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JP4182787B2 - 冶金炉用原料の製造方法 - Google Patents

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  • Manufacture Of Iron (AREA)
  • Coke Industry (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉等で使用する冶金炉用原料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原料石炭に粉鉄鉱石を配合し、この混合物を通常の室炉式コークス炉で乾留してフェロコークスを製造する技術としては、1)石炭と粉鉄鉱石との粉体混合物を室炉式コークス炉に装入する方法、2)石炭と鉄鉱石を冷間で成型し、その成型物を室炉式コークス炉に装入する方法などが検討されてきた(例えば、非特許文献1参照。)。しかし通常の室炉式コークス炉は、珪石煉瓦で構成されているので、鉄鉱石を装入した場合に珪石煉瓦の主成分であるシリカと反応し、低融点のファイヤライト(2FeO・SiO2)が生成して珪石煉瓦の損傷を招く。このため室炉式コークス炉でフェロコークスを製造する技術は、工業的には実施されていない。
【0003】
近年、室炉式コークス炉を用いた製造法に替わるコークス製造方法として、連続式成型コークス製造法が開発されている。連続式成型コークス製造法では、乾留炉として、珪石煉瓦ではなくシャモット煉瓦にて構成される竪型シャフト炉を用い、石炭を冷間で所定の大きさに成型後、シャフト炉に装入し、循環熱媒ガスを用いて加熱することにより成型炭を乾留し、成型コークスを製造する。資源埋蔵量が豊富で安価な非微粘結炭を多量に使用しても、通常の室炉式コークスと同等の強度を有するコークスが製造可能なことが確認されているが、使用する石炭の粘結性が高い場合にはシャフト炉内で成型炭が軟化融着し、シャフト炉操業が困難になると共に変形や割れ等のコークスの品質低下を招くという問題が発生する。
【0004】
連続式コークス製造法でのシャフト炉内での融着抑制のために、石炭に鉄鉱石を全体量の15〜40%となるように添加し、冷間で成型物を製造し、シャフト炉に装入する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
一方高炉操業においては、高価なコークスの使用量を削減するために、微粉炭吹込み量を増加させる操業を指向している。しかし、コークス比を削減すると高炉内でコークスへの負荷が大きくなり、滞留時間が長くなるので、コークスの粉化が増大し、通気性が悪化する。このため、コークス強度の上昇や粒径を拡大させて装入コークスの品質を向上させることが求められている。例えば石炭配合で高価な良質の強粘結炭を多く配合してコークス強度を上昇させる方法や、コークス炉の乾留温度を下げ、稼動率を低下させてコークス粒径を拡大する方法が採用されているが、このような方法ではコークス製造コストの上昇や生産性の低下が生じる問題がある。そこで、微粉炭をガス化した還元性ガスを高炉に吹込むことで、コークス比の低減を可能にする高炉操業方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−65579号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2001−240906号公報
【0008】
【非特許文献1】
燃料会編、コークス技術年報、1958、p38
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし特許文献1に記載の、石炭に鉄鉱石を添加し、冷間で成型物を製造し、シャフト炉に装入する連続式コークス製造法にあっては、鉄鉱石には粘結性がないので、冷間の状態で成型物を製造するために高価なバインダを添加する必要がある。また室温の成型物をシャフト炉の上部から装入するため、高温ガスとの接触により成型物の内部と表面の温度差により熱応力が発生し、熱割れが起こり、粉化し、製品歩留りが低下してしまう。
【0010】
