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JP4161649B2 - 感熱性粘着剤組成物および感熱性粘着シート又はラベル - Google Patents

感熱性粘着剤組成物および感熱性粘着シート又はラベル Download PDF

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JP4161649B2
JP4161649B2 JP2002261656A JP2002261656A JP4161649B2 JP 4161649 B2 JP4161649 B2 JP 4161649B2 JP 2002261656 A JP2002261656 A JP 2002261656A JP 2002261656 A JP2002261656 A JP 2002261656A JP 4161649 B2 JP4161649 B2 JP 4161649B2
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Nippon Yakin Kogyo Co Ltd
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Chuo Rika Kogyo Corp
Mitsubishi Chemical Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱性粘着剤組成物および感熱性粘着シート又はラベルに関し、常温では粘着性を示さないが、一定温度以上に加熱することによって粘着性を発現するエマルジョン型の感熱性粘着剤組成物、および、当該感熱性粘着剤組成物を主成分とする粘着剤層を形成して成る感熱性粘着シート又はラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、粘着シート又はラベルは、粘着面に剥離紙(離型紙)を被覆して、保存、流通、販売などがなされている。また、粘着テープの様な巻上げ式の製品では、使用時に巻き戻しが可能な様に、裏面に剥離処理を施した基材が使用されている。剥離紙は、粘着シートを物品に貼った後には不要な要素であり、省資源の点や低コスト化等の理由から、剥離紙の不要な粘着シートが求められている。更に、粘着テープにおいても裏面に剥離処理を施していない基材を使用することが出来れば、粘着テープ基材の製造工程を簡略化することが出来、しかも、低コスト化が可能になる。
【0003】
剥離紙の不要な粘着シートとしては、ディレードタック型粘着剤を塗工した感熱粘着シートが知られている。従来の感熱性ディレードタック型粘着剤は、基本的には熱可塑性樹脂と常温で固体の結晶性可塑剤および粘着付与樹脂を含有している。熱可塑性樹脂は、粘着力・接着力の根源となるものであり、結晶性可塑剤は、常温では固体であり樹脂に可塑性は与えないが、加熱により溶融して樹脂を膨潤あるいは軟化させて粘着性を発現させる。感熱性ディレ−ドタック型粘着剤中の結晶性可塑剤は、加熱により溶融した後はゆっくりと結晶化するため、粘着性を長時間持続させる。
【0004】
ディレードタック型粘着剤として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体などの熱可塑性樹脂にフタル酸ジシクロヘキシル等の固体可塑剤を混合した粘着剤は公知である(例えば、特許文献1参照)。そして、斯かる粘着剤は、常温では非粘着性であり、加熱により可塑剤が融解し粘着力が発現するとのことである。
【0005】
しかしながら、感熱性粘着シートは、巻き取り状態やシートを何枚も重ね合わせた状態で保管されることが多く、保存温度が高くなるとブロッキングを生じるという問題点がある。この問題を解決するため、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)を高くする方法があるが、Tgが高すぎると粘着剤層の接着強度が低下する。このため、コア層より高いTgのシェル層を有するコア・シェル構造を有する熱可塑性樹脂も開示されている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、コア/シェル比が100/1〜2程度であるため、十分な耐ブロッキング性が得られなかった。
【0006】
一方、結晶性可塑剤を使用しないディレードタック型の粘着剤として、常温での粘着性の発現を抑制するため、一定温度以上のガラス転移温度を有する非粘着性の樹脂[成分(X)]と、加熱処理によってこの粘着シートに粘着性を発現させるためのアクリル酸エステル等のラジカル重合性単量体共重合した粘着性を有する樹脂エマルジョン[成分(Y)]とから成る粘着剤組成物が知られている(例えば特許文献3参照)。そして、斯かる粘着剤組成物を低温で乾燥させることにより非粘着性の粘着剤層が得られ、これを加熱処理することにより粘着性が発現するとのことである。
【0007】
しかしながら、上記の場合、常温での粘着性を抑えるためには、(X)成分のガラス転移温度を高くし、(X)成分の含有量を高くする必要がある。ガラス転移温度を高くすると、粘着性を発現するためには、Tg以上の高い温度で再加熱する必要があり、熱エネルギー的に不利であり、また、熱に弱い基材を使用することが出来ないといった問題が生じる。更に、(X)成分が高分子であるため、通常の固体可塑剤に比べて熱応答性が低く、高温で長時間加熱する必要がある。本発明者らも、この点を改良すべく、各種の提案を行っている(例えば特許文献4及び5参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−57226号公報(第1〜3頁)
