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JP4181897B2 - 半導体装置内蔵多層配線基板及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置内蔵多層配線基板及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置内蔵多層配線基板及びその製造方法に関し、特に、半導体装置を搭載した配線基材を含む複数の配線基材を積層してなる高密度かつ超小型の3次元実装モジュールに用いて好適な半導体装置内蔵多層配線基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリント積層板やセラミック積層板等の基板上に、抵抗、キャパシタなどの受動部品の他に、小型半導体パッケージ、半導体ベアチップ、FBGA(fine pitch ball grid array)等の小型能動部品を実装することにより、基板における部品の実装密度を向上させ、電子装置の小型化、軽量化、薄型化を図った表面実装法が実用化されている。この表面実装法は、各部品の大きさを小型化しようとするものである。
また、部品の実装密度をさらに向上させるために、半導体装置を3次元的に積み上げる3次元実装技術を用いた3次元実装モジュールも開発されている。この3次元実装モジュールは、上述した表面実装法によっても配置しきれない部品、とりわけ、部品サイズの大きい半導体装置を立体的に配置し、あるいは、基板内部に入れ込んで、実装密度を高めようとするものである。
【0003】
上記の3次元実装技術は、機器の小型化だけではなく、コンピュータや通信機器などの高速化にも寄与する技術として、最近特に注目されている技術である。例えば、通信機器においては、今後、撮像素子を用いた動画通信機能、Bluetoothのインターフェース機能、GPS機能等が搭載されることが見込まれており、部品点数の増加をともなう多機能化が積極的に押し進められ、実装技術の高密度化を牽引していくものである。特に、小型半導体装置である半導体チップを3次元的に積層して配線すれば、配線長を短くすることができ、高速信号を伝送することができるようにもなるために、3次元実装技術の採用は不可欠である。
【0004】
3次元実装技術には、大きく分けて2種類の技術がある。
一つはプリント配線基板上や内部に部品を積層する3次元実装モジュール等についての技術であるが、3次元実装モジュール等を採用する機器メーカが専用実装機の研究開発を進める必要があることから、殆ど普及していない。
もう一つはパッケージ内で半導体チップを積層する3次元実装パッケージについての技術であり(例えば、非特許文献1参照)、3次元実装パッケージ等を製造する電気メーカーにとっては、半導体チップの種類や個数、積層する配線基板の枚数が他社との差別化要因になることと、同一の形状であっても、多種多様の機能を発揮することができることのために、LSIメーカーが開発に本腰を入れ始めている。
【0005】
この3次元実装パッケージは、耐熱性樹脂からなる絶縁基板に導体配線を形成することにより複数種の配線基板を作製し、これらの配線基板のうち1つ以上に半導体チップ(半導体装置)を搭載して半導体チップ搭載配線基板とし、これらの配線基板を積層し、熱圧着により融着一体化することで作製される(例えば、特許文献1参照)。
積層及び融着一体化は、ヒータ内蔵の積層治具を用いて行われ、融着の温度は、耐熱性樹脂のガラス転移温度以上とされる。
【0006】
【非特許文献1】
西山 和夫、「デジタル家電の実装ニーズと半導体パッケージング技術」、エレクトロニクス実装学会誌、(社)エレクトロニクス実装学会、2001年、第4巻、第3号、p.166−169
【特許文献1】
特開2001−119148号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の3次元実装パッケージは、半導体チップを搭載した基板を含む複数の配線基板を積層し、熱圧着により融着一体化したものであるから、この熱融着過程において半導体チップに直接加わる応力や、半導体チップと配線基板との熱膨張率の差に起因する熱的ストレスにより、半導体チップや配線基板と半導体チップとの間に変形や配線歪が生じ、オープン/ショート(O/S)等の配線不良、寸法のずれ等の不具合が生じる虞があるという問題点があった。
【0008】
この変形や配線歪は、高密度かつ超小型の3次元実装モジュールにおいて必須とされる配線ピッチのファイン化にとって無視できない大きな問題となる。
さらに、この歪みや変形により、半導体チップや配線基板の初期特性が不安定になったり、特性の経時変化が大きくなり信頼性が低下する等の不具合が生じる虞があった。
また、熱圧着により融着一体化した後に、融着条件(温度、圧力)によっては、半導体チップと配線基板との間への樹脂の回り込みが不十分なためにボイドが形成され、このボイドに吸湿により水が溜まり、後のリフロー工程で膨れが生じ、吸湿リフロー耐熱性が低下するという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、半導体装置を搭載した基板を含む複数の配線基板を積層し融着一体化する際に、半導体装置や配線基板と半導体装置との間に歪みや変形が生じる虞がなく、したがって、オープン/ショート(O/S)等の配線不良や寸法のずれ等の不具合が生じる虞がなく、また、ボイドの形成が無く、したがって、吸湿リフロー耐熱性が向上し、その結果、高密度かつ超小型の3次元実装モジュールにおける配線ピッチのファイン化、及び半導体装置や配線基板の初期特性及び動作特性の安定性及び信