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JP4034668B2 - 超純水製造システムおよびその運転方法 - Google Patents

超純水製造システムおよびその運転方法 Download PDF

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JP4034668B2 JP2003056874A JP2003056874A JP4034668B2 JP 4034668 B2 JP4034668 B2 JP 4034668B2 JP 2003056874 A JP2003056874 A JP 2003056874A JP 2003056874 A JP2003056874 A JP 2003056874A JP 4034668 B2 JP4034668 B2 JP 4034668B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超純水製造システムおよびその運転方法に関し、とくに、複数並設された各二次純水製造系にそれぞれ交換可能な混床式のイオン交換装置であるカートリッジポリッシャを備えたシステムにおいて、カートリッジポリッシャを交換した後にも各ユースポイントに安定した水質の超純水を供給できるようにした超純水製造システムおよびその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に、従来の代表的な超純水製造システムの一例を示す。この超純水製造システムは、原水103から純水を製造する一次純水製造系101と、その純水を超純水へと精製する二次純水製造系102とから構成されている。この一次純水製造系101では、たとえば工業用水等の原水103の懸濁物質や有機物の一部が前処理装置104で除去され、その処理水が、脱塩装置、たとえば2床3塔式脱塩装置105に送られる。脱塩装置105はイオン交換装置であって、前処理装置104の処理水中の不純物イオンが除去される。脱塩装置105の後段には逆浸透膜装置(RO装置)106が接続されており、RO装置106で、脱塩装置105によりイオンの除去が行われた処理水中の無機イオン、有機物、微粒子等の不純物の除去が行われる。RO装置106の後段には真空脱気装置107が接続されており、RO装置106からの処理水中の溶存酸素が除去される。真空脱気装置107の後段には混床式の脱塩装置108が接続されており、混床式脱塩装置108で高純度の純水が製造され、これが一次純水タンク109に供給される。上記RO装置106は、一次純水タンク109の直前に配置されてもよく、たとえば図3におけるRO装置106と混床式脱塩装置108の位置を入れ替えて配置されてもよい。
【0003】
二次純水製造系102は、使用する超純水の水質、使用場所や使用水量に応じて複数系列設けられることが一般的である。図3は、二次純水製造系102が2系列102a、102bの2系列設けられている場合を示している。
【0004】
この二次純水製造系102においては、たとえば、紫外線酸化装置110a、110bで一次純水タンク109からの純水に紫外線が照射され、純水中の有機物が、あるいは有機酸までもが酸化分解されるとともに、バクテリア殺菌が行われる。この後段には、交換可能な混床式のイオン交換装置であるカートリッジポリッシャ111a、111bが設けられており、一次純水製造系101から持ち込まれるごく微量の不純物や紫外線酸化装置110a、110bで分解生成された成分が捕捉除去される。捕捉されたそれら不純物成分が飽和してリークを起こす前に、各カートリッジポリッシャは定期的に交換される必要がある。カートリッジポリッシャ111a、111bを出た処理水は、限外濾過膜や精密濾過膜、逆浸透膜等を装着してなる膜処理装置112a、112bによって微粒子等が除去され、超純水に精製される。精製された超純水は、供給ライン113a、113bを介して各ユースポイント114a、114bに供給される。
【0005】
供給された超純水は、ユースポイント114a、114bで使用されているときには使用されなかった余剰の超純水が、ユースポイント114a、114bで使用されていないときには供給された超純水の全量が、リターンライン115a、115bを介して一次純水タンク109に戻され、一次純水タンク109→紫外線酸化装置110a、110b→カートリッジポリッシャ111a、111b→膜処理装置112a、112b→供給ライン113a、113b→リターンライン115a、115b→一次純水タンク109からなる閉ループ内を常時循環されている。このように超純水を循環させているのは、たとえばユースポイント114a、114bにおける超純水不使用時に運転を停止すると、停止時に配管やシステムを構成する各ユニット中に水が滞留してバクテリアの増殖が起きたり、イオン成分や有機物が微量ながら管壁等から溶出して超純水の水質を悪化させたりすることがあること、また、停止時や再起動時のショックで各ユニットから微粒子が吐き出されたり、溶出が促進されたりすることがあること、さらに、ユースポイント114a、114bで超純水を使用している場合であっても、ユースポイント114a、114bに送られる超純水の全部を使用してしまうと、リターンライン115a、115bの配管中に超純水が滞留してしまい、やはりバクテリアの増殖が起きたり、イオン成分等が溶出したりすることがあるからである。
