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JP4109402B2 - 車両の油圧式パワーステアリング装置 - Google Patents

車両の油圧式パワーステアリング装置 Download PDF

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JP4109402B2
JP4109402B2 JP2000032254A JP2000032254A JP4109402B2 JP 4109402 B2 JP4109402 B2 JP 4109402B2 JP 2000032254 A JP2000032254 A JP 2000032254A JP 2000032254 A JP2000032254 A JP 2000032254A JP 4109402 B2 JP4109402 B2 JP 4109402B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の油圧式パワーステアリング装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラックや建設作業機械等の大型車両には、エンジンに駆動されるメインポンプの故障等によりパワーアシストが失陥した場合に対処して、メインポンプに代わって作動油圧を発生するエマージェンシーポンプを備えるものがある。
【0003】
従来、エマージェンシーポンプを車輪への動力伝達機構を介して車両の走行時に常時駆動するものがあった。このエマージェンシーポンプから吐出される作動油は通常タンクへと放流され、メインポンプの故障時等に手動で操作される切換弁を介してパワーステアリング機構に導かれてパワーアシストが得られるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の車両の油圧式パワーステアリング装置にあっては、エマージェンシーポンプの回転速度が車速に応じて大きく変動するため、エマージェンシーポンプとして吐出容量が変えられない一定容量式のものが用いられると、高速走行時には大量の吐出作動油がタンクへと放流される。このため、作動油温度が上昇し、エマージェンシーポンプの駆動エネルギー損失が増大したり騒音が発生するという問題点があった。
【0005】
また、メインポンプが正常に作動する通常時にエマージェンシーポンプから吐出される作動油流量を減らして、エマージェンシーポンプの駆動エネルギー損失を削減したいという要求があった。
【0006】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、車両の油圧式パワーステアリング装置において、効率の良いフェールセーフ機構を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、油圧により操舵力を補助するパワーステアリング機構と、原動機に駆動されるメインポンプと、メインポンプから吐出される作動油をパワーステアリング機構に導くメイン通路と、車輪により動力伝達機構を介して駆動される吐出容量可変型のエマージェンシーポンプと、エマージェンシーポンプから吐出される作動油をメインポンプの吐出流量低下時にパワーステアリング機構に導くエマージェンシー通路と、前記エマージェンシーポンプの吐出容量を前記エマージェンシーポンプの回転速度に応じて調節する制御手段と、を備え、前記制御手段が、前記エマージェンシーポンプの吐出容量を調節する油圧アクチュエータと、前記エマージェンシーポンプから吐出される作動油が流れる流量検出抵抗と、前記流量検出抵抗の前後差圧に応じて前記油圧アクチュエータに導かれる作動油圧を調節するレギュレータバルブと、を備えたことを特徴とするものとした。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、エマージェンシーポンプとしてアキシャル型のポンプを用い、車両の前進時にエマージェンシーポンプからエマージェンシー通路に向かう作動油の流れに対して開弁するチェック弁と、車両の前進時にエマージェンシーポンプに吸い込まれる作動油の流れに対して開弁するチェック弁と、車両の後進時にエマージェンシーポンプからエマージェンシー通路に向かう作動油の流れに対して開弁するチェック弁と、車両の後進時にエマージェンシーポンプに吸い込まれる作動油の流れに対して開弁するチェック弁とを備えたことを特徴とするものとした。
