JP4168609B2 - リチウムイオン二次電池用正極活物質 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン二次電池に使用される正極活物質に係り、特に、ガス発生が少なく、電池特性(サイクル特性、高負荷特性)及び熱安定性に優れた正極活物質に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯用のパソコン、ビデオカメラ等の電子機器に内蔵される電池として、高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が採用されている。このリチウムイオン二次電池は、リチウムコバルト複合酸化物等の正極活物質をその支持体である正極集電体に保持してなる正極板、リチウム金属等の負極活物質をその支持体である負極集電体に保持してなる負極板、LiPF6等のリチウム塩を溶解した有機溶媒からなる非水電解液、及び正極板と負極板の間に介在して両極の短絡を防止するセパレータからなっている。このうち、正極板、負極板及びセパレータの薄いシート状に成形されたものを巻回し、金属ラミネート樹脂フィルムの電池ケースに収納したラミネート電池、或いは薄型の金属ケースに収納した電池は、従来の厚型の金属ケースに収納した電池に比べ、電池内のガス発生、発熱又は外部からの加熱により容易に膨張し、電池を格納した電池パックケースまでも膨張変形するという問題があった。
【0003】
従来、リチウムイオン二次電池の正極活物質としてLiCoO2を用いた場合、放電容量を向上する目的で充電電圧を上昇させると、正極活物質の結晶の転移、或いは正極活物質の分解が起こり、コバルト酸からの酸素が放出され、この酸素は非水系電解液を酸化分解し、その結果電池内でガスが発生し、ラミネート電池等において上記問題が起きるため対策を必要とした。
【0004】
同様に、放電容量を向上する目的で充電電圧を上昇させると、正極活物質の結晶転移或いは分解に伴い、電池特性(サイクル特性、高負荷特性)、熱安定性も低下した。また、正極活物質のLiCoO2は導電性が低く、そのため導電性のあるカーボンを被覆することで導電性を改善しているが、カーボンとの接触が悪い場合、サイクル劣化を引き起こす原因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、リチウムイオン二次電池のガス発生を低減し、電池特性(サイクル特性、高負荷特性)及び熱安定性を向上できる正極活物質を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上述した問題を解決するために鋭意検討した結果、リチウムイオン二次電池の正極活物質として一般式がLivCo1−w−xTiwMxOySz(但し、MはMg、Baから選ばれた少なくとも1種であり、0.95≦v≦1.05、0<w≦0.05、0<x≦0.10、1≦y≦2.5、0.001≦z≦0.01である。)で表される正極活物質を用いることで、上記課題を解決することができることを見いだし本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、一般式がLivCo1−wTiwMxOySz(但し、MはMg、Baから選ばれた少なくとも1種であり、0.95≦v≦1.05、0<w≦0.05、0<x≦0.10、1≦y≦2.5、0.001≦z≦0.01である。)で表される正極活物質であって、組成中のLi量(v値)はリチウムイオン二次電池の放電容量及び高負荷容量に影響し、0.95≦v≦1.05の範囲が好ましい。また、組成中のTi量(w値)、M量(x値)及びS量(z値)は、リチウムイオン二次電池のガス発生及び電池特性(サイクル特性、高負荷特性)に非常に影響し、0<w≦0.05、0<x≦0.10、0.001≦z≦0.01の範囲が好ましく、さらに0.0001≦w≦0.05、0.0001≦x≦0.05、0.003≦z≦0.009の範囲がより好ましい。組成中のO量(y値)については、S元素を正極活物質中に導入する方法等により異なり、1≦y≦2.5の範囲である。
【0008】
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、その比表面積が0.2〜2.0m2/gの範囲であることを特徴とする。正極活物質の比表面積はリチウムイオン二次電池のガス発生に非常に影響し、特に上記一般式で表される本発明の正極活物質の場合、比表面積が0.2〜2.0m2/gの範囲でガス発生を大幅に低減することができる。より好ましくは0.4〜0.8m2/gの範囲である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の合成は、下記に示すように、リチウム化合物、コバルト化合物、チタン化合物及びMg、Baのうちの少なくとも1種の元素を含む化合物に硫黄又は硫黄化合物を混合した原料混合物を焼成した後、粉砕することによって行われる。
