JP4151811B2 - 粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水分散型の粘着剤組成物及び粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
水分散型のアクリル系粘着剤を用いた粘着シートは、溶剤を用いないため、環境衛生上望ましく、耐溶剤性に優れるなどの利点を有している。しかし、その一方で、溶剤型の粘着剤を用いた粘着シートと比較した場合、接着性や粗面接着性及び保持性の各性能を両立できないという欠点を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、水分散型のアクリル系粘着剤であっても、優れた接着性、粗面接着性及び保持性を併せ持つ粘着剤組成物及び粘着シートを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、水分散型粘着剤において(メタ)アクリル酸エステル共重合体を架橋させる際に、架橋剤として油溶性架橋剤と水溶性架橋剤とを併用すると、溶剤型粘着剤と比較して同等以上の優れた接着性、粗面接着性及び保持性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、室温粘着性を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、該(メタ)アクリル酸エステル共重合体に対して熱架橋可能な油溶性架橋剤及び水溶性架橋剤を含む水分散型粘着剤組成物を提供する。この粘着剤組成物において、(メタ)アクリル酸エステル共重合体における溶剤不溶分は、例えば35重量%以下である。油溶性架橋剤及び水溶性架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体100重量部に対して、それぞれ、例えば0.01〜1.5重量部程度である。
【0006】
本発明は、また、上記の水分散型粘着剤組成物を基材上に塗布し、熱架橋して得られる粘着シートを提供する。
【0007】
なお、本明細書において、「溶剤不溶分」とは、所定量(約500mg)の試料を精秤し(そのうち固形分の重量をW1mgとする)、これを酢酸エチル中に室温で3日間浸漬した後、不溶の固体を濾過し、この固体を100℃で2時間乾燥させて重量(W2mg)を測定し、下記式
溶剤不溶分(重量%)=(W2/W1)×100
に従って算出したものである。
【0008】
また、接着力とは、粘着シートをステンレス板(被着体)に貼り合わせ、23℃、65%RH、剥離速度300mm/分の条件で剥離したときに要する力を意味する。また、粗面接着力とは、粘着シートを粒度280番の研磨紙(被着体)に貼り合わせ、23℃、65%RH、剥離速度300mm/分の条件で剥離したときに要する力を意味する。保持力とは、粘着シートをフェノール樹脂板(被着体)に10mm×20mmの接触面積で貼り合わせ、80℃の条件でフェノール樹脂板を垂下し、粘着シートの自由端に600gの荷重を負荷したときに、粘着シートが落下するまでに要する時間を意味する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、室温において粘着性を示すものであればよい。該(メタ)アクリル酸エステル共重合体の主単量体成分である(メタ)アクリル酸エステルとしては、一般式(1)
CH2=C(R1)COOR2 (1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数2〜14のアルキル基を示す)
で表される化合物が挙げられる。
【0010】
前記R2として、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基などが例示できる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは単独でまたは2種以上混合して使用できる。
【0011】
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体では、熱架橋するための架橋点を導入するため、官能基含有単量体が共重合されている。官能基含有単量体をコモノマー成分として用いることにより被着体に対する接着力も向上する。
【0012】
前記官能基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその酸無水物;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有単量体;(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルプロピルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルプロピルトリエトキシシランなどの多官能性アルコキシシラン;(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。これらの官能基含有単量体は1種または2種以上使用することができる。
【0013】
また、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体では、凝集力等の特性を高めるため、必要に応じて、その他の共重合性単量体をコモノマー成分として用いられる。このような共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル:酢酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;シクロペンチルジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。これらの共重合性単量体も1種または2種以上使用できる。
【0014】
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体における溶剤不溶分は、粘着性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には35重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0015】
本発明の重要な特徴は、架橋剤として油溶性架橋剤と水溶性架橋剤とを併用する点にある。なお、本明細書において、「油溶性架橋剤」とは、実質的に水に不溶な架橋剤(例えば、テトラッド−C:三菱瓦斯化学株式会社製、デナコールEX−622:ナガセ化成工業株式会社製)を意味し、「水溶性架橋剤」とは、実質的に水に可溶な架橋剤(例えば、エポクロスWS−500:日本触媒化学工業株式会社製、TEPIC:日産化学工業株式会社製)を意味する。
【0016】
油溶性架橋剤及び水溶性架橋剤としては、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成する官能基含有単量体の種類に応じ、該官能基に対して反応性を有するものを適宜選択して使用できる。
