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JP4176985B2 - 追尾装置 - Google Patents

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JP4176985B2
JP4176985B2 JP2001341755A JP2001341755A JP4176985B2 JP 4176985 B2 JP4176985 B2 JP 4176985B2 JP 2001341755 A JP2001341755 A JP 2001341755A JP 2001341755 A JP2001341755 A JP 2001341755A JP 4176985 B2 JP4176985 B2 JP 4176985B2
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Mitsubishi Electric Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は追尾装置に関し、特に、高密度環境下における目標追尾に使用される目標追尾装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来の追尾装置について図を参照して説明する。図45は、例えば、「Samuel S. Blackman, Multiple-Target Tracking with Radar Applications, Artech House, Dedham, 1986」p.83−p.92、特に、p.88,4.2.2章(4.6)式に示された、ゲート判定法を持つ、従来の目標追尾装置の構成を示すブロック図である。
【0003】
図45において、101は観測手段、106はデータ更新手段、107は予測手段、108は1サンプリング遅延手段、109は表示手段、123はゲート判定諸元算出手段、124はゲート判定手段である。
【0004】
図45における観測手段101に係わる座標系を説明するための図を図2に示す。図2において、Oはセンサ、Tは追尾目標、Rは追尾目標TとセンサOの間の距離、EはセンサOと追尾目標Tとを結ぶ線分OTがX−Y平面となす仰角、BはセンサOと追尾目標Tとを結ぶ線分OTのX−Y平面への正射影ベクトルがX軸となす方位角である。さらに、[R、E、B]は極座標を表し、[X、Y、Z]は北基準直交座標を表す。またこれから座標は特に断りがない場合には、座標は、北基準直交座標を示すことにする。
【0005】
観測手段101では、探知データと、信号(signal)対雑音比(noise)であるS/N比をセンサから得て、S/N比を距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差、方位角の観測雑音標準偏差に変換し、ゲート判定諸元算出手段123に、探知データと距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差および方位角の観測雑音標準偏差とを入力する。
【0006】
なお、探知データの種類としては、一般に、追尾対象目標の目標信号とそれ以外の不要信号とがある。
【0007】
探知データはDkj、S/N比はSNRkjのようにそれぞれ記号で表す。ここで添字kはサンプリング時刻を表し、添字jはサンプリング時刻kにおける探知データの数を表す。
【0008】
探知データDkjは下記の(1)式で表される。
【0009】
【数1】
Figure 0004176985
【0010】
上式(1)において、oは観測値を表す添字であり、kはサンプリング時刻を表す添字であり、jは探知データの数を表す添字である。つまり探知データDkjは、サンプリング時刻kにおけるj番目の探知データを表す。さらに、xokjは、探知データDkjのX座標成分を表し、同様にyokjは、探知データDkjのY座標成分、zokjは、探知データDkjのZ座標成分をそれぞれ表す。また記号「′」は、ベクトルおよび行列の転置を表す。
【0011】
観測雑音標準偏差は、S/N比SNRkjを用いて、下記の(2)式、(3)式、(4)式から求める。
【0012】
【数2】
Figure 0004176985
【0013】
【数3】
Figure 0004176985
【0014】
【数4】
Figure 0004176985
【0015】
上式(2)、(3)及び(4)におけるσrkj、σekj、σbkjは、それぞれ、距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差、方位角の観測雑音標準偏差を表す。また、上式(2)、(3)及び(4)におけるαr、αe、αbは、レーダの送信信号の周波数、レーダの送信信号のバンド幅、レーダアンテナの有効開口径及び光速から決定される正の定数である。
【0016】
ゲート判定諸元算出手段123では、観測手段101から、探知データ、距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差および方位角の観測雑音標準偏差が入力されるとともに、後述の予測手段107から、1サンプリング遅延手段108を介して、予測ベクトル、予測誤差共分散行列が入力される。さらに、ゲート判定諸元算出手段123では、残差および残差共分散行列の算出を行う。
【0017】
残差および残差共分散行列の説明を以下に行う。
【0018】
以降、残差共分散行列はSkj(t)と表す。Skj(t)の添字kはサンプリング時刻を表し、j番目の探知データからのものであることを表し、(t)は追尾対象目標番号を表す。残差共分散行列は、カルマンフィルタの理論に基づき、次式(5)により算出される。
【0019】
【数5】
Figure 0004176985
【0020】
(5)式において、Hは観測行列、Ppk(t)は後述の予測手段107から得られる追尾対象目標tにおける予測誤差共分散行列Rkjは北基準直交座標における観測誤差共分散行列を表す。
【0021】
(5)式における観測行列Hは次式(6)のように表せる。
【0022】
【数6】
Figure 0004176985
【0023】
(6)式における北基準直交座標における観測誤差共分散行列Rkjは次式(7)で表せる。
【0024】
【数7】
Figure 0004176985
【0025】
(7)式において、Λkjは極座標における観測誤差共分散行列であり、Γkj(t)は、各追尾対象目標におけるΛkjの変換行列である。
【0026】
(7)式において、極座標における観測誤差共分散行列Λkjは、(8)式で表せる。
【0027】
【数8】
Figure 0004176985
【0028】
(8)式における記号「2(または、^2)」は、2乗を表す。
【0029】
(7)式における、各追尾対象目標におけるΛkjの変換行列Γkj(t)は、次式(9)で表せる。
【0030】
【数9】
Figure 0004176985
【0031】
(9)式におけるrpk(t)、epk(t)、bpk(t)は、それぞれ、予測ベクトルVXpk(t)の位置成分xpk(t)、ypk(t)、zpk(t)の極座標成分で表したものである。
【0032】
pk(t)、epk(t)、bpk(t)とxpk(t)、ypk(t)、zpk(t)の関係は、次式(10)で表される。
【0033】
【数10】
Figure 0004176985
【0034】
残差は、探知データと予測ベクトルの位置成分の差Dkj−VZpk(t)で表される。
【0035】
したがって、ゲート判定諸元算出手段123では、残差、残差共分散行列、探知データ、予測ベクトルおよび予測誤差共分散行列を、後述のゲート判定手段124へ入力する。
【0036】
ゲート判定手段124の説明のため、ゲートについて述べる。ゲートは次式(11)で表される誤差楕円の領域である。
【0037】
【数11】
Figure 0004176985
【0038】
式(11)において、VZpk(t)は予測ベクトルの位置成分を表す。式(11)において、dεはゲートの大きさを決めるゲートサイズパラメータである。ここで、ゲートサイズパラメータは定数であり、ゲートサイズパラメータの下添字εは、ゲート内に目標が存在する確率を表す。このゲート内に目標が存在する確率を今後、ゲート内確率、又は、ゲート内目標存在期待確率と呼ぶ。ここで、ゲートサイズパラメータdεは、ゲート内確率εの時のゲートの大きさを表す。ゲートサイズパラメータdεは、統計学でいうカイ2乗分布により、自由度と自分が設定したいゲート内確率εを事前に決め、カイ2乗密度関数又は、カイ2乗分布表より求める。また、(11)式における上添字の「−1」は、行列の逆行列を表す記号である。
【0039】
予測ベクトルVXpk(t)は、次式(12)のように表される。
【0040】
【数12】
Figure 0004176985
【0041】
(12)式において、xpk(t),ypk(t),zpk(t)は、X、Y、Zの予測位置、dxpk(t),dypk(t),dzpk(t)は、X、Y、Zの予測速度である。
【0042】
(11)式における予測ベクトルの位置成分VZpk(t)と式(12)の予測ベクトルVXpk(t)は、(6)式の観測行列Hを用いて、次式(13)の関係がある。
【0043】
【数13】
Figure 0004176985
【0044】
(11)式で表されるゲートの大きさは、上記ゲートサイズパラメータdεと残差共分散行列Skj(t)により決まる。次に、何故、ゲートサイズパラメータdεと残差共分散行列Skj(t)によりゲートの大きさが決まるのかを例を用いて以下に述べる。以下説明を簡便化するため、次式(14)及び(15)のように、行列およびベクトルを仮定する。そうすると、(11)式は、次式(14)および(15)より、下記の(16)式のように決まる。
【0045】
【数14】
Figure 0004176985
【0046】
【数15】
Figure 0004176985
【0047】
【数16】
Figure 0004176985
【0048】
ここで、(14)式における行列Aは3行3列の正値対称行列なので、次式(17)及び(18)が成立する。
【0049】
【数17】
Figure 0004176985
【0050】
【数18】
Figure 0004176985
【0051】
ここで、行列Aを次式(19)のように、代数学による対角行列B、直交行列Cで対角化できたとする。
【0052】
【数19】
Figure 0004176985
【0053】
式(19)における対角行列Bは、次式(20)のように、行列Aの固有値1/λ1、1/λ2、1/λ3で表されるとする。ここで、式(18)の関係より、固有値1/λ1、1/λ2、1/λ3は、各々、1/λ1>0、1/λ2>0、1/λ3>0である。ここで、「/」は割り算を表す記号である。
【0054】
【数20】
Figure 0004176985
【0055】
(19)式における直交行列Bは、次式(21)のように行列Aの固有ベクトルv1アンダーバー、v2アンダーバー、v3アンダーバーを用いて、(21)式のように表される。ここで、v1アンダーバー、v2アンダーバー、v3アンダーバーは各々3行1列のベクトルである。
【0056】
【数21】
Figure 0004176985
【0057】
(21)式における行列Aの固有ベクトルv1アンダーバー、v2アンダーバー、v3アンダーバーには、式(22)の関係がある。
【0058】
【数22】
Figure 0004176985
【0059】
(20)式は、(19)式を用いて、(23)式のように表される。
【0060】
【数23】
Figure 0004176985
【0061】
ここで、(23)式におけるCxの成分を次式(24)のようにした場合、(23)式は、式(20)、式(24)を用いて、次式(25)のように表される。
【0062】
【数24】
Figure 0004176985
【0063】
【数25】
Figure 0004176985
【0064】
ここで、式(14)、式(20)より、行列Aの固有値は1/λ1、1/λ2、1/λ3なので、代数学により、残差共分散行列Skj(t)の固有値は、λ1、λ2、λ3である。
【0065】
よって、(25)式は、誤差楕円の半径が、残差共分散行列の固有値λ1、λ2、λ3および、ゲートサイズパラメータdεにより決まることを表す。つまり、ゲートの大きさは、残差共分散行列とゲートサイズパラメータdεにより決まる。
【0066】
よって、ゲートの大きさは、残差共分散行列Skj(t)が大きいほど、又、残差共分散行列の逆行列が小さいほど、ゲートの大きさは大きくなる。また、ゲートサイズパラメータが大きいほど、ゲートの大きさは大きくなる。
【0067】
(11)式の予測ベクトルの位置成分VZpk(t)はゲートの中心を表す。(11)式の左辺は、探知データDkjとゲートの中心である予測ベクトルの位置成分VZpk(t)の残差を、残差共分散行列Skj(t)で正規化した距離を表す。
【0068】
