JP4179934B2 - 超音波モータ及び超音波モータを備えた位置決め装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波モータに関し、特に、励振素子によって励振される振動体を、その駆動面を可動体に押し付けた状態で支持する押圧支持構造を有する超音波モータに関する。さらに本発明は、超音波モータを備えた位置決め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
振動体の超音波振動を用いて摩擦駆動力を生成する超音波モータは、近年、特に小型精密機器の分野で、様々な被駆動要素を直線又は回転駆動する小型アクチュエータとして広く利用されている。一般に超音波モータは、駆動面を有する振動体と、振動体を励振する励振素子と、振動体の駆動面に当接配置され、振動体の振動に応じて振動体に対し一方向へ移動する可動体(被駆動体)とを備えて構成される。振動体は通常、金属、セラミックス等の硬質の弾性体から作製され、また励振素子は通常、圧電セラミックス等の圧電素子から作製される。さらに超音波モータでは、振動体と可動体との間で効率良く摩擦駆動力を発生させるために、振動体の駆動面を所定圧力下で可動体の表面に押し付ける予圧構造が設けられる。
【0003】
この種の超音波モータにおいて、所望端面が駆動面として作用する短棒状の振動体と、振動体の駆動面以外の面に適宜配置で接合される複数の圧電素子とを備え、個々の圧電素子を所定位相差で変位動作させることにより、摩擦駆動力を発揮するための楕円運動を駆動面に生起させる構成を有した定在波型の超音波モータが知られている。この形式の超音波モータとしては従来、それぞれの一端に駆動面を有する1対の柱状脚部とそれら柱状脚部の他端同士を接続する梁状胴部とを有した門形の振動体を備え、振動体の両脚部と胴部との接続領域に形成される互いに略直交する1対の傾斜肩面に、2つの圧電素子をそれぞれ近傍の駆動面に対し45°の角度を成すように接合したもの(いわゆるπ形:例えば特許文献1参照)と、一端に駆動面を有するとともに他端に互いに略直交する1対の傾斜肩面を有する柱形の振動体を備え、それら傾斜肩面に2つの圧電素子をそれぞれ駆動面に対し45°の角度を成すように接合したもの(いわゆるY形:例えば特許文献2参照)とが提唱されている。
【特許文献1】
特開平6−284755号公報
【特許文献2】
実開平2−136485号公報
【0004】
従来の超音波モータでは、前述した予圧構造として一般に、振動体を可動体に接近する方向へ付勢するばねが採用されている。例えば、上記特許文献1に記載される超音波モータでは、門形振動体を収容するケースの上板に、先端を振動体に向けた付勢ピンが上下移動自在に設置され、ケース上板と付勢ピンとの間に配置されたばねが、付勢ピンを振動体に向けて常時付勢する構成を採用している。付勢ピンは、その先端を直接又は間接的に振動体の胴部上面に当接させて、ばねの付勢力を振動体に伝達し、それにより、振動体の1対の駆動面が可動体の表面にばね圧力下で押し付けられる。この予圧構造では、付勢ピンはケース上板に沿って上下方向へ案内支持されており、また付勢ピンと振動体との間には相対変位を抑制し得る相補的嵌合構造が採用されている。したがって、ばね及び付勢ピンは、振動体の駆動面を可動体表面に押し付けた状態で振動体を支持する押圧支持構造とみなすこともできる。
【0005】
なお、上記特許文献1には、押圧支持構造の一形態として、付勢ピンを付勢するばね力を調整する調整機構を備えたものが開示されている。さらに特許文献1は、XYステージに用いられる直動案内(位置決め)装置の駆動部に、上記したπ形の超音波モータを組み込んだ構成を開示する。この案内装置では、リニアガイドを介して直線往復動作可能に組み合わされる1対の基台の一方に、超音波モータの振動体及び圧電素子が固定的に設置されるとともに、他方の基台が、振動体の駆動面に当接される表面を有する可動体を構成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
超音波モータにおいては、振動体の駆動面と可動体表面との間に所定の接触圧力を維持するとともに、振動体に励振される超音波振動を拘束することなく、振動体をモータ構造内の正規位置に安定的に支持することが要求される。超音波モータの特徴の1つである優れた制御応答性は、このような振動体の安定支持を確保することで、より確実なものとなる。この観点で、前述した特許文献1の超音波モータにおける振動体の予圧構造(押圧支持構造)は、振動体の上方でケースに担持された付勢ピンを振動体の胴部上面にばね圧力下で当接して振動体を支持する構成であるから、振動体の下部領域(すなわち両脚部の駆動面近傍領域)に横方向へ加わる外力に対し、振動体を安定支持することが困難となる傾向がある。しかし、一般に超音波モータは、特に駆動立ち上がり時に、摩擦駆動の反作用として可動体から振動体にその駆動面に沿った方向への反力が加わるものであり、したがって従来の押圧支持構造では、この駆動反力に起因して振動体のふらつきや傾倒が生じることが懸念される。このような問題は、駆動反力のモーメントが比較的大きくなる前述した短棒状(門形ないし柱形)の振動体を有する超音波モータにおいて、顕現することが予測される。
【0007】
このような問題を解決するために、本願出願人は、本願の先願である特願平2003−022548号の明細書及び図面で、押圧支持構造として、基材に固定される第1固定部及び第2固定部と、それら第1及び第2固定部の間に位置して振動体に固定的に連結される中間固定部とを有し、第1及び第2固定部と中間固定部との間に延びる延長部分で、振動体の駆動面を可動体に押し付けるばね力を発揮する支持ばね部材を採用するとともに、基材への支持ばね部材の第1及び第2固定部の固定位置を、駆動面を底とした振動体の高さの方向に見て、振動体の頂端よりも低く、可動体に近接して配置するように構成した超音波モータを提案している。この超音波モータによれば、支持ばね部材のばね力を発揮する延長部分の両端の固定支持箇所が、振動体の駆動面に近い高さに配置されるので、振動体の下部領域(すなわち駆動面の近傍領域)に横方向へ加わる外力に対しても、振動体が安定して支持されることになる。
