JP4108784B2 - 回路基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子回路を構成する部品を互いに接続実装する回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器が軽薄短小を要求される中で、部品の複合化、大電流化が求められている。このような状況においても、従来、部品間をつなぐ回路基板に関しては通常のプリント基板を用いて対応している。即ち、通常用いられているプリント基板に手を加え、大電流に対応する回路導体に別の導体を追加したり、別の導体で端子を構成したりしている。
【0003】
従来例を図24を参照して説明すると、41は部品、42は絶縁体、43は通常9〜36μm厚の薄導体、44は別付け導体、45は端子部である。この回路基板は、まず絶縁体42と薄導体43の一体化されたものを作成して、その薄導体43をエッチング法で所定の回路パターンを形成し、部品41を実装接続するための穴をあける。次いで、大電流が流れたり、端子部45を必要とする回路導体部に合わせて別途用意された別付け導体44を薄導体43に半田付け、溶接等の方法で固定する。また、部品41の実装接続は、通常プリント基板を用いて実装する方法と変わりなく、部品挿入穴に部品の電極端子を挿入した後半田付けする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の構成では、複雑な回路パターンの場合や、大電流対応箇所が多くなった場合に作業性が悪くなり、品質確保も難しくなり、コスト高につながるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、大電流に対応可能な厚みの大きい導体部を備えかつ簡単で安定したプロセスで作成できて低コストにて得られ、さらに信頼性、安全性を確保できる回路基板を提供することを目的としている。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の回路基板は、導体のみをエッチング法又はプレス法で加工して構成した導体部と、樹脂シートを軟化・圧縮して導体部の表面又は表裏面以外を樹脂で充填して構成した樹脂部とから成る回路基板において、基板平面内において導体部の分布が粗な部分の樹脂の厚みを導体部の分布が密な部分より薄くしたものであり、一定厚さの樹脂シートを用いる場合、樹脂の流動性が低いと加熱しても流動し難いために、導体部の少ない部分はその導体の体積分だけ充填密度が低くなるが、その部分の厚みを薄くすることにより充填密度が上がり、同一回路基板内における密度のばらつきを無くし、反り、変形、導体部と樹脂部の密着強度のばらつきを防止できる。
【0027】
請求項2記載の回路基板は、導体部のない樹脂部のみの部分に穴を設け、導体部のある部分と樹脂の充填密度を同一又は近似させたものであり、請求項1と同様の効果が得られる。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
請求項3記載の回路基板は、導体部の一部又は導体部と同一材質で囲枠を形成する部分を設け、樹脂と一体化時又は一体化後に折り曲げて封止樹脂注入用の囲枠を形成したものであり、導体部の導体パターンの形成と同時に封止時の囲枠となる部分も形成するため、別途に囲枠を用意するよりも部品点数を削減できるとともに容易に封止が可能となる。また、囲枠を回路の一部として利用することも可能で、基板面積の削減や回路のシールドに利用可能である。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
