JP4165184B2 - アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、形状記憶合金を用いたアクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、形状記憶合金を用いて構成したアクチュエータとして、波形状に形成した複数本の形状記憶合金素材を並設し、隣接する波形状の形状記憶合金素材の山同士ないし谷同士を接合することによって伸縮可能としたものが提案されている。このアクチュエータは通電加熱することにより変形する(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−102933号公報(第2−3頁、図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1には、通電加熱によって変形した後に通電を停止すると元の形状に戻るアクチュエータが記載されているものの、アクチュエータへの通電を停止した後には自然冷却になるから、アクチュエータを短時間で繰り返して伸縮させることはできないものである。つまり、アクチュエータを通電加熱して変形させた後に通電を停止しても、アクチュエータが元の形状に戻る程度まで冷却されるには比較的長い時間を要するから、電源の入切に対して応答性よく伸縮させることが困難である。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、加熱と放熱とに対する応答性を高めたアクチュエータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、形状記憶合金素材により伸縮可能な筒状に形成され変態温度以上に加熱したときに口軸方向に収縮するとともに拡径するように形状が記憶され変態温度未満では口軸方向に伸長するとともに縮径するようにバイアスが付与されたアクチュエータ本体と、アクチュエータ本体を変態温度以上に加熱する状態とアクチュエータ本体を放熱する状態とを選択する加熱制御部と、アクチュエータ本体の内側に一部が配置されるとともにアクチュエータ本体が縮径したときにアクチュエータ本体が外面に接触するように外径が設定され接触したアクチュエータ本体の放熱を行うヒートシンクとからなり、アクチュエータ本体は、帯素材または線素材を波形状に屈曲させた複数本のエレメントを接合または編組して形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ヒートシンクが弾性を有した柔軟材料からなることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記ヒートシンクは、中空であって冷却用流体が内部を通過することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記冷却用流体のヒートシンク内への通過と停止とを制御する流体制御部を有し、流体制御部は前記加熱制御部による前記アクチュエータ本体の加熱時には冷却用流体のヒートシンクへの通過を停止することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、前記ヒートシンクがアクチュエータ本体の内側に一部が配置された多数本の放熱線の集合体で構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明では、請求項5の発明において、前記加熱制御部は、前記アクチュエータ本体と一体であって通電によりアクチュエータ本体を加熱するヒータ部を備え、前記放熱線の一部が前記アクチュエータ本体の口軸方向の両端部においてヒータ部に接続されヒータ部への通電経路に兼用されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明では、請求項1の発明において、前記ヒートシンクは、アクチュエータ本体との接触部位とアクチュエータ本体との非接触部位とに跨るように配置したヒートパイプを備え、ヒートパイプに封入された熱媒がアクチュエータ本体との接触部において気化されてアクチュエータ本体との非接触部に移動し、熱媒が潜熱を放出して液化した後にアクチュエータ本体との接触部に戻ることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明では、請求項1の発明において、前記ヒートシンクは、アクチュエータ本体との接触部位とアクチュエータ本体との非接触部位とに跨るように配置した放熱パイプを備え、放熱パイプにおいて少なくともアクチュエータ本体との接触部位には前記変態温度付近で溶融する吸熱材が充填されていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態は、図1に示すように、伸縮可能な円筒状に形成したアクチュエータ本体1と、アクチュエータ本体1の内側に配置したヒートシンク2とを備える。