【0008】
ただし、上記先願に係る超音波モータの押圧支持構造においても、モータの各種構成要素の成形誤差や組立誤差に起因して、振動体と可動体との相対的位置関係が正規位置関係から逸脱していた場合には、振動体に負荷されるばね力の不均衡により振動体の支持が不安定になることが懸念される。また、そのような構造上の誤差等に起因して、振動体の駆動面と可動体表面との接触状態が、一様な面接触ではなく線接触に近い状態となっていた場合には、効率の低下や駆動力の不安定化が生じる危惧がある。さらに、例えば前述したY形又はπ形のモータ構造における2個の圧電素子の電歪特性や接合状態の相違、振動体自体の構造上の不均一性や非対称性等に起因して、振動体の駆動面に、設計上の理想の楕円運動から逸脱した運動が生じる場合がある。このような場合には、例えばY形又はπ形のモータ構造のように可動体の駆動方向を切り換え可能な構成において、駆動方向により可動体の移動速度に差が生じることが危惧される。
【0009】
また、超音波モータを搭載した従来の単軸や多軸のステージ等の案内/位置決め装置では、従来の超音波モータに内在していた上記諸課題に伴い、ステージの移動動作の不安定化、位置決め精度の低下、往復移動速度差の発生等の問題が生じていた。さらに、超音波モータの採用により小型化した駆動部に対応して、案内/位置決め装置の一層の小型化・薄型化が要求されている。
【0010】
本発明の目的は、振動体の駆動面と可動体表面との間に所定の接触圧力を維持するとともに、振動体に励振される超音波振動を拘束することなく、振動体をモータ構造内の正規位置に安定的に支持することができ、しかも、構造上の誤差等に起因する振動体の支持の不安定化、効率の低下、駆動力の不安定化、駆動方向切換に伴う速度差の発生等の諸問題を解決できる超音波モータを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、駆動部に超音波モータを採用した位置決め装置において、ステージの移動動作を安定化し、位置決め精度を向上させ、かつ往復移動速度差を排除できる、小型化・薄型化の容易な位置決め装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、駆動面を有する振動体と、振動体を励振する励振素子と、振動体の駆動面に当接配置され、振動体の振動に応じて振動体に対し移動する可動体と、駆動面を可動体に押し付けた状態で振動体を支持する押圧支持構造とを具備し、押圧支持構造は、基材と、基材と振動体との間に配置され、振動体を基材上で支持しつつ駆動面を可動体に押し付けるばね力を発揮する支持ばね部材と、支持ばね部材のばね力を調整する予圧調整機構とを備えて構成される超音波モータにおいて、支持ばね部材は、基材に取り付けられる第1取付部及び第2取付部と、それら第1及び第2取付部の間に位置して振動体に固定的に連結される中間固定部と、第1及び第2取付部と中間固定部との間に延設されてばね力を生じる延長部分とを有し、基材への支持ばね部材の第1及び第2取付部の取付位置が、駆動面を底とした振動体の高さの方向に見て、振動体の頂端よりも低く、可動体に近接して配置され、予圧調整機構は、支持ばね部材の第1及び第2取付部の少なくとも一方と基材との間に介在して、第1及び第2取付部の少なくとも一方の取付位置を調整する取付位置調整部材を備えること、を特徴とする超音波モータを提供する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波モータにおいて、支持ばね部材の第1及び第2取付部の取付位置が、振動体を中心として可動体の移動方向へ実質的対称に分散して配置され、取付位置調整部材は、第1及び第2取付部の少なくとも一方の取付位置を調整して、可動体に対する所要の予圧を振動体の駆動面の全体に一様に生じさせる超音波モータを提供する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の超音波モータにおいて、押圧支持構造は、振動体の駆動面と可動体との相対位置を角度的に調整する角度調整機構をさらに備える超音波モータを提供する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波モータを内蔵した位置決め装置を提供する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の位置決め装置において、超音波モータの基材を含む第1の基台と、超音波モータの可動体を含む第2の基台と、それら第1及び第2の基台を相対移動可能に相互支持して互いに直線状に案内するリニアガイドと、第1及び第2の基台の相対位置を検出する位置検出機構とを備え、第1及び第2の基台が両者間に装置内部空間を形成するように互いに組み合わされ、超音波モータ及び位置検出機構がいずれも装置内部空間に収容される位置決め装置を提供する。
【0017】
請求項6に記載の発明は、駆動面を有する振動体と、振動体を励振する励振素子と、振動体の駆動面を被駆動物体に押し付けた状態で振動体を支持する押圧支持構造とを具備し、押圧支持構造は、基材と、基材と振動体との間に配置され、振動体を基材上で支持しつつ駆動面を被駆動物体に押し付けるばね力を発揮する支持ばね部材と、支持ばね部材のばね力を調整する予圧調整機構とを備えて構成される超音波モータにおいて、支持ばね部材は、基材に取り付けられる第1取付部及び第2取付部と、それら第1及び第2取付部の間に位置して振動体に固定的に連結される中間固定部と、第1及び第2取付部と中間固定部との間に延設されてばね力を生じる延長部分とを有し、基材への支持ばね部材の第1及び第2取付部の取付位置が、駆動面を底とした振動体の高さの方向に見て、振動体の頂端よりも低く、被駆動物体に近接して配置され、予圧調整機構は、支持ばね部材の第1及び第2取付部の少なくとも一方と基材との間に介在して、第1及び第2取付部の少なくとも一方の取付位置を調整する取付位置調整部材を備えること、を特徴とする超音波モータを提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1及び図2は、本発明の一実施形態による超音波モータ10を概略で示す。超音波モータ10は、駆動面12を有する振動体14と、振動体14を励振する励振素子16と、振動体14の駆動面12に当接配置され、振動体14の振動に応じて振動体14に対し移動する可動体18と、駆動面12を可動体18に押し付けた状態で振動体14を支持する押圧支持構造20とを備えて構成される。