したがって、ゲート判定手段124では、探知データDkjとゲートの中心である予測ベクトルの位置成分VZpk(t)の残差Dkj−VZpk(t)および残差共分散行列Skj(t)をゲート判定諸元算出手段123から入力を行い、ゲートである(11)式を満たすかどうかの判定を行い、(11)式を満たす探知データDkjを目標信号の候補とする。また、(11)を満たす探知データDkjが複数あった場合、予測ベクトルに最も近い探知データ1つをその目標信号の候補aDkjとして出力する。さらに、その目標信号の候補をaDkjに対応する残差共分散行列をaSkj(t)とする。つまり、データ更新手段106へは、ゲート内の探知データaDkjと、aDkjに対応する残差共分散行列aSkj(t)、予測誤差共分散行列、予測ベクトル、予測ベクトルの位置成分VZpk(t)を入力する。もし、ゲート内に探知データが入らない場合、つまりメモリトラックの場合には、ゲート内探知データaDkjは、予測ベクトルの位置成分とし、aDkjに対応する残差共分散行列aSkj(t)は、事前に設定したS/Nを用いて、算出を行なう。
【0069】
メモリトラックとは、ゲート内に探知データが入らずにデータ更新を行っていく処理である。
【0070】
データ更新手段106では、カルマンフィルタの理論に基づき、ゲイン行列Kk(t)を次式(26)から算出する。また、平滑ベクトルVXsk(t)を次式(26)のゲイン行列Kk(t)を用いて、(27)式により算出する。さらに、平滑誤差共分散行列Psk(t)を(26)式のゲイン行列Kk(t)を用いて、式(28)により算出する。さらに、データ更新手段106では、(27)式、(28)式により算出された平滑ベクトルVXsk(t)および平滑誤差共分散行列Psk(t)を出力する。
【0071】
【数26】
Figure 0004176985
【0072】
【数27】
Figure 0004176985
【0073】
【数28】
Figure 0004176985
【0074】
予測手段107では、カルマンフィルタの理論に基づき、次式(29)により、現時刻kより1サンプリング後の時刻k+1における予測ベクトルVXpk+1(t)を算出し、出力する。また、次式(30)により、現時刻kより1サンプリング後の時刻k+1における予測誤差共分散行列Ppk(t)を算出し、出力する。
【0075】
【数29】
Figure 0004176985
【0076】
【数30】
Figure 0004176985
【0077】
(29)式において、1サンプリング外挿を行う状態遷移行列Φkは、(31)式で表される。
【0078】
【数31】
Figure 0004176985
【0079】
(31)式におけるΔtは現時刻kと現時刻から1サンプリング後の時刻k+1までのサンプリング間隔を表す。
【0080】
(30)式における駆動雑音の共分散行列Qkは、(32)式で表される。
【0081】
【数32】
Figure 0004176985
【0082】
(32)式におけるσaは駆動雑音の標準偏差を表す。駆動雑音の標準偏差はカルマンフィルタの目標の運動モデルの曖昧さを表す定数である。
【0083】
1サンプリング遅延手段108は、予測手段107から入力された、サンプリング時刻kの予測ベクトルVXpk(t)、予測誤差共分散行列Ppk(t)を1サンプリング分遅延させ、表示手段109に入力する。
【0084】
表示手段109では、データ更新手段106から入力された、平滑ベクトルを用いて、過去の数サンプリング分の平滑ベクトルの位置成分を線で結んで航跡として表示を行う。また、平滑ベクトルの速度成分を用いて、平滑ベクトルの位置成分を始点として、終点が次サンプリングの目標予測位置を示すように、速度の表示を行う。
【0085】
従来の追尾装置の構成を示す概略図を図46に示す。
【0086】
上記のような追尾装置では、ゲートの大きさの調整が難しい。以下、その理由を示すために、図47を用いて説明していく。
【0087】
図47は、ゲートと目標予測位置、目標観測位置、目標レンジ方向および目標クロスレンジ方向の関係図である。
【0088】
図47において、G1は時刻t1におけるゲートを表す。また、G1’は時刻t1におけるG1よりも大きいゲートサイズパラメータを設定しているゲートを表す。ここで、ゲートG1とゲートG1’のゲートの形状は同じである。さらに、O1は時刻t1における目標観測位置、P1は時刻t1における目標予測位置、TGT1は時刻t1における目標真位置、C1、1〜C1、9は、不要信号を表す。また、O2は時刻t2における目標観測位置、P2は時刻t2における目標予測位置、TGT2は時刻t2における目標真位置、C1、1〜C1、11は、不要信号を表す。目標は、TGT1からTGT2へと直進から旋回を行う。
【0089】
図47において、センサSとR1を結んだ方向、あるいは、センサSとR2を結んだ方向を目標レンジ方向と呼ぶ。また、目標レンジ方向と直交する軸を目標クロスレンジ方向と呼ぶ。
【0090】
例えば、図47において、初めに、図47の実線の楕円のように、目標t2におけるゲートG2をはった場合、目標観測位置D2は、レンジ方向に外している。そこで、ゲートG2を構成しているゲートサイズパラメータよりも大きいゲートサイズパラメータ設定して、目標観測位置D2が入るように、破線の楕円のように、ゲートG2’を構成する。そうすると、レンジ方向に外している目標観測位置D2は、ゲートG2’で補足できるものの、ゲートG2’は、ゲートG2と同じ形状を保ったまま大きくなるので、クロスレンジ方向のゲート半径が大きくなってしまう。
【0091】
ここで、一般に、図48のように、角度誤差に起因するクロスレンジ誤差は、センサ−目標間距離が遠くなる程、レンジ誤差に比べて、大きくなる。例えば、目標距離が数百キロメートルのオーダの場合、レンジ誤差とクロスレンジ誤差の比は、1対1000から10000程度の比率になる。したがって、ゲートサイズパラメータを大きくした場合、クロスレンジ方向のゲート半径の方が、レンジ方向のゲート半径よりも、かなり大きくなる。
【0092】
そのため、図47に示した例のように、ゲートの大きさが小さいゲートG2(図の実線)の場合は不要信号が入らないケースでも、ゲートの大きさが大きいゲートG2’(図の破線)内に不要信号が多数入ってしまうといった問題がある。
【0093】
【発明が解決しようとする課題】
従来の追尾装置は以上のように構成されており、角度誤差に起因するクロスレンジ誤差は、センサ−目標間距離が遠くなる程、レンジ誤差に比べて、大きくなるので、ゲートサイズパラメータを大きくした場合、クロスレンジ方向のゲート半径の方が、レンジ方向のゲート半径よりも、かなり大きくなってしまい、大きさの小さいゲートの場合は不要信号が入らないケースでも、ゲートの大きさが大きいゲートG2’内には不要信号が多数入ってしまうという問題点があった。
【0094】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、目標信号をとりやすく、不要信号を侵入させにくくするためのゲート判定を行うことが可能な追尾装置を得ることを目的とする。
【0095】
【課題を解決するための手段】
この発明は、受信電力を元に、信号対雑音比であるS/N比を得て、それを距離、仰角および方位角の観測雑音標準偏差に変換し、前記観測雑音標準偏差とそれらに付随する位置を表す探知データとを出力する観測手段と、予測誤差共分散行列および前記探知データが入力され、それらから算出される残差共分散行列から、距離方向の固有値、仰角方向の固有値、方位角方向の固有値、距離方向の固有ベクトル、仰角方向の固有ベクトルおよび方位角方向の固有ベクトルを算出する対角化を行う第1のゲート判定諸元算出手段と、前記探知データが距離方向において所定次元の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力するレンジ方向のゲート判定手段と、前記観測手段及び前記第1のゲート判定諸元算出手段から出力されるデータを用いて、仰角方向及び方位角方向で、所定次元の楕円体ゲート判定を行うクロスレンジ方向のゲート判定手段と、前記距離方向の前記所定次元の楕円体ゲートに入っているか否かの判定結果を示す信号と、仰角方向および方位角方向の前記所定次元の楕円体ゲートに入っているか否かの判定結果を示す信号とから、距離方向、仰角方向および方位角方向のすべてにおいて前記所定次元の楕円体ゲート内に前記探知データが入っている場合に、目標信号の候補として、その探知データに付随する探知データおよび残差共分散行列を出力する第1のゲート判定手段と、前記第1のゲート判定手段から出力される前記探知データおよび前記残差共分散行列が入力され、カルマンフィルタの理論に基づいてデータの更新を行い、平滑誤差共分散行列および平滑ベクトルを出力する第1のデータ更新手段と、前記カルマンフィルタの理論に基づき、現時刻よりも1サンプリング後の予測誤差共分散行列および予測ベクトルを算出する予測手段と、前記予測手段から入力される予測誤差共分散行列および予測ベクトルを1サンプリング遅延させて、前記第1のゲート判定諸元算出手段に対して前記予測誤差共分散行列を出力する1サンプリング遅延手段と、前記第1のデータ更新手段から入力される平滑ベクトルから、目標航跡および目標の速度の表示を行う表示手段と、を備え、前記所定次元の楕円体ゲートは、前記残差共分散行列を元にした所定次元の楕円体ゲートであって、前記第1のゲート判定諸元算出手段は、前記楕円体ゲートにおいて、前記残差共分散行列の対角化によりレンジ方向とクロスレンジ方向とを決定し、前記レンジ方向のゲート判定手段および前記クロスレンジ方向のゲート判定手段は、前記第1のゲート判定諸元算出手段によって計算された前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向に基づいて、前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向のゲートサイズパラメータを設定することにより、前記楕円体ゲートのサイズを決定する追尾装置である。
【0096】
また、前記クロスレンジ方向のゲート判定手段が、探知データが仰角方向の1次元ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力し、探知データが方位角方向の1次元ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力する第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段から構成されている。
【0097】
また、前記クロスレンジ方向のゲート判定手段が、仰角方向の固有ベクトル、仰角方向の固有値、方位角方向の固有ベクトルおよび方位角方向の固有値を用いて、クロスレンジ方向で、2次元のゲート判定を行う第2のクロスレンジ方向のゲート判定手段から構成されている。
【0098】
また、前記第1のデータ更新手段から出力される前記平滑ベクトルの速度成分がある閾値より大きくなった場合、駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きく設定して前記予測手段に出力する第1の駆動雑音制御手段をさらに備えている。
【0099】
また、駆動雑音ベクトルの標準偏差の大きさを縦軸として、平滑ベクトルの速度成分を横軸としたロジスティック曲線に基づき、平滑ベクトルの速度成分の大きさに従って、駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きく設定するように切り替える第2の駆動雑音制御手段をさらに備えている。
【0100】
また、この発明は、受信電力を元に、信号対雑音比であるS/N比を得て、それを距離、仰角および方位角の観測雑音標準偏差に変換し、前記観測雑音標準偏差とそれらに付随する位置を表す探知データとを出力する観測手段と、予測誤差共分散行列および前記探知データが入力され、それらから算出される残差共分散行列から、距離方向の固有値、仰角方向の固有値、方位角方向の固有値、距離方向の固有ベクトル、仰角方向の固有ベクトルおよび方位角方向の固有ベクトルを算出する対角化を行う第1のゲート判定諸元算出手段と、前記探知データが距離方向の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力するレンジ方向のゲート判定手段と、前記探知データが仰角方向の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力し、探知データが方位角方向の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力する第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段と、前記レンジ方向のゲート判定手段および前記第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段における前記探知データのゲート判定の結果、ゲート内の探知データについて、ゲート中心と探知データの距離を正規分布の尤度に換算し、その尤度を用いて、データ更新を行い、平滑誤差共分散行列および平滑ベクトルを出力する第2のデータ更新手段と、カルマンフィルタの理論に基づき、現時刻よりも1サンプリング後の予測誤差共分散行列および予測ベクトルを算出する予測手段と、前記予測手段から入力される予測誤差共分散行列および予測ベクトルを1サンプリング遅延させて、前記第1のゲート判定諸元算出手段に対して出力する、1サンプリング遅延手段と、前記第2のデータ更新手段から入力される平滑ベクトルから、目標航跡および目標の速度の表示を行う表示手段と、を備え、前記距離方向の楕円体ゲートと、前記仰角方向の楕円体ゲートと、前記方位角方向の楕円体ゲートとは、組み合わされて、所定次元の楕円体ゲートを構成し、前記所定次元の楕円体ゲートは、前記残差共分散行列を元にした所定次元の楕円体ゲートであって、前記第1のゲート判定諸元算出手段は、前記楕円体ゲートにおいて、前記残差共分散行列の対角化によりレンジ方向とクロスレンジ方向とを決定し、前記レンジ方向のゲート判定手段および前記第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段は、前記第1のゲート判定諸元算出手段によって計算された前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向に基づいて、前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向のゲートサイズパラメータを設定することにより、前記楕円体ゲートのサイズを決定する追尾装置である。
