JP4145177B2 - エンジン及びその運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主室に吸気された新気をピストンの上昇により圧縮して、前記圧縮された新気を連通路を介して副室に流入させ、前記副室に流入した新気と前記副室に供給された燃料との混合気を、前記副室に設けられた点火手段により点火し、前記副室から前記連通路を介して前記主室に火炎ジェットを噴射する副室式エンジン及びその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来エンジンは、火花点火エンジン(オットーサイクルエンジン)と、圧縮空気中に液体燃料を噴射するディーゼルエンジンに大きく分けられる。
【0003】
火花点火エンジンは、燃焼室において吸気された空気と燃料との混合気を圧縮した後に、点火プラグにより点火して燃焼させるように構成され、その理想的なサイクルはオットーサイクル(定容加熱サイクル)と考えられており、圧縮比(最大燃焼室容積/最小燃焼室容積)を高くして燃料を希薄状態で燃焼させることによって熱効率を向上させることができる。
【0004】
特に部分負荷時の燃焼温度の低下、サイクル効率の向上、ポンピング損失の低下などを実現することができ、排ガス性状及び燃費の改善に有効である火花点火エンジンの希薄燃焼方式としては、層状吸気方式がある。
【0005】
層状吸気方式とは、燃焼室において、点火プラグの点火部の周辺には、火花点火可能な当量比の混合気が存在する点火領域を形成し、その点火領域の周辺には、点火領域の混合気よりも当量比が低く希薄状態である混合気が存在する希薄領域を形成して、先ず、上記点火領域に存在する混合気を点火プラグにより点火して燃焼させ、その火炎により上記希薄領域に存在する混合気を燃焼させて、全体として燃料を希薄状態で燃焼させる燃焼方式であり、層状吸気方式の燃焼室形状は、単室式と副室式とに大別される。
【0006】
単室式は、ピストン頂部に形成した凹部を燃焼室として利用し、燃焼室における吸気の流れを利用して、点火プラグの点火部周辺に火花点火可能な混合気を形成するものである。
【0007】
一方、副室式は、ピストン頂部に接する主室とその主室と連通路を介して連通する副室とを燃焼室として備えたエンジンにおいて、主室に吸気された希薄混合気をピストンの上昇により圧縮して、その圧縮された新気を連通路を介して副室に流入させ、副室に流入した希薄混合気と副室に直接供給された燃料とから、点火プラグが設けられた副室に火花点火可能な当量比の混合気を形成し、その混合気を点火プラグにより点火して燃焼させ、連通路を介して主室に噴射される火炎ジェットにより、主室の希薄混合気を燃焼させる所謂副室点火運転を行うものである(例えば、特許文献1−3参照。)。
そして、火花点火エンジンの層状吸気方式として、上記副室式を採用することにより、吸気行程の後期又は圧縮行程の前期等の、燃焼室の圧力が比較的低い時期に、副室に燃料を供給しておいても、その燃料を副室に良好に保持することができ、簡単に、点火時期において火花点火可能な当量比の混合気を副室に形成することができる。よって、上記副室式においては、燃料噴射弁の簡素化が可能であり、例えば燃料として高圧縮が困難な天然ガス等の気体燃料を容易に利用することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−276474号公報
【特許文献2】
特開2001−303958号公報
【特許文献3】
特開2001−263069号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
火花点火エンジンにおいて、単室式又は副室式の層状吸気方式を採用しても、点火プラグ周辺の点火領域においては、混合気は火炎伝播により急激に燃焼するので、燃焼時の急激な圧力上昇により末端ガスが自己着火してしまう所謂ノッキングを回避するという制約条件下において、圧縮比を設定する必要があったため、ディーゼルサイクル並みの高圧縮比に設定して、一層の高効率化を図ることは困難であった。
【0010】
したがって、本発明は、上記の事情に鑑みて、副室式エンジンにおいて、ディーゼルサイクル並みの高圧縮比化を実現して、極めて高い効率で運転可能な技術を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための本発明に係る副室式エンジンの第一特徴構成は、主室に吸気された新気をピストンの上昇により圧縮して、前記圧縮された新気を連通路を介して副室に流入させ、前記副室に流入した新気と前記副室に供給された燃料との混合気を、前記副室に設けられた点火手段により点火し、前記副室から前記連通路を介して前記主室に火炎ジェットを噴射する副室式エンジンであって、