【0006】
また、上記のような一般的な超純水製造システムに対し、特許文献1には、二次純水製造系に複数のカートリッジポリッシャを交互交換可能とするイオン交換装置と、該イオン交換装置で処理された処理水をさらに処理する膜処理装置と、該膜処理装置の非透過水を洗浄水としてぞの前段部の前記各イオン交換装置にそれぞれ選択的に通水し、洗浄排水を一次純水製造系に回収するようにした洗浄配管系とから構成した超純水製造システムが提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−15264号公報(特許請求の範囲)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような従来の超純水製造システムにおいては、以下のような問題点が残されている。
まず、図3に示したような従来一般の超純水製造システムにおいては、カートリッジポリッシャ111a、111bのいずれかを交換する際、超純水の製造を停止する必要があり、その間は超純水の使用ができなくなり、通水を開始しても初期には交換したカートリッジポリッシャ内のイオン交換樹脂の初期溶出物と交換作業に伴う配管等の汚れを取り除くために大量の純水で洗浄する必要があり、交換作業を迅速に行ったとしても、ユースポイントに給水できるまでには長時間を要することとなっていた。つまり、交換後のカートリッジポリッシャが規定の性能に立ち上がるまで洗浄、ブローする必要があるが、単に規定性能に達したからといってすぐにユースポイントに給水してしまうと、洗浄製品、たとえば半導体製品の歩留りが悪化することが多いので、十分な時間(たとえば、1週間〜1カ月)経過後にユースポイントに給水するようにしている。
【0009】
また、上記特許文献1には、カートリッジポリッシャ交換作業後の純水洗浄時間を短縮するために、カートリッジポリッシャを交互交換可能とするイオン交換装置を設け、各イオン交換装置にそれぞれ選択的に通水しユースポイントに給水しながらカートリッジポリッシャを洗浄する方法が提案されているが、洗浄用水分、二次純水製造系の規模を大きくする必要があり、設備の設置面積の増大やエネルギーコストの高騰を招くこととなっている。
【0010】
そこで本発明の課題は、二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ交換後にも、迅速に安定した水質の超純水をユースポイントに供給できるようにするとともに、従来一般のシステムに比べて実質的に設置面積やエネルギーコストの増大を生じさせない、超純水製造システムおよびその運転方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る超純水製造システムは、一次純水製造系と、該一次純水製造系で製造された純水が供給される一次純水タンクと、少なくとも交換可能な混床式のイオン交換装置であるカートリッジポリッシャを備え、前記一次純水タンクからの純水を要求水質の異なる複数種の超純水に精製する、互いに並設された複数の二次純水製造系と、各二次純水製造系で製造された超純水を各ユースポイントに供給する超純水供給ラインとを有する超純水製造システムにおいて、相対的に高水質が要求される高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインと、相対的に低水質が要求される低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインを、各カートリッジポリッシャ処理水の供給先を互いに切り換え可能に接続したことを特徴とするものからなる。
【0012】
この超純水製造システムにおいては、各カートリッジポリッシャ出口ラインと各超純水供給ラインとの間に、膜処理装置、たとえば、限外濾過膜や精密濾過膜、逆浸透膜等を装着してなる膜処理装置が設けられていることが好ましい。
【0013】
