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JP4196009B2 - マイクロリレーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体微細加工技術を用いて形成されマイクロリレーの製造方法に関する。
従来から、半導体微細加工技術を用いて形成されたマイクロリレーが提供されており、このようなマイクロリレーは、たとえば、電磁石装置を備えたボディと、シリコンから形成され、磁性体を備えてアーマチュアを構成するアーマチュア基板及びこのアーマチュア基板の全周を包囲してアーマチュア基板を揺動自在に支持するフレームを一体に備えたアーマチュアブロックと、上記アーマチュアの揺動により固定接点と可動接点とが接離する接離機構とを備えている(たとえば、特許文献1)。
ここで、ボディは、ガラスを用いて矩形板状に形成され、四隅の近傍には、ボディの上下両面に貫通するスルーホールが形成されている。これらスルーホールの内周面には、マイクロリレーを実装するプリント基板の電気回路とマイクロリレーの固定接点とを電気的に接続するための電気経路が形成されており、このような電気経路は、クロム、チタン、白金、コバルト、ニッケル、金、金とコバルトの合金、又はこれらの合金等からなり、めっき、蒸着、スパッタ等により形成されている。
特開2005−50768号公報(第1図、第10図)
ところで、上記のような電気経路としては、電気抵抗の小さいものを用いることが好ましく、材料自体のコストも考慮すると、銅を用いるのが好ましい。
しかしながら、銅は、ガラスや、Si、SiO等の半導体の製造に用いられる誘電体に対して非常に拡散し易く、そのため、上記のようにガラス製のボディに貫設したスルーホール内に銅めっき層(以下、Cuめっき層という)を形成した際には、銅めっき層がスルーホールの内周面から界面剥離し易くなってしまうという問題が生じていた。
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、Cuめっき層の界面剥離を防止できるマイクロリレーの製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、請求項1では、少なくとも固定接点に電気的に接続される内部回路が設けられたガラス製のボディと、固定接点に接離する可動接点を備えてボディに対して揺動自在に設けられるアーマチュアと、アーマチュアを駆動する駆動手段とを備え、ボディには、外部の電気回路に前記内部回路を電気的に接続するCuめっき層を有するスルーホールが貫設され、スルーホールの内周面とCuめっき層との間には、スルーホール側に設けられるTiN層とCuめっき層側に設けられるCu層とを有するシード層を介在させ、シード層は、TiN層とスルーホールの内面との間にCr層を有しているマイクロリレーの製造方法であって、ボディにスルーホールをブラスト加工により貫設する第1の工程と、第1の工程の後にスルーホールの内周面にCr層をスパッタ法により形成する第2の工程と、第2の工程の後にCr層の表面にTiN層を形成する第3の工程と、第3の工程の後にTiN層の表面にCu層を形成する第4の工程と、第4の工程の後にCu層の表面にCuめっき層を形成する第5の工程とを有していることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、スルーホールの内周面とCuめっき層との間に、TiN層を有するシード層を設けているので、TiN層によってCuがガラス製のボディ中へ拡散してしまうことを防止することができ、これにより、Cuの拡散に起因するCuめっき層の界面剥離を防止することができる。また、TiN層よりもガラスとの密着性が良好なCr層を介してTiN層をスルーホールの内周面に形成しているので、シード層とスルーホールの内周面との間の密着性を向上でき、これにより、Cuめっき層の界面剥離の防止効果を向上することができる。また、Cr層をスパッタ法にて形成することで、蒸着等によってCr層を形成する場合に比べて、Cr層とスルーホールの内周面との密着性を向上することができ、これにより、Cuめっき層の界面剥離の防止効果を向上することができる。
本発明は、TiN層によってCuがガラス製のボディ中へ拡散してしまうことを防止することができるので、Cuの拡散に起因するCuめっき層の界面剥離を防止することができるという効果がある。
以下に、本発明の基本形態および実施形態について図1〜図4を用いて説明する。
基本態)
