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JP4185570B2 - トング - Google Patents

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JP4185570B2
JP4185570B2 JP2005194429A JP2005194429A JP4185570B2 JP 4185570 B2 JP4185570 B2 JP 4185570B2 JP 2005194429 A JP2005194429 A JP 2005194429A JP 2005194429 A JP2005194429 A JP 2005194429A JP 4185570 B2 JP4185570 B2 JP 4185570B2
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    • A47J43/283Tongs; Devices for picking, holding or rotating food
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    • B25B7/12Pliers; Other hand-held gripping tools with jaws on pivoted limbs; Details applicable generally to pivoted-limb hand tools involving special transmission means between the handles and the jaws, e.g. toggle levers, gears
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Description

本発明は、対象物を狭持するトングに関し、例えば料理用のトングや工作用のトング等に好適に利用可能なトングに関する。
トングは、トンガなどとも呼ばれ、一般には2本の棒を1カ所の支点で回動自在に連結し、物をはさむようにしたものである。例えば手で把持するトングは料理の取り分け等に使用される。狭持する対象物によってシュガートング、アイストング、パスタトングなどがある。トングは、図10に示すように2本の棒の一端を固定してピンセット状に開閉させるものや、図11に示すように中央付近に回転軸を設け、鋏状に開閉させるものが知られている(例えば特許文献1参照)。例えば図11に示すトングは、鋏のように手でトングを把持し、柄の部分を操作してトングの把持部分を開閉させることができる。
特開2002−355160号公報
このように従来のトングは、手で把持して支点を中心に回動させて開閉する方式のため、把持部分も同様に回動式に開閉する。この結果、把持部分は常に一方向に狭くなる斜めに傾斜した把持状態となってしまい、水平状態に把持することができなかった。
一方、把持部分を水平状態に維持したまま把持可能な機構も開発されている。例えば図12に示すトングでは、左右の掴み部を十字状のリンクを介して連結し、掴み部の間にスプリングなどの弾性部材を介して開閉自在としたトングを示している。この図に示すトングは、把持部分を水平状態を維持したまま開閉することができる。しかしながら、操作部分が回動式でなく、また平行状態を維持する機構がないため握り方によっては平行とならず、平行に維持して把持する操作が容易でないという問題がある。またスライド支持部が固定式でなくスライド式のため、この回動軸部分でがたが生じやすいという問題もあった。
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、鋏のように容易に開閉できる利点を損なうことなく、簡単な構成で把持部分の平行状態を維持したまま開閉可能なトングを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面に係るトングは、一方向に延長された第1のシャンクと、第1のシャンクの端部に対象物を保持するための第1の把持突起とを備える第1の把持部と、同じく一方向に延長された第2のシャンクと、第2のシャンクの端部に対象物を保持するための第2の把持突起とを備える第2の把持部とを備え、第1の把持部と第2の把持部とが一以上の支点で回動自在に連結されてなり、第1の把持部と第2の把持部の、把持突起を設けた側と反対側の作動端部を操作することにより、第1の把持