【特許文献2】
特開平1−4681号公報(第1〜5頁)
【特許文献3】
特開平8−269420号公報(第1〜7頁)
【特許文献4】
特開2001−200227号公報(第1〜16頁)
【特許文献5】
特開2001−200235号公報(第1〜16頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、常温では非粘着性であり、離型紙や基材裏面の離型処理を行うことなく使用が可能で、耐ブロッキング性に優れ且つ短時間の加熱で粘着性が発現し、しかも、粘着特性に優れる感熱性ディレードタック型の粘着剤組成物および感熱性粘着シート又はラベルを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の要旨は、熱可塑性樹脂(A)と固体可塑剤(B)とを含有する感熱性粘着剤組成物において、熱可塑性樹脂(A)は、ラジカル重合性単量体より得られ、ガラス転移温度(Tg)が30℃以上の重合体のシェル層(a1)とTgが0℃以下の重合体のコア層(a2)から成るコア・シェル構造を有し、コア層(a2)/シェル層(a1)の重量比が85/15〜50/50であり、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対する固体可塑剤(B)の割合は20重量部を超えて400重量部以下であることを特徴とする感熱性粘着剤組成物に存する。
【0011】
本発明において、上記の熱可塑性樹脂(A)のシェル層(a1)は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸を含むラジカル重合性単量体の共重合体であり、その酸価が30〜300mgKOH/g、重量平均分子量が2000〜30000であることが好ましい。
【0012】
そして、本発明の第2の要旨は、基材上の少なくとも一方の表面に上記の感熱性粘着剤組成物を主成分とする粘着剤層を形成して成ることを特徴とする感熱性粘着シート又はラベルに存する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下において、アクリル及び/又はメタクリルを「(メタ)アクリル」と、アクリレート及び/又はメタクリレートを「(メタ)アクリレート」と略記する。
【0014】
また、本明細書中において重合体の「ガラス転移温度」(以下、「Tg」という。)とは、以下の計算式(1)(FOX式)から求められる値をいう。なお、この計算式(1)中のTgは絶対温度(K)で表し、明細書中の他の部分のTgは摂氏温度(℃)で表す。計算式(1)中の符号の意義は以下の表1に示す通りである。
【0015】
【数1】
1/Tg={W(a)/Tg(a)}+{W(b)/Tg(b)}+{W(c)/Tg(c)}+… ・・・(1)
【0016】
【表1】
Figure 0004161649
【0017】
また、本明細書中の「酸価」とは、樹脂または重合体の固形分当たりの酸価を指し、必要に応じて中和滴定を行なった後に計算により求めた理論酸価をいう。また、樹脂または重合体の少なくとも一部が塩基により中和されている場合には中和前における酸価を指す。酸価の単位として使用される「mgKOH/g」は、樹脂または重合体の固形分1gの中和に必要とする水酸化カリウムのミリグラム数を表す。
【0018】
(1)熱可塑性樹脂(A):
本発明における熱可塑性樹脂(A)は、ラジカル重合性単量体より得られ、ガラス転移温度(Tg)が30℃以上の重合体のシェル層(a1)とTgが0℃以下の重合体のコア層(a2)から成るコア・シェル構造を有し、シェル層(a1)に対するコア層(a2)の重量比が85/15〜50/50である。なお、熱可塑性樹脂(A)がコア・シェル構造を有することは、染色法を利用した電子顕微鏡による観察、DSCによるTgの測定などによって確認できる。
【0019】
シェル層(a1)を構成する重合体のTgが30℃未満の場合はブロッキングが起こり易くなる。しかし、シェル層(a1)を構成する重合体のTgが余りに高い場合は、粘着性を発現させるために必要な加熱温度が高くなるため、エネルギーコストが嵩む上に、熱に弱い基材を使用することが出来なくなる。従って、シェル層(a1)を構成する重合体のTgは、好ましくは40〜120℃、更に好ましくは45〜90℃である。
【0020】
コア層(a2)を構成する重合体のTgが0℃を超える場合は十分な粘着性が得られない。しかし、コア層(a2)を構成する重合体のTgが余りに低い場合は、凝集力などが不足し、粘着物性のバランスが悪くなる。従って、コア層(a2)を構成する重合体のTgは、好ましくは−10℃〜−60℃であり、更に好ましくは−10℃〜−29.9℃である。
【0021】
コア層(a2)/シェル層(a1)の重量比において、シェル層(a1)の重量比が15%未満の場合は、加熱処理前の粘着剤層において不必要に粘着力が発揮される。シェル層(a1)の重量比が50%を超える場合は、粘着剤層の耐水性が低下すると共に粘着力が不足し、しかも、シェル層(a1)を高分子乳化剤としてコア層(a2)を乳化重合する際、エマルジョンの粘度が高くなりすぎ、粘着剤が得られない場合がある。コア層(a2)/シェル層(a1)の重量比は、好ましくは80/20〜60/40である。