【0101】
また、サンプリング間隔により、ゲートサイズパラメータを設定する、第1のゲートサイズパラメータ設定手段をさらに備えている。
【0102】
また、距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差および方位角の観測雑音標準偏差を固定の値に設定する観測誤差固定手段をさらに備えている。
【0103】
また、サンプリング間隔を固定する制御信号を予測手段に入力し、予測誤差共分散行列および予測ベクトルの算出の際のサンプリング間隔を固定するサンプリング間隔固定手段をさらに備えている。
【0104】
また、追尾初期から数サンプリング分、ゲートの中心を固定するゲート中心固定手段をさらに備えている。
【0105】
また、前記第1のデータ更新手段から得られる平滑ベクトルの速度成分の大きさを用いて、ゲートサイズパラメータの大きさを変える、ゲートサイズパラメータ可変手段をさらに備えている。
【0106】
また、前記第1のデータ更新手段から得られる平滑ベクトルを時定数を固定とした表示用フィルタに入力して、表示用平滑ベクトルを算出する、第1の表示用平滑手段をさらに備えている。
【0107】
また、前記第1のデータ更新手段から得られる平滑ベクトルを時定数を可変とした表示用フィルタに入力して、表示用平滑ベクトルを算出する、第2の表示用平滑手段をさらに備えている。
【0109】
また、前記第1のゲート判定諸元算出手段から入力される固有値の内、固有値の最大値と固有値の最小値の比である条件数を用いて、条件数がある閾値以下ならば、追尾の演算が不安定になっているとの危険信号を、前記表示手段に入力する条件数判定手段をさらに備えている。
【0110】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。なお、以下の各実施の形態において、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0111】
図1において、1は、センサから得られる受信電力を元に、信号対雑音比であるS/N比を得て、それを距離、仰角および方位角の観測雑音標準偏差に変換し、当該観測雑音標準偏差とそれらに付随する位置を表す探知データとを出力する観測手段である。2は、後述する1サンプリング遅延手段8から予測誤差共分散行列および観測手段1から観測誤差共分散行列が入力され、それらから算出される残差共分散行列から、距離方向の固有値、仰角方向の固有値、方位角方向の固有値、距離方向の固有ベクトル、仰角方向の固有ベクトルおよび方位角方向の固有ベクトルを算出する第1のゲート判定諸元算出手段である。3は、探知データが距離方向の1次元ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力するレンジ方向のゲート判定手段である。4は、探知データが仰角方向の1次元ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力し、探知データが方位角方向の1次元ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力する第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段である。5は、距離方向の1次元のゲートに入っているか否かの判定結果を示す信号と、仰角方向の1次元のゲートに入っているか否かの判定結果を示す信号と、方位角方向の1次元ゲートに入っているか否かの判定結果を示す信号とから、距離方向、仰角方向、方位角方向のすべての1次元のゲート内に前記探知データが入っている場合に、目標信号の候補として、その探知データに付随する探知データおよび残差共分散行列を出力する第1のゲート判定手段である。6は、カルマンフィルタの理論に基づいてデータの更新を行い、平滑誤差共分散行列および平滑ベクトルを出力する第1のデータ更新手段である。7は、カルマンフィルタの理論に基づき、現時刻よりも1サンプリング後の予測誤差共分散行列および予測ベクトルを算出する予測手段である。8は、予測手段7から入力される予測誤差共分散行列および予測ベクトルを1サンプリング遅延させて、第1のゲート判定諸元算出手段2に対して出力する、1サンプリング遅延手段である。9は、第1のデータ更新手段から入力される平滑ベクトルから、目標航跡および目標の速度の表示を行う表示手段である。なお、6,7,8,9は、それぞれ、上述した図45の106,107,108,109に相当するものであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0112】
第1のゲート判定諸元算出手段2の説明を以下に行う。
【0113】
第1のゲート判定諸元算出手段2では、観測手段1から、探知データ、距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差および方位角の観測雑音標準偏差が入力され、予測手段7から、1サンプリング遅延手段8を介して、予測ベクトル及び予測誤差共分散行列が入力される。
【0114】
さらに、第1のゲート判定諸元算出手段2では、レンジ方向の固有ベクトル、クロスレンジ方向の固有ベクトルを算出するが、その算出方法を以下に示す。
【0115】
図49に、レンジ方向の固有ベクトルとクロスレンジ方向の固有ベクトルの
関係図を示す。
【0116】
図49における3次元楕円領域がゲートである。図49において、Aは予測位置、Bはゲート内の観測位置を表し、それらの位置ベクトルをVZpk(t)、Dkjとする。また、距離方向(OA方向)の単位ベクトルをUr、z方向の単位ベクトルをUel、水平面内の距離と直交するクロスレンジ横方向(HI方向)の単位ベクトルをUbyとする。さらに、ゲート内の直交するOG、CD、EFをx1、x2、x3軸とする。x1、x2、x3は、(25)式におけるx1、x2、x3と対応している。x1、x2、x3の各軸の方向は、(21)式における固有ベクトルv1アンダーバー、v2アンダーバー、v3アンダーバーによりそれぞれ規定される。
【0117】
以下、固有ベクトルv1アンダーバー、v2アンダーバー、v3アンダーバーを距離方向の固有ベクトルvrアンダーバー、仰角方向の固有ベクトルvel、方位角方向の固有ベクトルvbyとして割り当てる方法を示す。ここで、距離方向はレンジ方向、仰角方向はクロスレンジ縦方向、方位角方向は、クロスレンジ横方向と同じ意味である。
【0118】
固有ベクトルv1アンダーバー、v2アンダーバー、v3アンダーバーの内、距離方向の単位Urとの内積が一番大きい固有ベクトルを距離方向の固有ベクトルと定義する。また、その固有ベクトルに対応する固有値をλrとする。つまり、次式(33)により決定する。
【0119】
【数33】
Figure 0004176985
【0120】
(33)式における、maxは、内積Ur・v1,Ur・v2、Ur・v3の内、最も大きいものを選ぶ働きをする。
【0121】
ただし、Urは、次式(34)で定義される。
【0122】
【数34】
Figure 0004176985
【0123】
ここで、(34)式における記号「||」は、代数学におけるユークリッドノルムを表す。
【0124】
次に、距離方向の固有ベクトルとして選択されたものを除いた、固有ベクトルv1アンダーバー、v2アンダーバー、v3アンダーバーの内、残りの2つの固有ベクトルをそれぞれv1’、v2’とする。v1’v2’の中で、仰角方向の単位ベクトルUelとの内積が一番大きい固有ベクトルを、仰角方向の固有ベクトルと呼称し、velとする。また、その固有値をλelとする。ここで、velは、(35)式により決定する。また、仰角方向の単位ベクトルUelは、(36)式で定義される。
【0125】
【数35】
Figure 0004176985
【0126】
【数36】
Figure 0004176985
【0127】
固有ベクトルv1アンダーバー、v2アンダーバー、v3アンダーバーの内、距離方向の固有ベクトル、仰角方向の固有ベクトルとして、選択した2つを除いた、残り1つの固有ベクトルを、方位角方向の固有ベクトルと呼称し、vbyとする。また、その固有値をλbyとする。
【0128】
以上の処理により、距離方向の固有ベクトル、仰角方向の固有ベクトル、方位角方向の固有ベクトルを決定する。つまり、レンジ方向の固有ベクトルは、距離方向の固有ベクトル、クロスレンジ方向は、仰角方向の固有ベクトル、方位角方向の固有ベクトルである。よって、距離方向の固有ベクトル、方位角方向の固有ベクトル、仰角方向の固有ベクトルの各方向の残差は、それぞれ、vr・x、vel・x、vby・xで表される。
【0129】
したがって、第1のゲート判定諸元算出手段2では、観測手段1から得た探知データおよび予測手段7から1サンプリング遅延手段8を介して得た予測ベクトルを用いて、残差を(15)式により算出し、残差共分散行列を(16)式により算出を行う。さらに、距離方向の固有値λr、距離方向の固有ベクトルの残差vr・x、また、予測ベクトル、予測誤差共分散行列、探知データ、残差および残差共分散行列をレンジ方向のゲート判定手段3に入力する。同様に、仰角方向の固有値λel、仰角方向の固有ベクトルの残差vel・x、方位角方向の固有値λby、方位角方向の固有ベクトルの残差vby・x、また、予測ベクトル、予測誤差共分散行列、探知データ、残差および残差共分散行列を第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4に入力する。
【0130】
次に、レンジ方向のゲート判定手段3の説明を行う。
【0131】
レンジ方向のゲート判定手段3では、(37)式を用いて、探知データが、距離方向の1次元ゲートに入っているかどうかを判定する。ここで、(37)式の右辺のdrは、距離方向で事前に設定するゲートサイズパラメータである。
【0132】
【数37】
Figure 0004176985
【0133】
したがって、レンジ方向のゲート判定手段3では、(37)式の距離ゲートに入っているか否かを示す判定信号、予測ベクトル、予測誤差共分散行列、探知データ、残差および残差共分散行列を第1のゲート判定手段5に入力する。
【0134】
次に、第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4の説明を行う。
【0135】
第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4では、次式(38)を用いて、探知データが、仰角方向の1次元ゲートに入っているかどうかを判定する。ここで、(38)式の右辺のdelは、仰角方向で事前に設定するゲートサイズパラメータである。
【0136】
【数38】
Figure 0004176985
【0137】
また、第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4では、(39)式を用いて、探知データが、方位角方向の1次元ゲートに入っているかどうかを判定する。ここで、(39)式の右辺のdbyは、方位角方向で事前に設定するゲートサイズパラメータである。
【0138】
【数39】
Figure 0004176985
【0139】
したがって、第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4では、(38)式の仰角ゲートに入っているか否かを示す判定信号、(39)式の方位角ゲートに入っているか否かを示す判定信号、予測ベクトル、予測誤差共分散行列、探知データ、残差および残差共分散行列を第1のゲート判定手段5に入力する。
【0140】
第1のゲート判定手段5では、レンジ方向のゲート判定手段3から、(37)式の距離ゲートに入っているか否かを示す判定信号、予測ベクトル、予測誤差共分散行列および探知データが入力される。また、第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4では、クロスレンジ方向のゲート判定手段4から、(38)式の仰角ゲートに入っているか否かを示す判定信号、(39)式の方位角ゲートに入っているか否かを示す判定信号、予測ベクトル、予測誤差共分散行列および探知データが入力される。