また、特許文献2に記載の微粉炭をガス化して生成した還元性ガスを高炉に吹き込む方法は、微粉炭を還元性ガス生成の目的のためにだけガス化するものであり、コスト高である。
【0011】
そこで本発明の目的は、従来のフェロコークス製造技術の問題点を解消できると共に、フェロコークス製造における発生ガスを利用して冶金炉におけるコークスの使用量を低減できる、冶金炉用原料の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)石炭と鉄鉱石とバイオマスとを含有する原料を加熱して熱間にて塊成型物に成型する成型工程と、該塊成型物を加熱して塊成型物中の石炭の乾留を行いフェロコークスを得る乾留工程と、該乾留工程において前記塊成型物の加熱により発生した発生ガスを冶金炉に鉄源の還元ガスとして供給する工程と、を有することを特徴とする冶金炉用原料の製造方法。
(2)石炭と鉄鉱石と廃プラスチックとを含有する原料を加熱して熱間にて塊成型物に成型する成型工程と、該塊成型物を加熱して塊成型物中の石炭の乾留を行いフェロコークスを得る乾留工程と、該乾留工程において前記塊成型物の加熱により発生した発生ガスを冶金炉に鉄源の還元ガスとして供給する工程と、を有することを特徴とする冶金炉用原料の製造方法。
(3)塊成型物用の原料がさらに廃プラスチックを含有することを特徴とする(1)に記載の冶金炉用原料の製造方法。
(4)乾留工程で得られたフェロコークスを冶金炉に装入することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の冶金炉用原料の製造方法。
(5)発生ガスを微粉炭とともに冶金炉に吹込むことを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の冶金炉用原料の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明では、石炭と鉄鉱石とを原料としてフェロコークスを製造する際に、石炭を加熱処理した場合に粘結性が発現することを利用し、石炭を加熱した熱間の状態で鉄鉱石と共に塊成型物を成型することにより、バインダを使用しないで成型物を製造する。また、上記の熱間成型物を高温の状態のままで乾留することで、加熱過程において成型物に発生する熱応力が低減され、このため粉化を抑制することができ、製造されるフェロコークスの製品歩留まりを向上させることができる。また、乾留過程における鉄鉱石の触媒効果を利用して石炭から水素を含むガスを多量に回収することができ、この還元性の発生ガスを鉄源の還元ガスとして冶金炉に供給する。特に発生ガスを高炉の羽口から吹込むことで、全体としてコストを抑えて、高炉でのコークスの使用量を減らすことができる。
【0014】
フェロコークスの原料として、石炭と鉄鉱石のみを用いることもできるが、石炭と鉄鉱石とに加えて、バイオマスを用いることが好ましい。乾留過程における鉄鉱石の触媒効果により、バイオマスから水素を含むガスを多量に回収することができるので、バイオマスを添加することで、高炉吹き込みにより好適な還元性のガスを得ることができる。また、フェロコークス原料はシャフト炉で乾留することが好ましく、原料を成型した塊成型物をシャフト炉の中で加熱する際に成型物同士が互いに融着すると、炉内の熱風の流れが悪くなる、塊成型物がシャフト炉内で荷下がりしなくなる等の問題が発生するが、鉄鉱石の他に粘結性を示さない木材などのバイオマスを配合することで、乾留過程において塊成型物がシャフト炉内で融着するのを抑制することができる。
【0015】
以下、石炭と鉄鉱石とバイオマスを原料として用いる場合の、本発明の冶金炉用原料の製造方法の一実施形態を図面を用いて説明する。図1はフェロコークス製造とフェロコークス製造における発生ガスの高炉への吹込みシステムの全体構成図である。原料としては鉄鉱石1、石炭2、バイオマス3を使用する。石炭2には、冶金用ではなく、一般炭である非微粘結炭を使用する。ここでバイオマス3とは、すべての生物、すなわちエネルギ資源として再生可能な全有機体をいい、例えば木材、パルプ廃液、紙、油が挙げられる。
【0016】
