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JP4150397B2 - 積層鉄心及びその製造方法 - Google Patents

積層鉄心及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、帯状に連続した複数のセグメント鉄心片を螺旋状に巻回して積層した積層鉄心及びその製造方法に関する。
従来、積層鉄心の製造に使用する鉄心材料(例えば、条材)の歩留向上方法として、鉄心材料から鉄心片を打抜く際、環状とせずに帯状に連なる複数のセグメント鉄心片を打抜き形成し、これを巻回しながら積層して積層鉄心を製造するいわゆる巻き形鉄心が知られている。
具体的には、所定数のスロットを有する円弧状のセグメント鉄心片同士を、連結部を介して相互に結合した状態で、鉄心材料から金型で打抜く。そして、外周側に形成された連結部を折り曲げ、隣り合うセグメント鉄心片の側端部を合わせながら、連続した複数のセグメント鉄心片を螺旋状に巻回して積層する。なお、積層鉄心の積層方向では、連結部が異なる位置にずれ、セグメント鉄心片と連結部が隣り合って配置されている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)。
特開平1−264548号公報 特開平8−196061号公報 特表2004−505595号公報
しかしながら、複数のセグメント鉄心片を環状に配置するため連結部を折り曲げる際に、連結部の肉厚方向に膨出部が発生し、この膨出部が積層したセグメント鉄心片間に隙間を生じさせ、製造した積層鉄心の厚みにばらつきを生じさせていた。この隙間は、例えば、積層鉄心を使用したモータの組み立てにおいて、隙間を無くすための余分な加圧処理を必要としたり、またモータの効率低下又は振動を招く原因となり、モータの品質に悪影響を及ぼす。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、連結部の厚み方向の膨出の影響を受けることなく、高効率で高品質の製品を製造可能な積層鉄心及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係る積層鉄心は、外周部に形成された連結部で相互に結合された隣り合うセグメント鉄心片を、前記連結部を折り曲げて前記セグメント鉄心片の側端部を合わせながら、該連続した複数の前記セグメント鉄心片を螺旋状に巻回して積層し、隣接する層に設けられた前記連結部同士を周方向にずらしながら配置した積層鉄心において、
前記連結部の半径方向外側には該連結部の折り曲げ時に半径方向外側に形成される半径方向膨出部を該積層鉄心の外側円内に収める凹部切欠きを有し、
前記連結部の半径方向内側には、該連結部の折り曲げ位置を形成する内側切欠きを設け、前記連結部を除く前記セグメント鉄心片の半径方向外側には、前記連結部の折り曲げ時に、その厚み方向に形成される厚み方向膨出部を収容するための収容部を設ける。
第1の発明に係る積層鉄心において、前記収容部は切欠き又は孔であることが好ましい。
第1の発明に係る積層鉄心において、隣り合う前記セグメント鉄心片の側部には、凹部とこれに嵌合する凸部によって構成される係合部が設けられていることが好ましい。
第1の発明に係る積層鉄心において、隣り合う前記セグメント鉄心片の側端部を近接配置することが好ましい。
前記目的に沿う第2の発明に係る積層鉄心の製造方法は、外周部に形成された連結部で相互に結合された複数のセグメント鉄心片を形成し、前記連結部を折り曲げて隣り合う前記セグメント鉄心片の側端部を合わせながら、該連続した複数の前記セグメント鉄心片を螺旋状に巻回して積層し、隣接する層に設けられた前記連結部同士を周方向にずらしながら配置する積層鉄心の製造方法において、
前記セグメント鉄心片の形成に際し、前記連結部の半径方向外側に、該連結部の折り曲げ時に半径方向外側に形成される半径方向膨出部を該積層鉄心の外側円内に収める凹部切欠きを形成するA工程と、
前記連結部の半径方向内側に該連結部の折り曲げ位置を決める内側切欠きを形成するB工程と、
前記連結部を除く前記セグメント鉄心片の半径方向外側に、前記連結部の折り曲げ時にその厚み方向に形成される厚み方向膨出部を収容するための収容部を形成するC工程とを行う。