アクチュエータ本体1は形状記憶合金素材により形成されたものであり、図2のように、形状記憶合金素材の帯素材または線素材を波形状に屈曲させた複数本のエレメント1aを並設し、隣接するエレメント1aの山部同士と谷部同士とを接合したものを用いて形成される。あるいはまた、図3のように、形状記憶合金の線素材を波形状に屈曲させた複数本のエレメント1bをメリヤス編みとなるように編組して形成される。このような形状のアクチュエータ本体1は口軸方向において伸縮することが可能であり、口軸方向に伸長すれば縮径し、口軸方向に収縮すれば拡径することになる。ここに、形状記憶合金素材としては、変態温度以上に加熱するときに口軸方向に収縮するように形状が記憶され、変態温度未満に冷却されると元の形状に戻る(つまり、口軸方向に伸長する)ようにバイアスが付与された二方向性のものを用いる。バイアスは金属あるいは合成樹脂の弾性を利用して付与されており、変態温度以上では形状記憶合金の収縮力がバイアスよりも大きくなり、変態温度以下になればバイアスによって形状記憶合金が塑性変形することによってアクチュエータ本体1は伸縮する。したがって、アクチュエータにより外力を作用させようとする被駆動部材をアクチュエータ本体1に機械的に結合しておけば、アクチュエータ本体1の伸縮に伴う外力を被駆動部材に伝達することができる。形状記憶合金素材としては、NiTi合金など周知のものを用いることができる。形状を記憶させる際には円筒状に形成した後に400℃で1時間程度加熱する。
【0015】
上述したように、アクチュエータ本体1の内側にはヒートシンク2が配置される。ヒートシンク2は、アクチュエータ本体1が変態温度未満で縮径したときにアクチュエータ本体1が密着する程度の外径を有した円柱状のシンク本体2aと、シンク本体2aの軸方向の一端部に熱的に結合された放熱フィン2bとを備える。放熱フィン2bは、円板状のフィン板2cを厚み方向に離間させた形で多数枚並設するとともにフィン板2cの中央部間を機械的かつ熱的に結合した構造を有する。つまり、シンク本体2aの温度が放熱フィン2bよりも上昇すると、シンク本体2aから放熱フィン2bに熱が伝達され、放熱フィン2bから放熱されることによってシンク本体2aの温度が引き下げられる。ヒートシンク2の材料としては、放熱効率を高めるには銅ないしアルミニウムのような熱伝導性の高い金属材料を用いるのが望ましい。
【0016】
本実施形態のアクチュエータ本体1は通電加熱されるものであって、アクチュエータ本体1の口軸方向の両端部には電極4が設けられる。電極4はアクチュエータ本体1の各端部の全周に亘る円環状に形成され、アクチュエータ本体1にかしめて固定されるかあるいは半田により固定される。両電極4間には制御電源3が接続される。図1では制御電源3を電圧源3aとスイッチ3bとにより模式化して示しているが、電極4間に印加する電圧波形はアクチュエータ本体1から外力を作用させようとする被駆動部材に応じて適宜に制御することができる。
【0017】
図1(a)のように電極4間に電圧を印加すると、アクチュエータ本体1に通電されることによってアクチュエータ本体1が自己発熱し、アクチュエータ本体1が変態温度以上に加熱されることによりアクチュエータ本体1が口軸方向に収縮する。つまり、本実施形態では、アクチュエータ本体1と制御電源3とによりアクチュエータ本体1を加熱する加熱制御部が構成されている。アクチュエータ本体1は加熱時にはヒートシンク2から離れるから、アクチュエータ本体1を急速に加熱することができる。つまり、通電開始からアクチュエータ本体1が変態温度以上に達するまでの時間は比較的短く、応答性よくアクチュエータ本体1を収縮させることができる。
【0018】
一方、図1(b)のようにアクチュエータ本体1への通電を停止するとアクチュエータ本体1は放熱して伸長するのであって、アクチュエータ本体1は伸縮性を有しているから、アクチュエータ本体1が伸長すればシンク本体2aにアクチュエータ本体1が密着する。その結果、ヒートシンク2を通してアクチュエータ本体1から急速に放熱される。アクチュエータ本体1は伸長方向にバイアスが付与されているから、アクチュエータ本体1がシンク本体2aに密着した状態でもアクチュエータ本体1は伸長する。このように、アクチュエータ本体1は通電停止から比較的短時間で図1(b)のような伸長した状態に復帰する。つまり、アクチュエータ本体1は収縮した状態から応答性良く伸長する。
【0019】