【0019】
振動体14は、短棒状(角柱形又は薄板形)の形態を有し、所望の一端面に平坦な駆動面12を備えるとともに、駆動面12から離れた他端側に、互いに略直交する方向へ平坦に延設される1対の傾斜肩面22と、それら肩面22の間で外方へ突設される支承部24とを備える。振動体14の駆動面12は、好ましくは図示のように、振動体14の一端面に固着された炭素繊維強化プラスチック等からなる摩擦材料26によって形成される。摩擦材料26は、振動体14の超音波振動による摩擦駆動力の発生効率を向上させるとともに、駆動面12及び可動体18の表面の寿命を向上させる効果を奏する。
【0020】
振動体14は、図1の正面視で、一端の駆動面12の中心と他端の支承部24の中心とを通る軸線14aに関して線対称の形状を有する。両肩面22は、いずれも駆動面12に対し略45°の角度を成して、軸線14aに関し左右対称に配置される。支承部24は、振動体14の本体部分14b(超音波が伝搬する部分)と同一の厚さ(図1紙面に直交する方向への寸法)を有して本体部分14bから延長され、その末端に軸線14a方向へ延びる雌ねじ28が凹設される。このような構成を有する振動体14は、アルミニウム、チタン、銅、鉄系金属等の金属材料や、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、これらの複合物等のセラミックスといった、硬質の弾性体から一体的に作製される。なお振動体14は、厚さ数mm程度の薄型構造を有する。
【0021】
励振素子16は、振動体14の1対の肩面22にそれぞれ接合される1対の圧電素子16からなる。各圧電素子16は、圧電セラミックス等の薄板状圧電材料を積層してなる角柱(薄板)状の形態を有し、積層方向一端面を振動体14の肩面22に密着させて、例えば接着剤により肩面22に強固に接合される。それにより1対の圧電素子16は、それぞれの積層方向へ延びる中心線16aがいずれも駆動面12に対し略45°の角度を成して配置される。これら圧電素子16には、図示しない制御回路を介して正弦波電圧がそれぞれに所定(例えば90°)の位相差で印加され、それによる両圧電素子16の差動的な変位動作が振動体14を励振して、摩擦駆動力を発揮するためのいわゆる楕円運動を駆動面12に生起させる。
【0022】
なお、各圧電素子16は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなる薄板状圧電材料の積層体から構成することが、低電圧で大駆動力を得る点で有利である。また、各圧電素子16を振動体14に接合する接着剤としては、十分な接着力が得られるものであれば特に限定されないが、例えばガラスフィラー入りの熱硬化型エポキシ接着剤を使用することができる。
【0023】
可動体18は、金属、樹脂等の硬質材料からなり、図示しない案内支持構造を介して、超音波モータ10の図示しない機台(又は外部構造体)上に所定方向へ移動可能に支持される。可動体18は、その所定表面領域30で、振動体14の駆動面12に所定圧力下で接触して配置され、振動体14の駆動面12に生起された楕円運動の方向に応じて、接触面間の摩擦力により一方向(図示矢印)へ移動する。可動体18の移動方向及び移動速度は、上記した1対の励振素子(圧電素子)16に印加する正弦波電圧の位相及び周波数制御により制御できる。なお可動体18は、案内支持構造の構成に応じて、直動及び回動のいずれかの出力動作を遂行できる。また、振動体14と可動体18との移動関係は相対的なものであり、可動体18が構造体上で固定されていた場合には、振動体14が押圧支持構造20と共に可動体18に対して移動する。
【0024】
振動体14の駆動面12を形成する摩擦材料26は、それに加えて又はその代わりに、可動体18の表面領域30に設置することもできる。いずれの場合も、摩擦材料26は、駆動面12の接触相手となる表面の材料と対比して、互いに実質的同一の硬度を有することが、摩擦材料26自体の摩耗を抑制する点で有利である。さらに、両者の面精度を高めた上で、面粗さも実質的同一にすれば、摩擦材料26の耐摩耗性が著しく向上することが、本願発明者の実験により判明した。
【0025】
上記した振動体14と励振素子16との接合体及び可動体18の構成は、いわゆるY形の超音波モータにおいて採用されているものであり、1対の励振素子16の位相を反転することにより、可動体18の駆動方向を切り換えることができる。なお、本発明に係る押圧支持構造の構成は、このようなY形モータ構造に限らず、π形や他の種々のモータ構造に適用できるものである。
【0026】
押圧支持構造20は、基材32と、基材32と振動体14との間に配置され、振動体14を基材32上で支持しつつ駆動面12を可動体18に押し付けるばね力を発揮する支持ばね部材34とを備える。支持ばね部材34は、第1取付部36、第2取付部38及びそれら第1及び第2取付部36、38の間に位置する中間固定部40を有する板状組立体である。支持ばね部材34は、中間固定部40で振動体14に固定的に連結されるとともに、第1及び第2取付部36、38で基材32に取り付けられる。その状態で支持ばね部材34は、第1及び第2取付部36、38と中間固定部40との間に延びる延長部分42で、振動体14の駆動面12を可動体18の表面領域30に押し付けるばね力を発揮する。
【0027】
