JP4038943B2 - 化学機械研磨用水系分散体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造において有用な化学機械研磨用水系分散体(以下、「水系分散体」ということもある。)に関する。更に詳しくは、本発明は、アミノ基を有する有機粒子を水に分散させてなり、半導体装置の被加工膜などの研磨に好適な水系分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の集積度の向上、多層配線化などにともない、被加工膜等の研磨に化学機械研磨の技術が導入されている。これはプロセスウェハ上の絶縁膜に形成された孔、溝などに、タングステン、アルミニウム、銅等の配線材料を埋め込んだ後、研磨により余剰の配線材料を除去することにより配線を形成するものである。この研磨技術においては、従来より、シリカ、或いは金属酸化物からなる研磨粒子を含む水系分散体が研磨剤として用いられている。しかし、これらの研磨粒子は硬度が高く、被研磨面に、LSIの信頼性を低下させるスクラッチ及びディッシング等が発生するという問題がある。特に、現在、その使用が検討されている硬度の低い多孔質の絶縁膜においては、スクラッチ等の抑制がより大きな検討課題となる。
【0003】
このスクラッチ等の発生を抑えるため、研磨粒子として重合体粒子を用いることが提案されている。特開平10−270400号公報には、乳化重合により得られるビニル化合物重合体粒子を含有する水性エマルジョンからなる半導体装置製造用研磨剤が記載されている。また、この乳化重合の重合開始剤として2,2−アゾビス(2−アミノプロパン)塩酸塩が例示されている。しかし、この化合物は単に重合開始剤の一例として記載されているにすぎず、他の何らかの作用を有するか否か等についてはまったく言及されていない。更に、特開平10−168431号公報には、高分子電解質をコーティングした研磨剤粒子を含有する研磨用スラリが開示されている。しかし、この研磨剤粒子は無機粒子である。しかも、その全面に高分子電解質がコーティングされた場合は、研磨速度が低下することも示唆されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特定の官能基を有する有機粒子を含有する化学機械研磨用水系分散体を提供することを課題とする。また、特に、本発明は、銅等の硬度の低い金属面であっても、被研磨面においてスクラッチ等を生ずることなく、且つ適度なエッチング速度と、十分な研磨速度とを併せ有し、半導体装置の被加工膜等の研磨において有用な水系分散体を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、第1に官能基として、アミノ基を有する有機粒子を含有する化学機械研磨用水系分散体(以下、第1発明という。)により達成される。また、上記課題は、第2に更に酸化剤を含有させることにより達成される(以下、第2発明という。)。上記課題は、第3に特定の単量体を用いて合成した重合体を用いること(以下、第3発明という。)により達成される。上記課題は、第4に有機粒子の平均粒子径は0.01〜10μmである第1発明乃至3のうちのいずれかに記載の化学機械研磨用水系分散体により達成される(以下、第4発明という。)。
【0006】
第1発明の化学機械研磨用水系分散体は、有機粒子及び水を含有し、該有機粒子が、官能基として、アミノ基を有することを特徴とする。
【0007】
第1発明における有機粒子の平均粒子径は0.01〜10μmであることが好ましく、特に0.01〜5μm、更には0.01〜3μmであることがより好ましい。有機粒子の平均粒子径が0.01μm未満であると、研磨速度が低下し、この平均粒子径が10μmを超える場合は、有機粒子が沈降し易く、安定な水系分散体とすることが容易ではない。これらの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡によって観察することにより測定することができる。
【0008】
第2発明は、第1発明において、更に酸化剤を含有させることができる旨を明らかにしたものである。
酸化剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、硝酸及び硫酸等を使用することができ、過硫酸カリウムが特に好ましい。この酸化剤の含有量は0.01〜5重量部(以下、「部」と略記する。)とすることができ、0.1〜4部、特に0.3〜3部とすることが好ましい。
【0009】
第3発明は、有機粒子は、特定の単量体を重合成分、或いは共重合成分として使用することにより、分子中に、特定の官能基が導入された重合体である旨を明らかにしたものである。
上記特定の単量体としては、以下の各種のものが挙げられる。
(1)3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の置換ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、
(2)2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類、
【0010】
(3)2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類、
