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JP4101521B2 - 柔軟仕上剤組成物 - Google Patents

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由博 山崎
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種繊維、特に木綿類に対して優れた柔軟性を付与でき、且つ苛酷な条件での保存にも安定な柔軟仕上剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、業務用柔軟仕上剤として市販されている商品は、殆どがジ(硬化牛脂アルキル)ジメチルアンモニウムクロライドに代表されるような1分子中に2個の長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩を主成分とした組成物であるが、低温で長期保存をする場合は、増粘したり、ゲル状になったり、分離したりすることがある。市販の柔軟剤は、上記の第4級アンモニウム塩の他にポリオキシエチレン系の非イオン界面活性剤、電解質及び溶剤等の添加剤を配合し、水への分散性及び長期保存安定性を改良しているが、その効果は未だ不充分である。
【0003】
保存安定性を向上させた柔軟剤として、特開平7-18575号には、特定の第4級アンモニウム塩と、イソトリデシルアルコールエトキシレートと、1価及び/又は2価アルコールとを含有する液体柔軟剤組成物が、特開平10-77574号には、特定2種の第4級アンモニウム塩と、特定のアルコールのエチレンオキシド付加物とを含有する柔軟仕上剤組成物が開示されている。
【0004】
これらの柔軟剤組成物には、香りを付与するために香料が配合されているが、この香料は保存安定性にも寄与している。しかし、業務用の柔軟剤組成物、中でもリネン業界、特にホテル、病院向けのタオル、寝具等の洗濯における柔軟剤組成物の製品訴求としては、無香料のものが好まれる傾向にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
無香料の柔軟剤組成物では保存安定性が低下するため、その改善が望まれており、併せて各種繊維、特に木綿類に対して良好な柔軟性を付与できることが望ましい。
【0006】
本発明の課題は、各種繊維、特に木綿類に対して優れた柔軟性を付与でき、より保存安定性に優れた無香料の柔軟仕上剤組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分を含有し、(a)成分と(b)成分の重量比が(a)成分/(b)成分=99/1〜70/30である柔軟仕上剤組成物に関する。
(a)成分;分子内に
【0008】
【化4】
Figure 0004101521
【0009】
を1個有し、かつ炭素数11〜22の長鎖炭化水素基を更にもう1個有する第4級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物
(b)成分;炭素数11〜22の長鎖炭化水素基を1個有する第4級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物
(c)成分;炭素数8〜22の分岐鎖を有する高級アルコールにエチレンオキシド(以下、EOと表記する)を平均で20〜40モル付加した化合物
(d)成分;エーテル結合を含まない炭素数1〜4の1〜3価アルコール
(e)成分;エーテル結合を含む1〜3価アルコール
【0010】
【発明の実施の形態】
<(a)成分>
本発明における(a)成分は、分子内に
【0011】
【化5】
Figure 0004101521
【0012】
を1個有し、かつ炭素数11〜22の長鎖炭化水素基を更にもう1個有する第4級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物である。(a)成分としては、下記の一般式(a-1)で表される化合物が好ましい。
【0013】
【化6】
Figure 0004101521
【0014】
〔式中、
R1,R2;同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基
R3,R4;同一でも異なっていてもよく、それぞれ直鎖の炭素数11〜22のアルキル基又はアルケニル基
X-;ハロゲンイオン、CH3SO4 -又はC2H5SO4 -
n;2又は3の数
である。〕。
【0015】