【0022】
シェル層(a1)を構成する重合体の酸価は30〜300mgKOH/gであることが好ましい。シェル層(a1)を構成する重合体の酸価が30mgKOH/g未満の場合は、シェル層(a1)を構成する重合体の水に対する溶解性が不足するため、粘着剤組成物の液安定性が不十分となったり、また、後述する様に、シェル層(a1)を形成する単量体の存在下にコア層(a2)を形成する単量体の乳化重合を行う場合に重合が不安定となったりする。更に、本発明の粘着剤組成物をアルカリ剥離性粘着剤組成物に利用する際、シェル層(a1)を構成する重合体の酸価が30mgKOH/g未満の場合は、アルカリ溶解性又は膨潤性が不足するため、この組成物から形成される粘着剤層に十分なアルカリ剥離性を付与することが出来ないことがある。シェル層(a1)を構成する重合体の酸価が300mgKOH/gを超える場合は、粘着剤組成物の耐水性が不足する場合がある。シェル層(a1)を構成する重合体の酸価は、好ましくは、40〜200mgKOH/gである。
【0023】
一方、コア層(a2)を構成する重合体の酸価は、特に限定されないが、30mgKOH/g以下であることが好ましい。コア層(a2)を構成する重合体の酸価が30mgKOH/gを超える場合は、粘着剤組成物の耐水性が不足する場合がある。
【0024】
シェル層(a1)を構成する重合体の重量平均分子量は、通常2,000〜30,000、好ましくは3,000〜10,000である。重量平均分子量が2,000未満の場合は、粘着剤層の耐水性が不足し易くなり、また、耐ブロッキング性低下の原因となる。一方、重量平均分子量が30,000を超える場合は、シェル層(a1)を形成する単量体の存在下にコア層(a2)を形成する単量体の乳化重合を行う場合に重合が不安定となったり、また、シェル層(a1)の流動性が低下するために粘着剤層の加熱によって充分な粘着性が得られない場合がある。
【0025】
一方、コア層(a2)を構成する重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、50,000以上であることが好ましい。重量平均分子量が余りに低い場合には粘着剤の凝集力が不足する。
【0026】
シェル層(a1)を構成する重合体は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸を含むラジカル重合性単量体の共重合体であることが好ましい。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、シェル層(a1)を構成する重合体に酸価を与える。
【0027】
上記のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸の他、下記一般式(I)又は(II)で表される単量体を挙げることが出来る。本発明においては、これら単量体の1種または2種以上を使用することが出来る。
【0028】
【化3】
CH2=CR1COO(CH2nOCOR2COOH (I)
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、nは2〜4の整数を表す。)
CH2=CR1COO{(CH2pCOO}qH (II)
(式中、R1は水素原子またはメチル基、pは2〜5の整数、qは1〜5の整数を表す。)
【0029】
上記の式(I)で表される単量体の具体例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルコハク酸などが挙げられる。上記の式(II)で表される単量体の具体例としては、β−カルボキシエチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、上記の式(I)又は(II)で表される単量体が好ましく、特に、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸またはβ−カルボキシエチルアクリレートが好ましい。
【0031】
上記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と共に使用するラジカル重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル等の(メタ)アクリル酸アルキル;スチレン等のビニル芳香族系単量体、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0032】
シェル層(a1)を形成する際、前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の使用量は、その種類によって異なるが、シェル層(a1)の形成に使用される全単量体の合計重量に対し、通常4〜40重量%、好ましくは5〜30重量%である。一方、上記のラジカル重合性単量体の使用量は、シェル層(a1)の形成に使用される全単量体の合計重量に対し、通常60〜96重量%、好ましくは70〜95重量%である。
【0033】
