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JP4026709B2 - 折畳み可能な放熱板 - Google Patents

折畳み可能な放熱板 Download PDF

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JP4026709B2
JP4026709B2 JP2002302770A JP2002302770A JP4026709B2 JP 4026709 B2 JP4026709 B2 JP 4026709B2 JP 2002302770 A JP2002302770 A JP 2002302770A JP 2002302770 A JP2002302770 A JP 2002302770A JP 4026709 B2 JP4026709 B2 JP 4026709B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、折畳み可能な放熱板に関する。さらに詳しくは、一般住宅、集合住宅、商業ビルまたはホテルなどの建築物の下地材面上、居住空間の壁面、天井板、衝立などに使用され、折畳みが可能で、梱包、保管、輸送、敷設作業などが容易で、敷設した後の表面が平坦に仕上がる折畳み可能な放熱板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、寒冷地の住宅の居住性、温暖地の住宅の寒冷期における居住性を向上させる目的で、住宅の床面から暖房する床暖房技術が提案され、実用化されている。例えば、一戸建て住宅にあっては、大引と床板との間、大引の上に敷いた下張合板の上面(または上側)などに床暖房用放熱板(パネルともいう)を組込み、放熱板によって暖房する手法が採用され、マンションなどのような集合住宅にあっては、スラブ床の上面に直接またはスラブ床の上面に敷いた下張合板の上などに、床暖房用放熱板を敷設する方法が採用されている。
【0003】
床暖房用放熱板は、例えば、特開昭60−223922号公報、特開平3−175216号公報、特開平4−80596号公報、特開平8−261485号公報などに記載されているように、軟質発泡体または硬質発泡体よりなる板状体の一方の面に溝や空間を形成し、この溝に空間部分に流体用チューブ(熱媒用可撓性チューブ)を埋設し、その表面をアルミニウム箔などの均熱材で被覆した構造のものが提案されている。
【0004】
これら従来から知られている放熱板(パネル)は、狭幅で長尺の板状体に、板状体の長さ方向に沿って形成した溝や空間に、流体を通す流体用チューブを埋設するのが一般的であった。このような構造の放熱板を敷設する場合には、多くの場合、敷設場所とは異なる場所であらかじめ広幅のものに組立て、敷設現場に搬入して敷設する手法が採用されている。しかしながら、この従来法によると、広幅に組立てた放熱板は折畳むと流体用チューブが挫屈したり、板状体に刻設した溝との摩擦により傷がついたりするという欠点があった。
【0005】
熱媒用チューブが挫屈したり、板状体に刻設した溝との摩擦により傷がついたりするのは、流体用チューブを、狭幅で長尺の一方の板状体から隣接する他の板状体に連通させる板状体の端部で多発することに注目し、これら欠点を解消する方法を検討した結果、板状体を取付け取外し自在とした構造の放熱板を提案した(特開平11−141899号公報、特開平11−294783号公報など)。しかし、その後さらに検討した結果、先に提案した構造の放熱板は、上記欠点は解消できたが、なお、板状体の数が多く製作作業が繁雑である、流体用チューブを板状体の溝に嵌合しながらの敷設作業が繁雑である、敷設した後の放熱板表面が平坦にならず凹凸になる、などの欠点があることが分った。
【0006】
【発明が解決しようとした課題】
