請求項1に記載の発明は、商品を収納するコールド専用室と複数のホット/コールド切替室を有し、前記コールド専用室を冷却する冷却システムと、前記ホット/コールド切替室を冷媒流路を切替えて冷却と加温に切替可能な冷却加温システムとを有した自動販売機であって、前記冷却システムは前記コールド専用室内の蒸発器と収納室区画外に設置された室外熱交換器と冷却用圧縮機とを接続し、前記冷却加温システムは複数のホット/コールド切替室内の複数の室内熱交換器と収納区画外に設置された室外熱交換器と冷却加温用圧縮機とを接続して構成され、前記数複数のホット/コールド切替室に配置された複の室内熱交換器は直列配管で直列に接続され、加温する場合は、直列接続した前記複数の室内熱交換器に常に冷媒を流す構成とし、前記複数のホット/コールド切替室を冷却する場合は、切替バルブによってどちらの室内熱交換器に冷媒を流すかを切替え可能に構成したことで、ホット/コールド切替室を冷却する場合、極端な蒸発温度の低下を防ぎ、加温する場合、常にすべての室内熱交換器に冷媒が流れるため、最適冷媒量の変動を抑えて安定した運転状態を保て、高効率化を図ることができるとともに、冷却時の複数の室内温度精度を高めることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に、さらに、商品収納室外に設置された、冷却システムの凝縮器と冷却加温システムの室外熱交換器は一体化したカスケード熱交換器であるものであり、前記カスケード熱交換器は室外の大気と熱交換するため、従来例のように蒸発温度を−10℃以下にする必要がない。さらに、冷却システムと同時に稼動した場合には、冷却システムの廃熱を利用することができるため、蒸発温度0〜10℃の高温条件に維持して、圧縮比を低減することが可能となり、圧縮機の効率向上が図れ、電気ヒータなどの加温効率が1程度の加熱手段に比べて、2倍程度の加温効率を容易に実現することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、ホット/コールド切替室を加温する場合は、前記ホット/コールド切替室のそれぞれの温度に応じて、室内ファンの風量を調節可能にしたので、ホット/コールド切替室内に収納された商品の温度を調節することにより、冷媒流路の上流に位置する室内熱交換器の収納室側のみを加温することを防止すると共に、過凝縮により必要冷媒量が増加することを防止することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明に、さらに、ホット/コールド切替室が加温室の場合、冷媒回路は、下流側に接続される第1室内熱交換器は上流側の第2室内熱交換器に比べて内容積が小さいことを特徴としたものであり、加温時、常にすべての室内熱交換器に冷媒が流れるので最適冷媒量の変動を抑えて、安定した運転状態を保つことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、ホット/コールド切替室内にヒータを備えると共に、ホット/コールド切替室を加温する場合は、前記ホット/コールド切替室のそれぞれの温度に応じて、冷却加温システムと前記ヒータとにより加温することにより、各前記ホット/コールド切替室内に収納された商品の温度を調節することにより、前記冷却加温システムが通常前記冷却加温システムで加温する前記ホット/コールド切替室の能力に合わせた最小能力であっても、前記ヒータにより加温能力を補うことができるので、通常の使用条件に合わせた最適設計ができ、年間を通じて効率の良い運転ができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷却加温システムとそれを用いた自動販売機の冷媒回路図である。
図2は、同実施の形態における室外熱交換器の斜視図である。
図1および図2において、本発明の自動販売機は、ホット/コールド切替室1、コールド専用室2、第二のコールド専用室3からなる貯蔵室を備え、圧縮機20、ホット/コールド切替室1内に設置された室内熱交換器4、貯蔵室の外に設置された室外熱交換器21、冷却時と加温時に冷媒流路を切換える四方切換弁22、膨張機構としての冷却用キャピラリチューブ23、加温用キャピラリチューブ24、ドライヤ25からなり、ホット/コールド切替室1の冷却と加温を専用に行う冷却加温システム26を有するとともに、圧縮機8、コールド専用室2内に設置された蒸発器5、第二のコールド専用室3内に設置された第二の蒸発器6、膨張弁10、第二の膨張弁11、室外熱交換器21からなり、コールド専用室2と第二のコールド専用室3を専用に冷却する冷却システム27を有する。