請求項4記載の回路基板は、部品を保持する支え体と基板上下面の封止用囲いを一体の樹脂成形体で構成し、導体面側に熱圧着法、超音波溶着法、溶接法等にて固定したものであり、両者を別体にて構成する場合に比して部品点数及び装着工数を少なくでき、また部品の支え体や樹脂封止囲いは樹脂部と同一材料でなければならない理由はないので選択の幅が広くなり、また部品を表面実装する場合に半田供給後に支え体及び囲いを装着することにより、半田供給を印刷法を適用して一括して行うことができる。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回路基板の参考例と実施形態について図1〜図23を参照して説明する。
【0044】
(第1の参考例)
本参考例は、本発明の回路基板の基本構成を示すもので、導体部と樹脂部の密着性の向上を図ったものであり、図1〜図6を参照して各構成例を説明する。
【0045】
図1の構成例においては、導体のみの状態でエッチング法又はプレス法で導体パターンを加工して構成された導体部1と、導体部1の表裏面を残して周囲に樹脂を充填して構成された樹脂部2にて回路基板が構成されており、かつ導体部1の厚み方向に沿う側面には幅広で浅い切欠3(3a)やV字状の切欠3(3b)又は段部が形成されている。このように導体部1の側面に切欠3又は段部を形成することによりその面積を大きくするとともに、角部を多く形成しており、それにより導体部1と樹脂部2の接触面積を増加して密着力を向上している。なお、導体部1の表面だけを残して樹脂を充填し、回路基板の裏面の全面を樹脂で被覆する樹脂部2を構成しても良い。
【0046】
図2の構成例においては、導体部1の側面の厚み方向の任意の位置に凸部4又は凹部が設けられている。図2(a)は凸部4を下縁に設けた例を、図2(b)は中間に設けた例を示している。このように、凸部4又は凹部を有する導体部1の周囲に樹脂を充填して樹脂部2を形成することにより、凸部4が樹脂部2内に突出し、導体部1と樹脂部2の接触面積を増加するとともに、導体部1が樹脂部2から抜け出すのを防止し、両者が強固に固着される。
【0047】
図3の構成例においては、導体部1における導体パターンの任意の位置で、その導体の一部を樹脂部2内に埋没するように0〜45度の範囲内の角度で傾斜させた傾斜部5が設られている。このように導体部1の一部の傾斜部5のほぼ全体が樹脂部2内に埋没することにより、導体部1の樹脂部2から剥がれや抜け出しが防止される。
【0048】
図4の構成例においては、導体部1における導体パターンの任意の位置に樹脂部2内に埋没する凹部6を設け、その凹部6内にも樹脂を充填している。
【0049】
このように導体部1の一部が樹脂部2内に埋没することにより、導体部1の樹脂部2から剥がれや抜け出しが防止される。
【0050】
図5の構成例においては、図5(a)、(b)に示すように導体部1の所定の面積を有する導体パターン部に、所定の大きさの穴7を必要数設け、この穴7内に樹脂を充填している。また、図5(c)に示すように穴7から下方に筒状部7aを突出させたり、図5(d)に示すように凹部6の底面に穴7を設けてもよい。このように穴7や筒状部7aの中や、穴7を通して凹部6内に樹脂が充填されていることにより、導体部1と樹脂部2が強固に固着される。
【0051】
図6の構成例においては、導体部1の導体パターンの端部8から樹脂部2の樹脂中に埋没する埋没片9を突出させている。埋没片9は、図6(b)に示す傾斜片や、図6(c)に示すL字片にて構成することができる。このように、導体部1における導体パターンの他の導体パターンと接続されない端部8に樹脂中に埋没する埋没片9を設けることにより、導体パターン端部8の樹脂部2からの剥がれが確実に防止される。
【0052】
(第2の参考例)
本参考例は上記参考例の回路基板の製造方法に関するものであり、図7を参照して説明する。
【0053】