【0010】
リチウム化合物、コバルト化合物、チタン化合物及びMg、Baのうちの少なくとも1種の元素を含む化合物としては、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等を用いることができる。好ましくは、リチウム化合物として、Li2O、LiOH、Li2CO3、LiHCO3、LiNO3、Li2SO4・H2O、Li(CH3COO)、Li2C2O4等、コバルト化合物として、Co3O4、Co2O3、Co(OH)2、CoCO3、Co(NO3)2・6H2O、CoC2O4等、チタン化合物として、TiO2、Ti(OH)4、Ti(NO3)4、Ti2(C2O4)3・10H2O等、Mg、Baのうちの少なくとも1種の元素を含む化合物として、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、Mg(NO3)2・6H2O、MgC2O4・2H2O、BaO、Ba(OH)2・8H2O、BaCO3、Ba(NO3)2、BaC2O4・H2O等が使用できる。
【0011】
硫黄化合物としては、酸化物、硫化物、硫酸塩、硫酸水素塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、ペルオクソ硫酸塩、チオ硫酸塩、アルキル硫酸塩等を用いることができる。好ましくは、(NH4)2S、Li2SO4・H2O、CoSO4、(NH4)2SO4、(NH4)2S2O8等が使用できる。
【0012】
これらの原料の混合は、粉末状の原料をそのまま混合しても良く、水又は有機溶媒を用いてスラリー状として混合しても良い。スラリー状の混合物は乾燥して原料混合物とする。
【0013】
このようにして得られる原料混合物を空気中或いは弱酸化雰囲気で、500〜1000℃の温度範囲で1〜24時間焼成する。好ましくは800〜1000℃の温度範囲で6〜12時間焼成する。焼成温度が500℃未満の場合、未反応の原料が正極活物質に残留し正極活物質の本来の特徴を生かせない。逆に、1000℃を越えると、正極活物質の粒径が大きくなり過ぎて電池特性が低下する。焼成時間は、1時間未満では原料粒子間の拡散反応が進行せず、24時間経過すると拡散反応はほとんど完了しているため、それ以上焼成する必要がない。
【0014】
上記焼成により得られる焼成品をらいかい機を用いて粉砕して、比表面積が0.2〜2.0m2/g、平均粒径が1.0〜12.0μmの範囲の本発明の正極活物質を得る。
【0015】
本発明の正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、電解液の酸化分解反応が抑制され、電池内で発生するガス量が低減されるため、膨張変形が非常に少なく、電池特性(サイクル特性、高負荷特性)及び熱安定性も向上する。
【0016】
次に、本発明の正極活物質を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、ガス発生、電池特性(サイクル特性、高負荷特性)及び熱安定性について測定した結果を説明する。
【0017】
(リチウムイオン二次電池の作製)
正極活物質粉末90重量部と、導電剤(例えば、天然黒鉛、鱗片状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類などを単独で又は混合して用いる。)5重量部と、ポリフッ化ビニリデン5重量部とを混練してペーストを調製し、これを正極集電体に塗布、乾燥して正極板とする。また、負極にカーボン(例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛炭素等)、セパレータに多孔性プロピレンフィルムを用い、電解液としてエチレンカーボネート:ジエチルカーボネイト=1:1(体積比)の混合溶媒にLiPF6を1mol/lの濃度で溶解した溶液を用いてリチウムイオン二次電池を作製する。ここでは、正極板、負極板及びセパレータの薄いシート状に成形されたものを巻回し、金属ラミネート樹脂フィルムの電池ケースに収納したラミネート電池を作製する。
【0018】
(ガス発生の評価)
一般式がLiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2Sz、LiCo0.999Ti0.001O2Sz、LiCo0.999Mg0.001O2Sz及びLiCoO2Szで表される種々の正極活物質を用いてラミネート電池を作製し、充電負荷0.5Cで4.2Vまで定電流充電後、80℃で2日間保存し、ガス発生による電池の膨張率(%)を下記の式から求める(ここで1Cは、1時間で充電又は放電が終了する電流負荷である)。
電池の膨張率={(80℃保存後の電池の厚み−測定前の電池の厚み)/測定前の電池の厚み}×100
【0019】
