JP4038148B2 - 差動送りミシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミシンに係り、特に、上布と下布の送りピッチを異ならせて縫製を行う差動送りミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、袖つけ等を行う際にいせ込み(縮緬込み)を施しながら縫製を行う差動送りミシンが知られている。
なお、「いせ込みを施す」とは、例えば、洋服の袖の肩口等、立体形状の部分を縫い付ける際に、2枚重ねで縫う生地のうち外側となる生地(上布、袖側の生地)の送り量を、内側となる生地(下布、身頃側の生地)の送り量より多くすることで、外側の生地に余裕を持たせることである。図12は、下布の送り量2.0mmに対し、上布の送り量を2.2mmとし、上布が下布に対していせ込み長0.2mmのいせ込みが施された状態を示している。このようないせ込みによって、洋服の袖の肩口等に所定の立体形状が施される。いせ込みは、一連の縫製部の全体で均一に施すとは限らず、例えば、袖つけの場合には、袖山部分となるほどいせ込み量を多くし、逆に袖下部分となるほどいせ込み量を少なくして縫製することが一般的である。
なお、「いせ込み量」とは、一針(一縫目、1ピッチ)あたりの上布と下布の送り量の差を示すものである。
【0003】
このような差動送りミシンとして、例えば、デュルコップアドラー社製の「550−16−23(品番)」、「550−16−26(品番)」は、下布の送り量(例えば、2.0mm)と、いせ込み長(例えば、0.2mm)を入力設定し、いせ込みを施すミシンとして知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、例えば、パフ社製の「PFAFF3834(品番)」は、下布の送り量(例えば、2.0mm)と、上布の送り量(例えば、2.2mm)を入力設定し、いせ込みを施すミシンとして知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
そして、これらの差動送りミシンには、袖つけ等、立体形状部分の縫製を行いやすくするため、上面が凸の曲面を有する形状の針板が備えられている。
【0004】
【非特許文献1】
〔平成15年4月1日検索〕デュルコップアドラー社ホームページ、インターネット〈URL:"http://www.duerkopp-adler.com" 〉
【非特許文献2】
〔平成15年4月1日検索〕パフ社ホームページ、インターネット〈URL: "http://www.pfaff-industrial.com" 〉
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の差動送りミシンにおいて、縫い合わせるため重ねられた上布と下布とが差動送りミシンの針板の上面に乗せられた場合、下布は針板の曲面の曲率に従い、上布は針板に乗せられた下布の面の曲率に従うので、針板の上面に重ねて乗せられた上布と下布とは、上布や下布の生地の厚みや、針板の面の曲率によって、その重ねられた範囲における長さが異なることとなる。
つまり、その重ねられた範囲において、上布は下布より若干長くなるので、上布と下布を重ねて針板に乗せることによって、既にいせ込みが施されているといえる。
そのため、作業者が入力し設定したいせ込み量と、縫い上がりのいせ込み量とが一致しないという問題があった。
【0006】
本発明は、差動送りミシンにおいて、好適に布の送り量を補正し、良好な縫製を行うことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、下布と上布とが重ねられて載置される、上面(例えば、載置面20a)が凸に湾曲した針板(20)と、下布を送る下送り機構部(12A)と、下送り機構部と連動して上布を送る上送り機構部(11A)と、実行下送り量と実行上送り量とをそれぞれ決定するための設定値を記憶する設定値記憶手段(例えば、EEPROM10d)と、設定値記憶手段に記憶された設定値に対応した実行下送り量で、下布を送るように下送り機構部を制御する下送り制御部(例えば、制御部10)と、設定値記憶手段に記憶された設定値に対応した実行上送り量で、上布を送るように上送り機構部を制御する上送り制御部(例えば、制御部10)と、を備え、下布と上布の各々の送り量に差を設けて縫製を行うことができる差動送りミシン(1,2)において、針板の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を行うように設定値に基づき実行上送り量又は実行下送り量を補正する補正手段(例えば、制御部10)を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、差動送りミシンは、設定値記憶手段に記憶された設定値に対応する実行下送り量により下送り制御部が下送り機構部を制御し下布を送り、設定値記憶手段に記憶された設定値に対応する実行上送り量により上送り制御部が上送り機構部を制御し上布を送り、針板の上面に重ねて載置された下布と上布の各々の送り量に差を設けて縫製を行う。その際、補正手段が針板の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を行う。
【0009】
ここで、差動送りミシンの針板の上面は、凸に湾曲した形状を有しているので、針板の上面に重ねて乗せられた下布と上布とがそれぞれ送られる経路が異なり、外側の上布の方が下布より多い送り量で送られることとなる。そのため、針板の上面の湾曲した形状により生じる下布と上布の送り量の誤差分、必然的にいせ込みが行われてしまう状態となっている。
【0010】
そこで、差動送りミシンは、針板の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差がなくなるように、補正手段が下布と上布の送り量の誤差の補正を行い、その送り量の誤差に相当するいせ込みを行わないように補正された動作制御を行う。つまり、所望するいせ込みを行うよう設定すれば、下布と上布の送り量の誤差が補正された、所望するいせ込み量に基づくいせ込みを行うことができる。
よって、針板の上面の湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差により、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができるので、設定した設定値に基づく所定のいせ込み量によるいせ込みを施すことができ、所定の良好な縫製を行うことができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の差動送りミシンにおいて、設定値記憶手段には、実行下送り量と実行上送り量とをそれぞれ決定するために設定される、下送り量と、上送り量または当該下送り量に対する上送り量の差である差動量または当該下送り量を基準とする上送り割合量からなる設定値が記憶され、補正手段は、設定値記憶手段において、下送り量と上送り量の差または差動量が0と設定されるか、または上送り割合量が1と設定されたときに、いせ込みが入らないように、針板の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、設定値記憶手段において、下送り量と上送り量の差または差動量が0と設定されるか、または上送り割合量が1と設定されたとき、設定値記憶手段に記憶される、下送り量と、上送り量または当該下送り量に対する上送り量の差である差動量または当該下送り量を基準とする上送り割合量からなる設定値に基づき、補正手段が、いせ込みが入らないように、針板の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を行う。
よって、針板の上面の湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差があっても、いせ込みを行わないように設定した設定値に基づき、その送り量の誤差に相当するいせ込みを行わないように縫製を行うことができる。従って、所定の良好な縫製を行うことができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の差動送りミシンにおいて、補正手段は、補正値の入力を受けて、補正値に基づき誤差の補正を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、補正手段は、補正値の入力を受けて、その補正値に基づき誤差の補正を行う。