【0009】
の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明において、パワーステアリング機構に対してエマージェンシー通路を選択的に連通させる切換バルブを備え、切換バルブがメインポンプの吐出圧に応じて切換作動する構成としたことを特徴とするものとした。
【0011】
の発明は、第1または第2の発明において、メインポンプの吐出圧が高まるのに伴って流量検出抵抗を構成する絞りを小さくする流量検出抵抗調節手段を備えたことを特徴とするものとした。
【0012】
第4の発明は、車両の前進時にエマージェンシーポンプから吐出する作動油が流れるチェック弁と、車両の後進時にエマージェンシーポンプから吐出する作動油が流れるチェック弁と、各チェック弁の前後差圧に応じて油圧アクチュエータに導かれる作動油圧を調節するレギュレータバルブとを備えたことを特徴とするものとした。
【0013】
の発明は、第から第のいずれか一つの発明において、パワーステアリング機構に対してエマージェンシー通路を選択的に連通させる切換バルブを備え、切換バルブはパワーステアリング機構に対してエマージェンシー通路を連通しないポジションにて記エマージェンシー通路をタンクに連通するたことを特徴とするものとした。
【0014】
の発明は、第から第のいずれか一つの発明において、エマージェンシーポンプの吐出容量を調節する第二油圧アクチュエータを備え、第二油圧アクチュエータにメインポンプの吐出圧を導き、メインポンプの吐出圧が上昇するのに伴いエマージェンシーポンプの吐出容量が減少するように構成としたことを特徴とするものとした。
【0015】
の発明は、第1から第7のいずれか一つの発明において、エマージェンシーポンプの吐出圧が上昇するのに伴ってエマージェンシーポンプの吐出容量を減らすカットオフバルブを備えたことを特徴とするものとした。
【0016】
の発明は、第から第のいずれか一つの発明において、エマージェンシーポンプの吐出圧が上昇するのに伴ってエマージェンシーポンプの吐出容量を減らすカットオフバルブを備え、パワーステアリング機構に対してエマージェンシー通路を選択的に連通させる切換バルブを備え、切換バルブはパワーステアリング機構に対してエマージェンシー通路を連通しないポジションにてエマージェンシー通路を閉塞することを特徴とするものとした。
【0017】
10の発明は、第または第の発明において、カットオフバルブのポジションを切換える信号圧としてエマージェンシーポンプの吐出圧が導かれるとともにメインポンプの吐出圧が導かれることを特徴とするものとした。
【0018】
【発明の作用および効果】
第1の発明によると、エマージェンシーポンプの吐出容量が運転条件に応じて制御され、例えばメインポンプが正常に作動する通常の運転時に、エマージェンシーポンプの吐出容量を減らすことが可能となる。このため、作動油温度の上昇が抑えられ、エマージェンシーポンプの駆動エネルギー損失を低減するとともに、騒音を抑えられる。
【0019】
第2の発明によると、アキシャル型のエマージェンシーポンプは車両の前進時と後退時での回転方向が逆転するのに伴って作動油の吐出方向が逆転するが、エマージェンシーポンプから吐出する作動油は各チェック弁を介してエマージェンシー通路に導かれ、パワーステアリング機構を作動させることができる。
【0020】
の発明によると、メインポンプの吐出圧が不足する非常時に、切換バルブが自動的にエマージェンシー通路をパワーステアリング機構に連通し、メインポンプに代わってエマージェンシーポンプから吐出される作動油がパワーステアリング機構に導かれる。このため、切換バルブを操作する手間が省ける。
【0021】
の発明によると、レギュレータバルブが流量検出抵抗の前後差圧に応じて油圧アクチュエータに導かれる作動油圧を調節してエマージェンシーポンプの吐出流量を抑える。このため、高速走行時にエマージェンシーポンプから大量の作動油が放流されずに済み、作動油温度の上昇が抑えられ、エマージェンシーポンプの駆動エネルギー損失を低減するとともに、騒音を抑えられる。
【0022】
の発明によると、メインポンプが正常に作動する通常時に流量検出抵抗を構成する絞りが小さくなるため、通常時は非常時よりエマージェンシーポンプの吐出容量をより減らして、エマージェンシーポンプの駆動エネルギー損失を削減できる。
