JP4108911B2 - El表示素子の隔壁形成用感放射線性樹脂組成物、隔壁およびel表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、EL表示素子の隔壁形成用感放射線性樹脂組成物、隔壁およびEL表示素子に関する。さらに詳しくは、EL表示素子用隔壁を形成するための材料として好適な感放射線性樹脂組成物、それより形成された隔壁およびEL表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、有機EL素子の陰極や有機EL媒体層をマイクロパターニングすることは、電荷注入層や発光層に用いられる有機EL媒体の耐熱性(一般に100℃以下)、耐溶剤性、耐湿性が低いために困難である。例えば、通常薄膜のパターニングに用いられるフォトリソグラフィ法を有機EL素子に用いると、フォトレジスト中の溶剤の有機EL素子への浸入や、フォトレジストベーク中の高温雰囲気や、フォトレジスト現像液またはエッチング液の有機EL素子への浸入や、ドライエッチング時のプラズマによるダメージ等の原因により有機EL素子特性が劣化する問題が生じる。
【0003】
また、蒸着マスクを用いてパターニングする方法もあるが、基板および蒸着間のマスクの密着不良による蒸着物の回り込みや、強制的に基板と蒸着マスクを密着させた場合のマスクとの接触により有機EL媒体層が傷ついてインジウム錫酸化物(以下、ITOという)などからなる陽極と陰極がショートすることや、陰極のストライプ状パターンなど開口部が大きくマスク部が細いパターンの場合にはマスク強度が不足しマスクが撓むこと等の問題により、微細なパタ−ンが形成できない。
【0004】
前述の問題を解決する方法として、たとえば特開平2−66873号公報に開示された技術は、有機EL媒体を溶解しない溶剤を用いたフォトレジストを有機EL素子上にパターニングし、希硫酸を用いて陰極をエッチングする方法である。しかし、エッチングの際、希硫酸により有機EL媒体が損傷を受ける。
【0005】
また、特開平5−275172号公報、特開平5−258859号公報および特開平5−258860号公報に開示された技術は、ITOパターニング後の基板上に平行に配置した数〜数十μmの高さの断面が順テーパー状隔壁を作製し、その基板に隔壁に対して垂直方向、基板面に対して斜めの方向から有機EL媒体や陰極材料を蒸着することによりパターニングする方法である。即ち、第1電極ラインおよび有機EL媒体の薄膜を、蒸着する際に、隔膜間が蒸着により汚染されるのを防止するため、予め基板に設けられている境界の高い隔壁により所定気体流れを遮って、選択的に斜め真空蒸着して形成する製造方法が採用されている。しかし、この斜めの蒸着方法では、隔壁間の開口部に有機EL媒体の付着しない部分を生じ、表示素子の輝度が不十分となる欠点を有する。特開平8−315981号公報では、断面形状がオーバーハング形状(底辺が上辺よりも短い台形状の)隔壁を用いることで、上方からの真空蒸着を可能とし、斜め蒸着の上記欠点を解消した。しかしながら、一般的に存在するレジスト材料は耐熱性が低く、硬化を行う際に軟化により逆テーパー形状を維持できないといった問題が生じる場合がある。
【0006】
また、EL層中に、隔壁材料からの揮発成分が不純物として介入が生じた場合、EL発光素子の発光面積の低下が生じたり、点灯不良が生じるといった問題が生じる場合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
それ故、本発明の目的は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、必要な耐熱性、密着性を併せ持ち、かつ、逆テーパー形状を有する、EL表示素子用隔壁を形成するための感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記感放射線性樹脂組成物によって形成された隔壁、並びにその隔壁を使用したEL表示素子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、
(C)感放射線重合開始剤並びに1 , 7−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1 , 6−ヘプタジエン−3 , 5−ジオンおよびジベンジリデンアセトンよりなる群から選ばれる紫外線吸収剤
を含有することを特徴とする、EL表示素子の隔壁形成用感放射線性樹脂組成物によって達成される。
【0009】
本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の感放射線性樹脂組成物から形成された、EL表示素子の隔壁によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第3に、本発明の隔壁を備えたEL表示素子によって達成される。
本発明におけるEL表示素子は有機EL表示素子および無機EL表示素子のいずれも包含する。これらのうち有機EL表示素子が好ましい。
【0010】
以下、本発明の感放射線性樹脂組成物の各成分について詳述する。
(A)アルカリ可溶性樹脂
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ可溶性である限りとくに制限はないが、ノボラック樹脂、フェノ−ル性水酸基またはカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−の単独重合体、ならびに該ラジカル重合性モノマ−とそれ以外の他のラジカル重合性モノマ−の共重合体が好ましく用いられる。
【0011】
上記ノボラック樹脂としては、アルカリ可溶性であり、フェノ−ル類、好ましくはm−クレゾ−ルを含有するフェノ−ル類をアルデヒド類と重縮合して得られるものである。かかるノボラック樹脂の製造において用いられる、m−クレゾ−ル以外のフェノ−ル類(以下、単に「フェノ−ル性モノマ−」と称する)としては、例えばフェノ−ル、p−クレゾ−ル、o−クレゾ−ル、2,3−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、3,5−キシレノ−ル、2,3,5−トリメチルフェノ−ル、カテコ−ル、レゾルシノ−ル、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ピロガロ−ル、フロログリシノ−ルなどが有利に使用される。これらのフェノ−ル性モノマ−は、1種単独であるいは2種以上一緒に、好ましくはm−クレゾ−ルと組み合わせて使用することができる。
【0012】
m−クレゾ−ルとフェノ−ル性モノマ−の配合比は、m−クレゾ−ル/フェノ−ル性モノマ−=20/80〜100/0(モル比)の範囲が好ましく、より好ましくはm−クレゾ−ル/フェノ−ル性モノマ−=30/70〜100/0の範囲である。m−クレゾ−ルの配合比が20モル%に満たないと組成物の解像度が低下する傾向が見られる。
これらのフェノ−ル類を、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの如きアルデヒド類と、シュウ酸などの酸触媒の存在下で重縮合させることにより、目的とするノボラック樹脂が得られる。
【0013】
重縮合の反応には、通常、反応媒質として水が用いられるが、重縮合の反応において使用するフェノール類がアルデヒド類の水溶液に溶解せず、反応初期から不均一系になる場合には、反応媒質として親水性有機溶媒を使用することもできる。この際使用される溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類を挙げることができる。これらの反応媒質の使用量は、反応原料100重量部当たり、20〜100重量部が好ましい。