ここで、室外熱交換器21は、2パスのフィンチューブ熱交換器で構成され、一方のパスは冷却加温システム26と連結し、加温時は蒸発器として、冷却時は凝縮器として作用し、他方のパスは冷却システム27と連結し、凝縮器として作用する。また、冷却加温システム26と連結する冷媒配管は冷却システム27の冷媒配管の風下に配置されるとともに、冷却システム27の冷媒は、点線矢印で示すように3列の中央下段に配置された入口配管28より流入し、上段に向かって流れた後、風上側の列を上段から下段に向かって流れ、風上側下段に配置された出口配管29より流出する。一方、冷却加温システム27の加温時の冷媒は、実線矢印で示すように風下側上段に配置された入口配管30より流入し、下段に向かって流れ、風下側下段に配置された出口配管31より流出する。また、冷却時においては冷媒の流れは逆向きになる。さらに、冷却加温システムの出口配管31と冷却システムの入口配管28が近接して配置されている。また、冷却加温システムの入口配管30には結露センサ32が取り付けられている。
また、室内熱交換器4と室外熱交換器21は2本の並列する配管で結ばれており、一方は冷却用キャピラリチューブ23と冷却用逆止弁33、ドライヤ25が直列に接続され、他方は加温用キャピラリチューブ24と加温用逆止弁34が直列に接続されている。
ここで、冷却用逆止弁33はドライヤ25から冷却用キャピラリチューブ23に冷媒が流れる方向を正方向とし、冷却用キャピラリチューブ23からドライヤ25へ向かう逆方向には流れないように設置される。また、加温用逆止弁34は加温用キャピラリチューブ24から室外熱交換器21へ冷媒が流れる方向を正方向とし、室外熱交換器21から加温用キャピラリチューブ24へ向かう逆方向には流れないように設置される。
また、圧縮機20は、図示しない断熱カバー内に設置され、図示しないコンプファンを備えるとともに、室内熱交換器4、蒸発器5、第二の蒸発器6、室外熱交換器21にはそれぞれ独立の送風ファン35、36、37、38が備えられている。
さらに、ホット/コールド切替室1内にはヒータ39が備えられている。
以上のように構成された冷却加温システムとそれを用いた自動販売機について、以下その動作、作用を説明する。
まず、ホット/コールド切替室1を冷却する場合、図1において点線矢印で示したように、圧縮機20から吐出された冷媒は四方切換弁22で流路を切換えて室外熱交換器21へ供給されて凝縮液化する。室外熱交換器21から出た液冷媒はドライヤ25に供給される。この液冷媒の温度は室外熱交換器とほぼ同じ30〜40℃となる。このとき、ドライヤ25内部に液冷媒が滞留するとともに、液冷媒中の水分が除去される。
そして、ドライヤ25から出た液冷媒は冷却用逆止弁33を経て冷却用キャピラリチューブ23で減圧されて室内熱交換器4へ供給されて蒸発気化し、ガス冷媒は再び四方切換弁22を経て圧縮機20へ還流する。室内熱交換器4の蒸発温度は収納室の設定温度により大きく変化する。一般に缶飲料などを冷却する場合は設定温度が5〜10℃であり、室内熱交換器4の蒸発温度は−15〜−5℃となる。
なお、冷却用キャピラリチューブ23と室内熱交換器4の冷却時の出口配管とを、接触させて設置する方が望ましく、熱交換させることにより過冷却が大きく取れ、冷却能力が向上する。
また、ホット/コールド切替室1を加温する場合、図1において実線矢印で示したように、圧縮機20から吐出された冷媒は四方切換弁22で流路を切換えて室内熱交換器4に供給されて凝縮液化する。この液冷媒の温度は収納室の設定温度により大きく変化する。一般に缶飲料などを加温する場合は設定温度が50〜60℃であり、室内熱交換器4の凝縮温度は60〜80℃となる。
なお、圧縮機20から室内熱交換器4へ向かう加温用冷媒配管は、断熱材で覆う方が望ましく、加温用冷媒配管からの放熱を防ぐことにより、加温能力と加温効率を向上させることができる。