また、前記超純水供給ラインが、前記ユースポイントから前記一次純水タンクに未使用の超純水を戻すリターンラインに接続されており、二次純水製造系からユースポイントについて、未使用の超純水が常時循環されるよう構成されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る超純水製造システムの運転方法は、一次純水製造系で製造され一次純水タンクに供給された純水を、少なくとも交換可能な混床式のイオン交換装置であるカートリッジポリッシャを備えた、要求水質の異なる複数の二次純水製造系により超純水に精製し、各ユースポイントに供給する超純水製造システムの運転方法において、相対的に高水質が要求される高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャを交換した後、予め試験によって求められた処理性能安定期間(たとえば、後述の実施例では1週間)が経過するまで、該高水質二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ処理水を、相対的に低水質が要求される低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給するとともに、該低水質二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ処理水を高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給し、前記処理性能安定期間経過後に、高水質二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ処理水を高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給し、低水質二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ処理水を低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給する通常供給に復帰することを特徴とする方法からなる。
【0015】
この超純水製造システムの運転方法においては、各カートリッジポリッシャ処理水を膜処理した後、たとえば、限外濾過膜や精密濾過膜、逆浸透膜等で処理した後、各ユースポイントに供給することが好ましい。
【0016】
また、各ユースポイントで未使用の超純水は前記一次純水タンクに戻し、ユースポイントで未使用の超純水は常時循環されることが好ましい。
【0017】
本発明に係る超純水製造システムおよびその運転方法は、電子部品部材、たとえば半導体の製造に使用される洗浄水、より具体的にはウエハーやチップ、各種回路基板、液晶基板等の電子部品部材の製造に使用される洗浄水を製造するのに好適である。
【0018】
上記のような本発明に係る超純水製造システムおよびその運転方法は、要求水質の異なる複数の二次純水製造系が並設されていることを前提とし、とくに相対的に高水質が要求される高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャが交換される際に適用されるものである。また、そのとき交換されずに残されている、相対的に低水質が要求される低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャによる処理水の水質が、それまで安定使用されてきた結果、その処理水がそのまま高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給されても別段問題が生じない程度に優れた水質に維持されていることに着目して完成された発明である。
【0019】
すなわち、高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャの交換後、そのカートリッジポリッシャ処理水は、低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ライン、つまり、より低水質の超純水しか要求されていない低純水系統へと供給され、この供給系統が所定の処理性能安定期間継続されることにより、その間に交換されたカートリッジポリッシャがインサービスの状態で十分に洗浄される。また、交換されずに残されていた低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャからの処理水は、高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ライン、つまり、より高水質の超純水が要求される高純水系統へと供給されるが、このカートリッジポリッシャ処理水はそれまで安定的に優れた水質に維持されていたので、上述の如く、高純水系統に回されても実質的に全く問題は発生せず、高純水系統に要求される水質の超純水が迅速に安定して供給されることになる。このライン切り換えの結果、上記カートリッジポリッシャの交換後、極めて迅速に、各ユースポイントに要求水質を満足する超純水が供給されることになる。本発明では、単にカートリッジポリッシャ出口側にライン切り換え機構を設けるだけであるから、システム全体の設置面積の増大はなく、かつ、エネルギーコストの増大もない。また、交換したカートリッジポリッシャの洗浄に使用された水は、そのまま低水質二次純水製造系に供給可能であり、たとえ洗浄水をブローする場合にあってもそのブロー水量は僅かで済み、この面からも設置面積やエネルギーコストの増大は生じない。