上述した動作から明らかなように、アクチュエータ本体1はヒートシンク2のシンク本体2aに密着している時に通電されて加熱されるから、アクチュエータ本体1(電極4を含む)とシンク本体2aとの少なくとも一方の表面には絶縁被膜を形成しておく。絶縁被膜は絶縁材料を吹き付けたりCVD法などにより形成することができる。
【0020】
(実施形態2)
実施形態1ではヒートシンク2の材料として熱伝導性の良好な金属材料を用いているが、アクチュエータの用途によってはヒートシンク2を弾性を有した柔軟材料により形成するのが望ましい場合もある。たとえば、人体の関節付近に装着する器具にアクチュエータを設け、関節の屈伸時にアクチュエータを駆動するような場合には、関節の屈伸に合わせてアクチュエータも屈曲可能になっていることが望ましい。この種の器具としては、関節の屈伸時に反対方向に負荷を与える運動補助具や、関節の屈伸時に同方向に補助力を与える運動機能補助具などが考えられる。そこで、この種の用途に用いるアクチュエータでは、ヒートシンク2の材料として、シリコン樹脂のような熱伝導率が比較的高い柔軟材料をベース材料とし、さらに熱伝導性を高めるために貴金属のようなフィラを混入したものを用いるのが望ましい。ヒートシンク2を柔軟材料で形成した場合には、アクチュエータ本体1の口軸方向を含む面内でアクチュエータを屈伸させることが可能になる。
【0021】
この種の柔軟材料からなるヒートシンク2を用いる場合に、通電開始からアクチュエータ本体1が変態温度以上になるまでの応答性を低下させてもよい場合は、図4のように、シンク本体2aの外径をアクチュエータ本体1の収縮時の内径に一致させておき、アクチュエータ本体1の伸長時にはシンク本体2aが変形してヒートシンク2も伸長する構成を採用することができる。この構成の場合、アクチュエータ本体1の伸長時にヒートシンク2が圧縮されて伸長するから、アクチュエータ本体1の可動範囲を実施形態1よりも大きくとることが可能になる。図4(a)のようにアクチュエータ本体1に通電すればアクチュエータ本体1が加熱されて口軸方向に収縮し、図4(b)のようにアクチュエータ本体1の通電を停止すればアクチュエータ本体1がヒートシンク2により放熱され、アクチュエータ本体1を応答性よく伸長させることができる。さらに、本実施形態の構成では、ヒートシンク2がアクチュエータ本体1の縮径によって伸長するから、アクチュエータ本体1ではなくヒートシンク2に被駆動部材を結合することによって被駆動部材にヒートシンク2から力を作用させることが可能であり、被駆動部材との結合がアクチュエータ本体1に比較して容易である。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0022】
(実施形態3)
上述した実施形態では放熱フィン2bを設けた自然空冷式のヒートシンク2を例示したが、本実施形態では、図5に示すように、ヒートシンク2に放熱フィン2bを設けずにシンク本体2aを中空に形成しておき、シンク本体2aの中に冷却用流体を通過させることによってシンク本体2aを強制的に冷却する構成を採用している。冷却用流体としては空気や水を用いることができる。冷却用流体はシンク本体2aに循環路5aを介して接続されたポンプ5bを用いて循環され、シンク本体2aで加熱された冷却用流体が循環路5aを通過する間に放熱されるようにしてある。アクチュエータ本体1で発生する熱量は比較的小さいから、循環路5aにおいては冷却用流体から外部に放熱する構成をとくに設けていないが、必要に応じて循環路5aに放熱フィンのように外部に放熱する構成を付加してもよい。このように冷却用流体をシンク本体2aに循環させることによってシンク本体2aを強制的に冷却する構成を採用していることによって、放熱効率が高くなりアクチュエータ本体1の通電停止からアクチュエータ本体1が収縮するまでの応答性を上述の実施形態よりも高めることが可能になる。他の構成および動作は実施形態1または実施形態2と同様である。
【0023】
ところで、ヒートシンク2に冷却用流体を流通させる構成を採用する場合に、図6に示すように、循環路5aに流体制御部としてバルブ5cを設け、冷却用流体のヒートシンク2内への通過と停止とをバルブ5cの開閉によって制御してもよい。バルブ5cは電磁弁を用いて構成すればよく、制御電源3からアクチュエータ本体1への通電時にバルブ5cを閉止し、制御電源3からアクチュエータ本体1への通電停止時にバルブ5cを開放する。このような制御によって、アクチュエータ本体1の通電時にヒートシンク2による放熱量を低減することができ、結果的にアクチュエータ本体1の通電時に変態温度以上に加熱するための電力を低減することになる。
【0024】
(実施形態4)
