JP4149589B2 - 自動二輪車の前部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボトムリンク式前輪懸架装置を備えるとともに、前輪をディスクブレーキで制動するようにした自動二輪車の前部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車の前輪懸架装置には、一般にテレスコピック式とボトムリンク式が採用されている。
テレスコピック式前輪懸架装置を採用した自動二輪車の前部構造としては、例えば、特開平9−240556号公報「自動二輪車のブレーキ装置」がある。上記従来の技術(以下、「従来の技術▲1▼」と言う。)は、その公報の図1及び図2によれば、テレスコピック式前輪懸架装置を備えた自動二輪車において、左右のホーク1,1(符号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)に左右のブレーキキャリパー5,5を各々取付け、これらのブレーキキャリパー5,5同士を正面視逆U字状の連結金具7で連結し、連結金具7に泥除け8の後端を取付け、泥除け8の前端から延した左右のステー部9,9を左右のホーク1,1に各々取付けるというものである。
剛性の大きいホーク1,1にブレーキキャリパー5,5を取付けるので、その取付け部分の剛性は、比較的大きい。
【0003】
ところで、テレスコピック式前輪懸架装置を大型の自動二輪車に採用した場合、前輪の大きな昇降ストロークを得るためには、大ストロークの緩衝器を用いることになり、緩衝器が大型になる。小ストロークの緩衝器を使用するには、リンクを用いることによって、前輪の昇降ストロークに対して緩衝器のストロークを小さくできる、ボトムリンク式が比較的有利である。
【0004】
ボトムリンク式前輪懸架装置を採用した自動二輪車の前部構造としては、例えば、実公昭60−40396号公報「自動二輪車の前輪懸架装置」がある。上記従来の技術(以下、「従来の技術▲2▼」と言う。)は、その公報の第1図によれば、フロントフォーク7の下部に前後2個のアーム12,13の上部を連結し、これらのアーム12,13の下部に前輪支持部材16の後部を連結し、前輪支持部材16の前部に前輪車軸20を取付け、前輪車軸20に前輪11を取付けるというものである。フロントフォーク7の途中にフロントフェンダ(符号なし)を取付ける。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術▲2▼において、前輪11をディスクブレーキで制動するようにした場合に、フロントフォーク7にキャリパを取付けることはできない。フロントフォーク7に対して前輪11が上下スイングするからである。前輪支持部材16にキャリパを取付けることも考えられるが、これでは、キャリパの取付ける位置が制限されてしまう。
【0006】
そこで、前輪車軸20に直交するブラケットを前輪車軸20の左右に取付け、これら左右のブラケットにキャリパを取付けることが考えられる。ところで、キャリパの制動作用に伴うモーメントが各ブラケットに発生するので、これらのブラケットの剛性を高める必要がある。しかし、フロントフォーク7にアーム12,13と前輪支持部材16を介して連結された前輪車軸20に、さらに左右のキャリパ付きブラケットを取付けるようなリンクの組合せ構造においては、左のブラケットと右のブラケットとに発生する各モーメントに偏りがあり得る。この点を考慮すると、各ブラケットの剛性を一層高める必要があり、各ブラケットが大型で重くなる。
【0007】
さらに、上記従来の技術▲2▼は、フロントフォーク7に固定されたフロントフェンダに対し、前輪11が昇降するものである。フロントフェンダと前輪11との間の隙間については、前輪11の昇降ストロークを考慮して、設定することにならざるを得ない。
さらにまた、一般に、フロントフェンダの剛性は小さいので、できるだけ簡便に剛性を高めることが望ましい。
【0008】
そこで本発明の目的は、(1)キャリパ取付け部材の小型化、軽量化を図ること、(2)簡素な構成によって、フロントフェンダと前輪との間の隙間を、前輪の昇降ストロークを考慮することなく、自由に設定することができること、(3)簡単な構成でフロントフェンダの剛性を高めることができることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、ボトムリンク式前輪懸架装置を備える自動二輪車において、前輪の上部を囲うフロントフェンダの前後方向略中央の逆U字断面部に、剛性のある逆U字形ブリッジを内側から一体的に取付け、このブリッジの左右の脚部を前輪用車軸に向って延し、左右の脚部を左右のブラケットを介して前輪用車軸に取付け、左右の脚部を回転止めリンクでフロントフォークに連結し、左右の脚部若くは左右のブラケットに、左右のディスクブレーキのキャリパを取付けたことを特徴とする。