原料の鉄鉱石1、石炭2、バイオマス3は粉砕機4にて所定の粒度以下に粉砕された後、予熱器5にて加熱される。予熱器5には流動層炉やキルンが用いられる。原料を予熱する方法としては、原料の鉄鉱石1、石炭2、バイオマス3全てを同じ温度に予熱するパターンと、それぞれに温度差をつけるパターンが考えられるが、本実施形態では2種類の予熱器を使用して、石炭2、バイオマス3の温度を200℃〜300℃程度に予熱し、また鉄鉱石を400℃〜500℃に予熱し、その後、混練機6にて混合することにより平均350℃程度の混合物を製造する。石炭2、バイオマス3を200℃以上に加熱処理すると熱分解ガスが発生する場合があり、ハンドリングが難しくなる傾向があるので、石炭2、バイオマス3の予熱温度は低く押えることが望ましい。一方鉄鉱石1は加熱処理してもガス発生がないので、予熱温度を高くすることが可能である。
【0017】
鉄鉱石は、石炭、バイオマス等に比較して、比重が大きいこと等に起因して予熱時の熱効率が高いので、鉄鉱石の予熱温度を石炭、バイオマスよりも高くすることで省エネルギを図ることもできる。
【0018】
石炭2は急速加熱すると粘結性が高くなる性質がある。石炭2の予熱温度を鉄鉱石1の予熱温度よりも低い温度にて加熱し、混合することで、石炭を急速加熱することができるので、石炭の粘結性を向上させることができる。
【0019】
次に熱間成型機7で原料の鉄鉱石1、石炭2、バイオマス3を熱間成型する。石炭2は予熱・混練により350℃程度になると軟化溶融する。この石炭の軟化溶融性をバインダとして利用すると、別途バインダを添加しなくても原料を塊成型物に成型することができる。なお350℃よりも高い温度で原料を成型しようとすると、石炭から発生するガスにより成型できない場合があるので、成型温度は350℃以下とすることが望ましい。
【0020】
熱間成型機7で成型した塊成型物をシャフト炉型熱処理炉8で熱風を用いた直接加熱法にて乾留する。熱風炉9よりシャフト炉に加熱ガスを吹込む。シャフト炉の上部には低温ガスが吹込まれ、中部には高温ガスが吹き込まれ、また熱効率を高めるために中部から上部にガスが循環される。シャフト炉の下部には冷却ガスが吹き込まれ、室温ベースの成型フェロコークスが取り出される。
【0021】
シャフト炉8内で塊成型物は900℃程度の温度になるので、石炭と接触している鉄鉱石が還元される。鉄鉱石の還元率は80%以上の高い還元率を達成できる。成型されたフェロコークスの圧潰強度は1960N以上であり、高炉で粉化しない十分な強度が得られる。
【0022】
本実施形態によれば、熱間で成型した塊成型物を高温の状態のままでシャフト炉に装入するので、シャフト炉での加熱過程において成型物に発生する熱応力が低減され、このため粉化を抑制することができ、製品歩留まりを向上させることができる。また鉄鉱石の他に粘結性を示さない木材などのバイオマスを配合することで、乾留過程において成型物がシャフト炉内で融着するのを抑制することができる。
【0023】
一部還元された粉状鉄源を内包したフェロコークスは高炉10に投入される。通常、高炉にはフェロコークス以外に、鉄鉱石、焼結鉱、コークス等も投入する。フェロコークスは高反応性のため焼結鉱の還元を促進すると共に、一部還元された鉄鉱石が含まれているので、高炉内での熱保存帯の温度を下げることができ、したがってコークス比を低減することができる。さらに粉化の抑制により、通気性を改善することができ、コークス比が低減する。
【0024】
高炉の還元材比(燃料比)低下のためには、高反応性コークスを用いる高炉での還元平衡温度を制御し、熱保存帯の温度を下げる方法と、事前に鉄鉱石を部分還元して高炉に投入するという2つの方法が考えられる。本発明方法で製造したフェロコークスを高炉の操業に用いると、両方の方法を組合わせることができるので、非常に効果的である。すなわち本発明方法で製造されるフェロコークスは、鉄鉱石が一部還元されていると同時に、鉄鉱石の触媒効果でコークスの反応性を高めることができ、高炉の中でのガス利用率を高められるため、これを用いることで高炉の還元材比を低下させることができる。
【0025】
鉄鉱石はCO2反応の触媒作用を有しているので、原料に高反応性の鉄鉱石を添加することにより、フェロコークスの反応性を高めることができ、したがって高炉内でのフェロコークスの粉化をより抑制することができるので好ましい。