【0141】
第1のゲート判定手段5では、(37)式の距離ゲートに入っているか否かを示す判定信号、(38)式の仰角ゲートに入っているか否かを示す判定信号、(39)式の方位角ゲートに入っているか否かを示す判定信号、の全てがゲートに入っているという信号である場合、これらの判定信号に対応する探知データDkjを目標信号の候補とする。また、(37)式の距離ゲートに入っているか否かを示す判定信号、(38)式の仰角ゲートに入っているか否かを示す判定信号、(39)式の方位角ゲートに入っているか否かを示す判定信号、の全てがゲートに入っているという信号が複数ある場合の、複数の探知データに関しては、予測ベクトルに最も近い探知データ1つをその目標信号の候補aDkjとして、出力する。また、探知データaDkjに対応する残差共分散行列aSkj(t)も出力する。また、予測ベクトルの位置成分は、(13)式により算出する。
【0142】
したがって、第1のゲート判定手段5は、第1のデータ更新手段6へ、探知データの中の目標信号の候補aDkjと、aDkjに対応する残差共分散行列aSkj(t)と、予測ベクトルの位置成分、予測誤差共分散行列、予測ベクトル、残差および残差共分散行列を入力する。
【0143】
したがって、従来の追尾装置では、(11)式を用いて、ゲート判定処理を行っているので、図47のように、レンジ方向の探知データを補足するため、ゲートサイズパラメータを大きくすると、ゲート全体が大きくなってしまい、特に、クロスレンジ方向で、ゲートが広がるため、不要信号を多数拾ってしまうといった問題があった。しかし、(37)式、(38)式、(39)式のように、レンジ方向、クロスレンジ方向でそれぞれ、別々にゲート判定を行うことによって、レンジ方向、クロスレンジ方向独立にゲートの大きさを設定することができる。そのため、レンジ方向にだけゲートを広げたい時でも、クロスレンジ方向には影響がないので、目標信号を補足して、不要信号をなるべく補足しないという意味で最適に、ゲートを設定することが可能である。
【0144】
次に、図3及び図4は、この実施の形態1の動作を説明するフローチャートである。
【0145】
まず、ステップST1において、センサから得られるS/Nおよび探知データを入力する。
【0146】
次に、ステップST2において、残差および残差共分散行列を算出する。
【0147】
次に、ステップST3において、残差共分散行列から、固有値、固有ベクトルを算出する。
【0148】
次に、ステップST4において、残差共分散行列から算出される3つの固有ベクトルと、レンジ方向の単位ベクトルの内積を各々計算する。
【0149】
次に、ステップST5において、レンジ方向の単位ベクトルと固有ベクトルとの内積が一番大きいものをレンジ方向の固有ベクトルと決定する。レンジ方向の固有ベクトルとは、距離方向の固有ベクトルと同義である。3つの固有ベクトルの内、レンジ方向の固有ベクトルを除いた2つのクロスレンジ方向の固有ベクトルをステップST6に入力する。
【0150】
次に、ステップST6において、2つのクロスレンジ方向の固有ベクトルとz軸方向の単位ベクトルの内積を各々計算して、ステップST7に入力する。
【0151】
次に、ステップST7において、2つのクロスレンジ方向の固有ベクトルの内、z軸方向の単位ベクトルと固有ベクトルの内積が一番大きいものをクロスレンジ縦方向の固有ベクトルと決定し、残りの1つの固有ベクトルをクロスレンジ横方向の固有ベクトルと決定する。クロスレンジ縦方向の固有ベクトルとは、仰角方向の固有ベクトルと同義である。同様にして、クロスレンジ横方向の固有ベクトルとは、方位角方向の固有ベクトルと同義である。
【0152】
次に、ステップST8において、レンジ方向とクロスレンジ方向の固有ベクトルから、レンジ方向、クロスレンジ縦方向、クロスレンジ横方向の残差を算出する。
【0153】
次に、ステップST9において、レンジ方向、クロスレンジ縦方向、クロスレンジ横方向のゲートサイズパラメータを各々設定する。
【0154】
次に、ステップST10において、(37)式、(38)式、(39)式を満たす場合、すなわち、レンジ方向、クロスレンジ縦方向、クロスレンジ横方向のすべてのゲートを満たす場合、ステップST11において、探知データをゲート内探知データと判定する。また、(37)式、(38)式、(39)式を満たさない場合、すなわち、レンジ方向、クロスレンジ縦方向、クロスレンジ横方向の中で、1つでもゲートを満たさない場合、ステップST12において、探知データをゲート外探知データと判定する。
【0155】
次に、ステップST13において、サンプリング時刻kにおける全探知データの個数Nobs回、ST1〜ST12までの処理を数えるカウンタnがn=Nobsになったら、ステップST14に進む。もし、n=Nobsでなかったら、ST1〜ST12の処理を継続する。
【0156】
次に、ステップST14において、ゲート内探知データの内、ゲートの中心に一番近いものを1つ選択し、選択されたゲート内探知データとそれに付随する残差共分散行列を次のステップST15に入力する。
【0157】
次に、ステップST15において、カルマンフィルタの理論に基づき、データ更新を行ない、平滑ベクトル、平滑誤差共分散行列を算出する。さらに、その現時刻の平滑ベクトル、平滑誤差共分散行列を用いて、1サンプリング外挿を行い、現時刻より1サンプリング後の予測ベクトル、予測誤差共分散行列を算出する。
【0158】
次に、ST16では、現時刻の平滑ベクトルを用いて、平滑位置および平滑速度の表示を行う。
【0159】
次に、ステップST17では、サンプリング時刻kがサンプリング終了時刻kendより大きくなったら、処理を中断する。また、サンプリング時刻kがサンプリング終了時刻kend以下の場合には、処理継続を継続する。
【0160】
以上のように、本実施の形態に係る目標追尾装置においては、、目標信号が入りやすく、不要信号を侵入させにくくするためのゲート判定を行うことが可能である。
【0161】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図5は、この発明の実施の形態2に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図5において、10は、第2のクロスレンジ方向のゲート判定手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0162】
第2のクロスレンジ方向のゲート判定手段10を以下に説明する。第2のクロスレンジ方向のゲート判定手段10では、第1のゲート判定諸元算出手段2から仰角方向の固有値λel、仰角の固有ベクトルの残差vel・x、方位角方向の固有値λby、方位角の固有ベクトルの残差vby・x、予測ベクトル、予測誤差共分散行列、探知データ、残差、残差共分散行列が入力される。さらに、次式(40)を用いて、2次元のゲート判定を行う。
【0163】
【数40】
Figure 0004176985
【0164】
(40)式において、ゲートサイズパラメータdelbyは事前に設定しておく。
【0165】
したがって、第2のクロスレンジ方向のゲート判定手段10では、(40)式のゲートに入っているか否かを示す判定信号、予測ベクトル、予測誤差共分散行列、探知データ、残差および残差共分散行列を第1のゲート判定手段5に入力する。
【0166】
第1のゲート判定手段5では、レンジ方向のゲート判定手段3から、(37)式の距離ゲートに入っているか否かを示す判定信号、予測ベクトル、予測誤差および共分散行列が入力される。また、第2のクロスレンジ方向のゲート判定手段10から、(40)式の距離ゲートに入っているか否かを示す判定信号、予測ベクトル、予測誤差および共分散行列が入力される。(37)式のゲートに入っているか否かを示す判定信号、(40)式のゲートに入っているか否かを示す判定信号の全てがゲートに入っているという信号である場合、これらの判定信号に対応する探知データDkjを目標信号の候補とする。また、(37)式の距離ゲートに入っているか否かを示す判定信号、(40)式のゲートに入っているか否かを示す判定信号の全てがゲートに入っているという信号が複数ある場合の複数の探知データに関しては、予測ベクトルに最も近い探知データ1つをその目標信号の候補aDkjとして、出力する。また、探知データaDkjに対応する残差共分散行列aSkj(t)も出力する。また、予測ベクトルの位置成分は、(13)式により算出する。
【0167】
(37)式および(40)式によりゲート判定を行うことにより、ゲート半径の比が大きく異なるレンジ方向とクロスレンジ方向で、独立にゲート判定が可能となり、図47のように、レンジ方向のゲートを大きくした時、クロスレンジ方向も合わせて大きくなることが防げる。また、(40)式により、ゲート判定を行うことにより、クロスレンジ方向縦方向のゲートサイズパラメータ、クロスレンジ横方向のゲートサイズパラメータ、すなわち、仰角方向のゲートサイズパラメータ、方位角方向のゲートサイズパラメータと2つ設定せずに、ゲートサイズパラメータの設定が1回で済む。
【0168】
次に図6及び図7に実施の形態2の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ここでは、ステップST8bおよびステップST9bについてのみ説明する。
【0169】
ステップST8bにおいて、クロスレンジ縦方向の残差をクロスレンジ縦方向の固有値で割ったものと、クロスレンジ横方向の残差をクロスレンジ横方向の固有値で割ったものを足したものを算出する。
【0170】
ステップST9bにおいて、(37)式におけるレンジ方向のゲートに設定するゲートサイズパラメータdrと、(40)式における2次元のクロスレンジ方向のゲートに設定するゲートサイズパラメータdelbyの設定を行う。
【0171】
したがって、以上のステップにより、(37)式および(40)式によりゲート判定を行うことにより、ゲート半径の比が大きく異なるレンジ方向とクロスレンジ方向で、独立にゲート判定が可能となるため、図50のように、レンジ方向のゲートを大きくした時、クロスレンジ方向も合わせて大きくなることが防げる。また、(40)式により、ゲート判定を行うことにより、クロスレンジ方向縦方向のゲートサイズパラメータ、クロスレンジ横方向のゲートサイズパラメータ、すなわち、仰角方向のゲートサイズパラメータ、方位角方向のゲートサイズパラメータと2つ設定せずに、ゲートサイズパラメータの設定が1回で済む。
【0172】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図8は、この発明の実施の形態3に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図8において、11は第1の駆動雑音制御手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0173】
カルマンフィルタの理論により、予測誤差共分散行列Ppk(t)は、(30)式により算出できる。
【0174】
第1の駆動雑音制御手段11では、予測誤差共分散行列を算出の際の(32)式における駆動雑音ベクトルの標準偏差σaを、第1のデータ更新手段6で得られる平滑ベクトルの速度成分の大きさがある閾値より大きい場合、大きく設定し、第1のデータ更新手段6で得られる平滑ベクトルの速度成分の大きさがある閾値より小さい場合、小さく設定する。
【0175】
(32)式における駆動雑音ベクトルの標準偏差σaを大きくすることは、(30)式により、予測誤差共分散行列が大きくなり、さらに(5)式により、残差共分散行列が大きくなるため、ゲートが大きくなる。したがって、目標速度が大きい場合に旋回する時、駆動雑音を小さく設定してある場合には、目標をゲート内に補足できない。しかし、第1の駆動雑音制御手段11では、平滑ベクトルの速度成分の大きさがある閾値より大きくなった場合、駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きくし、ゲートを広げるため、目標を補足しやすくなる。
【0176】
次に、図9及び図10に実施の形態3の動作を説明するフローチャートを示す。ここでは、図3及び図4と同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST15bおよびステップST15cについて説明する。
【0177】
ステップST15bにおいて、カルマンフィルタの理論に基づく、データ更新を行ない、平滑ベクトル、平滑誤差共分散行列を算出する。
【0178】
ステップST15cにおいて、予測処理を行う前に、平滑ベクトルの速度成分の大きさがある閾値より大きくなった場合、駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きくする。その後、カルマンフィルタの理論に基づく、予測処理を行ない、予測ベクトル、予測誤差共分散行列を算出する。
【0179】