部及び第2の把持部との間で形成される把持領域の間隔を調整可能に構成した鋏状のトングであって、第1の把持部は、対向する辺の長さが略等しい平行四辺形状の第1の4節リンク機構を備え、第2の把持部は、対向する辺の長さが略等しい平行四辺形状の第2の4節リンク機構を備え、第1の4節リンク機構を構成する一辺と、第2の4節リンク機構を構成する一辺とが共通であり、第1の4節リンク機構は、共通辺と対向する辺に第1の把持突起を備えており、第2の4節リンク機構は、同じく共通辺と対向する辺に第2の把持突起を備えており、第1の把持部と第2の把持部の作動端部を円弧状に可動させると、第1の把持突起と第2の把持突起との間隔が略一定となる略平行を維持しつつ、把持領域の開口幅を調整可能に構成している。これによって、第1の把持部と第2の把持部の作動端部を円弧状に回動させても、把持領域は平行状態を保ったまま間隔を調整できる。
さらに第1の把持部は、両端に回動軸を設けた第1の補助リンクを備え、第1の補助リンクは一端の回動軸を第1の把持部の共通辺と作動端部との間に、他端の回動軸を第2の把持部の共通辺と第2の把持突起との間に連結している。これによって、把持領域の平行状態を確実に維持することができる。
さらに、本発明の第2の側面に係るトングは、第2の把持部がさらに、両端に回動軸を設けた第2の補助リンクを備え、第2の補助リンクは一端の回動軸を第2の把持部に、他端の回動軸を第1の把持部に連結している。これによって、把持領域の平行状態をさらに強固に維持することができる。
さらにまた、本発明の第3の側面に係るトングは、第1の把持部が、第1のシャンクを第1の4節リンク機構を構成する一辺と共通にされている。これによって、シャンクを利用して第1の4節リンク機構の一辺を構成でき、構成を簡素化して安価に製造できる。
さらにまた、本発明の第4の側面に係るトングは、第2の4節リンク機構が、共通辺と隣接する辺が第1の4節リンク機構よりも長く構成されている。これにより、第1の4節リンク機構と第2の4節リンク機構とが重なり合う際に、辺同士の接触を容易に回避できる。
さらにまた、本発明の第5の側面に係るトングは、第2の4節リンク機構が、第1の4節リンク機構と略同形に構成されている。これにより、第1の4節リンク機構と第2の4節リンク機構とを共通に利用できる。
さらにまた、本発明の第6の側面に係るトングは、第1の把持部と第2の把持部とが、それぞれ作動端部に操作者の指を入するための開口孔を形成している。これによって、ユーザが指を開口孔に挿入することで容易に第1の把持部及び第2の把持部を開閉でき、把持空間の開口幅を調整することが可能となる。
さらにまた、本発明の第7の側面に係るトングは、第1の把持突起と第2の把持突起とが、切断刃を備えている。これにより、把持領域を切断領域とすることができ、把持される対象物を両面から平行に切断することが可能となる。
さらにまた、本発明の第8の側面に係るトングは、第1の把持突起と第2の把持突起の少なくともいずれかが、発熱体を備えている。これによって、発熱体を平行に維持して熱加工等を行うことが可能となる。
さらにまた、本発明の第9の側面に係るトングは、一方向に延長された第1のシャンクと、第1のシャンクの端部に対象物を保持するための第1の把持突起とを備える第1の把持部と、同じく一方向に延長された第2のシャンクと、第2のシャンクの端部に対象物を保持するための第2の把持突起とを備える第2の把持部とを備え、第1の把持部と第2の把持部とが一以上の支点で回動自在に連結されてなり、第1の把持部と第2の把持部の、把持突起を設けた側と反対側の作動端部を操作することにより、第1の把持部及び第2の把持部との間で形成される把持領域の間隔を調整可能に構成した鋏状のトングであって、第1の把持部は、略平行に対向された一対の辺の長さが略等しい第1の4節リンク機構を備え、第2の把持部は、略平行に対向された一対の辺の長さが略等しい第2の4節リンク機構を備え、第1の4節リンク機構は、略平行に対向された一対の辺の間に回動自在に渡された辺に第1の把持突起を備えており、第2の4節リンク機構は、同じく略平行に対向された一対の辺の間に回動自在に渡された辺に第2の把持突起を備えており、第1の把持部はさらに、両端に回動軸を設けた第1の補助リンクを備えており、第1の補助リンクは一端の回動軸を第1の把持部に、他端の回動軸を第2の把持部に連結しており、第2の把持部はさらに、両端に回動軸を設けた第2の補助リンクを備えており、第2の補助リンクは一端の回動軸を第2の把持部に、他端の回動軸を第1の把持部に連結しており、第1の把持部と第2の把持部の作動端部を円弧状に可動させると、第1の把持突起と第2の把持突起との間隔が略一定となる略平行を維持しつつ、把持領域の開口幅を調整可能に構成している。これによって、第1の4節リンク機構を構成する辺と第2の4節リンク機構を構成する辺に共通辺を設けなくとも、把持領域の開口幅をほぼ平行に維持したまま調整可能とすることができる。
