JP4031929B2 - 洗浄シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄シートに関し、より詳細には、高い洗浄性と、洗浄後の被洗浄面の仕上がり性とに優れた洗浄シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、固体表面の汚れは、汚染されてから洗浄するまでの時間が長引くと、基質面への付着が強くなるために洗浄が困難になる。例えば、換気扇、台所周辺の壁、ガラス、冷蔵庫等に付着した油汚れは、長時間放置された場合には酸化されてベタベタした変質油に変化する。また、台所周辺以外にも、住い全般にわたり、手垢、ヤニ汚れ等の洗浄困難な油性汚れが存在している。
かかる油汚れを除去するための洗浄剤として、無機系の強アルカリ剤を主体とする洗浄剤、あるいは有機アミン類、水溶性有機溶剤を主体とした洗浄剤等が知られている。
【0003】
しかし、これらの洗浄剤を原液で使用した場合、洗浄後の仕上がり性(拭き取り跡、拭きムラ、ベタツキ等)に関して問題がある。例えば、無機系のアルカリ剤については、不揮発性であるために被洗浄面に拭取り跡が残り外観上好ましくなく、さらに安全性にも問題がある。また、無機アルカリ剤の代わりに有機アミン類を用いた場合は、助剤として配合された界面活性剤が、被洗浄面に拭取り跡として残るため、原液で使用した後に十分に水で濯ぐ必要等の問題がある。
特に、洗浄剤をシート基材に含浸させた態様で使用する場合には、洗浄後のさらなる拭き取りや水洗いを必要とせずに、良好な仕上がり性を発揮することが要求される。
【0004】
さらに、液性が強アルカリ性の洗浄剤を含浸させたシートを用いる場合は、使用者が手荒れを起こし易いという問題がある。また、液性が中性の洗浄剤を含浸させたシートを用いる場合は、シート基材そのものに起因する洗浄効果を高めて汚れ落ちを助ける必要がある。
【0005】
一方、テルペン系炭化水素は、油汚れに対して優れた洗浄力を持つことが知られている。しかしながら、洗浄剤中のテルペン系炭化水素含有量が少ない場合は、洗浄力に効果が期待できず、多い場合は、臭気が強く使用者に不快感を与えるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成するとことを課題とする。即ち、本発明は、高い洗浄性と、洗浄後の被洗浄面の仕上がり性に優れた洗浄シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のアミン系化合物と特定の脂肪酸とを配合し、さらに界面活性剤を配合した水性洗浄剤組成物をシート基材に含浸させることにより、弱アルカリ性領域下でも高い洗浄性と、洗浄後の被洗浄面の仕上がり性に優れた洗浄シートが得られることを見出し本発明を完成するに到った。
【0008】
<1> (A)モルホリン、及びモルホリン誘導体化合物から選ばれる1種又は2種以上、(B)炭素数14〜22の飽和又は不飽和脂肪酸、(C)テルペン系炭化水素、及び(D)界面活性剤を含有し、pHが8〜11である水性洗浄剤組成物をシート基材に含浸させたことを特徴とする洗浄シートである。
【0009】
<2> 前記(A)成分が0.01〜5質量%、前記(B)成分が0.01〜20質量%、前記(C)成分が0.01〜2質量%、及び前記(D)成分が0.1〜10質量%である前記<1>に記載の洗浄シートである。
【0010】
<3> 前記(B)成分が、オレイン酸である前記<1>又は<2>に記載の洗浄シートである。
【0011】
<4> 前記(C)成分が、リモネンである前記<1>から<3>のいずれかに記載の洗浄シートである。
【0012】
なお、本発明の洗浄シートに含浸される水性洗浄剤組成物の作用機構は明確ではないが、特定のアミン系化合物と特定の脂肪酸とを配合することにより生成されるアミン石鹸がテルペン系炭化水素の可溶化を容易にし、さらに界面活性剤を配合することにより、弱アルカリ性領域下においても高い洗浄性と、洗浄後の被洗浄面に対する優れた仕上がり性を発揮するものであると考えられる。また、弱アルカリ性であるため、前記の如く高い洗浄性を維持しながら、使用者の手肌に対する刺激性の抑制という効果も併せて発揮し得る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の洗浄シートについて詳細に説明する。
本発明の洗浄シートは、(A)モルホリン、及びモルホリン誘導体化合物から選ばれる1種又は2種以上、(B)炭素数14〜22の飽和又は不飽和脂肪酸、(C)テルペン系炭化水素、及び(D)界面活性剤を含有し、pHが8〜11である水性洗浄剤組成物をシート基材に含浸させたことを特徴とする。
【0014】
前記シート基材について説明する。
本発明の洗浄シートに用いられるシート基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、不織布、織布、編織布、フェルト、紙、等が好ましく、生産性、製造コスト、使い勝手等の点からは、不織布を使用することが好ましい。
【0015】
不織布としては、水性洗浄剤組成物をシート中に保持するために、親水性繊維を含むことが好ましい。また、不織布の強度を保つためには、疎水性繊維を含むことが好ましい。
【0016】
親水性繊維としては、綿、絹等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維等の合成繊維、等が好適に用いられる。
疎水性繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン等)等の合成繊維が好適に用いられる。