縮合の反応温度は、反応原料の反応性に応じて適宜調節することができるが、好ましくは、10〜200℃である。重縮合の反応終了後、系内に存在する未反応原料、酸触媒および反応媒質を除去するため、例えば温度を130〜230℃に上昇させ、減圧下に揮発分を留去し、ノボラック樹脂を回収することができる。
【0014】
本発明に用いられるノボラック樹脂は、標準ポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」と称する)が、好ましくは2,000〜30,000、特に好ましくは3,500〜20,000の範囲にあることが望ましい。Mwが30,000を超えると、本発明組成物の現像性が悪化する傾向があり、Mwが2,000未満であると、成膜性が悪化する傾向にある。本発明の感放射線性樹脂組成物においては、上述したノボラック樹脂は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
上記、フェノ−ル性水酸基またはカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−の単独重合体、ならびに該ラジカル重合性モノマ−とそれ以外の他のラジカル重合性モノマ−の共重合体を合成するために用いられる、フェノ−ル性水酸基またはカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−としては、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレンおよびp−ヒドロキシスチレン、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル、カルボキシ置換体;
ビニルヒドロキノン、5−ビニルピロガロ−ル、6−ビニルピロガロ−ル、1−ビニルフロログリシノ−ル等のポリヒドロキシビニルフェノ−ル類;
o−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸、およびp−ビニル安息香酸、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミド、エステル置換体;
メタクリル酸およびアクリル酸、ならびにこれらのα−位のハロアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体;
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸および1,4−シクロヘキセンジカルボン酸等の二価の不飽和カルボン酸、ならびにこれらのメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、ter−ブチル、フェニル、o−、m−、p−トルイルハ−フエステルおよびハ−フアミドを好ましいものとして挙げることができる。
【0016】
これらのうち、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレンおよびp−ヒドロキシスチレン、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ置換体がパタ−ニング時の感度、解像度現像後の残膜率、耐熱変形性、耐溶剤性、下地との密着性、溶液の保存安定性等の面から好ましく用いられる。
これらは1種または2種以上一緒に用いることができる。
【0017】
また、上記その他のラジカル重合性モノマ−としては、例えばスチレン、およびスチレンのα−位、o−位、m−位、またはp−位のアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル置換体;
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジオレフィン類;
メタクリル酸またはアクリル酸のメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、ter−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソアミルヘキシル、シクロヘキシル、アダマンチル、アリル、プロパギル、フェニル、ナフチル、アントラセニル、アントラキノニル、ピペロニル、サリチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェネシル、クレシル、グリシジル、1,1,1−トリフルオロエチル、パ−フルオロエチル、パ−フルオロ−n−プロピル、パ−フルオロ−i−プロピル、トリフェニルメチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(当該技術分野の慣用名として「ジシクロペンタニル」といわれている。)、クミル、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、3−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、フリル、フルフリルの各エステル化物;
メタクリル酸またはアクリル酸のアニリド、アミド、またはN,N−ジメチル、N,N−ジエチル、N,N−ジプロピル、N,N−ジイソプロピル、アントラニルアミド、アクリロニトリル、アクロレイン、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニル、弗化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル、N−フェニルマレインイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレインイミド、N−メタクリロイルフタルイミド、N−アクリロイルフタルイミド等を用いることができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
【0018】
これらのうち、スチレン、およびスチレンのα−位、o−位、m−位、p−位のアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル置換体;
ブタジエン、イソプレン;
メタクリル酸、またはアクリル酸のメチル、エチル、n−プロピル、N−ブチル、グリシジルおよびジシクロペンタニルの各エステル物が、パタ−ニング時の感度、解像度現像後の残膜率、耐熱変形性、耐溶剤性、下地との密着性、溶液の保存安定性等の観点から特に好適に用いられる。
【0019】
アルカリ可溶性樹脂としてフェノール性水酸基を有するラジカル重合性モノマ−とそれ以外の他のラジカル重合性モノマ−の共重合体を用いる場合、他のラジカル重合性モノマ−の好ましい共重合の割合は、フェノ−ル性水酸基を持つラジカル重合性モノマ−および他のラジカル重合性モノマ−との合計量に対して、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは5〜20重量%である。
また、アルカリ可溶性樹脂としてカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−とそれ以外の他のラジカル重合性モノマ−の共重合体を用いる場合、他のラジカル重合性モノマ−の好ましい共重合の割合は、カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−および他のラジカル重合性モノマ−との合計量に対して、好ましくは90重量%以下、特に好ましくは10〜80重量%である。