図7において、導体部1と樹脂部2を一体化した回路基板を製造する際に、導体部1の周囲を同一材質の枠11にて囲むとともに、枠11と導体部1の間に枠スペーサ11aを介装する。なお、導体部1の導体パターンは樹脂部2にて一体化されるまではばらばらになるのを防止するためにタイバー10にて互いに連結されており、枠11と導体部1の導体パターン間もタイバー10で結合されている。この状態でシート状に形成した樹脂を所定寸法にして重ね合わせ、熱板で加圧、加熱して導体部1と樹脂部2を一体化する。このようにして樹脂にて一体化するときに、樹脂が軟化して導体部1の導体パターンの周囲に充填されるが、導体パターンの間では互いに隣接する導体パターンに遮られて流れ出すことはなく、導体パターンの間に一定密度をもって充填され、かつ導体パターンの最外周部でも枠11と枠スペーサ11aにて樹脂が外側に自由に流れるのを防止されて樹脂が所定の充填密度で充填され、導体部1と樹脂部2の密着が弱くなるようなことはない。導体部1と樹脂部2を一体化した後、枠11は除去する。
【0054】
従来は、枠11の代わりに金型を用い、導体部1をインサートとして樹脂成型を行い、導体部1と樹脂部2を一体化していたが、コスト上及び工数の面からも本実施形態の製造方法が有利である。
【0055】
(第3の参考例)
本参考例は上記参考例の回路基板における熱膨張差の吸収構造に関するものであり、図8を参照して説明する。
【0056】
図8において、導体部1の裏面側に一体化された樹脂部2に碁盤目状の溝12が形成されている。この溝12は導体部1の導体パターンの密集度合いに応じてその配列間隔が変えられている。また、溝12の底部の樹脂厚みTは、導体部1と結合した状態で所定の強度を維持できる範囲で、樹脂部2の厚みDよりも可能な範囲で小さく設定されている。例えば、導体部1の厚さが0.1〜0.8mmの場合に導体部1の厚さをtとして、T=t〜2tの範囲に設定されている。
【0057】
導体部1と樹脂部2は互いに熱膨張係数に差があるため、一体化後温度が上昇すると反りや捩れが生じ、特に導体部1より樹脂部2の体積が大きいと樹脂部2の影響が強く現れるが、上記のように導体部1の裏面側の樹脂部2に碁盤目状に溝12を設けることにより、導体と樹脂の熱膨張差を溝12で吸収して回路基板が変形するのを防止できる。また、導体部1の密度、面積、方向性によって溝12の数及び間隔を変えることにより、導体部1側の膨張力に合わせて樹脂部2側で対応することにより回路基板の反り、捩れを防止できる。
【0058】
なお、溝12の配置構成は碁盤目状のものを例示したが、必要に応じて他の配置構成を採用してもよい。
(第4の参考例)
本参考例は上記参考例の回路基板における導体部1の導体パターン間を結合する導体結合部であるタイバー10の除去方法に関するものであり、図9〜図11を参照して各構成例について説明する。
【0059】
図9(a)において、導体部1の導体パターン間を結合するタイバー10の下面の略中央部に切り込み13が形成されるとともに、タイバー10の下部に樹脂を充填しない空洞部14が形成されており、タイバー10の上部から矢印の如く打ち抜き型15を押下することによって、図9(b)に示すように、タイバー10が切り込み13で切断されて空洞部14の側面に押し付けられる。これによって、切断かすを出さずにタイバー10を除去できるとともに樹脂部2との接触面積が増加することによって導体部1と樹脂部2の結合強度が高くなる。なお、切り込み13は導体部1の導体パターンを形成するときに形成される。
【0060】
さらに、図9(c)に示すように、空洞部14の側面に段部16を設けておいて、切断したタイバー10の先端部を段部16に係合するように折り曲げると、導体部1の樹脂部2からの剥がれ、浮きをより効果的に防止できる。
【0061】
図10においては、タイバー10の空洞部14の両側面近傍位置の下面に一対の切り込み13が形成されており、タイバー10の上部から矢印の如く打ち抜き型15を押下することによって、タイバー10が打ち抜かれて除去される。このように一対の切り込み13を設けることにより、下型を用いずにタイバー10を打ち抜き除去できる。
【0062】