【0017】
上記繊維は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、不織布は、親水性繊維又は疎水性繊維のみで構成されたものであってもよいし、両繊維が混合されたものであってもよい。
【0018】
不織布中に、親水性繊維、及び、疎水性繊維を含ませる態様としては、親水性繊維及び疎水性繊維を混合し単層構造の不織布としたものであってもよいし、親水性繊維及び疎水性繊維の各々からなる不織布を組合せて複層構造にしたものであってもよい。
【0019】
親水性繊維と、疎水性繊維とが併用される場合(単層構造、複層構造の何れの場合も含む)の不織布中における両繊維の比率は、質量比として、5:95〜95:5程度が好ましく、10:90〜90:10程度がより好ましい。
【0020】
本発明における不織布を構成する繊維の形態としては、通常用いられる単繊維、長繊維の他、断面が円形若しくは楕円形等の異形断面繊維、複合繊維、極細繊維、又は、分割繊維、等の種々の繊維が好適に用いられる。これらの中でも、細かい汚れや埃を除去できる点で、極細繊維、分割繊維がより好ましい。極細繊維としては、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル等の材質で、0.5〜3μm程度ものが好適に用いられる。また、分割繊維としては、ポリエステル/ナイロン、ポリエステル/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン、等が挙げられる。
【0021】
不織布の構造としては、単層構造、又は、2層以上の複層構造のいずれであってもよい。複層構造の場合は、2〜3層構造であることが好ましい。なお、本発明においては、単層構造であることが特に好ましい。
【0022】
本発明における繊維の材質の好ましい組合せとしては、ポリプロピレン/レーヨンとの混合、ポリエチレン/レーヨンとの混合、ポリエステル/レーヨンとの混合、ポリプロピレン/コットンとの混合、レーヨン/ナイロン/ポリエステルの混合が挙げられる。
【0023】
シート基材の大きさは、使用目的に応じて適宜選択される。また、シート基材に含有される水性洗浄剤組成物の量としては、シート基材の質量に対して、50〜700質量%の範囲が好ましく、100〜300質量%の範囲がより好ましい。
【0024】
前記(A)成分について説明する。
前記(A)成分は、モルホリン、及びモルホリン誘導体化合物であり、モノエタノールアミンを併用してもよい。
【0025】
前記(A)成分の含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、テルペン系炭化水素の可溶化をさらに容易にさせるという観点からは、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0026】
また、本発明においては、効果に影響を与えない範囲で、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール等を、第3成分として添加することができる。
【0027】
次に、前記(B)成分について説明する。
前記(B)成分は、炭素数14〜22の飽和又は不飽和脂肪酸であり、具体的には、ミリスチン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。これらの中でも、テルペン系炭化水素の可溶化を容易にさせるという観点から不飽和脂肪酸が好ましく、中でも、入手し易い、工業的に安価である等の理由からオレイン酸が特に好ましい。
【0028】
前記(B)成分の含有量は、0.01〜20質量%が好ましく、汚れへの湿潤作用の促進、及び、より良好な仕上がり性の観点からは、0.01〜5質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。
【0029】
前記(A)成分と前記(B)成分の配合比は、アミン石鹸の生成バランスの観点から、(A)成分:(B)成分=0.1〜10:1(質量比)であることが好ましい。
【0030】
次に、前記(C)成分について説明する。
前記(C)成分は、テルペン系炭化水素であり、前記(A)成分及び(B)成分と相乗的に効果を発揮して、洗浄力を向上させるものである。
【0031】
前記(C)成分の含有量は、充分な洗浄力を付与するという観点から、0.01〜2質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0032】
前記(C)成分としては、D−又はL−リモネン(オレンジ油、レモン油等に含有)、α−ピネン(テレピン油等に含有)、α−テレピネオール等のモノテルペン系炭化水素(パイン油等に含有)、カリオフムレン、セレドレン等のセスキテルペン系炭化水素等(シダ油、クローバ油、カナンガ油に多く含有)が挙げられる。これらの中でも、油汚れに対する洗浄力が優れており、使用者にとって嗜好性の高い香りであるとの観点から、D−又はL−リモネンが特に好ましい。
【0033】
次に、前記(D)成分について説明する。
前記(D)成分は、界面活性剤であり、本発明の洗浄シートに含浸させる水性洗浄剤組成物中に含有されることにより、前記(C)成分であるテルペン系炭化水素の乳化分散及び可溶化を助け、洗浄効果を高めることができる。
尚、本発明における前記(D)成分には、前述の前記(A)成分と(B)成分とから生成するアミン石鹸は含まれない。
【0034】
前記(D)成分の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