前記副室を複数備え、
前記夫々の副室から前記主室への火炎ジェットの噴射タイミングを、互いに異なるように設定する噴射タイミング設定構造を備え、
前記夫々の連通路におけるガスの流通に対して付与される背圧を互いに異なるように設定すると共に、前記夫々の点火手段の点火タイミングを前記夫々の副室における前記圧縮による圧力上昇状態に応じて設定して、前記噴射タイミング設定構造が構成されている点にある。
【0012】
また、上述の目的を達成するための本発明に係る副室式エンジンの運転方法の特徴構成は、主室に吸気された新気をピストンの上昇により圧縮して、前記圧縮された新気を連通路を介して副室に流入させ、前記副室に流入した新気と前記副室に供給された燃料との混合気を、前記副室に設けられた点火手段により点火し、前記副室から前記連通路を介して前記主室に火炎ジェットを噴射する副室式エンジンの運転方法であって、
前記副室式エンジンに前記副室が複数設けてあり、
前記夫々の連通路におけるガスの流通に対して付与される背圧が互いに異なるように設定してあり、
前記夫々の点火手段の点火タイミングを前記夫々の副室における前記圧縮による圧力上昇状態に応じて設定して、前記夫々の副室から前記主室に、互いに異なる噴射タイミングで前記火炎ジェットを噴射させる点にある。
【0013】
即ち、上記副室式エンジンの第一特徴構成及びそれに対応する副室式エンジンの運転方法の特徴構成によれば、上記噴射タイミング設定構造において、夫々の連通路における背圧を互いに異なるように設定することで、夫々の副室における圧力上昇状態が互いに異なるものとなり、更に、夫々の点火手段の点火タイミングを、夫々の副室における互いに異なる圧力上昇状態に応じた適切な時期に設定することで、燃焼・膨張行程において、夫々の副室から互いに異なる噴射タイミングで主室へ火炎ジェットを噴射することができるので、その夫々の噴射タイミングを燃焼・膨張行程において適当な時期に分散させることで、主室における加熱がほぼ定圧で行われる所謂ディーゼルサイクル(定圧加熱サイクル)に近い状態を実現することができ、ノッキングを回避しながら比較的高い圧縮比に設定して、極めて高い効率を実現することができる。
【0014】
本発明に係る副室式エンジンの第二特徴構成は、上記副室式エンジンの第一特徴構成に加えて、前記噴射タイミング設定構造において、前記夫々の点火手段の点火タイミングが互いに異なるように設定されている点にある。
【0015】
即ち、上記副室式エンジンの第二特徴構成によれば、夫々の点火手段の点火タイミングが互いにことなるように設定されているので、夫々の副室に形成された混合気を互いに異なる時期に点火して、燃焼・膨張行程において、夫々の副室から互いに異なる適当な噴射タイミングで主室へ火炎ジェットを噴射させることができる。
【0023】
本発明に係る副室式エンジンの第三特徴構成は、上記副室式エンジンの第一乃至第二特徴構成に加えて、前記噴射タイミング設定構造において、前記夫々の連通路の流路断面積を互いに異なるように設定することで、前記夫々の連通路における前記背圧が互いに異なるように設定されている点にある。
【0024】
即ち、上記副室式エンジンの第三特徴構成によれば、噴射タイミング設定構造において、夫々の連通路の流路断面積を互いに異なるように設定することで、夫々の連通路の背圧を互いに異なるように設定することができ、簡単な構成で副室式エンジンの第一乃至第二特徴構成を実現することができる。
【0025】
本発明に係る副室式エンジンの第四特徴構成は、上記副室式エンジンの第一乃至第三特徴構成に加えて、前記噴射タイミング設定構造において、前記複数の副室の内、一部の第一副室に対して設けられた第一連通路における前記背圧を、他部の第二副室に対して設けられた第二連通路における前記背圧よりも大きく設定することにより、前記第一副室の前記圧縮により最高到達圧力となる時期を、前記第二副室の前記圧縮により最高到達圧力となる時期よりも遅延させてある点にある。
【0026】
即ち、上記副室式エンジンの第四特徴構成によれば、主室に吸気された新気が圧縮行程において第一連通路を通過して第一副室に流入する際に新気の流通を阻止する方向に受ける背圧(以下、「第一背圧」と呼ぶ。)が、同じく新気が第二連通路を通過して第二副室に流入する際に受ける背圧(以下、「第二背圧」と呼ぶ。)よりも大きくなるので、第一副室の圧力が非燃焼時の圧縮のみにより最高到達圧力となる時期(以下、「第一副室最高圧力到達時期)と呼ぶ。)が、第二副室の圧力が非燃焼時の圧縮のみにより最高到達圧力となる時期(以下、「第二副室最高圧力到達時期」と呼ぶ。)よりも、遅延させることができ、第一副室及び第二副室に設けられた夫々の点火手段の点火タイミングを、第一副室及び第二副室の夫々における最高圧力到達時期及びそのときの最高到達圧力に応じて設定することで、第一副室及び第二副室の夫々における燃焼状態を、ノッキングを回避した適切な状態としながら、第一副室及び第二副室の夫々から異なる噴射タイミングで主室へ火炎ジェットを噴射して、所謂ディーゼルサイクル(定圧加熱サイクル)に近い状態を実現することができる。