請求項2は、請求項1において、ボトムリンク式前輪懸架装置は、トレーリングアーム方式であることを特徴とする。
【0010】
請求項1では、ブリッジは、逆U字形なので極めて剛性が大きい。高剛性のブリッジの左右の脚部を、左右のブラケットを介して、ボトムリンク式前輪懸架装置の前輪用車軸に取付けたので、脚部やブラケットの剛性も大きい。高剛性である脚部若くは左右のブラケットに取付けたキャリパの、制動作用に伴うモーメントが、脚部若くはブラケットに発生しても、十分に耐える。
ブリッジにフロントフェンダを取付けたので、フロントフェンダと前輪との間の隙間は、常に一定である。
剛性のある逆U字形ブリッジで、フロントフェンダの前後方向略中央の逆U字断面部を支えるので、フロントフェンダの剛性は大きい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従う。また、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る自動二輪車の前半部の側面図である。
自動二輪車1は、車体フレーム2のヘッドパイプ3に縦向きのステアリングステム4を左右回転可能に取付け、このステアリングステム4の上部に後述するトップブリッジ11を取付け、このトップブリッジ11にバーハンドル5を取付け、さらに、ステアリングステム4にボトムリンク式の前輪懸架装置10を取付けたものである。
自動二輪車1のフロントブレーキ50は、前輪32の側部に取付けたブレーキディスク51と、ブレーキディスク51を制動するためのキャリパ56とからなる、液圧式フロントディスクブレーキである。61はヘッドランプである。
【0012】
図2は本発明に係る前輪懸架装置の側面図である。
前輪懸架装置10は、ステアリングステム4の上部に取付けたトップブリッジ11と、ステアリングステム4の下部に取付けたボトムブリッジ12と、これらのトップ・ボトムブリッジ11,12に上端部を取付けたフロントフォーク13と、前下方へ延びたフロントフォーク13の下端部に前端部を上下スイング可能に連結した前輪支持アーム14と、後下方へ延びた前輪支持アーム14の途中に下端部を前後スイング可能に連結したロッド15と、上方へ延びたロッド15の上端部をロッドハンガ16を介して連結するべく、ボトムブリッジ12から前方へ上下スイング可能に延びたアーム17と、アーム17に下端部を連結した緩衝器18と、上方へ延びた緩衝器18の上端部を連結するべく、フロントフォーク13の上部に取付けたアッパブラケット19とからなる、トレーリングアーム方式の懸架装置である。
トレーリングアーム方式なので、前輪支持アーム14の後端部に前輪用車軸31を取付け、この車軸31に前輪32を回転可能に取付けることになる。図中、21〜25は連結ピンである。
【0013】
上記前輪懸架装置10は、(1)側面視で、ステアリングステム4の前方にフロントフォーク13を配置するとともに、ステアリングステム4の傾斜角よりもフロントフォーク13の傾斜角を緩く設定したこと、及び、(2)側面視で、フロントフォーク13の中心O1に緩衝器18の中心O2をほぼ一致させたことを特徴とする。
緩衝器18は、油圧式ダンパ41とダンパ41の周囲に巻いた懸架ばね42とからなる、ばね外装式緩衝器である。この図2から明らかなように、緩衝器18の最大径である懸架ばね42の外径は、フロントフォーク13の径と概ね等しい。
【0014】
車軸31は、この車軸31に直交するステー52を上下スイング可能に取付けたものである。ステー52は、車軸31に取付けるブラケット53と、ブラケット53の先端に取付けるブリッジ54とからなる。
ブリッジ54は、その脚部54aをトルク伝達リンク55を介して、フロントフォーク13の長手途中の中間部13aに連結するとともに、キャリパ56を取付ける部材である。このため、ステー52は、基端側を車軸31に取付けるとともに、先端側をトルク伝達リンク55を介してフロントフォーク13の中間部13aに連結することになる。
【0015】
トルク伝達リンク55は、その両端を連結ピン57,58にて上下スイング可能に連結したリンク部材、例えばステー52の回転止めをなす回転止めリンクである。
フロントフォーク13と前輪支持アーム14とステー52とトルク伝達リンク55との組合せ構造は、側面視四辺形リンク機構をなす。
また、ブリッジ54は、フロントフェンダ62の前後方向略中央の取付部62aを支える部材である。
図中74,74はキャリパ取付けボルトである。
【0016】
図3は本発明に係る前輪懸架装置の分解側面図であり、前輪懸架装置10における各部材の連結関係を示す。