以上のように、本発明のトングによれば、作動端部を円弧状に回動させるという簡単な操作によって、対象物を平行に把持することができる。これによって、対象物を両側から均等な応力で確実に把持し、対象物の破損や変形を回避できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するためのトングを例示するものであって、本発明はトングを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
図1及び図2に、本発明の実施の形態1に係るトング100の概略構成を示す。図1はトング100の把持領域Xを開いた状態、図2は閉じた状態を、それぞれ示している。これらの図に示すトング100は、第1の把持部10と第2の把持部20を複数の支点で回動自在に連結している。第1の把持部10は、棒状の第1のシャンク11の先端に、対象物を保持するための第1の把持突起12を備え、第1のシャンク11の後端を作動端部19とし、操作者の指を入するための第1の開口孔13を形成している。また第2の把持部20は、第1の把持部10とほぼ同様の構造で、第2のシャンク21の先端に第2の把持突起22を備え、後端に第2の開口孔23を形成している。操作者は指を開口孔13、23に挿入して作動端部19、29を開閉させると、複数の支点すなわち回転軸により第1の把持部10と第2の把持部20との間で形成される把持領域Xを開閉させることができる。なお図1においては、第1の把持部10は右上から左下に斜めに配置され、第2の把持部20は左上から右下に斜めに配置されているが、第1の把持部及び第2の把持部の配置を入れ替えることも可能であることはいうまでもない。
さらに必要に応じて、第1の把持部と第2の把持部との間にスプリングなどの弾性部材を介在させることもできる。操作者は弾性部材に抗して作動端部を操作し、非使用時には弾性部材に付勢されて把持領域を閉塞又は開放状態に維持できる。
支点として回転あるいは回動自在に連結する連結部分には、ボルトやピンなどの棒状の回転軸を利用して、この軸を中心として回転自在に軸着する。
また第1のシャンク11には、対向する辺の長さが略等しい平行四辺形状の第1の4節リンク機構14を備えており、同様に第2のシャンク21にも対向する辺の長さが略等しい平行四辺形状の第2の4節リンク機構24を備えている。これらの4節リンク機構14、24は、各辺を回転軸を中心に回動可能に連結しており、辺の折曲角度を変更しても対向する辺同士を平行に維持することができる。またこれらの4節リンク機構14、24は、一辺を共通としている。図1の例では、第1の4節リンク機構14を構成する下側の底辺(ここでは下辺とも呼ぶ)と、第2の4節リンク機構24を構成する下辺とが共通である。これによって、これら下辺1に対向する上側の底辺(ここでは上辺とも呼ぶ)16、26は平行となることから、第1の4節リンク機構14の上辺16と第2の4節リンク機構24の上辺26とも平行に維持されることとなる。
一方、上辺16、26には各々把持突起を固定している。図1の例では、第1の4節リンク機構14の上辺16には、第1の把持突起12をほぼ垂直に固定している。また第2の4節リンク機構24の上辺26には、同じく第2の把持突起22をほぼ垂直に固定している。そして第1の4節リンク機構14の上辺16と第2の4節リンク機構24の上辺26とが平行に維持される結果、これらと垂直な第1の把持突起12、第2の把持突起22も平行に維持されることとなる。このようにして、第1の把持突起12と第2の把持突起22との間で形成される把持領域Xを、ほぼ等間隔に維持することができる。なお本明細書において「平行」や「等間隔」などの表現は、実製作上多少の誤差が生じる結果、厳密な意味での平行や等間隔が維持できないとしても、本発明の機能を維持できる限りは「平行」や「等間隔」として扱うものとし、本発明に包含される。