基材32は、矩形薄板状の主部44と、主部44の略平坦な一表面44a上でその矩形輪郭の一外縁44bに沿って互いに離間配置される角柱状の1対の取付基部46とを備える。主部44及び取付基部46は、金属、樹脂等の硬質材料からなり、図示実施形態では両取付基部46が、ボルト48によって主部44の表面44aに固定される。或いは、各取付基部46を主部44に一体化することもできる。
【0028】
各取付基部46には、後述する予圧調整機構の一構成要素である調整ねじ50を螺着する雌ねじ52が、主部44の表面44aに略平行な方向へ凹設される。また、基材32の主部表面44a上で両取付基部46に近接する位置に、外縁44bに略直交する方向へ直線状に延びる1対の溝54がそれぞれ形成されるとともに、それら溝54の近傍に図示しない雌ねじがそれぞれ凹設される。なお、基材32の主部44は、前述した可動体18を可動支持する超音波モータ10の図示しない機台(又は外部構造体)に、固定的に連結することができる。
【0029】
支持ばね部材34は、中間固定部40及び延長部分42を含む板ばね要素56と、それぞれに第1及び第2取付部36、38を含む1対の剛性支持要素58とを組み合わせて構成される。板ばね要素56は、図1の正面視で略U字の外形に曲成された金属板、樹脂板等のばね材からなり、U字の中心梁部分として、無負荷状態で平板形態を呈する延長部分42が、中間固定部40を中心として対称に延長される。中間固定部40には、支持ばね部材34を振動体14に固定的に連結するためのボルト挿通孔40aが、板厚方向(紙面に平行な方向)へ貫通形成される。
【0030】
また板ばね要素56には、中間固定部40から離隔した延長部分42の両端に、U字の両腕部分として延長部分42に略直交する方向へ曲成された連結片60が一体に設けられ、それら連結片60のそれぞれに、板厚方向へ貫通する第2のボルト挿通孔60aが形成される。板ばね要素56は、中間固定部40のボルト挿通孔40aに挿通したボルト62を、振動体14の支承部24に形成した雌ねじ28に螺着することにより、振動体14に固定される。後述するように超音波モータ10を適正に組み立てたときに、板ばね要素56が有する延長部分42は、無負荷状態で、振動体14の軸線14aに直交する方向へ延設される。
【0031】
支持ばね部材34の1対の剛性支持要素58は、図1の正面視で互いに同一の略L字の外形に成形された金属板、樹脂板等の硬質材からなり、それぞれのL字の短腕部分として、第1及び第2取付部36、38が設けられるとともに、L字の長腕部分となる連結部64が、それぞれ段差を介して第1及び第2取付部36、38に一体に設けられる。後述するように超音波モータ10を適正に組み立てたときに、各剛性支持要素58は、第1又は第2取付部36、38が連結部64に対し、基材32に接近する方向へずれて配置されるように形成される(図2)。
【0032】
両剛性支持要素58の第1及び第2取付部36、38には、支持ばね部材34を基材32に取り付けるための長孔状のボルト挿通孔66が、それぞれ厚さ方向(紙面に直交する方向)へ貫通形成される。また、第1及び第2取付部36、38の各々には、基材32の主部表面44aに対向する表面上の所定位置に、ボルト挿通孔66の長軸に平行に直線状に延びる突条68が突設される。後述するように超音波モータ10を適正に組み立てたときに、各突条68は、基材32の主部表面44aに形成した対応の溝54に、摺動自在に嵌入される。また、各連結部64は、突条68に対し略平行な方向へ延設され、その末端に、板厚方向(紙面に平行な方向)へ雌ねじ70が凹設される。
【0033】
各剛性支持要素58は、第1又は第2取付部36、38のボルト挿通孔66に挿通された取付ボルト72を、基材32の主部表面44aに溝54近傍で凹設した図示しない雌ねじに螺着することにより、基材32に取り付けられる。また、各剛性支持要素58は、板ばね要素56の各連結片60のボルト挿通孔60aに挿通された調整ボルト74(後述する角度調整機構の一構成要素)を、連結部64の雌ねじ70に螺着することにより、板ばね要素56に連結される。
【0034】
上記構成を有する支持ばね部材34は、板ばね要素56の両連結片60の内側(相互対向側)に、第1及び第2取付部36、38を外側(相互離反側)に向けた両剛性支持要素58の連結部64の末端を重ねて配置した状態で、調整ボルト74を用いて板ばね要素56と両剛性支持要素58とを相互に連結することにより、中間固定部40を中心として対称な基準組立体の形態を呈する。このとき、板ばね要素56と剛性支持要素58とは、前者の連結片60と後者の連結部64とが互いに直線状に整列するように、目視で、又は適当なゲージを用いて、正確に組み合わされる。
【0035】
本発明の特徴的構成として、押圧支持構造20は、支持ばね部材34のばね力を調整する予圧調整機構76と、振動体14の駆動面12と可動体18との相対位置を角度的に調整する角度調整機構78とをさらに備える。予圧調整機構76は、支持ばね部材34の第1及び第2取付部36、38の双方と基材32との間に介在して、第1及び第2取付部36、38の静止基台32に対する取付位置を調整する取付位置調整部材50を備える。図示実施形態では、取付位置調整部材50は、基材32の1対の取付基部46に形成した雌ねじ52に螺着される1対の調整ねじ(止めねじ)50から構成される。
【0036】
予圧調整機構76は、それら調整ねじ50と、両調整ねじ50の先端を当接する第1及び第2取付部36、38の表面(図で上端面)36a、38aと、第1及び第2取付部36、38の双方に設けた長孔状のボルト挿通孔66及び突条68と、両ボルト挿通孔66に挿通される1対の取付ボルト72と、両突条68が嵌入される基材32の主部表面44aの1対の溝54とを含んで構成され、それらの協働により後述する予圧調整を遂行する。また、角度調整機構78は、支持ばね部材34の板ばね要素56及び1対の剛性支持要素58と、板ばね要素56と両剛性支持要素58とを相互に連結する1対の調整ボルト74とを含んで構成され、それらの協働により後述する角度調整を遂行する。
【0037】
超音波モータ10の上記構成要素群は、以下のようにして組み立てられる。