(4)2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチル−3’−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基含有(メタ)アクリレート類、
(5)1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート等の光安定化基含有(メタ)アクリレート類、
【0011】
(6)N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル基含有(メタ)アクリルアミド類、
(7)N−(2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN−アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド類
【0012】
(8)2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、
(9)(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和カルボン酸のアミド、或いはイミド、
(10)(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、ケイ皮酸ニトリル等の不飽和カルボン酸ニトリル類、
(11)N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等のN−メチロール化不飽和カルボン酸アミド類。
【0013】
上記特定の単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
また、上記特定の単量体と、他の単量体としてのスチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸化合物、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物等、メチルアクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステルとを併用して共重合体とすることもできる。
この第3発明において、重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び過酸化水素等を使用することができる。更に、特定の重合開始剤、すなわち、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(例えば、商品名「V−50」)、2,2’−アゾビス−(2−アミノプロパン)二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル(例えば、商品名「V−60」)、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(例えば、商品名「V−40」)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(例えば、商品名「V−70」)等を使用することもできる。以上、商品名を挙げた重合開始剤はいずれも和光純薬工業株式会社製である。また、重合開始剤の使用量は、重合体を合成する際に使用する単量体100部に対して、0.1〜5部とすることができ、0.5〜4部、特に1〜3部とすることが好ましい。
【0014】
ここで、上記特定の単量体を使用した重合体の合成は、コア粒子として他の重合体粒子が存在する状態で実施することもできる。この重合体粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の各種の単量体を重合、或いは共重合させてなる粒子を挙げることができる。
特定の単量体の使用量は、重合体を合成する際に使用する単量体と、場合により用いられるコア粒子としての重合体粒子との合計量100部に対して、0.1〜5部とすることができ、0.5〜4部、特に1〜3部とすることが好ましい。特定の単量体の使用量が0.1部未満であると、研磨速度が十分に向上しない。一方、この単量体を5部使用すれば所期の効果が十分に得られ、それ以上に多量に使用する必要はない。
【0015】
第3発明における重合体は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等、各種の一般的な方法によって製造することができる。重合温度、重合時間、その他の重合条件は、使用する単量体の種類、及び所要の分子量等の特性に応じて適宜設定することができる。
【0016】
本発明における有機粒子の調製方法は特に限定されないが、水系媒体、又は有機溶媒を用いて重合体を製造した後、得られる重合体を粉砕し、所定の粒径に整粒する方法が挙げられる。更に、重合体の製造時に単量体を水系媒体等に微分散させ、所定の粒径を有する有機粒子とする方法などを挙げることもできる。
【0017】
化学機械研磨用水系分散体の調製方法としては、水系媒体を用いて所定の粒径を有する有機粒子を生成させ、この水系分散体をそのまま用いる方法が最も簡便である。また、生成した有機粒子を水系媒体から分離した後、再び媒体に分散させることもできる。この方法であれば、有機粒子の含有量を容易に調整することができる。更に、重合体を有機溶媒を用いて製造した場合であっても、得られる重合体が粒子状であれば、有機溶媒を蒸留等によって除去し、水或いは水系媒体と置換することにより容易に水系分散体とすることができる。水系媒体としては、水及び水とメタノール等との混合物が挙げられるが、水のみを用いることが好ましい。