なお図1の例では、第1の把持突起12及び第2の把持突起22を、それぞれ第1の4節リンク機構14の上辺16、第2の4節リンク機構24の上辺26と垂直に固定しているが、所定の角度を付してそれぞれ固定してもよい。例えば第1の把持突起を第1の4節リンク機構の上辺に45°右方向に傾斜させて固定し、また第2の把持突起を同様に第2の4節リンク機構の上辺に45°傾斜させて固定することでも、これら第1の把持突起と第2の把持突起を平行に維持して把持領域を形成できる。また把持突起を上辺と傾斜させて固定する他、ほぼ垂直に固定して、把持突起の中間で把持突起自体を折曲させても同様の効果を得ることができる。
図1の例では、第1の把持部10を構成する第1のシャンク11自体を、第1の4節リンク機構14を構成する一辺に利用している。すなわち、棒状の第1のシャンク11の先端近傍に上辺回転軸Aと、中間に下辺回転軸Bを設け、これらの回転軸に、長さの等しい上辺16、下辺1をそれぞれ回転自在に接続している。これによって、上辺回転軸Aと下辺回転軸Bとの間ABが、第1の4節リンク機構14の左辺15を構成する。また上辺16、下辺1は、それぞれ左辺15とほぼ等しい長さの右辺リンク17と、右上回転軸D、右下回転軸Cを介して回転自在に接続されており、これによって上辺16、右辺リンク17、下辺1、第1のシャンク11の一部である左辺15とで第1の4節リンクを構成する。このように第1の把持部10を構成する第1のシャンク11の一部を第1の4節リンクを構成する左辺15と共通にすることで、部品点数を減らし構成を簡素化して製造コストを安価にできる。同様に、第2の把持部20についても、第2のシャンク21を第2の4節リンク機構24を構成する右辺25と共通化することができる。すなわち図1の例では、第2のシャンク21の上辺回転軸E、下辺回転軸Cからそれぞれ上辺26、下辺1を回動自在に連結して左側に突出させ、これらの先端の回転軸である左上回転軸F、左下回転軸Bに左辺リンク27を接続して第2の4節リンク機構24を構成している。また図1の例では、下辺回転軸Bと左下回転軸Bとを一致させることで、回転軸を共通化して部品点数を減らすとともに組み立て工程を簡素化できる。また同様に右下回転軸Cと下辺回転軸Cも共通化している。
なお図1の例では、第2の4節リンク機構24を構成する左右のリンク辺の長さを、第1の4節リンク機構14を構成する左右のリンク辺よりも若干長く構成している。これによって、図2に示すように第1の把持部10及び第2の把持部20の作動端部19、29を閉じて把持領域Xを閉塞しても、第1の4節リンク機構14を構成する上辺16と第2の4節リンク機構24を構成する上辺26とが重なり合うことがなく、これらの厚みによる接触を考慮しなくて済む。ただ、本発明の実施の形態2として図3及び図4に示すトング200のように、第1の4節リンク機構14Bと第2の4節リンク機構24Bとをほぼ同じ大きさに構成することもできる。この場合、図4に示すように第1の把持部10B及び第2の把持部20Bの作動端部19B、29Bを閉じて第1の把持突起12B、第2の把持突起22Bの間の把持領域Xを閉塞すると、第1の4節リンク機構14を構成する上辺16Bと第2の4節リンク機構24を構成する上辺26Bとが重なり合うため、これらが接触して回動を妨げないように、各々の厚みや段差を設計する必要がある。ただ、一方でトングの左右を構成する第1の把持部10Bと第2の把持部20Bとを同じ構成とすることができるので、製造工程を簡素化でき製造コストを安価にできる利点が得られる。
(補助リンク)
このようにして、2つの4節リンク機構を組み合わせ、一辺を共通にすることで把持領域Xを平行に維持することが可能となる。このトング100は、第1の把持部10及び第2の把持部20の作動端部19、29に形成された開口孔13、23を操作して4節リンク機構14、24を構成する左右の辺を回動、傾斜させ、第1の把持突起12と第2の把持突起22との間の間隔を調整できる。一方、操作者が第1の把持部と第2の把持部の作動端部を把持し、これらを開閉させようとして応力を加えると、4節リンク機構に含まれる多くの折曲部で応力が分散され、思うように把持領域の開口幅を調整することが困難な場合がある。この際、作動端部の操作が把持領域の開閉にスムーズに伝達されるようにするためには、共通辺である下辺を安定させることが望ましい。このため、好ましくは補助リンクを介して第1の把持部と第2の把持部とを連結する。図1の例では、第1の補助リンク18の両端を回動軸とし、一端を第1の把持部10に、他端を第2の把持部20に連結している。このため第1の把持部10は、下辺回転軸Bと作動端部19との間に第1把持部側第1補助リンク連結孔Gを開口しており、一方第2の把持部20は、下辺回転軸Cと上辺回転軸Eとの間に第2把持部側第1補助リンク連結孔Hを開口している。これによって、第1の把持部10と第2の把持部20の作動端部19、29を操作しようとして応力を加えると、4節リンク機構14、24の折曲部を不必要に折曲させるといった応力の分散が少なく、スムーズに把持領域Xの開口幅の調整を操作し易くできる。