【0027】
本発明に係る副室式エンジンの第五特徴構成は、上記副室式エンジンの第四特徴構成に加えて、前記主室及び前記第二副室の前記圧縮による最高到達圧力が、前記最高到達圧力時に点火した場合のノッキング回避圧力範囲の上限値よりも高く設定されていると共に、前記第一副室の前記圧縮による最高到達圧力が、前記ノッキング回避範囲内に設定され、且つ、前記第二副室に設けられた第二点火手段の第二点火タイミングが、前記第一副室に設けられた第一点火手段の第一点火タイミングよりも遅延して設定されている点にある。
【0028】
即ち、上記副室式エンジンの第五特徴構成によれば、圧縮比(最大燃焼室容積/最小燃焼室容積)を比較的高く設定し、且つ、第二連通路における第二背圧を比較的小さく設定して、主室及び第二副室の最高到達圧力をノッキング回避圧力範囲(即ち、その最高到達圧力で混合気を点火した場合にノッキングを回避することができる圧力範囲)の上限値よりも大きくなるように設定すると共に、第一連通路における第一背圧を上記第二背圧よりも充分に大きく設定して、第一副室の最高到達圧力を上記ノッキング回避圧力範囲内とすることができる。そして、第二副室においては、燃焼・膨張行程において、圧力が充分に低下しノッキング回避範囲内となった比較的遅い時期である第二点火タイミングで混合気を点火することで、第二副室におけるノッキングを回避しながら、比較的遅延した時期に主室に火炎ジェットを噴射させることができ、一方、第一副室においては、燃焼・膨張行程において、圧力がノッキング回避範囲内の最高到達圧力となった最高圧力到達時期の近傍の比較的早い時期である第一点火タイミングで混合気を点火することで、第一副室におけるノッキングを回避しながら、比較的早い時期に主室に火炎ジェットを噴射させることができる。
【0029】
本発明に係る副室式エンジンの第六特徴構成は、上記副室式エンジンの第一乃至第五特徴構成に加えて、前記副室の少なくとも前記点火手段の点火領域に形成される混合気が、当量比が火花点火可能範囲内である混合気であり、前記主室に形成される混合気が、当量比が前記火花点火可能範囲内よりも低い希薄混合気である点にある。
【0030】
即ち、上記副室式エンジンの第六特徴構成によれば、副室に形成された火花点火可能範囲内の当量比の混合気を、適切なノッキング回避圧力範囲内となる時期に点火して、副室において安定して燃焼させることができ、更に、副室から連通路を介して主室に噴射された火炎ジェットを着火源として、主室の上記点火可能範囲よりも低い当量比の希薄混合気を安定して燃焼させることができる。
【0031】
本発明に係る副室式エンジンの第七特徴構成は、上記副室式エンジンの第一乃至第六特徴構成に加えて、前記副室に設けられた前記点火手段の点火領域が、前記副室において前記連通路側に偏って配置されている点にある。
【0032】
即ち、上記副室式エンジンの第七特徴構成によれば、前記点火手段の点火領域が、前記副室において前記連通路側に偏って配置されていることで、主室から連通路を介して流入した新気が点火手段の点火領域に到達しやすくなり、上記点火領域に火花点火可能範囲の当量比の混合気を容易に形成することができ、更に、連通路に近い上記点火領域の混合気を火花点火して燃焼させて、積極的に、主室に火炎ジェットを噴出させることができる。
【0033】
また、このように副室において点火領域を連通路側に偏って配置することで、副室に比較的多くの燃料を供給しても、上記点火領域に、上記火花点火可能範囲の当量比の混合気を形成することができ、更に、その点火領域の周辺には、上記火花点火可能範囲よりも高い当量比の過濃混合気が形成されることになる。そして、上記副室において、上記点火領域の混合気を火花点火して燃焼させると、上記過濃混合気は、上記火炎ジェットが主室に噴出され、更に、膨張行程の進行に伴って主室の圧力が副室よりも低下してから、主室に流入して新気と混合され拡散燃焼することになり、一層ディーゼルサイクルに近い状態を実現して、一層の高効率化を図ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明に係る副室式エンジンの実施形態について、図1−6に基づいて説明する。
【0035】