基本形態のマイクロリレーは、常開接点と常閉接点とを備えたラッチング型リレーであり、図2に示すように、固定接点S1〜S4を含む内部回路が設けられたガラス製のボディ1と、固定接点S1〜S4に接離する可動接点(図示せず)を備えてボディ1に対して揺動自在に設けられるアーマチュアAを有するアーマチュアブロック2と、アーマチュアブロック2の上面に被着されるカバー3と、アーマチュアAを駆動する駆動手段となる電磁石装置4とを備えている。
ボディ1は、ガラスを用いて矩形板状に形成され、図1(a)に示すように、四隅の近傍には、ボディ1の上面側と下面側とを連通するスルーホール10a〜10dが貫設されるとともに、ボディ1の長手方向両端側における短手方向中央部には、同様にスルーホール10e,10fが貫設されている。これらスルーホール10a〜10fには、外部の電気回路、たとえばマイクロリレーを実装するプリント基板の電気回路と、後述するランド13a〜13fからなる内部回路とを電気的に接続する電気経路となるCuめっき層11a〜11fがスルーホール10a〜10fの内周面及びその上面開口を覆うようにして形成されている。
ここで、このCuめっき層11a〜11fと、スルーホール10a〜10fとの間には、図1(c)に示すように、シード層12が設けられている。シード層12は、スルーホール10e側に設けられるTiN(窒化チタン)層12aと、Cuめっき層11e側に設けられるCu層とを有している。TiN層12aは、スルーホール10eの内周面を覆うように形成されており、TiN層12aの厚み寸法は、2nm〜200nmとなるのが好ましく、5nm〜30nmとなるのが最適である。また、Cu層12bは、TiN層12aの表面を覆うように形成されており、Cu層12bの厚み寸法は、10nm〜500nmとなるのが好ましく、100nm〜200nmとなるのが最適である。尚、図1(c)は一例としてスルーホール10eに関する構成を示しているが、上記の点は、他のスルーホール10a〜10d,10fについても同様である。
一方、ボディ1の中央には、図1(b)に示すように、ボディ1の上下両面に貫通した十字形の貫通孔14が設けられており、貫通孔14は、ボディ1の下面から上面にかけて徐々に断面積が小さくなるテーパー形状に形成されている。そして、ボディ1の上面には、薄膜15が貫通孔14を閉じるようにして密着接合されており、薄膜15は、シリコンまたはガラスで形成され、エッチングまたは研磨などの加工を施すことで5〜50μm程度、好ましくは20μm程度の厚さに形成されている。そして、ボディ1に密着接合された薄膜15と、ボディ1の貫通孔14の内周面とで囲まれる空間部が、ボディ1に電磁石装置4を収納するための収容凹部16となる。
ボディ1の上面には、前述した固定接点S1〜S4を備えるランド13a〜13d、及びグラウンドに用いられるランド13e,13fが形成されており、これらランド13a〜13fから固定接点S1〜S4を含む内部回路が構成されている。ここで、これらランド13a〜13fは、たとえば、図1(d)に示すように、スパッタリング等によって形成される金等の第1の層L1と、第1の層L1の表面にめっきによって形成される金等の第2の層L2とで構成されている。
ランド13a〜13dは、図1(a)に示すように、ボディ1の短手方向を長手方向とする長尺状に形成されており、長手方向においてボディ1の中央側の部位がそれぞれ固定接点S1〜S4となっている。また、これらランド13a〜13dは、長手方向において固定接点S1〜S4とは反対側の部位で各スルーホール10a〜10dの上面開口及びその周縁部を覆っており、これにより各ランド13a〜13dと各スルーホール10a〜10dのCuめっき層11a〜11dとそれぞれ電気的に接続されている。また、ランド13e,13fは、図1(a)に示すように、ボディ1の短手方向を長手方向とする長尺状に形成されて、長手方向略中央部で各スルーホール10e,10fの上面開口及びその周縁部を覆っている。これにより各ランド13a,13bと各スルーホール10e,10fのCuめっき層11e,11fとそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、ボディ1の下面には、図3に示すように、各スルーホール10a〜10fの下面開口及びその周辺を覆うように、Cuめっき層11a〜11fとそれぞれ電気的に接続されるランド17a〜17fが形成されており、これらランド17a〜17fは、少なくともその表面が、クロム、チタン、白金、コバルト、ニッケル、金、金とコバルトの合金、又はこれらの合金等により形成されている。