【0026】
また、鉄鉱石は多孔質の鉄鉱石を含むことが望ましい。鉄鉱石の中でも多孔質の鉄鉱石(すなわち所謂高結晶水鉱石)を使用すると、分解触媒効果を向上させることができ、水素の収率を上げることができる。
【0027】
塊成型物を製造する際の鉄鉱石と石炭との配合割合は、鉄鉱石を、鉄鉱石と石炭との合計量の40mass%以下とすることが好ましい。鉄鉱石の配合比率が40mass%超であると、フェロコークスの強度が急激に低下するためである。また、鉄鉱石の配合割合が少ないほど、石炭と接触する鉄鉱石の表面の割合が高くなるので、鉄鉱石の還元率は高くなる。鉄鉱石中の鉄の還元率が80%程度と高くなると、鉄鉱石の配合によりフェロコークスのコークスドラム強度や圧潰強度が高くなる。
【0028】
フェロコークスにバイオマスを配合する場合、バイオマスは低嵩密度であるので、製造されたフェロコークスの強度が低下する傾向がある。したがって、バイオマスの配合割合はフェロコークス原料全体の20mass%以下とすることが好ましい。
【0029】
本発明では、フェロコークスの原料として、バイオマスの代わりに又はバイオマスと併用して廃プラスチックを使用することも可能である。バイオマスと同様に、廃プラスチックからもシャフト炉での乾留過程における鉄鉱石の触媒効果により、水素を含むガスが多量に発生する。廃プラスチックとは、あらゆる産業分野、日常生活分野で利用されているプラスチックが使用後に廃棄物として排出されたものをいう。廃プラスチックは主に家庭から排出される一般廃棄物及び事業所から排出される産業廃棄物の双方に含まれて排出される。また廃プラスチック以外にも、汚泥、タイヤ等の有機系廃棄物をフェロコークスの原料として使用してもよい。廃プラスチックを用いる場合もバイオマスと同様に200℃以上に加熱処理すると熱分解ガスが発生する場合があり、ハンドリングが難しくなる傾向があり、予熱温度は200℃〜300℃程度で、低温の方が好ましい。また、フェロコークスの原料を熱間成型する際には、廃プラスチックの熱可塑性を利用し、廃プラスチックを加熱した熱間の状態で成型して、バインダを使用しないで成型物を製造することができる。
【0030】
次に、フェロコークスを製造する乾留工程で発生した発生ガスである、還元性ガスの冶金炉、特に高炉への供給方法について説明する。
【0031】
図1において、シャフト炉から発生する乾留ガスは、一部熱風炉9を介して循環されるが、残部の一部または全部を還元性ガスとして高炉10の羽口より吹込む。シャフト炉8での乾留過程における鉄鉱石の触媒効果により、石炭、バイオマスから水素を含むガスが多量に発生する。
【0032】
フェロコークス製造工程から発生する還元性のガスを高炉羽口から吹き込む方法の一例について図2を用いて詳しく説明する。高炉の送風羽口11に連設されたブローパイプ12を貫通してガス吹き込みランス13を設置する。フェロコークスの乾留に用いるシャフト炉8から発生する還元性のガスを配管を通じてランス13に供給し、ランス13からブローパイプ内の熱風中に吹込む。このようにして吹き込まれたガスは高炉に吹き込まれる熱風と混合し、その一部が燃焼しつつ羽口11より高炉内へ吹き込まれることになる。
【0033】
シャフト炉8から発生した還元性ガスの内、高炉へ吹き込む量については一部であっても、全量であっても良いが、還元性ガスの吹き込みは高炉のコークスの使用量を減少させる効果があるため、出来る限り多くのガスを高炉に導入することが望ましい。
【0034】
シャフト炉8から発生する乾留ガスのうち上記で用いる以外の残部がある場合は、水素系クリーンガスとして回収できる。そのまま燃料ガス等として用いることもできるが、回収した前記ガスを水蒸気改質又は部分酸化により改質し、CO2を除去して、ガスの水素濃度を向上させることが望ましい。例えばメタン−水蒸気反応(CH4 +H2O=3・H2+CO)を利用したガス改質装置を用いて水素濃度が70%以上の水素ガスリッチのクリーンガスを製造することができる。近年水素ガスは、燃料電池用の需要も見込まれている。
【0035】
