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JP4144926B2 - 特定のγ−アミノプロピルシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

特定のγ−アミノプロピルシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法 Download PDF

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JP4144926B2 JP00680998A JP680998A JP4144926B2 JP 4144926 B2 JP4144926 B2 JP 4144926B2 JP 00680998 A JP00680998 A JP 00680998A JP 680998 A JP680998 A JP 680998A JP 4144926 B2 JP4144926 B2 JP 4144926B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシランカップリング剤として、またアミノ変性シリコーンの原料として工業的に重要な特定のγ−アミノプロピルシリル基を有する有機ケイ素化合物、即ちγ−アミノプロピルアルキルシリル基またはγ−アミノプロピルアリールシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
γ−アミノプロピル基を有するシラン及びγ−アミノプロピル基を有するシロキサンは、反応性のシランカップリング剤として、またシリコーンの側鎖あるいは末端にアミノ基を導入しアミノ変性シリコーンを製造する際の原料として工業的に重要なケイ素化合物である。
【0003】
γ−アミノプロピル官能性シランを工業的に製造する方法としては一般に次の方法がある。すなわち、第1の方法は、アクリロニトリルとヒドロクロロシランのヒドロシリル化反応により、2−シアノエチルシラン化合物を合成し、Si−Cl結合をケイ素−アルコキシ結合に変換後、シアノ基の水添によりγ−アミノプロピルアルコキシシランとする方法である。この方法はヒドロクロロシランがトリクロロシランの場合は優れているが、メチルジクロロシランの場合にはヒドロシリル化反応の収率は大幅に低下し、ジアルキルクロロシランやトリアルキルシランの場合、反応は進まない。ゆえに、γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシランの製法としては効率上問題があり、γ−アミノプロピルジメチルアルコキシシラン、あるいはγ−アミノプロピルトリアルキルシランの製法としては全く適さない。
【0004】
第2の方法はクロロプロピルアルコキシシランとアンモニアの反応によるもので、通常γ−クロロプロピルアルコキシシランを加圧条件下アンモニアとともに加熱し、クロロ基をアミノ基へ置換し、塩化アンモニウムを副生する。この方法の問題点としては次の3点がある。まず、原料であるγ−クロロプロピルアルコキシシランの製造は一般に塩化アリルのヒドロシリル化反応を用いるが、この反応の収率は低いので、γ−クロロアルキルシランは高価である。第2に、アンモニアとの反応には特殊な反応装置が必要である。第3に、この反応では固体の塩化アンモニウムが副生するため、この分離、回収及び処理プロセスが必要とされる。
【0005】
第3の方法はアリルアミンのヒドロシリル化反応を用いるものであり、シランとしてはアルコキシシラン、アルキルシラン等、Si−Cl結合を有さないシランを用いる。この方法では、原理的には所望するγ−アミノプロピルアルコキシシランがヒドロシリル化反応のみで製造できるため、合成および精製工程が単純な優れたプロセスとなりうる。しかし、アリルアミンのヒドロシリル化反応においては、触媒としての白金化合物の活性は極端に低く、これを用いることは経済的に不利である。また、白金化合物触媒を用いる場合、このヒドロシリル化反応は付加の位置選択性が低く、所望のγ−アミノプロピルアルコキシシランのほか、多量のβ−アミノ(α−メチル)エチルアルコキシシランを副生する。この第3の方法で、触媒として白金化合物の代わりに、ロジウムの化合物を用いる方法が最近報告された。それらは、特定の3官能性のリン化合物をロジウムの助触媒として用いるもの(米国特許No. 4,556,722)、特定のリン化合物をポリマーに固定したものをロジウムの担体として用いるもの(DE4435390A1)及び特定のロジウム化合物と特定の塩基性化合物を用いるもの(特公平7−96555号公報)がある。これらの触媒はいずれも、高収率、高選択性でγ−アミノプロピルアルコキシシランを与えるが触媒活性は必ずしも高いとはいえないものであり、多量の触媒を必要とする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、従来使用されているロジウム触媒等を、アリルアミン化合物とアルキルヒドロキシル基またはアリールヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物(例えば、アルキルジアルコキシシラン、ジアルキルアルコキシシラン、トリアルキルシラン、アリールジアルコキシシラン、アルキルアリールアルコキシシラン、アリールジアルキルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及び1,3−ジメチル−1,3−ジフェニルジシロキサンに代表される1個以上の炭素原子がケイ素に結合した末端SiH官能性ヒドロシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンに代表される1個以上の炭素原子がケイ素に結合した環状のSiH官能性ヒドロシロキサンとのヒドロシリル化反応に用いた場合、触媒の活性は極めて低く、かつ容易に失活する。従って、単位触媒量あたりのγ−アミノプロピルアルキルシリル基またはγ−アミノプロピルアリールシリル基を有する有機ケイ素化合物の生産性は低く、経済的に見合うに充分な活性を得ることができない。
