速でシフトバルブSBが断線した場合における油圧の供給状態を説明する。図8は、Dレンジで2速が選択され、シフトバルブSBが断線した場合の油圧の供給状態を示している。ATCU41により、ソレノイドバルブSA、SB及びSDはオン状態に制御されるが、断線によりソレノイドバルブSBはオフ状態となる。このため、シフトバルブVA、第1の状態となり、シフトバルブVB及びシフトバルブVCは第2の状態となる。この場合には、油路66に供給されたDレンジ圧は、シフトバルブVB、油路69、油路80、油路52、シフトバルブVA及び油路59を介してハイクラッチC2に供給され、ハイクラッチC2は締結される。
【0062】
また、油路80に供給されたDレンジ圧は、油路54、シフトバルブVA及び油路60を介してダイレクトクラッチC4に供給され、ダイレクトクラッチC4も締結される。
【0063】
さらに、油路73に供給されたDレンジ圧はシフトバルブVC、油路74、油路51、シフトバルブVA及び油路58を介して2−4ブレーキB2に供給され、2−4ブレーキB2も締結される。
【0064】
ロウリバースブレーキB1、リダクションブレーキB3、リバースクラッチC1及びロークラッチC3に接続された油路は、油圧が供給されている油路と連通されていないため、油圧が供給されず、ロウリバースブレーキB1、リダクションブレーキB3、リバースクラッチC1及びロークラッチC3は開放されている。また、ロークラッチタイミングソレノイドバルブSDはオンされているが、油路の連通には寄与していない。なお、リダクションタイミングソレノイドバルブSEはオフされ、アキュームコントロール圧AがシフトバルブVF及び油路82を介してシフトバルブVEに供給されているが、油路68に油圧が供給されていないため、リダクションブレーキB3は締結しない。
【0065】
この締結状態は、第5速と同一の締結要素が締結しているため、第2速時にシフトバルブVBが断線するとギア比は第5速となる。
【0066】
[第1,2速時のシフトバルブVB断線によるフェール制御]
上述したように、第1,2速時にシフトバルブVBが断線すると、第5速となることから、シフトバルブVBのフェールを検出する本発明のシフトバルブVBのフェール制御について説明する。
図9は本発明の実施例であるシフトバルブVBのフェール検出及びフェール制御を表すフローチャートである。以下、フローチャートに基づいて説明する。
【0067】
ステップ101では、前進レンジであるかどうかを確認し、前進レンジであればステップ102へ進み、それ以外は本制御を終了する。
【0068】
ステップ102では、1,2速領域で加速しているかどうかを判断し、加速中と判断したときはステップ103へ進み、それ以外は本制御を終了する。
【0069】
ステップ103では、実ギア比を検出する。尚、実ギア比は変速機への入力回転数であるタービン回転数と変速機の出力回転数である出力軸回転数から検出することができる。
【0070】
ステップ104では、実ギア比が所定時間5速土10%のギア比かどうかを判断し、所定時間以上5速土10%のギア比のときはステップ105へ進み、それ以外は本制御を終了する。
【0071】
ステップ105では、シフトバルブVBの作動を制御するシフトソレノイドSBを所定時間Tの間、強制OFFする。
【0072】
ステップ106では、シフトソレノイドSBの強制OFFの間にシフトソレノイドSBが作動したかどうかを判断し、シフトソレノイドSBが作動しなければステップ107に進み、作動していればステップ108に進む。
【0073】
ステップ107では、シフトソレノイドSB又はシフトバルブVBのフェールであると判断してシフトソレノイドSBフェール時の制御を行う。
【0074】
ステップ108では、他のフェール制御を行う。
【0075】
すなわち、前進レンジで、1,2速領域で加速していると判断したときは実ギア比を検出する。このとき、実際には、1速もしくは2速の指令が出力されているにも関わらず、実ギア比が所定時間5速土10%のギア比を検出したときは、第1速及び第2速におけるシフトソレノイドSBの断線時の油圧供給状態で説明したように、シフトソレノイドSB又はシフトバルブVBのフェールが発生している可能性が極めて高い。ここで、シフトバルブVBの作動を制御するシフトソレノイドSBを所定時間Tの間、強制OFFし、その間にギア比に変化があるかどうかを判断する。この強制OFF時間は、油圧・容量変化に影響を及ぼさない範囲の時間とする。また、5速土10%のギア比と実ギア比を比較するのは、低車速領域でも確実に実ギア比と近傍領域とを比較判断するためである。
【0076】
そして、強制OFFによってシフトソレノイドSBが作動しているかどうかを確認し、シフトソレノイドSB又はシフトバルブVBのフェールであると判断して、ギア比異常を記憶せず、シフトソレノイドSBの異常を記憶し、シフトソレノイドSBフェール時の制御を行う。
【0077】
ここで、シフトソレノイドSBの作動確認が一回のみ行われる。すなわち、シフトソレノイドSB強制OFFは、基本的にフェールの原因が推定された状態で再度確認するものであるため、作動確認を一回のみ行えば十分であり、異音等を発生させることなく、確実にフェールの状況に応じたフェール制御を行うことができる。
【0078】