【0023】
の発明によると、チェック弁の抵抗を異ならせることにより車両の前進時と後進時でエマージェンシーポンプの吐出容量を変えられ、アシスト力を適宜に設定できる。
【0024】
の発明によると、メインポンプが正常に作動する通常時に切換バルブがエマージェンシー通路をタンクに連通するポジションに切換わるのに伴って、流量検出抵抗に作動油が流れ、レギュレータバルブが流量検出抵抗の前後差圧に応じて油圧アクチュエータに導かれる作動油圧を調節してエマージェンシーポンプの吐出流量を抑える。このため、非常時だけでなく通常時にもエマージェンシーポンプの駆動エネルギー損失を低減するとともに、騒音を抑えられる。
【0025】
の発明によると、メインポンプが正常に作動している通常時にメインポンプの吐出圧が上昇するのに伴いエマージェンシーポンプの吐出容量が減少し、通常時におけるエマージェンシーポンプの駆動エネルギー損失を低減できる。
【0026】
の発明によると、エマージェンシーポンプの吐出圧が上昇するのに伴ってカットオフバルブがエマージェンシーポンプの吐出容量を減らすため、パワーステアリング機構にリリーフバルブを備える必要がなく、エマージェンシーポンプの駆動エネルギー損失を低減する。
【0027】
の発明によると、メインポンプが正常に作動する通常時に切換バルブがエマージェンシー通路を閉塞するポジションに切換わるのに伴って、エマージェンシーポンプの吐出圧が上昇し、カットオフバルブがエマージェンシーポンプの吐出容量を減らす。このため、通常時におけるエマージェンシーポンプの駆動エネルギー損失を低減できる。
【0028】
10の発明によると、カットオフバルブの信号圧としてメインポンプの吐出圧が導かれる分、カットオフバルブのポジションを切換えるのに必要なエマージェンシーポンプの吐出圧が小さくて済み、通常時におけるエマージェンシーポンプの駆動エネルギー損失を低減できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0030】
図1に示すように、車両の油圧式パワーステアリング装置は、油圧により操舵力を補助するパワーステアリング機構10と、エンジン(原動機)2に駆動されるメインポンプ1と、メインポンプ1から吐出される作動油をパワーステアリング機構10に導くメイン通路11と、作動油を貯蔵するタンク3を備える。メインポンプ1はリリーフバルブを内蔵し、その吐出圧が所定値以下に抑えられる。
【0031】
パワーステアリング機構10は、図示しないが、出力部であるパワーシリンダと、ハンドル入力に対してパワーシリンダへの油路の切換と油圧の制御をするコントロールバルブ等を備え、操舵力を軽減するパワーアシストを行う。
【0032】
エンジン2やメインポンプ1の故障等によりパワーアシストが失陥した場合に対処して、メインポンプ1に代わって作動油圧を発生するエマージェンシーポンプ4と、エマージェンシーポンプ4から吐出される作動油をパワーステアリング機構10に導くエマージェンシー通路21とを備える。
【0033】
エマージェンシーポンプ4は車輪の動力伝達機構6を介して駆動される。動力伝達機構6はデファレンシャルギアやドライブシャフト等を備えてエンジン2の動力を車輪に伝達するものである。エマージェンシーポンプ4には車輪の回転が動力伝達機構6から図示しない減速ギアを介して伝えられ、車両の走行時に常時駆動される。
【0034】
エマージェンシーポンプ4は可逆回転型で、かつその吐出容量(ポンプ押しのけ容積)を可変とする吐出容量可変型の斜板式ピストンポンプが用いられる。斜板式ピストンポンプは油圧アクチュエータ22を介してその斜板傾転角度が調節されることにより、吐出容量(ポンプ押しのけ容積)が変化する。アクチュエータ22はこれに導かれる作動油圧が上昇するのに伴いスプリング23に抗して斜板傾転角度を小さくし、エマージェンシーポンプ4の吐出容量を減らす。
【0035】
なお、吐出容量可変型エマージェンシーポンプ4として例えば斜軸式のポンプや他の型式のポンプを用いてもよい。
【0036】
エマージェンシーポンプ4は車両の前進時と後進時にその回転方向が逆転するのに伴って作動油の吐出方向が切換わる一対のポートを備える。各ポートは出口側通路24,25を介してエマージェンシー通路21に接続されるとともに、入口側通路26,27を介してタンク3に連通する。各通路21〜27にはチェック弁34〜37がそれぞれ介装される。