図11においては、上型17と下型18を用いてタイバー10部分の導体部1と樹脂部2を同時に打ち抜き、タイバー10を打ち抜き片19として除去している。この場合にも、図10に示すようにタイバー10の両端近傍に一対の切り込み13を形成しておくと、切断力を軽減することができ、導体部1及び樹脂部2に余分な力を加えなくて済む。なお、図11(a)は導体部1の裏面にのみ樹脂部2が一体化されている例を、図11(b)は導体部1の表裏両面に樹脂部2が一体化されている例を示している。
【0063】
さらに、図示は省略するが、タイバー10をレーザービームで切断除去してもよい。その場合、金型を用いずに、また回路基板に不必要な衝撃を与えずにタイバー10を除去でき、またタイバー10の変更に対しても金型を用いる場合に比して簡便に対応でき、信頼性向上にも効果がある。
【0064】
(第5の参考例)
本参考例は上記参考例の回路基板の導体部に雌ねじを形成したものに関するものであり、図12を参照して各構成例について説明する。
【0065】
図12において、図12(a)は導体部1の片面に、図12(b)はその両面に樹脂部2を一体化した回路基板において、導体部1と樹脂部2の両方にわたって雌ねじ20が形成されている。なお、樹脂部2は雌ねじ20の必要な長さに応じてその厚さを変えてもよい。
【0066】
一般に回路基板への部品の固定はビスとナット、又はナットに代わるものを用いて固定しており、また樹脂部へのねじ締めはセルフタッピングねじを用いて行っているが、硬さの異なる導体部1と樹脂部2が一体化された回路基板にセルフタッピングねじをねじ込むと、導体部1と樹脂部2の間に剥離が生じる恐れがある場合や、樹脂部2に熱硬化性樹脂を用いているためセルフタッピングねじの使用が困難や不可能な場合があるが、上記のように雌ねじ20を形成しておくことによりねじ部の長さを多く確保できて安定した部品の固定が可能となる。
【0067】
図12(c)の構成例では、導体部1に雌ねじ20を形成し、導体部1の下部の樹脂部2には雄ねじの外径よりも小さい径の穴21が形成されている。即ち、導体部1に雌ねじ20を形成し、樹脂部2と一体化するときに雌ねじ20に樹脂が充填されないようにして穴21を形成している。雄ねじの外径をA、雌ねじ20の内径をB、穴21の内径をCとして、A>C>Bとし、AとCを近似した値に設定している。
【0068】
このように構成されたねじ部に雄ねじをねじ込むと、雌ねじ20に案内されてねじ込まれ、穴21においては僅かな抵抗をもちながら導体部1と樹脂部2間で剥離を生じることなく雌ねじを形成しながらねじ込まれ、穴21の内周における抵抗により雄ねじの弛み防止を図ることができる。
【0069】
図12(d)、(e)の構成例では、穴21の周囲に複数の細い溝22を設けており、雄ねじや穴21の寸法ばらつきによる抵抗の増大を緩和することができ、樹脂部2に雄ねじをねじ込むときの力を軽減しながら、図2(c)と同様の効果を奏する。
【0070】
(第1の実施形態)
本実施形態は上記参考例の回路基板において樹脂部の充填密度の均一化を図ったものであり、図13を参照して各構成例について説明する。
【0071】
導体部1における導体パターンは、互いの面積や間隔が一定でなく、その場合に一定厚みのシート状の樹脂を重ね合わせ、熱板にて加圧加熱して一体化を図ると、加熱硬化時においても粘性を有する樹脂が一定時間内に導体パターン間に充填されるために互いに密度が均一にならず、樹脂密度に差を生じる。そこで、図13(a)に示すように、導体部1の導体パターンの分布密度にあわせて、樹脂部2の各部分における樹脂の体積が一様になるように熱板の形状を変え、導体パターンの分布密度の小さい部分に凹入段部23を設け、樹脂の充填密度を向上させている。
【0072】
又、凹入段部23を設ける代わりに、図13(b)に示すように、導体パターン間に穴24を形成して同様の作用を奏するようにしてもよい。
【0073】
(第6の参考例)
本参考例は上記回路基板において樹脂部の両面に導体部を設けたものであり、図14を参照して各構成例について説明する。
【0074】