本発明において、(a)成分に含まれる脂肪酸残基中の直鎖の長鎖炭化水素基R(一般式(a-1)中の直鎖の長鎖炭化水素基R3,R4)は牛脂、豚脂、パーム油、ヒマシ油、オリーブ油等の天然由来の油脂を原料とするのが一般的であり、そのまま第4級アンモニウム塩混合物の調製に用いることができる。また、部分水素化又は完全水素化等の公知の方法により炭化水素基の飽和/不飽和含有量を調節できる。不飽和炭化水素基には異性体として、シス体、トランス体が存在するが、シス体/トランス体=97/3〜20/80(重量比)の範囲内であることが好ましい。
【0016】
<(b)成分>
本発明における(b)成分は、炭素数11〜22の長鎖炭化水素基を1個有する第4級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物であり、(b)成分としては、下記の一般式(b-1)で表される化合物が好ましい。
【0017】
【化7】
Figure 0004101521
【0018】
〔式中、
R5,R6;同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基
R7;直鎖の炭素数11〜22のアルキル基又はアルケニル基
Y-;ハロゲンイオン、CH3SO4 -又はC2H5SO4 -
m;2又は3の数
である。〕。
【0019】
本発明において、(b)成分に含まれる脂肪酸残基中の直鎖の長鎖炭化水素基R(一般式(b-1)中の直鎖の長鎖炭化水素基R7)は牛脂、豚脂、パーム油、ヒマシ油、オリーブ油等の天然由来の油脂を原料とするのが一般的であり、そのまま第4級アンモニウム塩混合物の調製に用いることができる。また、部分水素化又は完全水素化等の公知の方法により炭化水素基の飽和/不飽和含有量を調節できる。不飽和炭化水素基には異性体として、シス体、トランス体が存在するが、シス体/トランス体=97/3〜20/80(重量比)の範囲内であることが好ましい。
【0020】
<(c)成分>
本発明における(c)成分は、炭素数8〜22の分岐鎖を有する高級アルコールにEOを平均で20〜40モル付加した化合物である。これらの中でも、EOの平均付加モル数が20〜40モルのイソトリデシルアルコールエトキシレートが好ましい。さらに好ましくはEOの平均付加モル数が20〜35モルのイソトリデシルアルコールエトキシレートである。平均付加モル数が20モル以上であれば凍結復元時の高粘度化が抑制でき、一方、40モル以下であれば高温保存下の増粘が抑制できる。
【0021】
<(d)成分>
本発明における(d)成分は、エーテル結合〔エーテル化合物を形成するオキシ基(-O-基)〕を含まない炭素数1〜4の1〜3価アルコールである。(d)成分は、エーテル結合以外の結合を含んでいても良い。
【0022】
本発明の(d)成分は、(a)成分及び/又は(b)成分を製造する時の条件を適宜調整することにより組成物中に含有させることができ、また(d)成分を別に配合してもよい。
【0023】
(d)成分としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3価アルコールが挙げられる。これらの中でもエチレングリコールが好ましい。
【0024】
<(e)成分>
本発明における(e)成分は、エーテル結合を含む1〜3価アルコールである。本発明においては、(e)成分を配合することにより、より過酷な条件でも優れた保存安定性が得られる。
【0025】
(e)成分としては、炭素数2〜10のものが好ましく、炭素数4〜8のものがより好ましい。(e)成分の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等の1価アルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコール、ペンタエリスリトールモノメチルエーテル等の3価アルコールが挙げられる。これらの中でもジプロピレングリコールが好ましい。
【0026】
<柔軟仕上剤組成物>
本発明において、(a)成分と(b)成分の重量比は、保存安定性の点で、(a)成分/(b)成分=99/1〜70/30であり、90/10〜80/20がさらに好ましい。この重量比を満たした上で、(a)成分と(b)成分は、本発明の柔軟仕上剤組成物中に、合計で好ましくは3〜25重量%、より好ましくは4〜20重量%配合される。この配合量が3重量%以上であれば柔軟性を付与するために多量の組成物を使用する必要がなく、一方、25重量%以下であれば製品粘度及びハンドリング性も良好である。
【0027】
また、(c)成分は、本発明の柔軟仕上剤組成物中に好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%配合される。この配合量が0.5重量%以上であれば凍結復元時の粘度増加を抑制でき、一方、5重量%以下であれば配合直後の分離を抑制できる。