【0007】
従って、γ−アミノプロピルアルキルシリル基を有する有機ケイ素化合物(通常はシランまたはポリシロキサンである。)の工業上の重要性に鑑み、アリルアミン化合物とアルキルヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物から高い触媒効率で、γ−アミノプロピルアルキルシリル基を有する有機ケイ素化合物を高収率、高選択性で製造する方法の開発が望まれていた。また、γ−アミノプロピルアリールシリル基を有する有機ケイ素化合物の場合も同様であった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ロジウム触媒及び塩基性化合物存在下での、アルキルヒドロシリル基またはアリールヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物(アルキルヒドロシリル基含有シラン、アルキルヒドロシリル基含有ポリシロキサン、アリールヒドロシリル基含有シランまたはアリールヒドロシリル基含有ポリシロキサン)とアリルアミンとのヒドロシリル化反応の反応活性を大幅に向上させる方法として、該ヒドロシリル化反応に供する各成分の他に、特定の有機ケイ素化合物(ケイ素原子に3個の酸素原子と1個の水素原子が結合した構造を有するもの)を加えることにより、触媒活性を大幅に改善し、前記アルキルヒドロシリル基またはアリールヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物をアリルアミンに高収率で付加できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
即ち、本発明は、(a)ロジウム触媒、(b)塩基性化合物及び(c)下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の存在下、
HSi(OR1)3 (1)
(式中、R1 は独立にアルキル基、アリール基又はシリル基から選ばれる有機置換基である。)(d)アルキルヒドロシリル基又はアリールヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物と(e)アリルアミン化合物とを反応させてなるγ−アミノプロピルアルキルシリル基又はγ−アミノプロピルアリールシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法である。
【0010】
ここで、(d)アルキルヒドロシリル基またはアリールヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物とは〔以下、「(d)に規定する有機ケイ素化合物」と称する。〕とは、−HSiR−(Rはアルキル基またはアリール基である)構造を有するシラン又はシロキサンのことを指す。具体的には、次のI〜IVにあげるものである。
I.−HSiR−(Rはアルキル基)構造を有するシラン、
II.−HSiR−(Rはアリール基)構造を有するシラン、
III.−HSiR−(Rはアルキル基)構造を有するポリシロキサン、又は
IV.−HSiR−(Rはアリール基)構造を有するポリシロキサン
【0011】
前記(d)に規定する有機ケイ素化合物は、SiH結合を有するケイ素上に置換基として少なくとも1個のアルキル基、又はアリール基をもつ。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基に代表される炭素数1〜6の1級炭化水素基;イソプロピル基、sec−ブチル基に代表される炭素数3〜6の2級炭化水素基;t−ブチル基、t−アミル基に代表される炭素数4〜6の3級の飽和炭化水素基があり、アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基がある。
【0012】
ケイ素上に存在してもよいこれら以外の置換基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基に代表されるアルコキシ基;フェノキシ基、トリロキシ基、キシロキシ基に代表されるアリロキシ基;およびトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基に代表されるシラン由来のシロキシ基;及びペンタメチルジシロキサノキシ基に代表されるシロキサン由来のシロキシ基を挙げることができる。
【0013】
前記(d)に規定する有機ケイ素化合物としては、アルコキシ基、アリーロキシ基及びシロキシ基のいずれも含まないアルキルシランまたはアリールシラン、モノアルコキシシラン、モノアリーロキシシラン、モノシロキシシラン、ジアルコキシシラン、ジアリーロキシシラン、アルコキシアリーロキシシラン、ジシロキサン(環状シロキサンを含む)等がある。
【0014】
前記アルコキシ基、アリーロキシ基およびシロキシ基のいずれも持たないアルキルシランまたはアリールシランの具体例を挙げると、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリ(n−プロピル)シラン、トリ(i−プロピル)シラン、ジメチルエチルシラン、ジメチル(n−ブチル)シラン、ジメチル(i−プロピル)シラン、メチルジエチルシラン、メチルジ(n−プロピル)シランに代表されるトリアルキルシラン、ジメチルフェニルシラン、メチルジフェニルシランに代表されるアルキルアリールシラン、およびトリフェニルシランに代表されるトリアリールシランがある。
