JP4041252B2 - 化学機械研磨用粒子及び化学機械研磨用水系分散体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学機械研磨用粒子及び化学機械研磨用水系分散体に関する。更に詳しくは、本発明は、半導体装置の被加工膜等の金属層の化学機械研磨において有用な研磨粒子、及びそのような粒子を含有する水系分散体に関する。本発明の化学機械研磨用水系分散体を使用すれば、金属層を十分な速度で研磨することができ、特に、平坦性に優れた仕上がり面とすることができる。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の集積度の向上、多層配線化などにともない、被加工膜等の研磨に化学機械研磨の技術が導入されている。これはプロセスウェハ上の絶縁膜に形成された孔、溝などに、タングステン、アルミニウム、銅等の配線材料を埋め込んだ後、研磨することにより、余剰の配線材料を除去し、配線を形成するものである。この研磨においては、通常、アルミナ、シリカ或いはジルコニア等の無機粒子が砥粒として使用され、これらの砥粒を含有する水系分散体などにより、被加工膜等を十分な速度で研磨することができる。しかし、特に、仕上がり面の平坦性が必ずしも十分ではないこともあり、更なる改良が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、半導体装置の被加工膜等を十分な速度で研磨することができ、且つ平坦性に優れた良好な仕上がり面を得ることができる化学機械研磨用粒子、及びそのような粒子を含有する水系分散体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
半導体装置の被加工膜等の研磨には、シリカ、アルミナ、セリア等の無機粒子が用いられることが多い。この粒子は、研磨速度、更には被研磨面におけるスクラッチの防止等の見地から、通常、微細であることが好ましいとされているが、あまりに微細な粒子であると、粒子がパッドの細孔に入り込み、目詰まりした状態で研磨されるため、必ずしも平坦性に優れた仕上がり面が得られないことがある。しかし、非常に微細な粒子を、特定の平均粒子径を有する凝集体とすることにより、研磨速度、スクラッチの発生等、他の特性を損なうことなく、仕上がり面の平坦性を向上させ得ることが見出された。本発明は、このような知見に基づきなされたものである。
【0005】
上記課題は、第1に、比表面積が30〜400m 2 /gである無機粒子が凝集促進剤によって凝集してなり、平均粒子径が0.4〜10μmである化学機械研磨用粒子であって、上記凝集促進剤が上記無機粒子が有する電荷とは逆符号の電荷を有する、(1)粒子、(2)水溶性重合体、及び(3)多価イオン、のうちの少なくとも1種であることを特徴とする化学機械研磨用粒子(以下、第1発明という。)により達成される。
上記課題は、第2に、上記無機粒子が平均粒子径0.3μm以下である第1発明に記載の化学機械研磨用粒子(以下、第2発明という。)により達成される。
上記課題は、第3に、上記無機粒子は、シリカ粒子であり、上記凝集促進剤は、カチオンポリメチルメタクリレート粒子、ポリエチレンイミン、硝酸鉄、及びアルミナ粒子からなる群より選択される第 1 発明又は第2発明に記載の化学機械研磨用粒子(以下、第3発明という。)により達成される。
上記課題は、第4に、上記無機粒子は、アルミナ粒子であり、上記凝集促進剤は、アニオンポリメチルメタクリレート粒子、ポリアクリル酸、硫酸カリウム、及びシリカ粒子からなる群より選択される第1発明又は第2発明に記載の化学機械研磨用粒子(以下、第4発明という。)により達成される。
上記課題は、第5に、第1発明乃至第4発明のいずれかに記載の化学機械研磨用粒子と、水とを含有することを特徴とする化学機械研磨用水系分散体(以下、第5発明という。)により達成される。
【0006】
第1発明の化学機械研磨用粒子は、比表面積が30〜400m2/gである無機粒子が凝集してなり、平均粒子径が0.4〜10μmであり、上記凝集促進剤が上記無機粒子が有する電荷とは逆符号の電荷を有する、(1)粒子、(2)水溶性重合体、及び(3)多価イオン、のうちの少なくとも1種であることを特徴とする。
【0007】
特定の比表面積を有する上記「無機粒子」は、どのような方法で合成されたものでもよいが、不純物が少ない点で金属アルコキシド法及び気相法により合成されたものが特に好ましい。
金属アルコキシド法による無機粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウムが挙げられる。