【0018】
化学機械研磨用水系分散体に含有される有機粒子は、水系分散体を100部とした場合に、0.1〜20部、特に0.5〜15部、更には1〜10部であることが好ましい。また、研磨粒子として機能する有機粒子の形状は球状であることが好ましいが、この球状とは、鋭角部分を有さない略球形のものをも意味し、必ずしも真球に近いものである必要はない。球状の有機粒子を用いることにより、被研磨面におけるスクラッチの発生がより確実に抑えられ、且つ十分な速度で研磨することができる。
【0019】
第1乃至第4発明の水系分散体では、無機粒子の配合は必要ないが、スクラッチ等の発生が十分に抑えられる範囲で、シリカ、並びにアルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、酸化鉄及び酸化マンガン等の金属酸化物などからなる無機粒子を含有させることもできる。尚、この金属酸化物が酸化鉄、酸化マンガン等の酸化力を有するものである場合は、酸化剤としても機能する。そのため、前記の酸化剤の使用量を低減することができ、酸化剤の使用が必要ないこともある。
【0020】
本発明の化学機械研磨用水系分散体は、超LSI等の半導体装置の製造過程において、半導体基板上に設けられる各種の被加工膜、及びタンタル、チタン等の金属、或いはそれらの酸化物、窒化物などからなるバリアメタル層の研磨に用いることができる。被加工膜としては、シリコン酸化膜、アモルファスシリコン膜、多結晶シリコン膜、単結晶シリコン膜、シリコン窒化膜、純タングステン膜、純アルミニウム膜、或いは純銅膜等の他、タングステン、アルミニウム、銅等と他の金属との合金からなる膜などが挙げられる。また、本発明の水系分散体は、これらの各種の被加工膜のうちでも、純銅膜等の硬度の低いものの研磨において特に有用である。
【0021】
半導体装置の被加工膜の研磨は、無機粒子を研磨粒子とする従来の方法において用いられている市販の化学機械研磨装置(ラップマスターSFT社製、型式「LGP510、LGP552」等)を用いて行なうことができる。
尚、研磨後、被研磨面に残留する有機粒子は除去することが好ましい。この粒子の除去は通常の洗浄方法によって行うことができるが、有機粒子の場合は、被研磨面を、酸素の存在下、高温にすることにより粒子を燃焼させて除去することもできる。燃焼の方法としては、酸素プラズマに晒したり、酸素ラジカルをダウンフローで供給すること等のプラズマによる灰化処理等が挙げられ、これによって残留する有機粒子を被研磨面から容易に除去することができる。
【0022】
本発明の水系分散体には、有機粒子の他、酸化剤等、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。それによって分散状態の安定性を更に向上させたり、研磨速度を高めたり、2種以上の被加工膜等、硬度の異なる被研磨膜の研磨に用いた場合の研磨速度の差異を調整したりすることができる。具体的には、アルカリ金属の水酸化物或いはアンモニア、無機酸若しくは有機酸を配合し、pHを調整することによって水系分散体の分散性及び安定性を向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。
(1)重合体粒子の合成
合成例1
メチルメタクリレート100部、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド0.1部、重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、商品名「V−50」)2部、及びイオン交換水400部を、容量2リットルのフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、6時間重合させ、分子鎖の末端にアミノ基が導入されたポリメチルメタクリレートからなる有機粒子を得た。有機粒子の平均粒子径は0.24μmであった。また、ポリメチルメタクリレートの重合収率は97%であった。
【0024】
合成例2
平均粒子径200nmのポリスチレン50部、メチルメタクリレート50部、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド0.1部、「V−50」2部、及びイオン交換水400部を、容量2リットルのフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、6時間重合させ、ポリスチレン粒子の表面に、分子鎖の末端にアミノ基が導入されたポリメチルメタクリレートが付着し、複合された重合体からなる有機粒子を得た。有機粒子の平均粒子径は0.27μmであった。また、ポリメチルメタクリレートの重合収率は97%であった。
【0025】
合成例3