フェロコークスを得る乾留工程から発生する還元性ガスを高炉に吹込む他の吹き込み形態として、ガスの吹き込み量が多い場合にはランス14を増設して複数本のランスにより吹き込みを行うこともできる。現在、広く実施されている微粉炭あるいは、使用済みプラスチックなどの固体燃料と同時に吹き込むことも可能である。図3に、ランス13から還元性ガス15を吹き込み、ランス14から微粉炭16を吹き込む一実施形態を示す。また他の実施形態として多重管構造のランスを用いることもできる。図4はランス13の先端部の模式図であり、ランス13を3重管とし内管から微粉炭16、外管から還元性ガス15、最外管から酸素17を吹き込む一実施形態を示す。図3または図4の方法によれば、微粉炭16に比較して着火性に優れる還元性ガス15にまず着火燃焼が生じ、発生する燃焼熱により微粉炭燃焼を促進することができるので、還元性ガスと微粉炭とを同時に高炉に吹込むことは非常に効果的である。同様に、還元性ガスと廃プラスチックとを同時に高炉に吹込むことも非常に効果的である。
【0036】
還元性ガスの高炉吹き込み時には、羽口先での吸熱反応(例えば、CO2+C=2CO)があり、吹き込み温度は常温を仮定しているため、熱風との顕熱の差分などにより、羽口先燃焼温度は低下する傾向にある。高炉操業においては、安定操業可能な羽口先温度の下限があり、これを維持するため(還元性ガスの吹き込みに伴う羽口先温度低下を補償するため)に、例えば、酸素富加率を上昇させて、羽口先温度を一定にすることが好ましい。
【0037】
従来の冶金炉では、石炭及び粉鉄鉱石を別々に処理する。たとえば、高炉操業においては、石炭をコークス炉で乾留してコークスを製造し、該コークスを高炉に投入する一方、粉鉄鉱石を焼結プロセスにより塊成化し、高炉に投入する。部分還元法を用いる場合は、一部の鉄鉱石を焼結プロセスで還元し、還元したものを高炉に投入する。本発明方法では、フェロコークスを製造することで石炭と粉鉄鉱石を同時に処理して、コークスの反応性を上げ、鉄鉱石は一部還元し、しかも発生ガスを高炉羽口からの吹き込み用還元性ガスとして利用するので、高炉の低還元材比化を、効率的に行うことができる。しかもバイオマスや廃プラスチック等を同時に処理して有効利用することが可能である。
【0038】
【実施例】
鉄鉱石として高結晶水鉱石のナマルディー鉱石と、石炭として非微粘結炭のマッコウリー炭と、バイオマスである廃木材とを配合して、フェロコークスの製造試験と高炉での使用試験を行なった。各原料の粒度分布を表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004182787
【0040】
石炭とバイオマスを混合後、流動層予熱機にて350℃まで予熱し、また同様な方法で350℃まで予熱された鉄鉱石を均一に混合した。そして成型圧力9800N/cmでマセック型(I:43mm、H:43mm、t:18mm)の塊成型物を製造した。シャフト炉内での加熱条件は、雰囲気温度650℃までは10℃/minの緩速加熱とし、雰囲気温度600℃から900℃までは3℃/minの低速加熱にて乾留し、フェロコークスを製造した。石炭60%、バイオマス10%、鉄鉱石30%の割合で原料を配合し、製造されたフェロコークスの性状を測定したところ、30回転のドラム強度94.2%、圧潰強度1740N、鉄鉱石中の鉄の還元率82%であった。フェロコークス製造で発生した還元性ガスは、H267%、CH44.0%、CO11.5%、CO25.7%、N211.2%であり、ガス発生量は390m3(normal)/t-cokeであった。内容積3443m3の高炉に、通常コークスの50%を、製造したフェロコークスに代替して装入した。
【0041】
フェロコークス製造工程で発生した還元性のガスを高炉羽口から吹き込んで操業試験を行った。還元性ガスの吹込み量を25〜75kg/tの範囲で変化させた場合(実施例1〜3)の高炉操業条件の変化を表2に示す。還元性ガスを吹込まない場合を比較例として、表2に併せて示す。操業に大きな影響を及ぼすと考えられる生産速度(出銑量)および羽口先温度は一定となるように制御した。
【0042】
【表2】
Figure 0004182787
【0043】
実施例1は、フェロコークス製造工程から発生するガスを銑鉄1トンあたり50kgの吹き込みを行った場合であり、比較例に対してコークスの使用量を29kg/t低減することが可能であった。