両面の導体部1はそれぞれ所定の導体パターンを形成して構成されている。これら導体部1の一面を樹脂部2の両面の所定位置にそれぞれ固着する。固着方法としては、樹脂成形法、接着法、溶着法等、いずれの方法でもよい。次いで、導体パターン間に樹脂2aを充填することによって回路基板を形成する。この時、樹脂2aは樹脂部2と同材質であっても、異材質であっても良く、また互いに樹脂量の比も任意でよい。なお、上下両面の導体部1の総面積、分布状態を同じか同程度とすることにより、上下両面で導体部1の量に差がないため、膨張、収縮に差が生じず、回路基板の変形、反りを防止できる。
【0075】
(第7の参考例)
本参考例は上記回路基板における導体部の経済的な製造方法に関するものであり、図15を参照して各構成例について説明する。
【0076】
通常、導体部1の導体パターンの形成においては、当初から回路基板として必要な寸法で形成されているが、材料面積の多くを捨てることになり、極めて不経済である。そこで、本実施形態では、図15(a)に示すように、導体部1はエッチング法、プレス法、レーザカット法等の方法で最小の間隔寸法Eで形成する。次いで、図15(b)に示すように、必要な所定の間隔寸法F、Gとなるように導体部1を変形させる。また、機能上表面に出さなくて良い導体部分は上下に移動させて距離をとってもよい。このようにして形成された導体部1と樹脂部2を一体化することにより極めて経済的に回路基板を製造できる。
【0077】
(第8の参考例)
本参考例は上記回路基板におけるパターンフューズの形成方法に関するものであり、図16を参照して説明する。
【0078】
まず、導体部1のパターンフューズ25を必要とする箇所にパターンフューズ25の最終形状に近い形状をプレス法、エッチング法等で形成する。次いで、パターンフューズ25の両端となる部分に抵抗計、電流計等の計測器26を接続して測定しながらレーザ法、サンドブラスト法を用いて導体の側面や表面を削り取って所定の抵抗値のパターンフューズ25を形成する。
【0079】
この方法によると、導体部1の厚さに関係なく、導体部1の厚さより小さい幅のパターンフューズ25や導体部1の厚さよりも薄い厚さのパターンフューズ25を精度良く形成することができる。
【0080】
また、図17(a)、(b)に示すように、別に形成された線状フューズ27aや箔状フューズ27bを圧接、溶接等により導体パターンに固着して別付けのフューズを構成してもよい。
【0081】
(第2の実施形態)
本実施形態は上記回路基板における封止樹脂の充填方法に関するものであり、図18を参照して説明する。
【0082】
図18(a)において、導体部1と樹脂部2で構成された回路基板において、導体部1の樹脂部2と一体化される範囲の外側に一体化後に表面側に折り曲げ可能な囲枠形成部28を一体的に形成しておく。そして、囲枠形成部28は回路基板形成工程のいずれかの工程において、図に矢印で示すように4方向とも折り曲げて囲枠を形成する。そして、回路基板に部品29を実装、半田付けした後、部品29の振動対策、吸湿対策等、信頼性を向上するために、形成した囲枠内に封止樹脂30を充填し、封止樹脂を硬化させて封止する。また、囲枠形成部28は、導体部1と同材質の金属であるために、回路構成によって不要な電磁波を外部に漏洩させないシールドとしての作用を奏させることもできる。
【0083】
図18(b)は、導体部1の両面に樹脂部2が形成され、上方の樹脂部2上に部品29を配置し、下方の樹脂部2に形成した空洞部で部品29の半田付けを行うようにした回路基板に適用した例を示している。
【0084】
また、このように部品29の半田付け部を部品29とは反対面に設け、半田及び半田付け構成部が下方の樹脂部2の厚み分より出ないようにすることにより、検査工程や修理時に不用意に導電性のある物の上においても短絡の心配が無く、また部品実装後の回路基板全体の厚みも小さくでき、小型化に貢献する。
【0085】
【0086】
