JP4190701B2 - 5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬の重要な中間体である5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体及びその製造方法に関する。例えば、本発明により製造することができる5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルは、公知の技術に従ってアミノ基をジアゾ化後脱離することにより、農薬中間体として有用な1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチル(特開平1−106866)に誘導することができる。
【0002】
【従来の技術】
種々のピラゾール骨格を有する医薬、農薬、特に殺菌剤が数多く知られている。そのため、これらピラゾール骨格を有する化合物を効率的に製造する方法の開発が切望されている。特に、5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体は、この分野における製造中間体として有用である。
これまでに、5−アミノピラゾール誘導体の幾つかの製造方法が知られている。例えば、特表平6−503069号公報には、下記式(5)(化5)
【0003】
【化5】
【0004】
{式中、R5は水素原子、ハロゲン置換されていても良いC1−C4のアルキル基を表し、R6はシアノ基、−CO−R7またはCS−R7を表し(ここにおいてR7はヒドロキシル基、C1−C4のアルコキシ基、アミノ基、C1−C4のアルキルアミノ基あるいはジ−(C1−C4)のアルキルアミノ基を表す)、LはC1−C4のアルコキシ基を表す}で表されるシアノアルケン化合物を塩基の存在下に、式(6)(化6)
【0005】
【化6】
【0006】
(式中、R8はC1−C8のアルキル基、C1−C8のヒドロキシアルキル基を有していてもよく、更に尚1から3個のハロゲン原子、ニトロ基、C1−C4のアルキル基、部分的もしくは全体的にハロゲン化されたC1−C4のアルコキシ基、C1−C4のアルキルチオ基あるいは基―NR9R10を有していてもよいフェニル基を表し、このR9R10が水素原子あるいはC1−C4のアルキル基を表し、上記フェニル基が追加的に更に総数が4もしくは5個となる数のハロゲン原子を持っていてもよい)で表されるヒドラジンと縮合させることによって種々の5−アミノピラゾール誘導体を製造する方法が記載されている。
【0007】
また、J.Heterocycl.Chem.12巻1199−1205頁(1975)には、下記反応式(A)(化7)にしたがって、4位がシアノ基で置換された5−アミノピラゾール誘導体を合成する方法が記載されている。
【0008】
【化7】
(反応式中、R11はフェニル基、p−置換フェニル基、p−置換ベンジル基を意味し、R12は水素原子、メチル基、ヒドロキシエチル基を意味する)
【0009】
以上のとおり、これらの方法では、ヒドラジン類と縮合するシアノアルケン誘導体として、β位がアルコキシ基で置換されたアクリロニトリル誘導体が用いられている。
【0010】
式(5)のLの部分(脱離基)がアルコキシ基以外の置換基である例としては、Zh.Org.Khim.17巻2号268−272頁(1981)が知られている。本文献には、反応式(B)(化8)にしたがって、5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステルを合成する方法が記載されている。
【0011】
【化8】
【0012】
この方法では、3−ヒドロキシ−2−エン−カルボン酸エステルアルカリ金属塩を五塩化リンによりクロル化し、この2−クロルシアノアルケン誘導体をヒドラジン類と反応させて5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体を合成している。この方法では、アミノピラゾール誘導体の異性体が生成する可能性がある。
【0013】
以上のように、5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体の既存の製造方法においては、脱離基として、アルコキシ基又は塩素原子を用いているため、原料のシアノアルケン誘導体の合成に余分な工程を必要とする。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、新規且つ工業的に容易で効率的で、異性体の生成の少ない5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体の製造法及び該方法により得られる新規な5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、入手容易なカルボン酸エステル類とシアノ酢酸エステル類より公知の技術で簡便に合成できる2−シアノ−3−ヒドロキシ−2−エン−カルボン酸エステルアルカリ金属塩とヒドラジン類を直接反応させると目的とする5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体が、選択的に効率よく生成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明のひとつは、式(1)(化9)
【化9】
【0017】
(式中、R1はハロゲン置換されていても良い直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基を表し、R2は水素原子、直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基または置換されていても良いフェニル基を表し、R3は直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基を表す)で表される5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体の製造法であって、式(2)(化10)
【0018】
【化10】