気相法による無機粒子としては、ヒュームド法(高温火炎加水分解法)及びナノフェーズテクノロジー社法(金属蒸着酸化法)等により合成されたものが高純度であり好ましい。この気相法無機粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化クロム、酸化ゲルマニウム、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化鉄及び酸化セリウム等の金属酸化物粒子が挙げられる。これらのうち特に好ましいものは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化セリウムである。これらの気相法無機粒子は一般に粉体であり、微細な一次粒子が凝集してなる二次粒子として存在している。この一次粒子の平均粒子径は、通常、0.005〜0.05μmである。
【0008】
無機粒子の比表面積は、特に50〜350m2/g、更には70〜300m2/gであることが好ましい。無機粒子の比表面積が30m2/g未満であると、凝集体の平均粒子径が0.4μm以上であっても、この凝集体を含有する水系分散体を用いて被加工膜等を研磨した場合に、十分に平坦性に優れた仕上がり面とすることができない。一方、無機粒子の比表面積が400m2/gを越える場合は、被加工膜等を十分な速度で研磨することができない。
【0009】
また、無機粒子が凝集してなる凝集体の平均粒子径は、特に0.6〜6μmであることが好ましい。凝集体の平均粒子径が0.4μm未満であると、被加工膜等を十分な速度で研磨することができず、平坦性に優れた良好な仕上がり面とすることもできない。一方、この平均粒子径が10μmを越える場合は、安定な水系分散体とすることができず、凝集体が短時間で沈降する等の問題を生じる。
【0010】
第5発明の化学機械研磨用水系分散体は、第1発明乃至第4発明のいずれかに記載の化学機械研磨用粒子と、水とを含有することを特徴とする。
この第5発明の水系分散体は、第1発明乃至第4発明のいずれかに記載の特定の化学機械研磨用粒子を水(イオン交換水等)に配合することにより調製することができる。この水系分散体では、その媒体としては、水、及び水とメタノール等、水を主成分とする混合媒体を使用することができるが、水のみを用いることが特に好ましい。
【0011】
第5発明の水系分散体には、所要特性に応じて以下の各種の成分を含有させることができる。
砥粒として、本発明の特定の化学機械研磨用粒子の他、各種の方法で調製された、ポリスチレン及びスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリレート樹脂及びアクリル系共重合体などの熱可塑性樹脂からなる重合体粒子を使用することができる。また、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなる重合体粒子を併用することもできる。
【0012】
砥粒の含有量は、特定の化学機械研磨用粒子、並びに他の重合体粒子を含め、水系分散体を100重量部(以下、「部」と略記する。)とした場合に、0.1〜20部とすることができ、特に0.2〜15部、更には0.5〜10部とすることが好ましい。砥粒の含有量が0.1部未満では、十分な研磨性能を有する水系分散体とすることができない。一方、20部を越えて含有させた場合はコスト高になるとともに、水系分散体の安定性が低下するため好ましくない。
【0013】
水系分散体には、酸化剤を含有させることもできる。この酸化剤は水溶性であればよく、その種類は特に制限されない。具体的には、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸化合物、重クロム酸カリウム等の重クロム酸化合物、ヨウ素酸カリウム等のハロゲン酸化合物、硝酸及び硝酸鉄等の硝酸化合物、過塩素酸等の過ハロゲン酸化合物、フェリシアン化カリウム等の遷移金属塩、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、並びにへテロポリ酸等が拳げられる。これらの酸化剤を含有させることにより、被加工膜等の金属層を研磨する場合に、研磨速度を向上させることができる。
【0014】
酸化剤の含有量は、水系分散体を100部とした場合に、0.1〜15部とすることができ、特に1〜10部、更には2〜8部とすることが好ましい。この含有量が0.1部未満では、水系分散体の研磨速度が十分に大きくならない。一方、15部含有させれば研磨速度を十分に向上させることができ、15部を越えて多量に含有させた場合は、被研磨面に腐食が発生したり、取り扱い上、危険であって好ましくない。
【0015】