アーマチュアブロック2は、50μm〜300μm程度、好ましくは200μm程度の厚みを有するシリコン基板をエッチングして形成され、アーマチュア基板2aと、アーマチュア基板2aの全周を包囲してアーマチュア基板2aを揺動自在に支持するフレーム2bとを一体に備える。このアーマチュア基板2aの下面には、図示しない矩形板状の磁性体が接合され、これによりアーマチュアAが構成される。ここで、磁性体は、電磁軟鉄、電磁ステンレス、パーマロイなどの磁性材料を機械加工して形成され、接着、溶接、熱着、ロウ付けなどの方法で、アーマチュア基板2aに接合される。尚、磁性体を機械加工により形成することで、厚みを大きくして吸引力を向上させることができる。
アーマチュア基板2aは、図2に示すように、下面に磁性体(図示せず)が接合される長尺矩形状の磁性体保持部20と、磁性体保持部20の長手方向両端側にそれぞれ弾性変形可能に設けられたヒンジ片21a,21bとを一体に備え、ヒンジ片21aの下面には、固定接点S1,S2と接離する可動接点(図示せず)が接合され、ヒンジ片21bの下面には、固定接点S3,S4と接離する可動接点(図示せず)が接合されている。
この磁性体保持部20の長手方向中央部の短手方向両側には、それぞれ短手方向へ突出する延設片22が形成されており、延設片22の先端面には凸部22aが設けられている。また、延設片22の下面には、アーマチュア基板2aのシーソー動作の支点となる支点部(図示せず)が形成されている。さらに、磁性体保持部20の四隅には、各一対の突設片25a,25bが形成されており、これら突設片25a,25bの下面には、アーマチュアAのシーソー動作のストッパーとなる当接部(図示せず)が形成されている。このような図示しない当接部は、アーマチュアAを水平にした時に、対向するボディ1の上面と所定の間隔を有するように形成されている。
また、アーマチュア基板2aの上下方向の長さ寸法は、フレーム2bの上下方向の長さ寸法よりも小さく形成されており、フレーム2bの下面に対してアーマチュアAの下面(すなわち、磁性体の下面及び可動接点の下面)が上方に位置するようにアーマチュア基板2aがフレーム2bに保持されている。これにより、フレーム2bをボディ1に接合した際に、アーマチュアAの下面とボディ1の上面との間に、アーマチュアAを揺動自在に収容するための空間部が形成される。
フレーム2bは、アーマチュア基板2aを全周を包囲できる程度の大きさを有する矩形枠状に形成されており、アーマチュア基板2aの延設片22,22にそれぞれ対向する内側面には、各延設片22の凸部22aと凹凸嵌合する凹部23aを備える延設片23が一体に突設されている。そして、フレーム2bの延設片23の凹部23aと、アーマチュア基板2aの延設片22の凸部22aとが凹凸嵌合することによって、アーマチュア基板2aの長手方向での移動が規制されることになる。
上記のアーマチュア基板2aとフレーム2bとは、弾性変形可能な弾性片24によって一体に連結されており、以下に弾性片24について説明する。弾性片24は、アーマチュア基板2aの磁性体保持部20の短手方向における両側面と、該両側面にそれぞれ対向するフレーム2bの内側面とを一体に連結するものであり、アーマチュア基板2aのシーソー動作の軸を中心として、線対称に4ヶ所設けられている。この弾性片24は、フレーム2bと同一平面上でU字形に多数蛇行した形状に形成されており、このように蛇行した形状に形成することで、弾性片24を長く形成することができ、アーマチュア基板2aがシーソー動作する時に弾性片24がねじられることで生じるばね力のばね定数を適切に小さくできるとともに、弾性片24に加えられる応力も分散できる。尚、弾性片24は、上下方向の厚みがフレーム2bの上下方向の厚みよりも薄く形成され、上下方向に交差する方向の厚みが、弾性片24の上下方向の厚みよりも薄く形成されている。
そして、カバー3は、パイレックス(登録商標)のような耐熱ガラスにより矩形板状に形成され、下面にはアーマチュアAを揺動自在に収容するための凹部(図示せず)が設けられている。
ボディ1に収容される電磁石装置4は、図2に示すように、ヨーク40と、永久磁石41と、コイル42a,42bと、基板43とからなる。
ヨーク40は、電磁軟鉄等の鉄板を曲げ加工或いは鍛造加工することにより、長尺矩形板状の中央片40aの両端から、矩形板状の脚片40b,40cがそれぞれ立ち上がった形状に形成されている。