さらに、上記のように導体部1に対して半田付けにて部品29を実装する場合に、導体部1を磁性体、又は磁性体を含む合金にて構成し、又は導体部1の一部又は全体に半田と結合可能な磁性体を圧接又は鍍金により形成すると、導体部1上にクリーム状の半田を供給し、電磁波で導体部1を発熱させることにより、必要とする部分にのみ熱を供給して半田付けすることができ、部品29が弱耐熱部品である場合にもその保護に効果を発揮する。
【0087】
(第9の参考例)
本参考例は導体部と絶縁フィルムと封止樹脂を用いて構成した回路基板に関するものであり、図19を参照して説明する。
【0088】
まず、導体部1の導体パターンをエッチング法で形成する例について説明する。この例においては、導体部1の加工前の板状の材料に絶縁フィルム31を貼り付け、次に所定の導体パターンになるようにエッチング加工し、導体部1を形成する。次いで、導体部1に部品29を実装した後、部品29、導体部1及び絶縁フィルム31が一体となるように封止樹脂30で覆っている。
【0089】
次に、導体部1の導体パターンをプレス法で形成する例について説明する。この例においては、導体部1の導体パターンはプレス法にて形成するが、導体パターン同士がばらばらにならないようにタイバーにて結合されている。このプレス後の導体部1に絶縁フィルム31を貼り付け、絶縁フィルム31と導体部1を一体化した後、タイバーを切断して所定の導体パターンを形成する。次いで、部品29を実装し、封止樹脂30を充填して完成する。
【0090】
何れの例においても絶縁フィルム31は、導体部1の導体パターンがばらばらになるのをつなぎ止め、部品実装時に導体パターンが位置ずれを生じない程度の厚みと強度があれば良い。導体部1、封止樹脂30、部品29、絶縁フィルム31はいずれも単体では回路基板に必要な所定の強度を有しないが、一体化することにより所定の強度を有する構造とすることができる。
【0091】
また、絶縁フィルム31の一部を除去して部品29の半田付け部を形成し、部品29を実装後、封止樹脂30で覆うことにより、部品29の半田付け部を絶縁フィルム31側に設けることもでき、その場合絶縁フィルム31を半田レジストとして用いることができ、その後封止樹脂30で覆うことにより絶縁も確保される。
【0092】
(第3の実施形態)
本実施形態は上記回路基板において、部品の支えと封止樹脂充填時の囲いを共用するようにしたものであり、図20を参照して説明する。
【0093】
まず、部品を回路基板に挿入実装する例について説明すると、図20(a)において、部品29の寸法、形状に合わせた部品支え体32と回路基板の外形寸法に合わせた封止樹脂囲い33とを備えた絶縁性合成樹脂から成る枠体34を別途に製造して回路基板の部品実装側に接着、溶着、ねじ等を用いて装着する。なお、封止樹脂囲い33は回路基板に装着したときに回路基板の上下に存在するように形成しておく。次に回路基板に部品29を挿入し、部品29が部品支え体32で保持された状態で半田付けを行う。次いで、枠体34の封止樹脂囲い33内に封止樹脂30を充填硬化し、部品29の周囲及び回路基板の上下が封止樹脂30にて封止する。
【0094】
次に、部品を回路基板に表面実装する例について説明すると、図20(b)において、回路基板の表面に印刷法で半田を所定の位置に供給する。次に、枠体34を回路基板の表面に固定する。固定方法は上記と同様である。その後部品29を実装し、封止樹脂30を封止樹脂囲い33内に充填して硬化させる。
【0095】
なお、半田の供給として印刷法を例示したが、ディスペンサを用いても良く、その場合は枠体34を先に回路基板に装着してもよい。
【0096】
このように、部品支え体32と封止樹脂囲い33とを備えた枠体34を回路基板とは別に形成することにより、形成材料と部品実装方法の選択の自由があり、必要に応じて使い分けできる利点がある。
【0097】
(第10の参考例)
本参考例は上記回路基板において、放熱機能を持たせたものであり、図21、図22を参照して説明する。