【0028】
また、(a)成分と(b)成分の合計と(c)成分の重量比は、〔(a)成分+(b)成分〕/(c)成分=0.6〜50、更に5〜30、特に10〜15が、保存安定性の点から、好ましい。
【0029】
また、(d)成分は、保存安定性の点から、本発明の柔軟仕上剤組成物中に好ましくは4.5〜15重量%、より好ましくは6〜10重量%配合される。
【0030】
また、(e)成分は、保存安定性の点から、本発明の柔軟仕上剤組成物中に好ましくは0.1〜1.5重量%、より好ましくは0.2〜1重量%配合される。
【0031】
また、(d)成分と(e)成分の重量比は、(d)/(e)=3〜150、更に5〜75、特に7〜30が、保存安定性の点から好ましい。
【0032】
<(f)成分>
本発明の柔軟仕上剤組成物には、衣類により高い柔軟性、弾力性を付与する目的で、(f)成分として、炭素数8〜22の脂肪酸と3〜6価の多価アルコールとのエステル化物から選ばれる1種以上の化合物を配合することができる。(f)成分も、(d)成分同様、(a)成分及び/又は(b)成分を製造する時の条件を適宜調整することにより組成物中に含有させることができ、また(f)成分を別に配合してもよい。
【0033】
(f)成分としては、具体的には次のものが例示される。グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリエタノールアミン等の3〜6価の多価アルコールとラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、硬化牛脂脂肪酸等の炭素数8〜22の長鎖脂肪酸とのエステル化物である。エステル化物はすべてのOH基をエステル結合したものより、一部のOH基のみエステル化させたものの方が良好である。エステル化物は上記の方法の他にトリグリセライドとグリセリンとのエステル交換反応によって得ることもできる。
【0034】
本発明において(f)成分は本発明の柔軟仕上剤組成物中に好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.7〜2.5重量%配合される。この配合量が0.5重量%以上であれば凍結復元時の粘度増加が抑制でき、一方、5重量%以下であれば柔軟性能が良好で、また高温保存下での分離も抑制できる。
【0035】
<(g)成分>
本発明の柔軟仕上剤組成物には、(g)成分として、変性又は未変性シリコーンを配合することができる。本発明における(g)成分は、消泡剤もしくは吸水性向上助剤として配合される。(g)成分として、具体的には、ジメチルポリシロキサン、部分的にアミノ基又はポリオキシアルキレン基で変性されたジメチルポリシロキサン等のシリコーン化合物が挙げられる。本発明において(g)成分は、消泡効果と処理布の風合いの観点から、本発明の柔軟仕上剤組成物中に好ましくは0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.03〜0.3重量%配合される。
【0036】
<その他>
更に、本発明の柔軟仕上剤組成物には、抗菌剤や、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム等の水溶性の塩、pH調整剤として酸剤、アルカリ剤を添加してもよい。水溶性塩の添加量としては、本発明の柔軟仕上剤組成物中に0.01〜0.5重量%である。また、上記(a)〜(e)成分及び任意成分以外の残部は水である。
【0037】
本発明の柔軟仕上剤組成物のpH(20℃)は1.5〜5.0が好ましく、より好ましくは3.0〜4.5である。
【0038】
なお、本発明の柔軟仕上剤組成物では、香料は配合されないか、あるいはされても賦香効果や保存安定性の付与効果が発現しない程度の微量である。
【0039】
【発明の効果】
本発明の柔軟仕上剤組成物は、各種繊維、特に木綿類に対して優れた柔軟性を付与でき、且つ無香料であっても苛酷な条件での保存にも安定である。このため、業務用の無香料柔軟仕上剤組成物として好適である。
【0040】
【実施例】
実施例1〜9及び比較例1〜8
下記の表1〜2に示す(a)、(b)、(c)、(f)成分と、(d)成分としてエチレングリコールと、(e)成分としてジプロピレングリコールと、(g)成分としてジメチルポリシロキサンとを、表3に示す量配合し、組成物として調整(pH4.0/20℃)し、下記に示す保存性能評価と柔軟性評価を行った。結果を表3に示す。なお、表3中、重量%は、組成物中の比率であり、残部は水である。
【0041】
<保存性能評価>
下記の(イ)〜(ハ)及び(ニ)における保存条件において、それぞれ下記の評価を行った。
・条件:(イ)50℃、(ロ)40℃、(ハ)−10℃