【0020】
上記所定の処理性能安定期間経過後には、通常の処理系統、つまり、高水質二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ処理水がそのまま高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給され、低水質二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ処理水がそのまま低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給され、通常の供給系統に復帰される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る超純水製造システムを示している。この超純水製造システムは、原水3から純水を製造する一次純水製造系1と、その純水を超純水へと精製する二次純水製造系2とから構成されている。この一次純水製造系1では、たとえば工業用水等の原水3の懸濁物質や有機物の一部が前処理装置4で除去され、その処理水が、脱塩装置、たとえば2床3塔式脱塩装置5に送られる。脱塩装置5はイオン交換装置であって、前処理装置4の処理水中の不純物イオンが除去される。脱塩装置5の後段には逆浸透膜装置(RO装置)6が接続されており、RO装置6で、脱塩装置5によりイオンの除去が行われた処理水中の無機イオン、有機物、微粒子等の不純物の除去が行われる。RO装置6の後段には真空脱気装置7が接続されており、RO装置6からの処理水中の溶存酸素が除去される。真空脱気装置7の後段には混床式の脱塩装置8が接続されており、混床式脱塩装置8で高純度の純水が製造され、これが一次純水タンク9に供給される。上記RO装置6は、一次純水タンク9の直前に配置されてもよく、たとえば図1におけるRO装置6と混床式脱塩装置8の位置を入れ替えて配置されてもよい。
【0022】
二次純水製造系2は、使用する超純水の水質、使用場所や使用水量に応じて複数系列設けられることが一般的であり、本実施態様では、二次純水製造系2がA系列2aとB系列2bの2系列設けられている場合を示している。
【0023】
この二次純水製造系2においては、たとえば、紫外線酸化装置10a、10bで一次純水タンク9からの純水に紫外線が照射され、純水中の有機物が、あるいは有機酸までもが酸化分解されるとともに、バクテリア殺菌が行われる。この後段には、交換可能な混床式のイオン交換装置であるカートリッジポリッシャ11a、11bが設けられており、一次純水製造系1から持ち込まれるごく微量の不純物や紫外線酸化装置10a、10bで分解生成された成分が捕捉除去される。捕捉されたそれら不純物成分が飽和してリークを起こす前に、各カートリッジポリッシャは定期的に交換される必要がある。カートリッジポリッシャ11a、11bを出た処理水は、本実施態様では膜処理装置としての限外濾過膜処理装置12aおよび膜処理装置としての精密濾過膜処理装置12bによって微粒子等が除去され、超純水に精製される。精製された超純水は、供給ライン13a、13bを介して各ユースポイント14a、14bに供給される。
【0024】
供給された超純水は、ユースポイント14a、14bで使用されているときには使用されなかった余剰の超純水が、ユースポイント14a、14bで使用されていないときには供給された超純水の全量が、リターンライン15a、15bを介して一次純水タンク9に戻され、一次純水タンク9→紫外線酸化装置10a、10b→カートリッジポリッシャ11a、11b→膜処理装置12a、12b→供給ライン13a、13b→リターンライン15a、15b→一次純水タンク9からなる閉ループ内を常時循環されている。このように超純水を循環させているのは、前述の如く、超純水の滞留によりバクテリアの増殖が起きたり、イオン成分や有機物が微量ながら管壁等から溶出して超純水の水質を悪化させたりすることを防止したり、停止時や再起動時のショックで各ユニットから微粒子が吐き出されたり、溶出が促進されたりすることを防止したりするためである。
【0025】
ここまでは、通常の運転ラインとして説明したので、実質的に、図3に示した従来構成と変わらない。本発明においては、相対的に高水質が要求される高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインと、相対的に低水質が要求される低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインとが、各カートリッジポリッシャ処理水の供給先を互いに切り換え可能に接続される。
【0026】
