JP4026801B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に適用されるトロイダル型無段変速機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用無段変速機は、その滑らかさ、運転のしやすさ及び燃費向上の期待もあって近年研究開発が進められている。このうち、入出力ディスクとパワーローラとの間に形成される油膜のせん断によって動力を伝達するものであり、先に実用化されたVベルト式無段変速機に比べて大容量かつ応答性のよいトロイダル型無段変速機(以下、トロイダル型CVT)が既に実用化されるに至っている。
【0003】
トロイダル型CVTは、同軸に対向配置された入力ディスク及び出力ディスクと、入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧されたパワーローラと、変速機ケースに傾転可能に取り付けられ、パワーローラを回転可能に支持するトラニオンとを有する構成であり、パワーローラの傾転角の大きさに応じた変速比を得る変速動作は、トラニオンをパワーローラ回転軸と直交する傾転軸方向に僅かに変位させることにより、パワーローラをディスク回転中心位置からオフセットさせ、このオフセットによりパワーローラと入力ディスクとの接触部で発生するサイドスリップ力によりパワーローラを傾転させ、所定の傾転角となった時点でトラニオンに与えた変位を元のディスク回転中心位置に戻し、パワーローラの傾転動作を停止することでなされる。
【0004】
この変速動作時に、パワーローラの傾転にかかわらずパワーローラと入出力ディスクとの接触状態を常に維持するために、ローディングカム装置により入出力ディスクの間隔を変化させている。このとき、固定の出力ディスクに対し、入力ディスクのみをローディングカム装置によりディスク軸方向に移動させているのに対し、トラニオン傾転軸は軸位置の変動がない固定軸であるため、ローディングカム装置による入出力ディスクの間隔変化に追従させてパワーローラのディスク接触を保つためには、パワーローラをパワーローラ回転軸及びトラニオン傾転軸に垂直な方向(左右方向)に移動させる必要がある。また、動力伝達時において入出力ディスクが変形した際や、組立時に発生し得るミスアライメントが生じた際には、パワーローラと入出力ディスクとの相対位置ずれが発生し、この相対位置ずれを吸収するためにもパワーローラを左右方向に移動させる必要がある。
【0005】
このパワーローラの左右方向への移動を確保するパワーローラ支持構造としては、例えば、特開平11−159590号公報において、パワーローラ支持側とトラニオン支持側とで軸心位置を偏心させたピボットシャフトを用い、パワーローラの揺動運動(スウィング運動)によりパワーローラを左右方向への移動を許容するパワーローラ支持構造が提案されている。
【0006】
しかし、ピボットシャフトを支える軸受部等のガタによっても上下方向に移動するため、パワーローラがディスク回転中心位置から僅かにオフセットしてしまい、不要な変速(トルクシフト)が発生してしまう。
【0007】
そこで、トルクシフトを防止するパワーローラ支持構造として、例えば、特開平7−198014号公報において、図12に示すように、トラニオンに、入出力ディスクの回転軸方向に配置したパワーローラ収納部を形成し、パワーローラとトラニオンのパワーローラ収納部との間にリニアベアリングを介装し、パワーローラを左右方向に平行移動可能に支持するパワーローラ支持構造が提案されている。なお、パワーローラは、パワーローラ内輪とパワーローラ軸受と外輪一体型シャフトを有して構成されている。
【0008】
しかし、このスライド機構によるパワーローラ支持構造にあっては、動力伝達に伴う上下方向(トラニオン傾転軸方向)の荷重を、トラニオンのパワーローラ収納部内壁にて受ける構造となっているため、上下方向荷重がパワーローラに作用した場合、パワーローラ外輪部とトラニオンのパワーローラ収納部内壁とが接触し、円滑なパワーローラの左右方向平行移動を妨げるという問題がある。これに対して、図13に示すように、トラニオンのパワーローラ収納部内壁と外輪一体型シャフトのパワーローラ外輪部の上下面との間にころ軸受を配置し、円滑なパワーローラの左右方向平行移動を確保する考え方がある。さらに、図14に示すように、トラニオンのパワーローラ収納部内壁と外輪一体型シャフトのパワーローラ外輪部とに傾斜面を形成し、両傾斜面の間にころ軸受を、角度を持たせて配置し、この傾斜配置のころ軸受により、パワーローラに働く前後方向(パワーローラ回転軸方向)の荷重と上下方向の荷重を共に支え、かつ、円滑なパワーローラの左右方向平行移動を確保する考え方がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造にあっては、図12〜図14に示すように、いずれもパワーローラ外輪とシャフトとを一体に形成した外輪一体型シャフトを用いるものであるため、外輪一体型シャフトの部品製造に際し、パワーローラ外輪部のシャフト側面にパワーローラ軸受の外輪側転動体レース面を加工する必要があり、転動体レース面の加工の際には特殊な工法を要すると共に、加工工数が増加するというように、部品加工性が悪く、加工費が高騰してしまうという問題点があった。例えば、パワーローラ軸受として玉軸受が用いられる場合、環状凹曲面である転動体レース面を研磨する際、研磨工具とシャフトの干渉が生じる。