つまり、差動送りミシンを動作させる作業者などが、針板の上面の湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差に相当する補正値を入力することにより、差動送りミシンは、その補正値に基づき、下布と上布の送り量の誤差に伴い、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2に記載の差動送りミシンにおいて、補正手段は、下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、の入力を受けて、下布の厚さ値と前記上布の厚さ値とに基づいて補正値を決定し、補正値に基づき誤差の補正を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、補正手段は、下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、の入力を受けて、その下布の厚さ値と前記上布の厚さ値とに基づいて補正値を決定し、その補正値に基づき誤差の補正を行う。
つまり、差動送りミシンを動作させる作業者などが、下布の厚さ値と、上布の厚さ値とを入力することにより、差動送りミシンは、その入力された値に基づく補正値により、下布と上布の送り量の誤差に伴い、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができる。
よって、縫製を行う下布の厚さと上布の厚さを入力することにより、針板の形状に伴う誤差を解消した縫製を行うことができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1又は2に記載の差動送りミシンにおいて、補正手段は、針板の上面の曲率半径に関する情報の入力を受けて、針板の上面の曲率半径に関する情報から補正値を決定し、補正値に基づき誤差の補正を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、補正手段は、針板の上面の曲率半径に関する情報の入力を受けて、その針板の上面の曲率半径に基づき補正値を決定し、その補正値に基づき誤差の補正を行う。
つまり、差動送りミシンを動作させる作業者などが、針板の上面の曲率半径とを入力することにより、差動送りミシンは、その入力された値に基づく補正値により、下布と上布の送り量の誤差に伴い、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができる。
よって、針板の上面の曲率半径を入力することにより、針板の形状に伴う誤差を解消した縫製を行うことができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1、3、4、5の何れか一項に記載の差動送りミシンにおいて、設定値記憶手段は、設定値として、下送り量及び当該下送り量に対する上送り量の差動量を記憶することを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、請求項1、3、4、5の何れか一項に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、設定値記憶手段は、設定値として、下布を送る下送り量及びその下送り量に対する上布を送る上送り量の差動量を記憶する。つまり、下送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された下送り量に基づく下送り量で、下布を繰り返し送るように下送り機構部を制御し、上送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された下送り量と差動量を加算した量に基づく上送り量で、上布を繰り返し送るように上送り機構部を制御することができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1、3、4、5の何れか一項に記載の差動送りミシンにおいて、設定値記憶手段は、設定値として、下送り量及び上送り量を記憶することを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、請求項1、3、4、5の何れか一項に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、設定値記憶手段は、設定値として、下布を送る下送り量及び上布を送る上送り量を記憶する。
つまり、下送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された下送り量に基づく下送り量で、下布を繰り返し送るように下送り機構部を制御し、上送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された上送り量に基づく上送り量で、上布を繰り返し送るように上送り機構部を制御することができる。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項1、3、4、5の何れか一項に記載の差動送りミシンにおいて、設定値記憶手段は、設定値として、下送り量及び当該下送り量を基準とする上送り割合量を記憶することを特徴とする。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、請求項1、3、4、5の何れか一項に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、設定値記憶手段は、設定値として、下布を送る下送り量及びその下送り量を基準とする上送り割合量を記憶する。
つまり、下送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された下送り量に基づく下送り量で、下布を繰り返し送るように下送り機構部を制御し、上送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された下送り量に上送り割合量を乗算した量に基づく上布を送る上送り量で、上布を繰り返し送るように上送り機構部を制御することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。
〔第1の実施の形態〕
本実施形態たる差動送りミシン1は、縫製を行う上布と下布のそれぞれの送り量に差を設けることによりいせ込みを行いつつ縫製を行うミシンであって、例えば、下布としての身頃生地に対し、上布としての袖生地をいせ込んで縫いつける縫製等に使用される。
ここで、後述するミシン針131が上下動を行う方向をY軸方向(上下方向)とし、これと直交する一の方向をX軸方向(前後方向)とし、Y軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向(左右方向)と定義する。
【0026】
差動送りミシン1は、図1から図4に示すように、上布及び下布を載置して縫製を行う載置面20aを有する針板20と、載置面20aの上側でミシン針131を上下方向に駆動する運針機構部13Aと、載置面20a上の上布を所定の送り量で送る上送り機構部11Aと、載置面20a上の下布を所定の送り量で送る下送り機構部12Aと、上記各部の動作制御を行う制御部10等を備えている。
【0027】
上送り機構部11Aは、後述する上送りモータ11と、その上送りモータ11の回転運動がプーリ等を介し伝達され、駆動される第1の上送りベルト111、第2の上送りベルト112をそれぞれ有する第1の回転送り部111aと第2の回転送り部112a等により構成されている。そして、第1の上送りベルト111、第2の上送りベルト112の駆動に従い、図2におけるX軸方向に沿う矢印Aの方向に上布が送られる。
【0028】
下送り機構部12Aは、後述する下送りモータ12と、その下送りモータ12の回転運動が図示しないプーリ等を介し伝達され、駆動される下送りベルト121、122を有する下回転送り部120a等により構成されている。そして、下送りベルト121、122の駆動に従い、図2におけるX軸方向に沿う矢印Aの方向に下布が送られる。