【0098】
まず、図21の構成例について説明する。導体部1と樹脂部2を一体化した回路基板の放熱を必要とする部品29に対応する部分で樹脂部2に空洞部35が形成されている。この空洞部35は放熱体36がはいる充分な大きさとすることは言うまでもない。そして、部品29を回路基板上に実装した後に、導体部1を介して放熱体36を装着し、部品29の熱を吸収放熱するようにしている。
【0099】
次に、図22の構成例について説明する。導体部1における放熱を必要とする部品29の配置部分の裏面に肉厚部1aが形成されている。この肉厚部1aの形成は、成形プレスにより板厚の厚い材料を用いて一体に形成する方法や、肉厚部1aのみを別途形成し、圧接、溶接、半田付け等の方法で導体部1と一体化する方法が考えられる。何れの方法においても、肉厚部1aの下面は樹脂部2の下面と同一か、若しくは樹脂部2の下面より肉厚部1aが突出される。そして、肉厚部1aの裏面に接触するように平板状の放熱体36が樹脂部2の裏面に装着されて、部品29の熱を導体部1及びその肉厚部1aを介して放熱体36で吸収放熱するようにしている。なお、発熱量の小さい場合にはこの肉厚部1aのみでも放熱することができるが、放熱体36を装着することにより大熱量を放熱することができる。
【0100】
また、図21、図22の何れの構成例においても、導体部1を介して放熱を行うものであるため、放熱体36と導体部1やその肉厚部1aとの絶縁を配慮することは言うまでもないことである。
【0101】
(第11の参考例)
本参考例は上記第4の参考例の図11に示した構成例の回路基板において、そのタイバー切断部の安全性確保を図ったものであり、図23を参照して説明する。
【0102】
導体部1の導体パターンがばらばらにならないように結合しているタイバー10を、導体部1と樹脂部2を一体化した後打ち抜き除去した場合、隣合う導体パターン間に一定以上の距離を設けるか絶縁物を介在させることによって安全規格に合わせる必要がある。そこで、封止樹脂30の充填時にタイバー10の打ち抜きにより生じた穴37にも充填することにより、隣合う導体パターン間に封止樹脂30から成る絶縁物を介在させている。かくして、絶縁物の介在によって安全の確保を図ることができる。また、1つの回路基板に多数存在するタイバー10の打ち抜きによって生じた穴37に絶縁物を詰めて安全を確保するという極めて煩雑な作業を一挙に軽減することができる。
【0103】
【発明の効果】
本発明の回路基板によれば、以上の説明から明らかなように、導体部の密度のばらつきを、樹脂部に空洞部や穴を設けることにより回路基板全体の樹脂充填密度のバランスをとって回路基板の変形を防止することができ、安全性と信頼性の高い回路基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の回路基板の第1の参考例における第1の構成例を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図2】 同参考例における第2の構成例を示し、(a)一例の断面図、(b)は他の例の断面図である。
【図3】 同参考例における第3の構成例の断面図である。
【図4】 同参考例における第4の構成例を示し、(a)は断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図5】 同参考例における第5の構成例を示し、(a)は平面図、(b)は要部の断面図、(c)は同変形例の断面図、(d)は他の変形例の断面図である。
【図6】 同参考例における第6の構成例を示し、(a)は平面図、(b)は要部の断面図、(c)は同変形例の断面図である。
【図7】 本発明の回路基板の第2の参考例の平面図である。
【図8】 本発明の回路基板の第3の参考例を示し、(a)は断面図、(b)は底面図である。