本実施形態は、図7に示すように、多数本の放熱線2dをヒートシンク2としてアクチュエータ本体1の内側に配置したものである。アクチュエータ本体1(電極4を含む)と放熱線2dとの少なくとも一方に絶縁被膜が形成されることによってアクチュエータ本体1および電極4と放熱線2dとは電気的に絶縁され、かつアクチュエータ本体1に放熱線2dが接触することによって両者は熱的に結合されている。
【0025】
この構成では、放熱線2dはアクチュエータ本体1の伸縮に追従するから、ヒートシンク2に柔軟材料を用いた図4の構成と同様に機能する。つまり、アクチュエータに柔軟性を付与することができる。しかも、放熱線2dを銅やアルミニウムのような熱伝導性の良好な金属により形成することにより、シリコン樹脂を用いたヒートシンク2を用いる場合よりも放熱効率が高くなり、アクチュエータ本体1への通電停止後からアクチュエータ本体1が伸長するまでの応答性を高めることができる。なお、放熱線2dの一端部には放熱フィン2bが結合され放熱線2dを伝達された熱が放熱フィン2bから放熱されるようにしてある。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0026】
ところで、放熱フィン2bを設ける代わりに図8のように放熱線2dの各端部を束ねるようにしてもよい。このようにアクチュエータ本体1から引き出した放熱線2dの両端部をそれぞれ束ねておき、放熱線2dを束ねた部位で放熱するようにしてある。ここで、図9に示すように、放熱線2dの各一方の端部において一部の放熱線2dはアクチュエータ本体1の内部に挿通することなく各電極4に接続してある。放熱線2dの各端部はそれぞれ束ねてあるから、放熱線2dの各端部を制御電極3に接続することにより、放熱線2dを通してアクチュエータ本体1に通電することが可能になる。なお、電極4に何本の放熱線2dを接続するかは適宜に決定される。図9に示す構成では、アクチュエータ本体1の内部であってアクチュエータ本体1の口軸方向の中央部に、アクチュエータ本体1とともに伸縮する絶縁板1cを配置してあり、アクチュエータ本体1の内部に挿通されている放熱線2dを絶縁板1cによって保持してある。図8および図9に示す構成では制御電源3からアクチュエータ本体1に給電する経路が放熱機能に兼用されるから省スペース化につながる。
【0027】
(実施形態5)
本実施形態は、図10に示すように、ヒートシンク2にヒートパイプ2eを用いたものである。ヒートパイプ2eはヒートシンク2のシンク本体2aとは別部材としているが、ヒートパイプ2eの一端部をシンク本体2aとして用いてもよい。ヒートパイプ2eの一端部はアクチュエータ本体1に挿入され、ヒートパイプ2eの他端部はアクチュエータ本体1の一端部から外部に突出している。つまり、ヒートパイプ2eはアクチュエータ本体1との接触部と非接触部位とに跨るように配置されている。
【0028】
ヒートパイプ2eは周知のように、内部に液体の熱媒が封入されており、ヒートパイプ2eの一端部が加熱されて熱媒が気化すると、気化した熱媒がヒートパイプ2eの他端部に移動して冷却され、再び液体に戻るときに潜熱を放出することで、比較的大きな熱量をヒートパイプ2eの一端部から他端部に向かって比較的高速に運ぶように構成されている。また、一般には液体に戻った熱媒は毛管現象を生じるウィグによって他端部から一端部に戻る。
【0029】
上述のようにヒートシンク2にヒートパイプ2eを用いることによって熱の伝達速度を速めることになり、結果的に放熱効率が高くなる。つまり、アクチュエータ本体1への通電停止からアクチュエータ本体1が冷却される時間が短くなり応答性が高くなる。しかも、ヒートシンクの熱の移動速度は実施形態1の構成に比較すると大幅に大きいから、ヒートシンク2が熱平衡になりにくく(つまり、ヒートシンク2の両端部の温度が等しくなりにくく)、長時間に亘って繰り返してアクチュエータを動作させることができる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0030】
ところで、ヒートパイプ2eでは液体が気化し再び液体に戻ることを利用して熱を潜熱として移動させているが、加熱と放熱との繰り返し速度の遅い用途であれば、熱の移動速度を大きくする必要はなく、アクチュエータ本体1を冷却する効果が高ければよいといえる。そこで、ヒートシンク2としてアクチュエータ本体1との接触部位とアクチュエータ本体1との非接触部位とに跨るように配置した中空の放熱パイプを設け、放熱パイプの内部には硫酸ナトリウム10水塩のような水和塩あるいは固形パラフィンを吸熱材として封入したものを用いてもよい。この種の吸熱材はアクチュエータ本体1の変態温度付近で融解し、相変化に伴う潜熱を奪うことによって吸熱するものであって、アクチュエータ本体1がヒートシンク2に接触すると吸熱するのである。このような吸熱材を封入した放熱パイプを用いることにより通電停止に対する応答性を実施形態1の構成よりも高めることが可能になる。なお、アクチュエータ本体1がヒートシンク2から離れると、放熱パイプは放熱フィン2bによって冷却され吸熱材は固体に戻る。