【0029】
運針機構部13Aは、後述するミシンモータ13と、そのミシンモータ13の回転駆動に従い上下動する針棒130と、針棒130に着脱自在に備えられたミシン針131等により構成されている。そして、ミシン針131等を介し供給されるミシン糸(図示省略)により、上布と下布を縫い合わせる。
【0030】
針板20は、上面である載置面20aがその布送り方向(矢印A方向)の上流側と下流側とが下方へと凸に湾曲した形状を有しており、針棒130(ミシン針131)の下方に対応する位置には開口部20bが形成され、上面である載置面20aがその開口部20bのミシン針131の針落ち点付近が頂点となるように布送り方向(矢印A方向)の上流側から下流側にかけて凸となっている。この開口部20bを通じて下送り機構部12Aの下送りベルト121、122と、上送り機構部11Aの第1の上送りベルト111、第2の上送りベルト112とが対向するように配置されている。
そして、下送りベルト121、122と、第1の上送りベルト111、第2の上送りベルト112との間を重ねられた上布と下布とがX軸方向に送られる。そして、ミシン針131は、その先端近傍に図示しないミシン糸(上糸)が通されており、Y軸方向の往復動作により針板20の載置面20a上の上布及び下布を貫通して針板20の下側まで上糸を送り、図示しない釜の繰る下糸と係合して縫製を行う。
【0031】
このように、針板20の載置面20aが凸に湾曲した形状を有することにより、例えば、身頃生地(下布)に対し袖生地(上布)を縫いつける際に、洋服の肩口の立体形状に応じた縫製を行いやすくなっている。
ただし、載置面20aに上布と下布を重ねて載置した場合、載置面20aが凸に湾曲しているため、縫い合わせるため重ねられた上布と下布とがそれぞれ送られる経路が異なる。そのため、外側を送られる上布の経路の方が若干長くなるように下布と上布の送り量の誤差が生じる。つまり、下布に対し上布はこの誤差分、多い送り量で送られることとなる。
そこで、後述する補正手段による補正が行われることにより、この経路の差による誤差を無くすように差動送りミシン1の動作が制御される。
【0032】
また、差動送りミシン1は、図4に示すように、第1の上送りベルト111と第2の上送りベルト112を駆動する上送りモータ11とその上送りモータ11に後述する制御部10からの駆動制御信号を送る駆動回路11aと、下送りベルト121、122を駆動する下送りモータ12とその下送りモータ12に後述する制御部10からの駆動制御信号を送る駆動回路12aと、針棒130を駆動するミシンモータ13とそのミシンモータ13に後述する制御部10からの駆動制御信号を送る駆動回路13aと、図示しないミシン糸に張力を与える糸張力ソレノイド14とその糸張力ソレノイド14に後述する制御部10からの駆動制御信号を送る駆動回路14aと、差動送りミシン1を操作する起動ペダル15とその起動ペダル15が操作されたことに基づく駆動入力信号を後述する制御部10に送る入力回路15aと、各種設定スイッチ等を表示する表示装置とタッチ指示された各種設定スイッチの座標に基づき位置信号を検出するタッチパネルとにより構成される操作パネル16と、を備え、上記各構成は、各構成の動作・処理制御を行う制御部10にバスなどを介して接続されている。
【0033】
上送りモータ11は、起動ペダル15の操作に基づいて、後述する制御部10から駆動回路11aを介して送られる駆動制御信号に基づき駆動制御される。そして、上送りモータ11は、その駆動制御に基づき上布を送る第1の上送りベルト111と第2の上送りベルト112を駆動する。また、下送りモータ12は、起動ペダル15の操作に基づいて、後述する制御部10から駆動回路12aを介して送られる駆動制御信号に基づき駆動制御される。そして、下送りモータ12は、その駆動制御に基づき下布を送る下送りベルト121、122を駆動する。
【0034】
このように、第1の上送りベルト111と第2の上送りベルト112及び下送りベルト121、122により、上布及び下布がそれぞれの所定の送り量で送られ、縫製が行われる。ここで、上布の送り量を下布の送り量よりも多くして縫製することで、上布をいせ込ませることができる。つまり、上下の布地の送り量の差を変化させることによりいせ込み量を調節することができ、上布の送り量を下布の送り量より多くすればするほどいせ込み量を多くすることができる。
また、下布の送り量の変更により、縫いピッチ量を変更することも可能である。
【0035】
ミシンモータ13は、起動ペダル15の操作に基づいて、後述する制御部10から駆動回路13aを介して送られる駆動制御信号に基づき、図示しないミシン主軸を回転させる。このミシン主軸は、回転運動を往復運動に変換する変換機構を介して針棒130と連結されている。そして、ミシンモータ13によりミシン主軸が回転されると、針棒130に伴い針棒130の先端に備えられたミシン針131が往復移動して被縫製物(上布及び下布)を縫製する運針駆動する。
【0036】
糸張力ソレノイド14は、糸を挟みこんで糸に張力を付与する図示しない糸狭持部の駆動源であり、後述する制御部10から駆動回路14aを介して送られる駆動制御信号に基づき動作することにより、その糸狭持部に狭持された糸に所定の大きさの張力を加える。
【0037】
起動ペダル15は、作業者が差動送りミシン1を操作するための操作スイッチである。起動ペダル15は、起動ペダル15が操作された動きを電気信号に変換する入力回路15aを介し、作業者のペダルの踏み込み操作に応じた、起動、駆動速度、停止等の指令を駆動入力信号として後述する制御部10に出力し、差動送りミシン1を駆動させる。
【0038】
操作パネル16は、LCDなどの表示装置と、表示装置の表面に設けられたタッチパネルとにより構成されている。
表示装置は、後述する制御部10から出力される種々の縫製情報(例えば、縫いピッチ量、縫製区間毎に設定されるいせ込み量、縫製区間を図形で示す区間図形(表示図形)、縫製位置等)や各種スイッチを表示する。タッチパネルは、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を位置信号として後述する制御部10に出力する。
【0039】
すなわち操作パネル16は、操作パネル16における表示装置に表示された各種設定スイッチの位置情報と、タッチパネルにおいてタッチ指示により検出された座標の位置情報とを対応させることにより入力された入力指示を、後述する制御部10に出力する。
例えば、操作パネル16において、設定値入力手段としての図示しない設定値入力キーを介し、設定値として、下送り量である縫いピッチ量や、下送り量に対する上送り量の差動量であるいせ込み量等の入力が行われる。入力された縫いピッチ量やいせ込み量は、後述するEEPROM10dに記憶される。
また、操作パネル16において、補正値入力手段としての後述する補正値入力キー50を介し、後述する制御部10の補正手段による補正(針板20の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正)を実行するための補正値である補正送り量の入力が行われる。入力された補正値は、後述するEEPROM10dに記憶される。
このような、操作パネル16を介して入力される各種入力データ、入力指示を後述する制御部10に出力する。
【0040】
制御部10は、マイコンであるMPU(Micro Processor Unit)10aと、ROM(Read Only Memory)10bと、RAM(Random Access Memory)10cと、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)10dと、を備えている。
【0041】
MPU10aは、起動ペダル15から入力される各種信号や、操作パネル16から入力される各データに応じて、ROM10bに格納されている差動送りミシン用の各種制御プログラムに従って各部の動作を集中制御し、その処理結果をRAM10c内のワークエリアに格納するとともに、表示データを生成して、操作パネル16(の表示装置)に表示させる。そして、RAM10cに格納した処理結果をEEPROM10dに記憶させる。このように、MPU10aは、差動送りミシン1を構成する各種アクチュエータの駆動を制御する機能と共に、操作パネル16(の表示装置)の表示内容を変更する本発明の表示制御手段としての機能も備える。