頼性の向上を図ることが可能な半導体装置内蔵多層配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、半導体装置を搭載した配線基板を含む複数の配線基板を積層し、融着一体化する際に、半導体装置が搭載された配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(または液晶転移温度)を、この半導体装置が収納される配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(または液晶転移温度)より高く、かつこれらの転移温度の差を20℃以下とすれば、半導体装置や配線基板と半導体装置との間に歪みや変形が生じる虞がなく、したがって、オープン/ショート(O/S)等の配線不良や寸法のずれ等の不具合が生じる虞がなく、さらに、ボイドの形成が無く、吸湿リフロー耐熱性が向上することが分かり、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明の半導体装置内蔵多層配線基板は、熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材に導体配線が形成されてなる配線基材が複数、積層され、これら複数の配線基材のうち、1つまたは2つ以上の配線基材に半導体装置が搭載され、これらの配線基材同士が熱融着により一体化されてなる半導体装置内蔵多層配線基板において、前記半導体装置が搭載された配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度は、前記半導体装置が搭載された配線基材に隣接して配置され前記半導体装置を収納する凹部または開口が形成された配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度より高く、かつこれらのガラス転移温度の温度差は20℃以下であることを特徴とする。
【0012】
この半導体装置内蔵多層配線基板では、前記半導体装置が搭載された配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度を、前記半導体装置が搭載された配線基材に隣接して配置され前記半導体装置を収納する凹部または開口が形成された配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度より高く、かつこれらのガラス転移温度の温度差を20℃以下としたことにより、前記半導体装置を収納する配線基材が熱融着の際に生じる熱的ストレスを吸収し、半導体装置や配線基材と半導体装置との間の歪みや変形を防止する。これにより、この歪みや変形に起因する配線不良や寸法のずれ等の不具合を防止することが可能になり、高精度かつ高精細な導体配線が可能になる。
また、この半導体装置と該半導体装置を収納する配線基材との間に歪みや変形が無いので、ボイドが形成される虞が無く、したがって、吸湿リフロー耐熱性が向上する。
これにより、電気的特性及び信頼性に優れた半導体装置内蔵多層配線基板を提供することが可能になる。
【0013】
前記半導体装置が搭載された配線基材及び前記半導体装置を収納する配線基材それぞれの熱可塑性樹脂組成物を、結晶融解ピーク温度が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂組成物、または、ガラス転移温度が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂組成物、を主成分とすることが望ましい。
【0014】
前記結晶性熱可塑性樹脂組成物を、結晶融解ピーク温度が260℃以上であるポリアリールケトン樹脂と非晶性ポリエーテルイミド樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂混合組成物、ポリフェニレンサルファイド樹脂とポリエーテルイミド樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂混合組成物、シンジオタクチックリスチレン樹脂と変性ポリフェニレンエーテル樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂混合組成物から選択された1種とすることが望ましい。
また、前記非晶性熱可塑性樹脂組成物を、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂とすることが望ましい。
【0015】
本発明の半導体装置内蔵多層配線基板の製造方法は、熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材に導体配線が形成されてなる配線基材が複数、積層され、これら複数の配線基材のうち、1つまたは2つ以上の配線基材に半導体装置が搭載され、これらの配線基材同士が熱融着により一体化されてなる半導体装置内蔵多層配線基板の製造方法であって、半導体装置搭載用の配線基材と、基材の一部に前記半導体装置を収納する凹部または開口が形成され当該基材の厚みが前記半導体装置の厚みより厚く、当該基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が、前記半導体装置搭載用の配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度より低く、かつこれらのガラス転移温度の温度差が20℃以下である半導体装置収納用の配線基材とを作製し、次いで、前記半導体装置搭載用の配線基材に半導体装置を搭載し、これらの配線基材を積層し、熱融着により一体化することを特徴とする。