本発明においては、上記のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸以外の親水性ラジカル重合性単量体を必要に応じて併用してもよい。斯かる親水性ラジカル重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸などが挙げられる。これらの親水性ラジカル重合性単量体は、前記のラジカル重合性単量体に対し、通常10重量%以下の割合で使用される。
【0034】
一方、コア層(a2)を形成する単量体としては、特に制限されず、シェル層(a1)を形成する単量体と同様の単量体を使用することが出来る。ただし、コア層(a2)のTgを0℃以下とするため、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−n−オクチルの様なホモポリマーのTgが低い単量体を主成分として使用することが好ましい。
【0035】
コア・シェル構造を有する熱可塑性樹脂(A)を得るための重合法としては種々の重合法が採用できる。具体的には、(1)先にコア層(a2)を形成する単量体を重合してシードラテックスを調製し、次いで、このシードラテックスの存在下にシェル層(a1)を形成する単量体を重合するシード重合法、(2)先にシェル層(a1)を形成する単量体を重合した後に、重合体をアルカリ中和して保護コロイドを調製し、この保護コロイドの存在下に、コア層(a2)を形成する単量体を乳化重合する保護コロイド重合法などが挙げられる。
【0036】
上記の保護コロイド重合法においては、シェル層(a1)を形成する単量体が界面活性剤(乳化剤)として機能するため、重合の際、フリーの界面活性剤の使用量を通常の乳化重合の場合よりも少量にできる。その結果、通常の乳化重合によって調製た場合に比し、粘着剤層の耐水性を向上させることが出来る。このため、本発明においては、上記の保護コロイド重合法によりコア・シェル層を形成するのが好ましい。
【0037】
保護コロイド重合法の場合、シェル層(a1)を形成する単量体の酸性基、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基などの一部または全部を塩基で中和する必要がある。
【0038】
上記の中和に使用する塩基としては、アンモニア;アルキルアミン、アリルアミン、アルカノールアミン等のアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物などを使用することが可能である。これらの中では、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の沸点が100℃以下の塩基が好ましく、特にアンモニアが好ましい。何故ならば、塗工後の乾燥工程において粘着剤層から塩基が除去され易くなるため、耐水性に一層優れた粘着剤層を得ることができるからである。
【0039】
シェル層(a1)を構成する重合体の酸性基は、必ずしも完全に中和されていなくてもよいが、当該重合体が保護コロイドとして求められる水溶性を示す程度には中和されている必要がある。具体的には、シェル層(a1)を構成する重合体の酸性基の50モル%以上が中和されていることが好ましく、80モル%以上が中和されていることがより好ましい。酸性基の中和量が50モル%未満である場合は、当該重合体を保護コロイドとして使用して乳化重合させる場合の重合が不安定となり易い。
【0040】
乳化重合に使用するラジカル重合開始剤としては、一般のラジカル重合に使用されているものの何れもが使用可能であり、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾイソビスブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。ラジカル重合開始剤の使用量は、単量体の合計量を基準にして、通常0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。
【0041】
乳化重合に使用する界面活性剤としては従来公知の界面活性剤を使用することが出来る。例えば、高級アルコール硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホンナトリウム酸塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホンナトリウム酸などの陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体などの非イオン性界面活性剤、アリルアルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリルグリセリンエーテルサルフェート等の反応性陰イオン界面活性剤などが挙げられる。
【0042】
シェル層(a1)の数平均分子量を調節するために、アルキルメルカプタン、チオグリコール酸エステルの様な連鎖移動剤を重合系に適宜添加することが好ましい。連鎖移動剤の添加量はシェル層(a1)を形成する単量体100重量部に対し、通常0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0043】
(2)固体可塑剤(B):
本発明においては、融点が60〜120℃(好ましくは70〜120℃)の固体可塑剤が好適に使用される。
【0044】