これらのラジカル重合性モノマ−の割合がフェノ−ル性水酸基またはカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−に対して前述した割合を越えるとアルカリ現像が困難となる場合がある。
【0020】
フェノ−ル性水酸基もしくはカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−の単独重合体、または該ラジカル重合性モノマ−とそれ以外の他のラジカル重合性モノマ−の共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものが使用でき、例えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)の如きアゾ化合物;
ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレ−ト、1,1′−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンの如き有機過酸化物;
および過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、過酸化物を還元剤とともに用いてレドックス型開始剤としてもよい。
【0021】
フェノ−ル性水酸基またはカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−の単独重合体、ならびに該ラジカル重合性モノマ−とそれ以外の他のラジカル重合性モノマ−の共重合体の製造に用いられる溶媒としては、例えばメタノ−ル、エタノ−ルなどのアルコ−ル類;テトラヒドロフランなどのエ−テル類;エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テルなどのグリコ−ルエ−テル類;メチルセロソルブアセテ−ト、エチルセロソルブアセテ−トなどのエチレングリコ−ルアルキルエ−テルアセテ−ト類;ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルエチルメチルエ−テルなどのジエチレングリコ−ル類;プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノプロピルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノブチルエ−テルなどのプロピレングリコ−ルモノアルキルエ−テル類;プロピレングリコ−ルメチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコ−ルエチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコ−ルプロピルエ−テルアセテ−トプロピレングリコ−ルブチルエ−テルアセテ−トなどのプロピレングリコ−ルアルキルエ−テルアセテ−ト類;プロピレングリコ−ルメチルエ−テルプロピオネ−ト、プロピレングリコ−ルエチルエ−テルプロピオネ−ト、プロピレングリコ−ルプロピルエ−テルプロピオネ−ト、プロピレングリコ−ルブチルエ−テルプロピオネ−トなどのプロピレングリコ−ルアルキルエ−テルアセテ−ト類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;および酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどのエステル類が挙げられる。
これらの溶媒の使用量は、反応原料100重量部当たり、好ましくは20〜1,000重量部である。
【0022】
フェノ−ル性水酸基もしくはカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−の単独重合体、または該ラジカル重合性モノマ−とそれ以外の他のラジカル重合性モノマ−の共重合体の製造のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000、特に好ましくは5,000〜30,000である。
平均分子量が2,000未満ではパタ−ン形状、解像度、現像性、耐熱性が劣化し易く、100,000を越えると現像性が悪化し易く、特に感度が悪化する傾向が大となる。
【0023】
これらのフェノ−ル性水酸基もしくはカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−の単独重合体、または該ラジカル重合性モノマ−とそれ以外の他のラジカル重合性モノマ−の共重合体は、単独でまたは2種以上用いてもよい。
また重合前にカルボキシル基やフェノ−ル性水酸基に保護基を導入しておき、重合後に脱保護することによってアルカリ可溶性を付与する方法でアルカリ可溶性樹脂を合成してもよい。さらに水添処理等によって可視光における透明性や軟化点を変化させてもよい。
【0024】
上記のように、本発明に用いられるアルカリ可溶性樹(A)としては、ノボラック樹脂、フェノ−ル性水酸基またはカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマ−の単独重合体、ならびに該ラジカル重合性モノマ−とそれ以外の他のラジカル重合性モノマ−の共重合体が好ましく用いられる。また、アルカリ可溶性樹脂(A)の一部を他のフェノール化合物で置き換えることができる。
本発明に用いる他のフェノ−ル化合物としては、分子量が1,000以下のフェノ−ル性化合物が挙げられる。フェノ−ル性化合物の分子量が1,000を超えると解像度が低下する。かかる低分子フェノ−ル性化合物としては、例えば下記の構造を有する化合物を挙げることができる。
【0025】
【化1】
【0026】
【化2】
【0027】
アルカリ可溶性樹脂(A)の一部を他のフェノール化合物で置き換える場合の他のフェノール化合物の使用量は、アルカリ可溶性樹脂(A)と他のフェノール化合物の合計量に対して、好ましくは80重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。他のフェノール化合物の使用量が80重量%を越えると、塗膜形成ができない場合がある。
【0028】
重合性化合物(B)
本発明で用いられるエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)としては、エポキシ基を持たず且つ単官能、2官能または3官能以上の(メタ)アクリレートが、重合性が良好であり、得られる隔壁の強度が向上する点から好ましく用いられる。
上記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレートなどが挙げられる。
【0029】
その市販品としては、例えばアロニックスM−101、同M−111、同M−114(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD TC−110S、同TC−120S(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート158、同2311(以上、大阪有機化学工業(株)製)が挙げられる。
【0030】
上記2官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートなどが挙げられる。その市販品としては、例えばアロニックスM−210、同M−240、同M−6200(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD HDDA、同HX−220、同R−604(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0031】