基材32は、その主部44の外縁44bが可動体18の表面領域30に非接触に近接して位置するように、可動体18の近傍に設置される。基材32の1対の取付基部46には、それぞれの雌ねじ52に、調整ねじ50がその先端を雌ねじ52から外方へ突出させない非作用状態で螺着される。また、1対の圧電素子16を両肩面22に接合した振動体14は、基材32の両取付基部46の略中間位置で、駆動面12を表面領域30に当接させて可動体18上に搭載される。
【0038】
支持ばね部材34は、前述した基準組立体の形態で、ボルト62により中間固定部40を振動体14の支承部24に固定するとともに、第1及び第2取付部36、38を基材32の両取付基部46の下側(可動体18に近い側)にそれぞれ配置する。そして、第1及び第2取付部36、38の突条68を、基材32の主部表面44aの対応の溝54に嵌入すると、第1及び第2取付部36、38の長孔状のボルト挿通孔66が、主部表面44aに形成した図示しない雌ねじに実質的に整合配置される。
【0039】
そこで、1対の取付ボルト72をそれぞれ、第1及び第2取付部36、38のボルト挿通孔66に挿通して対応の雌ねじに緩く螺着し、支持ばね部材34を基材32に仮留めする。この仮留め状態で、支持ばね部材34の第1及び第2取付部36、38の表面36a、38aは、対応の取付基部46の表面(図で下端面)に、好ましくは接触して配置される。また、第1及び第2取付部36、38の各々は、突条68と溝54との係合状態を維持しつつ、長孔状のボルト挿通孔66と取付ボルト72とによって規定される移動範囲内で、振動体14の軸線14aに略平行な方向へ移動できるようになっている。
【0040】
この仮留め状態から、1対の調整ねじ50をそれぞれ、対応の取付基部46の雌ねじ52にさらに螺入して、それら調整ねじ50の先端を、支持ばね部材34の第1及び第2取付部36、38の表面36a、38aに当接させる。そして、個々の調整ねじ50を適当なトルクで締め込むことにより、それら調整ねじ50から対応の第1及び第2取付部36、38に適当な圧力を負荷しつつ、基材32に対する第1及び第2取付部36、38の取付位置を、可動体18に接近する方向へ変位させる。それにより、中間固定部40を支点として支持ばね部材34の延長部分42を撓ませて、延長部分42に中間固定部40を中心に平衡したばね力を発揮させる。このようにして、振動体14の駆動面12が、支持ばね部材34の予調整されたばね力による適当な接触圧力下で、可動体18の表面領域30に当接され、以って超音波モータ10の組み立てが完了する。
【0041】
このようにして組み立てた超音波モータ10では、押圧支持構造20における支持ばね部材34の特徴的形状、及び振動体14に対する基材32の両取付基部46の位置関係に起因して、基材32への支持ばね部材34の第1及び第2取付部36、38の取付位置が、駆動面12を底とした振動体14の高さの方向に見て、振動体14の頂端に位置する支承部24よりも低く、可動体18に近接して配置される。つまり、この押圧支持構造20によれば、支持ばね部材34のばね力を発揮する延長部分42の両端の固定支持箇所が、振動体14の駆動面12に近い高さに配置されるので、振動体14の下部領域(すなわち駆動面12の近傍領域)に横方向へ加わる外力に対しても、振動体14が安定して支持されることになる。
【0042】
しかも、図示実施形態では、基材32への支持ばね部材34の第1及び第2取付部36、38の取付位置が、振動体14の高さの方向に見て、振動体14の支承部24への支持ばね部材34の中間固定部40の固定位置よりも低く配置されるから、振動体14に負荷されるばね力は、駆動面12を可動体18の表面領域30に押し付ける方向へ振動体14を引き寄せる牽引力となる。その結果、振動体14に対する安定支持効果が一層向上する。また、基材32への支持ばね部材34の第1及び第2取付部36、38の取付位置は、振動体14を中心として可動体18の移動方向へ実質的対称に分散して配置される。したがって、可動体18の移動方向に左右されることなく、振動体14を安定的に支持することができる。
【0043】
ここで、超音波モータ10において、各種構成要素の成形誤差や組立誤差に起因して、振動体14と可動体18との相対的位置関係が正規位置関係から僅かに逸脱している場合を想定する。このような場合には、支持ばね部材34から振動体14に負荷されるばね力の不均衡が生じ、その結果、振動体14の支持が不安定になることが懸念される。特に、振動体14と1対の励振素子16との接合体において、両励振素子16の総合的な特性の相違や振動体14の構造上の不均一性等により、振動体軸線14aに関する可動体移動方向への構造的対称性が損なわれていた場合には、振動体14の駆動面12に、設計上の理想の楕円運動から逸脱した運動が生じることがある。このような場合には、可動体18の駆動方向を切り換えたときに、駆動方向により可動体18の移動速度に差が生じることが危惧される。
【0044】
上記した諸課題に対し、押圧支持構造20においては、予圧調整機構76の取付位置調整部材を構成する1対の調整ねじ50を、個々に適当な量だけ締め込むことにより、基材32への支持ばね部材34の第1及び第2取付部36、38の取付位置を、振動体14の軸線14aに略平行な方向へ個別に微調整することができる。したがって、超音波モータ10に上記した構造上の誤差等が内在する場合であっても、1対の調整ねじ50を個々に微調操作することにより、振動体14を中心に可動体移動方向両側へ延長される支持ばね部材34の延長部分42の撓みによるばね力を、中間固定部40を中心として平衡させることができる。その結果、押圧支持構造20によれば、構造上の誤差等の存在に関わらず、可動体18に対する所要の予圧を振動体14の駆動面12の全体に一様に生じさせて、振動体14を可動体18に対し安定的に支持できるとともに、振動体14の駆動面12に理想の楕円運動を生起して、可動体18の駆動方向による移動速度差を排除することができる。
【0045】