【0015】
前記モノアルコキシシランとして例示できるものには、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチル(n−プロポキシ)シラン、ジメチル(i−プロポキシ)シラン、ジメチル(n−ブトキシ)シラン、ジメチル(i−ブトキシ)シラン、ジメチル(sec−ブトキシ)シラン、ジメチル(t−ブトキシ)シラン、ジメチル(n−ヘキシロキシ)シラン、エチルメチルメトキシシラン、エチルメチルエトキシシラン、エチルメチル(n−プロポキシ)シランに代表されるジアルキルアルコキシシラン;フェニルメチルメトキシシラン、フェニルメチルエトキシシラン、フェニルメチル(n−プロポキシ)シランに代表されるアルキルアリールアルコキシシランがある。
【0016】
前記モノアリーロキシシランとしてはジメチルフェノキシシラン、ジメチルトリロキシシラン、メチルフェニルフェノキシシランを例示できる。
【0017】
前記モノシロキシシランとしてはペンタメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルフェニルシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに代表されるジシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサンに代表されるトリシロキサンの他、1,1,1,3,3,5,5,7,7−ノナメチルテトラシロキサンをはじめとする片末端ジメチルシリル基停止直鎖シロキサン;1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサンをはじめとする両末端ジメチルシリル基停止直鎖シロキサン;及びトリス(ジメチルシロキシ)メチルシラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シランに代表される末端ジメチルシリル基停止分岐シロキサンがある。
【0018】
前記ジアルコキシシランとしてはメチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジ(n−プロポキシ)シラン、メチルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルジ(i−ブトキシ)シラン、メチルジ(sec−ブトキシ)シラン、メチルジ(n−ヘキシロキシ)シラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルジ(n−プロポキシ)シラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシランがある。
【0019】
ジアリーロキシシランとしてはメチルジフェノキシシラン、エチルジフェノキシシラン、フェニルジフェノキシシランを例示できる。
【0020】
前記アルコキシアリーロキシシランとしてはメチル(メトキシ)フェノキシシラン、エチル(エトキシ)フェノキシシラン、フェニル(メトキシ)フェノキシシランを例示できる。
【0021】
前記ジシロキシシランとしては1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンに代表されるトリシロキサン;1,1,1,3,3,5,7,7,7−ノナメチルテトラシロキサンをはじめとする両末端トリメチルシリル基停止直鎖シロキサン;および1,1,3,3,5,5,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンに代表される環状シロキサンを例示することが出来る。
【0022】
これら以外に、前記(d)に規定する有機ケイ素化合物として、1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン、1,1,3,5,5,7,7−ヘプタメチルテトラシロキサンに代表されるモノシロキシシラン構造とジシロキシシラン構造の共存するシロキサンを例示できる。
【0023】
前記(c)に規定する有機ケイ素化合物は、ケイ素原子に3個の酸素原子と1個の水素原子が結合した構造を有するものであり、具体的には次の一般式(1)で表されるものである。
HSi(OR1)3 (1)
(式中、R1 は独立にアルキル基、アリール基又はシリル基から選ばれる置換基である)この−OR1 は具体的には、アルコキシ基、アリーロキシ基又はシロキシ基となる。これらの代表的な例としては、トリアルコキシシラン、トリアリーロキシシラン、トリシロキシシラン等があげられる。尚、−OR1 がシロキシ基である場合、本発明の効果を損なわない限り該シロキシ基は−OSi(CH3)2 O−構造を有するものであっても構わない。
【0024】
前記トリアルコキシシランとしてはトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ(n−プロポキシ)シラン、トリ(イソプロポキシ)シラン、トリ(n−ブトキシ)シラン等を挙げることが出来る。
【0025】
前記トリアリーロキシシランとしてはトリフェノキシシラン、トリトリロキシシラン等を挙げることが出来る。
【0026】
前記トリシロキシシランとしてはトリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリエチルシロキシ)シラン、トリス(シロキサノキシ)シラン類等を挙げることが出来る。