永久磁石41は、直方体形状であって、上面側の磁極面41aと下面側の磁極面41bが互いに異極となるように着磁されている。そして、永久磁石41は、磁極面41bをヨーク40の中央片40aの上面中央部に当接させた状態でヨーク40に取着され、このとき、永久磁石41の磁極面41aと、ヨーク40の脚片40b,40cの上面とが同一面上に位置するようにしている。
コイル42aは、脚片40bと永久磁石41との間の中央片40aの部位に直接巻回され、ヨーク40の長手方向において脚片40bと永久磁石41とに当接することで、ヨーク40の長手方向での位置決めがなされている。同様に、コイル42bは、脚片40cと永久磁石41との間の中央片40aの部位に直接巻回され、ヨーク40の長手方向において脚片40cと永久磁石41とに当接することで、ヨーク40の長手方向での位置決めがなされている。
基板43は長尺矩形状であり、ヨーク40の中央片40aの下面に中央片40aの長手方向と基板43の長手方向とが直交するように接合される。基板43は、下面の長手方向両端部に導電部43a,43aを有し、コイル42a,42bの両端が導電部43a,43aにそれぞれ電気接続されている。
次に、本基本形態のマイクロリレーの製造方法について説明する。本基本形態のマイクロリレーの製造方法は、特に、ボディ1の製造方法に特徴があるため、ボディ1の製造方法についてのみ説明し、従来と同様であるアマチュアブロック2、カバー3、及び電磁石装置4の製造方法については説明を省略する。
ボディ1の製造方法は、ボディ1にスルーホール10a〜10fをブラスト加工により貫設する第1の工程と、第1の工程の後にスルーホール10a〜10fの内周面にTiN層12aをCVD法により形成する第2の工程と、第2の工程の後にTiN層12aの表面にCu層12bを形成してシード層12を得る第3の工程と、第3の工程の後にシード層12の表面(つまりはCu層12bの表面)にCuめっき層11a〜11fを形成する第4の工程とを有するほか、上述したようにランド13a〜13f,17a〜17fを形成する工程と、貫通孔14を形成する工程と、薄膜15を密着接合する工程とを含んでいる。
ここで、第1の工程は、ボディ1の所定箇所にブラスト加工によりスルーホール10a〜10fを形成する工程であり、これにより、各スルーホール10a〜10fの内周面が粗面となるようにしている。
第2の工程は、第1の工程により形成したスルーホール10a〜10fの内周面に、Cuがボディ1中(つまりはガラス中)に拡散することを防止するためのバリア層となるTiN層12aをCVD法(化学気相堆積法)により形成する工程であり、CVD法を用いることで、TiN層12aをスルーホール10a〜10fの内周面に均一に形成することができる。
第3の工程は、第2の工程によりスルーホール10a〜10fの内周面に形成したTiN層12aの表面にCuめっき層11a〜11fを成長させるためのシード用のCu層12bをCVD法により形成する工程であり、CVD法を用いることで、Cu層12bをTiN層12aの表面に均一に形成することができる。これによりTiN層12aとCu層12bからなるシード層12が構成される。
第4の工程は、シード層12の表面(つまりはCu層12bの表面)に、マイクロリレーを実装するプリント基板の電気回路等の外部回路と、ランド13a〜13fからなる内部回路とを電気的に接続する電気経路となるCuめっき層11a〜11fを形成する工程であり、Cuめっき層11a〜11fは、電解めっき法等を用いてCu層12bの表面と、スルーホール10a〜10fの上面開口を覆うように形成される。
この後に、上述したようにランド13a〜13f,17a〜17fを形成する工程と、貫通孔14を形成する工程と、薄膜15を密着接合する工程とを経て、ボディ1が完成することになる。尚、第1〜第4の工程の順番さえ守られていれば、形成順序を適宜入れ替えても構わない。
そして、このようにして得られたボディ1と、アーマチュアブロック2と、カバー3と、電磁石装置4とは、次のようにして取り付けられている。アーマチュアブロック2は、ボディ1の周縁部18に陽極接合等の方法で直接接合されることで、ボディ1に取り付けられ、カバー3は、アーマチュアブロック2の周縁部26に陽極接合等の方法で直接接合されることで、アーマチュアブロック2に取り付けられている。このとき、アーマチュアAは、アーマチュアAのヒンジ片21aの可動接点(図示せず)と固定接点S1,S2とが対向するとともに、ヒンジ片21bの可動接点(図示せず)と固定接点S3,S4とが対向するようにして配置されており、これら可動接点及び固定接点S1〜S4によってアーマチュアAの揺動により接離する接点機構が構成されている。一方、電磁石装置4は、脚片40b,40cの先端を上向きにして、ボディ1の収容凹部16に収容される。このとき、上述したように、収容凹部16の貫通孔14は、ボディ1の下面から上面にかけて徐々に断面積が小さくなるテーパー形状に形成されているので、電磁石装置4をボディ1に収容し易くなっている。