【0037】
車両の前進時、タンク3の作動油が入口側通路27を通ってエマージェンシーポンプ4に吸い込まれ、エマージェンシーポンプ4から吐出される作動油が出口側通路24を通ってエマージェンシー通路21へと導かれる。車両の後進時、タンク3の作動油が入口側通路26を通ってエマージェンシーポンプ4に吸い込まれ、エマージェンシーポンプ4から吐出される作動油が出口側通路25を通ってエマージェンシー通路21へと導かれる。
【0038】
すなわち、アキシャル型のエマージェンシーポンプ4は車両の前進時と後退時での回転方向が逆転するのに伴って作動油の吐出方向が逆転するが、エマージェンシーポンプ4から吐出する作動油は各チェック弁34〜37を介してエマージェンシー通路21に導かれ、パワーステアリング機構10を作動させることができる。
【0039】
なお、チェック弁34,35を設ける代わりに出口側通路24,25を高圧選択弁を介してエマージェンシー通路21に選択的に接続するように構成してもよい。
【0040】
切換バルブ5はそのポジションを切換える信号圧としてメインポンプ1の吐出圧が導かれる。切換バルブ5はメインポンプ1の吐出圧が所定値以上に高い通常時に放流ポジションbに切換わり、メインポンプ1の吐出圧が所定値より低い非常時にスプリングの付勢力によって開通ポジションaに切換わる。これにより、メインポンプ1の吐出圧が不足する非常時に、切換バルブ5が自動的にエマージェンシー通路21をパワーステアリング機構10に連通し、メインポンプ1に代わってエマージェンシーポンプ4から吐出される作動油がパワーステアリング機構10に導かれる。したがって、切換バルブ5を操作する手間が省ける。
【0041】
メイン通路11のエマージェンシー通路21に対する接続部より上流側にチェック弁12が介装される。チェック弁12によってエマージェンシー通路21から導かれる作動油がメイン通路11を介してメインポンプ1へと逆流することが阻止される。
【0042】
エマージェンシー通路21の途中には流量検出抵抗(オリフィス)9が介装され、エマージェンシーポンプ4から吐出される作動油の全量が流量検出抵抗9を流れるようにする。これにより、エマージェンシーポンプ4の吐出流量が増えるのに応じて流量検出抵抗9の前後差圧ΔPが高まる。
【0043】
アクチュエータ22とエマージェンシー通路21の流量検出抵抗9より上流側を連通するアクチュエータ通路28が配設され、アクチュエータ通路28の途中にはレギュレータバルブ29が介装される。レギュレータバルブ29はアクチュエータ通路28を開通させる開通ポジションcと、アクチュエータ通路28を遮断しアクチュエータ22をタンク3に連通する放流ポジションdとを有する。
【0044】
レギュレータバルブ29のポジションを切換える信号圧として流量検出抵抗9の前後差圧ΔPが導かれる。レギュレータバルブ29は前後差圧ΔPが所定値以上に高い場合に開通ポジションcに切換わり、アクチュエータ22を介してエマージェンシーポンプ4の吐出流量が減少する一方、前後差圧ΔPが所定値より低い場合にスプリングの付勢力によって放流ポジションdに切換わり、エマージェンシーポンプ4の吐出流量を略一定値以下に抑える。
【0045】
図2はエマージェンシーポンプ4の回転速度Nと吐出流量Qの関係を示す特性図である。エマージェンシーポンプ4の吐出容量が低速回転時に最大に保たれているため、回転速度Nが高まるのに比例して吐出流量Qが増大する。エマージェンシーポンプ4の回転速度Nが所定値を越えて上昇すると、吐出容量が回転速度Nが上昇するのに伴って減少し、吐出流量Qが設定値Qeに保たれる。また、切換バルブ5が放流ポジションbにある無負荷時(通常時)におけるエマージェンシーポンプ4の吐出流量Qoffと、切換バルブ5が開通ポジションaにある負荷時(非常時)の設定値Qeは等しい。
【0046】
以上のように構成されて、メインポンプ1の吐出圧が十分に得られる通常の運転時では、エマージェンシーポンプ4から吐出される作動油が切換バルブ5を介してタンク3へと放流される。検出抵抗9の前後差圧ΔPに応じてレギュレータバルブ29がエマージェンシーポンプ4の吐出流量Qを設定値に抑えるように制御することにより、高速走行時に大量の作動油が放流されずに済み、作動油温度の上昇が抑えられ、エマージェンシーポンプ4の駆動エネルギー損失を低減するとともに、騒音を抑えられる。