また、本発明では、下記一般式(III)で表されるフェノール系化合物も好適に使用することが出来る。
【0045】
【化4】
Figure 0004161649
【0046】
好ましい固体可塑剤の具体例としては、フタル酸ジフェニル(融点65℃)、フタル酸ジシクロヘキシル(融点66℃)、イソフタル酸ジメチル(融点66℃)、イソフタル酸ジ2−フェノキシエチル(融点77℃)、o/p−トルエンスルホアミド(融点118℃)、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド(融点86℃)、二m−トルイル酸−1,4−ビスヒドロキシエトキシベンゼン(融点97℃)、八酢酸スクロース(融点89℃)の他、安息香酸スクロース(融点98℃)、二安息香酸エチレングリコール(融点70℃)、二安息香酸−1,4−シクロヘキサンジメタノール(融点118℃)、三安息香酸トリメチロールエタン(融点73℃)、三安息香酸トリメチロールプロパン(融点88℃)、三安息香酸グリセリン(融点73℃)、四安息香酸ペンタエリトリット(融点95℃)等の芳香族一塩基酸多価アルコールエステル等が挙げられる。
【0047】
また、上記の一般式(III)で表されるフェノール系化合物の具体例としては、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕(融点77℃)、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点103℃)、チオビス〔エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点70℃)の他、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等のフェノール系化合物が挙げられる。
【0048】
固体可塑剤(B)の融点が60℃未満の場合は、夏場などの高温条件下に曝された際に耐ブロッキング性が悪化し、120℃を超える場合は、一旦加熱溶融した後の再度の冷却固化が速くなり、加熱後の粘着力を長時間に亘って持続する性能が劣ることがある。
【0049】
固体可塑剤は、加熱活性化時に融点以上で融解して熱可塑性樹脂を可塑化するため、感熱性粘着剤組成物としての粘着性を与えるが、粘着性の持続時間は固体可塑剤によって異なる。固体可塑剤は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
【0050】
固体可塑剤の使用量は、熱可塑性樹脂樹脂100重量部に対して20重量部を超えて400重量部以下、好ましくは50〜200重量部である。固体可塑剤の使用量が20重量部以下の場合は、耐ブロッキング性が十分に得られず、400重量部を超える場合は、粘着物性のバランスが悪くなる上に、コスト的にも不利である。
【0051】
上記の固体可塑剤は、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライター等の湿式または乾式の粉砕器により微粒子化され、水分散液として使用される。分散液中の固体可塑剤の体積基準での平均粒子径は、通常1〜20μm、好ましくは2〜5μmである。
【0052】
(3)粘着付与樹脂(C):
本発明の感熱性粘着剤組成物には、粘着力の向上のため、粘着付与樹脂を加えることが好ましい。粘着付与樹脂としては、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノ−ル樹脂、テルペン−フェノ−ル樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン及びそれらのグリセリン、ペンタエリスリト−ル等とのエステル、樹脂酸ダイマ−等)が挙げられる。ただし、常温での耐ブロッキング性向上のために、軟化点の高い樹脂の方が好ましい。
【0053】
粘着付与樹脂(C)の軟化点は80℃〜180℃であることが好ましい。粘着付与樹脂(C)の軟化点が180℃を超える場合は、粘着性発現のための加熱温度が高くなり過ぎるため、基材の熱変形、着色などの問題が起こる場合がある。また、粘着付与樹脂(C)の軟化点が80℃未満の場合は、常温で粘着性が発現するため、剥離紙や離型剤が必要となり、また、加熱貼り付け時後の凝集力が低い等の問題もある。本発明においては、軟化点が100℃〜160℃のエマルジョン型の粘着付与樹脂が好適に使用される。
【0054】
軟化点80℃〜160℃の粘着付与剤(C)の商品としては、「YSポリエスターT−120」、「T−130」、「T−145」(以上ヤスハラケミカル(株)製)等のテルペンフェノール樹脂、「エスクリスタルA−100」、「A−120」(以上新日鉄化学(株)製)等のクマロンインデン樹脂、「ニカノールHP−100」(三菱ガス化学(株)製)等のキシレン樹脂、「ペンタリンC−J」、「ダイマレックス」(理化ハーキュレス(株)製)、「ペンセルC」、「ペンセルD−125」、「D−135」(荒川化学工業(株)製)等の重合ロジンエステル、「スーパーエステルA−100」、「A−115」、「A−125」(以上荒川化学工業(株)製)等のロジンエステル、「タマノル135」、「145」(以上荒川化学工業(株)製)等のロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。これらをアルカリにより中和または乳化剤を添加してエマルジョンとして使用すればよい。また、既にエマルジョン化されている粘着付与剤を使用してもよい。この様な、粘着付与剤としては、「スーパーエステルE−720」、「E−730−55」、「E−625」、「E−650」、「タマノルE−100」(荒川化学工業(株)製)、「D−188」(理化ハーキュレス(株)製)、「SK−130D」(ハリマ化成(株)製)等が挙げられる。これらは、2種以上組み合わせて使用することも可能である。