したがって、以上のステップを行うことにより、平滑ベクトルの速度成分の大きさがある閾値より大きくなった場合、駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きくし、ゲートを広げることで、目標を補足しやすくなる。
【0180】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。
図11は、この発明の実施の形態4に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図8において、12は、第2の駆動雑音制御手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0181】
第2の駆動雑音制御手段12では、第1の平滑手段6で得られる平滑ベクトルの速度成分の大きさにより、駆動雑音標準偏差σaを(41)式を用いて、切り替える。
【0182】
【数41】
Figure 0004176985
【0183】
(41)式はロジスティック曲線である。ロジスティック曲線の概念図を図12に示す。
【0184】
図12の横軸は、平滑ベクトルの速度成分の大きさVであり、縦軸は、駆動雑音の標準偏差σaである。ここで、V0は平滑ベクトルの位置成分の大きさVの切り替えの閾値であり、σa0は、V0に対応する駆動雑音の標準偏差である。
【0185】
(41)式におけるa、b、cは、曲線の形状を決定するパラメータである。ここで、スケーリングパラメータa、b、cは、それぞれ、aを大きくすると、図12のように、曲線の縦幅が大きくなり、bを大きくすると、縦幅が小さく、勾配が滑らかになり、cを大きくすると、縦幅が同じで勾配が急になる性質を持つ。
【0186】
したがって、駆動雑音の標準偏差σaを急に大きくしたりすると、ゲインが急に大きく変動するため、平滑ベクトルおよび平滑誤差共分散行列の算出値がおかしくなる。しかし、(41)式のように、駆動雑音の標準偏差σaを切り替えることにより、ゲインの推移が切り替える前と後で滑らかになるため、速度ベクトルの切り替えが安定してできるようになり、また、徐々に駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きくし、ゲートを広げるため、目標を補足しやすくなる。
【0187】
次に、図13及び図14に実施の形態4の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ここではステップST15dについてのみ説明する。
【0188】
ステップST15dにおいて、事前にロジスティック曲線のスケーリングパラメータを決めた後、目標の平滑ベクトルの速度成分の大きさVにより、駆動雑音の標準偏差を切り替える。
【0189】
したがって、以上のステップを行うことにより、駆動雑音の標準偏差σaを切り替えることにより、ゲインの推移が切り替える前と後で滑らかになり、かつ、速度ベクトルの切り替えが安定してできるようになる。また、徐々に駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きくし、ゲートを広げるため、目標を補足しやすくなる。
【0190】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図15は、この発明の実施の形態5に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図15において、13は、第2のデータ更新手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0191】
第2のデータ更新手段13は、図46、図50を用いて、説明する。図46では、現時刻tkにおける破線で囲まれた、予測ベクトルVXpk(t)の位置成分を中心としたゲートの領域内に、探知データDk1、Dk2、Dk3が存在している。重みづけを考慮したゲート判定およびデータ更新手段13では、レンジ方向のゲート判定3手段から入力される(37)式の距離ゲートに入っているか否かを示す判定信号、第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4から入力される(38)式の仰角ゲートに入っているか否かを示す判定信号、(39)式の方位角ゲートに入っているか否かを示す判定信号の全てがゲートに入っているという信号である場合、これらの判定信号に対応する探知データDkjを目標信号の
候補とする。ここで、(37)式の距離ゲートに入っているか否かを示す判定信号、(38)式の仰角ゲートに入っているか否かを示す判定信号、(39)式の方位角ゲートに入っているか否かを示す判定信号の全てがゲートに入っているという信号が複数ある場合を考える。この場合、第2のデータ更新手段13では、複数の探知データに関しては、正規分布により、ゲート中心からの距離を換算した尤度により、ゲート中心間の距離を考慮した平滑ベクトルおよび平滑誤差共分散行列を算出する。
【0192】
ゲート中心からの距離を換算した尤度の概念図を図50に示す。図50中のDk1、Dk2、Dk3、Dk4、Dk5は探知データであり、Dk1、Dk2、Dk3がゲート内に入っているとする。ここで、ゲート内に存在する探知データDk1、Dk2、Dk3をゲート中心からの距離を換算した尤度は、図50のように、正規分布の尤度γk1、γk2、γk3で表される。
【0193】
したがって、ゲート中心から1番近い探知データが不要信号の場合、平滑ベクトル、平滑誤差共分散行列を算出すると、次サンプリング以降のゲートの中心が、現時刻の不要信号に極端に引っ張られ、追尾を失敗することがある。しかし、重みづけを考慮したゲート判定およびデータ更新手段13により、ゲート中心からの距離を換算した尤度により、ゲート中心間の距離を考慮した平滑ベクトルおよび平滑誤差共分散行列を算出することで、次サンプリング以降のゲートの中心が、現時刻の不要信号に極端に引っ張られことなく、不要信号中で安定した追尾を行うことができる。
【0194】
次に、図16及び図17に実施の形態5の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST14b及びステップST15eについてのみ説明する。
【0195】
ステップST14bにおいて、ゲート内の探知データの尤度を算出する。
【0196】
ステップST15eにおいて、探知データの尤度を用いて、平滑ベクトルおよび平滑誤差共分散行列の算出を行う。また、現時刻kのゲート中心間の距離を考慮した平滑ベクトルを1サンプリング分外挿して、予測ベクトルおよび予測誤差共分散行列を算出する。
【0197】
以上のステップにより、したがって、ゲート中心から1番近い探知データが不要信号の場合、平滑ベクトル、平滑誤差共分散行列を算出すると、次サンプリング以降のゲートの中心が、現時刻の不要信号に極端に引っ張られ、追尾を失敗することがあるが、ゲート中心からの距離を換算した探知データの尤度により、ゲート中心間の距離を考慮した平滑ベクトルおよび平滑誤差共分散行列を算出することで、次サンプリング以降のゲートの中心が、現時刻の不要信号に極端に
引っ張られことなく、不要信号中で安定した追尾を行うことができる。
【0198】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図18は、この発明の実施の形態6に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図13において、14は、第1のゲートサイズパラメータ設定手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0199】
第1のゲートサイズパラメータ設定手段14では、観測手段から得られる、現サンプリング時刻と前サンプリング時刻の時間間隔を見て、時間間隔が大きい場合、ゲートサイズパラメータを小さく設定するような信号をレンジ方向のゲート判定手段3、第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4にそれぞれ出力する。
【0200】
ゲートの大きさを決めるゲート半径は、(25)式の左辺の分母のように、固有値λ1とdεの積の0.5乗、λ2とdεの積の0.5乗、λ3とdεの積の0.5乗のように、固有値λ1、λ2、λ3とゲートサイズパラメータdεの積の0.5乗で決定される。
【0201】
ここで、サンプリング間隔の増加と共に、固有値λ1、λ2、λ3は、大きくなるため、ゲート半径も大きくなる。しかし、サンプリング間隔が極端に長くなった場合、固有値も極端に大きくなるため、ゲートが非常に大きくなる。そのため、ゲート内には、目標信号のみならず、不要信号が大量に侵入してきて、ゲートをかける意味がなくなる。そのため、サンプリング間隔がある閾値より大きい場合は、ゲートサイズパラメータを小さく設定するようにして、適度な大きさのゲート半径を保つようにすることで、目標信号の補足および不要信号の侵入を防ぐようにする。
【0202】
次に、図19及び図20に実施の形態6の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST9bにつてのみ説明する。
【0203】
ステップST9bにおいて、サンプリング間隔がある閾値より大きい場合、レンジ方向とクロスレンジ横方向とクロスレンジ縦方向に設定するゲートサイズパラメータの値を小さく設定するように制御する。
【0204】
以上のステップにより、サンプリング間隔がある閾値より大きい場合は、ゲートサイズパラメータを小さく設定するようにして、適度な大きさのゲート半径を保つようにすることで、目標信号の補足および不要信号の侵入を防ぐようにする。
【0205】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図21は、この発明の実施の形態7に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図21において、15は、観測誤差固定手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0206】
観測誤差固定手段15では、(8)式における距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差、方位角の観測雑音標準偏差σrkj、σekj、σbkjに固定の値を設定する。
【0207】
(5)式の残差共分散行列Skj(t)におけるRkjは、(7)式により計算され、(7)式のRkj中のΛkjの計算は、(8)式により計算される。したがって、(8)式における距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差、方位角の観測雑音標準偏差σrkj、σekj、σbkjに固定の値を設定することで、サンプリング時刻ごと、探知データごとに(8)式の計算が不要になるため、演算負荷が軽くなる。
【0208】
次に、図22及び図23に実施の形態7の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST2bについて説明する。
【0209】
ステップST2bにおいて、(15)式により、残差を計算する。また、観測雑音の標準偏差を固定にして、(8)式からΛkjを計算し、Λkjを(7)式に代入し、Rkjを算出してから、残差共分散行列を算出する。
【0210】
以上のステップにより、(8)式における距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差、方位角の観測雑音標準偏差σrkj、σekj、σbkjに固定の値を設定することで、サンプリング時刻ごと、探知データごとに、(8)式の計算が不要になるため、演算負荷が軽くなる。
【0211】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図24は、この発明の実施の形態8に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図17において、16は、サンプリング間隔固定手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0212】
サンプリング間隔固定手段16では、サンプリング間隔を固定に制御する制御信号を予測手段7に入力を行う。そのため、(31)式における状態遷移行列Φkが固定値となるため、状態遷移行列Φkを含む(29)式の予測ベクトルの計算式および状態遷移行列Φkを含む(30)式の予測誤差共分散行列に関する演算負荷が軽減される。
【0213】
次に、図25及び図26に実施の形態8の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST15fについてのみ説明する。
【0214】
ステップST15fにおいて、サンプリング間隔固定とした状態遷移行列Φkを用いて、(29)式の予測ベクトルの計算式および(30)式の予測誤差共分散行列を算出する。
【0215】
以上のステップにより、(31)式における状態遷移行列Φkを固定値として扱うことで、予測ベクトルおよび予測誤差共分散行列の演算負荷が軽減される。
【0216】
実施の形態9.