【0010】
ここで、パワーローラ外輪とシャフトとを一体化する理由は、入出力ディスクからパワーローラ内輪へ加わる荷重によりシャフトが倒れるのを防止し、シャフト倒れに伴う下記に述べるような弊害を低減または抑制するためである。
(1)シャフト倒れを原因とし、パワーローラが入力ディスクに対しオフセット変位し、不要なトルクシフトが発生する。
(2)シャフト倒れによりパワーローラ軸受の転動体を介してパワーローラ外輪に作用する荷重が偏荷重となり、これによりパワーローラ外輪が変形する。
【0011】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、パワーローラ外輪とシャフトとを別体とし、パワーローラ外輪に転動体レース面を加工した後、組み付け時にシャフトと一体化することで、シャフトの倒れを防止しながら、良好な部品加工性により低コストにてパワーローラを製造することができるトロイダル型無段変速機を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、同軸に対向配置された入力ディスク及び出力ディスクと、
前記入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧されたパワーローラと、
変速機ケースに傾転可能に取り付けられ、前記パワーローラを回転可能に支持するトラニオンとを備え、
前記パワーローラは、入出力ディスクに摩擦接触するパワーローラ内輪と、入出力ディスクからパワーローラ内輪に入力される軸方向荷重を受けるパワーローラ外輪と、前記パワーローラ内輪とパワーローラ外輪との間に介装されるパワーローラ軸受と、入出力ディスクからパワーローラ内輪に入力される径方向荷重を受けるシャフトとを有して構成され、
前記トラニオンのパワーローラ収納部とパワーローラ背面との間に、パワーローラがトラニオンに対し、トラニオン傾転軸とパワーローラ回転軸とに直交する左右方向に沿って平行移動するように、ころ軸受が配置されたトロイダル型無段変速機において、
前記シャフトを、パワーローラ外輪との外輪接触面を正面に有し、前記ころ軸受のレース面を背面に有するパワーローラ保持部と、パワーローラ内輪を回転可能に支持するシャフト部とが一体に形成された保持部付きシャフトとし、
前記パワーローラ外輪を、パワーローラ軸受の転動体レース面を正面に有し、前記パワーローラ保持部との保持部接触面を背面に有し、前記保持部付きシャフトのシャフト部に挿通される内径穴を中央部に有する部材とし、
かつ、前記保持部付きシャフトと前記パワーローラ外輪とは、別々に加工した後、互いに組み付けられ、
前記パワーローラ外輪の保持部接触面と、前記パワーローラ保持部の外輪接触面との間に、潤滑油溝を形成したことを特徴とする。
【0021】
【発明の作用および効果】
請求項1に記載の発明にあっては、パワーローラは、パワーローラ内輪と、パワーローラ外輪と、パワーローラ軸受と、シャフトとを有して構成されるが、シャフトは、パワーローラ外輪との外輪接触面を正面に有し、ころ軸受のレース面を背面に有するパワーローラ保持部と、パワーローラ内輪を回転可能に支持するシャフト部とが一体に形成された保持部付きシャフトとされ、パワーローラ外輪は、パワーローラ軸受の転動体レース面を正面に有し、パワーローラ保持部との保持部接触面を背面に有し、保持部付きシャフトのシャフト部に挿通される内径穴を中央部に有する部材とされる。つまり、保持部付きシャフトとパワーローラ外輪とが別々に分割して構成され、しかも、パワーローラ外輪と保持部付きシャフトとは別々に加工され、加工後、互いに組み付けられる。すなわち、パワーローラ軸受の転動体レース面を研磨する際に、従来の外輪一体型シャフトにおいて生じる研磨工具とシャフトとの干渉が解決される。
【0022】
そして、保持部付きシャフトは、パワーローラ保持部とシャフト部が一体に形成され、転動体レース面を含む一部のみがパワーローラ外輪として分割されていることで、従来の外輪一体型シャフトと同様に、入出力ディスクからパワーローラ内輪へ加わる荷重によりシャフトが倒れるのが防止され、このシャフト倒れ防止により、トルクシフトの発生低減やパワーローラ外輪の変形低減が達成される。
【0023】
よって、パワーローラ外輪と保持部付きシャフトとを別体とし、パワーローラ外輪に転動体レース面を加工した後、互いに組み付けるようにしたことで、シャフトの倒れを防止しながら、良好な部品加工性により低コストにてパワーローラを製造することができる。
【0024】
さらに、パワーローラ外輪は、パワーローラ保持部の外径形状にかかわらずドーナツ形状とすることができ、パワーローラ軸受の転動体レース面を加工する際のチャッキングの問題が解決され、パワーローラ外輪を精度良く、安価に製作することができる。
【0025】
加えて、パワーローラ外輪を支持するパワーローラ保持部を設けることで、パワーローラ外輪の肉厚を均等にでき、転動体レース面の剛性が一様となり、局所的な応力増加がなくなるため、パワーローラ外輪の耐久性が向上する。