【0027】
本発明に使用される前記(e)アリルアミン化合物は下記式(6)で表わされるものであり、その例としては、アリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N−ジエチルアリルアミン、N−メチルアリルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適には、アリルアミンが用いられる。
【0028】
【化1】
Figure 0004144926
【0029】
(ここに、R1 及びR2 は、それぞれ独立に、水素原子、−CH2 CH2 NH2 ,−CH2 CH2 NHCH2 CH2 NH2 、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、フェニル基又は置換フェニル基であり、R3 は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。)
【0030】
本発明製造方法により得られるγ−アミノプロピルアルキルシリル基を有する有機ケイ素化合物とは−GSiR′−(R′はアルキル基、Gはγ−アミノプロピル基である)構造を有するシラン又はシロキサンのことを指す。具体例としては、γ−アミノプロピルアルキルシランまたはγ−アミノプロピルアルキルシリル基を有するポリシロキサンを挙げることができる。
また、同じくγ−アミノプロピルアリールシリル基を有する有機ケイ素化合物とは−GSiR″−(R″はアリール基、Gはγ−アミノプロピル基である)構造を有するシラン又はシロキサンのことを指す。具体例としては、γ−アミノプロピルアリールシランまたはγ−アミノプロピルアリールシリル基を有するポリシロキサンを挙げることができる。
【0031】
前記(d)に規定する有機ケイ素化合物の好ましいものの1つは、次式(3)
HSiR2 3 4 (3)
(式中、R2 はメチル基、エチル基、或いはフェニル基を表し、R3 及びR4 はメチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基から選ばれる1価の置換基を表す。)で示される化合物である。
【0032】
本発明の好ましい1つの態様は、前記(c)に規定する有機ケイ素化合物が次の一般式(2)で表されるものであり、
HSi(OR5)3 (2)
(式中R5 はそれぞれ独立に次の中から選ばれる有機置換基を表す:メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、フェニル基及びトリメチルシリル基。)
前記(d)に規定する有機ケイ素化合物が上記一般式(3)で表されるものである場合である。
【0033】
前記(d)に規定する有機ケイ素化合物の好ましいものの他の例は、次式(4)
6 SiMe2(OSiMeR6)n OSiMe2 6 (4)
(式中、R6 は少なくともその内の1個が水素原子であり、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Meはメチル基を表し、nは0〜100の範囲の数を表す。)で示されるシロキサンである。
【0034】
本発明の好ましい他の態様は、前記(c)に規定する有機ケイ素化合物が前記一般式(2)で表されるものであり、前記(d)に規定される有機ケイ素化合物が前記一般式(4)で表される直鎖状ポリシロキサンである場合である。
【0035】
前記(d)に規定する有機ケイ素化合物の好ましいものの他の例は、次式(5)
(OSiMeR6)n (5)
(式中、R6 は少なくともその内1個が水素原子であり、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Meはメチル基を表し、nは3〜10の範囲の正の数を表す。)で示されるシロキサンである。
【0036】
本発明の好ましい他の態様は前記(c)に規定する有機ケイ素化合物が前記一般式(2)で表されるものであり、前記(d)に規定する有機ケイ素化合物が前記一般式(5)で表される環状ポリシロキサンである場合である。
【0037】
本態様に用いる(d)および(c)に規定する有機ケイ素化合物の使用比率は特に限定されるものでないが、(c)に規定する有機ケイ素化合物のSi−Hの量が(d)に規定する有機ケイ素化合物のSi−Hの量に比べ極端に少ない場合、本発明の効果は限定される。ゆえに、(c)に規定する有機ケイ素化合物は(d)に規定する有機ケイ素化合物に対して、10モル%以上あることが望ましい。特に本発明の効果を十分に利用するためには、20モル%以上あることが望ましい。上限も特に限定されるものではないが、(d)に規定する有機ケイ素化合物が(c)に規定する有機ケイ素化合物に対して、10モル%以下になると、(d)に規定する有機ケイ素化合物からのγ−アミノプロピルシラン化合物の製造という本発明の本来の目的が効率的に行なわれず、好ましくない。
【0038】
(d)および(c)に規定する有機ケイ素化合物の添加方法は特に限定されないが、工程上望ましい方法としては両者の混合物をあらかじめ反応容器中に入れておくことも、これを反応容器に反応の進行とともに添加することもできるし、(d)に規定する有機ケイ素化合物とアリルアミンの混合物の入った反応容器に反応の進行と共に(c)に規定する有機ケイ素化合物を添加することもできる。
【0039】
反応に用いるアリルアミンとヒドロシラン(d)及び(c)に規定する有機ケイ素化合物のSi−H官能基の和)の比率は特に限定されるものではないが、モル比が10:1以上あるいは1:10以下では製造効率が低く、原料回収が必須になり、故に、より反応の化学量論に近い値、具体的にはモル比で1:2から2:1の間が好ましい。
【0040】