また、酸を含有させ、微粒子の凝集が損なわれない範囲においてpHを調整することによって、水系分散体の分散性、安定性及び研磨速度をより向上させることもできる。この酸は特に限定されず、有機酸、無機酸のいずれも使用することができる。有機酸としては、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸、ギ酸、シユウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸及びフタル酸等が挙げられる。これらの有機酸は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。更に、無機酸としては、硝酸、塩酸及び硫酸等が挙げられ、これら無機酸も1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。また、有機酸と無機酸とを併用することもできる。
【0016】
第2発明では、上記無機粒子が平均粒子径0.3μm以下であることを特徴とする。
【0017】
平均粒子径0.3μm以下の微粒子は、より大きな径を有する粒子を分散させることにより調製することができる。分散方法としては、(1)超音波を照射する方法、(2)ホモジナイザ、高圧ホモジナイザ等により機械的に剪断応力を加える方法、(3)(1)と(2)とを組み合わせた方法、及び(4)遊星式混練機等により混練し分散させる方法等が挙げられる。微粒子の平均粒子径が0.3μmを越えると、凝集体の平均粒子径が0.4μm以上であっても、この凝集体を含有する水系分散体を用いて被加工膜等を研磨した場合に、十分に平坦性に優れた仕上がり面とすることができない。微粒子の平均粒子径は、特に0.2μm以下、更には0.1μm以下であることが好ましく、比表面積が30m2/g以上の超微粒子であることがより好ましい。
【0018】
第1発明において、微粒子を凝集させるために共存させる上記「粒子」としては、各種の重合体粒子及び無機粒子が挙げられる。これらの粒子は、水系分散体において、そのpHによって正又は負の所定のゼータ電位を有している。
【0019】
重合体粒子のゼータ電位は、全pH域、或いは低pH域を除く広範な領域に渡って負であることが多い。また、分子鎖に、カルボキシル基、スルホン酸基等の特定の官能基を導入することによって、より確実に負のゼータ電位を有する重合体粒子とすることができる。更に、分子鎖に、アミノ基等の特定の官能基を導入することにより、特定のpH域において正のゼータ電位を有する重合体粒子とすることもできる。
微粒子を凝集させるために共存させる無機粒子としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、酸化鉄及び酸化マンガン等のケイ素或いは金属元素の酸化物を使用することができる。
【0020】
第1発明では、水系分散体のpHを適量の酸又はアルカリを配合することにより調整し、微粒子と、この微粒子を凝集させるために共存させる粒子のゼータ電位が逆符号となるように組み合わせることにより、静電力によって容易に上記「凝集体」を生成させることができる。
また、微粒子を十分に凝集させ、且つ優れた平坦性を有する仕上がり面が得られる水系分散体とするためには、微粒子を100部とした場合に、凝集を促進させるために共存させる粒子は0.1〜500部、特に0.2〜200部とすることが好ましい。
【0021】
微粒子を凝集させるために共存させる上記「水溶性重合体」としては、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、及びメチルセルロース等が挙げられる。更に、これらの水溶性重合体が疎水性の重合体にグラフト結合されたものを使用することもできる。また、親水性の官能基を有する単量体を使用して得られる共重合体を用いることもできる。これらの水溶性重合体は、十分な平坦性を有する仕上がり面が得られる水系分散体とするためには、微粒子を100部とした場合に、0.05〜20部、特に0.1〜10部とすることが好ましい。
【0022】
微粒子を凝集させるために共存させる上記「多価イオン」は、多価金属元素を含む硫酸塩、酢酸塩等の塩或いは錯体等を、微粒子を含む水系媒体に配合して生成させることができる。この多価イオンとしては、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、錫、アンチモン、タンタル、タングステン、鉛、及びセリウム等の正電荷を有する多価金属イオンが挙げられる。更に、硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン等の負電荷を有する多価イオンを挙げることもできる。これらの多価イオンは1種のみであってもよいし、2種以上の多価イオンが併存していてもよい。
これらの多価イオンは、十分な平坦性を有する仕上がり面が得られる水系分散体とするためには、微粒子の電荷、多価イオンの電荷等を勘案し、適量の塩、錯体等を配合することが好ましい。