以上により本基本形態のマイクロリレーが得られ、このマイクロリレーには、図3に示すように、金、銀、銅、半田等の導電性材料からなるバンプ5a〜5hが密着接合される。ここで、バンプ5a〜5fは、ボディ1の下面のランド17a〜17fに載せられて、各スルーホール10a〜10fの下面開口を塞ぐように、熱等で密着接合されており、バンプ5g,5hは、電磁石装置4の導電部43a,43aに熱等で密着接合されている。そして、マイクロリレーをプリント基板(図示せず)に実装するには、ボディ1の下面に設けたバンプ5a〜5hを用いてフリップチップ実装すればよく、これにより、ボディ1のランド13a〜13fが各スルーホール10a〜10fのCuめっき層11a〜11fを介してプリント基板の電気回路と接続され、同時に電磁石装置4のコイル42a,42bが導電部43a,43aを介してプリント基板の電気回路に接続されることになる。ここで、ランド13e,13fは、Cuめっき層11e,11fを介してプリント基板(図示せず)の接地極と電気的に接続されることで、マイクロリレーの特性インピーダンス低減用のグラウンドとして作用する。
次に、このマイクロリレーの動作について説明する。マイクロリレーの電磁石装置4のコイル42a,42bに所定方向から通電すると、アーマチュアAの磁性体(図示せず)が一方の脚片20bに吸引され、これに伴なって、アーマチュアAは、磁性体保持部20の延設片22の下面に設けられた支点部(図示せず)の頂点を支点としてシーソー動作し、磁性体保持部20の突設片25a,25aの下面に設けられた当接部(図示せず)がボディ1の上面に当接した状態となる。このような当接部を設けることで、磁性体と薄膜15とが直接衝突しないようにして、これにより磁性体や薄膜15が破損する事態を防止している。そして、この状態では、アーマチュアAのヒンジ片21aの下面に設けられた可動接点(図示せず)が、固定接点S1,S2と所定の接圧で接触し、これにより固定接点S1,S2間が閉じられる。尚、この状態で、コイル42a,42bへの通電を停止した際には、永久磁石41から発生される磁束が、磁性体→脚片40b→永久磁石41という閉磁路を通ることによって、接点オン状態が保持される。
一方、コイル42a,42bの通電方向を上記の場合とは逆方向とすると、磁性体が他方の脚片40cに吸引され、弾性片24のねじり復帰力も加わって、アーマチュアAは、支点部の頂点を支点して、上記とは反対方向へシーソー動作し、磁性体保持部20の突設片25b,25bの下面に設けられた当接部(図示せず)がボディ1の上面に当接した状態となる。そして、この状態では、アーマチュアAのヒンジ片21bの下面に設けられた可動接点(図示せず)が、固定接点S3,S4と所定の接圧で接触し、これにより固定接点S3,S4間が閉じられる。尚、この状態で、コイル42a,42bへの通電を停止した際には、永久磁石41から発生される磁束が、磁性体→脚片40c→永久磁石41という閉磁路を通ることによって、接点オン状態が保持される。
このように、本基本形態のマイクロリレーは、コイル42a,42bへの通電方向によって、常開接点と常閉接点とが切り換えられるラッチング型リレーとなっている。
以上述べた本基本形態のマイクロリレーによれば、スルーホール10a〜10fの内周面とそれぞれ対応するCuめっき層11a〜11fとの間に、TiN層12aを有するシード層12を設けているので、TiN層12aによってCuめっき層11a〜11fのCuがガラス製のボディ中へ拡散してしまうことを防止することができ、これにより、Cuの拡散に起因するCuめっき層11a〜11fの界面剥離を防止することができる。
また、スルーホール10a〜10fをブラスト加工で形成して、スルーホール10a〜10fの内周面を粗面としているので、シード層12とスルーホール10a〜10fの内周面との密着性を向上できる。さらに、CVD法を用いることで、シード層12のTiN層12aとCu層12bを、ブラスト加工で粗く形成されたスルーホールの内周面に均一に形成することができ、これにより、Cuめっき層11a〜11fとスルーホール10a〜10fの内周面との間に微小な隙間が生じなくなって、Cuめっき層11a〜11fの界面剥離の防止効果をさらに向上することができる。
(実施形態)