【0042】
ROM10bには、差動送りミシン1の制御プログラムや制御データ、または各種縫製データが書き込まれている。
RAM10cには、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられており、縫製動作中のワークエリアとして使用され、いせ込み量設定処理、いせ込み縫製処理に関する各種データもRAM10cに記憶される。
EEPROM10dには、縫製ステップ毎に設定される各種縫製条件の設定値(例えば、縫製区間長さ、いせ込み量、糸張力、針数等)や、各縫製ステップに共通して設定される各種縫製条件の設定値(例えば、縫いピッチ量、補正値等)を記憶する。
特に、EEPROM10dは、設定値記憶手段として、下送り量としての縫いピッチ量や、差動量としてのいせ込み量の記憶を行う。
また、EEPROM10dは、補正値記憶手段として、補正値である補正送り量の記憶を行う。
【0043】
そして、制御部10は、EEPROM10dに記憶されている設定値である縫いピッチ量に基づき、その縫いピッチ量を下布の送り量として下布が下送りベルト121、122により送られるように、下送りモータ12の駆動を行う下送り制御部としての制御を行う。
【0044】
また、制御部10は、EEPROM10dに記憶されている設定値である縫いピッチ量といせ込み量に基づき、その縫いピッチ量といせ込み量を加算した量を上布の送り量として上布が第1の上送りベルト111、第2の上送りベルト112により送られるように、上送りモータ11の駆動を行う上送り制御部としての制御を行う。
このとき、制御部10は、操作パネル16において入力され、EEPROM10dに記憶された補正値である補正送り量に基づき、針板20の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を行う補正手段としての制御を行う。例えば、制御部10は補正手段として、補正値入力手段により正又は負又は0の値が入力され、補正値記憶手段としてのEEPROM10dに記憶された補正値である補正送り量分、EEPROM10dに記憶されたいせ込み量を増減するように、上布の送り量を調節する制御を行う。
つまり、この補正手段が実行されることにより、前述の上送り制御部(制御部10)は、EEPROM10dに記憶されている縫いピッチ量といせ込み量と、補正値である補正送り量とに基づき、
(実行上送り量)=(縫いピッチ量)+(いせ込み量)+(補正送り量)・・・(1)
上記の式(1)から求められる実行上送り量により、上布を送るように上送りモータ11の駆動を行う制御を行うこととなる。
従って、制御部10は、下布の送り量と上布の送り量の差が0と設定されたときに、針板20の載置面20aの湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差がなくなるように補正を行うこととなる。
【0045】
次に、本実施形態たる差動送りミシン1における縫製パターン(動作条件)設定や、補正値の入力、設定について、図5〜図8に基づき説明する。なお、図5〜図8に示す表示画面例は、差動送りミシン1における操作パネル16に表示される。
図5に示される表示画面の略中央には、略円形の袖形状を模した表示図形30が表示されており、本実施の形態においては7つの領域(区間、縫製領域)に応じた7つの区間図形31〜37により表示図形30が構成されている。また、下布と上布の送り量の誤差の補正を行う補正値の入力を行う、後述する補正値入力画面(図8参照)に切り替えるためのモード選択キー40が表示されている。
【0046】
表示図形30(区間図形31〜37)は最下部が袖下、最上部が袖山とに対応しており、区間図形31〜37の周方向における長さは、各縫製ステップ(縫製領域)の縫製長さ(縫い代長)に応じた比率で表示されている。
そして、最下部から縫製を開始し、半時計回りに縫製製品の縫製領域の各縫製ステップに対応するように、区間図形が区間図形31から区間図形37の順に表示されており、各縫製ステップに対応する区間図形31から区間図形37に対し、いせ込み量が、2、8、10、0、12、6、4と設定されている状態を示している。なお、表示図形30に表示されているいせ込み量は、前述の操作パネル16により入力され、EEPROM10dに記憶された縫いピッチ量やいせ込み量に基づくものである。
【0047】
いせ込み量は、前述したように、下送り量に対する上送り量の超過量、つまり、上送り量と下送り量の差分(差動量)であるが、操作パネル16の画面上では、上布の送り量と下布の送り量の差が0.1ミリの時、いせ込み量を「1」と表示している。つまり、縫いピッチ量2ミリ、いせ込み量0.2ミリが入力、記憶され、1針で下布を2ミリ縫い進み、0.2ミリいせ込むように設定し、上布を2.2ミリ縫い進むようにした場合、操作パネル16上では区間図形内に「2」と表示される。
【0048】
図5に示される表示画面におけるモード選択キー40を押下し、モード選択キー40が押下されたことに基づく押下信号を制御部10が検出すると、図6に示されるような表示画面がポップアップ表示される。
図6に示される表示画面における選択キー41を押下し、選択キー41が押下されたことに基づく押下信号を制御部10が検出すると、図7に示されるような表示画面がポップアップ表示される。
図7に示される表示画面における選択キー42を押下し、選択キー42が押下されたことに基づく押下信号を制御部10が検出すると、図8に示されるような補正値入力画面がポップアップ表示される。
図8に示される補正値入力画面には、補正値入力キー50が表示されており、この補正値入力キー50により、所望する補正値である補正送り量を入力する。補正値入力キー50は、テンキー51aと増減キー51bとからなり、テンキー51aによりダイレクトに数値が入力され、増減キー51bにより±1ずつ数値が増減される。また、テンキー51aによる入力では、予め入力されている数値がプラスであればプラスの数値がダイレクトに入力され、マイナスであればマイナスの数値がダイレクトに入力される。例えば、下布と上布の送り量の誤差が0.1ミリ(下布より上布が0.1ミリの多い送り量で送られる形状の針板)であるとした場合、補正値入力キー50のテンキー51aや増減キー51bにより、「−1」を入力し、補正値入力画面の補正値表示部52に「−1」が表示されるように、補正値の入力を行う。(なお、図8に示される補正値入力画面(補正値表示部52)には、補正送り量が0に入力、設定されている状態を示している。)
【0049】
次に、本実施の形態たる差動送りミシン1の動作について、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
差動送りミシン1の主電源がオンにされ、差動送りミシン1が起動した状態において、操作パネル16に表示された補正値入力画面(図8参照)の補正値入力キー50を介して補正値としての補正送り量が入力されると、その補正送り量はEEPROM10dに記憶される(ステップS101)。また、図示しない設定値入力キーを介して設定値としての縫いピッチ量といせ込み量が入力されると、その縫いピッチ量といせ込み量はEEPROM10dに記憶される(ステップS102)。
そして、制御部10は、EEPROM10dに記憶された縫いピッチ量といせ込み量、補正送り量とに基づき、(実行上送り量)=(縫いピッチ量)+(いせ込み量)+(補正送り量)、(実行下送り量)=(縫いピッチ量)として、上布と下布の送り量をそれぞれ算出し、算出した実行上送り量と実行下送り量をEEPROM10dに記憶する(ステップS103)。
【0050】
次いで、制御部10は、設定値の変更があるか否かを判断する(ステップS104)。制御部10が、図示しない設定値入力キーを介して新たな設定値が入力されたことを検知すると、ステップS102に戻り(ステップS104;Yes)、その新たな設定値(縫いピッチ量、いせ込み量)をEEPROM10dに記憶する。
一方、制御部10が、新たな設定値の入力を検知しなければ(ステップS104;No)、ステップS105へ進む。
【0051】