【0055】
粘着付与樹脂(C)の使用量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、通常5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部である。粘着付与剤(C)の使用割合が5重量部未満の場合は粘着付与剤(C)の効果が十分に発揮されず、100重量部を超える場合は粘着物性のバランスが悪くなる上にコスト的にも不利である。
【0056】
本発明の感熱性粘着剤組成物は、熱可塑性樹脂(A)と固体可塑剤(B)と必要に応じて粘着付与樹脂(C)とを含有し、そして、これらの成分が水に分散してなるエマルジョンである。エマルジョンにおける固形分濃度は、通常30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%である。固形分濃度が30重量%未満の場合は、組成物の乾燥工程に時間が掛かり過ぎる、70重量%を超える場合は、製造が困難となると共に組成物の粘度が過度に高くなって塗工適性に劣る。
【0057】
(4)その他の成分:
本発明の感熱性粘着剤組成物は、その用途に応じて、一般的な粘着剤に通常使用される消泡剤、界面活性剤、防カビ剤、香料、中和剤、増粘剤、レベリング調整剤、凍結防止剤、発泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、補強剤、充てん剤、顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗ブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、可塑剤、滑剤、有機溶剤、着色剤などの1種または2種以上を含有してもよい。
【0058】
本発明の感熱性粘着シート又はラベルは、基材上の少なくとも一方の表面に前記の感熱性粘着剤組成物を主成分とする粘着剤層を形成して成る。そして、所定温度以上の加熱処理を行うことによって初めて粘着力を発現するが、加熱処理前においては粘着力が極めて低い特徴を有する。従って、この状態では剥離紙や基材裏面の剥離処理などの様な粘着剤層に対する剥離処理を行わなくても商品としてそのまま取り扱うことが出来る。
【0059】
本発明において、基材の種類は、加熱処理温度に耐え得る材質であれば特に制限されず、感熱性粘着シート又はラベルの用途などに応じて適切なものを使用すればよい。例えば、布、紙、皮革、各種プラスチック等から成るフィルム又はシートが挙げられる。プラスチックとしては、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン等が挙げられる。特に、二軸延伸されたポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレンが好ましい。基材の厚さは、通常10μmから1mm、好ましくは20〜100μmである。
【0060】
粘着剤層は、基材の一方または両方の面に感熱性粘着剤組成物を塗布した後に乾燥することによって形成される。その際、塗布方法は、特に制限されず、例えば、グラビアコーター塗布、ロールコーター塗布、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、スプレー塗布、流延塗布、ドクターブレード塗布、ハケ塗り等の任意の方法を採用することが出来るが、グラビア印刷法が特に好ましい。グラビア印刷法は、1台のグラビア印刷機で文字や絵柄の印刷に引き続いて感熱粘着剤を塗工することが出来、極めて効率的であり、また、グラビア版のメッシュや版深度を適宜選択することにより、所望の厚さの感熱性粘着剤層を精度良く得ることが出来ると共に、ラベルの必要な部分にのみ粘着剤層を塗工することが容易にできる利点がある。乾燥操作は、得られる感熱性粘着シート又はラベルにおいてその粘着剤層が常温で粘着性を発現しない様な温度以下で行なうことが必要である。通常、乾燥温度は固体可塑剤(B)の融点以下の温度とされる。
【0061】
粘着剤層の厚さは、用途などに応じて適宜調節することが出来るが、通常1〜200μm、好ましくは5〜50μmである。斯かる厚さとすることにより、加熱処理後において粘着剤層に良好な粘着性を発現させることが可能である。粘着剤層の厚さが余りに薄い場合は良好な接着力が得らず、余りに厚い場合は、粘着剤の乾燥に時間が掛かる上、コスト的にも不利である。
【0062】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の各例において、特に断らない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。また、以下において使用する略号およびその内容を以下の表2に示す。更に、本明細書において重合体のTgを算出するために使用した、各単量体の単独重合体のTg値を併せて示す。また、実施例中の樹脂の分子量(MW)はGPCにより測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量であり、酸価は、JIS K0070の方法に従って、中和滴定法により、樹脂1g当たりの水酸化カリウム消費量(mg)として測定した。