さらに加えて、パワーローラ外輪の保持部接触面と、パワーローラ保持部の外輪接触面との間に、潤滑油溝が形成される。
よって、パワーローラ外輪が相対回転や相対移動する際に、潤滑油の介在により円滑な相対回転や相対移動ができ、パワーローラ軸受の転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるトロイダル型無段変速機を実現する実施の形態を、請求項1に対応する第1実施例,第2実施例と、に基づいて説明する。
【0038】
(第1参考例)
[全体構成について]
図1は第1参考例のトロイダル型無段変速機を示す全体構成図で、10はトロイダル型無段変速機を示し、図外のエンジンからの回転駆動力がトルクコンバータ12を介して入力される。トルクコンバータ12は、ポンプインペラ12a,タービンランナ12b,ステータ12c,ロックアップクラッチ12d,アプライ側油室12e,及びリリース側油室12f等からなり、その中心部をインプットシャフト14が貫通している。
【0039】
(第1参考例)
この第1参考例は、図7に示すように、パワーローラ18cの基本構成は第1実施例〜第4実施例と同様に、パワーローラ内輪91と、パワーローラ外輪92と、玉軸受93と、シャフト94とを有して構成されるが、シャフト94を、パワーローラ外輪92との外輪接触面94fを正面に有し、ころ軸受95,95の転動体レース面94gを背面に有するパワーローラ保持部94hと、パワーローラ内輪91を回転可能に支持するシャフト部94iとが一体に形成された保持部付きシャフト94'とし、パワーローラ外輪92を、玉軸受93の転動体レース面92aを正面に有し、パワーローラ保持部94hとの保持部接触面92gを背面に有し、保持部付きシャフト94'のシャフト部94iに挿通される内径穴92hを中央部に有する環状部材によるパワーローラ外輪92'とした例である。
【0040】
前記遊星歯車機構42のピニオンキャリヤ42aはトルク伝達軸16に連結され、該トルク伝達軸16には、第一無段変速機構18及び第二無段変速機構20が変速機ケース22内の下流側にタンデム配置される。尚、符号64で示すベースに、コントロールバルブ系のボディを配置する。
【0041】
前記第一無段変速機構18は、対向面がトロイド曲面に形成される一対の入力ディスク18a及び出力ディスク18bと、これら入出力ディスク18a,18bの対向面間に挟圧配置されると共にトルク伝達軸16に関し対称配置される一対のパワーローラ18c,18dと、これらパワーローラ18c,18dをそれぞれ回転可能に支持するトラニオン17a,17b(図2)を備える。第二無段変速機構20も同様、対向面がトロイド曲面に形成される一対の入力ディスク20a及び出力ディスク20bと、一対のパワーローラ20c,20dと、これらパワーローラ20c,20dをそれぞれ回転可能に支持するトラニオン27a,27b(図2)を備える。
【0042】
トルク伝達軸16上において両無段変速機構18,20は、出力ディスク18b,20bが対向するように互いに逆向きに配置され、第一無段変速機構18の入力ディスク18aは、トルクコンバータ12を経た入力トルクに応じた押圧力を発生するローディングカム装置34によって図中軸方向右側に向かって押圧される。
【0043】
前記ローディングカム装置34は、ローディングカム34aを有し、スライドベアリング38を介し軸16に支持される。第二無段変速機構20の入力ディスク20aは、皿ばね40により図中軸方向左側に向かって押圧付勢されている。
【0044】
各入力ディスク18a,20aは、ボールスプライン24,26を介して伝達軸16に回転可能かつ軸方向に移動可能に支持される。
【0045】
上記機構において、各パワーローラ18c,18d,20c,20dは後述する作動により変速比に応じた傾転角が得られるようにそれぞれ傾転され、入力ディスク18a,20aの入力回転を無段階(連続的)に変速して出力ディスク18b,20bに伝達する。
【0046】
出力ディスク18b,20bは、トルク伝達軸16上に相対回転可能に嵌合された出力ギヤ28とスプライン結合され、伝達トルクは該出力ギヤ28を介し、出力軸(カウンタシャフト)30に結合したギヤ30aに伝達され、これらギヤ28,30aはトルク伝達機構32を構成する。また、出力軸30,50上に設けたギヤ52,56とこれらにそれぞれ噛合するアイドラギヤ54とよりなる伝達機構48を設け、出力軸50はこれをプロペラシャフト60に連結する。
【0047】
[変速制御系の構成について]
上記パワーローラ18c,18d,20c,20dを変速比に応じた傾転角が得られるようにそれぞれ傾転させる変速制御系について、図2に示す概略図により説明する。
【0048】
まず、各パワーローラ18c,18d,20c,20dは、トラニオン17a,17b,27a,27bの一端に支持されていて、パワーローラ回転軸15a,15b,25a,25bを中心として回転自在である。このトラニオン17a,17b,27a,27bの他端部には、トラニオン17a,17b,27a,27bを軸方向に移動させて各パワーローラ18c,18d,20c,20dを傾転させる油圧アクチュエータとしてサーボピストン70a,70b,72a,72bが設けられている。
【0049】