そして、室内熱交換器4から出た液冷媒は直ぐに加温用キャピラリチューブ24で減圧された後、加温用逆止弁34を経て室外熱交換器21へ供給されて蒸発気化し、ガス冷媒は再び四方切換弁22を経て圧縮機20へ還流する。一般に、外気温が低くなると室外熱交換器21の蒸発温度を低くする必要があり、特に、外気温が5℃以下になると蒸発温度はマイナス温度にしなければならず、室外熱交換器21に着霜が発生する。また、外気温が高温多湿になり、室外熱交換器21の管表面温度やフィン温度が露点温度を下回ると結露が発生する。
しかし、本実施の形態の室外熱交換器21は、冷却システム27が稼動すると、冷却システム27と連結しているパスは凝縮器として作用し、パス周辺のフィン温度は高温になる。そのため、冷却加温システム26と冷却システム27が同時に稼動した場合には、フィンを介してカスケード熱交換することができるとともに、凝縮器により暖められた大気を蒸発器に吸込ませることができ、0〜10℃の高温の蒸発温度で冷却加温システム26を稼動することが可能となる。これにより、凝縮温度60〜80℃の厳しい加温条件においても圧縮比を低減でき、圧縮機20の効率向上が図れる。また、冷却システム27においても凝縮温度が下がることにより、圧縮機8の効率向上が図れる。
さらに、冷却加温システム26の蒸発温度を0℃以上にすることで、室外熱交換器21の着霜も防止することができる。また、外気温が高温多湿になった場合においても、室外熱交換器21のフィン温度が露点温度を下回りにくくなり、結露の発生を効果的に抑制することができる。
また、室外熱交換器21において、冷却加温システム26の出口配管31と冷却システムの入口配管28を近接させた構成としたことにより、冷却加温システム26の過熱度を大きく取ることができ、加温能力と加温効率を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては室外熱交換器21の冷却加温システム26の冷媒配管を冷却システム27の冷媒配管の風下に配置したが、3列の熱交換器を使用する場合、冷却加温システム26の冷媒配管を冷却システム27の冷媒配管で挟み込む構成としても良い。
また、冷却加温システム26の加温時の入口配管31に結露センサ32を取り付け、一定時間結露を検知すると冷却加温システム26を停止し、ヒータ39による加温に切換えることにより、加温機能を停止させることなく、結露水が自動販売機の外へ漏水するのを防止することができる。また、本実施の形態においては、冷却加温システム26の入口配管30を上部に設置しており、これにより結露が発生した場合においても、室外熱交換器21の下に結露水が到達する前に蒸発させることができる。
また、冷却システム27と冷却加温システム26の加温が同時に稼動している場合には、それぞれ独立に稼動している場合に比べて、室外熱交換器21の熱交換能力が増加するため、それぞれの冷却能力、加温能力が急激に増え、起動停止が頻繁に起きるとともに、同時運転率が低下する。そこで、送風ファン38の風量を低下させることにより、室外熱交換器21の空気との熱交換量を低下させ、冷却システム27と冷却加温システム26の能力が極端に増えることがないように調整し、冷却システム27と冷却加温システム26の同時運転率を増やすとともに、起動停止に伴う冷却ロス、加温ロスを低減し、さらには送風ファン38の消費電力量を低減することができる。
なお、室外熱交換器21の温度を測定し、必要に応じて送風ファン39を停止させても良い。
また、コールド専用室2と第二のコールド専用室3内にそれぞれヒータを設置して、要望があればヒータ加温してホット室としてもよい。
以上のように、本実施の形態においては、コールド専用室および第二のコールド専用室の冷却手段とは別に、ホット/コールド切替室を冷却加温する専用の冷却加温システムを有するとともに、この冷却加温システムとして、圧縮機と、室内熱交換器と、冷却システムの凝縮器と一体化したカスケード熱交換器で構成した室外熱交換器と、四方切換弁と、キャピラリチューブを備えたことによって、コールド専用室の冷却とは独立に冷却加温システムを稼動することができるため、加温時の蒸発温度を高めに設定することが可能になるとともに、冷却システムの廃熱を利用して、冷却加温システムの加温時の蒸発温度を0〜10℃の高温条件に維持して、圧縮比を低減することが可能となり、圧縮機の効率向上が図れ、冷却加温システムの加温効率を向上させることができ、電気ヒータなどの加温効率が1程度の加熱手段に比べて、2倍程度の加温効率を容易に実現することができるので、自動販売機の消費電力量を大幅に削減することができる。