【0063】
【表2】
Figure 0004161649
【0064】
<熱可塑性樹脂(A)の合成>
(合成例A−1)
攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素導入管を備えたフラスコに、脱イオン水130部、スルホコハク酸系界面活性剤(有効成分40%)2.5部を仕込み、窒素雰囲気下で75℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム1部を添加した。その後、メタクリル酸メチル36部、スチレン6部、アクリル酸n−ブチル6部、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸12部、チオグリコール酸ブチル3部から成る単量体混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了から更に1時間同温度を維持した後、アンモニア水(28%)3.8部を滴下して反応系を中和した。
【0065】
次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド(70%水溶液)1部、ロンガリット0.5部を添加した後に、スチレン6部、アクリル酸n−ブチル132部、メタクリロイルオキシエチルコハク酸2部、脱イオン水60部、スルホコハク酸系界面活性剤(有効成分40%)2.5部の混合物を予めホモミキサーにより機械乳化したプレエマルジョンを2時間に亘って滴下した。滴下終了後、t−ブチルハイドロパーオキサイド(70%水溶液)0.2部、ロンガリット0.1部を添加して更に80℃にて2時間反応を行った。その後、反応系内を冷却して重合を終了させ、固形分含量50%の水性重合体エマルジョンを得た。
【0066】
(合成例A−2〜A−7)
合成例A−1において、以下の表3に示す単量体組成を採用した以外は合成例A−1と同様の方法により水性重合体エマルジョンを得た。
【0067】
【表3】
Figure 0004161649
【0068】
<固体可塑剤の分散液の調製(1)>
固体可塑剤として三安息香酸トリメチロールプロパン(融点88℃)を100部、分散剤としてアクリル酸系高分子分散剤を40部(25%水溶液)及び水を均一に混合して濃度を50%とし、固体可塑剤の水分散液B−1を調製した。分散はボールミルを使用し、固体可塑剤の平均粒子径は4.1μm(メジアン径)であった。なお、平均粒子径は、粒度分布測定装置(島津製作所製「SALD−2000」)を使用して測定した体積基準での粒子径である。
【0069】
<固体可塑剤の分散液の調製(2)>
固体可塑剤の分散液の調製(1)において、固体可塑剤としてトリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕(融点77℃)を使用した以外は同様に操作して、固体可塑剤の水分散液B−2を調製した。固体可塑剤の平均粒子径は3.8μm(メジアン径)であった。
【0070】
<固体可塑剤の分散液の調製(3)>
固体可塑剤の分散液の調製(1)において、固体可塑剤として1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点103℃)を使用した以外は同様に操作して、固体可塑剤の水分散液B−3を調製した。固体可塑剤の平均粒子径は4.0μm(メジアン径)であった。
【0071】
<固体可塑剤の分散液の調製(4)>
固体可塑剤の分散液の調製(1)において、固体可塑剤として安息香酸グリセリン(融点73℃)を使用した以外は同様に操作して、固体可塑剤の水分散液B−4を調製した。固体可塑剤の平均粒子径は3.6μm(メジアン径)であった。
【0072】
<感熱性粘着剤組成物の調製>
(実施例1〜12及び比較例1〜3)
上記の熱可塑性樹脂(A)及び固体可塑剤(B)と後記の表6〜表8に示す粘着付与樹脂エマルジョン(C)を同表に示す固形分比で混合し、感熱性粘着剤組成物を調製した。
【0073】
<感熱性粘着剤組成物の評価>
上記の実施例1〜12及び比較例1〜3により得られた感熱性粘着剤組成物を使用して粘着シートを作成した。すなわち、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材とし、このコロナ処理面に、バーコーター(No.10)を使用し、乾燥後の塗膜の厚さが7μmとなる様に粘着剤組成物を塗布した後に乾燥して粘着シートを作成した。
【0074】
上記の粘着シートを幅25mmに裁断した試験片(以下、「加熱処理前試験片」という。)について、以下の(1)〜(3)の評価を行なった。結果を後記の表6〜表8に示す。
【0075】
(1)耐ブロッキング性:
加熱前試験片の粘着剤層と試験片の未塗工面を重ね合わせ、0.5kg/cm2の荷重を掛け40℃にて1日保存後、手で剥離し、ブロッキングの発生状況を以下の表4に示す基準で評価した。
【0076】
【表4】
5:全く抵抗無く剥離できる。
4:かすかに音がして、軽い力で剥離できる。