図1に示す副室式エンジン100は、ピストン2と、ピストン2を収容してピストン2の頂面と共に主室1を形成するシリンダ3を備え、ピストン2をシリンダ3内で往復運動させると共に、吸気弁4及び排気弁5を開閉動作させて、新気を主室1に取り込み、主室1において吸気、圧縮、燃焼・膨張、排気の諸行程を行い、ピストン2の往復道を連結棒(図示せず)によってクランク軸(図示せず)の回転運動として出力されるものであり、このような構成は、通常の4ストローク内燃機関と変わるところはない。
【0036】
尚、本実施形態の副室式エンジン100において、シリンダ3のボア径は110mmであり、ピストン2のストローク長は106mmであり、ピストン2の位置が上死点位置であるときの燃焼室容積に対する、ピストン2の位置が下死点位置であるときの燃焼室容積比である圧縮比は17である。また、副室式エンジン100は、クランク軸の回転数が1200rpmで運転されて8kW程度の出力が得られるものである。
【0037】
また、副室式エンジン100は、都市ガス(13A)を燃料Gとして利用するものであり、吸気行程において吸気弁4を開状態として、主室1に空気と少量の燃料Gとの希薄混合気である新気Iを吸入し、圧縮行程においてこの吸入した新気Iを圧縮して燃料Gを燃焼させるものである。
【0038】
また、ピストン2の頂面の中央部には、いわゆる深皿型の凹部2aが形成されている。上記のような凹部2aを形成することで、圧縮行程においてピストン2が上昇するときに、ピストン2の頂面外周部から凹部2aの中心部に流れるスキッシュが発生することになる。
【0039】
副室式エンジン100のシリンダヘッド9には、主室1と共に燃焼室として設けられ、主室1に対して夫々が第一連通路20A及び第二連通路20Bを介して連通する第一副室11A及び第二副室11Bが設けられており、この夫々の副室11A,11Bを有する夫々の第一及び第二副室機構10A,10Bの構造について、以下に説明する。
【0040】
尚、第一副室機構10A及び第1副室機構10Bは、シリンダ3の軸心を中心に対象配置されており、詳細については後述するが、夫々の第一及び第二副室11A,11Bから主室1への火炎ジェットの噴射タイミングを、互いに異なるように設定するための噴射タイミング設定構造についての構成以外は共通の構成を有しているので、その共通部分の構成について、第一副室機構10Aの構成を例に挙げて説明する。
【0041】
第一副室11Aの容積は、ピストン2の位置が上死点であるときの主室1と夫々の副室11A,11Bとの容積の和である総燃焼室容積の1/10以下の例えば7500mm3程度に設定されている。
【0042】
第一副室11Aと主室1とを連通する第一連通路20Aは、主室1の略中央部近傍に開口する4つの第一主室孔21Aと、第一副室11Aに開口する1つの第一副室孔22Aと、上記第一主室孔21Aと上記第一副室孔22Aとを接続する第一流路23Aとからなる。
第一流路23Aは、ピストン2の動作方向(図1における上下方向)に対して20°程度傾斜した軸心に沿って延びる流路として形成され、その流路径は3mmである。
上記4つの第一主室孔21Aは、図2及び図3にも示すように、上記第一流路23Aの軸心を中心に周方向に等間隔で配置され、更に、上記シリンダ3軸心方向に対して75/2°傾斜した噴孔角を有する。
【0043】
第一副室11Aの上方には、燃料Gを0.2MPa(Gauge)の供給圧力で第一副室11Aに供給可能な第一燃料供給弁30Aが設けられている。
更にまた、第一副室11Aの上方には、第一副室11Aの混合気を火花点火可能な第一点火プラグ32A(点火手段の一例)が設けられている。
【0044】
また、第二副室機構10Bにおいても、前述したように、上記第一副室機構10Aと同様に、第一副室11B、第二主室孔21Bと第二副室孔22Bと第二流路23Bとからなり第二副室11Bと主室1とを連通する第二連通路20B、第二燃料供給弁30B、及び、第二点火プラグ32Bを備えて構成されている。
【0045】
そして、第一副室機構10Aと第2副室機構10Bとは、前述したように、夫々の第一及び第二副室11A,11Bから主室1への火炎ジェットの噴射タイミングを、互いに異なるように設定するための噴射タイミング設定構造を実現するために、第一連通路20A及び第二連通路20Bの夫々におけるガスの流通に対して付与される背圧が互いに異なるように設定されていると共に、第一点火プラグ32Aによる第一点火タイミング及び第二点火プラグ32Bによる第二点火タイミングの夫々が互いに異なるように設定されており、その詳細構成について以下に説明する。
【0046】