【0047】
また、メインポンプ1の吐出圧が不足する非常時では、エマージェンシーポンプ4から吐出される作動油が切換バルブ5を介してパワーステアリング機構10へと導かれ、パワーアシストが行われる。このとき、エマージェンシーポンプ4の吐出流量Qは車速が立ち上がるのに伴って速やかに設定値に至り、パワーステアリング機構10は十分な作動油の供給を受け、操舵に必要なアシスト力が得られる。車両の高速走行時にも吐出流量Qが設定値に保たれるため、パワーステアリング機構10のアシスト力が過大にならない。
【0048】
次に図3に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0049】
本実施の形態は、流量検出抵抗の機能をチェック弁34,35に持たせるもので、レギュレータバルブ29のポジションを切換える信号圧としてチェック弁34,35の前後差圧ΔPd,ΔPsが導かれる。
【0050】
アクチュエータ22と各出口側通路24,25の各チェック弁34,35より上流側とを結ぶアクチュエータ通路38が配設され、アクチュエータ通路38の途中にはレギュレータバルブ29が介装される。アクチュエータ通路38は高圧選択弁39を介して各出口側通路24,25の圧力の高いいずれか一方に連通する。
【0051】
この場合、車両の前進時に作動油はチェック弁34を流れ、チェック弁34の前後差圧ΔPdに応じてレギュレータバルブ29が作動する。一方、車両の後進時に作動油はチェック弁35を流れ、チェック弁35の前後差圧ΔPsに応じてレギュレータバルブ29が作動する。したがって、各チェック弁34,35を異ならせることにより、車両の前進時と後進時でエマージェンシーポンプ4の吐出容量を変えられ、アシスト力を適宜に設定できる。
【0052】
次に図4に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0053】
本実施の形態は、流量検出抵抗をメインポンプ1の吐出圧が高まるのに伴って大きくする流量検出抵抗調節手段として、エマージェンシー通路21の途中には大小の流量検出抵抗(オリフィス)8,9を切換える抵抗切換バルブ15が介装される。
【0054】
抵抗切換バルブ15はそのポジションを切換える信号圧としてメインポンプ1の吐出圧が導かれる。抵抗切換バルブ15はメインポンプ1の吐出圧が所定値以上に高い通常時に作動油を流路断面積の小さい流量検出抵抗8に導くポジションeに切換わり、メインポンプ1の吐出圧が所定値より低い非常時にスプリングの付勢力によって作動油を流路断面積の大きい流量検出抵抗9に導くポジションfに切換わる。
【0055】
この場合、メインポンプ1が正常に作動する通常時に非常時より少ない作動油流量でレギュレータバルブ29を作動させるのに必要な前後差圧ΔPが生じ、エマージェンシーポンプ4の吐出容量が減らされる。これにより、図5に示すように、切換バルブ5が放流ポジションbにある無負荷時(通常時)におけるエマージェンシーポンプ4の吐出流量Qoffは、切換バルブ5が開通ポジションaにある負荷時(非常時)の設定値Qeより大幅に減少する。このため、通常時におけるエマージェンシーポンプ4の駆動エネルギー損失を削減できる。
【0056】
次に図6に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0057】
本実施の形態は、エマージェンシーポンプ4の吐出圧が上昇するのに伴ってエマージェンシーポンプ4の吐出容量を減らすカットオフバルブ41を備える。
【0058】
カットオフバルブ41はアクチュエータ通路28のレギュレータバルブ29とアクチュエータ22の間に介装される。カットオフバルブ41はアクチュエータ通路28をレギュレータバルブ29を介してタンク3または切換バルブ5に連通させるポジションgと、レギュレータバルブ29を介して切換バルブ5のみに連通させるポジションhとを有する。
【0059】
カットオフバルブ41のポジションを切換える信号圧として流量検出抵抗9の上流からエマージェンシーポンプ4の吐出圧が導かれる。パワーステアリング機構10のパワーシリンダが伸びきった状態に対応してカットオフバルブ41は吐出圧が所定値以上に上昇するとポジションhに切換わる。
【0060】