また、本実施の形態のカスケード熱交換器は、冷却システムに連結する冷媒配管と、冷却加温システムに連結する冷媒配管とを備えた、2パスのフィンチューブ熱交換器で構成されるとともに、冷却加温システムの加温時の出口配管と冷却システムの入口配管を近接させたことにより、冷却加温システムの過熱度を大きく取ることが可能となり、加温能力と加温効率を向上することができる。
また、本実施の形態において、冷却加温システムの室外熱交換器の加温時の入口配管に結露センサを取り付けるとともに、結露を一定時間検知すると、冷却加温システムを停止し、ヒータ加温に切換えることにより、商品の加温を停止することなく、結露による漏水を防止することができる。
また、本実施の形態において、冷却システムと冷却加温システムの加温を同時に稼動するときに、カスケード熱交換器の送風ファンの風量を低下させることにより、冷却システムと冷却加温システムの能力が急激に増加することを防止できるとともに、送風ファンの消費電力量を低減することができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における自動販売機の冷媒回路図である。
図3において、本発明の自動販売機は、第一のホット/コールド切替室100、第二のホット/コールド切替室101、コールド専用室102からなる貯蔵室を備え、圧縮機106、第一のホット/コールド切替室100内に設置された室内熱交換器103、貯蔵室の外に設置された室外熱交換器107、冷却運転時と加温運転時に冷媒流路を切り替える四方切換弁108、膨張機構としての膨張弁109、ドライヤ110とからなり第一のホット/コールド切替室100の冷却と加温を専用に行う第一の冷却加温システム111と、圧縮機112、第二のホット/コールド切替室101内に設置された室内熱交換器104、室外熱交換器107、四方切換弁113、膨張弁114、ドライヤ115とからなり第二のホット/コールド切替室101の冷却と加温を専用に行う第二の冷却加温システム116と、圧縮機117、コールド専用室102内に設置された蒸発器105、室外熱交換器107、膨張弁118とからなりコールド専用室102の冷却を専用に行う冷却専用システム119を有する。
ここで、室外熱交換器107は、3パスのフィンチューブ熱交換器で構成され、それぞれの冷媒配管は、第一の冷却加温システム111、第二の冷却加温システム116、冷却専用システム119と連結している。第一の冷却加温システム111と第二の冷却加温システム116とそれぞれ連結する冷媒配管は、加温運転時は蒸発器として、冷却運転時は凝縮器として作用する。また、年間を通じて冷却に設定される割合の最も多いシステムの冷媒配管を風上側に、加温に設定される割合の最も多いシステムの冷媒配管を中間に配置する。
さらに、第一の冷却加温システム111において、膨張弁109と室外熱交換器107は2本の並列する配管で結ばれており、一方の配管には冷却用逆止弁120とドライヤ110が直列に接続され、他方の配管には加温用逆止弁121が接続されている。また、第二の冷却加温システム116においても、膨張弁114と室外熱交換器107は2本の並列する配管で結ばれると共に、冷却用逆止弁122、ドライヤ115、加温用逆止弁123が同様に接続されている。
ここで、第一の冷却加温システム111において、冷却用逆止弁120はドライヤ110から膨張弁109に冷媒が流れる方向を正方向とし、膨張弁109からドライヤ110へ向かう逆方向には流れないように設置される。さらに、加温用逆止弁121は膨張弁109から室外熱交換器107へ冷媒が流れる方向を正方向とし、室外熱交換器107から膨張弁109へ向かう逆方向には流れないように設置される。また、第二の冷却加温システム116においても、冷却用逆止弁122と加温用逆止弁123は同様に設置される。