他方、上記した構造上の誤差等に起因して、振動体14の駆動面12と可動体18の表面領域30との接触状態が、理想とされる一様な面接触ではなく、線接触に近い状態となる場合も予測される。具体的には、図2に示すように、基材32の主部44と取付基部46との組立又は成形誤差、基材32の主部44に対する支持ばね部材34の第1又は第2取付部36、38の取付誤差、支持ばね部材34における板ばね要素56と剛性支持要素58との組立誤差等に起因して、主部表面44aに対する振動体14の平行性が損なわれたときに、振動体14の駆動面12と可動体18の表面領域30とが「ずれ角θ」を成して相互に線接触することになる。或いは、超音波モータ10の図示しない機台や他の外部構造体との位置関係の誤差に起因して、基材32の主部表面44aと可動体18の表面領域30との直交性が損なわれたときにも、同様な線接触状態が生じる。
【0046】
このような課題に対し、押圧支持構造20においては、角度調整機構78を構成する1対の調整ボルト74を一時的に緩めて、支持ばね部材34の板ばね要素56と両剛性支持要素58との相対位置関係を個々に微調整することにより、振動体14の駆動面12と可動体18の表面領域30との接触状態を一様な面接触状態へと修正することができる。その結果、押圧支持構造20によれば、構造上の誤差等の存在に関わらず、振動体14の駆動面12と可動体18の表面領域30との間に摩擦駆動力の生成に必須の所定接触圧力を維持しながら、駆動面12の楕円運動を確実に可動体18に伝達でき、以って、効率の低下や駆動力の不安定化を防止することができる。
【0047】
このように、超音波モータ10では、構造上の誤差が内在する場合であっても、予圧調整機構76及び角度調整機構78の微調作用により、押圧支持構造20が、可動体18の駆動立ち上がり時や駆動中に生じる駆動反力等に抗して、振動体14をモータ構造内の正規位置に安定的に支持でき、また、振動体14の駆動面12に理想の楕円運動を生起して、可動体18の駆動方向による移動速度差を排除でき、さらに、効率の向上及び駆動力の安定化を達成できる。しかもこの構成では、振動体14と支持ばね部材34との連結部位が、圧電素子16を接合する振動体14の肩面22よりも高く(すなわち駆動面12からさらに離れて)配置されるから、押圧支持構造20が振動体14の超音波振動を拘束することは回避される。さらに、予圧調整機構76及び角度調整機構78のいずれも、押圧支持構造20が本来の振動体押圧支持機能を発揮するに必要な構成要素群の外形寸法を、実質的に超えない範囲で構成されているから、超音波モータ10の寸法増加が回避される。したがって、超音波モータ10によれば、小型・薄型の特徴を維持しつつ、構造上の誤差が駆動特性に及ぼす影響を積極的に修正して、優れた制御応答性を高い信頼性の下に実現することができる。
【0048】
本発明に係る超音波モータ10では、上記した押圧支持構造20の特徴的構成に加えて(又はその代わりに)、効率や駆動特性を改善するための、下記のような様々な方策を施すことができる。
【0049】
1つの方策として、振動体14と1対の励振素子16との接合体において、両励振素子16の総合的な特性(電歪特性や接合状態等)の相違、振動体14自体の構造上の不均一性や非対称性等が内在した場合の、駆動面12の楕円運動の調整法を提案する。ここでは、図3に模式図的に示すように、このような構造上の誤差等に起因して、振動体14の駆動面12に図で反時計方向の楕円運動を生起させて可動体18を図で右方向へ駆動する際に、楕円運動が理想状態(破線)から逸脱した傾斜状態(実線)になっている場合を考察する(図3(a))。なお、励振素子16から振動体14の駆動面12までの距離が、駆動面12上で可動体18の移動方向に沿って変わるので、図示のように駆動面12上の諸点において楕円運動の軌跡は異なる。この誤差等が内在した構造のままで、1対の励振素子16の位相を反転し、振動体14の駆動面12に図で時計方向の楕円運動を生起させて可動体18を図で左方向へ駆動する際には、楕円運動が右方向駆動のときと見掛け上で同じ方向へ傾いた状態(実線)になる(図3(b))。駆動面12のこのような傾斜楕円運動は、左方向へ移動する可動体18を制動するかのように作用し、結果として、可動体18の左方向移動速度が右方向移動速度よりも遅くなる。
【0050】
ここで、1対の励振素子16に印加する高周波電圧の周波数を、共振周波数から僅かに変化させると、それに伴い、駆動面12の中心点から離れた点における楕円運動の軌跡が変動する。この現象に着目し、上記した傾斜楕円運動が振動体14の駆動面12に生じているときに、前述した予圧調整機構76による機械構造的な微調整に加えて(又はその代わりに)、駆動周波数の微調整を行うことにより、振動体14の駆動面12の傾斜楕円運動を適宜修正することができる。そして、このような駆動周波数の微調整により、可動体18の左右移動速度差を低減できることが、本願発明者の実験により判明した。
【0051】
別の方策として、振動体14の駆動面12を効率良く楕円運動させるための、振動体14の構造的条件を提案する。ここでは、図4に模式図的に示すように、振動体14の駆動面12の可動体移動方向に沿った寸法W1、励振素子16の幅方向(紙面に平行な方向)の寸法W2、振動体14の中心線14aと励振素子16の中心線16aとの成す角度α、及び励振素子16から振動体14を伝搬する超音波の伝搬路の長さLについて考察する。図示のように、励振素子16による波動Vが振動体14の本体部分14bを伝搬して駆動面12に到達する間に、波動Vの主成分が効率良く伝搬するように、以下の条件で振動体14の形状及び寸法を設計する。
【0052】
(1)W1≦W2/cosα
(2)L≒n・λ/4 (nは自然数)
波動Vの波長λ=v/f(vは振動体14の音速、fは振動体14の共振周波数)。
(3)波動Vの反射回数・・・1回又は2回
【0053】
図4(a)は、波動Vの反射回数を1回として上記条件1、2を満たすように設計した振動体14を、また図4(b)は、波動Vの反射回数を2回として上記条件1、2を満たすように設計した振動体14を、それぞれ示す。このような構成を有する振動体14により、超音波モータ10の効率が向上し、駆動の安定性及び応答性が改善されることが、本願発明者の実験により判明した。なお、伝搬路の長さLの増加及び反射回数の増加に従い、効率が低下する傾向があった。