すなわち、本実施態様においては、二次純水製造系2は、0.25μm世代以降のLSI製造工程のうち比較的高純度(高水質)の超純水が要求される工程、例えば素子分離形成からゲート電極形成までの工程に使用されるA系列2aと、比較的要求される水質が高くない工程、例えば配線工程に使用されるB系列2bから構成されている。但し、超純水ラインの区分は上記に限定されるものではなく、例えば、高信頼性が要求されるDRAMのキャパシタ工程や、配線工程であっても低抵抗接触が要求されるコンタクトホール下部の基板洗浄に対しては比較的高純度の超純水が要求される。
【0027】
カートリッジポリッシャ11aとカートリッジポリッシャ11bの処理水側の配管、つまり各カートリッジポリッシャ11a、11bと各膜処理装置12a、12bとを接続しているカートリッジポリッシャ出口ライン16a、16bには、それぞれ分岐部が設けられていて、カートリッジポリッシャ11aの処理水が、限外濾過膜装置12aと精密濾過膜装置12bのいずれの膜処理装置にも供給可能となっており、またカートリッジポリッシャ11bの処理水も、限外濾過膜装置12aと精密濾過膜装置12bのいずれの膜処理装置にも供給可能となっている。カートリッジポリッシャ11aの出口ライン16aにはバルブV1が、その分岐ライン17aにはバルブV3が、カートリッジポリッシャ11bの出口ライン16bにはバルブV2が、その分岐ライン17bにはバルブV4が、それぞれ設けられており、これらバルブV1〜V4の開閉により、各カートリッジポリッシャ処理水をいずれのカートリッジポリッシャ出口ライン、さらにはいずれの膜処理装置に選択的に供給するかを制御できるようになっている。
【0028】
通常運転時には、バルブV1を開放してバルブV3を閉止することで、A系列2aで、カートリッジポリッシャ11aからの処理水が限外濾過膜装置12aに供給されて高純度超純水を製造され、ユースポイント14aでたとえばLSI基板の洗浄水などとして使用され、またB系列2bでは、バルブV2を開放してバルブV4を閉止することで、カートリッジポリッシャ11bからの処理水が精密濾過膜装置12bに供給されて一般超純水を製造され、ユースポイント14bで使用される。
【0029】
A系列2aのカートリッジポリッシャ11aは、一次純水製造系1から持ち込まれる極微量不純物や紫外線酸化装置10aで生成された成分を除去しており、捕捉したそれらの不純物が飽和する前に1年に1回程度の頻度で交換が実施されている。
【0030】
A系列2aのカートリッジポリッシャ11aの交換作業を実施した後、初期の系内汚れを取り除くために、数時間カートリッジポリッシャ処理水をブローしてから(少量のブロー水で済む)、処理水を一般超純水を要求するユースポイント14bへ送るために、バルブV3を開放して、同時にバルブV1を閉止する。これにより、交換されたカートリッジポリッシャ11aの処理水は、精密濾過膜装置12bで処理され、ユースポイント14bに供給される。並行して高純度超純水を要求するユースポイント14aに超純水を供給するために、バルブV4を開放してバルブV2を閉止し、カートリッジポリッシャ11bからの処理水を限外濾過膜装置12aへ供給することで、カートリッジポリッシャ11bから処理水は、限外濾過膜装置12aで処理されてユースポイント14aに供給される。カートリッジポリッシャ11bは、交換されずにそれまで使用されていたので、前述の如く、高純度超純水を要求する系統に供給されても十分に高い水質の超純水を安定して供給することができ、限外濾過膜装置12aで処理されることにより、ユースポイント14aでの要求水質を満足する超純水が極めて迅速に供給されることになる。
【0031】
このようにとくに要求水質の高い方のカートリッジポリッシャ11aの交換直後に、本来カートリッジポリッシャからの処理水が供給されるべき系列を入れ替えて超純水を供給したときの、ユースポイントにおける洗浄デバイスへの影響を調査した。表1は、カートリッジポリッシャ11bからの処理水を高純度純水系(ユースポイント14aの系統)に供給して洗浄を行ったときの、モニタ用のシリコンウエハに付着した金属の量(単位:原子数/cm2 )と入れ替えて通水した日数とを示している。このとき、カートリッジポリッシャ11bは、6ヶ月間使用されていた。ここで0日は、交換を実施した当日を示している。
【0032】
【表1】
Figure 0004034668
【0033】
また表2は、カートリッジポリッシャ11aからの処理水を一般純水系に供給していた期間と、その供給期間後直ちにバルブを切り換えて高純度純水系にカートリッジポリッシャ11aからの処理水を供給してユースポイント14aで洗浄を行ったときの、モニタ用のシリコンウエハに付着した金属の量(単位:原子数/cm2 )とそれまでに入れ替えられて通水していた日数とを示している。ここで0日とは、カートリッジポリッシャ11aの交換後直ちに、その処理水を高純度純水系ユースポイント14aに供給したことを表している。
【0034】
【表2】
Figure 0004034668
【0035】