このような副室式エンジン100において、第一連通路20Aにおいて最も小さい流路断面積である4つの第一主室孔21Aの開口面積の和SpAの、シリンダ3の横断面積Smに対する比(以下、第一断面積比と呼ぶ。)SrAは、0.0013以下、好適には、0.0005以下、更に好適には、0.0003程度となるように、上記連通路20の最小流路断面積が設定されている。尚、本実施形態においては、第一主室孔21Aの径は1.0mmとされており、第一断面積比SrAは0.0003程度とされている。
【0047】
このように第一断面積比SrAを非常に小さく設定することにより、図4(a),(b)に示すように、主室1に吸気された新気Iが圧縮行程において第一連通路20Aを通過して第一副室11Aに流入する際に受ける背圧が大きくなり、非燃焼時の圧縮のみによる第一副室11Aの第一副室最高到達圧力P2Aを、同じく非燃焼時の圧縮のみによる主室1の主室最高到達圧力P1よりも低くすることができ、更に、図4(c)に示すように、第一副室11Aの圧力が第一副室最高到達圧力P2Aとなる第一副室最高圧力到達時期を、主室1の圧力が主室最高到達圧力P1となる上死点近傍の主室最高圧力到達時期に対して、遅延側にずらすことができる。
【0048】
上記のように、上記第一連通路20Aの流路断面積を小さくする設定して、主室1から第一副室11Aへの方向に第一連通路20Aを流通する新気Iに対して付加される背圧を大きくすることで、圧縮比を17程度と高く設定しても、第一副室最高到達圧力P2Aを、上記主室最高到達圧力P1よりも小さく、第一副室11Aで混合気を燃焼させた場合にノッキングを回避することができる第一副室11Aのノッキング回避圧力範囲内とすることができる。
【0049】
一方、第二連通路20Bにおいて最も小さい流路断面積である4つの第二主室孔21Bの開口面積の和SpBの、シリンダ3の横断面積Smに対する比(以下、第二断面積比と呼ぶ。)SrBは、0.0013よりも大きい値に設定されている。具体的には、第二主室孔21Bの径は2.0mmとされており、第二断面積比SrBは0.00132程度とされている。このように第二断面積比SrBを大きく設定することにより、図4(a),(b)に示すように、主室1に吸気された新気Iが圧縮行程において第二連通路20Bを通過して第二副室11Bに流入する際に受ける背圧が小さくなり、非燃焼時の圧縮のみによる第二副室11Bの第二副室最高到達圧力P2Bを、同じく非燃焼時の圧縮のみによる主室1の主室最高到達圧力P1と同等のものとすることができ、更に、図4(c)に示すように、第二副室11の圧力が第二副室最高到達圧力P2となる第二副室最高圧力到達時期を、主室最高圧力到達時期とほぼ同じ時期とすることができる。
【0050】
即ち、第一連通路20A及び第二連通路20Bの夫々の流路断面積を互いに異なるように設定することで、第一連通路20A及び第二連通路20B夫々におけるガスの流通に対して付与される背圧が互いに異なるように設定されている。
【0051】
次に、本実施形態の副室式エンジン100における、1サイクルにおける吸気弁4、排気弁5、第一及び第二燃料供給弁30A,30B、第一及び第二点火プラグ32A,32Bの動作状態を説明する。
【0052】
図5に示すように、副室式エンジン100は、先ず、吸気弁4が開状態となり、ピストン2のTDC(上死点)からの下降により、主室1に希薄混合気である新気Iが吸入される吸気行程が行われる。
このとき第一及び第二副室11A,11Bに設置された第一及び第二燃料供給弁30A,30Bが吸気弁4の開時期に対して若干遅れた時期(例えば、39°ATDC)に開状態となり、第一及び第二副室11A,11Bへの燃料Gの供給を開始される。
【0053】
後に、吸気弁4及び第一及び第二燃料供給弁30A,30Bが同時期に閉状態となり、ピストン2の上昇により、主室1に吸気された新気Iを圧縮する、いわゆる圧縮行程が行われる。
【0054】
尚、圧縮行程初期の第一及び第二副室11A,11Bがまだ定圧状態のときに、第一及び第二燃料供給弁30A,30Bを開状態として燃料Gを副室11に供給しても良い。
【0055】
このように第一及び第二副室11A,11Bに燃料を供給することにより、第一及び第二副室11A,11Bに供給された燃料Gの一部は、連通路20を介して主室1に流出するのであるが、特に第一副室11Aの第一連通路20Aの断面積比が非常に小さく設定されているため、第一副室11Aからの燃料の流出量は、第一副室11Aに供給された全副室燃料供給量の5%程度となる。
【0056】
そして、次の圧縮行程では、ピストン2の上昇により、主室1の容積減少によって、主室1の新気Iが第一及び第二連通路20A,20B介して第一及び第二副室11A,11Bに流入し、第一及び第二副室11A,11Bには、連通路22から上方に向かう新気流が発生し、その新気流が第一及び第二点火プラグ32A,32Bの点火領域に到達する。
【0057】