この発明の実施の形態9に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図27は、この発明の実施の形態9に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図19において、17は、ゲート中心固定手段である。なお、各図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0217】
ゲート中心固定手段17では、追尾初期から数サンプリング分、(15)式の右辺における予測ベクトルの位置成分VZpk(t)の値に代わりに、固定の第1サンプリングの探知データ使いつづける。
【0218】
ゲートを固定するサンプリング数は事前に設定しておく。
【0219】
したがって、追尾初期時は、ばらついた探知データから予測ベクトルを算出すると、速度ベクトルのばらつきが大きい。つまり、予測ベクトル算出の際、ばらついた速度ベクトルを使用すると、ゲートの中心が安定しないため、目標信号を補足できない可能性が高い。しかし、追尾初期時の数サンプリング分だけ、ゲートの中心である予測ベクトルの位置成分VZpk(t)の代わりに、固定の第1サンプリングの探知データ使いつづけることで、追尾初期時のばらつきが軽減される。
【0220】
次に、図28及び図29に実施の形態9の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST2cについてのみ説明する。
【0221】
ステップST2cにおいて、初期数サンプリング分、ゲート中心を固定する。
【0222】
以上のステップにより、追尾初期時の数サンプリング分だけ、ゲートの中心である予測ベクトルの位置成分VZpk(t)の代わりに、固定の第1サンプリングの探知データ使いつづけることで、追尾初期時のばらつきが軽減される。
【0223】
実施の形態10.
この発明の実施の形態10に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図30は、この発明の実施の形態に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図30において、18は、目標速度によるゲートサイズパラメータ可変手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0224】
目標速度によるゲートサイズパラメータ可変手段18では、第1のデータ更新手段6から得られる1サンプリング前の平滑ベクトルから、平滑ベクトルの速度成分の大きさを算出する。その1サンプリング前の平滑ベクトルの速度成分の大きさが、ある閾値よりも大きい場合、レンジ方向のゲート判定手段3と第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4における現時刻のゲートサイズパラメータの大きさを大きくするような制御信号をレンジ方向のゲート判定手段3と第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4におけるそれぞれ入力する。レンジ方向のゲート判定手段3と第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4では、目標速度によるゲートサイズパラメータ可変手段18から入力されたゲートサイズパラメータの大きさを大きくするような制御信号により、ゲートサイズパラメータを大きく設定する。
【0225】
したがって、目標速度によるゲートサイズパラメータ可変手段18では、1サンプリング前の平滑ベクトルの速度成分の大きさが、ある閾値よりも大きい場合に、第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4における現時刻のゲートサイズパラメータの大きさと、レンジ方向のゲート判定手段3における現時刻のゲートサイズパラメータの大きさを大きくすることによって、目標信号を補足しやすくする。
【0226】
次に、図31および図32に実施の形態10の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST9cについてのみ説明する。
【0227】
ステップST9cにおいて、1サンプリング前の平滑ベクトルの速度成分の大きさが、ある閾値よりも大きい場合に、レンジ方向とクロスレンジ横方向とクロスレンジ縦方向の現時刻のゲートサイズパラメータを大きく設定する。
【0228】
以上のステップにより、1サンプリング前の平滑ベクトルの速度成分の大きさが、ある閾値よりも大きい場合に、現時刻のゲートサイズパラメータの大きさを大きくすることによって、目標信号を補足しやすくする。
【0229】
実施の形態11.
この発明の実施の形態11に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図33は、この発明の実施の形態11に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図33において、19は、第1の表示用平滑手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0230】
第1の表示用平滑手段19では、第1のデータ更新手段6から入力された平滑ベクトルVXsk(t)を、次式(42)を用いて、表示用平滑ベクトルVXsk(t*)を求め、表示用平滑ベクトルVXsk(t*)を表示手段9に入力する。また、表示用平滑ベクトルを1サンプリング分保管しておく。
【0231】
【数42】
Figure 0004176985
【0232】
(42)式において、VXsk(t)は、時刻kにおいて、第1のデータ更新手段6から入力される平滑ベクトル、VXsk(t*)は、時刻kにおける表示用平滑ベクトル、ηkは、平滑の重みを決める係数である。
【0233】
ηkの算出は、次式(43)により算出される。
【0234】
【数43】
Figure 0004176985
【0235】
(43)式の右辺において、Δtはサンプリング間隔、τは時定数である。
【0236】
時定数が大きい程、表示用平滑ベクトルは、現時刻の目標の探知データよりも遅れは大きくなるが、平滑効果は大きい、つまり見た目で滑らかに見える。
【0237】
したがって、第1の表示用平滑手段19では、(43)式の時定数を事前に決めておき、第1のデータ更新手段6から入力される平滑ベクトルVXsk(t)から、(42)式を用いて、表示用平滑ベクトルVXsk(t*)を求めることにより、オペレータへの表示が見やすくなる。
【0238】
次に、図34及び図35に実施の形態11の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST16bについてのみ説明する。
【0239】
ステップST16bにおいて、平滑ベクトルより表示用平滑ベクトルを算出し、平滑位置平滑速度の表示を行う。
【0240】
ばらついている探知データにから求めた平滑ベクトルを表示すると、表示航跡のがたつきが起こるが、以上のステップにより、表示用平滑ベクトルの算出を行い、表示用平滑ベクトルから表示用航跡を表示すれば、オペレータに対する表示航跡が滑らかになり見やすくなる。
【0241】
実施の形態12.
この発明の実施の形態12に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図36は、この発明の実施の形態に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図36において、20は、第2の表示用平滑手段である。なお、各図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0242】
第2の表示用平滑手段20では、第1のデータ更新手段6から入力された平滑ベクトルVXsk(t)を、次式(44)を用いて、表示用平滑ベクトルVXsk(t**)を求め、表示用平滑ベクトルVXsk(t**)を表示手段9に入力する。また、表示用平滑ベクトルを1サンプリング分保管しておく。
【0243】
【数44】
Figure 0004176985
【0244】
(44)式において、VXsk(t)は、時刻kにおいて、第1のデータ更新手段6から入力される平滑ベクトル、VXsk(t**)は、時刻kにおける表示用平滑ベクトル、θkは、平滑の重みを決める係数である。
【0245】
θkの算出は、(45)式により算出する。
【0246】
【数45】
Figure 0004176985
【0247】
(45)式の右辺において、Δtはサンプリング間隔、ρkはサンプリング時刻により可変する時定数である。
【0248】
ρkの算出は、次式(46)により算出する。
【0249】
【数46】
Figure 0004176985
【0250】
(46)において、ρkはサンプリング時刻により可変する時定数、φkは平滑の重みを決める係数である。また、ρinfは、ρkの定常状態の固定値である。ρkは事前に設定する。(46)式におけるφkは、次式(47)により決める。
【0251】
【数47】
Figure 0004176985
【0252】
(47)式における(45)式の右辺において、Δtはサンプリング間隔、τcはサンプリング時刻により可変する時定数ρkを制御する時定数の時定数である。
【0253】
(44)式、(45)式、(46)式、(47)式を用いることで、初期状態では、平滑ベクトルのがたつきは、現時刻の目標の探知データよりも遅れよりも大きいため、表示用平滑ベクトルの時定数θkを大きく設定し、オペレータへの表示用航跡を滑らかに見せることができる。また、初期状態が終わり定常状態に近くなると、平滑ベクトルのがたつきは小さくなるため、探知データとの遅れを小さくするため、時定数θkを小さく設定できる。したがって、オペレータへの表示が見やすくなる。
【0254】
次に、図37及び図38に実施の形態12の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST16cについてのみ説明する。
【0255】
ステップST16cにおいて、平滑ベクトルより表示用平滑ベクトルを時定数を可変として算出し、平滑位置平滑速度の表示を行う。
【0256】
以上のステップにより、(44)式、(45)式、(46)式、(47)式を用いて、時定数を可変にして、表示用平滑ベクトルを算出することにより、表示用平滑ベクトルを求める前の平滑ベクトルの遅れと、平滑ベクトルの滑らかさの改善を行うことができる。
【0257】
実施の形態13.
この発明の実施の形態13に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図39は、この発明の実施の形態に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図39において、21は、マルチパス判定手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0258】
マルチパスとは、レーダから照射された電波が地面、海面、障害物に当って、散乱する反射電波である。
【0259】
マルチパス判定手段21は、観測手段1から得られるある閾値よりもS/N比が大きい場合、(8)式における仰角の観測雑音標準偏差を事前に与える固定値に設定し、(13)式を用いて残差共分散行列を算出するような制御信号を、第1のゲート判定諸元算出手段2に入力する。また、マルチパス判定手段21は、観測手段1から得られるある閾値よりもS/N比が大きい場合、第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4におけるクロスレンジ縦方向のゲートサイズパラメータは、ゲート判定結果が必ずゲート内と判定するような十分に大きな値に設定するようにする制御信号を第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段4に入力する。
【0260】
したがって、マルチパス判定手段21により、高度方向の精度が良くないマルチパス環境下において、マルチパスの影響を一番受ける仰角の観測雑音標準偏差を使用しないことにより、マルチパス環境下での追尾性能を向上させる事ができる。
【0261】
次に、図40及び図41に実施の形態13の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST2d及びステップST9dについてのみ説明する。
【0262】
ステップST2dにおいて、S/N閾値による仰角観測雑音を固定すること、つまり、(8)式における仰角の観測雑音標準偏差を事前に与える固定値に設定した上で、残差共分散行列を(13)式により算出する。
【0263】
ステップST9dにおいて、マルチパスと判定したら、マルチパスを想定したゲートサイズパラメータ設定、つまり、クロスレンジ縦方向のゲート判定において、すべての探知データがゲート内と判定するような、クロスレンジ縦方向のゲートサイズパラメータを設定する。
【0264】
以上のステップにより、高度方向の精度が良くないマルチパス環境下において、マルチパスの影響を一番受ける仰角の観測雑音標準偏差を使用しないことにより、マルチパス環境下での追尾性能を向上させる事ができる。
【0265】
実施の形態14.