この場合、パワーステアリング機構10のパワーシリンダが伸びきるのに伴ってエマージェンシーポンプ4の吐出圧が上昇すると、カットオフバルブ41がポジションhに切換わり、アクチュエータ22を介してエマージェンシーポンプ4の傾転角が零となる。これにより、図7に示すように、無負荷時(通常時)の吐出流量Qcut-offが零となるが、エマージェンシーポンプ4の吐出圧が維持される。この結果、パワーステアリング機構10にリリーフバルブを備える必要がなく、エマージェンシーポンプ4の駆動エネルギー損失を低減する。
【0061】
次に図8に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0062】
本実施の形態は、エマージェンシー通路21の途中には大小の流量検出抵抗8,9を切換える抵抗切換バルブ15が介装されるとともに、エマージェンシーポンプ4の吐出圧が上昇するのに伴ってエマージェンシーポンプ4の吐出容量を減らすカットオフバルブ41が介装される。
【0063】
抵抗切換バルブ15とカットオフバルブ41はそれぞれのポジションを切換える信号圧としてメインポンプ1の吐出圧が導かれる。
【0064】
この場合、図9に示すように、無負荷時(通常時)の吐出流量Qoffが負荷時(非常時)の吐出流量Qeより大幅に減少する。このため、通常時におけるエマージェンシーポンプ4の駆動エネルギー損失を削減できる。そして、カットオフバルブ41の作動時における吐出流量Qcut-offが零となるが、エマージェンシーポンプ4の吐出圧が維持される。この結果、パワーステアリング機構10にリリーフバルブを備える必要がなく、エマージェンシーポンプ4の駆動エネルギー損失を低減する。
【0065】
次に図10に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0066】
本実施の形態は、エマージェンシーポンプ4の吐出圧が上昇するのに伴ってエマージェンシーポンプ4の吐出容量を減らすカットオフバルブ41を備えるとともに、切換バルブ5はエマージェンシー通路21を閉塞する閉塞ポジションiを有する。
【0067】
この場合、メインポンプ1の吐出圧が所定値以上に高い通常時に切換バルブ5が閉塞ポジションiに切換わると、エマージェンシーポンプ4の吐出圧が上昇するのでカットオフバルブ41がポジションhに切換わり、アクチュエータ22を介してエマージェンシーポンプ4の傾転角が零となる。これにより、図11に示すように無負荷時(通常時)の吐出流量Qoffが零となり、通常時におけるエマージェンシーポンプ4の駆動エネルギー損失を低減できる。
【0068】
また、パワーステアリング機構10のパワーシリンダが伸びきるのに伴ってエマージェンシーポンプ4の吐出圧が上昇しても、カットオフバルブ41がポジションhに切換わり、吐出流量Qcut-offが零となる。
【0069】
次に図12に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0070】
本実施の形態は、前記図10に示す実施の形態と同じく、エマージェンシーポンプ4の吐出圧が上昇するのに伴ってエマージェンシーポンプ4の吐出容量を減らすカットオフバルブ41を備えるとともに、切換バルブ5はエマージェンシー通路21を閉塞する閉塞ポジションiを有する。
【0071】
そして、カットオフバルブ41のポジションを切換える信号圧として流量検出抵抗9の上流からエマージェンシーポンプ4の吐出圧が導かれるとともに、メインポンプ1の吐出圧が導かれるようになっている。
【0072】
この場合、カットオフバルブ41の信号圧としてメインポンプ1の吐出圧が導かれる分、カットオフバルブ41をポジションhに切換えるのに必要なエマージェンシーポンプ4の吐出圧が小さくて済み、通常時におけるエマージェンシーポンプ4の駆動エネルギー損失を低減できる。
【0073】
次に図13に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0074】
本実施の形態は、前記図10に示す実施の形態と同じく、エマージェンシーポンプ4の吐出圧が上昇するのに伴ってエマージェンシーポンプ4の吐出容量を減らすカットオフバルブ41を備えるとともに、切換バルブ5はエマージェンシー通路21を閉塞する閉塞ポジションiを有する。
【0075】