本実施形態のマイクロリレーは、ボディの構成、特にシード層の構成に特徴があり、その他の構成は、上記基本態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
つまり、本実施形態では、ボディ1のスルーホール10aとCuめっき層11aとの間には、図4に示すように、シード層19が設けられており、シード層19は、スルーホール10a側に設けられるTiN層19aと、Cuめっき層11a側に設けられるCu層19bに加えて、TiN層19aとスルーホールの内周面10aとの間に、Cr層19cを有している。
ここで、Cr層19cは、スルーホール10aの内周面を覆うように形成されており、その厚み寸法は、10nm〜500nmとなるのが好ましく、100nm〜300nmとなるのが最適である。また、TiN層19aは、Cr層19cの表面を覆うように形成されており、その厚み寸法は、上記基本態と同様に、2nm〜200nmとなるのが好ましく、5nm〜30nmとなるのが最適である。さらに、Cu層19bは、TiN層19aの表面を覆うように形成されており、その厚み寸法は、上記基本態と同様に、10nm〜500nmとなるのが好ましく、100nm〜200nmとなるのが最適である。尚、図4は一例としてスルーホール10aに関する構成を示しているが、上記の点は、他のスルーホール10b〜10fについても同様である。
次に、本実施形態のマイクロリレーの製造方法について説明する。本実施形態のマイクロリレーの製造方法は、上記基本態と同様に、ボディ1の製造方法に特徴があるため、ボディ1の製造方法についてのみ説明し、従来と同様であるアマチュアブロック2、カバー3、及び電磁石装置4の製造方法については説明を省略する。
ボディ1の製造方法は、ボディ1にスルーホール10a〜10fをブラスト加工により貫設する第1の工程と、第1の工程の後にスルーホール10a〜10fの内周面にCr層19cをスパッタ法により形成する第2の工程と、第2の工程の後にCr層19cの表面にTiN層19aをCVD法により形成する第3の工程と、第3の工程の後にTiN層19aの表面にCu層19bを形成してシード層19を得る第4の工程と、第4の工程の後にシード層19の表面(つまりはCu層19bの表面)にCuめっき層11a〜11fを形成する第4の工程とを有するほか、上述したようにランド13a〜13f,17a〜17fを形成する工程と、貫通孔14を形成する工程と、薄膜15を密着接合する工程とを含んでいる。
ここで、第1の工程は、ボディ1の所定箇所にブラスト加工によりスルーホール10a〜10fを形成する工程であり、これにより、各スルーホール10a〜10fの内周面が粗面となるようにしている。
第2の工程は、第1の工程により形成したスルーホール10a〜10fの内周面に、TiN層19aを形成するためのシード用のCr層19cをスパッタ法により形成する工程である。スパッタ法を用いることでCr層19cを、蒸着等によりCr層19cを形成する場合に比べて、ガラスとの密着性を向上することができる。また、Cr層19cをスパッタ法により形成する際に、スルーホール10a〜10fの内周面に均一に形成すれば、シード層19とスルーホール10a〜10fとの間に微小な隙間が生じないようにすることができる。
第3の工程は、第2の工程によりスルーホール10a〜10fの内周面に形成したCr層19cの表面にCuがボディ1中(つまりはガラス中)に拡散することを防止するためのバリア層となるTiN層19aをCVD法により形成する工程であり、CVD法を用いることでTiN層12aをCr層19cの表面に均一に形成することができる。
第4の工程は、第3の工程によりCr層19cの表面に形成したTiN層19aの表面にCuめっき層11a〜11fを成長させるためのシード用のCu層19bをCVD法により形成する工程であり、CVD法を用いることでCu層19bをTiN層19aの表面に均一に形成することができる。そして、第4の工程が終了した時点で、TiN層19aとCu層19bとCr層19cからなるシード層19が構成される。
第5の工程は、シード層19の表面(つまりはCu層19bの表面)に、マイクロリレーを実装するプリント基板の電気回路等の外部回路と、ランド13a〜13fからなる内部回路とを電気的に接続する電気経路となるCuめっき層11a〜11fを形成する工程である。Cuめっき層11a〜11fは、電解めっき法等を用いてCu層19bの表面と、スルーホール10a〜10fの上面開口を覆うように形成される。