請求項1〜記載の積層鉄心、及び請求項記載の積層鉄心の製造方法は、セグメント鉄心片の半径方向外側に、連結部の折り曲げ時にその厚み方向に形成される厚み方向膨出部を収容するための収容部を設けるので、積層した複数のセグメント鉄心片の間に、厚み方向膨出部による隙間が形成されることを防止できる。これにより、積層鉄心の品質管理が容易になり、積層鉄心を使用したモータの高効率化を図ることができると共に、振動発生の防止によるモータ品質の向上も図れる。
特に、請求項3記載の積層鉄心は、隣り合うセグメント鉄心片の側部に係合部が設けられているので、巻回して積層する際の複数のセグメント鉄心片の環状精度を更に向上できる。
請求項4記載の積層鉄心は、隣り合うセグメント鉄心片の側端部を近接配置し、側端部同士の接触が防止されるので、各セグメント鉄心片の周方向のピッチのばらつきを防止でき、例えば、積層方向のセグメント鉄心片のかしめ位置のずれを防止できる。また、このように近接配置することにより、例えば、セグメント鉄心片を打抜く金型の刃物が摩耗し、側端部にバリが生じた場合でも、その接触を防止でき、各セグメント鉄心片の周方向のピッチのずれを防止できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の平面図、図2は同積層鉄心の部分側面図、図3は同積層鉄心のセグメント鉄心片の積層前の状態を示す部分平面図である。
図1〜図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る積層鉄心10は、外周部11に形成された連結部12で相互に結合された隣り合うセグメント鉄心片13を、連結部12を折り曲げてセグメント鉄心片13の側端部14を合わせながら、連続した複数のセグメント鉄心片13を螺旋状に巻回して積層し、隣接する層に設けられた連結部12同士を周方向にずらしながら配置した固定子積層鉄心(ステータともいう)であり、セグメント鉄心片13の半径方向外側に、連結部12の折り曲げ時にその厚み方向に形成される厚み方向膨出部15を収容するための収容部16が設けられたものである。以下、詳しく説明する。
積層鉄心10は、厚みが、例えば、0.5mm以下程度の電磁鋼板(図示しない)から、連結部12で結合された複数のセグメント鉄心片13を金型で打抜き、図1、図2に示すように、打ち抜かれた連続したセグメント鉄心片13を巻回し順次かしめ積層して構成されるものである。ここで、複数のセグメント鉄心片の積層方法としては、かしめ、溶接、及び接着のいずれか1を適用することも、また、いずれか2以上を併用することもできる。
この各セグメント鉄心片13は、半径方向内側に複数のスロット17が設けられて磁極片部18が形成され、半径方向外側にはヨーク片部19が形成されている。
隣り合うセグメント鉄心片13の間には、セグメント鉄心片13を外周部11で結合する連結部12が設けられている。
この連結部12の半径方向外側には、連結部12の折り曲げ時に半径方向外側に形成される半径方向膨出部20を、積層鉄心10の外側円内に収める凹部切欠き21が設けられている。このため、図3に示すように、連結部12の折り曲げ前は、連結部12の外周が半径方向内側に凹んでいる。
また、連結部12の半径方向内側(側端部14の半径方向外側領域)には、図1、図3に示すように、連結部12の折り曲げ前の形状が円弧状となった内側切欠き22が設けられており、この内側切欠き22の最奥部23に折り曲げ起点が形成される。なお、内側切欠きの形状は、例えば、平面視して逆U字状又は逆V字状でもよい。
この内側切欠き22は、連結部12の折り曲げ後は楕円形となって、隣り合うセグメント鉄心片13間に隙間を形成するので、隣り合うセグメント鉄心片13の側端部14の半径方向内側領域を合わせる際、側端部14の半径方向外側領域同士が当接するのを防止している。
このような連結部12で結合されたセグメント鉄心片13を、図1、図2に示すように、巻回して積層するに際しては、隣り合うセグメント鉄心片13の間に設けられた連結部12を、積層方向で異なる位置にずらし、各磁極片部18の位置を合わせている。なお、本実施の形態では、セグメント鉄心片13の積層の際に、スロット1個分だけ積層方向でずらしているが、2個以上ずつずらしてもよい。