さらにまた、補助リンクを複数用意し、これらを交差させるように配置することで更に安定した操作が実現される。図1の例では、第1の補助リンク18に加えて、第2の補助リンク28を第2の把持部20と第1の把持部10との間に連結している。第2の補助リンク28を連結するために、第1の把持部10は、下辺回転軸Bと上辺回転軸Aとの間に第1把持部側第2補助リンク連結孔Iを開口しており、一方第2の把持部20は、下辺回転軸Cと作動端部29との間に第2把持部側第2補助リンク連結孔Jを開口している。これらの連結孔を第2の補助リンク28と回転自在に連結することで、第1の補助リンク18と第2の補助リンク28とを交差させるようにして第1の把持部10と第2の把持部20とを連結でき、これらの補助リンクのガイドによって更にスムーズに、作動端部19、29の操作を把持領域Xの開閉に伝達できる。
(リンク機構)
さらに、上記のリンク機構は、2組の4節平行リンク機構と、3組の4節交差リンク機構とで構成された計5組の4節リンク機構が連動し、有機的にスムーズに動作するものであるが、図1において、下辺回転軸(左下回転軸)Bを設ける位置は、第1把持部側第2補助リンク連結孔Iと第1把持部側第1補助リンク連結孔Gの間の任意の位置に設けることができる(ただし、第1把持部側第2補助リンク連結孔Iと第1把持部側第1補助リンク連結孔Gの位置を除く)。
なお、2組の4節平行リンク機構とは、図5(a)に示すように、平行四辺形ABCDで構成される4節平行リンク機構と、図5(b)に示すような平行四辺形BCEFで構成される4節平行リンク機構とを指す。また3組の4節交差リンク機構とは、図5(c)に示すようなBCHGで構成される4節交差リンク機構と、図5(d)に示すようなBCJIで構成される4節交差リンク機構と、図5(e)に示すようなGHJIで構成される4節交差リンク機構とを指している。また後述するように、これらのリンク機構は、図5(a)、(b)における辺BC、図5(c)における辺GH、図5(d)における辺JIの内、いずれか一の辺を排除しても機能させることができる。この場合、4節交差リンク機構は3組でなく1組となる。このようにいずれかの辺を排することで、部品点数を減らして簡素な構成とできるが、上記のリンク機構をすべて備えることでよりスムーズな動作が得られるため、最も好ましい。
また図2において、第1把持部側第2補助リンク連結孔Iの中心点Icから下辺回転軸(左下回転軸)Bの中心点Bcまでの中心点間の長さを(Ic−Bc)とし、一方中心点Bcから下辺回転軸(右下回転軸)Cの中心点Ccまでの中心点間の長さを(Bc−Cc)とし、中心点Ccから第2把持部側第2補助リンク連結孔Jの中心点Jcまでの中心点間の長さを(Cc−Jc)とし、中心点Jcから中心点Icまでの中心点間の長さを(Jc−Ic)とするとき、(Ic−Bc):(Bc−Cc):(Cc−Jc):(Jc−Ic)の長さの構成比率をほぼ1:3:3:5とするとき、図1の把持領域Xは最大の幅を取り得る。同様に、図1及び図2のトングはリンク機構に関してほぼ左右対称に構成しているため、第2把持部側第1補助リンク連結孔Hの中心点Hcから中心点Ccまでの中心点間の長さを(Hc−Cc)とし、中心点Ccから中心点Bcまでの中心点間の長さを(Cc−Bc)とし、中心点Bcから第1把持部側第1補助リンク連結孔Gの中心点Gcまでの中心点間の長さを(Bc−Gc)とし、中心点Gcから中心点Hcまでの中心点間の長さを(Jc−Ic)とするとき、(Hc−Cc):(Cc−Bc):(Bc−Gc):(Gc−Hc)の長さの構成比率もほぼ1:3:3:5としている。
(作動端部)
上述のように、第1のシャンク11及び第2のシャンク21の作動端部19、29には、操作者の指を入するための開口孔13、23を各々形成している。これによって、交差するように連結された第1の把持部10及び第2の把持部20を指で容易に開閉して操作できる。例えば親指を第2のシャンク21の第2の開口孔23に挿入し、人差し指を第1のシャンク11の開口孔13に挿入して、鋏を開閉する要領で作動端部19、29を円弧状に運動させ、これに応じて把持領域Xを、平行状態を維持したまま開口幅を調整できる。