上記3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。その市販品としては、例えばアロニックスM−309、同M−400、同M−402、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同M−1310、同M−1600、同M−1960、同M−8100、同M−8530、同M−8560、同M−9050(以上、東亞合成(株)製)、KAYARAD TMPTA、同DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0032】
さらに、本発明で用いられる重合性化合物(B)としては、上記(メタ)アクリレート化合物のほかにウレタンアクリレート、ウレタンアダクト体、ポリエステルアクリレートを好適に使用することができる。これら重合性化合物の市販品としてはアロニックスM−7100、同M−8030、同M−8060、同M−1310、同M−1600、同M−1960、同M−8100、同M−8530、同M−8560、同M−9050(以上、東亞合成(株)製)が挙げられる。
【0033】
上記のうち、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが、反応性の観点から好ましく用いられる。
本発明における重合性化合物(B)の使用量は、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは40〜200重量部、より好ましくは60〜150重量部である。
【0034】
重合性化合物(B)の使用量が40重量部未満の場合は得られる隔壁の膜べりを生じやすくなる場合がある。一方、この値が200重量部を超える場合は隔壁の下地基板との密着性が低下しやすくなる場合がある。
これらの単官能、2官能または3官能以上の(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンアダクト体、ポリエステルアクリレートは、単独であるいは組み合わせて用いられる。
【0035】
感放射線重合開始剤(C)
本発明における感放射線重合開始剤(C)とは、露光により分解または結合の開裂を生じ、ラジカル、アニオン、カチオン等の、前記重合性化合物(B)の重合を開始することができる活性種を発生する化合物を意味する。
このような重合開始剤としては、例えば、ビイミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系の光ラジカル発生剤、トリアジン系化合物等を好ましいものとして挙げることができる。
【0036】
上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールおよび2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0037】
これらのビイミダゾール系化合物のうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が好ましく、特に、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましい。
【0038】
これらのビイミダゾール系化合物は、溶剤に対する溶解性に優れ、未溶解物、析出物等の異物を生じることがなく、しかも感度が高く、少ないエネルギー量の露光により硬化反応を十分進行させるとともに、コントラストが高く、未露光部で硬化反応が生じることがないため、露光後の塗膜は、現像液に対して不溶性の硬化部分と、現像液に対して高い溶解性を有する未硬化部分とに明確に区分され、これにより、アンダーカットのない画素パターンが所定の配列に従って配置された高精細な画素アレイを形成することができる。
【0039】
また、前記ベンゾフェノン系の光ラジカル発生剤としては、ベンゾイル構造を有する化合物、およびベンゾフェノン系の他の光ラジカル発生剤が使用できる。これらの具体例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、4−アジドベンズアルデヒド、4−アジドアセトフェノン、4−アジドベンザルアセトフェノン、アジドピレン、4−ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−メトキシジフェニルアミン、4−ジアゾ−3−メトキシジフェニルアミン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ジベンゾイル、ベンゾインイソブチルエーテル、N−フェニルチオアクリドン、トリフェニルピリリウムパークロレート等を挙げることができる。
【0040】
これらのベンゾフェノン系の光ラジカル発生剤のうち、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等が、形成された隔壁パターンが現像時に基板から脱離し難く、パターン強度および感度も高い点で好ましい。
【0041】
さらに、前記トリアジン系化合物の具体例としては、トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン等を挙げることができる。
【0042】
これらのトリアジン化合物のうち、2−(4−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン等が放射線に対する感度が高い点から好ましく用いられる。
【0043】
これらの感放射線ラジカル重合開始剤の市販品としては、たとえばIRGACURE−184、同369、同500、同651、同907、同1700、同819同124、同1000、同2959、同149、同1800、同1850、Darocur−1173、同1116、同2959、同1664、同4043(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、KAYACURE−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(以上、日本化薬(株)製)、VICURE−10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD 製)、TRIGONALP1(AKZO Co.LTD 製)、SANDORAY 1000(SANDOZ Co.LTD 製)、DEAP(APJOHN Co.LTD 製)、QUANTACURE−PDO、同 ITX、同 EPD(以上、WARD BLEKINSOP Co.LTD 製)等が挙げられる。
【0044】
前記感放射線重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
本発明における感放射線重合開始剤(C)の使用量は、(B)重合性化合物100重量部に対して、好ましくは、0.01〜500重量部、より好ましくは1〜300重量部、特に好ましくは10〜200重量部である。この場合、感放射線重合開始剤の使用量が0.01重量部未満では、露光による硬化が不十分となり、パターンに欠落、欠損やアンダーカットを生じるおそれがあり、一方500重量部を超えると、形成されたパターンが現像時に基板から脱落しやすく、またパターンが形成される部分以外の領域で地汚れ、膜残り等を生じやすくなる。
また、前記紫外線吸収剤としては、1 , 7−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1 , 6−ヘプタジエン−3 , 5−ジオンまたはジベンジリデンアセトンが用いられる。これらの紫外線吸収化合物の添加量は、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下の量である。