表1から明らかなように、高純度超純水系のA系列2a用カートリッジポリッシャ11aを交換したときに、一般超純水系であるB系列2bのカートリッジポリッシャ11bの処理水を高純度超純水系ユースポイント14aに供給しても基板の表面に付着した金属量の増加が見られなかったことから、系列切換が金属付着量を制御するために有効な手段であることが確認された。また表2から、本試験例では、処理性能安定期間として1週間以上通水したカートリッジポリッシャ11aを通常処理系統に戻して使用することで、基板の表面に付着した金属量の増加が見られなかったことから、系列の切換期間は少なくとも1週間とすることが適切であることが明らかとなった。ただし、この処理性能安定期間は、本発明を適用するシステムに応じて、試験によって予め最適な期間を求めておくことが好ましく、システムによってその最適値は変化する。
【0036】
さらに、上記同様の試験により、TOC(全有機体炭素量)に関しても調査した。すなわち、原因物質は明確にはなっていないが、カートリッジポリッシャ交換直後の超純水で半導体等のデバイス製造を行うと歩留まりが悪化することがあり、また、カートリッジポリッシャ交換直後の超純水中のTOCが安定化するまでに、ある通水期間が必要なことも見出した。
【0037】
カートリッジポリッシャ交換直後に本来カートリッジポリッシャが供給するべき系列を入れ替えて超純水を供給したときのユースポイント供給水中のTOCを調査した。表3は、カートリッジポリッシャ11bからの処理水を高純度純水系(ユースポイント14aの系統)に供給したときの、洗浄水中のTOC濃度と入れ替えて通水した日数とを示している。このとき、カートリッジポリッシャ11bは、6ヶ月間使用されていた。ここで0日は、交換を実施した当日を示している。
【0038】
【表3】
Figure 0004034668
【0039】
表4は、カートリッジポリッシャ11aからの処理水を一般純水系に供給していた期間と、その供給期間後直ちにバルブを切り換えて高純度純水系にカートリッジポリッシャ11aからの処理水を供給してユースポイント14aで洗浄を行ったときの、洗浄水中のTOC濃度とそれまでに入れ替えられて通水していた日数とを示している。ここで0日とは、カートリッジポリッシャ11aの交換後直ちに、その処理水を高純度純水系ユースポイント14aに供給したことを表している。
【0040】
【表4】
Figure 0004034668
【0041】
表3から明らかなように、高純度超純水系のA系列2a用カートリッジポリッシャ11aを交換したときに、一般超純水系であるB系列2bのカートリッジポリッシャ11bの処理水を高純度超純水系ユースポイント14aに供給しても洗浄水中のTOC濃度の増加が見られなかったことから、系列切換がTOCを安定に低いレベルで制御するために有効な手段であることが確認された。また表4から、本試験例では、処理性能安定期間として1週間以上通水したカートリッジポリッシャ11aを通常処理系統に戻して使用することで、洗浄水中のTOC濃度の増加が見られなかったことから、系列の切換期間は少なくとも1週間とすることが適切であることが明らかとなった。ただし、この処理性能安定期間も、本発明を適用するシステムに応じて、試験によって予め最適な期間を求めておくことが好ましく、システムによってその最適値は変化する。
【0042】
なお、前記実施態様では、二次純水製造系が2系列2a、2bの場合について説明したが、本発明においては、3系列以上並設することも可能である。3系列以上並設される場合には、相対的により高水質が要求される系統のカートリッジポリッシャが交換された場合に、相対的により低水質が要求される系統のカートリッジポリッシャとの間で、処理水出口ラインを切り換えるようにすればよい。たとえば図2に3系統の場合のカートリッジポリッシャの出口ライン部分を示すように、並設されたカートリッジポリッシャ21a、21b、21c(順に高純度から低純度になる系統)の各出口ライン22a、22b、22cに対し、分岐ライン23a、23b、23c、23dと、バルブV11、V12、V13、V14、V15、V16、V17とを設け、カートリッジポリッシャ21aを交換した場合には出口ライン22aと出口ライン22bとの間で、カートリッジポリッシャ21bを交換した場合には出口ライン22bと出口ライン22cとの間で、それぞれ供給先を入れ替えるようにすればよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る超純水製造システムおよびその運転方法によれば、極めて簡単な装置構成でありながら、超純水水質を高水質に維持することが可能となり、カートリッジポリッシャの交換に要する必要最小限の停止時間のみで超純水製造システムを安定した状態で運転でき、ブロー水量を極力抑えることができるだけでなく、極めて迅速にユースポイントへ所定の超純水を供給することが可能になる。また、システムの設置面積やエネルギーコストの増大も実質的に生じないので、実用的で容易に実施可能な超純水製造システムとして提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る超純水製造システムの概略機器系統図である。