本発明に用いるロジウム触媒は1価、2価あるいは3価のロジウム化合物で有機あるいは無機の配位子を有するものを好適に用いることができる。1価のロジウム化合物の例としてはL2 RhXで表わされる錯化合物があり、ここにLはエチレン、プロピレン、スチレン、シクロオクテン、ノルボルネンに代表されるモノオレフィンであることができ、L2 は2つのLがつながったもので、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエンに代表されるジエン類であることができる。Xはアセチルアセトナートアニオン、シクロペンタジエニルアニオン、π−アリルアニオンに代表されるキレート性の一価のアニオン配位子であり得る。即ち、前記ロジウム触媒は、具体的にはビス(エチレン)ロジウム(I)アセチルアセトナート、(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)アセチルアセトナート、ビス(スチレン)ロジウム(I)シクロペンタジエニル、(1,3−ブタジエン)ロジウム(I)シクロペンタジエニル、ビス(シクロオクテン)ロジウム(I)π−アリル、(ノルボルナジエン)ロジウム(I)π−アリル、を例示することができる。また他の1価のロジウム化合物の例としては(L2 RhY)2 で表わされる二核錯化合物があり、ここに、Lはエチレン、プロピレン、スチレン、シクロオクテン、ノルボルネンに代表されるモノオレフィンであることができ、L2 は1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエンに代表されるジエン類であることができ、Yはクロライドアニオン、ブロマイドアニオン、アセトキシアニオン、ヒドロキシアニオン、メトキシドアニオン、ヒドリドアニオン、メチルアニオン、に代表される架橋性の一価のアニオン配位子であり得る。即ち、この種のロジウム化合物の具体例としては、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)ジロジウム(I)、ジ−μ−クロロビス(ノルボルナジエン)ジロジウム(I)、ジ−μ−メトキシビス(1,3−ブタジエン)ジロジウム(I)、ジ−μ−メチルビス(1,5−シクロオクタジエン)ジロジウム(I)、ジ−μ−ヒドリドビス(1,5−シクロオクタジエン)ジロジウム(I)、ジ−μ−クロロテトラキス(シクロオクテエン)ジロジウム(I)等の錯化合物を例示することができる。
【0041】
2価のロジウム化合物としてはテトラキス(アセテート)ジロジウムを例示でき、3価のロジウム化合物としては塩化ロジウム(III )、臭化ロジウム(III )、ヘキサクロロロジウム(III )、トリス(n−ブチルスルフィド)塩化ロジウム(III )、ジ−μ−クロロテトラ−π−アリルロジウム(III )を例示できる。
【0042】
本発明においては、ロジウム触媒とともに塩基性化合物を使用する。この塩基性化合物は本発明製造方法の収率に悪影響を与えないものであれば格別限定されるものではない。
好適な塩基性化合物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムに代表されるアルカリ金属の化合物がある。このような化合物の例としては、前記金属の水素化物、アルキル化合物、アリール化合物、水酸化物、酸化物、アルコキシド、アリーロキシド、シラノレートおよびシロキサノレート等がある。また、この他に前記塩基性化合物の例として、四級アンモニウム塩もあり、このような塩としてはテトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物、テトラ(n−ブチル)アンモニウム水酸化物、トリメチルオクチルアンモニウム水酸化物を挙げることができる。
【0043】
高い触媒効率を得るためには前記のロジウム触媒と前記の塩基性化合物を特定の混合比率で用いることは非常に重要である。好ましい混合比は原料のロジウム化合物によって異なり、具体的には、1価のロジウム化合物でアニオンがアルコキシ基、ヒドロキシル基、シロキシ基、フェノキシ基の場合は、ロジウム1グラム原子に対して、塩基性化合物を0.5モルから1.0モル、1価のロジウム化合物でアニオンが塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンの場合は、ロジウム1グラム原子に対して、塩基性化合物を1.5モルから2.0モル、3価のロジウム化合物でアニオンが塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンの場合は、ロジウム1グラム原子に対して塩基性化合物を3.5モルから4.0モル添加する必要がある。ただし溶媒及びフィード中に含まれる酸性不純物の量に応じて、これを中和するのに要する塩基性化合物をさらに添加する必要がある。
【0044】
本発明で触媒として用いるロジウムは非常に高価な金属であり、ゆえに、本発明の合成反応を経済的に行なうにあっては、高い触媒効率が要求される。具体的には、触媒金属1モルで、少なくとも104 モルのアリルアミン化合物並びに(d)および(c)に規定する有機ケイ素化合物を用いる条件で反応を行なう。より好ましくは、触媒金属1モルに対して105 モルから106 モルのアリルアミン化合物を用いる条件で反応を行なう。
【0045】
反応温度は80℃以上が好ましく、100℃から200℃が最適である。
【0046】
本発明では本質的には溶媒を用いる必要はないが、混合溶媒の沸点の制御ならびに触媒成分の添加を容易にするため炭化水素化合物を反応溶媒あるいは触媒成分の溶媒として用いることができる。
【0047】
本発明の好ましい態様として次のものが挙げられる。