この図は、特に、ボトムブリッジ12の下端に連結部12aを設け、この連結部12aにアーム17(「クランク」とも言う。)の後端連結部17aを上下スイング可能に連結し、アーム17の前端連結部17bに緩衝器18の下端部18aを上下スイング可能に連結し、アーム17の中間連結部17cにロッドハンガ16の上部連結部16bを上下スイング可能に連結したことを示す。中間連結部17cは、アーム17の長手方向途中に且つ前端連結部17bより上位に設けたものである。
【0017】
図4は本発明に係る前輪懸架装置の斜視図であり、前輪懸架装置10の構成部材であるフロントフォーク13のパイプ(フロントフォークパイプ)13A、前輪支持アーム14、ロッド15及び緩衝器18が、左右1個ずつであることを示す。トップ・ボトムブリッジ11,12は、左右の緩衝器18,18に干渉しないように、平面視略コ字形を呈する。また、ブラケット53及びトルク伝達リンク55も左右1個ずつ備える。左右のトルク伝達リンク55,55は、ロッド15,15に干渉しないように、車体中心側へ若干湾曲したものである。なお、トルク伝達リンク55,55は、ロッド15,15に干渉しなければ、ストレート構造としてもよい。
【0018】
図5は本発明に係る前輪懸架装置の要部を断面した正面図であり、車体中心CLに対し左右対称形の前輪懸架装置10であることを示す。
ロッドハンガ16は、各ロッド15,15の上端部をねじ込む左右のロッド取付部16a,16aと、アーム17に連結する中央の上部連結部16bとを一体に形成した、正面視略逆Y字状の部材である。
アーム17は、左右の緩衝器18,18の下端部18a,18aを連結した1個の部材である。
アッパブラケット19は、トップブリッジ11の下方で左右のフロントフォークパイプ13A,13A間に掛け渡した部材である。アッパブラケット19に、ラバー等の上クッション部材43,43並びに下クッション部材44,44を介して、緩衝器18,18の上端部であるダンパロッド45,45を平面視全方位にスイング可能に吊下げることにより、緩衝器18,18をトップブリッジ11側に連結することができる。すなわち、緩衝器18,18は、トップブリッジ11に直接連結するのではなく、アッパブラケット19を介してトップブリッジ11に連結したものである。なお、緩衝器18,18を、トップブリッジ11に直接連結してもよい。
【0019】
図6は本発明に係る車軸、前輪、フロントブレーキ、ステー及びフロントフェンダ廻りの正面断面図である。
この図は、車軸31に前輪32のホイール32aを回転自在に取付け、ホイール32aの左右両側にフロントブレーキ50,50及びブラケット53,53を配置したことを示す。
【0020】
具体的には、ホイール32aのハブ32bに左右のブレーキディスク51,51をボルト71…(…は複数個を示す。以下同様。)にて取付けた。
フロントフェンダ62は、前輪32の上部を囲う正面視逆U字断面形のカバーであり、このカバーは樹脂成形品である。
ブリッジ54は、フロントフェンダ62の逆U字断面部に合せた正面視逆U字形を呈し、フロントフェンダ62の取付部62aの裏面(内側)にボルト72…にて一体的に取付けた支持部材であり、この支持部材は、例えば、板材を曲げ加工した剛性のあるプレス成形品である。
【0021】
上記説明から明らかなように、ブリッジ54の左右の脚部54a,54aを車軸31に向って延し、左右の脚部54a,54aを左右のブラケット53,53を介して車軸31に取付け、左右の脚部54a,54aに想像線にて示す左右のキャリパ56,56をボルト止めにて取付けた。
換言すれば、車軸31に左右のブラケット53,53の基部53a,53aを回転可能に取付け、これらのブラケット53,53の先端部53b,53bに左右の脚部54a,54aをボルト73…にて取付け、これらの脚部54a,54aに左右のキャリパ56,56をボルト止めにて取付けた。
【0022】
次に、上記構成のブリッジ54の作用を図6に基づき説明する。
ブリッジ54は、逆U字形なので極めて剛性が大きい。高剛性のブリッジ54の左右の脚部54a,54aを、左右のブラケット53,53を介して車軸31に取付けたので、脚部54a,54aやブラケット53,53の剛性も大きい。高剛性である脚部54a,54aやブラケット53,53に取付けたキャリパ56,56の、制動作用に伴うモーメントが、脚部54a,54aやブラケット53,53に発生しても、十分に耐える。
さらに、剛性のある逆U字形ブリッジ54で、フロントフェンダ62の前後方向略中央の逆U字断面部を支えるので、フロントフェンダ62の剛性は大きい。
【0023】
次に、上記構成の前輪懸架装置10及びフロントフェンダ取付構造の作用を、図7〜図9に基づき説明する。