(式中、R1、R3は前記と同様の意味を表し、Mはアルカリ金属を表し、折れ線の結合は式中の化合物がE体、Z体の一方に限定されないことを表す単結合を意味する)で表される化合物と式(3)(化11)
【0019】
【化11】
(式中、R2は前記と同様の意味を表す)で表されるヒドラジン類、該水和物、該塩酸塩、該臭化水素酸塩または該硫酸塩とを反応させることを特徴とする方法である。
【0020】
また本発明の一つは、式(4)(化12)
【化12】
【0021】
(式中、R2aは直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基、R3 aは直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基及び水素原子を表す)で表される、5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体である。
【0022】
本発明は、式(2)に示したようなアルカリ金属塩化合物をヘテロ環化合物の合成に利用する点において、全くユニークなものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明においては、反応式(C)(化13)に従い、式(2)で表される化合物と、式(3)で示されるヒドラジン誘導体、その水和物、又はその塩を、必要ならば溶媒中で反応させることにより、目的の式(1)で示される化合物を製造することができる。
【0024】
【化13】
【0025】
式(2)で表される化合物はエノール体のアルカリ金属塩の表記となっていて、このアルカリ金属塩はE体、Z体の2種の異性体が存在すると同時に、式(2)の化合物はまた反応式(D)(化14)
【0026】
【化14】
(反応式中、Mはアルカリ金属原子を意味する)に示すように、ケト−エノール平衡のため互変異性体が存在することができ、ケト体のアルカリ金属塩であることも許容される。本発明においては、反応においてその3種の異性体の何れも用いることができ、それら3種の異性体の混合物であることも許容される。
【0027】
式(2)において、Mはアルカリ金属原子を表すが好ましくはナトリウムである。
式(1)において、R1はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、モノクロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロプロピル基、モノブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などのハロゲン置換されていても良い直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基を表すが、この基の存在が式(2)で表される化合物の安定に居するものと考えあられ、その安定性が大きいという理由から、好ましくはフッ素置換されている直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基であり、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0028】
R2はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基、水素原子または置換されていても良いフェニル基を表すが、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基である。
【0029】
R3はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基である。
【0030】
ヒドラジン類の塩を使用する際、塩の形態として好ましくは一塩酸塩、二塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩であり、特に好ましくは硫酸塩である。
【0031】
本反応は必要により、不活性溶媒ないし希釈剤中で行われる。それらの例としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系化合物類、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニルなどの炭酸エステル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、あるいはジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、N−メチルピロリドンなどの極性溶媒が挙げられる。また、これらの溶媒を2種以上混合して用いてもよい。
【0032】
本発明の反応において、単に、式(2)で表される化合物と式(3)で表されるヒドラジン類、該水和物、該塩酸塩、該臭化水素酸塩または該硫酸塩を反応させることができるが、酸の存在下に反応を行うことが好ましい。用いられる酸類として好ましくは塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸などの鉱酸類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸などの有機酸類、メタンスルホン酸などのスルホン酸類、五酸化リン、亜硫酸ガスなどの酸性酸化物、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウムなどの硫酸水素塩類、塩化亜鉛などのルイス酸類、ゼオライトなどの固体酸類、イオン交換樹脂などである。特に好ましくは、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸などフッ素化されたカルボン酸である。
【0033】
反応系中には、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブス、ゼオライトなどの脱水能を持つ物質を添加することもできる。