1.前記(a)ロジウム触媒の添加量がロジウム金属換算で前記(d)に規定する有機ケイ素化合物に対して0.0001mol %以上0.05mol %以下の範囲にある本発明製造方法。
2.前記(a)ロジウム触媒の添加量がロジウム金属換算で前記(d)に規定する有機ケイ素化合物に対して0.001mol %以上0.01mol %以下の範囲にある本発明製造方法。
【0048】
本発明製造方法の実施にあたって、反応生成混合物中に存在するγ−アミノプロピルアルキルヒドロシリル基またはγ−アミノプロピルアリールシリル基を有する有機ケイ素化合物は、通常公知の方法により副生物を分離して各種用途に使用される。
副生物を分離する工業的方法としては、蒸留法が適している。例えば、本発明製造方法によりγ−アミノプロピルアルキルシランを製造する場合、生成するγ−アミノプロピルアルキルシランと副生する有機ケイ素化合物とでは、必然的にケイ素原子に結合するアルキル置換基の個数が異なるので、それぞれのケイ素原子の極性およびルイス酸性が大きく異なってくる。この場合、通常の分留による分離も可能であるが、共沸蒸留あるいは抽出蒸留を用いれば、より効率的に分離を行なうことができる。
副生物は原料に対応するものであるが、その例としてはγ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアリーロキシシラン等が挙げられる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下に示す例中の生成物の同定はガスクロマトグラフ/質量分析器およびガスクロマトグラフ(GC)による標準サンプルとの比較で行ない、生成物の定量はガスクロマトグラフを用いて行なった。
以下の例で用いたアルコキシシラン化合物、アルキルシラン化合物及びシロキサンは市販のものあるいは公知の方法によって合成したものである。アリルアミン(H2 NCH2 CH=CH2 )は市販のものを蒸留後、モレキュラーシーブ4Aを加え保存した。塩基は市販のものをそのまま用いた。次に実施例及び比較例に用いた反応基質及び触媒原料について説明する。
【0050】
(参考例 1)
(n−ブチルスルフィド−塩化ロジウム錯体のトルエン溶液の調製)
三塩化ロジウム水和物(0.45g)とn−ブチルスルフィド(0.75g)を2gのメタノールに溶解し約3時間加熱した。揮発成分を50℃で真空溜去し、残渣をトルエンに溶解し25mlとした。
【0051】
(実施例 1)
(混合物シランフィード法によるγ−アミノプロピル(メチル)ジエトキシシランの製造)
テフロンマグネチック攪拌子の入ったストップコック付きのガラス製反応管にカリウムトリメチルシラノレート(0.453μmol )のエタノール溶液(9μl)を加えた。減圧下でエタノールを除去し、反応管を窒素で満たした。これにアリルアミン(225mg)、メチルジエトキシシラン(260mg)、トリエトキシシラン(319mg)およびキシレン(52.6mg)の混合物1ミリリットルを注射器を用いて添加した。次にジクロロビス(1,5−シクロオクタジエン)ジロジウム(ロジウムとして0.025μmol )のトルエン溶液をマイクロシリンジを用いて加えた。ストップコックを閉じ、反応管を108℃のオイルバスにいれ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとアリルアミンおよびメチルジエトキシシランの転化率はそれぞれ85%および80.8%であり、仕込み量のメチルジエトキシシランに対するγ−アミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン収率は78%であった。β−アミノイソプロピルシランの生成量はγ−アミノプロピルシランの0.5%以下であった。
【0052】
(実施例 2)
(混合物シランフィード法によるγ−アミノプロピル(ジメチル)エトキシシランの製造)
テフロンマグネチック攪拌子の入ったストップコック付きのガラス製反応管にナトリウムトリメチルシラノレート(0.406μmol )のエタノール溶液(7μl)を加えた。減圧下でエタノールを除去し、反応管を窒素で満たした。これにアリルアミン(240mg)、ジメチルエトキシシラン(215mg)、トリエトキシシラン(344mg)およびキシレン(35.8mg)の混合物1ミリリットルを注射器を用いて添加した。次にジクロロテトラキス(シクロオクテン)ジロジウム(ロジウムとして0.028μmol )のトルエン溶液をマイクロシリンジを用いて加えた。ストップコックを閉じ、反応管を108℃のオイルバスにいれ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとアリルアミンおよびジメチルエトキシシランの転化率はそれぞれ76%および65.7%、であり、仕込み量のジメチルエトキシシランに対するγ−アミノプロピル(ジメチル)エトキシシランの収率は62.0%であった。β−アミノイソプロピルシランの生成量はγ−アミノプロピルシランの0.3%以下であった。
【0053】
(実施例 3)
(混合物シランフィード法によるγ−アミノプロピルトリエチルシランの製造)