【0044】
同様に、実施例2はフェロコークス製造工程から発生するガスを銑鉄1トンあたり100kg吹き込んだ場合、実施例3はフェロコークス製造工程から発生するガスを銑鉄1トンあたり150kgの吹き込みを行った場合である。実施例2、実施例3においては、比較例に対してコークスの使用量をそれぞれ59kg/t、87kg/t低減することが可能であった。
【0045】
還元性ガス吹き込み量とコークス比の関係を図5に示す。図5におけるグラフ中のプロット(●)は、各実施例および比較例に対応する実績値であり、直線はシミュレーションによる計算値を示す。実績値と計算値は良く一致し、還元性ガスの吹き込み量を増大させるとコークス比を低減できることが示され、出来る限り多くの還元性ガスを吹き込み、高価なコークスの使用量を削減することがのぞましいことが分かる。
【0046】
一方で、本実施例においては羽口先温度の下限は2000℃であり、これ未満になると操業は不安定化した。羽口先温度を2000℃に維持するために必要な酸素富加量とガス吹込み量の関係を図6に示す。羽口先温度は燃焼空間の熱収支により計算した(水谷幸夫著「燃焼工学 第2版」森北出版P46等参照)。実施例で用いた高炉では酸素の供給能力上限が6%程度であったので、還元性ガスの吹き込み量の上限は75kg/tであった。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、石炭及び鉄鉱石を原料として高歩留まりで高強度、高反応性のフェロコークスの製造が可能になり、発生ガスを、高炉等の冶金炉に供給することで、コークス比を大幅に低減することができ、銑鉄製造コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェロコークス製造とフェロコークス製造における発生ガスの高炉への吹込みシステムの全体構成図。
【図2】還元性のガスを高炉羽口から吹き込む方法を示す模式図。
【図3】還元性ガスと微粉炭を高炉に吹き込む一実施形態を示す図。
【図4】多重管構造のランスを用いて、微粉炭、還元性ガス、酸素を高炉に吹き込む一実施形態を示す図。
【図5】還元性ガス吹き込み量とコークス比の関係を示すグラフ。
【図6】酸素富加量とガス吹込み量の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1:鉄鉱石、
2:石炭、
3:バイオマス、
4:粉砕機、
5:予熱器、
6:混練機、
7:熱間成型機、
8:シャフト炉型熱処理炉、
9:熱風炉、
10:高炉、
11:高炉の送風羽口、
12:ブローパイプ、
13:ガス吹き込みランス、
14:ランス、
15:還元性ガス、
16:微粉炭、
17:酸素

Claims (5)

  1. 石炭と鉄鉱石とバイオマスとを含有する原料を加熱して熱間にて塊成型物に成型する成型工程と、該塊成型物を加熱して塊成型物中の石炭の乾留を行いフェロコークスを得る乾留工程と、該乾留工程において前記塊成型物の加熱により発生した発生ガスを冶金炉に鉄源の還元ガスとして供給する工程と、を有することを特徴とする冶金炉用原料の製造方法。
  2. 石炭と鉄鉱石と廃プラスチックとを含有する原料を加熱して熱間にて塊成型物に成型する成型工程と、該塊成型物を加熱して塊成型物中の石炭の乾留を行いフェロコークスを得る乾留工程と、該乾留工程において前記塊成型物の加熱により発生した発生ガスを冶金炉に鉄源の還元ガスとして供給する工程と、を有することを特徴とする冶金炉用原料の製造方法。
  3. 塊成型物用の原料がさらに廃プラスチックを含有することを特徴とする請求項1に記載の冶金炉用原料の製造方法。
  4. 乾留工程で得られたフェロコークスを冶金炉に装入することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の冶金炉用原料の製造方法。
  5. 発生ガスを微粉炭とともに冶金炉に吹込むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の冶金炉用原料の製造方法。
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