尚、シフトソレノイドSBの強制OFFによって、シフトソレノイドSBが作動した場合は、他のフェールが考えられるため、他のフェールを検出するフェール制御へ移行する。このフェール制御については、例えば特開平5−215229号公報に記載のフェール制御を行えばよいため、省略する。
【0079】
以上説明したように、本発明の実施例における自動変速機の変速制御装置にあっては、検出された実ギア比が第5速のギア比近傍と判断した時点で、シフトソレノイドSBがフェールしていることが、ある程度推定できる。しかし、単純な実ギア比検出フェールや、締結要素の滑り等によるフェールの可能性があるため、シフトソレノイドSBを強制的に所定時間OFFすることで、作動確認を行う。
【0080】
そして、シフトソレノイドSBのフェールと確認されたときは、シフトソレノイドSBのフェールが記憶されるとともに、予め設定されたフェール制御が行われる。これにより、フェールの原因を特定できるとともに、その原因に応じたフェール制御を行うことができるため、より安全性を確保することができる。
【0081】
また、第5速のギア比近傍領域が、第5速のギア比よりも所定割合(10%)大きな値よりも小さく、所定割合(10%)小さな値よりも大きな値とされている。すなわち、ギア比を検出する際、例えば変速機入力回転数と変速機出力回転数の比を算出することで検出される。このとき、低速度領域では、変速機入出力回転数が小さいため、変速機入力回転数もしくは変速機出力回転数に予め設定された回転数を加算した値を用いてギア比を算出すると、誤差が大きくなってしまう。よって、算出されたギア比の所定割合によって近傍領域を設定することで、低車速領域でも確実に実ギア比と近傍領域とを比較判断することができる。
【0082】
また、強制的にOFFする所定時間が、自動変速機内の油圧変化や容量変化が起こらない範囲の時間とされたことで、作動確認によって自動変速機の締結状態等に変化を及ぼすことがなく、安全性を確保することができる。
【0083】
また、シフトソレノイドSBの作動確認が一回のみ行われる。すなわち、シフトソレノイドSBの断線フェールではなく、例えば機械的要因(シフトバルブのスティックや、締結要素の滑り)等が原因の場合は、検出される実ギア比が第5速のギア比近傍領域にある間は何度も作動確認が行われてしまうことで、シフトソレノイドSBの作動音が異音として発生してしまう。ところが、基本的にフェールの原因が推定された状態で再度確認するものであるため、作動確認を一回のみ行うことで、異音等を発生させることなく、確実にフェール制御を行うことができる。
【0084】
(他の実施例)
以上、本発明の自動変速機の油圧制御装置を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に記載された本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。例えば、本実施例においては、Dレンジ、4レンジ、3レンジ、2レンジ及び1レンジを備えた自動変速機の制御装置に本発明を適用したが、これに限定されるわけではなく、Dレンジ、4レンジ、3レンジ、2レンジに加えて、手動で変速段を選択するレンジを備えたものでもよい。また、直動式自動変速機に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における自動変速機のスケルトン図である。
【図2】実施の形態における自動変速機の締結論理表である。
【図3】実施の形態における自動変速機の油圧制御システムを表すシステム図である。
【図4】実施の形態における自動変速機の第1速におけるソレノイドバルブのオン・オフ状態及び油路の連通状態を表す図である。
【図5】実施の形態における自動変速機の第2速におけるソレノイドバルブのオン・オフ状態及び油路の連通状態を表す図である。
【図6】実施の形態における自動変速機の第5速におけるソレノイドバルブのオン・オフ状態及び油路の連通状態を表す図である。
【図7】実施の形態における自動変速機の第1速時にシフトソレノイドSBがフェールした場合におけるソレノイドバルブのオン・オフ状態及び油路の連通状態を表す図である。
【図8】実施の形態における自動変速機の第2速時にシフトソレノイドSBがフェールした場合におけるソレノイドバルブのオン・オフ状態及び油路の連通状態を表す図である。
【図9】実施の形態における自動変速機のシフトソレノイドSBがフェールした場合におけるフェール制御を表すフローチャートである。
【符号の説明】
10 トルクコンバータ
11 ロックアップ機構
12 主変速機構
14 副変速機構
16 ファイナルドライブ機構
20,32 軸
24 主出力ギア
28 副入力ギア
34 副出力ギア
36 ファイナルギア
41 ATCU(変速制御部)
42 マニュアルバルブ
50〜89 油路
B1 ロウリバースブレーキ
B2 2−4ブレーキ
B3 リダクションブレーキ
C1 リバースクラッチ
C2 ハイクラッチ
C3 ロークラッチ
C4 ダイレクトクラッチ
G1 第1遊星歯車機構
G2 第2遊星歯車機構
G3 第3遊星歯車機構
OC1 ロウワンウェイクラッチ
OC2 リダクションワンウェイクラッチ
SA,SB,SC ソレノイドバルブ
SD ロークラッチタイミングソレノイドバルブ
SE リダクションタイミングソレノイドバルブ