【0031】
上述した各実施形態では、アクチュエータ本体1を加熱制御部のヒータ部に兼用しアクチュエータ本体1の自己発熱によりアクチュエータ本体1を加熱する構成を例示したが、ニクロム線のような発熱線をアクチュエータ本体1に編み込んだり、発熱線をアクチュエータ本体1の内側または外側に螺旋状に巻いたりすることによって、アクチュエータ本体1を加熱するためのヒータ部を構成してもよい。また、シート状のヒータをアクチュエータ本体1と組み合わせてアクチュエータ本体1の加熱に用いることも可能である。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明の構成によれば、アクチュエータ本体を加熱する際にはアクチュエータ本体がヒートシンクから離れるから、効率よく加熱されて口軸方向に収縮する。一方、アクチュエータ本体を加熱した状態から加熱を停止すると口軸方向に伸長するのに伴って縮径しヒートシンクに接触するから、アクチュエータ本体からの放熱効率が高くなり、冷却時のアクチュエータ本体の応答性が向上する。つまり、加熱を停止した後にアクチュエータ本体が伸長するまでの時間が比較的短く応答性が高くなる。このように、加熱の開始と停止とに対してアクチュエータ本体は応答性よく収縮と伸長とを行う。しかも、帯素材または線素材を波形状に屈曲させた複数本のエレメントを接合または編組してアクチュエータ本体を形成しているので、伸縮性に富んだアクチュエータ本体を形成できる。
【0033】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ヒートシンクが弾性を有した柔軟材料からなるので、放熱時にヒートシンクが弾性変形し、アクチュエータ本体の可動範囲が大きくなる。また、ヒートシンクが柔軟材料により形成されているから、曲げ力が作用するような用途に利用することが可能になる。
【0034】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、ヒートシンクは、中空であって冷却用流体が内部を通過するので、冷却用流体を通過させることによってアクチュエータ本体との接触部の温度を短時間で低下させることができ、加熱停止からアクチュエータ本体の伸長までの応答性を高めることができる。
【0035】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、冷却用流体のヒートシンク内への通過と停止とを制御する流体制御部を有し、流体制御部は加熱制御部によるアクチュエータ本体の加熱時には冷却用流体のヒートシンクへの通過を停止するものであり、通電停止時には冷却用流体の通過によってアクチュエータ本体を短時間で冷却するから加熱停止から応答性よくアクチュエータ本体を伸長させることができる。また、アクチュエータ本体の加熱時には冷却用流体をヒートシンクに流通させないから、アクチュエータ本体の温度を迅速に高めることができ、しかも冷却用流体を通過させるための無駄なエネルギ消費を避けることができる。
【0036】
請求項5の発明は、ヒートシンクがアクチュエータ本体の内側に一部が配置された多数本の放熱線の集合体で構成されるので、アクチュエータ本体の加熱を停止すればアクチュエータ本体はヒートシンクにより放熱されてただちに冷却されて伸長する。つまり、加熱を停止した後にアクチュエータ本体が伸長するまでの時間が比較的短く応答性が高くなる。しかも、ヒートシンクは多数本の放熱線により形成されているから、柔軟材料を用いたヒートシンクと同様に曲げ力が作用するような用途に利用することが可能であり、しかも放熱線としては金属を選択することができるから、柔軟材料を用いる場合よりも放熱効率を高めるのが容易である。
【0037】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、加熱制御部は、前記アクチュエータ本体と一体であって通電によりアクチュエータ本体を加熱するヒータ部を備え、前記放熱線の一部が前記アクチュエータ本体の口軸方向の両端部においてヒータ部に接続されヒータ部への通電経路に兼用されているので、通電と放熱とに放熱線を兼用することができ、省スペース化につながる。
【0038】