次いで、ステップS105において、制御部10が、起動ペダル15が操作された駆動入力信号を検知すると(ステップS105;Yes)、制御部10は、差動送りミシン1が縫製を行うように、上送り機構部11A、下送り機構部12A、運針機構部13A等を動作させ、ミシンを駆動する(ステップS106)。この際、制御部10は、EEPROM10dに記憶される、ステップS103において算出した実行上送り量と実行下送り量に基づき、上布と下布を送るように上送り機構部11Aと下送り機構部12Aを動作させる。
一方、制御部10が、起動ペダル15が操作された駆動入力信号を検知しなければ(ステップS105;No)、ステップS104へ戻る。
【0052】
そして、制御部10が、起動ペダル15が操作された駆動入力信号を検知し続ける間は(ステップS107;Yes)、ステップS106に戻り、差動送りミシン1は駆動しつづけ、縫製を行う。
一方、制御部10が、起動ペダル15が操作された駆動入力信号を検知しなくなると(ステップS107;No)、差動送りミシン1の各部の駆動を停止し、ミシンを停止する(ステップS108)。そして、ステップS104へ戻る。
【0053】
このように、本発明にかかる差動送りミシン1は、いせ込みを行うための設定値として入力し記憶した縫いピッチ量といせ込み量に基づき上布を送る上送り量や下布を送る下送り量を算出し決定する際に、補正値として入力し記憶した補正送り量に基づき差動送りミシン1の針板20の載置面20aの湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差がなくなるように補正することができる。
つまり、針板20の載置面20aの湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差に伴う、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができるので、設定した設定値に基づく所定のいせ込み量によるいせ込みを施すことができる。
特に、いせ込み量を0と設定することにより、載置面20aが湾曲した形状を有していても、その湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差に相当するいせ込みが施されないように補正されるので、いせ込みを施さない縫製を行うことができる。
【0054】
なお、補正値入力キー50は、操作パネル16のタッチパネル(表示装置)により構成されることに限らず、操作パネル16とは別体に差動送りミシン1にそのキーやスイッチを設ける構成であってもよい。
【0055】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明にかかる第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0056】
差動送りミシン2は、図10に示されるように、補正基準値入力手段としての下布厚さ値入力キー17とその下布厚さ値入力キー17を介し入力された入力信号を制御部10に送る入力回路17aと、補正基準値入力手段としての上布厚さ値入力キー18とその上布厚さ値入力キー18を介し入力された入力信号を制御部10に送る入力回路18aと、補正基準値入力手段としての針板曲率半径入力キー19とその針板曲率半径入力キー19を介し入力された入力信号を制御部10に送る入力回路19aと、を備え、上記各構成は、制御部10にバスなどを介して接続されている。
【0057】
下布厚さ値入力キー17は、後述する補正手段としての制御部10が、針板20の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を実行するための下布の厚さ値を入力する操作入力キーである。
上布厚さ値入力キー18は、後述する補正手段としての制御部10が、針板20の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を実行するための上布の厚さ値を入力する操作入力キーである。
針板曲率半径入力キー19は、後述する補正手段としての制御部10が、針板20の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を実行するための針板20の上面である載置面20aの曲率半径を入力する操作入力キーである。
なお、補正基準値入力手段としてのこれら操作入力キーを介し補正基準値としての下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径の入力が行われる。入力された補正基準値としての下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とは、補正基準値記憶手段としてのEEPROM10dに記憶される。
【0058】
制御部10は、補正基準値入力手段である下布厚さ値入力キー17、上布厚さ値入力キー18、針板曲率半径入力キー19によりそれぞれ入力され、EEPROM10dに記憶された補正基準値としての下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とに基づき、針板20の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を行う補正手段としての制御を行う。例えば、制御部10は補正手段として、EEPROM10dに記憶された下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とにより、EEPROM10dに記憶されたいせ込み量を減らすように、上布の送り量を調節する制御を行う。
つまり、この補正手段が実行されることにより、前述の上送り制御部(制御部10)は、EEPROM10dに記憶されている縫いピッチ量と、いせ込み量と、下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とに基づき、
(実行上送り量)=(縫いピッチ量)+(いせ込み量)−[(縫いピッチ量)×(下布の厚さ値+上布の厚さ値)/(針板の載置面の曲率半径)]・・・(2)
上記の式(2)から求められる実行上送り量により、上布を送るように上送りモータ11の駆動を行う制御を行うこととなる。
つまり、補正手段は、下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とにより、補正値=[(縫いピッチ量)×(下布の厚さ値+上布の厚さ値)/(針板の載置面の曲率半径)]を算出するとともに、実行上送り量を算出し、上送り制御部(制御部10)の駆動制御を行っている。
【0059】
次に、本実施の形態たる差動送りミシン2の動作について、図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
差動送りミシン2の主電源がオンにされ、差動送りミシン2が起動した状態において、下布厚さ値入力キー17、上布厚さ値入力キー18、針板曲率半径入力キー19を介して、補正基準値としての下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径が入力されると、それら補正基準値はEEPROM10dに記憶される(ステップS201)。また、図示しない設定値入力キーを介して設定値としての縫いピッチ量といせ込み量が入力されると、その縫いピッチ量といせ込み量はEEPROM10dに記憶される(ステップS202)。
【0060】
次いで、制御部10は、EEPROM10dに記憶された補正基準値である下布の厚さ値と上布の厚さ値と針板の載置面の曲率半径とに基づき、(補正値)=[(縫いピッチ量)×(下布の厚さ値+上布の厚さ値)/(針板の載置面の曲率半径)]を算出するとともに(ステップS203)、制御部10は、EEPROM10dに記憶された縫いピッチ量といせ込み量、下布の厚さ値と上布の厚さ値と針板の載置面の曲率半径とに基づき、(実行上送り量)=(縫いピッチ量)+(いせ込み量)−[(縫いピッチ量)×(下布の厚さ値+上布の厚さ値)/(針板の載置面の曲率半径)]、(実行下送り量)=(縫いピッチ量)として、上布と下布の送り量をそれぞれ算出し、算出した実行上送り量と実行下送り量をEEPROM10dに記憶する(ステップS204)。
【0061】