ここで、平面視した積層鉄心の一周当たりの全スロット数をm個とし、セグメント鉄心片1個当たりのスロット数(磁極片部の数と同じ)をn個とした場合、スロット1個分だけ積層方向でずらすために必要な1周のセグメント鉄心片数をk個とすると、以下の関係が成り立つ。
(m+1)/n=k
ここで、m、n、kは、それぞれ正の整数であり、積層鉄心の製造条件に応じて種々変更できる。
なお、本実施の形態では、図1に示すように、平面視した積層鉄心の一周当たりの全スロット数が20個(m=20)、セグメント鉄心片1個当たりの磁極片部の数が3個(スロット数3個に相当:n=3)であるため、上式より1周に必要なセグメント鉄心片数は7個(k=7)であるが、7個目のセグメント鉄心片の磁極片部1個分だけ積層時に次の層となり、積層方向の連結部の位置は、磁極片部1個分(スロット1個分に相当)ずれることになる。
また、積層方向でずれるスロット数を2個以上にする場合は、前記した式中の「1」を、ずれる個数、即ち2以上に変えることで、1周に必要なセグメント鉄心片数が求まる。
これにより、複数のセグメント鉄心片13を巻回して積層するに際しては、連結部12の位置が積層方向でずれるため、各セグメント鉄心片13の結合強度を更に強固なものにできる。
このように、連結部12の位置が積層方向でずれるため、積層方向にセグメント鉄心片13と連結部12が隣り合って配置される。
そこで、各セグメント鉄心片13の半径方向外側に収容部16を、実質的に等角度(ここでは、スロット17の中心線と収容部16の中心線を一致させる位置)に設け、連結部12の折り曲げ後に、その厚み方向に形成される厚み方向膨出部15が、積層方向に隣り合うセグメント鉄心片13の収容部16内に収まるようにしている。この収容部は切欠きとなって、その形状が半円形となっているが、収容部内に厚み方向膨出部15を配置できれば、これに限定されるものではなく、例えば、楕円形又は矩形(正方形又は長方形)でもよい。また、収容部は、少なくとも連結部12に形成される厚み方向膨出部15を囲む大きさであればよく、本実施の形態では、積層方向下側に位置するセグメント鉄心片13の内側切欠き22の一部(半径方向外側)が露出する大きさとしている。従って、収容部は孔でもよい。
以上のように構成することで、連結部12を折り曲げる際に、連結部12に設けられた内側切欠き22が、連結部12に良好なヒンジ効果を与えることができる。
また、この連結部12は、折り曲げ時に、連結部12の外周部が円周方向に引っ張られ、その厚みが薄くなると共に半径方向外側に半径方向膨出部20が形成されるが、これは凹部切欠き21内に配置されるため問題ない。一方、連結部12の内周部は円周方向に押し縮められ、その厚み方向に厚み方向膨出部15が形成されるが、これは収容部16内に配置されるため問題ない。
なお、隣り合うセグメント鉄心片13の側端部14の半径方向内側領域には、凹部24とこれに嵌合する凸部25によって構成される係合部26が設けられている。この凹部24と凸部25を含む隣り合うセグメント鉄心片13の側端部14は、隙間を開けて近接配置されているが、当接させてもよい。
これにより、隣り合うセグメント鉄心片13同士の相互の位置決めをより精度良く実施でき、その環状精度を向上できる。
続いて、本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の製造方法について説明する。
まず、電磁鋼板(図示しない)を搬送しながら、1又は複数の金型(図示しない)を使用して、図3に示すように、連結部12で相互に結合された複数のセグメント鉄心片13を打抜く。
このセグメント鉄心片13の打抜きに際しては、通常行うスロット17の打抜き形成の後に、凹部切欠き21を形成するA工程と、内側切欠き22を形成するB工程と、収容部16を形成するC工程を行う。なお、金型形状によって、各A〜C工程を同時に行うことも、順次個別に行うことも、また順序を入れ換えて行うことも可能であり、更にスロット17の打抜き形成と共に行うことも可能である。