図1に、上記正極活物質中のS量(z値)と電池の膨張率の関係を示す。この図から明らかなように、本発明の正極活物質LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2Sz(1a)を用いた電池の膨張率は、z値が0<z≦0.015の範囲で低く、特に0.003≦z≦0.009の範囲で非常に低くなっており、電池内で発生するガス量が低減されることがわかる。また、Mg元素を含有しない正極活物質LiCo0.999Ti0.001O2Sz(1b)、Ti元素を含有しない正極活物質LiCo0.999Mg0.001O2Sz(1c)及びMg元素とTi元素を共に含有しない正極活物質LiCoO2Sz(1d)を用いた電池に比べて、膨張率が非常に低いことがわかる。このように、正極活物質中にTi元素、Mg元素、S元素の3種類の元素を全て含むことによって、電池の膨張率は非常に低減される。
【0020】
次に、比表面積が異なる種々の正極活物質を用いてラミネート電池を作製し、同様に電池の膨張率(%)を求める。図2に、一般式がLiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.005で表される正極活物質の比表面積と電池の膨張率の関係を示す。この図から明らかなように、本発明の正極活物質を用いた電池の膨張率は、比表面積が2.0m2/g以下で少なく、特に0.8m2/g以下で非常に少なくなっており、電池内で発生するガス量が低減されることがわかる。比表面積が2.0m2/gより大きくなると、正極活物質表面或いはその近傍で起こる電解液の酸化分解反応の反応性が増し、その結果電池内で発生するガス量が増えるものと考えられる。比表面積が0.2m2/gより小さいと、正極活物質の粒径が大きくなり過ぎて電池特性が低下するため、比表面積は0.2〜2.0m2/gの範囲が好ましく、0.4〜0.8m2/gの範囲がより好ましい。
【0021】
(サイクル特性の評価)
一般式がLiCo0.999−wTiwMg0.001O2S0.005、LiCo1−wTiwO2S0.005、LiCo0.999−wTiwMg0.001O2及びLiCo1−wTiwO2で表される種々の正極活物質を用いてラミネート電池を作製し、常温(25℃)で、充電負荷0.5Cで4.2Vまで定電流充電後、1.0Cで2.75Vまで放電する充放電を500サイクル行い、500サイクル目の容量維持率(%)を下記の式から求める。
容量維持率=(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
【0022】
図3に、上記正極活物質中のTi量(w値)と容量維持率の関係を示す。図3から、本発明の正極活物質LiCo0.999−wTiwMg0.001O2S0.005(3a)を用いた電池の容量維持率は、w値が0<w≦0.05の範囲で高く、特に0.0001≦w≦0.05の範囲で非常に高くなっていることがわかる。また、Mg元素を含有しない正極活物質LiCo1−wTiwO2S0.005(3b)、S元素を含有しない正極活物質LiCo0.999−wTiwMg0.001O2(3c)及びMg元素とS元素を共に含有しない正極活物質LiCo1−wTiwO2(3d)を用いた電池に比べて、容量維持率が非常に高いことがわかる。このように、正極活物質中にTi元素、Mg元素、S元素の3種類の元素を全て含むことによって、電池のサイクル特性は非常に向上する。
【0023】
(高負荷特性の評価)
一般式がLiCo0.999−xTi0.001MgxO2S0.005、LiCo1−xMgxO2S0.005、LiCo0.999−xTi0.001MgxO2及びLiCo1−xMgxO2で表される種々の正極活物質を用いてラミネート電池を作製し、充電負荷2.0Cで4.2Vまで定電流充電後、2.0Cで2.75Vまで放電したときの放電容量を高負荷容量(mAh/g)として求める。
【0024】
図4に、上記正極活物質中のMg量(x値)と高負荷容量の関係を示す。図4から、本発明の正極活物質LiCo0.999−xTi0.001MgxO2S0.005(4a)を用いた電池の高負荷容量は、x値が0<x≦0.10の範囲で高く、特に0.0001≦x≦0.05の範囲で非常に高くなっていることがわかる。また、Ti元素を含有しない正極活物質LiCo1−xMgxO2S0.005(4b)、S元素を含有しない正極活物質LiCo0.999−xTi0.001MgxO2(4c)及びTi元素とS元素を共に含有しない正極活物質LiCo1−xMgxO2(4d)を用いた電池に比べて、高負荷容量が非常に高いことがわかる。このように、正極活物質中にTi元素、Mg元素、S元素の3種類の元素を全て含むことによって、電池の高負荷特性は非常に向上する。
【0025】
上述したように、正極活物質中にTi元素、Mg元素、S元素の3種類の元素を全て含むことによって、相乗効果として正極活物質の結晶転移或いは分解がさらに抑制される結果、電池の膨張率は著しく低減し、電池特性(サイクル特性、高負荷特性)は非常に向上する。
【0026】