前記サーボピストン70a,70b,72a,72bを作動制御する油圧制御系として、ハイ側油室に接続されるハイ側油路74と、ロー側油室に接続されるロー側油路76と、ハイ側油路74を接続するポート78aとロー側油路76を接続するポート78bを有する変速制御弁78とが設けられている。
前記変速制御弁78のライン圧ポート78cには、オイルポンプ80及びリリーフ弁82を有する油圧源からのライン圧が供給される。
前記変速制御弁78の変速スプール78dは、トラニオン17aの軸方向及び傾転方向を検知し、変速制御弁78にフィードバックするレバー84及びプリセスカム86と連動する。
前記変速制御弁78の変速スリーブ78eは、ステップモータ88により軸方向に変位するように駆動される。
【0050】
前記ステップモータ88を駆動制御する電子制御系として、CVTコントローラ110が設けられ、このCVTコントローラ110には、スロットル開度センサ112、エンジン回転センサ114、入力軸回転センサ116、出力軸回転センサ(車速センサ)118等からの入力情報が取り込まれる。
【0051】
[パワーローラ支持構造について]
上記各パワーローラ18c,18d,20c,20dから代表として選んだパワーローラ18cの支持構造について、図3によりその構成を説明する。尚、他のパワーローラ18d,20c,20dについても同様の構造を採用する。
【0052】
前記トラニオン17aは、変速機ケース22に対しパワーローラ回転軸15aと直交するトラニオン傾転軸19aの周りに傾転可能に取り付けられていて、このトラニオン17aの上部位置に形成されたパワーローラ収納部90に、パワーローラ18cが支持されている。
【0053】
前記パワーローラ18cは、図3に示すように、入出力ディスク18a,18bに摩擦接触するパワーローラ内輪91と、入出力ディスク18a,18bからパワーローラ内輪91に入力される軸方向荷重を受けるパワーローラ外輪92と、前記パワーローラ内輪91とパワーローラ外輪92との間に介装される玉軸受(パワーローラ軸受)93と、入出力ディスク18a,18bからパワーローラ内輪91に入力される径方向荷重を受けるシャフト94とを有して構成されている。
【0054】
前記トラニオン17aのパワーローラ収納部90とパワーローラ外輪92の背面のパワーローラ回転軸15aを挟んで離れた上下位置は、等間隔で対向する傾斜面に形成され、両傾斜面の間に、パワーローラ18cがトラニオン17aに対し、トラニオン傾転軸19aとパワーローラ回転軸15aとに直交する左右方向に沿って平行移動するように、一対のころ軸受95,95が配置されている。
【0055】
前記シャフト94は、パワーローラ内輪91を、ころ軸受96を介して、回転可能に支持する小径シャフト部94aと、前記パワーローラ外輪92と加工後に一体化される大径シャフト部94bとにより段差シャフト形状に形成される。
【0056】
前記パワーローラ外輪92は、玉軸受93との転動体レース面92aを正面に有し、前記ころ軸受95との転動体レース面92bを背面に有し、前記シャフト94の大径シャフト部94bに挿通される内径穴92cを中央部に有する部材とされる。
【0057】
そして、前記玉軸受93の転動体レース面92aを有するパワーローラ外輪92と、前記シャフト94とは別々に加工され、前記トラニオン17aへの組み付け時には、パワーローラ外輪92の内径穴92cとシャフト94の大径シャフト部94bとが、圧入,接着,焼きばめ等により一体化される。
【0058】
なお、図3において、97はトラニオン17aに形成された第1潤滑油路、98はシャフト94に形成された第2潤滑油路、99は第1潤滑油路97の潤滑油を第2潤滑油路98に受け渡す潤滑パイプであり、第2潤滑油路98に導かれた潤滑油は径方向油路を介して玉軸受93やころ軸受96に供給される。
【0059】
次に、作用を説明する。
【0060】
[変速比制御作用]
トロイダル型CVTは、トラニオン17a,17b,27a,27bを傾転軸19aの方向に変位し、パワーローラ18c,18d,20c,20dを傾転させることによって変速比を変える。
つまり、CVTコントローラ90からの目標変速比が得られる駆動指令によりステップモータ88を回転させるとによって変速スリーブ78eが変位すると、サーボピストン70a,70b,72a,72bの一方のサーボピストン室に作動油が導かれ、他方のサーボピストン室から作動油が排出され、トラニオン17a,17b,27a,27bがトラニオン傾転軸19aの方向に変位する。
【0061】
これにより、パワーローラ18c,18d,20c,20dの回転中心がディスク回転中心位置に対してオフセットする。このオフセットによりパワーローラ18c,18d,20c,20dと入出力ディスク18a,18b,20a,20bとの接触部で発生するサイドスリップ力によりパワーローラ18c,18d,20c,20dが傾転する。
この傾転運動およびオフセットは、プリセスカム86及びレバー84を介して変速スプール78dに伝達され、ステップモータ88により変位している変速スリーブ78eとの釣り合い位置で静止し、所定の傾転角となった時点でトラニオントラニオン17a,17b,27a,27bに与えた変位が元のディスク回転中心位置に戻され、パワーローラ18c,18d,20c,20dの傾転動作を停止することでなされる。なお、変速比は、パワーローラ18c,18d,20c,20dの傾転角により決まる。