【図2】本発明の別の実施態様に係る超純水製造システムのカートリッジポリッシャの出口ライン部分を示す概略機器系統図である。
【図3】従来の超純水製造システムの概略機器系統図である。
【符号の説明】
1 一次純水製造系
2、2a、2b 二次純水製造系
3 原水
4 前処理装置
5 2床3塔式脱塩装置
6 逆浸透膜装置(RO装置)
7 真空脱気装置
8 混床式脱塩装置
9 一次純水タンク
10a、10b 紫外線酸化装置
11a、11b、21a、21b、21c カートリッジポリッシャ
12a 膜処理装置としての限外濾過膜処理装置
12b 膜処理装置としての精密濾過膜処理装置
13a、13b 供給ライン
14a、14b ユースポイント
15a、15b リターンライン
16a、16b、22a、22b、22c カートリッジポリッシャ出口ライン
17a、17b、23a、23b、23c、23d 分岐ライン
V1、V2、V3、V4、V11、V12、V13、V14、V15、V16、V17 バルブ

Claims (8)

  1. 一次純水製造系と、該一次純水製造系で製造された純水が供給される一次純水タンクと、少なくとも交換可能な混床式のイオン交換装置であるカートリッジポリッシャを備え、前記一次純水タンクからの純水を要求水質の異なる複数種の超純水に精製する、互いに並設された複数の二次純水製造系と、各二次純水製造系で製造された超純水を各ユースポイントに供給する超純水供給ラインとを有する超純水製造システムにおいて、相対的に高水質が要求される高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインと、相対的に低水質が要求される低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインを、各カートリッジポリッシャ処理水の供給先を互いに切り換え可能に接続したことを特徴とする超純水製造システム。
  2. 各カートリッジポリッシャ出口ラインと各超純水供給ラインとの間に、膜処理装置が設けられている、請求項1の超純水製造システム。
  3. 前記超純水供給ラインが、前記ユースポイントから前記一次純水タンクに未使用の超純水を戻すリターンラインに接続されている、請求項1または2の超純水製造システム。
  4. 電子部品部材の洗浄水製造システムとして構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の超純水製造システム。
  5. 一次純水製造系で製造され一次純水タンクに供給された純水を、少なくとも交換可能な混床式のイオン交換装置であるカートリッジポリッシャを備えた、要求水質の異なる複数の二次純水製造系により超純水に精製し、各ユースポイントに供給する超純水製造システムの運転方法において、相対的に高水質が要求される高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャを交換した後、予め試験によって求められた処理性能安定期間が経過するまで、該高水質二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ処理水を、相対的に低水質が要求される低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給するとともに、該低水質二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ処理水を高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給し、前記処理性能安定期間経過後に、高水質二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ処理水を高水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給し、低水質二次純水製造系におけるカートリッジポリッシャ処理水を低水質二次純水製造系のカートリッジポリッシャ出口ラインに供給する通常供給に復帰することを特徴とする、超純水製造システムの運転方法。
  6. 各カートリッジポリッシャ処理水を膜処理した後各ユースポイントに供給する、請求項5の超純水製造システムの運転方法。
  7. 各ユースポイントで未使用の超純水を前記一次純水タンクに戻す、請求項5または6の超純水製造システムの運転方法。
  8. 電子部品部材の洗浄水を製造する、請求項5〜7のいずれかに記載の超純水製造システムの運転方法。
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