請求項7の発明では、請求項1の発明において、ヒートシンクは、アクチュエータ本体との接触部位とアクチュエータ本体との非接触部位とに跨るように配置したヒートパイプを備え、ヒートパイプに封入された熱媒がアクチュエータ本体との接触部において気化されてアクチュエータ本体との非接触部に移動し、熱媒が潜熱を放出して液化した後にアクチュエータ本体との接触部に戻るものであり、放熱にヒートパイプを用いるから熱の移動が速くヒートシンクが熱平衡になりにくいから、アクチュエータ本体の加熱と放熱とを長時間に亘って繰り返すことが可能である。
【0039】
請求項8の発明では、請求項1の発明において、ヒートシンクは、アクチュエータ本体との接触部位とアクチュエータ本体との非接触部位とに跨るように配置した放熱パイプを備え、放熱パイプにおいて少なくともアクチュエータ本体との接触部位には変態温度付近で溶融する吸熱材が充填されているものであり、アクチュエータ本体を吸熱材により迅速に冷却することができるから、加熱停止からアクチュエータ本体の伸長までの応答性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す概略構成図である。
【図2】同上に用いるアクチュエータ本体の要部拡大図である。
【図3】同上に用いるアクチュエータ本体の他例を示す要部拡大図である。
【図4】本発明の実施形態2を示す概略構成図である。
【図5】本発明の実施形態3を示す概略構成図である。
【図6】同上の他例を示す概略構成図である。
【図7】本発明の実施形態4を示す概略構成図である。
【図8】同上の他例を示す概略構成図である。
【図9】図8に示した構成の概略断面図である。
【図10】本発明の実施形態5を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ本体
2 ヒートシンク
2d 放熱線
2e ヒートパイプ
3 制御電源
5c バルブ
Claims (8)
- 形状記憶合金素材により伸縮可能な筒状に形成され変態温度以上に加熱したときに口軸方向に収縮するとともに拡径するように形状が記憶され変態温度未満では口軸方向に伸長するとともに縮径するようにバイアスが付与されたアクチュエータ本体と、アクチュエータ本体を変態温度以上に加熱する状態とアクチュエータ本体を放熱する状態とを選択する加熱制御部と、アクチュエータ本体の内側に一部が配置されるとともにアクチュエータ本体が縮径したときにアクチュエータ本体が外面に接触するように外径が設定され接触したアクチュエータ本体の放熱を行うヒートシンクとからなり、アクチュエータ本体は、帯素材または線素材を波形状に屈曲させた複数本のエレメントを接合または編組して形成されていることを特徴とするアクチュエータ。
- 前記ヒートシンクが弾性を有した柔軟材料からなることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
- 前記ヒートシンクは、中空であって冷却用流体が内部を通過することを特徴とする請求項1または請求項2記載のアクチュエータ。
- 前記冷却用流体のヒートシンク内への通過と停止とを制御する流体制御部を有し、流体制御部は前記加熱制御部による前記アクチュエータ本体の加熱時には冷却用流体のヒートシンクへの通過を停止することを特徴とする請求項3記載のアクチュエータ。
- 前記ヒートシンクがアクチュエータ本体の内側に一部が配置された多数本の放熱線の集合体で構成されることを特徴とするアクチュエータ。
- 前記加熱制御部は、前記アクチュエータ本体と一体であって通電によりアクチュエータ本体を加熱するヒータ部を備え、前記放熱線の一部が前記アクチュエータ本体の口軸方向の両端部においてヒータ部に接続されヒータ部への通電経路に兼用されていることを特徴とする請求項5記載のアクチュエータ。
- 前記ヒートシンクは、アクチュエータ本体との接触部位とアクチュエータ本体との非接触部位とに跨るように配置したヒートパイプを備え、ヒートパイプに封入された熱媒がアクチュエータ本体との接触部において気化されてアクチュエータ本体との非接触部に移動し、熱媒が潜熱を放出して液化した後にアクチュエータ本体との接触部に戻ることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
- 前記ヒートシンクは、アクチュエータ本体との接触部位とアクチュエータ本体との非接触部位とに跨るように配置した放熱パイプを備え、放熱パイプにおいて少なくともアクチュエータ本体との接触部位には前記変態温度付近で溶融する吸熱材が充填されていることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
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