【0062】
[パワーローラのスライド作用]
パワーローラ18cを代表例として、パワーローラ18cのスライド作用について説明する。なお、他のパワーローラ18d,20c,20dも同様の作用を示す。
【0063】
入出力ディスク18a,18bからパワーローラ18cに対して左右方向の荷重が作用した場合、パワーローラ背面の上下方向に離れた位置に傾斜配置させた一対のころ軸受95,95により、トラニオン17aに対してパワーローラ18cの左右方向移動が許容される。しかも、パワーローラに対する荷重に前後方向の荷重や上下方向の荷重が含まれても、パワーローラ背面の上下方向に離れた位置に傾斜配置させた一対のころ軸受により、パワーローラに働く前後方向の荷重と上下方向の荷重が共にトラニオン17aにて支えられることで、例えa、上下ン方向の荷重によりパワーローラ収納部とパワーローラとが接触することがなく、トラニオン17aに対してパワーローラ18cの円滑な左右方向移動が確保される。
【0064】
このため、例えば、ローディングカム装置34により入出力ディスク18a,18bの間隔が変化する場合には、パワーローラ18cのスライド作用により、入出力ディスク18a,18bの間隔変化に追従させることができるし、また、入出力ディスク18a,18bが変形した際や、組立時に発生し得るミスアライメントが生じた際にも、パワーローラ18cのスライド作用により、パワーローラ18cと入出力ディスク18a,18bとの相対位置ずれを吸収することができる。
【0065】
[部品製造と組み立て作用]
パワーローラ18cは、パワーローラ内輪91と、パワーローラ外輪92と、玉軸受93と、シャフト94とを有して構成されるが、入出力ディスク18a,18bからパワーローラ内輪91に入力される軸方向荷重を、玉軸受93を介して受けるパワーローラ外輪92と、入出力ディスク18a,18bからパワーローラ内輪91に入力される径方向荷重を受けるシャフト94とが別々に分割して構成され、しかも、パワーローラ外輪92とシャフト94とは別々に加工される。すなわち、玉軸受93の転動体レース面92aを研磨する際に、従来の外輪一体型シャフトにおいて生じる研磨工具とシャフトとの干渉が解決される。
【0066】
そして、トラニオン17aへの組み付け時には、別々に加工されたパワーローラ外輪92とシャフト94とが一体化されるため、従来の外輪一体型シャフトと同様に、入出力ディスク18a,18bからパワーローラ内輪91へ加わる荷重によりシャフト94が倒れるのが防止され、このシャフト倒れ防止により、トルクシフトの発生低減やパワーローラ外輪92の変形低減が達成される。
【0067】
次に、効果を説明する。
【0068】
(1) 玉軸受93の転動体レース面92aを有するパワーローラ外輪92と、シャフト94とを別々に加工し、トラニオン17aへの組み付け時には、パワーローラ外輪92とシャフト94とを一体化するようにしたため、シャフト94の倒れを防止しながら、良好な部品加工性により低コストにてパワーローラ18cを製造することができる。
【0069】
(第2参考例)
この第2参考例は、図4に示すように、シャフト94の大径シャフト部94bに、径方向に突出する段差凸部94cを形成し、パワーローラ外輪92の内径穴92cに段差凸部94cと符合する段差凹部92dを形成し、パワーローラ外輪92とシャフト94とを別々に加工し、トラニオン17aへの組み付け時に、パワーローラ外輪92の段差凹部92dを有する内径穴92cと、シャフト94の段差凸部94cを有する大径シャフト部94bとを、圧入,接着,焼きばめ等により一体化した例である。尚、他の構成は第1参考例と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。また、作用についても第1参考例と同様である。
【0070】
第2参考例のトロイダル型無段変速機にあっては、シャフト94の大径シャフト部94bに、径方向に突出する段差凸部94cを形成し、パワーローラ外輪92の内径穴92cに段差凸部94cと符合する段差凹部92dを形成したため、第1参考例の効果に加え、凹凸係合による一体化で軸方向の抜けが防止され、パワーローラ外輪92とシャフト94との結合剛性をより高めることができる。
【0071】
(第3参考例)
この第3参考例は、図5に示すように、シャフト94の基部にボルト部94dを形成し、パワーローラ外輪92のネジ部94dと符合する基部にナット凹部92eを形成し、パワーローラ外輪92とシャフト94とを別々に加工し、トラニオン17aへの組み付け時に、パワーローラ外輪92とシャフト94とを、ナット100による螺合にて一体化した例である。尚、他の構成は第1参考例と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。また、作用についても第1参考例と同様である。
【0072】
第3参考例のトロイダル型無段変速機にあっては、パワーローラ外輪92とシャフト94とを、ナット100による螺合にて一体化したため、第1参考例の効果に加え、結合剛性がより強固なものになると共に、組み立て性を高めることができる。
【0073】
(第4参考例)