【0045】
本発明においては、必要に応じて、前記感放射線重合開始剤と共に、増感剤、硬化促進剤および高分子化合物からなる光架橋剤あるいは光増感剤(以下、「高分子光架橋・増感剤」という。)の群から選ばれる1種以上をさらに併用することもできる。
【0046】
前記増感剤の具体例としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン、ジエチルチオキサントン等を挙げることができる。
【0047】
また、前記硬化促進剤の具体例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−4,6−ジメチルアミノピリジン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール等の連鎖移動剤を挙げることができる。
【0049】
さらに、前記高分子光架橋・増感剤は、光架橋剤および/または光増感剤として機能しうる官能基を主鎖および/または側鎖中に有する高分子化合物であり、その具体例としては、4−アジドベンズアルデヒドとポリビニルアルコールとの縮合物、4−アジドベンズアルデヒドとフェノールノボラック樹脂との縮合物、4−アクリロイルフェニルシンナモイルエステルの単独重合体あるいは共重合体、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン等を挙げることができる。
【0050】
前記増感剤、硬化促進剤および高分子光架橋・増感剤のうち、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノンおよび2−メルカプトベンゾチアゾールが、形成されたパターンが現像時に基板から脱落し難く、パターン強度および感度も高い点で好ましい。
【0051】
本発明においては、感放射線重合開始剤として、ビイミダゾール系化合物の群から選ばれる1種以上と、ベンゾフェノン系の光ラジカル発生剤、ベンゾフェノン系の増感剤およびチアゾール系の硬化促進剤よりなる群から選ばれる1種以上との組合わせ;またはベンゾイル構造を有する化合物よりなる群から選ばれる1種単独あるいはそれとベンゾフェノン系の増感剤との組合せ、を使用することが特に好ましい。
【0052】
前記特に好ましい組み合わせの具体例としては、
2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、
2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン/2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、
2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン/1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン/1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン/2−メルカプトベンゾチアゾール、
2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、
2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン/2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、
2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン/1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、
2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン/1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン/2−メルカプトベンゾチアゾール、
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン/4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン/4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン/4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン/4−ジエチルアミノベンゾフェノン/ジエチルチオキサントン、2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン/4−ジエチルアミノベンゾフェノン/ジエチルチオキサントン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン/4−ジエチルアミノベンゾフェノン/ジエチルチオキサントン
等を挙げることができる。
【0053】
本発明において、ベンゾフェノン系の光ラジカル発生剤、トリハロメチル基を有する化合物の合計使用割合は、感放射線重合開始剤全体の80重量%以下であることが好ましく、また増感剤および硬化促進剤の合計使用割合は、感放射線重合開始剤全体の80重量%以下であることが好ましく、さらに高分子光架橋・増感剤の使用割合は、ビイミダゾール系化合物100重量部に対して、好ましくは、200重量部以下、より好ましくは180重量部以下である。
【0054】
その他の添加剤
本発明の感放射線性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて上記以外に他の成分を含有していてもよい。
ここで、他の成分としては、架橋剤、界面活性剤、接着助剤等を挙げることができる。
【0055】
前記架橋剤としては、永久膜としての性能を向上させる目的で1分子中に2つ以上の反応基を有する架橋剤を挙げることができる。このような架橋剤としては、アルコキシメチル化メラミン樹脂、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン樹脂、アルコキシメチル化グリコールウリル樹脂およびアルコキシメチル化尿素樹脂などがある。これらは、それぞれメチロール化メラミン樹脂、メチロール化ベンゾグアナミン樹脂、メチロール化グリコールウリル樹脂およびメチロール化尿素樹脂のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等を挙げることができる。
【0056】
これらの架橋剤のうち、アルコキシメチル化メラミン樹脂およびアルコキシメチル化ベンゾグアナミン樹脂が好ましく使用される。
また、架橋剤として、サイメル300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266、同267、同238、同1141、同272、同202、同1156、同1158、同1123、同1170、同1174、同UFR65、同300(以上、三井サイアナミッド(株)製)、ニカラックMx−750、同Mx−032、同Mx−706、同Mx−708、同Mx−40、同Mx−31、同Ms−11、同Mw−30(以上、三和ケミカル(株)製)等の商品名で市販されているものを好ましく使用することができる。
【0057】
これらの架橋剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの架橋剤は、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは5重量部〜50重量部、特に好ましくは10重量部〜30重量部用いられる。