(評価)
○:2ケ月間外観の変化なし
△:1ケ月間外観の変化がないが、2ケ月後分離
×:1ケ月後分離又は明らかな増粘あり
・条件:(ニ)1サイクル/1日で−20℃と10℃を繰り返した。
(評価)
○:10サイクル後明らかな増粘みられず
△:5サイクル後は明らかな増粘みられないが、10サイクル後には明らかな増粘あり
×:5サイクル後明らかな増粘あり。
【0042】
<柔軟性能評価>
(1) 処理方法市販の木綿タオル2kg、アクリルジャージ1kgを3.5°DH硬水にて市販洗剤アタック(花王株式会社、登録商標)にて5回繰り返し洗濯(30リットル洗濯機)をし、繊維に付いていた繊維処理剤を除去した後、表4に示す柔軟仕上剤組成物15mlを投入し、25℃、3分間攪拌下で処理した。
(2) 評価方法上記方法で処理した布を室内で風乾後、25℃、40%RHの恒温恒湿室にて24時間放置した。木綿、アクリルそれぞれの布について柔軟性の評価を行った。柔軟性の評価はジメチルジ硬化牛脂アンモニウムクロライド12重量%を含有する(残部は水)柔軟剤15mlで処理した布を対照にして一対比較を行った。評価基準は次のようにした。
+2:対照より柔らかい
+1:対照よりやや柔らかい
0:対照と同じ
−1:対照の方がやや柔らかい
【0043】
【表1】
Figure 0004101521
【0044】
【表2】
Figure 0004101521
【0045】
【表3】
Figure 0004101521

Claims (6)

  1. 下記の(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分を含有し、(a)成分と(b)成分の重量比が(a)成分/(b)成分=99/1〜70/30であり、 (a) 成分と (b) 成分の合計含有量が3〜 25 重量%、 (c) 成分の含有量が 0.5 〜5重量%、 (d) 成分の含有量が 4.5 15 重量%、 (e) 成分の含有量が 0.1 1.5 重量%である柔軟仕上剤組成物。
    (a)成分;分子内に
    Figure 0004101521
    を1個有し、かつ炭素数11〜22の長鎖炭化水素基を更にもう1個有する第4級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物
    (b)成分;炭素数11〜22の長鎖炭化水素基を1個有する第4級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物
    (c)成分;炭素数8〜22の分岐鎖を有する高級アルコールにエチレンオキシドを平均で20〜40モル付加した化合物
    (d)成分;エーテル結合を含まない炭素数1〜4の1〜3価アルコール
    (e)成分;エーテル結合を含む1〜3価アルコール
  2. さらに、下記の(f)成分を含有する請求項1記載の柔軟仕上剤組成物。
    (f)成分;炭素数8〜22の脂肪酸と3〜6価の多価アルコールとのエステル化物から選ばれる1種以上の化合物
  3. さらに、下記の(g)成分を含有する請求項1又は2記載の柔軟仕上剤組成物。
    (g)成分:変性又は未変性シリコーン
  4. (a)成分が下記の一般式(a-1)で表される化合物であり、(b)成分が下記の一般式(b-1)で表される化合物である請求項1〜3の何れか1項に記載の柔軟仕上剤組成物。
    Figure 0004101521
    〔式中、
    R1,R2;同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基
    R3,R4;同一でも異なっていてもよく、それぞれ直鎖の炭素数11〜22のアルキル基又はアルケニル基
    X-;ハロゲンイオン、CH3SO4 -又はC2H5SO4 -
    n;2又は3の数
    である。〕
    Figure 0004101521
    〔式中、
    R5,R6;同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基
    R7;直鎖の炭素数11〜22のアルキル基又はアルケニル基
    Y-;ハロゲンイオン、CH3SO4 -又はC2H5SO4 -
    m;2又は3の数
    である。〕
  5. (c)成分が、エチレンオキシドの平均付加モル数が20〜40モルのイソトリデシルアルコールエトキシレートである請求項1〜4の何れか1項に記載の柔軟仕上剤組成物。
  6. 香料を含有しない請求項1〜5の何れか1項に記載の柔軟仕上剤組成物。
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