以上の構造により、把持領域Xを平行にすることができる。従来のX字状に交差させた従来のトングでは、力点、支点、作用点がある構造のため、支点を中心に力点を回動させると、作用点が扇形の円弧状の軌跡となる。このため作用点すなわち把持領域Xが平行とならず、斜めに傾斜した状態から把持することとなるため、例えば把持対象物が球状の場合は平板状では滑りやすく落下しやすくなり、強固に保持しようとして応力を加えると接触部分で局所的に応力が印加されて対象物を変形、破損するおそれがあった。これに対して本実施の形態に係るトングでは、左右から平衡状態を維持したまま応力を適用できるため、このような局所的な応力の集中が生じ難く、球状の対象物でも弱い応力で保持しやすいという利点が得られる。また、従来のX字状に交差させた一支点式の鋏等とは異なり、本実施の形態は斜めに開閉しない構造のため、把持領域の専有面積を小さく抑えることができ、底の深い容器などにも平行線状の把持突起12、22を挿入しやすいという利点も得られる。例えばボトルシップ製作用のピンセットとして利用できる。
またこの構成のトングは、対象物を均一に挟み込む用途に好適に利用でき、例えば料理用のトングや作業用のトングとして利用できる。また鉗子等の医療用具にも適用できる。さらに、作動端部を手で操作する他、機械で自動的に操作することもできる。機械で操作する作動端部は、開口孔を設けることなく駆動源に直接、あるいはリンクなどの伝達機構を介して接続される。機械駆動のトングは、より大きなサイズの把持にも応用でき、例えばガラス瓶やペットボトルなどの容器類を自動的に洗浄する洗浄機などで使用される、容器の上部のネック部を両側から把持して反転させる容器把持装置のグリッパ等に適用できる。さらにはFAなどの産業機械用途にも広く適用でき、例えば製鋼工場等において、スラブの移送作業やハンドリング等に利用する、天井クレーンより吊り下げたパンタグラフ式アーム機構を具備するトングにも利用できる。
なお第1のシャンク11、第2のシャンク21は、図1等の例では説明を簡略化するため直線状としたが、全体あるいは部分的に多少湾曲、折曲させることも可能であることはいうまでもない。同様に4節リンク機構を構成する辺やリンクについても、その平行維持機能を損なわない範囲で一部または全体を湾曲あるいは折曲させることも可能である。
(把持突起)
さらに、把持突起の形状を用途に応じて種々変化させることもできる。上述した図1の例では第1の把持突起12と第2の把持突起22の対向面を平板状としたが、例えば本発明の実施の形態3として図6に示すトング300の例では、把持突起12C、22Cの先端をバケット状に形成し、対象物をバケットで覆うようにしてより把持しやすくしている。またバケット状の第1の把持突起12Cと第2の把持突起22Cとが対向する周縁面を波形に形成し、波形の凹凸が一致するように構成することでバケットを閉塞することができ、対象物をバケット内に収納してさらに確実に対象物を把持できる。
(切断面)
さらに把持突起に切断面を形成することもできる。例えば、本発明の実施の形態4として図7に示すトング400の例では、第1の把持突起12Dと第2の把持突起22Dの対向部分に鋭利な切断刃を形成している。これによって、対象物を切断する鋏として利用することができる。この鋏は、X字状に交差させた鋏と異なり、左右から平行状態を維持しつつ切断するため、切断面が斜めにならず切り口を綺麗にできる利点が得られる。すなわち、従来のX字状の鋏では、斜めに刃が接触して切断面が形成されるため、特に切断対象物が円形状、円筒状の場合は切断部分に偏って応力が加わる結果、円形に歪みが生じやすくなる。これに対して本実施の形態のように左右から平行状態を維持したまま切断する方式では、力が均等に印加される結果このような変形が生じ難く、円形を維持したまま切断できるという優れた利点が得られるのである。
なお切断刃は、把持領域を閉塞した状態で第1の把持突起の切断刃の刃先と第2の把持突起の切断刃の刃先とが一致するように構成する他、鋏のように交差した状態からさらに切り結ぶように、すなわち切断刃の刃縁が重合するように構成することもできる。また切断刃は、把持突起の全面にわたって形成する必要はなく、部分的に形成することもできる。これによって、対象物の把持と切断を目的に応じて切り替えることができる。また上述した平板状、バケット状、切断刃を、一の把持突起において任意に組み合わせることもできることはいうまでもない。このように切断面を形成することで、トングを工作用、料理用等の鋏としても利用できる。なお本明細書においては、把持突起の一部あるいは全体に切断面を設けた鋏の機能を有するものも、その名称に拘わらず、トングに包含するものとする。