【0016】
この半導体装置内蔵多層配線基板の製造方法では、半導体装置搭載用の配線基材と、基材の一部に前記半導体装置を収納する凹部または開口が形成され当該基材の厚みが前記半導体装置の厚みより厚く、当該基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が、前記半導体装置搭載用の配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度より低く、かつこれらのガラス転移温度の温度差が20℃以下である半導体装置収納用の配線基材とを作製し、次いで、前記半導体装置搭載用の配線基材に半導体装置を搭載し、これらの配線基材を積層し、熱融着により一体化することにより、これらの配線基材を積層し、熱融着により一体化する際に、半導体装置収納用の配線基材が外部からの応力や熱膨張率の差による熱的ストレスを吸収し、半導体装置、あるいは配線基板と半導体装置との間に歪みや変形が生じるのを防止する。これにより、オープン/ショート(O/S)等の配線不良や寸法のずれ等の不具合が生じる虞がなくなり、高精度かつ高精細な導体配線を有する半導体装置内蔵型の多層配線基板が容易に得られる。その結果、電気的特性及び信頼性に優れた半導体装置内蔵多層配線基板を容易に得ることが可能になる。
【0017】
前記複数の配線基材を熱融着により一体化する際の温度は、前記半導体装置搭載用の配線基材のガラス転移温度以上であることが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体装置内蔵多層配線基板及びその製造方法の一実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態のICチップ(半導体装置)内蔵多層配線基板を示す断面図であり、図において、符号1は最上層基材(最上層の配線基材)、2は中実の内層基材(配線基材)、3は穴空き(開口)内層基材(配線基材)、4は最下層の配線基材となるICチップ(半導体装置)搭載内層基材(配線基材)である。
【0019】
最上層基材1は、通常、熱可塑性樹脂組成物からなる100μm以下の厚みの薄板状、フィルム状あるいはシート状の絶縁基材11であり、この絶縁基材11の表面及び裏面は平坦化されている。
この熱可塑性樹脂組成物は、結晶融解ピーク温度(Tm)が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂組成物、または、ガラス転移温度(Tg)が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂組成物、を含有している。
【0020】
この結晶性熱可塑性樹脂組成物としては、結晶融解ピーク温度(Tm)が260℃以上であるポリアリールケトン樹脂と非晶性ポリエーテルイミド樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂混合組成物、ポリフェニレンサルファイド樹脂とポリエーテルイミド樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂混合組成物、シンジオタクチックリスチレン樹脂と変性ポリフェニレンエーテル樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂混合組成物から選択された1種が好適である。
また、上記の非晶性熱可塑性樹脂組成物としては、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂が好適である。
【0021】
この熱可塑性樹脂組成物の組成は、中実の内層基材2と同一の組成でよく、そのガラス転移温度(Tg)は、穴空き内層基材3に用いられる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)より高いとされている。
この熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)と、穴空き内層基材3に用いられる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)との差は、20℃以下が好ましく、より好ましくは15℃以下、更に好ましくは10℃以下である。
【0022】
ここで、最上層基材1及び中実の内層基材2に用いられる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)と、穴空き内層基材3に用いられる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)との差を20℃以下とした理由は、この差が20℃を超えると、積層時の基材間の熱融着性が低下したり、基材間の位置精度が低下したりするからである。
【0023】
結晶融解ピーク温度(Tm)が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂組成物としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物(PEEK/PEI:Tg=185℃、Tm=335℃)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物(PPS/PEI:Tg=150℃、Tm=280℃)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)を40重量%、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)を60重量%含む樹脂組成物(SPS/変性PPE:Tg=120℃、Tm=265℃)等が好適に用いられる。