平均粒子径200nmのポリスチレン90部、メチルメタクリレート8部、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート2部、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド0.2部、クメンヒドロパーオキサイド0.2部、アスコルビン酸カリウム0.1部、及びイオン交換水400部を、容量2リットルのフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、6時間重合させ、ポリスチレン粒子の表面に、分子鎖にアミノ基を有するメタクリレート系共重合体が付着し、複合された重合体からなる有機粒子を得た。有機粒子の平均粒子径は0.25μmであった。また、メタクリレート系共重合体の重合収率は98%であった。
【0026】
合成例4
メチルメタクリレート97部、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート3部、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド0.15部、クメンヒドロパーオキサイド0.2部、アスコルビン酸カリウム0.1部、及びイオン交換水400部を、容量2リットルのフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、6時間重合させ、分子鎖にアミノ基を有するメタクリレート系共重合体からなる有機粒子を得た。有機粒子の平均粒子径は0.23μmであった。また、メタクリレート系共重合体の重合収率は97%であった。
【0027】
比較合成例1
重合開始剤を「V−50」から過硫酸アンモニウムに代え、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドをラウリル硫酸アンモニウムに代えた他は、合成例1と同様にして有機粒子を得た。有機粒子の平均粒子径は0.25μmであった。また、ポリメチルメタクリレートの重合収率は98%であった。
【0028】
比較合成例2
重合開始剤を「V−50」から過硫酸アンモニウムに代え、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドをラウリル硫酸アンモニウムに代えた他は、合成例2と同様にして有機粒子を得た。有機粒子の平均粒子径は0.24μmであった。また、ポリメチルメタクリレートの重合収率は97%であった。
比較合成例3
3−アミノ−2−ヒドロキシプロピルメタアリクリレートに代えてアクリル酸を用い、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドに代えてラウリル硫酸アンモニウムを用いた他は、合成例3と同様にして有機粒子を得た。有機粒子の平均粒子径は0.23μmであった。また、メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体の重合収率は97%であった。
【0029】
実験例1(合成例1の有機粒子を含有する水系分散体の調製及びそれを用いた研磨試験)
イオン交換水に、合成例1の有機粒子を2.0重量%(以下、「%」と略記する。)の濃度になるように配合し、これに更に過硫酸カリウムを0.5%の濃度になるように添加し、水酸化カリウムによってpHを8.2に調整し、化学機械研磨用水系分散体を調製した。この水系分散体を使用して銅膜付きウェハ(膜厚;15000Å)を研磨し、スクラッチの有無、研磨速度、及びエッチング速度を評価した。
【0030】
〔1〕スクラッチの有無
被研磨面を洗浄し、乾燥した後、微分干渉顕微鏡によりスクラッチの有無を確認した。評価結果を表1に示す。
【0031】
〔2〕研磨速度
小型の化学機械研磨装置(ラップマスターSFT社製、型式「LM−15」)を用い、下記の条件で研磨し、下記の式によって研磨速度を算出した。評価結果を表1に示す。
テーブル回転数及びヘッド回転数;45rpm、研磨圧力;233g/cm2、オッシレーションストローク;5回/分、研磨剤供給速度;50cc/分、研磨時間;3分、研磨パッド;多孔質ポリウレタン製(ロデール・ニッタ社製、品番「IC1000」/「SUBA400」の2層構造)
研磨速度(Å/分)=(研磨前の銅膜の厚さ−研磨後の銅膜の厚さ)/研磨時間
【0032】
〔3〕エッチング速度
2×2cmに割り取った銅膜付きウェハを水系分散体に30分間浸漬し、浸漬前後の銅膜の厚さを測定し、下記の式によってエッチング速度を算出した。評価結果を表1に示す。
エッチング速度(Å/分)=(浸漬前の銅膜の厚さ−浸漬後の銅膜の厚さ)/浸漬時間
【0033】
実験例2−〔1〕及び実験例2−〔2〕(合成例1の有機粒子の含有量の異なる水系分散体の調製及びそれを用いた研磨試験)
有機粒子を、1.0%(実験例2−〔1〕)、及び3.0%(実験例2−〔2〕)の濃度になるように配合した他は実験例1と同様にして化学機械研磨用水系分散体を調製した。これらの水系分散体を使用し、実験例1と同様にして銅膜付きウェハ(膜厚;15000Å)を研磨し、実験例1と同様にして、スクラッチの有無、研磨速度、及びエッチング速度を評価した。
上記実験例1並びにこれら実験例2−〔1〕及び実験例2−〔2〕の水系分散体の研磨速度及びエッチング速度の評価結果を表1及び図1に示す。
【0034】
以上の評価の結果、有機粒子の濃度に関わりなく、実験例1並びに実験例2−〔1〕及び実験例2−〔2〕のいずれの水系分散体においてもスクラッチはまったく観察されなかった。また、図1の結果によれば、有機粒子を1%含有させることによって研磨速度が非常に大きくなり、その後も含有量の増加とともに研磨速度が大きくなる傾向にあることが分かる。また、有機粒子を1%含有させることにより、含有しない場合に比べてエッチング速度が大きく低下し、75Å/分の適度なエッチング速度となり、有機粒子の含有量を増加させても、同程度のエッチング速度が維持されることが分かる。