そして、前記図3に示す実施の形態と同じく、流量検出抵抗の機能をチェック弁34,35に持たせるもので、レギュレータバルブ29のポジションを切換える信号圧としてチェック弁34,35の前後差圧ΔPd,ΔPsが導かれる。
【0076】
この場合も、図11に示すように無負荷時(通常時)におけるエマージェンシーポンプ4の吐出流量Qoffが零となり、エマージェンシーポンプ4の駆動エネルギー損失を低減できる。
【0077】
また、各チェック弁34,35の抵抗を異ならせることにより、車両の前進時と後進時でエマージェンシーポンプ4の吐出容量を変えられ、アシスト力を適宜に設定できる。
【0078】
次に図14に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0079】
本実施の形態は、エマージェンシーポンプ4の斜板傾転角度を調節する駆動手段として、エマージェンシーポンプ4の吐出圧がレギュレータバルブ29を介して導かれる油圧アクチュエータ22を備えるとともに、メインポンプ1の吐出圧が導かれる第二油圧アクチュエータ42を備える。
【0080】
この場合、メインポンプ1が正常に作動している通常時に、メインポンプ1の吐出圧が上昇するのに伴い第二油圧アクチュエータ42を介してエマージェンシーポンプ4の吐出容量が減少する。このため、図15に示すように、無負荷時(通常時)におけるエマージェンシーポンプ4の吐出流量Qoffは回転速度Nが高まるのに伴って次第に増大するものの、負荷時(非常時)の設定値Qeより大幅に減少し、通常時におけるエマージェンシーポンプ4の駆動エネルギー損失を低減できる。
【0081】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す油圧回路図。
【図2】同じくエマージェンシーポンプの回転速度と吐出流量の関係を示す特性図。
【図3】他の実施の形態を示す油圧回路図。
【図4】さらに他の実施の形態を示す油圧回路図。
【図5】同じくエマージェンシーポンプの回転速度と吐出流量の関係を示す特性図。
【図6】さらに他の実施の形態を示す油圧回路図。
【図7】同じくエマージェンシーポンプの回転速度と吐出流量の関係を示す特性図。
【図8】さらに他の実施の形態を示す油圧回路図。
【図9】同じくエマージェンシーポンプの回転速度と吐出流量の関係を示す特性図。
【図10】さらに他の実施の形態を示す油圧回路図。
【図11】同じくエマージェンシーポンプの回転速度と吐出流量の関係を示す特性図。
【図12】さらに他の実施の形態を示す油圧回路図。
【図13】さらに他の実施の形態を示す油圧回路図。
【図14】さらに他の実施の形態を示す油圧回路図。
【図15】同じくエマージェンシーポンプの回転速度と吐出流量の関係を示す特性図。
【符号の説明】
1 メインポンプ
2 エンジン
3 タンク
4 エマージェンシーポンプ
5 切換バルブ
6 動力伝達機構
8 流量検出抵抗
9 流量検出抵抗
10 パワーステアリング機構
11 メイン通路
15 切換バルブ
21 エマージェンシー通路
22 油圧アクチュエータ
28 アクチュエータ通路
29 レギュレータバルブ
34 チェック弁
35 チェック弁
39 高圧選択弁
41 カットオフバルブ
42 第二油圧アクチュエータ

Claims (10)

  1. 油圧により操舵力を補助するパワーステアリング機構と、原動機に駆動されるメインポンプと、前記メインポンプから吐出される作動油を前記パワーステアリング機構に導くメイン通路と、車輪により動力伝達機構を介して駆動される吐出容量可変型のエマージェンシーポンプと、前記エマージェンシーポンプから吐出される作動油を前記メインポンプの吐出流量低下時に前記パワーステアリング機構に導くエマージェンシー通路と、前記エマージェンシーポンプの吐出容量を前記エマージェンシーポンプの回転速度に応じて調節する制御手段と、を備え、前記制御手段が、前記エマージェンシーポンプの吐出容量を調節する油圧アクチュエータと、前記エマージェンシーポンプから吐出される作動油が流れる流量検出抵抗と、前記流量検出抵抗の前後差圧に応じて前記油圧アクチュエータに導かれる作動油圧を調節するレギュレータバルブと、を備えたことを特徴とする車両の油圧式パワーステアリング装置。