図7は本発明に係る前輪懸架装置及びフロントフェンダ取付構造の作用図(その1)であり、前輪32に下向き荷重が作用していないときの前輪懸架装置10の状態を示す。
前輪32は下限レベルにあり、このときのアーム17は、図に示す下限位置にある。この結果、緩衝器18は最も伸張した状態である。このときの前輪支持アーム14、車軸31、前輪32、ステー52、トルク伝達リンク55及びフロントフェンダ62は、図に示す下限位置にある。
【0024】
図8は本発明に係る前輪懸架装置及びフロントフェンダ取付構造の作用図(その2)であり、前輪32が中間レベルにあるときの前輪懸架装置10の状態、すなわち、緩衝器18が図7の状態からある程度収縮したことを示す。
車体フレーム2に自動二輪車1の自重程度の下向き軽荷重が作用すると、この軽荷重は、ヘッドパイプ3→ステアリングステム4→トップ・ボトムブリッジ11,12→フロントフォーク13→前輪支持アーム14→車軸31→前輪32の経路で、路面Fに伝わる。これに対する路面Fからの反力は、前輪32→車軸31→ロッド15→ロッドハンガ16→アーム17の経路で、緩衝器18に伝わる。
この結果、前輪支持アーム14が上記図7の状態から若干上方へスイングし、ロッド15とロッドハンガ16が上昇することによって、アーム17の前端部が上方へスイングするので、緩衝器18は軽荷重に応じたストロークだけ収縮する。
このときの前輪支持アーム14、車軸31、前輪32、ステー52、トルク伝達リンク55及びフロントフェンダ62は、図に示す中間位置にある。
【0025】
図9は本発明に係る前輪懸架装置の作用図及びフロントフェンダ取付構造(その3)であり、前輪32が上限レベルにあるときの前輪懸架装置10の状態、すなわち、緩衝器18が最も収縮した状態を示す。
車体フレーム2に下向き重荷重が作用すると、この重荷重は上記図8に示す経路と同じ経路で、路面Fに伝わる。これに対する路面Fからの反力は、前輪32から緩衝器18へ伝わる。この結果、前輪支持アーム14の後部がさらに上方へスイングし、ロッド15とロッドハンガ16が上昇することによって、アーム17の前端部が実線にて示す上限位置まで上方へスイングするので、緩衝器18は重荷重に応じたストロークだけ収縮する。
このときの前輪支持アーム14、車軸31、前輪32、ステー52、トルク伝達リンク55及びフロントフェンダ62は、図に示す上限位置にある。
【0026】
以上の説明から明らかなように、フロントフォーク13と前輪支持アーム14とステー52とトルク伝達リンク55との組合せ構造は、側面視四辺形リンク機構をなす。四辺形リンク機構であるから、この図9において、前輪支持アーム14が想像線にて示す位置から実線にて示す位置まで、反時計回り方向にスイングしたとき、トルク伝達リンク55は想像線にて示す位置から実線にて示す位置まで、反時計回り方向にスイングする。この結果、ブリッジ54は想像線にて示す位置から実線にて示す位置まで、変位することになる。この図に明示されるように、車軸31を基点としたステー52の方向は、常に概ね同一である。
【0027】
従って、前輪支持アーム14が上下スイングすることで車軸31が旋回しても、ステー52の旋回はかなり抑制される。旋回が抑制されたステー52にてフロントフェンダ62を支えるので、車軸31の旋回に伴うフロントフェンダ62の前後方向の変位は抑制される。さらに、ステー52にフロントフェンダ62を取付けたので、フロントフェンダ62と前輪32との間の隙間は、常に一定である。
【0028】
なお、上記本発明の実施の形態において、(1)前輪懸架装置10はボトムリンク式の装置であればよく、上記トレーリングアーム方式の構成の他に、リーディングアーム方式の構成であってもよい。リーディングアーム方式にした場合には、フロントフォーク13の下端部に、前輪支持アーム14を前後逆向きに取付ければよい。
(2)車体中心CLに対し、前輪懸架装置10を左右対称形にすることは任意である。
(3)緩衝器18の種類や寸法は任意である。また、緩衝器18は、左右2個に限定するものではなく、1個であってもよい。その場合には、1個の緩衝器18を車体中央に配置することが好ましい。また、緩衝器18の懸架ばね42の外径を、フロントフォーク13の径に等しくするか否かについては、任意である。
【0029】
(4)ロッドハンガ16は、各ロッド15,15を取付けるとともに、アーム17に上下スイング可能に連結するものであればよく、正面視略逆Y字状の部材に限定するものではない。また、ロッドハンガ16に対する各ロッド15,15の取付け構造は、任意である。ねじ込みの他に、例えば、溶接やカシメにて取付けたり、ロッドハンガ16に一体に形成してもよい。
(5)ロッドハンガ16を設けずに、左右のロッド15,15をアーム17に直接連結してもよい。