【0024】
また、ガラス転移温度(Tg)が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂組成物としては、例えば、ポリアミドイミド(PAI:Tg>260℃)、ポリイミド(PI:Tg>260℃)等、ガラス転移温度(Tg)を分子設計で適宜調製したものが好適に用いられる。
【0025】
この熱可塑性樹脂組成物に対しては、その性質を損なわない程度に、他の樹脂や各種添加剤、例えば、無機充填材、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤、無機充填材、接着促進剤等を適宜添加してもよい。
無機充填材としては、特に制限はなく、公知のいかなるものも使用できる。例えば、シリカ、タルク、マイカ、雲母、ガラスフレーク、窒化ホウ素(BN)、板状炭カル、板状水酸化アルミニウム、板状シリカ、板状チタン酸カリウム等が挙げられる。これらは1種類を単独で添加してもよく、2種類以上を組合せて添加してもよい。
また、接着促進剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0026】
中実の内層基材2は、上述した最上層基材1と全く同様の形状の熱可塑性樹脂組成物からなる薄板状、フィルム状あるいはシート状の絶縁基材11の一方の面(この図では上側)に、配線回路形成用の溝部12が形成されるとともに、絶縁基材11を貫通するバイアホール13が形成され、この溝部12及びバイアホール13には導電性ペーストを硬化してなる導電材14が充填されている。
この導電性ペーストとしては、樹脂系低温焼成タイプの銀(Ag)ペースト、銀(Ag)−パラジウム(Pd)ペースト、銅(Cu)ペースト、金属系低温焼成タイプの銀(Ag)−スズ(Sn)ペースト等が好適に用いられる。
【0027】
穴空き内層基材3は、その形状は上述した最上層基材1と全く同様であるが、その組成が上述した最上層基材1と異なる熱可塑性樹脂組成物からなる薄板状、フィルム状あるいはシート状の絶縁基材15に、この絶縁基材15を貫通するバイアホール13が形成され、このバイアホール13に導電性ペーストを硬化してなる導電材14が充填され、さらに、この絶縁基材15の所定位置には後述するICチップ18を収納するために、このICチップ18と略同一形状の開口16が形成されている。
【0028】
この穴空き内層基材3に用いられる熱可塑性樹脂組成物の組成は、既に説明した様に、そのガラス転移温度(Tg)が、最上層基材1、中実の内層基材2及びICチップ搭載内層基材4に用いられる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)より低いとされ、この熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)と、最上層基材1、中実の内層基材2及びICチップ搭載内層基材4に用いられる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)との差は、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下、更に好ましくは10℃以下である。
【0029】
ガラス転移温度(Tg)が低い熱可塑性樹脂組成物としては、結晶融解ピーク温度(Tm)が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂組成物、または、ガラス転移温度(Tg)が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂組成物が好適に用いられる。
【0030】
結晶融解ピーク温度(Tm)が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂組成物としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物(PEEK/PEI:Tg=185℃、Tm=335℃)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物(PPS/PEI:Tg=150℃、Tm=280℃)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)を40重量%、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)を60重量%含む樹脂組成物(SPS/変性PPE:Tg=120℃、Tm=265℃)等が好適に用いられる。
【0031】
また、ガラス転移温度(Tg)が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂組成物としては、例えば、ポリアミドイミド(PAI:Tg>260℃)、ポリイミド(PI:Tg>260℃)等、ガラス転移温度(Tg)を分子設計で適宜調製したものが好適に用いられる。
【0032】
ICチップ搭載内層基材4は、上述した最上層基材1と全く同様の形状の熱可塑性樹脂組成物からなる薄板状、フィルム状あるいはシート状の絶縁基材11の一方の面(この図では上側)に、配線回路形成用の溝部12が形成されるとともに、絶縁基材11を貫通するバイアホール13が形成され、この溝部12及びバイアホール13には導電性ペーストを硬化してなる導電材14が充填され、さらに、この絶縁基材11上にICチップ18が搭載され、このICチップ18の端子19は導電材14により構成される配線回路に電気的に接続されている。
【0033】