【0023】
第5発明の水系分散体は、半導体装置の金属層を有する被加工膜の化学機械研磨において特に有用である。この金属層を有する被加工膜としては、超LSI等の半導体装置の製造過程において半導体基板上に設けられる純タングステン膜、純アルミニウム膜、或いは純銅膜等の他、タングステン、アルミニウム、銅等と他の金属との合金からなる膜などが挙げられる。
【0024】
水系分散体による半導体装置の被加工膜等の化学機械研磨は、市販の化学機械研磨装置(ラップマスターSFT社製、型式「LGP−510、LGP−552」等)を用いて行なうことができる。この研磨操作において、研磨後、被研磨面に残留する砥粒は除去することが好ましい。この砥粒の除去は通常の洗浄方法によって行うことができるが、砥粒が重合体粒子の場合は、被研磨面を、酸素の存在下、高温にすることにより、燃焼させて除去することもできる。燃焼の具体的な方法としては、酸素プラズマに晒したり、酸素ラジカルをダウンフローで供給すること等のプラズマによる灰化処理等が挙げられ、これによって残留する重合体粒子を被研磨面から容易に除去することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明する。
(1)化学機械研磨用粒子の製造
実施例l
比表面積が90m2/gのシリカ粒子を高圧ホモジナイザにより分散処理し、平均粒子径0.2μmのシリカ粒子の凝集体を含有する水分散体を調製した。その後、シリカ粒子100部に対し、凝集促進剤として15部のカチオン有機粒子(下記の合成例1のカチオンPMMA粒子、平均粒子径;0.4μm)を配合し、硝酸によってpHを3.5に調整した。このまま2時間静置させた後、カチオンPMMA粒子によって凝集が促進されたシリカ粒子を主成分とする平均粒子径2.1μmの凝集体を得た。
【0026】
合成例1(カチオンPMMA粒子の合成)
メチルメタクリレート100部、アゾ系重合開始剤(和光純薬株式会社製、商品名「V50」)2部、及びイオン交換水400部を、容量5リットルのフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、6時間重合させた。これにより、粒子表面にアミノ基の陽イオンを有する平均粒子径0.4μmのカチオンPMMA粒子を得た。
【0027】
(2)化学機械研磨用水系分散体の調製
(1)で得られた凝集体を固形分基準で5部、過酸化水素を2部、及びマロン酸を1部、イオン交換水に配合し、100部の化学機械研磨用水系分散体を調製した。
【0028】
(3)タングステン膜の研磨試験
この水系分散体を使用し、8インチ配線付きウェハ(SKW Associates社製、商品名「SKW−5」、膜厚;15000Å)を、化学機械研磨装置(ラップマスターSFT社製、型式「LGP−510」)にセットし、多孔質ポリウレタン製の研磨パッド(ロデールニッタ社製、商品名「ICl000」)を用い、加重300g/cm2になるようにして研磨を行った。ウレタンパッド表面には水系分散体を200cc/分の速度で供給しながら、50rpmで1分間回転研磨した。その結果、研磨速度は4100Å/分であった。
【0029】
尚、研磨速度は、4探針法による抵抗率測定器(NSP社製、シグマ5型)により測定したシート抵抗に基づき、予め作成した検量線から残留膜厚を求め、下記の式に従って算出した。
研磨速度(Å/分)=(研磨前膜厚−残留膜厚)/研磨時間
【0030】
また、更にジャストポイントまで研磨した後の被研磨面の平坦性を触針式表面粗さ計(ケーエルエー・テンコール社製、型式「P−10」)によって評価した。その結果、100μmの配線のディッシングが1500Åであり、非常に平坦性に優れた良好な仕上がり面が得られていることが分かった。
【0031】
実施例2〜4及び比較例1
カチオンPMMA粒子に代え、凝集促進剤として、表1に記載の水溶性重合体(ポリエチレンイミン、和光純薬株式会社製、分子量;70000)、多価金属イオン(硝酸鉄から生成する鉄イオン)又はアルミナ粒子を、表1の配合量で用いた他は、実施例1と同様にして実施例2〜4の化学機械研磨用水系分散体を調製した。また、実施例1におけるシリカ粒子の凝集体を含有する水分散体を比較例1の水系分散体とした。これらの水系分散体を使用し、実施例1と同様にして研磨試験を行い、研磨速度を測定し、被研磨面の平坦性を評価した。結果を表1に併記する。
【0032】
実施例5〜8及び比較例2
比表面積が100m2/gのアルミナ粒子を使用し、実施例1と同様にして平均粒子径0.12μmのアルミナ粒子の凝集体を含有する水分散体を調製した。この水分散体に、凝集促進剤として、表1に記載のアニオン有機粒子(下記の合成例2のアニオンPMMA粒子、平均粒子径;0.2μm)、水溶性重合体(ポリアクリル酸、和光純薬株式会社製、分子量;25000)、多価イオン(硫酸カリウムから生成する硫酸イオン)又はシリカ粒子を、表1の配合量で用いた他は、実施例1と同様にして実施例5〜8の化学機械研磨用水系分散体を調製した。また、アルミナ粒子の凝集体を含有する上記の水分散体を比較例2の水系分散体とした。