(6)フロントブレーキ50は、前輪32の左右両側に備えたり、左側又は右側のいずれか一方にのみ備えればよい。一方だけのときには、ブレーキディスク51も一方にのみ備える。
【0030】
(7)ステー52は、ブラケット53とブリッジ54とを、一体に形成した構造であってもよい。
(8)フロントフェンダ62にブリッジ54を一体的に取付ける構成としては、ボルト止め、リベット止め、溶着、接着等、適宜選択すればよく、また、取付け箇所や取付け個数も任意である。
【0031】
(9)ブリッジ54並びにフロントフェンダ62の逆U字形状とは、概ね逆U字状であればよく、例えば、逆コ字状を包含する。
(10)ブリッジ54の左右の脚部54a,54aは、直接若しくは左右のブラケット53,53を介して車軸31に取付けるものであればよい。
(11)トルク伝達リンク(回転止めリンク)55は、少なくとも左右の脚部54a,54a若しくは左右のブラケット53,53をフロントフォーク13に連結するものであればよい。
(12)キャリパ56は、左右の脚部54a,54a若しくは左右のブラケット53,53に取付けるものであればよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、剛性のある逆U字形ブリッジの左右の脚部を左右のブラケットを介して前輪用車軸に取付け、少なくとも左右の脚部を回転止めリンクでフロントフォークに連結することで、極めて剛性が大きい左右の脚部若しくは左右のブラケットに、ディスクブレーキのキャリパを取付けることができる。従って、ボトムリンク式前輪懸架装置にキャリパを取付ける部材の小型化、軽量化を図ることができる。
【0033】
さらに、フロントフェンダの前後方向略中央の逆U字断面部に、剛性のある逆U字形ブリッジを内側から一体的に取付けたので、ブリッジでフロントフェンダを十分に補強することができる。この結果、フロントフェンダの剛性を、簡単な構成で高めることができる。
しかも、フロントフェンダの前後方向略中央をブリッジで支えるので、フロントフェンダの取付け箇所が少なくてすみ、取付け工数を低減することができる。
【0034】
また、車軸に左右のブラケットを介して取付けたブリッジにてフロントフェンダを支えるので、車軸からフロントフェンダまでの距離を常に一定にすることができる。この結果、フロントフェンダと前輪との間の隙間を、常に一定にすることができる。従って、簡素な構成で、隙間を所望の寸法に自由に設定することが、極めて容易である。
【0035】
さらにまた、キャリパを取付ける部材が、フロントフェンダを支える部材を兼ねることができる。従って、フロントフェンダを支えるための別部材が不要であり、支持部材の部品数がより一層少なくてすむとともに、支持構造を簡素な構成にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車の前半部の側面図
【図2】本発明に係る前輪懸架装置の側面図
【図3】本発明に係る前輪懸架装置の分解側面図
【図4】本発明に係る前輪懸架装置の斜視図
【図5】本発明に係る前輪懸架装置の要部を断面した正面図
【図6】本発明に係る車軸、前輪、フロントブレーキ、ステー及びフロントフェンダ廻りの正面断面図
【図7】本発明に係る前輪懸架装置及びフロントフェンダ取付構造の作用図(その1)
【図8】本発明に係る前輪懸架装置及びフロントフェンダ取付構造の作用図(その2)
【図9】本発明に係る前輪懸架装置及びフロントフェンダ取付構造の作用図(その3)
【符号の説明】
1…自動二輪車、2…車体フレーム、10…ボトムリンク式前輪懸架装置、13…フロントフォーク、14…前輪支持アーム、31…前輪用車軸、32…前輪、50…フロントディスクブレーキ(フロントブレーキ)、51…ブレーキディスク、52…ステー、53…ブラケット、54…ブリッジ、55…回転止めリンク(トルク伝達リンク)、56…キャリパ、62…フロントフェンダ。
Claims (2)
- ボトムリンク式前輪懸架装置を備える自動二輪車において、
前輪の上部を囲うフロントフェンダの前後方向略中央の逆U字断面部に、剛性のある逆U字形ブリッジを内側から一体的に取付け、
このブリッジの左右の脚部を前輪用車軸に向って延し、
左右の脚部を左右のブラケットを介して前輪用車軸に取付け、
左右の脚部を回転止めリンクでフロントフォークに連結し、
前記左右の脚部若くは左右のブラケットに、左右のディスクブレーキのキャリパを取付けた、
ことを特徴とする自動二輪車の前部構造。 - 前記ボトムリンク式前輪懸架装置は、トレーリングアーム方式であることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の前部構造。
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