これら最上層基材1〜ICチップ搭載内層基材4は、この順に積層されて基材を構成する熱可塑性樹脂組成物が熱圧着により接着されることで一体化した積層構造とされ、これら基材1〜4各々の配線回路及び各基材1〜4間を電気的に接続する配線は、導電性ペーストを硬化してなる導電材14により構成することで導通するようになっている。
【0034】
次に、本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法について図2〜図7に基づき説明する。
ここでは、まず、個々の配線基材の製造方法について説明し、次いで、これらの配線基材を用いたICチップ内蔵多層配線基板の製造方法について説明する。
【0035】
(1)最上層基材及び中実の内層基材
まず、図2(a)に示すように、表面及び裏面が平坦化された熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材21を作製する。この絶縁基材21は、そのままで最上層基材となる。
次いで、図2(b)に示すように、この絶縁基材21の表面に、スタンパ22の凸部23を熱転写する。この熱転写の条件は、例えば、温度:175〜205℃、圧力:20〜60kg/cmである。
この熱転写により、図2(c)に示すように、絶縁基材21の表面に配線回路形成用溝部12が形成される。
【0036】
スタンパ22は、絶縁基材21に対して離型性の良好な材質、例えば、ガラス、セラミックス等により構成されたもので、特に、3〜5mmの厚みの耐熱ガラスが好適に用いられる。このスタンパ22は、耐熱ガラス板上にフォトリソグラフ法を用いてレジストマスクを形成し、その後、このレジストマスクを用いてサンドブラスト法により配線回路パターンに対応する凸部23を形成することにより作製される。
【0037】
次いで、図2(d)に示すように、絶縁基材21の所定位置に、レーザもしくは機械ドリル等を用いて絶縁基材21を貫通する貫通孔を形成し、バイアホール13とする。このバイアホール13は、スタンパにより配線回路形成用溝部12と同時に成形しても構わない。
次いで、図2(e)に示すように、スキージ印刷等により配線回路形成用溝部12及びバイアホール13内に導電性ペースト25を充填し、その後、この導電性ペースト25を120℃〜160℃で、30分〜60分加熱して硬化させ、導電材14とする。
次いで、図示しない研磨機を用いて絶縁基材21上に残っている導電材14aを研削して除去するとともに、絶縁基材21の表面を平坦化する。
以上により、中実の内層基材26を得ることができる。
【0038】
(2)ICチップ搭載内層基材
図3(a)に示すように、上記で得られた中実の内層基材26上の所定位置に、ICチップ18を配置し、このICチップ18上にヒーター内蔵の熱圧着治具28を載置し、この熱圧着治具28を押下させることにより、ICチップ18を絶縁基材21に熱圧着する。熱圧着は、例えば、温度:180〜200℃、圧力:10〜100kg/cmの条件で行う。
【0039】
この熱圧着により、図3(b)に示すように、ICチップ18の端子19が絶縁基材21の導電材14、すなわち導電回路に電気的に接続されるとともに、ICチップ18と絶縁基材21とが一体化されたICチップ搭載内層基材29を得ることができる。
【0040】
(3)穴空き内層基材
図4(a)に示すように、ガラス転移温度が、上記の絶縁基材21のガラス転移温度より低く、かつ絶縁基材21のガラス転移温度との差が20℃以下であり、その表面及び裏面が平坦化された熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材31を作製する。
この絶縁基材31の厚みは、ICチップ18の厚みに対して1.05〜1.10倍とする。
【0041】
次いで、図4(b)に示すように、絶縁基材31の所定位置に、レーザもしくは機械ドリル等を用いて絶縁基材31を貫通する貫通孔を形成し、バイアホール13とする。
次いで、図4(c)に示すように、スキージ印刷等によりバイアホール13内に導電性ペースト25を充填し、その後、この導電性ペースト25を120℃〜160℃で、30分〜60分加熱して硬化させ、導電材14とする。
【0042】
次いで、図4(d)に示すように、図示しない研磨機を用いて絶縁基材31上に残っている導電材14aを研削して除去するとともに、絶縁基材31の表面を平坦化する。
次いで、図4(e)に示すように、図示しない打ち抜き用の成型機を用いて、この絶縁基材31の所定箇所にICチップ収納用の開口32を打ち抜く。これにより、穴空き内層基材33を得ることができる。
この開口32の面積は、絶縁基材31が熱圧着される前ではICチップ18に対して所定の隙間が生じるように、また、絶縁基材31が熱圧着された際にはICチップ18の周囲に密着するように、その平面視の形状が設定される。例えば、ICチップ18の占有面積に対して1.01〜1.05倍とされる。
【0043】
(4)ICチップ内蔵多層配線基板
まず、図5に示すように、ヒーター内蔵の積層治具41内に、弾性及び離型性を有するクッションフィルム42、ICチップ搭載内層基材29、穴空き内層基材33、中実の内層基材26、絶縁基材21及び弾性及び離型性を有するクッションフィルム42をこの順に重ねる。
【0044】
次いで、押圧治具43を押下させかつ加熱することにより、これらICチップ搭載内層基材29〜絶縁基材21に熱圧着を施す。
この場合の熱圧着は、絶縁基材21を構成する熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上かつ結晶融解ピーク温度(Tm)未満で行うと効果的である。