【0017】
例えば、前記官能基含有単量体がカルボキシル基含有単量体又はその酸無水物である場合には、架橋剤として、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ化合物(エポキシ樹脂等)、オキサゾリン化合物、金属(過)酸化物、金属塩、金属水酸化物などが使用される。また、前記官能基含有単量体が水酸基含有単量体である場合には、架橋剤として、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ化合物などが使用できる。さらに、アミド基含有単量体に対しては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ化合物、カルボキシル基含有ポリマーなどが、アミノ基含有単量体に対しては、ポリイソシアネート、エポキシ化合物などが、グリシジル基含有単量体に対しては、カルボキシル基含有ポリマー、酸無水物、ポリアミンなどがそれぞれ用いられる。
【0018】
これらの架橋剤のうち、代表的な油溶性架橋剤にはエポキシ型架橋剤などが含まれ、代表的な水溶性架橋剤にはオキサゾリン型架橋剤などが含まれる。
【0019】
油溶性架橋剤及び水溶性架橋剤は、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体中の架橋点となる官能基に対して、それぞれ、例えば0.1〜5当量程度用いられる。油溶性架橋剤及び水溶性架橋剤の使用量は、一般には、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体100重量部に対して、0.01〜1.5重量部、好ましくは0.01〜1重量部程度である。また、油溶性架橋剤と水溶性架橋剤との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20程度である。
【0020】
本発明の水分散型粘着剤組成物は、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル、官能基含有単量体、及び必要に応じてその他の共重合性単量体を含む単量体混合物を慣用の乳化重合に付して、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の水分散液を得、これに前記油溶性架橋剤及び水溶性架橋剤を添加することにより調製できる。
【0021】
重合方法としては、一般的な一括重合、連続滴下重合、分割滴下重合などを採用でき、重合温度は、例えば20〜100℃程度である。
【0022】
重合に用いる重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)などのアゾ系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤;過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムなどのレドックス系開始剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。重合開始剤の使用量は、モノマーの総量100重量部に対して、例えば0.005〜1重量部程度である。
【0023】
また、重合には連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、慣用の連鎖移動剤、例えば、ドデカンチオール等のメルカプタン類等が例示できる。連鎖移動剤の使用量は、モノマーの総量100重量部に対して、例えば0.001〜0.5重量部程度である。
【0024】
また、乳化剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウムなどのアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン系乳化剤などを使用できる。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。乳化剤の使用量は、モノマーの総量100重量部に対して、例えば0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部程度である。
【0025】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の前記溶剤不溶分は、重合条件、例えば、反応温度、反応時間、モノマー組成、重合開始剤の種類及び使用量、連鎖移動剤の種類及び使用量などを適宜選択することにより調整できる。
【0026】
前記水分散型粘着剤組成物は、上記方法のほか、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を乳化重合以外の方法で得た後、前記架橋剤を添加し、乳化剤により水に分散させて調製してもよい。
水分散型粘着剤組成物には、その他、必要に応じて、pHを調整するための塩基(アンモニア水など)や酸、粘着剤に通常使用される添加剤、例えば、粘着付与樹脂、界面活性剤、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤などが添加されていてもよい。
【0027】
本発明の粘着シートは、上記の水分散型粘着剤組成物を基材上に塗布し、熱架橋することにより得られる。
基材としては、例えば、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム;クラフト紙などの紙;金属箔などを使用できる。前記プラスチックフィルムは、無延伸フィルム及び延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムの何れであってもよい。また、基材のうち粘着剤を塗布する面には、通常使用される下塗剤やコロナ放電方式などによる表面処理が施されていてもよい。基材の厚みは、目的に応じて適宜選択できるが、一般には10〜500μm程度である。
【0028】
水分散型粘着剤組成物の塗布は、慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いて行うことができる。前記粘着剤組成物は、乾燥後の粘着剤層の厚みが、例えば10〜100μm程度となるように塗布される。
【0029】
熱架橋は、慣用の方法、例えば、架橋剤の種類に応じて架橋反応が進行する温度にまで加熱することにより行われる。架橋後の粘着剤層の溶剤不溶分は、例えば25〜70重量%程度、好ましくは30〜50重量%程度である。架橋後の粘着剤層の溶剤不溶分は、例えば、単量体総量に対する前記官能基含有単量体の割合、架橋剤の種類や量を調整することによりコントロールできる。粘着シートは、ロール状に巻回した粘着テープであってもよい。
【0030】