次いで、制御部10は、設定値の変更があるか否かを判断する(ステップS205)。制御部10が、図示しない設定値入力キーを介して新たな設定値が入力されたことを検知すると、ステップS202に戻り(ステップS205;Yes)、その新たな設定値(縫いピッチ量、いせ込み量)をEEPROM10dに記憶する。
一方、制御部10が、新たな設定値の入力を検知しなければ(ステップS205;No)、ステップS206へ進む。
【0062】
次いで、ステップS206において、制御部10が、起動ペダル15が操作された駆動入力信号を検知すると(ステップS206;Yes)、制御部10は、差動送りミシン2が縫製を行うように、上送り機構部11A、下送り機構部12A,運針機構部13A等を動作させ、ミシンを駆動する(ステップS207)。この際、制御部10は、EEPROM10dに記憶される、ステップS204において算出した実行上送り量と実行下送り量に基づき、上布と下布を送るように上送り機構部11Aと下送り機構部12Aを動作させる。
一方、制御部10が、起動ペダル15が操作された駆動入力信号を検知しなければ(ステップS206;No)、ステップS205へ戻る。
【0063】
そして、制御部10が、起動ペダル15が操作された駆動入力信号を検知し続ける間は(ステップS208;Yes)、ステップS207に戻り、差動送りミシン2は駆動しつづけ、縫製を行う。
一方、制御部10が、起動ペダル15が操作された駆動入力信号を検知しなくなると(ステップS208;No)、差動送りミシン2の各部の駆動を停止し、ミシンを停止する(ステップS209)。そして、ステップS205へ戻る。
【0064】
このように、本発明にかかる差動送りミシン2は、いせ込みを行うための設定値として入力し、記憶した縫いピッチ量といせ込み量に基づき上布を送る上送り量や下布を送る下送り量を算出し、決定する際に、補正基準値として入力し記憶した下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とに基づき差動送りミシン1の針板20の載置面20aの湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差がなくなるように補正することができる。
つまり、針板20の載置面20aの湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差に伴う、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができるので、設定した設定値に基づく所定のいせ込み量によるいせ込みを施すことができる。
特に、いせ込み量を0と設定することにより、載置面20aが湾曲した形状を有していても、その湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差に相当するいせ込みが施されないように補正されるので、いせ込みを施さない縫製を行うことができる。
【0065】
なお、本実施の形態においては、補正基準値として、針板20の載置面20aの曲率半径の入力を行う場合について説明したが、縫製部位に応じた針板20や作業者の好みの針板20等に交換するようなことがなく、針板20は固定されたものであり、針板20の載置面20aの曲率半径が既定値となる場合には、その既定値である曲率半径が記憶されていれば、その曲率半径の入力を行う必要はなく、針板曲率半径入力キー19は不要となる。
【0066】
また、本実施の形態においては、補正手段が入力され記憶された、下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とに基づき、所定の算出式により、補正値(=[(縫いピッチ量)×(下布の厚さ値+上布の厚さ値)/(針板の載置面の曲率半径)])を算出するとしたが、予め用意し、ROM10bに記憶された補正値テーブルにより、補正値を決定するようにしてもよい。
【0067】
また、下布厚さ値入力キー17、上布厚さ値入力キー18、針板曲率半径入力キー19は、独立した入力キーとして設けることに限らず、操作パネル16のタッチパネル(表示装置)により構成するようにしてもよい。
【0068】
〔第1の変形例〕
次に、本発明の第1の変形例について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
前述の第1、第2の実施の形態においては、設定値として、下送り量である縫いピッチ量と、下送り量に対する上送り量の差動量であるいせ込み量の入力、記憶をする構成について説明したが、設定値はこれに限るものではない。
【0069】
第1の変形例は、例えば、操作パネル16において、設定値入力手段としての図示しない設定値入力キーを介し、設定値として、下送り量である縫いピッチ量と、下送り量に対する上送り量の差動量(いせ込み量)が加算された上送り量の入力が行われる。入力された縫いピッチ量と上送り量は、設定値記憶手段としてのEEPROM10dに記憶される。
【0070】
そして、制御部10は、各種キーの操作により入力され、EEPROM10dに記憶された補正値である補正送り量や、補正基準値である下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とに基づき、針板20の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を行う補正手段としての制御を行う。
【0071】
例えば、制御部10は補正手段として、補正値記憶手段であるEEPROM10dに記憶された補正値である補正送り量分、EEPROM10dに記憶された上送り量を減らすように、上送り量を調節する制御を行う。
つまり、この補正手段が実行されることにより、前述の上送り制御部(制御部10)は、EEPROM10dに記憶されている縫いピッチ量と上送り量と、補正値である補正送り量とに基づき、
(実行上送り量)=(上送り量)+(補正送り量)・・・(3)
上記の式(3)から求められる実行上送り量により、上布を送るように上送りモータ11の駆動を行う制御を行うこととなる。
なお、実行下送り量は、(実行下送り量)=(縫いピッチ量)である。
【0072】
また、例えば、制御部10は補正手段として、補正基準値記憶手段であるEEPROM10dに記憶された補正基準値である下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とにより、EEPROM10dに記憶された上送り量を減らすように、上送り量を調節する制御を行う。
つまり、この補正手段が実行されることにより、前述の上送り制御部(制御部10)は、EEPROM10dに記憶されている縫いピッチ量と上送り量と、下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とに基づき、
(実行上送り量)=(上送り量)−[(縫いピッチ量)×(下布の厚さ値+上布の厚さ値)/(針板の載置面の曲率半径)]・・・(4)
上記の式(4)から求められる実行上送り量により、上布を送るように上送りモータ11の駆動を行う制御を行うこととなる。
なお、実行下送り量は、(実行下送り量)=(縫いピッチ量)である。
【0073】
このように制御部10は補正手段として、下布の送り量と上布の送り量の差が0と設定されたときに、針板20の載置面20aの湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差がなくなるように補正を行うことができる。
よって、本発明にかかる差動送りミシンは、針板20の載置面20aの湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差に伴う、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができるので、設定した設定値に基づく所定のいせ込み量によるいせ込みを施すことができる。
【0074】
〔第2の変形例〕
次に、本発明の第2の変形例について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
前述の第1、第2の実施の形態においては、設定値として、下送り量である縫いピッチ量と、下送り量に対する上送り量の差動量であるいせ込み量の入力、記憶をする構成について説明したが、設定値はこれに限るものではない。