この熱圧着の条件の一例を挙げると、温度:220〜300℃、圧力:10〜60kg/cmである。
【0045】
ここで、絶縁基材21、31のガラス転移温度(Tg)及び結晶融解ピーク温度(Tm)は、示差走査熱量(DSC)を測定することで分かる。これらの温度は、例えば、結晶融解ピーク温度(Tm)が260℃以上であるポリアリールケトンとポリエーテルイミドを含む混合熱可塑性樹脂組成物であっても、相溶性を示すため、DSCのプロファイルより求めることができる。
【0046】
図6は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とポリエーテルイミド(PEI)を含む樹脂組成物を溶融混練後、急冷製膜してフィルム基材とし、このフィルム基材を加熱速度10℃/分で昇温したときに得られるDSCのプロファイルであり、図中Aは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物(A)のDSCプロファイルであり、Bはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を50重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を50重量%含む樹脂組成物(B)のDSCプロファイルである。
この図によれば、樹脂組成物(A)のガラス転移温度(Tg)は185℃、結晶化開始温度(Tc)は251℃であり、樹脂組成物(B)のガラス転移温度(Tg)は178℃、結晶化開始温度(Tc)は232℃である。
【0047】
図7は、上記の樹脂組成物(A)及び(B)の弾性率温度依存性を示す図であり、樹脂組成物(A)は、ガラス転移温度(Tg)以上の温度で弾性率が低下し、その後の昇温過程で結晶化して弾性率が上昇することが分かる。また、樹脂組成物(B)は、樹脂組成物(A)より低温で弾性率が低下し、その後の昇温過程で樹脂組成物(A)が結晶化する前に結晶化して弾性率が上昇し、樹脂組成物(A)を上回る弾性率で推移することが分かる。
【0048】
ここで、絶縁基材21の熱可塑性樹脂組成物として樹脂組成物(A)を、絶縁基材31の熱可塑性樹脂組成物として樹脂組成物(B)を、それぞれ用いた場合の熱圧着過程について説明する。
この熱圧着の初期の過程(室温:25℃〜180℃)では、図8(a)に示すように、絶縁基材31は弾性率が十分に低下せず変形もしないので、当初の形状を保持し続け、ICチップ18側に向かって変形することはない。また、絶縁基材21も、この温度範囲では弾性率が低下しないので変形もせず、当初の形状を保持し続ける。
【0049】
次の過程(180〜200℃)では、図8(b)に示すように、絶縁基材31の弾性率が低下するので、押圧治具43の押圧により圧縮されてICチップ18側に向かって変形し、ICチップ18に密着する。この絶縁基材31の厚みはICチップ18の厚みに対して1.05〜1.10倍とされているので、押圧治具43の押圧力は絶縁基材31に集中して加わることとなり、ICチップ18に加わることはない。これにより、この押圧力でICチップ18に変形等が生じる虞は無い。
【0050】
次いで、所定の温度プロファイルで240℃まで昇温させると、図8(c)に示すように、絶縁基材31は絶縁基材21に比べて結晶化速度が速いために、結晶化し、弾性率が高くなる。同時に、この昇温過程で、絶縁基材21の弾性率が低下するので、押圧治具43の押圧によりICチップ18に密着する。
次いで、この温度(240℃)を所定時間、例えば、10〜30分間保持し続けると、絶縁基材21も結晶化し、弾性率が高くなる。
その後、所定の温度プロファイルで室温(25℃)まで冷却し、本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板を得る。
【0051】
次に、本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の実施例及び比較例について説明する。
実施例1〜5及び比較例1〜5各々においては、最上層基材1、中実の内層基材2及びICチップ搭載内層基材4の熱可塑性樹脂組成物を表1の基材Aに示す組成とし、穴空き内層基材3の熱可塑性樹脂組成物を表1の基材Bに示す組成とし、上記のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法に基づき実施例及び比較例各々のサンプルを作製した。
【0052】
ここでは、実施例及び比較例各々における基材A及びB各々の樹脂組成物の成分、組成比、ガラス転移温度、及び基材A及びBのガラス転移温度の差を表1に示す通りとした。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物の場合、成分を「PEEK/PEI」、組成比を「40/60」と表記した。他の樹脂組成物の成分及び組成比も同様に表記してある。
【0053】
また、ICチップの厚みは、実施例1〜5及び比較例1〜5共に100μmとし、基材Bの厚みは、比較例2のみICチップの厚みと同じ100μmとし、実施例1〜5及び比較例1、3〜5では110μmとした。
また、実施例及び比較例各々における熱圧着の最高保持温度は表1に示す通りとした。
【0054】
得られた実施例及び比較例各々のサンプルについて評価を行った。
評価は、初期オープン/ショート、吸湿リフロー試験での膨れ、の2項目とし、各項目におけるサンプル数をそれぞれ5個とし、各々の評価結果を表1に示した。
評価方法は下記の通りである。
【0055】
(1)初期オープン/ショート
ICチップ搭載内層基材4の表出した2端子間(導電材14上の2点間)で導通抵抗を測定し、抵抗値が10−2Ωcm未満であったものを良(○)とし、抵抗値が10−2Ωcm以上であったものをオープン不良(×)とした。