この第4参考例は、図6に示すように、シャフト94の基部に雄ネジ部94eを形成し、パワーローラ外輪92の内径穴92cに雄ネジ部94eと螺合する雌ねじ部92fを形成し、パワーローラ外輪92とシャフト94とを別々に加工し、トラニオン17aへの組み付け時に、パワーローラ外輪92とシャフト94とを、雄ネジ部94eと雌ねじ部92fによる螺合にて一体化した例である。尚、他の構成は第1参考例と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。また、作用についても第1参考例と同様である。
【0074】
第4参考例のトロイダル型無段変速機にあっては、パワーローラ外輪92とシャフト94とを、雄ネジ部94eと雌ねじ部92fによる螺合にて一体化したため、第1参考例の効果に加え、部品点数を増すことなく、結合剛性がより強固なものになると共に、組み立て性を高めることができる。
【0075】
(第5参考例)
この第5参考例は、図7に示すように、パワーローラ18cの基本構成は第1参考例〜第4参考例と同様に、パワーローラ内輪91と、パワーローラ外輪92と、玉軸受93と、シャフト94とを有して構成されるが、シャフト94を、パワーローラ外輪92との外輪接触面94fを正面に有し、ころ軸受95,95の転動体レース面94gを背面に有するパワーローラ保持部94hと、パワーローラ内輪91を回転可能に支持するシャフト部94iとが一体に形成された保持部付きシャフト94'とし、パワーローラ外輪92を、玉軸受93の転動体レース面92aを正面に有し、パワーローラ保持部94hとの保持部接触面92gを背面に有し、保持部付きシャフト94'のシャフト部94iに挿通される内径穴92hを中央部に有する環状部材によるパワーローラ外輪92'とした例である。
【0076】
つまり、第1参考例〜第4参考例とは異なる分割位置にて保持部付きシャフト94'とパワーローラ外輪92'とを分割することで、パワーローラ外輪92'と保持部付きシャフト94'とは別々に加工され、加工後、互いに組み付けられる。
【0077】
尚、他の構成は第1参考例と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。また、変速比制御作用及びパワーローラのスライド作用についても第1参考例と同様である。
【0078】
部品製造と組み立て作用については、パワーローラ外輪92’と保持部付きシャフト94’とは別々に加工されるため、パワーローラ外輪92’に玉軸受93の転動体レース面92aを研磨する際には、従来の外輪一体型シャフトにおいて生じる研磨工具とシャフトとの干渉が解決される。
【0079】
そして、保持部付きシャフト94’は、パワーローラ保持部94hとシャフト部94iが一体に形成され、転動体レース面92aを含む一部のみがパワーローラ外輪92’として分割されていることで、従来の外輪一体型シャフトと同様に、入出力ディスク18a,18bからパワーローラ内輪91へ加わる荷重により保持部付きシャフト94’が倒れるのが防止され、このシャフト倒れ防止により、トルクシフトの発生低減や、軸受類の転動疲労寿命の低下抑制や、パワーローラ外輪92’の変形低減が達成される。
【0080】
第5参考例のトロイダル型無段変速機にあっては、パワーローラ外輪92'と保持部付きシャフト94'とを別体とし、パワーローラ外輪92'に転動体レース面92aを加工した後、互いに組み付けるようにしたため、保持部付きシャフト94'の倒れを防止しながら、良好な部品加工性により低コストにてパワーローラ18cを製造することができる。
【0081】
さらに、パワーローラ外輪92’は、パワーローラ保持部94hの外径形状にかかわらずドーナツ形状とすることができ、パワーローラ外輪92’に転動体レース面92aを加工する際のチャッキングの問題が解決され、パワーローラ外輪92’を精度良く、安価に製作することができる。
【0082】
加えて、パワーローラ外輪92’を支持するパワーローラ保持部94hを設けることで、パワーローラ外輪92’の肉厚を均等にでき、転動体レース面92aの剛性が一様となり、局所的な応力増加がなくなるため、パワーローラ外輪92’の耐久性が向上する。
【0083】
(第6参考例)
この第6参考例は、図8に示すように、図7に示す第5参考例において、パワーローラ外輪92'の内径穴92hと、保持部付きシャフト94'のシャフト部94i(大径シャフト部94b)の外径との間に、シャフト部全周にわたって隙間tを設けた例である。
【0084】
尚、他の構成は第5参考例と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。また、作用については、下記のパワーローラ外輪92'の相対移動作用及び相対回転対応作用を除いては第5参考例と同様である。
【0085】
まず、パワーローラ外輪92’の相対移動作用について述べると、入出力ディスク18a,18bとパワーローラ内輪91との間で動力伝達を行う際に発生するトラニオン傾転軸方向の力により、パワーローラ内輪91がトラニオン傾転軸方向に移動しても、パワーローラ外輪92’がパワーローラ内輪91の移動に追従することが可能となる。つまり、パワーローラ外輪92’とパワーローラ保持部94hとが、トラニオン傾転軸方向の隙間tの設定により相対移動可能なため、パワーローラ内輪91の移動に対してもパワーローラ外輪92’は移動可能である。