【0033】
これらの水系分散体を使用し、タングステン膜を銅膜(8インチ配線付きウェハ、SKW Associates社製、商品名「SKW6−2」)に代えた他は、実施例1と同様にして研磨試験を行い、研磨速度を測定し、被研磨面の平坦性を評価した。結果を表1に併記する。
【0034】
合成例2(アニオンPMMA粒子の合成)
メチルメタクリレート100部、メタクリル酸6部、過硫酸アンモニウム0.6部、及びイオン交換水400部を、容量5リットルのフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、6時間重合させた。これにより、粒子表面にカルボキシル基と硫酸エステル基の陰イオンを有する平均粒子径0.2μmのアニオンPMMA粒子を得た。
【0035】
実施例9〜12及び比較例3
実施例5〜8及び比較例2の水系分散体を、含有される研磨粒子の濃度が5重量%となるように調整し、実施例9〜12及び比較例3の化学機械研磨用水系分散体を調製した。この水系分散体を用いて、100μmのラインアンドスペースパターン付きで膜厚15000Åのアルミニウム膜ウェハを研磨し、実施例1と同様にして研磨試験を行い、研磨速度を測定し、被研磨面の平坦性を評価した。結果を表1に併記する。
【0036】
尚、実施例1〜4、5〜8及び9〜12において、凝集体の平均粒子径は株式会社堀場製作所製のレーザー回折式測定装置(型式;LA920)により測定した。
【0037】
【表1】
【0038】
表1の結果によれば、実施例1〜4では、凝集が促進され、凝集体の平均粒子径は0.9μm以上となっており、3400Å/分以上の十分な速度でタングステン膜を研磨することができるとともに、ディッシングは1500Å以下と小さく、被研磨面の平坦性に優れることが分かる。一方、比較例1では、微粒子の凝集が促進されず、研磨速度が低下し、ディッシングは3400Åと大きくなり、被研磨面の平坦性に劣ることが分かる。
【0039】
また、実施例5〜8でも、凝集が促進され、凝集体の平均粒子径は0.62μm以上となっており、4900Å/分以上の十分な速度で銅膜を研磨することができるとともに、ディッシングは1905Å以下と小さく、被研磨面の平坦性に優れることが分かる。一方、比較例2では、微粒子の凝集が促進されず、研磨速度が380Å/分と著しく低下し、ディッシングは3610Åと大きくなり、被研磨面の平坦性に劣ることが分かる。
【0040】
更に、実施例6〜12でも、同様に凝集が促進され、十分な速度でアルミニウム膜を研磨することができるとともに、ディッシングも小さく、被研磨面の平坦性に優れることが分かる。一方、比較例3では、微粒子の凝集が促進されず、研磨速度が480Å/分と大きく低下し、ディッシングも3200Åと大きくなり、被研磨面の平坦性に劣ることが分かる。
【0041】
【発明の効果】
第1発明の化学機械研磨用粒子は、微細な無機粒子が十分に凝集し、適度な平均粒子径を有する凝集体となっており、化学機械研磨において有用である。また、第5発明の化学機械研磨用水系分散体によって、特に、半導体装置の被加工膜等を研磨すれば、平坦性に優れた良好な仕上がり面が得られる。
Claims (5)
- 比表面積が30〜400m2/gである無機粒子が凝集促進剤によって凝集してなり、平均粒子径が0.4〜10μmである化学機械研磨用粒子であって、
上記凝集促進剤が上記無機粒子が有する電荷とは逆符号の電荷を有する、(1)粒子、(2)水溶性重合体、及び(3)多価イオン、のうちの少なくとも1種であることを特徴とする化学機械研磨用粒子。 - 上記無機粒子が平均粒子径0.3μm以下である請求項1に記載の化学機械研磨用粒子。
- 上記無機粒子は、シリカ粒子であり、
上記凝集促進剤は、カチオンポリメチルメタクリレート粒子、ポリエチレンイミン、硝酸鉄、及びアルミナ粒子からなる群より選択される請求項1又は2に記載の化学機械研磨用粒子。 - 上記無機粒子は、アルミナ粒子であり、
上記凝集促進剤は、アニオンポリメチルメタクリレート粒子、ポリアクリル酸、硫酸カリウム、及びシリカ粒子からなる群より選択される請求項1又は2に記載の化学機械研磨用粒子。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の化学機械研磨用粒子と、水とを含有することを特徴とする化学機械研磨用水系分散体。
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