さらにまた、把持突起に発熱体を付加することもできる。例えば、本発明の実施の形態5として図8に示すトング500の例では、第1の把持突起12Eと第2の把持突起22Eの対向部分の一方又は両方に発熱体を設けている。これによって把持突起で加熱することができ、熱加工などに利用できる。また発熱体の温度調整を可能とすることによって、例えば焼き鏝、半田鏝、衣類の熱による折り目付け具、熱可塑性プラスチックの簡単な切断や折り曲げ加工など、高温から低温まで加工用利器として利用できる。またこれによって温度調整可能な熱源を有する把持突起12E、22Eを、斜めにせず平行姿勢のまま移動、開閉させることが可能となり、作業領域が狭窄な部位や他の部位に把持部を接触させたくないような場面で特に有効である。
さらにまた、共通辺(下辺)を除いたトングとすることもできる。本発明の実施の形態6として図9に示すトング600は、図1のトング100から下辺1を除いた構成としている。これにより、設計に多少の誤差が生じ、動作に多少のがたつきが生じやすくなるが、部品点数を減らして少ない工程で安価に製造することができる利点が得られる。
本発明のトングは、スパゲッティや野菜類などの食物を掴むトングの他、工作用のつまみや医療用の鉗子、鋏付の保持具などに好適に利用できる。
本発明の実施の形態1に係るトングの、把持領域を開いた状態を示す概略図である。 図1のトングの、把持領域を閉じた状態を示す概略図である。 本発明の実施の形態2に係るトングの、把持領域を開いた状態を示す概略図である。 図3のトングの、把持領域を閉じた状態を示す概略図である。 図1のトングを構成する4節平行リンク機構と4節交差リンク機構を示す説明図である。 本発明の実施の形態3に係るトングの、把持領域を開いた状態を示す概略図である。 本発明の実施の形態4に係るトングの、把持領域を開いた状態を示す概略図である。 本発明の実施の形態5に係るトングの、把持領域を開いた状態を示す概略図である。 本発明の実施の形態6に係るトングの、把持領域を開いた状態を示す概略図である。 従来のピンセット状トングの一例を示す概略図である。 従来の鋏状トングの一例を示す概略図である。 従来の十字状リンクを備えるトングの一例を示す概略図である。
符号の説明
100、200、300、400、500、600…トング
1…下辺
10…第1の把持部
11…第1のシャンク
12、12B、12C、12D、12E…第1の把持突起
13…第1の開口孔
14…第1の4節リンク機構
15…左辺
16…上辺
17…右辺リンク
18…第1の補助リンク
19、29、19B、29B…作動端部
20…第2の把持部
21…第2のシャンク
22、22B、22C、22D、22E…第2の把持突起
23…第2の開口孔
24…第2の4節リンク機構
25…右辺
26…上辺
27…左辺リンク
28…第2の補助リンク
A…上辺回転軸
B…下辺回転軸(左下回転軸)
Bc…下辺回転軸(左下回転軸)の中心点
C…下辺回転軸(右下回転軸)
Cc…下辺回転軸(右下回転軸)の中心点
D…右上回転軸
E…上辺回転軸
F…左上回転軸
G…第1把持部側第1補助リンク連結孔
Gc…第1把持部側第1補助リンク連結孔の中心点
H…第2把持部側第1補助リンク連結孔
Hc…第2把持部側第1補助リンク連結孔の中心点
I…第1把持部側第2補助リンク連結孔
Ic…第1把持部側第2補助リンク連結孔の中心点
J…第2把持部側第2補助リンク連結孔
Jc…第2把持部側第2補助リンク連結孔の中心点
X…把持領域

Claims (9)

  1. 一方向に延長された第1のシャンクと、該第1のシャンクの端部に対象物を保持するための第1の把持突起とを備える第1の把持部と、
    同じく一方向に延長された第2のシャンクと、該第2のシャンクの端部に対象物を保持するための第2の把持突起とを備える第2の把持部と、
    を備え、該第1の把持部と該第2の把持部とが一以上の支点で回動自在に連結されてなり、該第1の把持部と該第2の把持部の、把持突起を設けた側と反対側の作動端部を操作することにより、該第1の把持部及び第2の把持部との間で形成される把持領域の間隔を調整可能に構成した鋏状のトングであって、
    該第1の把持部は、対向する辺の長さが略等しい平行四辺形状の第1の4節リンク機構を備え、
    該第2の把持部は、対向する辺の長さが略等しい平行四辺形状の第2の4節リンク機構を備え、
    該第1の4節リンク機構を構成する一辺と、該第2の4節リンク機構を構成する一辺とが共通であり、