【0086】
また、パワーローラ外輪92’の相対回転対応作用について述べると、入出力ディスク18a,18bとパワーローラ内輪91との間で動力伝達を行う際に発生する力が、玉軸受93を介してパワーローラ外輪92’に伝達され、パワーローラ外輪92’に作用する力に、パワーローラ外輪92’を回転させる力が含まれる場合、パワーローラ外輪92’は、それ自体の回転を許容しながら移動する。つまり、パワーローラ外輪92’は、全周にわたる隙間tの設定により保持部付きシャフト94’に対し相対回転及び隙間tの範囲で相対移動が可能である。
【0087】
第6参考例のトロイダル型無段変速機にあっては、パワーローラ外輪92'の内径穴92hと、保持部付きシャフト94'のシャフト部94iの外径との間に、シャフト部全周にわたって隙間tを設けたため、第5実施例の効果に加え、パワーローラ外輪92'の相対回転及び相対移動による自動調心動作により、パワーローラ内輪側の転動体レース面91aとパワーローラ外輪側の転動体レース面92aとのあらゆる方向のずれが抑制されることで、玉軸受93の転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
【0088】
(第7参考例)
この第7参考例は、図9に示すように、図8に示す第6参考例において、パワーローラ外輪92'の内径穴92hと保持部付きシャフト94iのシャフト部外径との間に設けた隙間t2の寸法が、パワーローラ内輪91の内径穴91bところ軸受96との隙間t1の寸法以上に設定された例である。
【0089】
尚、他の構成は第6参考例と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。また、作用については、パワーローラ外輪92'が移動可能な最大値が、パワーローラ内輪91が移動可能な最大値より大きくなり、パワーローラ内輪91がパワーローラ外輪92'の移動量以上に移動することはなくなるという作用を除いては第6参考例と同様である。
【0090】
第7参考例のトロイダル型無段変速機にあっては、パワーローラ外輪92'の内径穴92hと保持部付きシャフト94iのシャフト部外径との間に設けた隙間t2の寸法2を、パワーローラ内輪91の内径穴91bところ軸受96との隙間t1の寸法以上に設定したため、パワーローラ内輪91とパワーローラ外輪92'との軸心ずれが確実に抑制され、さらに玉軸受93の転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
【0091】
ここで、第6参考例及び第7参考例において、パワーローラ外輪92'の保持部接触面92gと、パワーローラ保持部94hの外輪接触面94fとは、平滑に加工仕上げすることが好ましく、この両接触面92g,94fの平滑加工仕上げにより、パワーローラ内輪91の移動に対するパワーローラ外輪92'の追従移動が円滑になり、パワーローラ内輪91とパワーローラ外輪92'との軸心ずれが応答良く確実に抑制される。
【0092】
(第1実施例)
この第1実施例は、図10に示すように、図9に示す第7参考例において、パワーローラ外輪92'の保持部接触面92gと、パワーローラ保持部94hの外輪接触面94fとの間に、潤滑油溝101を形成した例である。
【0093】
尚、他の構成は第7参考例と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。また、作用については、パワーローラ外輪92'が相対回転や相対移動する際に、潤滑油の介在により円滑な相対回転や相対移動ができるという作用を除いては第7参考例と同様である。
【0094】
第7参考例のトロイダル型無段変速機にあっては、パワーローラ外輪92'の保持部接触面92gと、パワーローラ保持部94hの外輪接触面94fとの間に、潤滑油溝101を形成したため、パワーローラ外輪92'が相対回転や相対移動する際に、潤滑油の介在により円滑な相対回転や相対移動ができ、玉軸受93の転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
【0095】
(第2実施例)
この第2実施例は、図11に示すように、図10に示す第1実施例において、パワーローラ外輪92'の保持部接触面92gと、パワーローラ保持部94hの外輪接触面94fとの間に形成した潤滑油溝101に対し、第2潤滑油路98に導かれた潤滑油を供給する径方向油路102を形成した例である。
【0096】
尚、他の構成は第1実施例と同様であるので、対応する部分に同一符号を付して説明を省略する。また、作用については、パワーローラ外輪92'が相対回転や相対移動する際に、径方向油路102を介して潤滑油が潤滑油溝101に供給され、十分な量の潤滑油の介在によりパワーローラ外輪92'のより円滑な相対回転や相対移動ができるという作用を除いては第1実施例と同様である。
【0097】
第2実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、パワーローラ外輪92'の保持部接触面92gと、パワーローラ保持部94hの外輪接触面94fとの間に形成された潤滑油溝101に対し、第2潤滑油路98に導かれた潤滑油を供給する径方向油路102を形成したため、パワーローラ外輪92'が相対回転や相対移動する際に、十分な量の潤滑油の介在により円滑な相対回転や相対移動ができ、玉軸受93の転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