同様に、一般式がLivCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.005で表される種々の正極活物質を用いてラミネート電池を作製し、高負荷容量(mAh/g)を求める。図5に、正極活物質中のLi量(v値)と高負荷容量の関係を示す。この図から、高負荷容量はv値が1.05より大きくなると低下していることがわかる。
【0027】
また、通常の電流密度で放電させた場合(0.25C)について、図6に正極活物質中のLi量(v値)と放電容量の関係を示す。この図から、放電容量はv値が0.95より小さくなると低下していることがわかる。
【0028】
従って、高負荷容量と通常時の放電容量のいずれも考慮すると、v値は0.95≦v≦1.05の範囲に設定する必要がある。
【0029】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は具体的実施例のみに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0030】
【実施例】
[実施例1]
炭酸リチウム(Li2CO3)、四三酸化コバルト(Co3O4)、二酸化チタン(TiO2)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、硫酸リチウム(Li2SO4・H2O)を、v=1.0、w=0.001、x=0.001、z=0.005になるように計量し、乾式混合する。得られた原料混合物を空気中、900℃で10時間焼成した後、らいかい機を用いて粉砕して、比表面積が0.62m2/g、平均粒径が3.5μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.005を得る。
【0031】
なお、比表面積は、窒素ガス吸着による定圧式BET一点法にて測定する。平均粒径は、空気透過法により比表面積を測定し、一次粒子の粒径の平均値を求めたものであり、フィッシャーサブシーブサイザー(F.S.S.S.)を用いて測定する。また、組成分析は次のような方法で測定する。すなわち、Liは炎光光度法、Coは滴定法、Ti、Mg、Ba及びSはICP発光分光分析法により測定する。
【0032】
[実施例2]
w=0.005にする以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.62m2/g、平均粒径が3.5μmの正極活物質粉末LiCo0.994Ti0.005Mg0.001O2S0.005を得る。
【0033】
[実施例3]
w=0.01にする以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.63m2/g、平均粒径が3.5μmの正極活物質粉末LiCo0.989Ti0.01Mg0.001O2S0.005を得る。
【0034】
[実施例4]
x=0.005にする以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.64m2/g、平均粒径が3.3μmの正極活物質粉末LiCo0.994Ti0.001Mg0.005O2S0.005を得る。
【0035】
[実施例5]
x=0.01にする以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.65m2/g、平均粒径が3.3μmの正極活物質粉末LiCo0.989Ti0.001Mg0.01O2S0.005を得る。
【0036】
[実施例6]
z=0.003にする以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.63m2/g、平均粒径が3.5μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.003を得る。
【0037】
[実施例7]
z=0.009にする以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.63m2/g、平均粒径が3.5μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.009を得る。
【0038】
[実施例8]
z=0.012にする以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.63m2/g、平均粒径が3.4μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.012を得る。
【0039】
[実施例9]
z=0.015にする以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.64m2/g、平均粒径が3.4μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.00 1Mg0.001O2S0.015を得る。
【0040】
[実施例10]