【0054】
図5〜図7は、上記した超音波モータ10を駆動部に採用した本発明の一実施形態による位置決め装置80を示す。位置決め装置80は、超音波モータ10の基材32を含む第1の基台82と、超音波モータ10の可動体18を含む第2の基台84と、それら第1及び第2の基台82、84を相対移動可能に相互支持して互いに直線状に案内するリニアガイド86と、第1及び第2の基台82、84の相対位置を検出する位置検出機構88とを備えて構成される。
【0055】
第1の基台82は、矩形平板状の固定ベース部材であって、その一部分が超音波モータ10の基材32として作用するとともに、その表面82aの所定位置に、超音波モータ10を設置するための1対の取付基部46が立設される。これら取付基部46には、前述したように押圧支持構造20の支持ばね部材34を介して、超音波モータ10の固定側の構成要素群が取り付けられる。また、基台82の表面82aには、その長手方向へ延びる両縁に沿って、リニアガイド86を設置する1対の縁壁90が突設される。さらに基台82には、超音波モータ10の設置領域の外側で一方の取付基部46に隣接して、位置検出機構88の設置領域として略矩形平面形状の開口部92が、板厚方向へ貫通形成される。1対の取付基部46及び開口部92は、いずれも両縁壁90の間の領域に配設される。
【0056】
第2の基台84は、矩形平板状の移動ステージ部材であって、その一表面84aの所定位置に、超音波モータ10の可動体18が固定的に設置される。可動体18は、基台84と同一の材料で基台84に一体に形成してもよいし、別体の可動体18を基台84に一体的に固定する構成としてもよい。また、基台84の表面84aには、その長手方向へ延びる両縁に沿って、リニアガイド86を設置する1対の縁壁94が突設される。さらに基台84の表面84aには、可動体18から離隔して、可動体18に平行に延びるリニアスケール96が固定される。可動体18及びリニアスケール96は、いずれも両縁壁94の間の領域に配設される。なお、第1及び第2の基台82、84は、いずれも金属、樹脂等の高い剛性を有する材料から作製される。
【0057】
第1の基台82と第2の基台84とは、それらの表面82a、84a同士を対向させて、基台82の両縁壁90が基台84の両縁壁94の内側に位置するように、互いに相補的に組み合わされる。この状態で、それら基台82、84の間に、超音波モータ10及び位置検出機構88を収容する装置内部空間98が形成される。リニアガイド86は、図示実施形態では1対のクロスローラガイド86からなり、基台82の両縁壁90の外面と基台84の両縁壁94の内面との間にそれぞれ介在して、基台84を基台82上で所与の負荷の下で直線往復移動可能に円滑に案内する。
【0058】
位置検出機構88は、基台82の開口部92内に設置される光学式の位置センサ100と、基台84の表面84aに固定されるリニアスケール96とから構成される。位置センサ100は、断面L字状の取付具102を用いて、基台82に固定される。位置センサ100の信号線104は、超音波モータ10の制御線106と共に、基台82の長手方向一端から位置決め装置80の外部に導出され、図示しない制御装置に接続される。
【0059】
基台82、84を適正に組み合わせた状態では、基台82に設置した超音波モータ10の振動体14の駆動面12が、基台84に設置した可動体18の表面領域30に、押圧支持構造20による所定の予圧下で当接される。また、基台84に設置したリニアスケール96は、基台82に設置した位置センサ100に対し、位置検出動作を可能にする所定位置に非接触に配置される。
【0060】
上記構成を有する位置決め装置80は、駆動部に超音波モータ10を採用したことにより、ステージとなる第2の基台84の移動動作を安定化し、その位置決め精度を向上させ、かつ往復移動速度差を排除することができる。しかも、超音波モータ10及び位置検出機構88がいずれも、第1及び第2の基台82、84の間に画定される装置内部空間98に収容されるので、ステージ面積を超える突出部分が実質的に排除され、位置決め装置80の小型化・薄型化が促進される。なお、本実施形態に係る位置決め装置80は、ストロークS=100mm、高さH=16mm、最大搬送負荷5kgを実現した。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は図示実施形態の構成に限定されず、特許請求の範囲の記載内でさらに他の様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、本発明に係る超音波モータの特徴的構成要件である押圧支持構造は、超音波モータの分野で公知の、様々な形状の振動体や様々に配置した励振素子を有する構成に適用でき、同等の作用効果を奏するものである。また、予圧調整機構の取付位置調整部材は、支持ばね部材の第1及び第2取付部の少なくとも一方と基材との間に介在して、第1及び第2取付部の少なくとも一方の取付位置を調整するように構成すれば、やはり同等の作用効果を奏することが予期される。さらに、本発明に係る位置決め装置の特徴的構成は、多軸の位置決め装置にも適用でき、同等の作用効果を奏するものである。
【0062】
なお、本発明に係る超音波モータは、可動体を含まない構成でも提供し得るものである。この場合、押圧支持構造は、振動体を基材上で支持しつつその駆動面を被駆動物体に押し付けるばね力を発揮する支持ばね部材と、支持ばね部材のばね力を調整する予圧調整機構とを備えて構成される。
【0063】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、押圧支持構造を有する超音波モータにおいて、振動体の駆動面と可動体表面との間に所定の接触圧力を維持するとともに、振動体に励振される超音波振動を拘束することなく、振動体をモータ構造内の正規位置に安定的に支持することができ、しかも、構造上の誤差等に起因する振動体の支持の不安定化、効率の低下、駆動力の不安定化、駆動方向切換に伴う速度差の発生等の諸問題を解決できる。したがって本発明によれば、超音波モータの優れた制御応答性を高い信頼性の下に実現することができる。