VA,VB,VC シフトバルブ
VD リバースインヒビットバルブ
VE リダクションレデューシングバルブ
VF リダクションタイミングバルブ
Claims (5)
- 複数の摩擦要素の締結又は解放の組み合わせにより実現する複数の前進変速段及び後進変速段を備え、走行状態に応じた自動変速又は手動操作による手動操作により、前記複数の前進変速段をシフトソレノイドにより制御された複数のシフトバルブのオン・オフ状態によって切り換える自動変速機の変速制御装置において、
自動変速機の実ギア比を検出する実ギア比検出手段と、
前記シフトバルブの少なくとも1つがオン状態となることで達成する第1の変速段による走行時に、検出された実ギア比が、前記第1の変速段を達成するシフトバルブの少なくとも1つがフェールすることで達成される第2の変速段のギア比近傍領域かどうかを判断するフェール判断手段と、
検出された実ギア比が前記第2の変速段のギア比近傍と判断したときは、フェールしたと考えられる前記シフトバルブの作動を制御するシフトソレノイドを強制的に所定時間OFFし、前記シフトソレノイドの作動を確認するフェール確認手段と、
該フェール確認手段により前記第1の変速段を達成するシフトソレノイドのフェールと確認されたときは、前記第1の変速段を達成するシフトソレノイドのフェールを記憶するとともに、予め設定されたフェール制御を行い、該フェール確認手段により前記第 1 の変速段を達成するシフトソレノイドのフェールと確認されないときは、該予め設定されたフェール制御とは異なる他のフェール制御を行うフェール制御手段と、
を備えていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 - 請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置において、
前記フェール判断手段において判断する第2の変速段のギア比近傍領域を、前記第2の変速段のギア比よりも所定割合大きな値よりも小さく、所定割合小さな値よりも大きな値としたことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 - 請求項1または2に記載の自動変速機の変速制御装置において、
前記フェール確認手段において強制的にOFFする所定時間を、自動変速機内の油圧変化や容量変化が起こらない範囲の時間としたことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 - 請求項1ないし3に記載の自動変速機の変速制御装置において、
前記フェール確認手段は、前記シフトソレノイドの作動確認を一回のみ行うことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 - 請求項1ないし4に記載の自動変速機の変速制御装置において、
前記自動変速機を、第1サンギアと第1キャリアと第1リングギアとを有する第1遊星歯車機構と、第2サンギアと第2キャリアと第2リングギアとを有する第2遊星歯車機構と、第3サンギアと第3キャリアと第3リングギアとを有する第3遊星歯車機構と、前記第2サンギアに直結されている入力部材と、前記入力部材と前記第1サンギアとを選択的に断接する第1クラッチと、前記入力部材と第2キャリアとを選択的に断接する第2クラッチと、前記第1キャリアと前記第2リングギアとを選択的に断接する第3クラッチと、前記第3キャリアと前記第3リングギアとを選択的に断接する第4クラッチと、前記第2キャリアと変速機ケースとを選択的に断接する第1ブレーキと、前記第1サンギアと変速機ケースとを選択的に断接する第2ブレーキと、前記第3リングギアと変速機ケースとを選択的に断接する第3ブレーキと、前記第3キャリアに直結されている出力部材とを備え、
前記第1クラッチと第2クラッチと第3クラッチと第4クラッチと第1ブレーキと第2ブレーキと第3ブレーキへの締結圧を制御する第1,第2及び第3シフトバルブと、前記第1シフトバルブの作動を制御する第1シフトソレノイドと、前記第2シフトバルブの作動を制御する第2シフトソレノイドと、前記第3シフトバルブの作動を制御する第3シフトソレノイドと、を備えた自動変速機とし、
前記変速制御装置を、前記第1,第2及び第3シフトバルブを作動することで第3クラッチと第3ブレーキを締結することにより第1速、前記第1及び第2シフトバルブを作動することで第3クラッチと第2ブレーキと第3ブレーキを締結することにより第2速、前記第2シフトバルブを作動することで第2クラッチと第3クラッチと第3ブレーキを締結することにより第3速、前記第3シフトバルブを作動することで第2クラッチと第2ブレーキと第3ブレーキを締結することにより第4速、前記第1及び第3シフトバルブを作動することで第2クラッチと第2ブレーキと第4クラッチを締結することにより第5速の前進ギア段を達成する変速制御手段を有する変速制御装置とし、
前記第1の変速段を第1速または第2速とし、前記第2の変速段を第5速とし、前記作動を確認するシフトソレノイドを前記第2シフトソレノイドとしたことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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