二酸化チタン(TiO2)の代わりに水酸化チタン(Ti(OH)4)を使用する以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.63m2/g、平均粒径が3.5μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.005を得る。
【0041】
[実施例11]
二酸化チタン(TiO2)の代わりに硝酸チタン(Ti(NO3)4)を使用する以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.63m2/g、平均粒径が3.5μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.005を得る。
【0042】
[実施例12]
二酸化チタン(TiO2)の代わりにシュウ酸チタン(Ti2(C2O4)3・10H2O)を使用する以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.64m2/g、平均粒径が3.4μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.005を得る。
【0043】
[実施例13]
硫酸リチウム(Li2SO4・H2O)の代わりに硫黄(S)を使用する以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.64m2/g、平均粒径が3.4μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.005を得る。
【0044】
[実施例14]
硫酸リチウム(Li2SO4・H2O)の代わりに硫化アンモニウム((NH4)2S)を使用する以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.63m2/g、平均粒径が3.5μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.005を得る。
【0045】
[実施例15]
硫酸リチウム(Li2SO4・H2O)の代わりにペルオクソ二硫酸アンモニウム((NH4)2S2O8)を使用する以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.63m2/g、平均粒径が3.5μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2S0.005を得る。
【0046】
[実施例16]
炭酸マグネシウム(MgCO3)の代わりに炭酸バリウム(BaCO3)を使用する以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.64m2/g、平均粒径が3.4μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Ba0.001O2S0.005を得る。
【0047】
[比較例1]
二酸化チタン(TiO2)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、硫酸リチウム(Li2SO4・H2O)を使用しない以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.61m2/g、平均粒径が3.6μmの正極活物質粉末LiCoO2を得る。
【0048】
[比較例2]
炭酸マグネシウム(MgCO3)、硫酸リチウム(Li2SO4・H2O)を使用しない以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.61m2/g、平均粒径が3.6μmの正極活物質粉末LiCo0.999Ti0.001O2を得る。
【0049】
[比較例3]
二酸化チタン(TiO2)、硫酸リチウム(Li2SO4・H2O)を使用しない以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.61m2/g、平均粒径が3.6μmの正極活物質粉末LiCo0.999Mg0.001O2を得る。
【0050】
[比較例4]
二酸化チタン(TiO2)、炭酸マグネシウム(MgCO3)を使用しない以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.61m2/g、平均粒径が3.6μmの正極活物質粉末LiCoO2S0.005を得る。
【0051】
[比較例5]
硫酸リチウム(Li2SO4・H2O)を使用しない以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.61m2/g、平均粒径が3.6μmの正極活物質粉末LiCo0.998Ti0.001Mg0.001O2を得る。
【0052】
[比較例6]
炭酸マグネシウム(MgCO3)を使用しない以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.61m2/g、平均粒径が3.6μmの正極活物質粉末LiCo0.999Ti0.001O2S0.005を得る。