また、室内熱交換器103、104、蒸発器105、室外熱交換器107にはそれぞれ独立の送風ファン124、125、126、127が備えられる。
なお、図3は第一のホット/コールド切替室100を加温に、第二のホット/コールド切替室101を冷却に設定した場合の冷媒回路の状態を表している。
以上のように構成された自動販売機について、以下その動作、作用を説明する。
なお、第一の冷却加温システム111と第二の冷却加温システム116とは、同様の動作を行うので、第二の冷却加温システム116については動作の説明を省略する。また、冷却専用システム119についても、第一の冷却加温システム111の冷却運転時と同様の動作を行うので、動作の説明を省略する。
まず、第一のホット/コールド切替室111を冷却する場合、図3において点線矢印で示したように、圧縮機106から吐出された冷媒は四方切換弁108で流路を切り替えて室外熱交換器107へ供給されて凝縮液化する。室外熱交換器107から出た液冷媒はドライヤ110に供給される。このとき、ドライヤ110内部に液冷媒が滞留すると共に、液冷媒中の水分が除去される。
そして、ドライヤ110から出た液冷媒は冷却用逆止弁120を経て膨張弁109で減圧されて室内熱交換器103へ供給されて蒸発気化し、ガス冷媒は再び四方切換弁108を経て圧縮機106へ還流する。ここで、一般に缶飲料などを冷却する場合は設定温度が4℃前後であり、室内熱交換器103の蒸発温度が−20〜−15℃程度となるように膨張弁109の開度が調整される。
また、第一のホット/コールド切替室111を加温する場合、図1において実線矢印で示したように、圧縮機106から吐出された冷媒は四方切換弁108で流路を切り替えて室内熱交換器103に供給されて凝縮液化する。ここで、一般に缶飲料などを加温する場合は設定温度が55℃前後であり、室内熱交換器103の凝縮温度は60〜70℃程度となるように膨張弁109の開度が調整される。
なお、圧縮機106から室内熱交換器103へ向かう加温用冷媒配管は、断熱材で覆う方が望ましく、加温用冷媒配管からの放熱を防ぐことにより、加温能力と加温効率を向上させることができる。
そして、室内熱交換器103から出た液冷媒は膨張弁109で減圧された後、加温用逆止弁121を経て室外熱交換器107へ供給されて蒸発気化し、ガス冷媒は再び四方切換弁108を経て、圧縮機106へ還流する。一般に外気温が低くなると室外熱交換器107の蒸発温度は低くする必要があり、特に外気温が5℃以下になると蒸発温度はマイナス温度にしなければならず、室外熱交換器107に着霜が発生する。また、外気温が高温多湿になり、室外熱交換器107の管表面温度やフィン温度が露点温度を下回ると結露が発生する。
しかし、本実施の形態の室外熱交換器107は、冷却専用システム119が稼動すると、冷却専用システム119と連結している冷媒配管は凝縮器として作用し、冷媒配管周辺のフィン温度が高温になる。そのため、第一の冷却加温システム111と冷却専用システム119が同時に稼動した場合には、フィンを介してカスケード熱交換することができ、0〜10℃の高温の蒸発温度で第一の冷却加温システム111を稼動することが可能となる。これにより、凝縮温度60〜70℃の厳しい加温条件においても圧縮比を低減でき、圧縮機106の効率向上が図れる。また、冷却専用システム119においても凝縮温度が下がることにより、圧縮機117の効率向上が図れる。
さらに、第一の冷却加温システム111の蒸発温度を0℃以上にすることで、室外熱交換器107の着霜も防止することができる。また、外気温が高温多湿になった場合においても、室外熱交換器107のフィン温度が露点温度以下を下回りにくくなり、結露の発生を効果的に抑制することができる。
なお、それぞれのシステムにおいて室外熱交換器を独立させ、送風ファン127の風向きに対して直列に並べる構成としても、冷却専用システム119の廃熱を利用することができるが、本実施の形態における室外熱交換器107のように一体型熱交換器とした方が、フィンを介在させて熱伝達させることができるため、より効果的である。