【図9】 本発明の回路基板の第4の参考例を示し、(a)はタイバーの除去工程を示す断面図、(b)は除去後の状態を示す断面図、(c)は除去後の他の状態を示す断面図である。
【図10】 同参考例における他の構成例におけるタイバーの除去工程を示す断面図である。
【図11】 同参考例におけるさらに別の構成例を示し、(a)はタイバーの除去工程を示す断面図、(b)は他の構造の回路基板のタイバーの除去工程を示す断面図である。
【図12】 本発明の回路基板の第5の参考例を示し、(a)は雌ねじ形成部の断面図、(b)は他の構造の回路基板における雌ねじ形成部の断面図、(c)は他の雌ねじ形成部の断面図、(d)はさらに別の雌ねじ形成部の断面図、(e)は(d)の底面図である。
【図13】 本発明の回路基板の第1の実施形態を示し、(a)は第1の構成例の断面図、(b)は第2の構成例の断面図である。
【図14】 本発明の回路基板の第6の参考例における製造工程を示す断面図である。
【図15】 本発明の回路基板の第7の参考例における導体部を示し、(a)は導体パターン形成状態の断面図、(b)は導体パーンの間隔調整後の状態を示す断面図である。
【図16】 本発明の回路基板の第8の参考例におけるフューズ部の形成工程の説明図である。
【図17】 同参考例における他のフューズ形成方法を示し、(a)、(b)はそれぞれ別の形成方法の説明図である。
【図18】 本発明の回路基板の第2の実施形態における封止樹脂の囲い形成工程を示し、(a)、(b)はそれぞれ異なった構造例の断面図である。
【図19】 本発明の回路基板の第9の参考例の断面図である。
【図20】 本発明の回路基板の第3の実施形態を示し、(a)、(b)はそれぞれ異なった構造例の断面図である。
【図21】 本発明の回路基板の第10の参考例の第1の構成例の断面図である。
【図22】 本発明の回路基板の第10の参考例の第2の構成例の断面図である。
【図23】 本発明の回路基板の第11の参考例の断面図である。
【図24】 従来例の回路基板の断面図である。
【符号の説明】
1 導体部
1a 肉厚部
2 樹脂部
3 切欠
4 凸部
5 傾斜部
6 凹部
7 穴
8 端部
9 埋没片
10 タイバー(導体結合部)
11 枠
12 溝
13 切り込み
14 空洞部
16 段部
20 ねじ穴
21 穴
22 細い溝
23 凹入段部
24 穴
25 パターンフューズ
26 計測器
27a 線状フューズ
27b 箔状フューズ
28 囲枠形成部
29 部品
30 封止樹脂
31 絶縁フィルム
32 部品支え体
33 封止樹脂囲い
34 枠体
36 放熱体
37 穴
Claims (4)
- 導体のみをエッチング法又はプレス法で加工して構成した導体部と、樹脂シートを軟化・圧縮して導体部の表面又は表裏面以外を樹脂で充填して構成した樹脂部とから成る回路基板において、基板平面内において導体部の分布が粗な部分の樹脂の厚みを導体部の分布が密な部分より薄くしたことを特徴とする回路基板。
- 導体のみをエッチング法又はプレス法で加工して構成した導体部と、樹脂シートを軟化・圧縮して導体部の表面又は表裏面以外を樹脂で充填して構成した樹脂部とから成る回路基板において、導体部のない樹脂部のみの部分に穴を設け、導体部のある部分と樹脂の充填密度を同一又は近似させたことを特徴とする回路基板。
- 導体のみをエッチング法又はプレス法で加工して構成した導体部に樹脂部を一体化して構成した回路基板において、導体部の一部又は導体部と同一材質で囲枠を形成する部分を設け、樹脂と一体化時又は一体化後に折り曲げて封止樹脂注入用の囲枠を形成したことを特徴とする回路基板。
- 導体のみをエッチング法又はプレス法で加工して構成した導体部に樹脂部を一体化して構成した回路基板において、部品を保持する支え体と基板上下面の封止用囲いを一体の樹脂成形体で構成し、導体面側に熱圧着法、超音波溶着法、溶接法等にて固定したことを特徴とする回路基板。
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