そして、内側切欠き22の最奥部23を起点として連結部12を折り曲げ、隣り合うセグメント鉄心片13の凹部24に凸部25を嵌合させると共に、セグメント鉄心片13の側端部14を合わせながら、連続した複数のセグメント鉄心片13を螺旋状に巻回して積層し、連結部12を積層方向にずらしながら積層鉄心10を製造する。
ここで、セグメント鉄心片13の半径方向外側に形成された収容部16内には、積層方向に隣り合う連結部12の厚み方向膨出部15がそれぞれ配置され、厚み方向膨出部15をセグメント鉄心片13の板厚内に収めることができ、積層方向に隣り合うセグメント鉄心片の間の隙間発生を防止できる。
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の積層鉄心及びその製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、積層鉄心が固定子積層鉄心の場合について説明したが、回転子積層鉄心(ローターともいう)でも勿論よい。
本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の平面図である。 同積層鉄心の部分側面図である。 同積層鉄心のセグメント鉄心片の積層前の状態を示す部分平面図である。
符号の説明
10:積層鉄心、11:外周部、12:連結部、13:セグメント鉄心片、14:側端部、15:厚み方向膨出部、16:収容部、17:スロット、18:磁極片部、19:ヨーク片部、20:半径方向膨出部、21:凹部切欠き、22:内側切欠き、23:最奥部、24:凹部、25:凸部、26:係合部

Claims (6)

  1. 外周部に形成された連結部で相互に結合された隣り合うセグメント鉄心片を、前記連結部を折り曲げて前記セグメント鉄心片の側端部を合わせながら、該連続した複数の前記セグメント鉄心片を螺旋状に巻回して積層し、隣接する層に設けられた前記連結部同士を周方向にずらしながら配置した積層鉄心において、
    前記連結部の半径方向外側には該連結部の折り曲げ時に半径方向外側に形成される半径方向膨出部を該積層鉄心の外側円内に収める凹部切欠きを有し、
    前記連結部の半径方向内側には、該連結部の折り曲げ位置を形成する内側切欠きを設け、前記連結部を除く前記セグメント鉄心片の半径方向外側には、前記連結部の折り曲げ時に、その厚み方向に形成される厚み方向膨出部を収容するための収容部を設けることを特徴とする積層鉄心。
  2. 請求項1記載の積層鉄心において、前記収容部は切欠き又は孔であることを特徴とする積層鉄心。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の積層鉄心において、隣り合う前記セグメント鉄心片の側部には、凹部とこれに嵌合する凸部によって構成される係合部が設けられていることを特徴とする積層鉄心。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層鉄心において、隣り合う前記セグメント鉄心片の側端部を近接配置することを特徴とする積層鉄心。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層鉄心において、前記収容部は前記内側切欠きの一部が露出する大きさであることを特徴とする積層鉄心。
  6. 外周部に形成された連結部で相互に結合された複数のセグメント鉄心片を形成し、前記連結部を折り曲げて隣り合う前記セグメント鉄心片の側端部を合わせながら、該連続した複数の前記セグメント鉄心片を螺旋状に巻回して積層し、隣接する層に設けられた前記連結部同士を周方向にずらしながら配置する積層鉄心の製造方法において、
    前記セグメント鉄心片の形成に際し、前記連結部の半径方向外側に、該連結部の折り曲げ時に半径方向外側に形成される半径方向膨出部を該積層鉄心の外側円内に収める凹部切欠きを形成するA工程と、
    前記連結部の半径方向内側に該連結部の折り曲げ位置を決める内側切欠きを形成するB工程と、
    前記連結部を除く前記セグメント鉄心片の半径方向外側に、前記連結部の折り曲げ時にその厚み方向に形成される厚み方向膨出部を収容するための収容部を形成するC工程とを行うことを特徴とする積層鉄心の製造方法。
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