以上のように、本実施の形態においては、第一のホット/コールド切替室および第二のホット/コールド切替室をそれぞれ専用に冷却と加温する第一の冷却加温システムおよび第二の冷却加温システムと、コールド専用室を冷却する冷却専用システムとを有し、この冷却加温システムとして、圧縮機と、室内熱交換器と、膨張弁と、室外熱交換器と、四方切換弁とを備えたことにより、コールド専用室の冷却とは独立に冷却加温システムを稼動することができ、それぞれの貯蔵室の負荷に合わせて、それぞれのシステムを最適化することができる。
また、本実施の形態において、室外熱交換器は、冷却専用システムに連結する冷媒配管と、それぞれの冷却加温システムに連結する冷媒配管とを備えた3パスのフィンチューブ熱交換器で一体に構成したことにより、加温運転時の蒸発温度を高めに設定することが可能になると共に、冷却専用システムの廃熱を利用して、冷却加温システムの加温運転時の蒸発温度を0〜10℃の高温条件に維持して、圧縮比を低減することが可能となり、圧縮機の効率向上が図れ、冷却加温システムの加温効率を向上させることができ、電気ヒータなどの加温効率が1程度の加熱手段に比べて、2倍程度の加温効率を容易に実現することができるので、自動販売機の消費電力量を大幅に削減することができる。
さらに、室外熱交換器のパスの配列を、送風ファンの風上側から、冷却専用システム、第一の冷却加温システム、第二の冷却加温システムの順に配置したことにより、年間を通じて加温に設定される割合が多く、結露が発生する可能性の高い第一の冷却加温システムの冷媒配管周辺のフィンを、冷却専用システムの凝縮器として作用する冷媒配管と第二の冷却加温システムの冷却運転時に凝縮器として作用する冷媒配管の廃熱により、暖めることができるので、第一の冷却加温システムの結露を効果的に防止することができる。また、第二の冷却加温システムについても、冷却専用システムの風下側に配置されているので、冷却専用システムの廃熱により、効率向上や結露の防止ができる。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における自動販売機の冷媒回路図である。
図4において、本発明の自動販売機は、第一のホット/コールド切替室130、第二のホット/コールド切替室131、第三のホット/コールド切替室132、コールド専用室133からなる貯蔵室を備え、圧縮機134、第一のホット/コールド切替室130内に設置された第一の室内熱交換器135、第二のホット/コールド切替室131内に設置された第二の室内熱交換器136、貯蔵室の外に設置された室外熱交換器137、冷却運転時と加温運転時に冷媒流路を切り替える四方切換弁138、冷却運転時に第一の室内熱交換器135と第二の室内熱交換器136のどちらに冷媒を流すかを切り替える冷却用切替バルブ139、冷却用切替バルブ139の出口に並列に接続された膨張機構としての第一の冷却用キャピラリチューブ140、第二の冷却用キャピラリチューブ141、冷却用切替バルブ139の入口に接続された冷却用逆止弁142、冷却用逆止弁142の入口に接続されたドライヤ143、加温用キャピラリチューブ144、加温用キャピラリチューブ144の出口に接続された加温用逆止弁145とからなり第一のホット/コールド切替室130と第二のホット/コールド切替室131の冷却と加温を専用に行う冷却加温システム146と、圧縮機147、第三のホット/コールド切替室132内に設置された第一の蒸発器148、コールド専用室133内に設置された第二の蒸発器149、室外熱交換器137、第一の蒸発器148と第二の蒸発器149のどちらに冷媒を流すかを切り替える冷却専用システム用切替バルブ150、冷却専用システム用切替バルブ150の出口に並列に接続された膨張機構としての第三の冷却用キャピラリチューブ151、第四の冷却用キャピラリチューブ152とからなり第三のホット/コールド切替室132とコールド専用室133の冷却を専用に行う冷却専用システム153を有する。
ここで、第一の室内熱交換器135と第一の蒸発器148は、それぞれ第二の室内熱交換器136と第二の蒸発器149に比べて内容積が小さくなっている。
また、室外熱交換器137は、2パスのフィンチューブ熱交換器で構成され、一方の冷媒配管は冷却加温システム146と連結し、加温運転時は蒸発器として、冷却運転時は凝縮器として作用し、他方の冷媒配管は冷却専用システム153と連結し、凝縮器として作用する。さらに、冷却加温システム146と連結する冷媒配管は冷却専用システム153の冷媒配管の風下に配置される。