    該第1の4節リンク機構は、共通辺と対向する辺に該第1の把持突起を備えており、
    該第2の4節リンク機構は、同じく共通辺と対向する辺に該第2の把持突起を備えており、
    該第1の把持部と第2の把持部の作動端部を円弧状に可動させると、該第1の把持突起と該第2の把持突起との間隔が略一定となる略平行を維持しつつ、把持領域の開口幅を調整可能に構成してなり、
    該第1の把持部はさらに、両端に回動軸を設けた第1の補助リンクを備え、
    該第1の補助リンクは一端の回動軸を該第1の把持部の共通辺と作動端部との間に、他端の回動軸を該第2の把持部の共通辺と第2の把持突起との間に連結してなることを特徴とするトング。
  2. 請求項1に記載のトングであって、
    該第2の把持部はさらに、両端に回動軸を設けた第2の補助リンクを備え、
    該第2の補助リンクは一端の回動軸を該第2の把持部に、他端の回動軸を該第1の把持部に連結してなることを特徴とするトング。
  3. 請求項1又は2に記載のトングであって、
    該第1の把持部が、第1のシャンクを該第1の4節リンク機構を構成する一辺と共通にされてなることを特徴とするトング。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のトングであって、
    該第2の4節リンク機構は、共通辺と隣接する辺が該第1の4節リンク機構よりも長く構成されてなることを特徴とするトング。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のトングであって、
    該第2の4節リンク機構は、該第1の4節リンク機構と略同形に構成されてなることを特徴とするトング。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のトングであって、
    該第1の把持部と該第2の把持部とが、それぞれ作動端部に操作者の指を入するための開口孔を形成してなることを特徴とするトング。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のトングであって、
    該第1の把持突起と該第2の把持突起とが、切断刃を備えてなることを特徴とするトング。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のトングであって、
    該第1の把持突起と該第2の把持突起の少なくともいずれかが、発熱体を備えてなることを特徴とするトング。
  9. 一方向に延長された第1のシャンクと、該第1のシャンクの端部に対象物を保持するための第1の把持突起とを備える第1の把持部と、
    同じく一方向に延長された第2のシャンクと、該第2のシャンクの端部に対象物を保持するための第2の把持突起とを備える第2の把持部と、
    を備え、該第1の把持部と該第2の把持部とが一以上の支点で回動自在に連結されてなり、該第1の把持部と該第2の把持部の、把持突起を設けた側と反対側の作動端部を操作することにより、該第1の把持部及び第2の把持部との間で形成される把持領域の間隔を調整可能に構成した鋏状のトングであって、
    該第1の把持部は、略平行に対向された一対の辺の長さが略等しい第1の4節リンク機構を備え、
    該第2の把持部は、略平行に対向された一対の辺の長さが略等しい第2の4節リンク機構を備え、
    該第1の4節リンク機構は、略平行に対向された一対の辺の間に回動自在に渡された辺に該第1の把持突起を備えており、
    該第2の4節リンク機構は、同じく略平行に対向された一対の辺の間に回動自在に渡された辺に該第2の把持突起を備えており、
    該第1の把持部はさらに、両端に回動軸を設けた第1の補助リンクを備えており、
    該第1の補助リンクは一端の回動軸を該第1の把持部に、他端の回動軸を該第2の把持部に連結しており、
    該第2の把持部はさらに、両端に回動軸を設けた第2の補助リンクを備えており、
    該第2の補助リンクは一端の回動軸を該第2の把持部に、他端の回動軸を該第1の把持部に連結しており、
    該第1の把持部と第2の把持部の作動端部を円弧状に可動させると、該第1の把持突起と該第2の把持突起との間隔が略一定となる略平行を維持しつつ、把持領域の開口幅を調整可能に構成してなることを特徴とするトング。
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