  2. 前記エマージェンシーポンプとしてアキシャル型のポンプを用い、車両の前進時に前記エマージェンシーポンプから前記エマージェンシー通路に向かう作動油の流れに対して開弁するチェック弁と、車両の前進時に前記エマージェンシーポンプに吸い込まれる作動油の流れに対して開弁するチェック弁と、車両の後進時に前記エマージェンシーポンプから前記エマージェンシー通路に向かう作動油の流れに対して開弁するチェック弁と、車両の後進時に前記エマージェンシーポンプに吸い込まれる作動油の流れに対して開弁するチェック弁と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両の油圧式パワーステアリング装置。
  3. 前記メインポンプの吐出圧が高まるのに伴って前記流量検出抵抗を構成する絞りを小さくする流量検出抵抗調節手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の油圧式パワーステアリング装置。
  4. 油圧により操舵力を補助するパワーステアリング機構と、原動機に駆動されるメインポンプと、前記メインポンプから吐出される作動油を前記パワーステアリング機構に導くメイン通路と、車輪により動力伝達機構を介して駆動される吐出容量可変型のエマージェンシーポンプと、前記エマージェンシーポンプから吐出される作動油を前記メインポンプの吐出流量低下時に前記パワーステアリング機構に導くエマージェンシー通路と、前記エマージェンシーポンプの吐出容量をエマージェンシーポンプの回転速度に応じて調節する制御手段と、を備え、前記制御手段が、前記エマージェンシーポンプの吐出容量を調節する油圧アクチュエータと、車両の前進時に前記エマージェンシーポンプから吐出する作動油が流れるチェック弁と、車両の後進時に前記エマージェンシーポンプから吐出する作動油が流れるチェック弁と、前記各チェック弁の前後差圧に応じて前記油圧アクチュエータに導かれる作動油圧を調節するレギュレータバルブと、を備えたことを特徴とする車両の油圧式パワーステアリング装置。
  5. 前記パワーステアリング機構に対して前記エマージェンシー通路を選択的に連通させる切換バルブを備え、前記切換バルブが前記メインポンプの吐出圧に応じて切換作動する構成としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の車両の油圧式パワーステアリング装置。
  6. 前記パワーステアリング機構に対して前記エマージェンシー通路を選択的に連通させる切換バルブを備え、前記切換バルブは前記パワーステアリング機構に対して前記エマージェンシー通路を連通しないポジションにて前記エマージェンシー通路をタンクに連通することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の車両の油圧式パワーステアリング装置。
  7. 前記エマージェンシーポンプの吐出容量を調節する第二油圧アクチュエータを備え、前記第二油圧アクチュエータに前記メインポンプの吐出圧を導き、前記メインポンプの吐出圧が上昇するのに伴い前記エマージェンシーポンプの吐出容量が減少するように構成したことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の車両の油圧式パワーステアリング装置。
  8. 前記エマージェンシーポンプの吐出圧が上昇するのに伴って前記エマージェンシーポンプの吐出容量を減らすカットオフバルブを備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の車両の油圧式パワーステアリング装置。
  9. 前記エマージェンシーポンプの吐出圧が上昇するのに伴って前記エマージェンシーポンプの吐出容量を減らすカットオフバルブを備え、前記パワーステアリング機構に対して前記エマージェンシー通路を選択的に連通させる切換バルブを備え、前記切換バルブは前記パワーステアリング機構に対して前記エマージェンシー通路を連通しないポジションにて前記エマージェンシー通路を閉塞することを特徴とする請求項5から8のいずれか一つに記載の車両の油圧式パワーステアリング装置。
  10. 前記カットオフバルブのポジションを切換える信号圧として前記エマージェンシーポンプの吐出圧が導かれるとともに前記メインポンプの吐出圧が導かれることを特徴とする請求項8または9に記載の車両の油圧式パワーステアリング装置。
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