前記界面活性剤は、塗布性を向上するために添加されるものである。
このような界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤を好適に用いることができる。
【0058】
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖および側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物を好適に用いることができる。その具体例としては、1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキルホスホン酸ナトリウム、フルオロアルキルカルボン酸ナトリウム、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルキルポリオキシエタノール、パーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素系アルキルエステル等を挙げることができる。
【0059】
これらの市販品としては、例えばBM−1000、BM−1100(以上、BM CHEMIE社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183、同F178、同F191、同F471(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC 170C、FC−171、FC−430、FC−431(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(以上、新秋田化成(株)製)、フタージェントFT−100、同FT−110、同FT−140A、同FT−150、同FT−250、同FT−251、同FTX−251、同FTX−218、同FT−300、同FT−310、同FT−400S(以上、(株)ネオス製)等を挙げることができる。
【0060】
また、シリコーン系界面活性剤としては、例えばトーレシリコーンDC3PA、同DC7PA、同SH11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH−190、同SH−193、同SZ−6032、同SF−8428、同DC−57、同DC−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4446、TSF−4460、TSF−4452(以上、東芝シリコーン(株)製)等の商品名で市販されているものを挙げることができる。
【0061】
その他にも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(共栄社化学(株)製)などが挙げられる。
【0062】
これらの界面活性剤は、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは5重量部以下、より好ましくは2重量部以下で用いられる。界面活性剤の量が5重量部を超える場合は、塗布時の膜あれが生じやすくなる。
前記接着助剤は、基体との接着性を向上させるために使用されるものである。
【0063】
このような接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が好ましく使用され、例えばカルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的にはトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
このような接着助剤は、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下の量で用いられる。接着助剤の量が20重量部を超える場合は、現像残りが生じやすくなる。
【0064】
感放射線性樹脂組成物の調製
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記のアルカリ可溶性樹脂(A)、重合性化合物(B)、感放射線重合開始剤(C)および紫外線吸収剤ならびに任意的に使用される他の添加剤の各成分を均一に混合することによって調製される。本発明の感放射線性樹脂組成物は、有利には、適当な溶媒に溶解されて溶液状態で用いられる。例えば共重合体(A)、重合性化合物(B)、重合開始剤(C)および紫外線吸収剤ならびに任意的に添加されるその他の配合剤を、所定の割合で混合することにより、溶液状態の感放射線性樹脂組成物を調製することができる。
【0065】
本発明の感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、共重合体(A)、重合性化合物(B)、重合開始剤(C)および紫外線吸収剤ならびに任意的に添加されるその他の添加剤の各成分を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。
【0066】
具体的には、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;および酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどのエステル類が挙げられる。
【0067】
これらの溶剤の中で、溶解性、各成分との反応性および塗膜の形成のしやすさから、グリコールエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、エステル類およびジエチレングリコール類が好ましく用いられる。
【0068】
さらに前記溶媒とともに高沸点溶媒を併用することもできる。併用できる高沸点溶媒としては、例えばN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどが挙げられる。
【0069】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記の如き溶剤を用いて調製されるが、その使用目的により適宜の固形分濃度とすることができる。
固形分濃度は、例えば、3〜60重量%とすることができ、好ましくは10〜50重量%とすることができる。
また上記のように調製された組成物溶液は、孔径0.5μm程度のミリポアフィルタなどを用いて濾過した後、使用に供することもできる。
【0070】
隔壁の形成方法
次に、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて、本発明の隔壁を形成する方法について詳述する。
基板表面に本発明の感放射性樹脂組成物溶液を塗布し、加熱により溶媒を除去することによって、塗膜が形成される。基板表面への感放射性樹脂組成物溶液の塗布方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法などの各種の方法を採用することができる。
次いでこの塗膜は、加熱(プレベーク)される。加熱することによって、溶剤が揮発し、流動性のない塗膜が得られる。
加熱条件は、各成分の種類、配合割合などによっても異なるが、好ましくは60〜120℃、10〜600秒間程度の幅広い範囲で使用できる。
次に加熱された塗膜に所定パターンのマスクを介して放射線を照射した後、現像液により現像し、不要な部分を除去する。
【0071】