よって、第一及び第二副室11A,11Bの第一及び第二点火プラグ32A,32Bの点火領域では、その新気Iと燃料Gとが混合されて、火花点火可能範囲内の例えば0.69程度の当量比の混合気が形成される。
【0058】
この圧縮行程では、第一連通路20Aの第一主室孔21Aが所謂絞り弁のように働き、主室1及び第二副室11Bの圧力はほぼ圧縮比どおりの圧力になるが、第一副室11Aの第一副室最高到達圧力P2Aは、主室最高到達圧力P1及び第二副室最高到達圧力P2Bの圧力よりも低下したものになる。
【0059】
そして、第一点火プラグ32Aの第一点火タイミングと第二点火プラグ32Bの第二点火タイミングとの夫々が、夫々の第一及び第二副室11A,11Bの互いに異なる圧力上昇状態に応じて設定されている。
【0060】
具体的には、上死点付近で第一副室11Aの混合気を燃焼させるために、12°BTDCにおいて、第一点火プラグ32Aを働かせて、第一副室11Aに形成された混合気を火花点火した後に、上死点よりも充分遅延した時期に第二副室11Bの混合気を燃焼させるために0°BTDC付近において、第二点火プラグ32Bを働かせて、上記第二副室11Bに形成された混合気を点火する。
【0061】
よって、副室式エンジン100は、図6に示すように、先ず、常に圧力がノッキング回避範囲内である第一副室11Aの混合気が燃焼することで第一副室11Aの圧力が上昇して、第一連通路20Aから主室1に火炎ジェットが噴出される。次に、第二副室11Bの圧力がノッキング回避範囲内に低下してから、上記第一連通路20からの火炎ジェットの噴出時期よりも遅延した時期に、前記第二副室11Bの混合気が燃焼することで第二副室11Bの圧力が上昇して、第二連通路20Bから主室1に火炎ジェットが噴出される。よって、夫々の副室11A,11Bから主室1への火炎ジェットの噴射タイミングを、互いに異なるように設定する噴射タイミング設定構造を実現することができ、かかる噴射タイミング設定構造により、第一副室11Aと第二副室11Bとの夫々からの火炎ジェットの噴射タイミングを燃焼・膨張行程において適当な時期に分散させることで、主室1における加熱がほぼ定圧で行われる所謂ディーゼルサイクル(定圧加熱サイクル)に近い状態を実現することができ、ノッキングを回避しながら比較的高い圧縮比に設定して、極めて高い効率を実現することができる。
【0062】
一方、主室1においては、高圧力場で、第一及び第一連通路20A,20Bから噴出された高エネルギの火炎ジェットにより希薄混合気を燃焼させるので、急激な圧力上昇を伴わず、高効率且つ低NOxな燃焼が行われる。
【0063】
また、これまで説明してきた実施例の副室式エンジン100の効果を検証するために、単一の副室のみを備えた比較例の副室式エンジンを構成し、運転試験を行った。
比較例の副室式エンジンにおいては、図7に示すように、副室の混合気が燃焼することで副室の圧力が上昇して、連通路から主室に火炎ジェットが噴出され、主室の混合気が燃焼され、主室の圧力が局所的に上昇することになる。
即ち、比較例の副室式エンジンがノッキングの制約により圧縮比を12程度までしか高めることができなかったのに対して、実施例の副室式エンジンにおいては、所謂ディーゼルサイクルに近い状態で混合気を燃焼させることができるので圧縮比を17程度まで高めることができ、比較例に対して2ポイント程度の効率向上を図ることができた。
【0064】
〔別実施形態〕
本発明に係る副室式エンジンの別実施形態について、説明する。
【0065】
〈1〉
上記実施形態で説明した副室式エンジン100の第一副室機構10A又は第2副室機構10Bにおいて、図8に示すように、点火プラグ32の点火領域の位置が連通路20の副室孔22に偏った位置に配置しても構わない。
【0066】
即ち、このように構成する場合、副室11には、圧縮行程後期に当量比が1.5−2.0程度と比較的高い混合気が形成され、主室1には当量比が0.4−0.55程度の混合気が形成されている。副室11に形成された混合気は、上記当量比が比較的高いため、そのままでは点火プラグ32により火花点火することは困難であるが、副室式エンジンの点火領域が、連通路20の副室孔22に非常に近く、連通路20からの新気流の通り道であることから、新気がその点火領域に多く供給されて、点火領域の混合気は、火花点火可能な当量比にまで希釈されることになる。
【0067】
そして、副室式エンジンは、所定の時期に点火プラグ32を働かせて、上記副室11に形成された混合気を火花点火して燃焼させる。
【0068】
すると、副室11では、点火領域に存在する火花点火可能な混合気のみが燃焼し、副室11の圧力が主室1の圧力よりも高くなった時点で、その点火領域の火炎が連通路20から主室1に火炎ジェットとして噴出される。
【0069】