テフロンマグネチック攪拌子の入ったストップコック付きのガラス製反応管にカリウムt−ブトキシド(0.51μmol )のエタノール溶液(11μl)を加えた。減圧下でエタノールを除去し、反応管を窒素で満たした。これにアリルアミン(216mg)、トリエチルシラン(229mg)、トリエトキシシラン(269mg)およびキシレン(100.8mg)の混合物1ミリリットルを注射器を用いて添加した。次に参考例1で調製したロジウムトリクロライド−n−ブチルスルフィド錯体(ロジウムとして0.035μmol )のトルエン溶液をマイクロシリンジを用いて加えた。ストップコックを閉じ、反応管を110℃のオイルバスにいれ30分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとアリルアミンおよびトリエチルシラン転化率はそれぞれ60%および33%、であり、仕込み量のトリエチルシランに対するγ−アミノプロピルトリエチルシランの収率は29%であった。β−アミノイソプロピルシランの生成量はγ−アミノプロピルシランの0.5%以下であった。
【0054】
(実施例 4)
(混合物シランフィード法による1,3−ジ(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンの製造)
テフロンマグネチック攪拌子の入ったストップコック付きのガラス製反応管にカリウムトリメチルシラノレート(0.402μmol )のエタノール溶液(8μl)を加えた。減圧下でエタノールを除去し、反応管を窒素で満たした。これにアリルアミン(222mg)、テトラメチルジシロキサン(134mg)、トリエトキシシラン(310mg)た。次にジクロロビス(1,5−シクロオクタジエン)ジロジウム(ロジウムとして0.025μmol )のトルエン溶液をマイクロシリンジを用いて加えた。ストップコックを閉じ、反応管を108℃のオイルバスにいれ3.5時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとアリルアミン、テトラメチルジシロキサンの転化率はそれぞれ85%、86.6%、であり、仕込量の1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに対するγ−アミノプロピルジメチルシロキシ基の収率は69.2%であった。β−アミノイソプロピルシリル基の生成量はγ−アミノプロピルシランの0.5%以下であった。
【0055】
(比較例 1)
(γ−アミノプロピル(メチル)ジエトキシシランの製造)
テフロンマグネチック攪拌子の入ったストップコック付きのガラス製反応管にカリウムトリメチルシラノレートのエタノール溶液(0.05μmol /μl)をそれぞれ7μl,8μl,9μl,10μl,12μl加えた。減圧下でエタノールを除去し、反応管を窒素で満たした。アリルアミン(238mg)、メチルジエトキシシラン(556mg)およびキシレン(42.4mg)の混合物1ミリリットルずつを注射器を用いて各反応管に添加した。次にそれぞれの反応管にジクロロビス(1,5−シクロオクタジエン)ジロジウム(ロジウムとして0.0253μmol )のトルエン溶液をマイクロシリンジを用いて加えた。ストップコックを閉じ、反応管を108℃のオイルバスにいれ1時間加熱した後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると各反応管のアリルアミンおよびメチルジエトキシシランの転化率および、仕込み量に対するγ−アミノプロピル(メチル)ジエトキシシランの収率は表1の様であった。β−アミノイソプロピルシランの生成量はγ−アミノプロピルシランの0.1%以下であった。これからほぼ最良の条件での仕込み量に対するγ−アミノプロピル(メチル)ジエトキシシランの収率は、せいぜい約22%であることがわかった。
【0056】
〔表1〕
KOSiMe3 添加量 アリルアミン シラン添加率 アミノプロピル化合物
(マイクロモル) 添加率(%) (%) の収率(モル%)
0.35 5.36 7.6 0.1
0.40 11.7 15.1 9.16
0.45 18.8 19.5 13.2
0.50 29.6 29.1 21.7
0.60 9.9 24.6 0.07
【0057】
(比較例 2)
(アリルアミンとジメチルエトキシシランの反応)
テフロンマグネチック攪拌子の入ったストップコック付きのガラス製反応管にカリウムトリメチルシラノレートのエタノール溶液(0.05μmol /μl)をそれぞれ8μl,9μl,10μl,12μl,14μl,16μl加えた。減圧下でエタノールを除去し、反応管を窒素で満たした。アリルアミン(270mg)、メチルジエトキシシラン(495mg)およびキシレン(61mg)の混合物1ミリリットルずつを注射器を用いて各反応管に添加した。次にそれぞれの反応管にジクロロビス(1,5−シクロオクタジエン)ジロジウム(ロジウムとして0.051μmol )のトルエン溶液をマイクロシリンジを用いて加えた。ストップコックを閉じ、反応管を108℃のオイルバスにいれ4時間加熱した後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するといずれの反応管中の反応物にも目的のγ−アミノプロピルジメチルエトキシシランは見出されなかった。すなわち、ロジウム化合物−塩基性化合物の比に拘わらず、この反応は目的とする化合物を与えなかった。
【0058】
(比較例 3)
(アリルアミンとトリエチルシランの反応)
テフロンマグネチック攪拌子の入ったストップコック付きのガラス製反応管にカリウムトリメチルシラノレート(0.55μmol )のエタノール溶液(11μl)を加えた。減圧下でエタノールを除去し、反応管を窒素で満たした。これにアリルアミン(243mg)、トリエチルシラン(456mg)およびキシレン(48mg)の混合物1ミリリットルを注射器を用いて添加した。次に参考例1で調製したロジウムトリクロライド−n−ブチルスルフィド錯体(ロジウムとして0.051μmol )のトルエン溶液をマイクロシリンジを用いて加えた。ストップコックを閉じ、反応管を108℃のオイルバスにいれ2時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとγ−アミノプロピルトリエチルシランの生成はまったく認められなかった。塩基の添加量を4μlから16μlの範囲で変えた反応の結果も同様であった。