この発明の実施の形態14に係わる追尾装置を図面を参照しながら説明する。図42は、この発明の実施の形態14に係わる追尾装置の構成を示すブロック図である。図42において、22は、条件数判定手段である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を表す。
【0266】
第1のゲート判定諸元算出手段2から入力される固有値の内、固有値の最大値λkmaxと固有値の最小値λkminの比を取り、次式(48)における条件数CONDkを算出する。
【0267】
【数48】
Figure 0004176985
【0268】
CONDkが小さいと、行列演算において、桁落ちが起こり、逆行列演算ができないなどの問題が生じ、追尾の演算が不安定にある。
【0269】
条件数判定手段22では、次式(49)のように、条件数CONDkが事前に設定したある閾値CONDth以下の場合、オペレータに追尾の演算が不安定になっているという危険信号を表示手段9に入力し、オペレータの表示画面に出力させる。
【0270】
【数49】
Figure 0004176985
【0271】
したがって、条件数判定手段22を用いる事によって、オペレータが追尾の演算が不安定になっているという危険信号を察知することができ、例えば、追尾演算をやり直したり、追尾演算を打ち切る判断ができる。
【0272】
次に、図43及び図44に実施の形態14の動作を説明するフローチャートを示す。ここで、同一符号のステップは省略する。すなわち、ステップST16dについてのみ説明する。
【0273】
ステップST16dにおいて、(48)式により、条件数を算出し、(49)式が成り立つ時、オペレータに追尾の演算が不安定になっているという危険信号を表示手段9に入力し、オペレータの表示画面に出力させる。
【0274】
以上のステップにより、オペレータが追尾の演算が不安定になっているという危険信号を察知することができる。
【0275】
【発明の効果】
この発明は、受信電力を元に、信号対雑音比であるS/N比を得て、それを距離、仰角および方位角の観測雑音標準偏差に変換し、前記観測雑音標準偏差とそれらに付随する位置を表す探知データとを出力する観測手段と、予測誤差共分散行列および前記探知データが入力され、それらから算出される残差共分散行列から、距離方向の固有値、仰角方向の固有値、方位角方向の固有値、距離方向の固有ベクトル、仰角方向の固有ベクトルおよび方位角方向の固有ベクトルを算出する対角化を行う第1のゲート判定諸元算出手段と、前記探知データが距離方向において所定次元の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力するレンジ方向のゲート判定手段と、前記観測手段及び前記第1のゲート判定諸元算出手段から出力されるデータを用いて、仰角方向及び方位角方向で、所定次元の楕円体ゲート判定を行うクロスレンジ方向のゲート判定手段と、前記距離方向の前記所定次元の楕円体ゲートに入っているか否かの判定結果を示す信号と、仰角方向および方位角方向の前記所定次元の楕円体ゲートに入っているか否かの判定結果を示す信号とから、距離方向、仰角方向および方位角方向のすべてにおいて前記所定次元の楕円体ゲート内に前記探知データが入っている場合に、目標信号の候補として、その探知データに付随する探知データおよび残差共分散行列を出力する第1のゲート判定手段と、前記第1のゲート判定手段から出力される前記探知データおよび前記残差共分散行列が入力され、カルマンフィルタの理論に基づいてデータの更新を行い、平滑誤差共分散行列および平滑ベクトルを出力する第1のデータ更新手段と、前記カルマンフィルタの理論に基づき、現時刻よりも1サンプリング後の予測誤差共分散行列および予測ベクトルを算出する予測手段と、前記予測手段から入力される予測誤差共分散行列および予測ベクトルを1サンプリング遅延させて、前記第1のゲート判定諸元算出手段に対して前記予測誤差共分散行列を出力する1サンプリング遅延手段と、前記第1のデータ更新手段から入力される平滑ベクトルから、目標航跡および目標の速度の表示を行う表示手段と、を備え、前記所定次元の楕円体ゲートは、前記残差共分散行列を元にした所定次元の楕円体ゲートであって、前記第1のゲート判定諸元算出手段は、前記楕円体ゲートにおいて、前記残差共分散行列の対角化によりレンジ方向とクロスレンジ方向とを決定し、前記レンジ方向のゲート判定手段および前記クロスレンジ方向のゲート判定手段は、前記第1のゲート判定諸元算出手段によって計算された前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向に基づいて、前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向のゲートサイズパラメータを設定することにより、前記楕円体ゲートのサイズを決定する追尾装置であるので、目標信号が入りやすく、不要信号を侵入させにくくすることができる。
【0276】
また、前記クロスレンジ方向のゲート判定手段が、探知データが仰角方向の1次元ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力し、探知データが方位角方向の1次元ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力する第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段から構成されているので、クロスレンジ方向のゲート判定を容易に行うことができる。
【0277】
また、前記クロスレンジ方向のゲート判定手段が、仰角方向の固有ベクトル、仰角方向の固有値、方位角方向の固有ベクトルおよび方位角方向の固有値を用いて、クロスレンジ方向で、2次元のゲート判定を行う第2のクロスレンジ方向のゲート判定手段から構成されているので、レンジ方向とクロスレンジ方向のでのゲート判定を独立に行うことができるため、レンジ方向のゲートを大きくした場合にもクロスレンジ方向も合わせて大きくなることを防ぐことができる。また、ゲートサイズパラメータの設定を1回で行うことができる。
【0278】
また、前記第1のデータ更新手段から出力される前記平滑ベクトルの速度成分がある閾値より大きくなった場合、駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きく設定して前記予測手段に出力する第1の駆動雑音制御手段をさらに備えているので、標準偏差を大きくして、ゲートを広げることにより、目標を補足しやすくなる。
【0279】
また、駆動雑音ベクトルの標準偏差の大きさを縦軸として、平滑ベクトルの速度成分を横軸としたロジスティック曲線に基づき、平滑ベクトルの速度成分の大きさに従って、駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きく設定するように切り替える第2の駆動雑音制御手段をさらに備えているので、駆動雑音ベクトルの標準偏差を徐々に大きくし、ゲートを広げるため、目標を補足しやすくなる。
【0280】
また、この発明は、受信電力を元に、信号対雑音比であるS/N比を得て、それを距離、仰角および方位角の観測雑音標準偏差に変換し、前記観測雑音標準偏差とそれらに付随する位置を表す探知データとを出力する観測手段と、予測誤差共分散行列および前記探知データが入力され、それらから算出される残差共分散行列から、距離方向の固有値、仰角方向の固有値、方位角方向の固有値、距離方向の固有ベクトル、仰角方向の固有ベクトルおよび方位角方向の固有ベクトルを算出する対角化を行う第1のゲート判定諸元算出手段と、前記探知データが距離方向の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力するレンジ方向のゲート判定手段と、前記探知データが仰角方向の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力し、探知データが方位角方向の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力する第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段と、前記レンジ方向のゲート判定手段および前記第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段における前記探知データのゲート判定の結果、ゲート内の探知データについて、ゲート中心と探知データの距離を正規分布の尤度に換算し、その尤度を用いて、データ更新を行い、平滑誤差共分散行列および平滑ベクトルを出力する第2のデータ更新手段と、カルマンフィルタの理論に基づき、現時刻よりも1サンプリング後の予測誤差共分散行列および予測ベクトルを算出する予測手段と、前記予測手段から入力される予測誤差共分散行列および予測ベクトルを1サンプリング遅延させて、前記第1のゲート判定諸元算出手段に対して出力する、1サンプリング遅延手段と、前記第2のデータ更新手段から入力される平滑ベクトルから、目標航跡および目標の速度の表示を行う表示手段と、を備え、前記距離方向の楕円体ゲートと、前記仰角方向の楕円体ゲートと、前記方位角方向の楕円体ゲートとは、組み合わされて、所定次元の楕円体ゲートを構成し、前記所定次元の楕円体ゲートは、前記残差共分散行列を元にした所定次元の楕円体ゲートであって、前記第1のゲート判定諸元算出手段は、前記楕円体ゲートにおいて、前記残差共分散行列の対角化によりレンジ方向とクロスレンジ方向とを決定し、前記レンジ方向のゲート判定手段および前記第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段は、前記第1のゲート判定諸元算出手段によって計算された前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向に基づいて、前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向のゲートサイズパラメータを設定することにより、前記楕円体ゲートのサイズを決定する追尾装置であるので、探知データの尤度により、ゲート中心間の距離を考慮した平滑ベクトルおよび平滑誤差共分散行列を算出することで、次サンプリング以降のゲートの中心が、現時刻の不要信号に極端に引っ張られることなく、不要信号中で安定した追尾を行うことができる。
【0281】
また、サンプリング間隔により、ゲートサイズパラメータを設定する、第1のゲートサイズパラメータ設定手段をさらに備えているので、サンプリング間隔が所定の閾値より大きい場合は、ゲートサイズパラメータを小さく設定するようにして、適度な大きさのゲート半径を保つようにすることで、目標信号の補足および不要信号の侵入を防ぐようにする。
【0282】
また、距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差および方位角の観測雑音標準偏差を固定の値に設定する観測誤差固定手段をさらに備えているので、それらに固定の値を設定することで、サンプリング時刻ごと、探知データごとに極座標における観測誤差共分散行列の計算を行うことが不要になるため、演算負荷を軽減することができる。
【0283】
また、サンプリング間隔を固定する制御信号を予測手段に入力し、予測誤差共分散行列および予測ベクトルの算出の際のサンプリング間隔を固定するサンプリング間隔固定手段をさらに備えているので、状態遷移行列を固定値として扱うことで、予測ベクトルおよび予測誤差共分散行列の演算負荷を軽減することができる。
【0284】
また、追尾初期から数サンプリング分、ゲートの中心を固定するゲート中心固定手段をさらに備えているので、追尾初期時の数サンプリング分だけ、ゲートの中心である予測ベクトルの位置成分の代わりに、固定の第1サンプリングの探知データを使いつづけることで、追尾初期時のばらつきが軽減される。
【0285】
また、前記第1のデータ更新手段から得られる平滑ベクトルの速度成分の大きさを用いて、ゲートサイズパラメータの大きさを変える、ゲートサイズパラメータ可変手段をさらに備えているので、1サンプリング前の平滑ベクトルの速度成分の大きさが、所定の閾値よりも大きい場合に、現時刻のゲートサイズパラメータの大きさを大きくすることによって、目標信号を補足しやすくなる。
【0286】
また、前記第1のデータ更新手段から得られる平滑ベクトルを時定数を固定とした表示用フィルタに入力して、表示用平滑ベクトルを算出する、第1の表示用平滑手段をさらに備えているので、ばらついている探知データから求めた平滑ベクトルを表示すると、表示航跡のがたつきが起こるが、表示用平滑ベクトルの算出を行い、表示用平滑ベクトルから表示用航跡を表示すれば、オペレータに対する表示航跡が滑らかになり、見やすくなる。
【0287】
また、前記第1のデータ更新手段から得られる平滑ベクトルを時定数を可変とした表示用フィルタに入力して、表示用平滑ベクトルを算出する、第2の表示用平滑手段をさらに備えているので、時定数を可変にして、表示用平滑ベクトルを算出することにより、表示用平滑ベクトルを求める前の平滑ベクトルの遅れと、平滑ベクトルの滑らかさの改善を行うことができる。
【0289】
また、前記第1のゲート判定諸元算出手段から入力される固有値の内、固有値の最大値と固有値の最小値の比である条件数を用いて、条件数がある閾値以下ならば、追尾の演算が不安定になっているとの危険信号を、前記表示手段に入力する条件数判定手段をさらに備えているので、オペレータが追尾の演算が不安定になっているという危険信号を察知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 追尾装置に設けられた観測手段に係わる座標系を示した説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態1における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図4】 本発明の実施の形態1における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図5】 本発明の実施の形態2における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図6】 本発明の実施の形態2における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図7】 本発明の実施の形態2における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図8】 本発明の実施の形態3における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 本発明の実施の形態3における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図10】 本発明の実施の形態3における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図11】 本発明の実施の形態4における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図12】 ロジスティック曲線の概念図を示した説明図である。