【0035】
本発明における界面活性剤は、特に限定されるものではなく、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤のいずれも配合することができるが、その中でも非イオン性界面活性剤が特に好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
より具体的には、前記非イオン性界面活性剤としては、酸化エチレン付加モル数6〜35、アルキル鎖炭素数5〜22のポリオキシエチレン長鎖アルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、テルペン系炭化水素の可溶化をより容易にし、かつ洗浄性にも優れるという観点から、ポリオキシエチレン長鎖アルキルエーテルがより好ましい。
【0037】
また、本発明においては、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルジメチルアミンオキサイド等を用いることにより、さらに起泡性に優れ、立面への使用時における洗浄剤の垂れを防ぐ組成とすることができる。
【0038】
前記陰イオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸エステル塩、酸化エチレン付加モル数1〜6(好ましくは2〜4)、アルキル鎖炭素数5〜22(好ましくは5〜18、より好ましくは8〜14)のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。これらの中でも、洗浄性の観点から、アルキルエーテル硫酸エステル塩がより好ましい。
【0039】
本発明における水性洗浄剤組成物のpHは、洗浄力、手肌に対する低刺激性、及びスチレン系樹脂等のプラスチック基材に対する基材損傷抑制、という観点から、8〜11であり、10〜11がより好ましい。
【0040】
本発明においては、低温又は高温での液性を保持し、商品の付加価値を高め、各種物性を制御する等の目的のために、公知の各種添加剤を適宜添加することができる。該各種添加剤としては、例えば、各種低温安定化剤、金属イオン封鎖剤、香料、染料、顔料、防腐剤、殺菌剤、アルコール、水溶性溶剤、等が挙げれられる。なお、本発明においては、洗浄性をより一層向上させるという点で、アルコールを添加することが好ましく、該アルコールとしてはエタノールが好適である。
【0041】
本発明の洗浄シートは、各種洗浄用用途に適用することができる。特に、浴室用、台所まわり用、リビング等の住居用の洗浄シートとして好適である。
【0042】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
(実施例1〜5、比較例1〜5)
表1及び表2に記載の組成を有する各水性洗浄剤組成物4gを、不織布〔レーヨン/ナイロン/ポリエステル繊維(30/35/35、質量比)、単層構造、縦14cm×横22cm、目付け50g〕に含浸させて洗浄シートを作製した。これらを用いて下記の方法により、油汚れ洗浄性、及び仕上がり性についての各試験を行った。
【0044】
1.油汚れ洗浄力試験(A)
市販のラード油0.3gを、30cm×30cmのガラス板に均一に塗布したものを、モデル油汚れとして作製した。このモデル油汚れを、上記の各洗浄シートを用いて10回拭いた後における汚れの落ち具合を、目視にて評価した。結果を表1及び表2に示す。
−評価基準−
◎: 完全に汚れが落ちた。
○: 4分の3以上の汚れが落ちた。
△: 半分程度の汚れしか落ちなかった。
×: 汚れが全く落ちなかった。
【0045】
2.油汚れ洗浄力試験(B)/仕上がり性試験
20人の社内モニターが各家庭において、1週間掃除をせずに普段通りに使用したガスレンジに対して、上記の各洗浄シートを用いて軽く汚れを拭き取った後の油汚れの落ち具合、及び、仕上がり性について、下記の評価基準にて目視評価してもらった。これらの評価結果の最多回答を表1及び表2に示す。
【0046】
−評価基準1(洗浄力)−
○: 汚れが殆ど落ちた。
△: 汚れが半分程度落ちた。
×: 汚れが殆ど落ちなかった。
【0047】
−評価基準2(仕上がり性)−
○: 拭き筋が殆ど残らなかった。
△: やや拭き筋が残った。
×: 拭き筋が残った。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
表1及び表2に示された結果より、本発明の洗浄シートは、油汚れ洗浄力、仕上がり性のいずれにおいても優れていることが確認された。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、高い洗浄性と、洗浄後の被洗浄面の仕上がり性に優れた洗浄シートを提供することができる。
Claims (4)
- (A)モルホリン、及びモルホリン誘導体化合物から選ばれる1種又は2種以上、(B)炭素数14〜22の飽和又は不飽和脂肪酸、(C)テルペン系炭化水素、及び(D)界面活性剤を含有し、pHが8〜11である水性洗浄剤組成物をシート基材に含浸させたことを特徴とする洗浄シート。
- 前記(A)成分が0.01〜5質量%、前記(B)成分が0.01〜20質量%、前記(C)成分が0.01〜2質量%、及び前記(D)成分が0.1〜10質量%である請求項1に記載の洗浄シート。
- 前記(B)成分が、オレイン酸である請求項1又は2に記載の洗浄シート。
- 前記(C)成分が、リモネンである請求項1から3のいずれかに記載の洗浄シート。
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