【0059】
(比較例 4)
(アリルアミンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応)
テフロンマグネチック攪拌子の入ったストップコック付きのガラス製反応管(9本)にカリウムトリメチルシラノレート(0.010μmol から0.10μmol の9点)のエタノール溶液(2μlから20μl)を加えた。減圧下でエタノールを除去し、反応管を窒素で満たした。それぞれのガラス管にアリルアミン(245mg)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(289mg)およびキシレン(211mg)の混合物1ミリリットルを注射器を用いて添加した。次にジクロロビス(1,5−シクロオクタジエン)ジロジウム(ロジウムとして0.0253μmol )のトルエン溶液をマイクロシリンジを用いて加えた。ストップコックを閉じ、反応管を108℃のオイルバスにいれ3時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するといずれの反応物にもγ−アミノプロピルテトラメチルジシロキサンおよび1,3−ジ(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンは検出されなかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によりシランカップリング剤またはアミノ変性シリコーンオイルの原料として重要なγ−アミノプロピルアルキルシリル基またはγ−アミノプロピルアリールシリル基を有する有機ケイ素化合物をアルキルヒドロシリル基またはアリールヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物(例えば、SiH官能基を有するアルキルシラン、SiH官能基を有するアルキルアルコキシシラン又はSiH官能基を有するアルキルシロキサン等)とアリルアミン化合物のヒドロシリル化反応により高収率、高選択性で容易に製造することが可能になった。

Claims (4)

  1. (a)ロジウム触媒、(b)塩基性化合物及び(c)下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の存在下、
    HSi(OR1)3 (1)
    (式中、R1 は独立にアルキル基、アリール基又はシリル基から選ばれる有機置換基である。)(d)アルキルヒドロシリル基又はアリールヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物と(e)アリルアミン化合物とを反応させてなるγ−アミノプロピルアルキルシリル基又はγ−アミノプロピルアリールシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
  2. 前記(c)に規定する有機ケイ素化合物が次の一般式(2)で表されるものであり、
    HSi(OR5)3 (2)
    (式中R5 はそれぞれ独立に次の中から選ばれる有機置換基を表す:メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、フェニル基及びトリメチルシリル基。)
    前記(d)アルキルヒドロシリル基またはアリールヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物が次の一般式(3)、
    HSiR2 3 4 (3)
    (式中、R2 はメチル基、エチル基又はフェニル基を表し、R3 及びR4 はそれぞれ独立に次の中から選ばれる置換基を表す:メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基及びフェノキシ基。)で表されるものである請求項1記載の製造方法。
  3. 前記(c)に規定する有機ケイ素化合物が請求項2に記載の一般式(2)で表されるものであり、前記(d)アルキルヒドロシリル基またはアリールヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物が次の一般式(4)
    6 Me2 Si(OSiMeR6)n OSiMe2 6 (4)
    (式中、R6 はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。但し、この有機ケイ素化合物1分子が有するR6 のうち少なくとも1個は水素原子である。Meはメチル基を表す。nは0以上100以下の数である。)で表される直鎖状ポリシロキサンである請求項1記載の製造方法。
  4. 前記(c)に規定する有機ケイ素化合物が請求項2に記載の一般式(2)で表されるものであり、前記(d)アルキルヒドロシリル基またはアリールヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物が次の一般式(5)で表される環状ポリシロキサンである請求項1記載の製造方法。
    (OSiMeR6)n (5)
    (式中、R6 はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。但し、この有機ケイ素化合物1分子が有するR6 のうち少なくとも1個は水素原子である。Meはメチル基を表す。nは3以上10以下の数である。)
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