本発明では、水分散型のアクリル系粘着剤を用いているにもかかわらず、接着力、粗面に対する接着力が良好で且つ保持性能にも優れる。好ましい粘着シートでは、接着力(180度ピール、剥離速度300mm/分)は530gf/20mm幅以上(例えば530〜2000gf/20mm幅、好ましくは650〜2000gf/20mm幅程度)、粗面接着力(180度ピール、剥離速度300mm/分、被着体:粒度280番研磨紙)は40gf/20mm幅以上(例えば40〜200gf/20mm幅、好ましくは75〜200gf/20mm幅程度)、保持力(接触面積:10mm×20mm、80℃における落下時間)は70分以上(好ましくは100分以上、さらに好ましくは120分以上)である。
【0031】
このような効果が奏される詳細な理由は明らかでないが、油溶性架橋剤と水溶性架橋剤とを併用することで、水分散型粘着剤の粒子の内部と外側が均一に架橋されることに起因するものと推測される。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、水分散型のアクリル系粘着剤を用いるので、環境衛生上望ましいだけでなく、水分散型であるにもかかわらず、接着性、粗面接着性及び保持性の特性を併せ持つ。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、「部」は、特に断りがない限り重量基準である。
【0034】
実施例1
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル95部、アクリル酸5部、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)]ジヒドロクロライド(開始剤)0.1部、ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.01部を、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(乳化剤)3部を添加した水100部に加えて乳化重合したのち、10重量%アンモニウム水を添加してpH8に調整した。得られたアクリル系共重合体の溶剤不溶分は0重量%であった。
上記で得られたアクリル系共重合体の水分散液に、トルエンに溶解した油溶性のエポキシ型架橋剤(テトラッド−C:三菱瓦斯化学株式会社製)を0.08部、水に溶解した水溶性のオキサゾリン型架橋剤(エポクロスWS−500:日本触媒化学工業株式会社製)を0.05部添加して、水分散型粘着剤組成物を調製した。
この水分散型粘着剤組成物を厚さ40μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布し、120℃で3分乾燥し、厚さ50μmの粘着剤層を付設して粘着シートを作製した。粘着剤層の溶剤不溶分は40重量%であった。
【0035】
実施例2
アクリル酸ブチル95部、アクリル酸5部、過硫酸アンモニウム(開始剤)0.1部、ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.01部を、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(乳化剤)3部を添加した水100部に加えて乳化重合したのち、10重量%アンモニウム水を添加してpH8に調整した。得られたアクリル系共重合体の溶剤不溶分は30重量%であった。
上記で得られたアクリル系共重合体の水分散液に、トルエンに溶解した油溶性のエポキシ型架橋剤(テトラッド−C:三菱瓦斯化学株式会社製)を0.05部、水に溶解した水溶性のオキサゾリン型架橋剤(エポクロスWS−500:日本触媒化学工業株式会社製)を0.05部添加して、水分散型粘着剤組成物を調製した。
この水分散型粘着剤組成物を厚さ40μmのPETフィルムに塗布し、120℃で3分乾燥し、厚さ50μmの粘着剤層を付設して粘着シートを作製した。粘着剤層の溶剤不溶分は40重量%であった。
【0036】
比較例1
実施例1に準じて調製したアクリル系共重合体の水分散液に、トルエンに溶解した油溶性のエポキシ型架橋剤(テトラッド−C:三菱瓦斯化学株式会社製)を0.1部添加して、水分散型粘着剤組成物を調製した。この水分散型粘着剤組成物を厚さ40μmのPETフィルムに塗布し、120℃で3分乾燥し、厚さ50μmの粘着剤層を付設して粘着シートを作製した。粘着剤層の溶剤不溶分は40重量%であった。
【0037】
比較例2
実施例1に準じて調製したアクリル系共重合体の水分散液に、水に溶解した水溶性のオキサゾリン型架橋剤(エポクロスWS−500:日本触媒化学工業株式会社製)を0.7部添加して、水分散型粘着剤組成物を調製した。この水分散型粘着剤組成物を厚さ40μmのPETフィルムに塗布し120℃で3分乾燥し、厚さ50μmの粘着剤層を付設して粘着シートを作製した。粘着剤層の溶剤不溶分は40重量%であった。
【0038】
評価試験
実施例及び比較例で得た粘着シートについて次の特性を調べた。結果を表1に示す。
(接着力)
幅20mm、長さ100mmの大きさの試験片を作製し、この試験片を被着体(SUS430BA板)に2Kgのローラを1往復させる方法にて圧着し、23℃下に20分放置後、23℃、65%RH雰囲気下で剥離に要する力を測定した(180度ピール、剥離速度300mm/分)。
【0039】
(粗面接着力)
幅20mm、長さ100mmの大きさの試験片を作製し、この試験片を粒度280番の研磨紙に2Kgのローラを1往復させる方法にて圧着し、23℃下に20分放置後、23℃、65%RH雰囲気下で剥離に要する力を測定した(180度ピール、剥離速度300mm/分)。
【0040】
(保持力試験)
幅10mmの粘着シートをフェノール樹脂板に対し10mm×20mmの接触面積で貼り付け、20分経過後80℃下に20分放置した後、フェノール樹脂板を垂下し、粘着テープの自由端に600gの均一荷重を負荷して、80℃での粘着シートの落下時間を測定した。
【0041】
【表1】
表1の結果より、実施例の粘着シートは、比較例の粘着シートに比べ、接着力、粗面接着力及び保持力の何れの特性も優れていることが明らかである。
Claims (4)
- 室温粘着性を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、該(メタ)アクリル酸エステル共重合体に対して熱架橋可能な油溶性架橋剤及び水溶性架橋剤を含む水分散型粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル酸エステル共重合体における溶剤不溶分が35重量%以下である請求項1記載の水分散型粘着剤組成物。
- 油溶性架橋剤及び水溶性架橋剤を、(メタ)アクリル酸エステル共重合体100重量部に対して、それぞれ0.01〜1.5重量部含む請求項1又は2記載の水分散型粘着剤組成物。
- 請求項1〜3の何れかの項に記載の水分散型粘着剤組成物を基材上に塗布し、熱架橋して得られる粘着シート。
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