【0035】
実験例3〜5(合成例2〜4の有機粒子を含有する水系分散体の調製及びそれらを用いた研磨試験)
イオン交換水に、合成例2〜4において得られた有機粒子、及び過硫酸カリウムを、それぞれ2部及び0.5部の濃度になるように配合し、水酸化カリウムによりpHを調整し、水系分散体を調製した。これらの水系分散体を使用し、実験例1と同様にしてスクラッチの有無、及びエッチング速度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0036】
また、化学機械研磨装置(ラップマスターSFT社製、型式「LGP−510」)を用い、下記の条件で銅膜付きウェハを研磨し、前記の式によって研磨速度を算出した。評価結果を表1に示す。
テーブル回転数及びヘッド回転数;50rpm、研磨圧力;300g/cm2、研磨剤供給速度;100cc/分、研磨時間;1分、研磨パッド;多孔質ポリウレタン製(ロデール・ニッタ社製、品番「IC1000」/「SUBA400」の2層構造)
【0037】
比較例1〜3(比較合成例1〜3の有機粒子を含有する水系分散体の調製及びそれらを用いた研磨試験)
比較合成例1〜3において得られた有機粒子を使用し、有機粒子及び過硫酸カリウムを、それぞれ2部及び0.5部の濃度になるように配合し、水酸化カリウムでpHを調整することで水系分散体を調製した。これらの水系分散体を使用し、実験例1と同様にしてスクラッチの有無、研磨速度、及びエッチング速度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0038】
比較例4〜5(比較例4〜5の水系分散体の調製及びそれらを用いた研磨試験)
比較例4
イオン交換水に0.5部の過硫酸カリウムを含有させ、水酸化カリウムによりpHを8.3に調製して水系分散体を調製した。
【0039】
比較例5
ヒュームド法シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製、商品名「アエロジル#50」)50gを容量2リットルのポリエチレン製の瓶に入れ、イオン交換水500gを加え、超音波分散機によって分散させてヒュームド法シリカ粒子を含有する水分散体を調製した。その後、3%濃度の過硫酸カリウム水溶液167gを添加し、十分に攪拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液によりpHを8.0に調整し、更にイオン交換水を投入して全量を1kgとした。その後、十分に攪拌し、孔径5μmのフィルタで濾過して化学機械研磨用水系分散体を得た。
これらの水系分散体を使用し、実験例1と同様にしてスクラッチの有無、研磨速度、及びエッチング速度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0040】
尚、以上の実験例及び比較例において、銅膜の厚さは抵抗率測定機(NPS社製、型式「Σ−5」)により直流4探針法でシート抵抗を測定し、このシート抵抗値と銅の抵抗率から下記の式によって算出した。
銅膜の厚さ(Å)=[シート抵抗値(Ω/cm2)×銅の抵抗率(Ω/cm)]×108
【0041】
【表1】
【0042】
表1の結果によれば、実験例1〜5の水系分散体では、スクラッチはまったくみられず、研磨速度とエッチング速度とのバランスに優れていることが分かる。一方、比較例1〜3の水系分散体では、スクラッチは問題ないものの、研磨速度が非常に小さい。また、比較例4の水系分散体では、スクラッチが若干みられ、研磨速度が極めて小さく、エッチング速度は極めて大きい。更に、比較例5の水系分散体では、スクラッチがみられ、研磨速度は小さく、エッチング速度は相当に大きいことが分かる。
【0043】
【発明の効果】
第1乃至第4発明の化学機械研磨用水系分散体によれば、特に、銅膜等の半導体装置の被加工膜などの研磨において、十分な速度で研磨することができるとともに、被研磨面にスクラッチを生ずることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成例1の有機粒子を含有する水系分散体により銅膜を研磨した場合の、有機粒子の含有量と、研磨速度及びエッチング速度との相関を示すグラフである。
Claims (4)
- 有機粒子及び水を含有し、該有機粒子が、官能基として、アミノ基を有することを特徴とする化学機械研磨用水系分散体。
- 更に酸化剤を含有する請求項1記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 上記有機粒子は、その分子中に上記アミノ基を導入し得る単量体を用いて得られる重合体である請求項1又は2に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 上記有機粒子の平均粒子径は0.01〜10μmである請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の化学機械研磨用水系分散体。
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