【0064】
さらに本発明によれば、駆動部に超音波モータを採用した位置決め装置において、ステージの移動動作を安定化し、位置決め精度を向上させ、かつ往復移動速度差を排除することができ、しかも小型化・薄型化が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による超音波モータの正面図である。
【図2】図1の超音波モータを矢印IIの方向から示す側面図である。
【図3】図1の超音波モータにおける駆動面の楕円運動を示す図で、(a)右方向駆動時、及び(b)左方向駆動時のそれぞれの状態を示す。
【図4】図1の超音波モータにおける波動伝搬状態を示す図で、(a)1回反射、及び(b)2回反射のそれぞれの状態を示す。
【図5】本発明の一実施形態による位置決め装置の図で、(a)一部切欠き平面図、及び(b)正面図である。
【図6】図5の位置決め装置の線VI−VIに沿った断面図である。
【図7】図5の位置決め装置の線VII−VIIに沿った断面図である。
【符号の説明】
10…超音波モータ
12…駆動面
14…振動体
16…励振素子
18…可動体
20…押圧支持構造
26…摩擦材料
30…表面領域
32…基材
34…支持ばね部材
36…第1取付部
38…第2取付部
40…中間固定部
42…延長部分
46…取付基部
50…調整ねじ
54…溝
56…板ばね要素
58…剛性支持要素
72…取付ボルト
74…調整ボルト
76…予圧調整機構
78…角度調整機構
80…位置決め装置
82…第1の基台
84…第2の基台
86…リニアガイド
88…位置検出機構
92…開口部
96…リニアスケール
98…装置内部空間
100…位置センサ
Claims (6)
- 駆動面を有する振動体と、該振動体を励振する励振素子と、該振動体の該駆動面に当接配置され、該振動体の振動に応じて該振動体に対し移動する可動体と、該駆動面を該可動体に押し付けた状態で該振動体を支持する押圧支持構造とを具備し、該押圧支持構造は、基材と、該基材と前記振動体との間に配置され、該振動体を該基材上で支持しつつ前記駆動面を前記可動体に押し付けるばね力を発揮する支持ばね部材と、該支持ばね部材の該ばね力を調整する予圧調整機構とを備えて構成される超音波モータにおいて、
前記支持ばね部材は、前記基材に取り付けられる第1取付部及び第2取付部と、それら第1及び第2取付部の間に位置して前記振動体に固定的に連結される中間固定部と、該第1及び第2取付部と該中間固定部との間に延設されて前記ばね力を生じる延長部分とを有し、該基材への該支持ばね部材の第1及び第2取付部の取付位置が、前記駆動面を底とした前記振動体の高さの方向に見て、該振動体の頂端よりも低く、前記可動体に近接して配置され、
前記予圧調整機構は、前記支持ばね部材の前記第1及び第2取付部の少なくとも一方と前記基材との間に介在して、該第1及び第2取付部の少なくとも一方の前記取付位置を調整する取付位置調整部材を備えること、
を特徴とする超音波モータ。 - 前記支持ばね部材の前記第1及び第2取付部の前記取付位置が、前記振動体を中心として前記可動体の移動方向へ実質的対称に分散して配置され、前記取付位置調整部材は、該第1及び第2取付部の少なくとも一方の該取付位置を調整して、前記可動体に対する所要の予圧を前記振動体の前記駆動面の全体に一様に生じさせる、請求項1に記載の超音波モータ。
- 前記押圧支持構造は、前記振動体の前記駆動面と前記可動体との相対位置を角度的に調整する角度調整機構をさらに備える請求項1又は2に記載の超音波モータ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波モータを内蔵した位置決め装置。
- 前記超音波モータの前記基材を含む第1の基台と、該超音波モータの前記可動体を含む第2の基台と、それら第1及び第2の基台を相対移動可能に相互支持して互いに直線状に案内するリニアガイドと、該第1及び第2の基台の相対位置を検出する位置検出機構とを備え、該第1及び第2の基台が両者間に装置内部空間を形成するように互いに組み合わされ、該超音波モータ及び該位置検出機構がいずれも該装置内部空間に収容される、請求項4に記載の位置決め装置。
- 駆動面を有する振動体と、該振動体を励振する励振素子と、該振動体の該駆動面を被駆動物体に押し付けた状態で該振動体を支持する押圧支持構造とを具備し、該押圧支持構造は、基材と、該基材と前記振動体との間に配置され、該振動体を該基材上で支持しつつ前記駆動面を被駆動物体に押し付けるばね力を発揮する支持ばね部材と、該支持ばね部材の該ばね力を調整する予圧調整機構とを備えて構成される超音波モータにおいて、
前記支持ばね部材は、前記基材に取り付けられる第1取付部及び第2取付部と、それら第1及び第2取付部の間に位置して前記振動体に固定的に連結される中間固定部と、該第1及び第2取付部と該中間固定部との間に延設されて前記ばね力を生じる延長部分とを有し、該基材への該支持ばね部材の第1及び第2取付部の取付位置が、前記駆動面を底とした前記振動体の高さの方向に見て、該振動体の頂端よりも低く、被駆動物体に近接して配置され、
前記予圧調整機構は、前記支持ばね部材の前記第1及び第2取付部の少なくとも一方と前記基材との間に介在して、該第1及び第2取付部の少なくとも一方の前記取付位置を調整する取付位置調整部材を備えること、
を特徴とする超音波モータ。
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JP (1) | JP4179934B2 (ja) |
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JP4984673B2 (ja) * | 2006-06-22 | 2012-07-25 | 日産自動車株式会社 | 駆動装置 |
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