この後に、上述したようにランド13a〜13f,17a〜17fを形成する工程と、貫通孔14を形成する工程と、薄膜15を密着接合する工程とを経て、ボディ1が完成することになる。尚、第1〜第5の工程の順番さえ守られていれば、形成順序を適宜入れ替えても構わない。
そして、このようにして得られたボディ1と、アーマチュアブロック2と、カバー3と、電磁石装置4とは、上記基本態と同様にして取り付けられ、これにより、本実施形態のマイクロリレーが得られる。尚、本実施形態のマイクロリレーの動作は、上記基本態のマイクロリレーと略同様であるから、説明を省略する。
以上述べた本実施形態のマイクロリレーによれば、上記基本態と同様に、スルーホール10a〜10fの内周面とそれぞれ対応するCuめっき層11a〜11fとの間に、TiN層19aを有するシード層19を設けているので、TiN層19aによってCuめっき層11a〜11fのCuがガラス製のボディ中へ拡散してしまうことを防止することができ、これにより、Cuの拡散に起因するCuめっき層11a〜11fの界面剥離を防止することができる。
加えて、TiN層19aよりもガラスとの密着性が良好なCr層19cを介してTiN層19aをスルーホール10a〜10fの内周面に形成しているので、シード層19とスルーホール10a〜10fの内周面との間の密着性を向上でき、これにより、Cuめっき層11a〜11fの界面剥離の防止効果を基本態に比べて向上することができる。
さらに、Cr層19cをスパッタ法にて形成することで、蒸着等によってCr層19cを形成する場合に比べて、Cr層19cとスルーホール10a〜10fの内周面との密着性を向上することができ、これにより、シード層19とスルーホール10a〜10fの内周面との密着性がさらに向上し、Cuめっき層の界面剥離の防止効果をさらに向上することができる。
一方、スルーホール10a〜10fをブラスト加工で形成して、スルーホール10a〜10fの内周面を粗面としているので、シード層19とスルーホール10a〜10fの内周面との密着性を向上できる。また、シード層19を、ブラスト加工で粗く形成されたスルーホール10a〜10fの内周面に均一に形成しているので、Cuめっき層11a〜11fとスルーホール10a〜10fの内周面との間に微小な隙間が生じなくなって、Cuめっき層11a〜11fの界面剥離の防止効果をさらに向上することができる。
尚、本実施形態及び上記基本態のマイクロリレーは、アーマチュアAを駆動する駆動手段として、永久磁石41を用いた有極型の電磁石装置4を用いているが、永久磁石を用いない無極型の電磁石装置を用いても良い。
また尚、本発明は、本実施形態及び上記基本態で述べたようなラッチング型のリレーに限られるものではなく、状況に応じて好適なものを用いることとしても良い。
(a)は、本発明の基本態のマイクロリレーの要部の上面図であり、(b)は、同図(a)のM−M線における概略断面図であり、(c)は、同図(b)にNで示す部位の概略説明図であり、(d)は、同図(a)にOで示す部位の概略説明図である。 同上のマイクロリレーの分解斜視図である。 同上のマイクロリレーの下面側の斜視図である。 本発明の実施形態のマイクロリレーの要部を示す説明図である。
符号の説明
1 ボディ
10a〜10f スルーホール
11a〜11f Cuめっき層
12 シード層
12a TiN層
12b Cu層
S1〜S4 固定接点

Claims (1)

  1. 少なくとも固定接点に電気的に接続される内部回路が設けられたガラス製のボディと、固定接点に接離する可動接点を備えてボディに対して揺動自在に設けられるアーマチュアと、アーマチュアを駆動する駆動手段とを備え、ボディには、外部の電気回路に前記内部回路を電気的に接続するCuめっき層を有するスルーホールが貫設され、スルーホールの内周面とCuめっき層との間には、スルーホール側に設けられるTiN層とCuめっき層側に設けられるCu層とを有するシード層を介在させ、シード層は、TiN層とスルーホールの内面との間にCr層を有しているマイクロリレーの製造方法であって、
    ボディにスルーホールをブラスト加工により貫設する第1の工程と、
    第1の工程の後にスルーホールの内周面にCr層をスパッタ法により形成する第2の工程と、
    第2の工程の後にCr層の表面にTiN層を形成する第3の工程と、
    第3の工程の後にTiN層の表面にCu層を形成する第4の工程と、
    第4の工程の後にCu層の表面にCuめっき層を形成する第5の工程とを有していることを特徴とするマイクロリレーの製造方法。
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