【0075】
第2の変形例は、例えば、操作パネル16において、設定値入力手段としての図示しない設定値入力キーを介し、設定値として、下送り量である縫いピッチ量と、下送り量を基準とする上送り割合量の入力が行われる。入力された縫いピッチ量と上送り割合量は、設定値記憶手段としてのEEPROM10dに記憶される。
なお、例えば、縫いピッチ量が2mmであり上送り割合量が110%(1.1倍)である場合、(縫いピッチ量2mm)×(上送り割合量1.1)=2.2mmが所望する上布の送り量ということになる。
【0076】
そして、制御部10は、各種キーの操作により入力され、EEPROM10dに記憶された補正値である補正送り量や、補正基準値である下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とに基づき、針板20の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を行う補正手段としての制御を行う。
【0077】
例えば、制御部10は補正手段として、補正値記憶手段であるEEPROM10dに記憶された補正値である補正送り量分、EEPROM10dに記憶された上送り割合量に基づく上送り量を減らすように、上送り量を調節する制御を行う。
つまり、この補正手段が実行されることにより、前述の上送り制御部(制御部10)は、EEPROM10dに記憶されている縫いピッチ量と上送り割合量と、補正値である補正送り量とに基づき、
(実行上送り量)=(縫いピッチ量)×(上送り割合量)+(補正送り量)・・・(5)
上記の式(5)から求められる実行上送り量により、上布を送るように上送りモータ11の駆動を行う制御を行うこととなる。
なお、実行下送り量は、(実行下送り量)=(縫いピッチ量)である。
【0078】
また、例えば、制御部10は補正手段として、補正基準値記憶手段であるEEPROM10dに記憶された補正基準値である下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とにより、EEPROM10dに記憶された上送り割合量に基づく上送り量を減らすように、上送り量を調節する制御を行う。
つまり、この補正手段が実行されることにより、前述の上送り制御部(制御部10)は、EEPROM10dに記憶されている縫いピッチ量と上送り割合量と、下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、針板20の載置面20aの曲率半径とに基づき、
(実行上送り量)=(縫いピッチ量)×(上送り割合量)−[(縫いピッチ量)×(下布の厚さ値+上布の厚さ値)/(針板の載置面の曲率半径)]・・・(6)
上記の式(6)から求められる実行上送り量により、上布を送るように上送りモータ11の駆動を行う制御を行うこととなる。
なお、実行下送り量は、(実行下送り量)=(縫いピッチ量)である。
【0079】
このように制御部10は補正手段として、下布の送り量と上布の送り量の差が0と設定されたときに、針板20の載置面20aの湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差がなくなるように補正を行うことができる。
よって、本発明にかかる差動送りミシンは、針板20の載置面20aの湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差に伴う、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができるので、設定した設定値に基づく所定のいせ込み量によるいせ込みを施すことができる。
【0080】
このように、本発明にかかる差動送りミシンによれば、いせ込みを行うために入力し、記憶した設定値と、針板20の載置面20aの湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差をなくすための補正値や、補正基準値としての針板20の載置面20aの曲率半径と下布の厚さ値と上布の厚さ値と、により差動送りミシンの針板20の載置面20aの湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差がなくなるように補正した条件で、いせ込みを施すことができる。
つまり、針板20の載置面20aの湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差に伴う、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができるので、設定した設定値に基づく所定のいせ込み量によるいせ込みを施すことができる。
【0081】
なお、以上の実施の形態においては、いせ込みを施す縫製を実行する際の実行上送り量の算出を、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)により算出するとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、実行上送り量の算出式は、任意であり、この他の式であってもよい。
また、送り量の誤差の補正として、上送り量を補正した実行上送り量を算出する例で説明したが、下送り量を補正した実行下送り量を算出するようにしてもよく、上送り量と下送り量の少なくとも一方を補正すればよい。
【0082】
また、第1の実施の形態においては、補正値を入力するようにしているが、1以上の選択項目に対して予め補正値を割り当ておき、所望の選択項目を選択することによって補正を行うようにしてもよい。すなわち、選択項目(a)、(b)、(c)に予め補正値として−3、−2、−1を割り当てておき、いずれかの選択項目を選択することによって、所定の補正値を反映した実行上送り量又は実行下送り量とするようにしてもよい。この場合、選択項目にいずれの補正値を割り当てているかは、例えば、EEPROM10dに記憶される。
また、以上の実施の形態においては、補正値を操作パネルから変更可能としているが、縫製作業者に安易に変更されないようにするために、例えば、操作パネルからの補正値の入力を不能とし、パソコンなどの外部機器から設定してもよい。この場合、設定された補正値は、例えば、EEPROM10dに記憶される。
【0083】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0084】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、差動送りミシンは、針板の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差がなくなるように、補正手段が下布と上布の送り量の誤差の補正を行い、その送り量の誤差に相当するいせ込みを行わないように補正された動作制御を行う。つまり、所望するいせ込みを行うよう設定すれば、下布と上布の送り量の誤差が補正された、所望するいせ込み量に基づくいせ込みを行うことができる。よって、針板の上面の湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差により、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができるので、設定した設定値に基づく所定のいせ込み量によるいせ込みを施すことができ、所定の良好な縫製を行うことができる。
【0085】
請求項2記載の発明によれば、設定値記憶手段において、下送り量と上送り量の差または差動量が0と設定されるか、または上送り割合量が1と設定されたとき、設定値記憶手段に記憶される、下送り量と、上送り量または当該下送り量に対する上送り量の差である差動量または当該下送り量を基準とする上送り割合量からなる設定値に基づき、補正手段が、いせ込みが入らないように、針板の湾曲により生じる下布と上布の送り量の誤差の補正を行うことができる。よって、針板の上面の湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差があっても、いせ込みを行わないように設定した設定値に基づき、その送り量の誤差に相当するいせ込みを行わないように縫製を行うことができる。従って、所定の良好な縫製を行うことができる。