また、冷却加温システム146において、第一の室内熱交換器135の冷却運転時の出口と第二の室内熱交換器136の冷却運転時の入口は、第一の直列配管154により直列に接続される。さらに、冷却専用システム153においても、第一の蒸発器148の出口と第二の蒸発器149の入口は、第二の直列配管155により直列に接続される。
また、冷却加温システム146において、冷却用逆止弁142はドライヤ143から冷却用切替バルブ139に冷媒が流れる方向を正方向とし、冷却用切替バルブ139からドライヤ143へ向かう逆方向には流れないように設置される。さらに、加温用逆止弁145は第一の室内熱交換器135から室外熱交換器137へ冷媒が流れる方向を正方向とし、室外熱交換器137から第一の室内熱交換器135へ向かう逆方向には流れないように設置される。
また、第一の室内熱交換器135、第二の室内熱交換器136、第一の蒸発器148、第二の蒸発器149、室外熱交換器137にはそれぞれ独立の送風ファン156、157、158、159、160が備えられる。
また、第一のホット/コールド切替室130、第二のホットコールド切替室131、第三のホット/コールド切替室132には、それぞれ加温ヒータ161、162、163が備えられる。
なお、図4は第一のホット/コールド切替室130および第二のホット/コールド切替室131を加温に、第三のホット/コールド切替室132を冷却に設定した場合の冷媒回路の状態を表している。
以上のように構成された自動販売機について、以下その動作、作用を説明する。
なお、冷却専用システム153については、冷却加温システム146の冷却運転時と同様の動作を行うので、動作の説明を省略する。
まず、第一のホット/コールド切替室130と第二のホット/コールド切替室131を冷却する場合、図4において点線矢印で示したように、圧縮機134から吐出された冷媒は四方切換弁138で流路を切り替えて室外熱交換器137へ供給されて凝縮液化する。室外熱交換器137から出た液冷媒はドライヤ143に供給される。このとき、ドライヤ143内部に液冷媒が滞留すると共に、液冷媒中の水分が除去される。
そして、ドライヤ143から出た液冷媒は冷却用逆止弁142を経て冷却用切替バルブ139に供給され、冷却用切替バルブ139の開閉により、第一の冷却用キャピラリチューブ140で減圧された場合は、第一の室内熱交換器へ供給されて蒸発気化し、直列配管154を経て、第二の室内熱交換器136に供給され、第一の室内熱交換器135で蒸発しきれなかった余剰冷媒が、第二の室内熱交換器136で蒸発気化する。また、第二の冷却用キャピラリチューブ141で減圧された場合は、第二の室内熱交換器136へ供給されて蒸発気化する。
ここで、従来の自動販売機のように、室内熱交換器を並列に接続すると、最も容積の大きい室内熱交換器に合わせて冷媒量を決めた場合、容積の小さい室内熱交換器に冷媒を流すと極端に蒸発温度が低下してしまうが、本実施の形態のように、直列配管154により室内熱交換器を接続することにより、第二の室内熱交換器136よりも容積の小さい第一の室内熱交換器135に冷媒が流れた場合でも、極端に蒸発温度が低くなるのを防ぐことができるため、圧縮機の効率向上が図れる。さらには、第一のホット/コールド切替室130を冷却しながら、同時に第二のホット/コールド切替室131の冷却も行えるので、圧縮機の運転率を低くすることができ、効率の高い自動販売機とすることができる。
なお、冷却用切替バルブ139は、電磁弁を使用しても良いが、三方切替弁を使用する方が消費電力量が小さくできるため望ましい。また、冷却用切替バルブ139に閉塞機能がある場合は、冷却用逆止弁142は備えなくても良い。
そして、第二の室内熱交換器136を出たガス冷媒は、再び四方切換弁138を経て圧縮機134へ還流する。ここで、第一の冷却用キャピラリチューブ140と第二の冷却用キャピラリチューブ141は、蒸発温度が−20〜−15℃程度となるように設計されている。また、膨張機構として第一の冷却用キャピラリチューブ140と第二の冷却用キャピラリチューブ141を用いることで、第二の室内熱交換器136から圧縮機134へ向かう冷媒配管と熱交換することができ、それぞれの室内熱交換器の冷却能力を向上することができる。