また、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなど四級アンモニウム塩のような相間移動触媒、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6などのクラウンエーテル類などを添加してもよい。
【0034】
本発明の反応に用いられる原料化合物は、化学量論的量で使用されるが、何れか一方を過剰量で使用することもできる。
反応は一般に0から180℃、好ましくは、20から150℃、ことにそれぞれの場合の溶媒の沸点温度で、常圧下もしくは使用される溶媒固有の蒸気圧下に行われる。
反応時間は5分間から72時間、好ましくは3時間から48時間である。
【0035】
本発明の製造法における出発物質である式(2)の化合物は、入手容易なカルボン酸エステル類とシアノ酢酸エステル類より、公知の技術により、簡便に製造できる。また、式(3)のヒドラジン類は市販のものを用いることができる。
本発明の方法により得られる式(1)で表される5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体は、水酸化ナトリウム等の塩基の存在下に加水分解することにより、容易に5−アミノピラゾール−4−カルボン酸誘導体に変換することができる。
【0036】
本発明の製造方法により製造できる式(1)で表される化合物のうち、式(4)で表される化合物、すなわち、ピラゾール基の3位にトリフルオロメチル基を有する5−アミノピラゾール−4−カルボン酸誘導体は、新規化合物である。特表平6−503069号公報には、本発明の式(4)で表される化合物を含む膨大な化合物を一般式で開示しているが、本発明の式(4)で表される化合物について、具体的に記載されていない。それは、式(1)の原料である式(5)の化合物において、R5がトリフルオロメチル基であり、Lがアルコキシ基である化合物の製造が、困難であるからと推測される。事実その原料の具体的な記載もない。
【0037】
【実施例】
次の実施例及び参考例により本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0038】
参考例1 エチル 2−シアノ−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテノエート ナトリウム塩の合成
金属ナトリウム24.0g(1.04mol)をエタノール400mlに溶解した溶液を室温下で撹拌し、シアノ酢酸エチル113.1g(1.00mol)を滴下して加えた。1時間撹拌を続けた後、この反応混合物中にトリフルオロ酢酸エチル150.0g(1.05mol)を滴下し、同温で3時間撹拌を続けた。反応終了後、反応液をそのまま減圧下で濃縮し、析出した固体を目的物エチル2−シアノ−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテノエートナトリウム塩221.86g(収率96%)として得た。
1H−NMR(アセトン−d6,δppm):1.21(3H,t,J=6.9Hz),4.09(2H,q,J=6.9Hz)
【0039】
実施例1 5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルの合成
参考例1で合成したエチル 2−シアノ−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテノエート ナトリウム塩2.31g(10mmol)、メチルヒドラジン硫酸塩2.88g(20mmol)をジメチルカーボネート20mlに懸濁させた後、80℃で20時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、ろ過して得られたろ液を減圧下で濃縮して析出した固体をジイソプロピルエーテルより再結晶したところ、白色固体として目的物5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチル0.95g(収率40%)を得た。この化合物には、異性体の混入がしていないことをガスクロマトグラフィーにより確認した。
1H−NMR(CDCl3,δppm):1.34(3H,t,J=7.3Hz),3.67(3H,s),4.30(2H,q,J=7.3Hz),5.24(2H,br)
融点120−121℃
【0040】
実施例2 5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルの合成
参考例1で合成したエチル 2−シアノ−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテノエート ナトリウム塩2.31g(10mmol)、メチルヒドラジン硫酸塩2.88g(20mmol)、及びモレキュラーシーブス3A3.0gをジメチルカーボネート20mlに懸濁させ、室温で撹拌した。さらに、トリフルオロ酢酸1.14gを加えた後、80℃で20時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、ろ過して得られたろ液を減圧下で濃縮し、析出した固体をジイソプロピルエーテルより再結晶したところ、白色固体として目的物5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチル2.02g(収率85%)を得た。この化合物には、異性体の混入がないことをガスクロマトグラフィーにより確認した。
1H−NMR(CDCl3,δppm):1.34(3H,t,J=7.3Hz),3.67(3H,s),4.30(2H,q,J=7.3Hz),5.24(2H,br)
融点120−121℃
【0041】
実施例3 5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸メチルの合成
参考例1と同様の方法で合成したメチル 2−シアノ−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテノエート ナトリウム塩を用いて実施例2に従い目的物5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸メチルを白色固体として得た。(収率82%)