【0098】
(他の実施例)
以上、本発明のトロイダル型無段変速機を第1実施例〜第2実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0099】
例えば、第1実施例〜第4実施例では、スライド機構によりパワーローラの左右方向平行移動を確保するパワーローラ支持構造に、パワーローラ外輪とシャフトを別々に加工し、トラニオンへの組み付け時に一体化する例を示したが、ピボットシャフト(偏心軸)を持つ、いわゆる、従来のスウィング機構によるパワーローラの左右方向移動を確保するパワーローラ支持構造に、パワーローラ外輪とシャフトを別々に加工し、トラニオンへの組み付け時に一体化する技術を適用することができる。
【0100】
第1実施例〜第2実施例では、パワーローラ軸受として、玉軸受を用いた例を示したが、円すいころ軸受等を用いたものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1参考例のトロイダル型無段変速機を示す全体システム図である。
【図2】第1参考例のトロイダル型無段変速機を示す変速制御系システム図である。
【図3】第1参考例のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ支持構造を示す縦断面図である。
【図4】第2参考例のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ支持構造を示す縦断面図である。
【図5】第3参考例のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ支持構造を示す縦断面図である。
【図6】第4参考例のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ支持構造を示す縦断面図である。
【図7】第5参考例のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ支持構造を示す縦断面図である。
【図8】第6参考例のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ支持構造を示す縦断面図である。
【図9】第7参考例のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ支持構造を示す縦断面図である。
【図10】第1実施例のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ支持構造を示す縦断面図である。
【図11】第2実施例のトロイダル型無段変速機におけるパワーローラ支持構造を示す縦断面図である。
【図12】従来のトロイダル型無段変速機におけるスライド機構によるパワーローラ支持構造を示す縦断面図である。
【図13】従来のトロイダル型無段変速機におけるスライド機構によるパワーローラ支持構造の改良案1を示す縦断面図である。
【図14】従来のトロイダル型無段変速機におけるスライド機構によるパワーローラ支持構造の改良案2を示す縦断面図である。
Claims (1)
- 同軸に対向配置された入力ディスク及び出力ディスクと、
前記入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧されたパワーローラと、
変速機ケースに傾転可能に取り付けられ、前記パワーローラを回転可能に支持するトラニオンとを備え、
前記パワーローラは、入出力ディスクに摩擦接触するパワーローラ内輪と、入出力ディスクからパワーローラ内輪に入力される軸方向荷重を受けるパワーローラ外輪と、前記パワーローラ内輪とパワーローラ外輪との間に介装されるパワーローラ軸受と、入出力ディスクからパワーローラ内輪に入力される径方向荷重を受けるシャフトとを有して構成され、
前記トラニオンのパワーローラ収納部とパワーローラ背面との間に、パワーローラがトラニオンに対し、トラニオン傾転軸とパワーローラ回転軸とに直交する左右方向に沿って平行移動するように、ころ軸受が配置されたトロイダル型無段変速機において、
前記シャフトを、パワーローラ外輪との外輪接触面を正面に有し、前記ころ軸受のレース面を背面に有するパワーローラ保持部と、パワーローラ内輪を回転可能に支持するシャフト部とが一体に形成された保持部付きシャフトとし、
前記パワーローラ外輪を、パワーローラ軸受の転動体レース面を正面に有し、前記パワーローラ保持部との保持部接触面を背面に有し、前記保持部付きシャフトのシャフト部に挿通される内径穴を中央部に有する部材とし、
かつ、前記保持部付きシャフトと前記パワーローラ外輪とは、別々に加工した後、互いに組み付けられ、
前記パワーローラ外輪の保持部接触面と、前記パワーローラ保持部の外輪接触面との間に、潤滑油溝を形成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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