次に、第一のホット/コールド切替室130と第二のホット/コールド切替室131を加温する場合、図4において実線矢印で示したように、圧縮機134から吐出された冷媒は四方切換弁138で流路を切り替えて第二の室内熱交換器136へ供給されて凝縮液化する。さらに、第二の室内熱交換器136を出た冷媒は、直列配管154を経て、第一の室内熱交換器135に供給され、第二の室内熱交換器136で凝縮しきれなかった余剰冷媒が、第一の室内熱交換器135で凝縮液化し、液冷媒は加温用キャピラリチューブ144で減圧され、加温用逆止弁145を経て、室外熱交換器137へ供給される。そして、室外熱交換器137で蒸発気化し、ガス冷媒は再び四方切換弁138を経て、圧縮機134へ還流する。
ここで、キャピラリチューブを膨張機構として使用することにより、液管を削減することができるので、加温運転時の冷媒量を削減することができる。
また、加温用キャピラリチューブ144は、凝縮温度が60〜70℃程度となるように設計されている。さらに、加温用キャピラリチューブ144は、圧縮機134から第二の室内熱交換器136へ向かう冷媒配管とは熱交換をさせずに、断熱することが望ましく、これにより、加温能力を低下させないと共に、室外熱交換器137の冷却能力が高くなるのを防止することができ、室外熱交換器137での結露の発生を抑制することができる。
また、本実施の形態では、第一の室内熱交換器135と第二の室内熱交換器136を直列配管154により直列に接続されており、冷却加温システム146が稼動すると常に両方の室内熱交換器に冷媒が流れるため、最適冷媒量の変動を抑えて、安定した運転状態を保つことができ、高効率化が図れる。
さらに、第一のホット/コールド切替室130と第二のホット/コールド切替室131に収納された商品は、送風ファン156、157の風量を調整することにより所定の温度に調節する。これにより、第二のホット/コールド切替室131のみが加温されることを防止すると共に、過凝縮により必要冷媒量が増加することを防止することができる。
また、送風ファン156、157の風量調整と合わせて、加温ヒータ161、162により加温を行い、第一のホット/コールド切替室130と第二のホット/コールド切替室131に収納された商品の温度を調節してもよく、これにより、冷却加温システム146が第一のホット/コールド切替室130および第二のホット/コールド切替室131の能力に合わせた最小能力であっても、加温ヒータ161、162により加温能力を補うことができる。
以上のように、本実施の形態においては、第一のホット/コールド切替室および第二のホット/コールド切替室を専用に冷却と加温する冷却加温システムと、第三のホット/コールド切替室およびコールド専用室を専用に冷却する冷却専用システムとを有し、この冷却加温システムとして、圧縮機と、第一の室内熱交換器と、第二の室内熱交換器と、第一の冷却用キャピラリチューブと、第二の冷却用キャピラリチューブと、冷却用切替バルブと、加温用キャピラリチューブと、室外熱交換器と、四方切換弁とを備えたことにより、一つの圧縮機で複数のホット/コールド切替室を冷却もしくは加温することができるため、機械室の省スペース化が図れ、ユニットの軽量化が図れると共に、それぞれの貯蔵室の負荷に合わせて、それぞれのシステムを最適化することができる。さらに、冷却用キャピラリチューブと圧縮機の吸入配管を熱交換して冷却能力を向上することができると共に、前記ホット/コールド切替室を加温する場合に室内熱交換器から室外熱交換器へ接続する液管を廃止することができるため、必要冷媒量を削減することができる。
また、例えば、第一のホット/コールド切替室を加温、第二のホット/コールド切替室を冷却のように設定した場合は、第二のホット/コールド切替室は冷却加温システムで冷却し、第一のホット/コールド切替室は、加温ヒータで加温することにより、冷却と加温を混在させて使用することが可能となる。
さらに、本実施の形態において、年間を通じて冷却に設定される割合の多い第三のホット/コールド切替室とコールド専用室を冷却専用システムで冷却するようにしたので、冷却専用システムと冷却加温システムの能力を最適に設計することができ、年間を通じて効率の良い運転ができる。