1H−NMR(CDCl3,δppm):3.66(3H,s),3.82(3H,s),5.92(2H,br)
融点164−165℃
【0042】
実施例4 5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸イソプロピルの合成
参考例1と同様の方法で合成したイソプロピル 2−シアノ−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテノエート ナトリウム塩を用いて実施例2に従い目的物5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸イソプロピルを白色固体として得た。(収率75%)
1H−NMR(CDCl3,δppm):1.31(6H,d,J=7.2),3.66(3H,s),5.09−5.21(3H,m)
融点164−165℃
【0043】
実施例5 5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸の合成
5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチル2.37g(10mmol)、水酸化ナトリウム0.44g(11mmol)を水10mlに混ぜて、60℃で10時間攪拌した。室温に戻した後、トルエンを加え分液し、その水層を濃塩酸でpH1にした。析出した固体を濾過して集め乾燥し、白色固体として目的物5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸1.78g(収率85%)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6,δppm):3.61(3H,s),6.55(2H,br),12.40(1H,br)
融点216−218℃
【0044】
比較例1 エチル 2−シアノ−3−ヒドロキシ−4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−2−ペンテノエートの合成
シアノ酢酸エチル3.39g(30mmol)とトリエチルアミン6.06g(60mmol)をテトラヒドロフラン20mlに溶解し、室温で攪拌した。次いで、ペンタフルオロプロピオン酸クロリド5.47g(30mmol)を滴下して加え、引き続き室温で5時間攪拌した。しかし、目的物の生成は確認できなかった。
【0045】
比較例2 5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルの合成
エチル 3−クロロ−2−シアノ−4,4,4−トリフルオロ−2−ブテノエート3.0g(13.2mmol)をエタノール9mlに加え攪拌し、72℃に昇温した。昇温後、エタノール6mlに溶解したメチルヒドラジン0.61g(13.2mmol)、トリエチルアミン1.34g(13.2mmol)を25分かけて反応液に滴下した。2.5時間後、室温に戻し、反応液をHPLCを用いて分析したところ、目的物5−アミノ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルが反応収率47%で生成していることが確認できたが、同時に、目的物の異性体である4−シアノ−5−ヒドロキシ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾールが反応収率42%、4−シアノ−3−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルピラゾールが反応収率5%で生成していた(化15)。これらの異性体を簡便な方法で分離精製することは困難であった。
【0046】
【化15】
【0047】
【発明の効果】
本発明は式(1)で表される5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体の新規な製造方法である。本発明の方法は、一般に入手、取扱いが容易な原料を用いており、工業的な製造方法の問題点であった異性体の生成がない、もしくは存在した場合でも分離操作が容易であるなどの特徴を有し、製造工程数を短縮できる。
さらに、式(4)で表される新規5−アミノ−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体は農医薬、特に殺菌剤の重要な中間体として有用である。
Claims (9)
- 式(1)(化1)
- 反応が酸の存在下で行われることをことを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
- 反応が脱水剤の存在下で行われることを特徴とする、請求項1又は2記載の製造方法。
- R1がフッ素原子で置換されている直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基である請求項1−3のいずれかに記載の5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体の製造方法。
- R1がトリフルオロメチル基である請求項4記載の5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体の製造方法。
- R2が直鎖もしくは分岐鎖のC1−C4のアルキル基である請求項1から5のいずれかに記載の5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体の製造方法。
- R2がメチル基である請求項6記載の5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体の製造方法。
- Mがナトリウム原子である請求項1から7のいずれかに記載の5−アミノピラゾール−4−カルボン酸エステル誘導体の製造方法。
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