主室1においては、連通路20から噴出された高エネルギの火炎ジェットにより希薄混合気が燃焼すると、再度、主室1の圧力が副室11の圧力より高くなる。その際、副室11から主室1へのガスの噴出が停止され、副室11において燃焼しなかった比較的高当量比の混合気が残存することになる。
【0070】
燃焼・膨張行程が進行するにつれて、主室1の圧力が副室11の圧力よりも低くなると、副室11に残存していた混合気が連通路20を介して主室1へ噴出され、主室1において緩やかに燃焼することになる。
【0071】
このように構成された副室式エンジンは、点火プラグ32の位置を変更すると共に、副室11へ比較的高い当量比の混合気を形成するように燃料を供給することで、主室1の燃焼状態は、一層ディーゼルサイクルに近い状態となり、効率は高いまま、初期の燃焼を抑えて、低NOX化を図ることができる。また、副室11に供給する燃料量を増加させることで、燃焼後期に燃焼する燃料の割合が増加するため、過給機や触媒システムに有利な高温の排気ガスを排出させることもできる。
【0072】
〈2〉
上記実施形態で説明した副室式エンジン100の第一副室機構10A又は第2副室機構10Bにおいて、図9に示すように、空気流路40に供給された空気Aを所定の時期に0.7MPa(Gauge)の供給圧力で、副室11の上方にある点火プラグ32の点火領域付近に供給可能な空気供給弁31を設けても構わない。
【0073】
即ち、このように構成する場合、上記吸気弁4、排気弁5、燃料供給弁30、点火プラグ32の動作時期は、前述の実施形態と同様であるので、説明を割愛するが、圧縮行程中期の、例えばクランク角度が60−50°BTDCである期間において、空気供給弁31が開状態とされて、空気Aが副室11の点火プラグ32の点火領域付近に向けて供給される。
【0074】
よって、副室11の上記点火プラグ32の点火領域では、主室1から流入した新気Iと上記空気供給弁31から供給された空気Aと、燃料Gとが混合されて、火花点火可能範囲内の当量比の混合気が形成され、一方、上記点火領域よりも連通路20側に偏った過濃領域では、燃焼上限界以上の当量比の過濃混合気が形成される。
【0075】
そして、副室式エンジンは、所定の時期に点火プラグ32を働かせて、上記副室11に形成された混合気を火花点火して燃焼させる。
【0076】
すると、副室11では、点火領域における燃焼による圧力波が、連通路側に形成された過濃領域に伝播され、その過濃領域の燃焼上限界以上の当量比である過濃混合気が、着火することなく、連通路20を介して主室1に高圧噴射され、後に、上記点火領域の混合気の燃焼による火炎ジェットが連通路20を介して主室1に噴射され、上記主室1において混合気を燃焼させる。
【0077】
即ち、このように構成した副室式エンジンは、燃料Gが高圧噴射が困難な気体燃料であっても、副室11の点火領域における燃焼による圧力上昇を利用して、副室11に形成した過濃混合気を主室1に高圧で噴射し、続いて主室1に噴射された火炎ジェットにより、一層ディーゼルエンジンのような運転を行うことができ、主室1においてノッキングが発生せずに所謂層状燃焼を進めることができ、高効率化且つ低NOx化を図ることができる。
【0078】
尚、本第三実施形態において、副室11への燃料供給量及び空気供給量、主室1への燃料供給量等を一定としたが、別に、それらの供給量を調整して、主室1及や副室11に形成される混合気の分布を調整することもできる。例えば、起動時には、副室11への燃料供給量の割合を低下させて、副室11全域に火花点火可能範囲内の当量比の混合気を形成し、副室11から連通路20を介して主室1へ、過濃混合気を殆ど噴出させずに、火炎ジェットのみを噴出させて、主室1の混合気を安定して燃焼させることもできる。また、例えば、高負荷時には、上記のように、副室11から主室1へ火炎ジェットのみを噴出させる運転を行い、低負荷時には、副室11への燃料供給量の割合を増加させて、副室11から主室1に過濃混合気を噴出するディーゼルエンジンのような運転を行うことができる。
【0079】
〈3〉
本発明に係る副室式エンジンは、前述の実施形態で説明したように、都市ガス等の気体燃料を利用する場合に優れた効果を発揮するものであり、このような気体燃料としては、上記都市ガス以外に水素やプロパン等のCOやH2を主成分とする炭化水素以外の気体燃料がある。また、本発明に係る副室式エンジンは、もちろん気体燃料以外の燃料を利用することもでき、例えば、ガソリン、アルコール、メタノール、エタノール、任意の燃料を使用することができる。
【0081】