現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、N−メチルピロリドンなどの第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンなどの第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナンなどの環状アミン類のアルカリ類からなるアルカリ水溶液を用いることができる。
また上記アルカリ水溶液に、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒、界面活性剤などを適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
【0072】
現像時間は、例えば30〜180秒間である。また現像方法は液盛り法、ディッピング法などのいずれでもよい。現像後、流水洗浄を30〜90秒間行い、圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、基板上の水分を除去し、隔壁パターンが形成される。続いて、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置により、所定温度、例えば150〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上なら5〜30分間、オーブン中では30〜90分間加熱処理をすることによって、本発明の隔壁を得ることができる。
【0073】
本発明による隔壁は、放射線照射方向における断面形状が好ましくは上辺が底辺よりも長い台形状(逆テーパー形状)をなし、さらに好ましくは上部のパターンエッジと下部のパターンエッジを結んだ直線と、上辺とがなす角度が15〜75°である。断面形状が逆テーパー形状であることにより、斜め方向ではなく上方からの有機EL媒体の蒸着を可能とする。すなわち、上方から有機EL媒体を蒸着することにより、有機EL媒体が隔壁間の開口部に均一に付着し十分な表示素子の輝度を確保できる。また陰極材料を上方から蒸着した際には陰極材料が逆テーパー形状の下方にまで廻り込むことを防ぐことができるので、陰極間の絶縁を確保することができる。
【0074】
また、本発明の隔壁は、25℃〜200℃までの加熱による揮発成分の発生量が好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下、就中1重量%以下である。
このような揮発成分発生量とすることにより、EL層中への不純物の介入を防ぐことができ、EL表示素子の点灯不良の発生や、発光輝度の低下といった問題を防止することができる。
揮発成分発生量は、例えばTDS(Thermal Desorption Spectroscopy)測定等により評価することができる。
【0075】
有機EL表示素子の製造
本発明の有機EL表示素子は、前記の如くして形成された隔壁を備えている。
本発明の有機EL表示素子は例えば下記の如くして製造される。
ガラス基板上にITO等の透明電極をスパッタリングで形成し、その上にポジ型フォトレジストを塗布し、プリベークする。マスクを介してレジストに露光し次いで現像してパターン化し、塩化第2鉄等の塩酸系エッチャントでITO膜をエッチングし、レジスト膜を剥離して透明電極をパターン化例えばストライプ状にパターン化する。このパターン化された透明電極を持つ基盤上に、次いで、本発明の感放射線樹脂組成物を塗布し、前記の如くして、逆テーパー状の隔壁を設ける。その後、正孔輸送層、有機EL媒体層、カソード層を蒸着法により順次形成する。正孔輸送層としては例えばCuPc、H2Pcの如きフタロシアニン系材料、あるいは芳香族アミンが用いられる。また、有機EL媒体としては、例えばAlq3、BeBq3の如き基材母体にキナクリドンやクマリンをドープした材料が用いられる。さらに、カソード材料としては、例えばMg−Al、Al−Li、Al−Li2O、Al−LiFなどが用いられる。
次に、中空構造のSUS缶と上記基板をエポキシ樹脂等の封止材で封止したのち、モジュールに組立て、有機EL表示素子とする。
【0076】
【実施例】
以下に合成例、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例1〜4および7〜10は紫外線吸収剤を含有していず、参考例である。
【0077】
合成例1(樹脂A−1の合成)
冷却管、攪拌機および温度計を装着したフラスコに、t−ブトキシスチレン176g(0.1mol)およびアゾビスブチロニトリル5.8g(0.04mol)を入れ、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル250mlを加えて溶解させて、75℃で4時間重合させた。得られたポリt−ブトキシスチレン溶液に5重量%硫酸水溶液50gを混合して、100℃で3時間加水分解反応を行った。反応生成物を脱イオン水1000mlで3回洗浄し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート500mlを加えて溶剤置換を行い、Mw24,000のアルカリ可溶性樹脂(ポリヒドロキシスチレン)を得た。このアルカリ可溶性樹脂を、樹脂A−1とした。
【0078】
合成例2(樹脂A−2の合成)
冷却管、攪拌機および温度計を装着したフラスコに、メタクレゾ−ル57g(0.6mol)、パラクレゾ−ル38g(0.4mol)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液75.5g(ホルムアルデヒド0.93mol)、シュウ酸二水和物0.63g(0.005mol)、メチルイソブチルケトン264gを仕込んだ後、フラスコを油浴中に浸し、反応液を還流させながら、攪拌下4時間重縮合を行った。次いで油浴の温度を3時間かけて昇温し、その後に、フラスコ内の圧力を30〜50mmHgまで減圧し、揮発分を除去し、溶融している樹脂aを室温まで冷却して回収した。この樹脂を酢酸エチルに樹脂成分が30%になるように溶解した後、この溶液重量の1.3倍量のメタノ−ルと、0.9倍量の水を加えて、攪拌放置した。次いで2層に分離した下層を取り出し、濃縮し、乾燥して、Mw8,000のアルカリ可溶性樹脂(ノボラック樹脂)を得た。このアルカリ可溶性樹脂を、樹脂A−2とした。
【0079】
合成例3
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きスチレン25重量部、メタクリル酸40重量部、ジシクロペンタニルメタクリレ−ト30重量部を仕込み窒素置換した後さらに1,3−ブタジエン5重量部を仕込み、ゆるやかに撹拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を4時間保持し共重合体(A−3)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、33.5%であった。
【0080】
合成例4
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きスチレン10重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル45重量部およびジシクロペンタニルメタクリレ−ト25重量部を仕込み窒素置換した後、ゆるやかに撹拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−4)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、33.5%であった。
【0081】
実施例1
感放射線性樹脂組成物の調製