【0053】
[比較例7]
二酸化チタン(TiO2)を使用しない以外は実施例1と同様にして、比表面積が0.61m2/g、平均粒径が3.6μmの正極活物質粉末LiCo0.999Mg0.001O2S0.005を得る。
【0054】
(評価)
実施例1〜16及び比較例1〜7で得られた正極活物質粉末を用いてラミネート電池を作製し、ガス発生、電池特性(サイクル特性、高負荷特性)及び熱安定性について測定した結果を表1にまとめる。電池の膨張率、常温(25℃)での容量維持率及び高負荷容量は前記と同様に測定する。高温(60℃)での容量維持率は、60℃高温槽中で測定する以外は常温(25℃)での容量維持率と同様に測定する。熱安定性については、次のように示差走査熱量測定を行い、発熱開始温度により評価する。
【0055】
(熱安定性の評価)
▲1▼正極活物質粉末90重量部と、導電剤としてのカーボン5重量部と、ポリフッ化ビニリデン5重量部とを混練してペーストを調製し、これを単極評価可能なデマンタブル式のセル正極集電体に塗布し、電解液にエチレンカーボネートを用いて二次電池を作製する。
▲2▼定電流による充放電を行いなじませた後、一定電流の下で電池電圧が4.3Vになるまで充電を行う。
▲3▼充電後、二次電池から正極を取り出し、洗浄、乾燥を行い、正極活物質を削り取る。
▲4▼正極から削り取った正極活物質5mgとエチレンカーボネート2mgをAlセルに入れ、示差走査熱量分析を行い、発熱開始温度を求める。
【0056】
示差走査熱量分析とは、基準物質と試料とを同時に一定の速度で加熱しながら両者の間に生じる温度差を測定し、試料物質の熱的特性を解析する方法であり、正極活物質について測定すると、低温部では示差走査熱量は変化しないが、ある温度以上で示差走査熱量が大きく増大する。この時の温度を発熱開始温度とし、この温度が高いほど熱安定性が良いといえる。
【0057】
表1から、比較例1〜7に比べ、実施例1〜15は正極活物質中にTi元素、Mg元素、S元素の3種類の元素を全て含むことによって、電池の膨張率が低減し、容量維持率、高負荷容量が高く、電池特性(サイクル特性、高負荷特性)が優れていることがわかる。サイクル特性については、常温(25℃)でのサイクル特性だけでなく高温(60℃)でのサイクル特性も優れており、電池の使用環境が高温でも優れた電池特性を示すことがわかる。また、発熱開始温度は比較例に比べ高く、熱安定性にも優れていることがわかる。例えば、Ti元素、Mg元素、S元素の3種類の元素をいずれも含まない比較例1、1種類の元素のみ含む比較例2〜4、2種類の元素を含む比較例5〜7に比べ、3種類の元素を全て含む実施例1の場合、電池の膨張率は低く、且つ容量維持率、高負荷容量が高くなっている。また、発熱開始温度も高くなっている。このように、正極活物質中にTi元素、Mg元素、S元素の3種類の元素を全て含むことによって、相乗効果として正極活物質の結晶転移或いは分解がさらに抑制される結果、電池内のガス発生は著しく低減し、電池特性(サイクル特性、高負荷特性)及び熱安定性は非常に向上する。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】
リチウムイオン二次電池の正極活物質として一般式がLivCo1−w−xTiwMxOySz(但し、MはMg、Baから選ばれた少なくとも1種であり、0.95≦v≦1.05、0<w≦0.05、0<x≦0.10、1≦y≦2.5、0<z≦0.015である。)で表される正極活物質を用いることにより、電池内のガス発生を低減し、電池特性(サイクル特性、高負荷特性)及び熱安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】正極活物質中のS量(z値)と電池の膨張率の関係を示す特性図
【図2】正極活物質の比表面積と電池の膨張率の関係を示す特性図
【図3】正極活物質中のTi量(w値)と容量維持率の関係を示す特性図
【図4】正極活物質中のMg量(x値)と高負荷容量の関係を示す特性図
【図5】正極活物質中のLi量(v値)と高負荷容量の関係を示す特性図
【図6】正極活物質中のLi量(v値)と放電容量の関係を示す特性図
Claims (2)
- 一般式がLivCo1−w−xTiwMxOySz(但し、MはMg、Baから選ばれた少なくとも1種であり、0.95≦v≦1.05、0<w≦0.05、0<x≦0.10、1≦y≦2.5、0.001≦z≦0.01である。)で表されることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質。
- 比表面積が0.2〜2.0m2/gの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
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