また、同一のICチップ搭載内層基材4の設計上接続されていない任意の2端子間(設計上接続されていない導電材14、14間)で導通抵抗を測定し、導通状態でなかったものを良(○)とし、導通状態であったものをショート(×)とした。
【0056】
(2)吸湿リフロー試験での膨れ
実施例及び比較例各々のサンプルをプレッシャークッカー試験器(温度:121℃、気圧:2気圧、湿度:100%RH)内に2時間放置して吸湿させ、その後、これらのサンプルをプレッシャークッカー試験器から取り出してリフロー炉(最高設定温度:260℃)を通過させ、通過後のサンプルの表面状態を観察し、膨れが全く生じていなかったものを良(○)、膨れが僅かでも生じていたものを不良(×)と評価した。
【0057】
【表1】
Figure 0004181897
【0058】
表1によれば、実施例1〜5では、初期オープン/ショート、吸湿リフロー試験での膨れ、共に良好であることが分かった。
一方、比較例3、4では、初期オープン/ショートは良好なものの、吸湿リフロー試験において膨れが生じており、吸湿リフローに対する耐性が低下していることが分かった。また、比較例1、2、5では、初期オープン/ショート、吸湿リフロー試験での膨れ、共に悪化していることが分かった。
【0059】
本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板によれば、最上層基材1、中実の内層基材2及びICチップ搭載内層基材4の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度を、穴空き内層基材3の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度より高くし、これらの熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度の差を20℃以下としたので、穴空き内層基材3が熱融着の際に生じる熱的ストレスを吸収し、ICチップ18や、ICチップ18と中実の内層基材2及びICチップ搭載内層基材4との間に歪みや変形が生じない。したがって、この歪みや変形に起因する配線不良や寸法のずれ等の不具合を防止することができ、導体配線を高精度かつ高精細とすることができる。
また、ICチップ18と穴空き内層基材3との間に歪みや変形が無いので、ボイドが形成される虞が無く、したがって、吸湿リフロー耐熱性を向上させることができる。
【0060】
本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法によれば、ICチップ搭載内層基材29、ガラス転移温度の低い穴空き内層基材33、中実の内層基材26、絶縁基材21をこの順に重ね、これらICチップ搭載内層基材29〜絶縁基材21に熱圧着を施し、熱融着により相互に接合し一体化するので、穴空き内層基材33が熱圧着過程において生じる熱的ストレスを吸収し、配線不良や寸法のずれ等の不具合が生じるのを防止することができる。
したがって、高精度かつ高精細な導体配線を有する半導体装置内蔵型の多層配線基板を容易に作製することができ、その結果、電気的特性及び信頼性に優れた半導体装置内蔵多層配線基板を容易に得ることができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体装置内蔵多層配線基板によれば、半導体装置が搭載された配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度を、半導体装置を収納する凹部または開口が形成された配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度より高く、かつこれらのガラス転移温度の温度差を「20℃」以下としたので、半導体装置を収納する配線基材が熱融着の際に生じる熱的ストレスを吸収することにより、半導体装置や配線基材と半導体装置との間の歪みや変形を防止することができる。したがって、この歪みや変形に起因する配線不良や寸法のずれ等の不具合を防止することができ、高精度かつ高精細な導体配線を実現することができる。
また、この半導体装置と該半導体装置を収納する配線基材との間に歪みや変形が無いので、ボイドが形成される虞が無く、したがって、吸湿リフロー耐熱性を向上させることができる。
【0062】
本発明の半導体装置内蔵多層配線基板の製造方法によれば、半導体装置搭載用の配線基材と、基材の一部に前記半導体装置を収納する凹部または開口が形成され当該基材の厚みが前記半導体装置の厚みより厚く、当該基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が、前記半導体装置搭載用の配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度より低く、かつこれらのガラス転移温度の温度差が20℃以下である半導体装置収納用の配線基材とを作製し、次いで、前記半導体装置搭載用の配線基材に半導体装置を搭載し、これらの配線基材を積層し、熱融着により一体化するので、これらの配線基材を熱融着により一体化する際の歪みや変形を防止することができ、オープン/ショート(O/S)等の配線不良や寸法のずれ等の不具合が無く、しかも高精度かつ高精細な導体配線を有する半導体装置内蔵型の多層配線基板を容易に作製することができる。したがって、電気的特性及び信頼性に優れた半導体装置内蔵多層配線基板を容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のICチップ内蔵多層配線基板を示す断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法を示す過程図である。