合成例1で得られた樹脂A−1を含む溶液(樹脂A−1 100重量部に相当)と、成分(B)としてのKAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)100重量部と、成分(C)としての2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール5重量部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン5重量部および2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン10重量部添加し、さらにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部添加した。固形分濃度が36重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタで濾過して感放射線性樹脂組成物の溶液(S−1)を調製した。
【0082】
(I)隔壁の形成
ガラス基板上にスピンナーを用いて、上記組成物溶液(S−1)を塗布した後、90℃で3分間ホットプレート上でプレベークして膜厚各5μmの塗膜を形成した。
上記で得られた塗膜に10μm角の残しパターンのマスクを介して、365nmでの強度が10mW/cm2である紫外線を30秒間照射した。この際の紫外線照射は酸素雰囲気下(空気中)で行った。次いでテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.1重量%水溶液で25℃で90秒間現像した後、純水で1分間流水洗浄した。上記で形成された隔壁をオーブン中で220℃で60分間加熱し硬化させ、膜厚4.5μmの隔壁を得た。
( II )隔壁形状の評価
上記(I)で得られた隔壁において断面形状の上部テーパー角(断面台形形状において、上部のパターンエッジと下部のパターンエッジを結んだ直線と、上辺とがなす角度)を測定した。この値を表1に示す。この値が、15〜70゜のとき、隔壁の断面形状は良好といえる。
( III )耐熱性の評価
上記(I)で形成した隔壁をオーブン中、250℃で60分加熱した。膜厚の寸法変化率を表1に示した。加熱前後の寸法変化率がで5%以内のとき、耐熱寸法安定性が良好であるといえる。
( IV )密着性の評価
上記(I)で得られた隔壁の密着性をテープ剥離試験により評価した。結果を表1に示した。評価結果は隔壁100個中、残った隔壁の数で表した。
(V)揮発成分の評価
上記(I)で得られた隔壁の揮発成分の観測をTDS測定(電子科学(株)製EM
D−WA1000S)により評価した。測定は昇温速度を1℃/sにて25℃から200℃まで行った。結果を表1に示した。評価結果は隔壁材料が10mmx10mmx4.5μmにおける基板サイズに較正して、揮発成分の発生量を重量%で表した。
【0083】
実施例2
成分(C)として2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール5重量部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン5重量部および2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン10重量部の代わりに2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン20重量部および2,4−ジエチルチオキサントン10重量部を使用した他は、実施例1と同様にして組成物溶液(S−2)を調製し評価した。結果を表1に示す。
【0084】
実施例3
成分(C)として2−(4−メトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン10重量部を使用した他は、実施例1と同様にして組成物溶液(S−3)を調製し評価した。結果を表1に示す。
実施例4
成分(C)として2−メチル−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン20重量部および4−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン10重量部を使用した他は、実施例1と同様にして組成物溶液(S−4)を調製し評価した。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、紫外線吸収剤である1,7−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン5重量部を加えた他は、実施例1と同様にして組成物溶液(S−5)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0085】
実施例6
実施例1において、紫外線吸収剤であるジベンジリデンアセトン5重量部を加えた他は、実施例1と同様にして組成物溶液(S−6)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例7
実施例1において、添加剤として架橋剤であるヘキサメトキシメチロールメラミン20重量部を加えた他は、実施例1と同様にして組成物溶液(S−7)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0086】
実施例8
実施例1において、共重合体(A−1)の重合体溶液の代わりに、合成例2で得られた共重合体(A−2)100重量部を用いた他は、実施例1と同様にして組成物溶液(S−8)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例9
実施例1において、共重合体(A−1)の重合体溶液の代わりに、合成例3で得られた共重合体(A−3)の重合体溶液を用いた他は、実施例1と同様にして組成物溶液(S−9)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例10
実施例1において、共重合体(A−1)の重合体溶液の代わりに、合成例4で得られた共重合体(A−4)の重合体溶液を用いた他は、実施例2と同様にして組成物溶液(S−10)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、逆テーパー形状、耐熱性、低揮発性などの諸性能に優れた隔壁を容易に形成することができる感放射線性樹脂組成物が提供される。
【0089】
また、上記の感放射線性樹脂組成物より、信頼性の高い隔壁が得られる。
Claims (5)
- (A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、
(C)感放射線重合開始剤並びに1 , 7−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1 , 6−ヘプタジエン−3 , 5−ジオンおよびジベンジリデンアセトンよりなる群から選ばれる紫外線吸収剤
を含有することを特徴とする、EL表示素子の隔壁形成用感放射線性樹脂組成物。 - 請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物から形成された、EL表示素子の隔壁。
- 垂直断面形状が底辺の長さが上辺の長さよりも短くそして上部のパターンエッジと下部のパターンエッジを結んだ直線と、上辺とがなす角度が15〜75°をなす台形状である、請求項2に記載のEL表示素子の隔壁。
- 25℃から200℃までの加熱による揮発成分の発生量が隔壁の重量の10%以下である、請求項2に記載のEL表示素子の隔壁。
- 請求項2に記載の隔壁を備えたEL表示素子。
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