3:やや剥離時に抵抗があるが、実用上問題のないレベルである。
2:一部がブロッキングしている。
1:ブロッキングして完全に接着している。
【0077】
(2)加熱時タック:
加熱前試験片を80℃・3秒間および100℃・3秒間加熱した後、粘着剤面を指で触れ、表面のタックを以下の表5に示す基準で評価した。
【0078】
【表5】
○:十分なタックが発現している。
△:タック発現しているが弱い。
×:タックが感じられない。
【0079】
(3)加熱後粘着力:
加熱処理前試験片に対して90℃で10秒間の加熱処理を行った後、JIS Z 0237に規定する180度剥離法に準じて粘着力を測定した。すなわち、温度23℃、湿度60%の条件下において、試験板であるPET板に上記の試験片を貼り、2Kgのゴムローラーを一往復して圧着した。圧着後に、300mm/minの引張速度で、試験板に対する180度剥離粘着力を測定した。粘着力をg/25mmの単位で表した。
【0080】
【表6】
Figure 0004161649
【0081】
【表7】
Figure 0004161649
【0082】
【表8】
Figure 0004161649
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、特定のコア・シェル構造を有する熱可塑性樹脂を使用したことにより、常温では非粘着性であり、離型紙や基材裏面の離型処理を行うことなく使用が可能であり、常温での耐ブロッキング性に優れ、短時間の加熱で粘着性が発現し、しかも、粘着特性に優れる感熱性ディレードタック型の粘着剤組成物および感熱性粘着シート又はラベルが提供される。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と固体可塑剤(B)とを含有する感熱性粘着剤組成物において、熱可塑性樹脂(A)は、ラジカル重合性単量体より得られ、ガラス転移温度(Tg)が30℃以上の重合体のシェル層(a1)とTgが0℃以下の重合体のコア層(a2)から成るコア・シェル構造を有し、コア層(a2)/シェル層(a1)の重量比が85/15〜50/50であり、上記のシェル層(a1)を構成する重合体は、下記一般式(I)で表されるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を含むラジカル重合性単量体の共重合体であり、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対する固体可塑剤(B)の割合は20重量部を超えて400重量部以下であることを特徴とする感熱性粘着剤組成物。
    Figure 0004161649
    (式(I)中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、nは2〜4の整数を表す。)
  2. 熱可塑性樹脂(A)と固体可塑剤(B)とを含有する感熱性粘着剤組成物において、熱可塑性樹脂(A)は、ラジカル重合性単量体より得られ、ガラス転移温度(Tg)が30℃以上の重合体のシェル層(a1)とTgが0℃以下の重合体のコア層(a2)から成るコア・シェル構造を有し、コア層(a2)/シェル層(a1)の重量比が85/15〜50/50であり、上記のシェル層(a1)を構成する重合体は、下記一般式( II )で表されるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を含むラジカル重合性単量体の共重合体であり、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対する固体可塑剤(B)の割合は20重量部を超えて400重量部以下であることを特徴とする感熱性粘着剤組成物。
    Figure 0004161649
    (式(II)中、R1は水素原子またはメチル基、pは2〜5の整数、qは1〜5の整数を表す。)
  3. シェル層(a1)を構成する重合体の酸価が30〜300mgKOH/g、重量平均分子量が2000〜30000である請求項1又は2に記載の感熱性粘着剤組成物。
  4. 熱可塑性樹脂(A)がシェル層(a1)を形成する重合体の存在下にコア層(a2)を形成するラジカル重合性単量体を乳化重合して得られたものである請求項1〜の何れかに記載の感熱性粘着剤組成物。
  5. 固体可塑剤(B)が芳香族一塩基酸の多価アルコールエステルである請求項1〜の何れかに記載の感熱性粘着剤組成物。
  6. 固体可塑剤(B)が下記一般式(III)で表されるフェノール系化合物である請求項1〜の何れかに記載の感熱性粘着剤組成物。
    Figure 0004161649
  7. 固体可塑剤(B)が融点70〜120℃である請求項1〜の何れかに記載の感熱性粘着剤組成物。
  8. 軟化点が80℃〜180℃の粘着付与樹脂(C)を熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して5〜100重量部含有する請求項1〜の何れかに記載の感熱性粘着剤組成物。
  9. 基材上の少なくとも一方の表面に請求項1〜の何れかに記載の感熱性粘着剤組成物を主成分とする粘着剤層を形成して成ることを特徴とする感熱性粘着シート又はラベル。
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