【図3】 本発明の一実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法を示す過程図である。
【図4】 本発明の一実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法を示す過程図である。
【図5】 本発明の一実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法を示す過程図である。
【図6】 ポリエーテルエーテルケトンとポリエーテルイミドを含む樹脂組成物のDSCのプロファイルを示す図である。
【図7】 ポリエーテルエーテルケトンとポリエーテルイミドを含む樹脂組成物の弾性率温度依存性を示す図である。
【図8】 本発明の一実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法を示す過程図である。
【符号の説明】
1 最上層基材(最上層の配線基材)
2 中実の内層基材(配線基材)
3 穴空き内層基材(配線基材)
4 ICチップ搭載内層基材(配線基材)
11 絶縁基材
12 溝部
13 バイアホール
14 導電材
15 絶縁基材
16 開口
18 ICチップ(半導体装置)
21 絶縁基材
26 中実の内層基材
29 ICチップ搭載内層基材
31 絶縁基材
33 穴空き内層基材

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材に導体配線が形成されてなる配線基材が複数、積層され、
    これら複数の配線基材のうち、1つまたは2つ以上の配線基材に半導体装置が搭載され、
    これらの配線基材同士が熱融着により一体化されてなる半導体装置内蔵多層配線基板において、
    前記半導体装置が搭載された配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度は、前記半導体装置が搭載された配線基材に隣接して配置され前記半導体装置を収納する凹部または開口が形成された配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度より高く、かつこれらのガラス転移温度の温度差は20℃以下であることを特徴とする半導体装置内蔵多層配線基板。
  2. 前記半導体装置が搭載された配線基材及び前記半導体装置を収納する配線基材それぞれの熱可塑性樹脂組成物は、結晶融解ピーク温度が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂組成物、または、ガラス転移温度が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂組成物、を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の半導体装置内蔵多層配線基板。
  3. 前記結晶性熱可塑性樹脂組成物は、結晶融解ピーク温度が260℃以上であるポリアリールケトン樹脂と非晶性ポリエーテルイミド樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂混合組成物、ポリフェニレンサルファイド樹脂とポリエーテルイミド樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂混合組成物、シンジオタクチックリスチレン樹脂と変性ポリフェニレンエーテル樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂混合組成物から選択された1種であることを特徴とする請求項2記載の半導体装置内蔵多層配線基板。
  4. 前記非晶性熱可塑性樹脂組成物は、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする請求項2記載の半導体装置内蔵多層配線基板。
  5. 熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材に導体配線が形成されてなる配線基材が複数、積層され、
    これら複数の配線基材のうち、1つまたは2つ以上の配線基材に半導体装置が搭載され、
    これらの配線基材同士が熱融着により一体化されてなる半導体装置内蔵多層配線基板の製造方法であって、
    半導体装置搭載用の配線基材と、
    基材の一部に前記半導体装置を収納する凹部または開口が形成され当該基材の厚みが前記半導体装置の厚みより厚く、当該基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が、前記半導体装置搭載用の配線基材の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度より低く、かつこれらのガラス転移温度の温度差が20℃以下である半導体装置収納用の配線基材とを作製し、
    次いで、前記半導体装置搭載用の配線基材に半導体装置を搭載し、
    これらの配線基材を積層し、熱融着により一体化することを特徴とする半導体装置内蔵多層配線基板の製造方法。
  6. 前記複数の配線基材を熱融着により一体化する際の温度は、前記半導体装置搭載用の配線基材のガラス転移温度以上であることを特徴とする請求項5記載の半導体装置内蔵多層配線基板の製造方法。
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