〈4〉上記実施の形態では、夫々の連通路20A,20Bにおけるガスの流通に対して付与される背圧を設定するために、夫々の連通路20A,20Bの流路断面積、即ち、夫々の主室孔21A,21Bの径を設定したが、別に、夫々の連通路20A,20Bの流路長や形状を設定することでも、上記背圧を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】副室式エンジンの概略構成図
【図2】副室式エンジンの部分拡大図
【図3】副室式エンジンの主室から見たシリンダヘッド部の図
【図4】副室式エンジンの連通路の断面積比と最高到達圧力に関連する状態との関係を示すグラフ図
【図5】副室式エンジンの動作状態を示すタイムチャート図
【図6】副室式エンジンの燃焼室の圧力上昇状態を示すグラフ図
【図7】比較例の副室式エンジンの燃焼室の圧力上昇状態を示すグラフ図
【図8】別実施形態の副室機構の状態を示す部分概略構成図
【図9】別実施形態の副室機構の状態を示す部分概略構成図
【符号の説明】
1:主室
2:ピストン
3:シリンダ
9:シリンダヘッド
10A:第一副室機構
10B:第二副室機構
11A:第一副室(副室)
11B:第二副室(副室)
20A:第一連通路(連通路)
20B:第二連通路(連通路)
21A:第一主室孔
21B:第二主室孔
32A:第一点火プラグ(点火手段)
32B:第二点火プラグ(点火手段)
100:副室式エンジン
Claims (8)
- 主室に吸気された新気をピストンの上昇により圧縮して、前記圧縮された新気を連通路を介して副室に流入させ、前記副室に流入した新気と前記副室に供給された燃料との混合気を、前記副室に設けられた点火手段により点火し、前記副室から前記連通路を介して前記主室に火炎ジェットを噴射する副室式エンジンであって、
前記副室を複数備え、
前記夫々の副室から前記主室への火炎ジェットの噴射タイミングを、互いに異なるように設定する噴射タイミング設定構造を備え、
前記夫々の連通路におけるガスの流通に対して付与される背圧を互いに異なるように設定すると共に、前記夫々の点火手段の点火タイミングを前記夫々の副室における前記圧縮による圧力上昇状態に応じて設定して、前記噴射タイミング設定構造が構成されている副室式エンジン。 - 前記噴射タイミング設定構造において、前記夫々の点火手段の点火タイミングが互いに異なるように設定されている請求項1に記載の副室式エンジン。
- 前記噴射タイミング設定構造において、前記夫々の連通路の流路断面積を互いに異なるように設定することで、前記夫々の連通路における前記背圧が互いに異なるように設定されている請求項1又は2に記載の副室式エンジン。
- 前記噴射タイミング設定構造において、前記複数の副室の内、一部の第一副室に対して設けられた第一連通路における前記背圧を、他部の第二副室に対して設けられた第二連通路における前記背圧よりも大きく設定することにより、前記第一副室の前記圧縮により最高到達圧力となる時期を、前記第二副室の前記圧縮により最高到達圧力となる時期よりも遅延させてある請求項1から3の何れか1項に記載の副室式エンジン。
- 前記主室及び前記第二副室の前記圧縮による最高到達圧力が、前記最高到達圧力時に点火した場合のノッキング回避圧力範囲の上限値よりも高く設定されていると共に、前記第一副室の前記圧縮による最高到達圧力が、前記ノッキング回避範囲内に設定され、且つ、前記第二副室に設けられた第二点火手段の第二点火タイミングが、前記第一副室に設けられた第一点火手段の第一点火タイミングよりも遅延して設定されている請求項4に記載の副室式エンジン。
- 前記副室の少なくとも前記点火手段の点火領域に形成される混合気が、当量比が火花点火可能範囲内である混合気であり、前記主室に形成される混合気が、当量比が前記火花点火可能範囲内よりも低い希薄混合気である請求項1から5の何れか1項に記載の副室式エンジン。
- 前記副室に設けられた前記点火手段の点火領域が、前記副室において前記連通路側に偏って配置されている請求項1から6の何れか1項に記載の副室式エンジン。
- 主室に吸気された新気をピストンの上昇により圧縮して、前記圧縮された新気を連通路を介して副室に流入させ、前記副室に流入した新気と前記副室に供給された燃料との混合気を、前記副室に設けられた点火手段により点火し、前記副室から前記連通路を介して前記主室に火炎ジェットを噴射する副室式エンジンの運転方法であって、
前記副室式エンジンに前記副室が複数設けてあり、
前記夫々の連通路におけるガスの流通に対して付与される背圧が互いに異なるように設定してあり、
前記夫々の点火手段の点火タイミングを前記夫々の副室における前記圧縮による圧力上昇状態に応じて設定して、前記夫々の副室から前記主室に、互いに異なる噴射タイミングで前記火炎ジェットを噴射させる副室式エンジンの運転方法。
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