【0086】
請求項3記載の発明によれば、補正手段は、補正値の入力を受けて、その補正値に基づき誤差の補正を行うことができる。よって、差動送りミシンを動作させる作業者などが、針板の上面の湾曲した形状に伴う下布と上布の送り量の誤差に相当する補正値を入力することにより、差動送りミシンは、その補正値に基づき、下布と上布の送り量の誤差に伴い、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができる。
【0087】
請求項4記載の発明によれば、補正手段は、下布の厚さ値と、上布の厚さ値と、の入力を受けて、その下布の厚さ値と前記上布の厚さ値とに基づいて補正値を決定し、その補正値に基づき誤差の補正を行うことができる。よって、差動送りミシンを動作させる作業者などが、下布の厚さ値と、上布の厚さ値とを入力することにより、差動送りミシンは、その入力された値に基づく補正値により、下布と上布の送り量の誤差に伴い、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができる。そして、針板の形状に伴う誤差を解消した縫製を行うことができる。
【0088】
請求項5記載の発明によれば、補正手段は、針板の上面の曲率半径に関する情報の入力を受けて、その針板の上面の曲率半径に基づき補正値を決定し、その補正値に基づき誤差の補正を行うことができる。よって、差動送りミシンを動作させる作業者などが、針板の上面の曲率半径とを入力することにより、差動送りミシンは、その入力された値に基づく補正値により、下布と上布の送り量の誤差に伴い、いせ込みを施す際に生じてしまういせ込み量の誤差を解消することができる。そして、針板の形状に伴う誤差を解消した縫製を行うことができる。
【0089】
請求項6記載の発明によれば、下送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された下送り量に基づく下送り量で、下布を繰り返し送るように下送り機構部を制御し、上送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された下送り量と差動量を加算した量に基づく上送り量で、上布を繰り返し送るように上送り機構部を制御することができる。
【0090】
請求項7記載の発明によれば、下送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された下送り量に基づく下送り量で、下布を繰り返し送るように下送り機構部を制御し、上送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された上送り量に基づく上送り量で、上布を繰り返し送るように上送り機構部を制御することができる。
【0091】
請求項8記載の発明によれば、下送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された下送り量に基づく下送り量で、下布を繰り返し送るように下送り機構部を制御し、上送り制御部は、設定値記憶手段に記憶された下送り量に上送り割合量を乗算した量に基づく上布を送る上送り量で、上布を繰り返し送るように上送り機構部を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる差動送りミシンの斜視図である。
【図2】本発明にかかる差動送りミシンの上送り機構部周囲の拡大図である。
【図3】本発明にかかる差動送りミシンの上送り機構部周囲の一部を切り欠いた側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における差動送りミシンの要部構成を示すブロック図である。
【図5】操作パネルにおける表示画面例を示す図である。
【図6】操作パネルにおける表示画面例を示す図である。
【図7】操作パネルにおける表示画面例を示す図である。
【図8】操作パネルにおける補正値入力画面例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における差動送りミシンの動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態における差動送りミシンの要部構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における差動送りミシンの動作を示すフローチャートである。
【図12】下布に対する上布のいせ込みを説明する模式図である。
【符号の説明】
1、2 差動送りミシン
10 制御部(補正手段、上送り制御部、下送り制御部)
10d EEPROM(設定値記憶手段)
11A 上送り機構部
111 上送りベルト
112 上送りベルト
12A 下送り機構部
121 下送りベルト
122 下送りベルト
13A 運針機構部
130 針棒
131 ミシン針
16 操作パネル
17 下布厚さ値入力キー
18 上布厚さ値入力キー
19 針板曲率半径入力キー
20 針板
20a 載置面(上面)
50 補正値入力キー
Claims (8)
- 下布と上布とが重ねられて載置される、上面が凸に湾曲した針板と、
前記下布を送る下送り機構部と、
前記下送り機構部と連動して前記上布を送る上送り機構部と、
実行下送り量と実行上送り量とをそれぞれ決定するための設定値を記憶する設定値記憶手段と、
前記設定値記憶手段に記憶された前記設定値に対応した実行下送り量で、前記下布を送るように前記下送り機構部を制御する下送り制御部と、
前記設定値記憶手段に記憶された前記設定値に対応した実行上送り量で、前記上布を送るように前記上送り機構部を制御する上送り制御部と、を備え、
前記下布と前記上布の各々の送り量に差を設けて縫製を行うことができる差動送りミシンにおいて、
前記針板の湾曲により生じる前記下布と前記上布の送り量の誤差の補正を行うように前記設定値に基づき実行上送り量又は実行下送り量を補正する補正手段を備えることを特徴とする差動送りミシン。 - 前記設定値記憶手段には、
実行下送り量と実行上送り量とをそれぞれ決定するために設定される、下送り量と、上送り量または当該下送り量に対する上送り量の差である差動量または当該下送り量を基準とする上送り割合量からなる設定値が記憶され、
前記補正手段は、前記設定値記憶手段において、前記下送り量と前記上送り量の差または差動量が0と設定されるか、または上送り割合量が1と設定されたときに、いせ込みが入らないように、前記針板の湾曲により生じる前記下布と前記上布の送り量の誤差の補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の差動送りミシン。 - 前記補正手段は、補正値の入力を受けて、前記補正値に基づき前記誤差の補正を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の差動送りミシン。
- 前記補正手段は、前記下布の厚さ値と、前記上布の厚さ値と、の入力を受けて、前記下布の厚さ値と前記上布の厚さ値とに基づいて補正値を決定し、前記補正値に基づき前記誤差の補正を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の差動送りミシン。
- 前記補正手段は、前記針板の上面の曲率半径に関する情報の入力を受けて、前記針板の上面の曲率半径に関する情報から補正値を決定し、前記補正値に基づき前記誤差の補正を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の差動送りミシン。
- 前記設定値記憶手段は、前記設定値として、下送り量及び当該下送り量に対する上送り量の差動量を記憶することを特徴とする請求項1、3、4、5の何れか一項に記載の差動送りミシン。
- 前記設定値記憶手段は、前記設定値として、下送り量及び上送り量を記憶することを特徴とする請求項1、3、4、5の何れか一項に記載の差動送りミシン。
- 前記設定値記憶手段は、前記設定値として、下送り量及び当該下送り量を基準とする上送り割合量を記憶することを特徴とする請求項1、3、4、5の何れか一項に記載の差動送りミシン。
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