【図13】 本発明の実施の形態4における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図14】 本発明の実施の形態4における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図15】 本発明の実施の形態5における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図16】 本発明の実施の形態5における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図17】 本発明の実施の形態5における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図18】 本発明の実施の形態6における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図19】 本発明の実施の形態6における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図20】 本発明の実施の形態6における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図21】 本発明の実施の形態7における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図22】 本発明の実施の形態7における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図23】 本発明の実施の形態7における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図24】 本発明の実施の形態8における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図25】 本発明の実施の形態8における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図26】 本発明の実施の形態8における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図27】 本発明の実施の形態9における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図28】 本発明の実施の形態9における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図29】 本発明の実施の形態9における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図30】 本発明の実施の形態10における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図31】 本発明の実施の形態10における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図32】 本発明の実施の形態10における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図33】 本発明の実施の形態11における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図34】 本発明の実施の形態11における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図35】 本発明の実施の形態11における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図36】 本発明の実施の形態12における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図37】 本発明の実施の形態12における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図38】 本発明の実施の形態12における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図39】 本発明の実施の形態13における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図40】 本発明の実施の形態13における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図41】 本発明の実施の形態13における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図42】 本発明の実施の形態14における追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図43】 本発明の実施の形態14における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図44】 本発明の実施の形態14における追尾装置の処理の流れを示す流れ図である。
【図45】 従来の追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図46】 従来の追尾装置の構成を示す説明図である。
【図47】 ゲートと目標予測位置、目標観測位置、目標レンジ方向および目標クロスレンジ方向の関係図である。
【図48】 角度誤差に対するクロスレンジ誤差およびレンジ誤差の関係を示す説明図である。
【図49】 レンジ方向の固有ベクトルとクロスレンジ方向の固有ベクトルの関係を示した説明図である。
【図50】 ゲート中心からの距離を換算した尤度の概念図である。
【符号の説明】
1 観測手段、2 第1のゲート判定諸元算出手段、3 レンジ方向のゲート判定手段、4 第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段、5 第1のゲート判定手段、6 第1のデータ更新手段、7 予測手段、8 1サンプリング遅延手段、9 表示手段、10 第2のクロスレンジ方向のゲート判定手段、11 第1の駆動雑音制御手段、12 第2の駆動雑音制御手段、13 第2のデータ更新手段、14 第1のゲートサイズパラメータ設定手段、15 観測誤差固定手段、16 サンプリング間隔固定手段、17 ゲート中心固定手段、18 目標速度によるゲートサイズパラメータ可変手段、19 第1の表示用平滑手段、20 第2の表示用平滑手段、21 マルチパス判定手段、22 条件数判定手段,101 観測手段、106 データ更新手段、107 予測手段、108 1サンプリング遅延手段、109 表示手段、123 ゲート判定諸元算出手段、124 ゲート判定手段。

Claims (14)

  1. 受信電力を元に、信号対雑音比であるS/N比を得て、それを距離、仰角および方位角の観測雑音標準偏差に変換し、前記観測雑音標準偏差とそれらに付随する位置を表す探知データとを出力する観測手段と、
    予測誤差共分散行列および前記探知データが入力され、それらから算出される残差共分散行列から、距離方向の固有値、仰角方向の固有値、方位角方向の固有値、距離方向の固有ベクトル、仰角方向の固有ベクトルおよび方位角方向の固有ベクトルを算出する対角化を行う第1のゲート判定諸元算出手段と、
    前記探知データが距離方向において所定次元の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力するレンジ方向のゲート判定手段と、
    前記観測手段及び前記第1のゲート判定諸元算出手段から出力されるデータを用いて、仰角方向及び方位角方向で、所定次元の楕円体ゲート判定を行うクロスレンジ方向のゲート判定手段と、
    前記距離方向の前記所定次元の楕円体ゲートに入っているか否かの判定結果を示す信号と、仰角方向および方位角方向の前記所定次元の楕円体ゲートに入っているか否かの判定結果を示す信号とから、距離方向、仰角方向および方位角方向のすべてにおいて前記所定次元の楕円体ゲート内に前記探知データが入っている場合に、目標信号の候補として、その探知データに付随する探知データおよび残差共分散行列を出力する第1のゲート判定手段と、
    前記第1のゲート判定手段から出力される前記探知データおよび前記残差共分散行列が入力され、カルマンフィルタの理論に基づいてデータの更新を行い、平滑誤差共分散行列および平滑ベクトルを出力する第1のデータ更新手段と、
    前記カルマンフィルタの理論に基づき、現時刻よりも1サンプリング後の予測誤差共分散行列および予測ベクトルを算出する予測手段と、
    前記予測手段から入力される予測誤差共分散行列および予測ベクトルを1サンプリング遅延させて、前記第1のゲート判定諸元算出手段に対して前記予測誤差共分散行列を出力する1サンプリング遅延手段と、
    前記第1のデータ更新手段から入力される平滑ベクトルから、目標航跡および目標の速度の表示を行う表示手段と、
    を備え、
    前記所定次元の楕円体ゲートは、前記残差共分散行列を元にした所定次元の楕円体ゲートであって、
    前記第1のゲート判定諸元算出手段は、前記楕円体ゲートにおいて、前記残差共分散行列の対角化によりレンジ方向とクロスレンジ方向とを決定し、
    前記レンジ方向のゲート判定手段および前記クロスレンジ方向のゲート判定手段は、前記第1のゲート判定諸元算出手段によって計算された前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向に基づいて、前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向のゲートサイズパラメータを設定することにより、前記楕円体ゲートのサイズを決定する
    ことを特徴とする追尾装置。
  2. 前記クロスレンジ方向のゲート判定手段が、
    探知データが仰角方向の1次元ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力し、探知データが方位角方向の1次元ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力する第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段から構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の追尾装置。
  3. 前記クロスレンジ方向のゲート判定手段が、
    仰角方向の固有ベクトル、仰角方向の固有値、方位角方向の固有ベクトルおよび方位角方向の固有値を用いて、クロスレンジ方向で、2次元のゲート判定を行う第2のクロスレンジ方向のゲート判定手段から構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の追尾装置。
  4. 前記第1のデータ更新手段から出力される前記平滑ベクトルの速度成分がある閾値より大きくなった場合、駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きく設定して前記予測手段に出力する第1の駆動雑音制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の追尾装置。
  5. 駆動雑音ベクトルの標準偏差の大きさを縦軸として、平滑ベクトルの速度成分を横軸としたロジスティック曲線に基づき、平滑ベクトルの速度成分の大きさに従って、駆動雑音ベクトルの標準偏差を大きく設定するように切り替える第2の駆動雑音制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の追尾装置。
  6. 受信電力を元に、信号対雑音比であるS/N比を得て、それを距離、仰角および方位角の観測雑音標準偏差に変換し、前記観測雑音標準偏差とそれらに付随する位置を表す探知データとを出力する観測手段と、
    予測誤差共分散行列および前記探知データが入力され、それらから算出される残差共分散行列から、距離方向の固有値、仰角方向の固有値、方位角方向の固有値、距離方向の固有ベクトル、仰角方向の固有ベクトルおよび方位角方向の固有ベクトルを算出する対角化を行う第1のゲート判定諸元算出手段と、
    前記探知データが距離方向の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力するレンジ方向のゲート判定手段と、
    前記探知データが仰角方向の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力し、探知データが方位角方向の楕円体ゲートに入っているか否かの判定を行い、その判定結果を示す信号を出力する第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段と、
    前記レンジ方向のゲート判定手段および前記第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段における前記探知データのゲート判定の結果、ゲート内の探知データについて、ゲート中心と探知データの距離を正規分布の尤度に換算し、その尤度を用いて、データ更新を行い、平滑誤差共分散行列および平滑ベクトルを出力する第2のデータ更新手段と、
    カルマンフィルタの理論に基づき、現時刻よりも1サンプリング後の予測誤差共分散行列および予測ベクトルを算出する予測手段と、
    前記予測手段から入力される予測誤差共分散行列および予測ベクトルを1サンプリング遅延させて、前記第1のゲート判定諸元算出手段に対して出力する、1サンプリング遅延手段と、
    前記第2のデータ更新手段から入力される平滑ベクトルから、目標航跡および目標の速度の表示を行う表示手段と、
    を備え、
    前記距離方向の楕円体ゲートと、前記仰角方向の楕円体ゲートと、前記方位角方向の楕円体ゲートとは、組み合わされて、所定次元の楕円体ゲートを構成し、
    前記所定次元の楕円体ゲートは、前記残差共分散行列を元にした所定次元の楕円体ゲートであって、
    前記第1のゲート判定諸元算出手段は、前記楕円体ゲートにおいて、前記残差共分散行列の対角化によりレンジ方向とクロスレンジ方向とを決定し、
    前記レンジ方向のゲート判定手段および前記第1のクロスレンジ方向のゲート判定手段は、前記第1のゲート判定諸元算出手段によって計算された前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向に基づいて、前記レンジ方向および前記クロスレンジ方向のゲートサイズパラメータを設定することにより、前記楕円体ゲートのサイズを決定する
    ことを特徴とする追尾装置。
  7. サンプリング間隔により、ゲートサイズパラメータを設定する、第1のゲートサイズパラメータ設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の追尾装置。
  8. 距離の観測雑音標準偏差、仰角の観測雑音標準偏差および方位角の観測雑音標準偏差を固定の値に設定する観測誤差固定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の追尾装置。
  9. サンプリング間隔を固定する制御信号を予測手段に入力し、予測誤差共分散行列および予測ベクトルの算出の際のサンプリング間隔を固定するサンプリング間隔固定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の追尾装置。
  10. 追尾初期から数サンプリング分、ゲートの中心を固定するゲート中心固定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の追尾装置。
  11. 前記第1のデータ更新手段から得られる平滑ベクトルの速度成分の大きさを用いて、ゲートサイズパラメータの大きさを変える、ゲートサイズパラメータ可変手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の追尾装置。
  12. 前記第1のデータ更新手段から得られる平滑ベクトルを時定数を固定とした表示用フィルタに入力して、表示用平滑ベクトルを算出する、第1の表示用平滑手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の追尾装置。
  13. 前記第1のデータ更新手段から得られる平滑ベクトルを時定数を可変とした表示用フィルタに入力して、表示用平滑ベクトルを算出する、第2の表示用平滑手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の追尾装置。
  14. 前記第1のゲート判定諸元算出手段から入力される固有値の内、固有値の最大値と固有値の最小値の比である条件数を用いて、条件数がある閾値以下ならば、追尾の演算が不安定になっているとの危険信号を、前記表示手段に入力する条件数判定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の追尾装置。
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