本発明者らは、部材(部品)が少なく、製作作業が繁雑でなく、折畳みが可能で、梱包、貯蔵、運搬、敷設する際に、流体用チューブが挫屈したり、板状体に刻設した溝との摩擦により傷がつき難く、敷設現場に簡単に敷設でき、敷設した後の表面が平坦に仕上がる放熱板を提供すべく鋭意検討の結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、一方の面に流体用チューブの埋設溝が刻設された長尺狭幅の複数枚の板状体を、相互に端部同士を接触させて配置して平面形状をほぼ四角形とされ、上記埋設溝には流体用チューブ埋設し、表面側の全面に放熱シートが、裏面側の全面または一部に裏面材がそれぞれ貼着され、隣接する板状体の端部同士が接触する複数の接触部を折曲部とした折畳み可能な放熱板において、隣接する板状体の一方の板状体端部の流体用チューブ出口開口部の位置と、他方の板状体端部の流体用チューブ入口開口部の位置とを対向させずにずらし、かつ、隣接する板状体の端部壁面の上記双方の開口部間に流体用チューブ配置用切欠部を設け、この流体用チューブ配置用切欠部を設けた部分で、出口開口部からの流体用チューブを入口開口部に渡らせ、この流体用チューブ配置用切欠部の入口開口部、出口開口部のそれぞれに隣接させて、この流体用チューブ配置用切欠部の深さより深い切欠部を設け、この流体用チューブ配置用切欠部の間をわたる流体用チューブ上であって上記深い切欠部に対応する部分に、長さ方向に直角に切断した際の断面が、C字状で短管状を呈する流体用チューブ押さえ具を取付けてなり、上記複数の折曲部の放熱シートまたは裏面材のいずれか一方を、折曲部に沿って不連続としたことを特徴とする、折畳み可能な放熱用板
を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る折畳み可能な放熱板(パネル)は、長尺狭幅の複数枚の板状体によって構成され、敷設後は広幅で長尺のほぼ四角形を呈する暖房用の床、壁面、天井板、衝立などの形成用に使用される。さらに、放熱板の流体用チューブに熱媒に代えて冷媒を通すときは、冷房用放熱板としても使用される。
【0009】
板状体の素材は、木質フローリング材、木板、合板、パーチクルボード、繊維板、合成樹脂板などの中から選ばれる。合成樹脂板の場合は、独立気泡を有し、かつ、優れた剛性を有する硬質発泡樹脂製平板の中から選ぶのが好適である。硬質発泡樹脂の素材の具体例としては、発泡ポリスチレン、発泡ポリスチレンと発泡ポリエチレンとの混合物、発泡ポリプロピレン、硬質ポリウレタン、発泡硬質ゴムなどが挙げられる。硬質発泡樹脂の素材は、これら例示したものに限定されるものではない。合成樹脂板の発泡倍率は、樹脂の種類により異なるが、通常1.2〜50倍、好ましくは2〜30倍の範囲で選ぶことができる。
【0010】
板状体の厚さは流体用チューブの直径と同じ寸法を最小厚さとし、最大厚さは流体用チューブの直径プラス25mmまでの範囲で選ぶことができる。板状体の厚さが流体用チューブの直径プラス25mm以上であると、板状体が厚くなりすぎ、放熱板が全体として嵩張り、取り扱い難くなるので好ましくない。板状体の長さは放熱板を敷設する場所に応じて、通常60〜400cmの範囲で選ぶことができる。敷設する場所の面積が広い場合は、複数の放熱板を組合せて敷設することもできる。板状体の幅は通常10〜100cmの範囲でそれぞれ選ぶことができる。幅が100cmを超えると、折畳み、梱包、貯蔵、運搬などの作業性に劣り、10cm未満であると、流体用チューブを方向転換させるU字状溝を刻設できない、一定の幅とするのに多数の板状体が必要となる、放熱板の製造作業、放熱板製造後の折畳み作業、折畳み状態から解放しての敷設作業などが繁雑となる、などの欠点があり好ましくない。複数枚の板状体を配列して平面形状をほぼ四角形の放熱板とする際には、複数枚の板状体の厚さ、長さ、幅などを同じ寸法とするのが好ましい。
【0011】
複数枚の板状体によって構成される放熱板の一方の面に、流体用チューブ埋設用の埋設溝を刻設する。埋設溝を刻設する面は表面側、裏面側のいずれであってもよいが、放熱効率の観点から表面側が好適である。埋設溝は、溝の延在方向に対して直角に切断した際の断面がU字形状を呈するものが好ましい。断面がU字状の埋設溝の開口幅および深さは、流体用チューブの直径とほぼ同じ大きさとするのが好ましい。この埋設溝は、平面から見た配置状態がU字状曲線、直線、S(または逆S)字状曲線とを適宜組合せ、連続させて刻設される。
【0012】
以下では、埋設溝を板状体の表面側に刻設した構造の放熱板について説明する。平面がU字状曲線を呈する埋設溝は、各板状体の長さ方向の一端または両端部に設けられ、流体用チューブを埋設した状態で方向転換させる溝であり、直線は板状体の長さ方向に沿い端部のU字状曲線を結ぶ溝であり、平面がS(逆S)字状曲線を呈する埋設溝は複数の折曲部のうちの一部流体用チューブを、一方の板状体から他方の板状体に渡らせる部分に刻設され溝である。U字状曲線およびS(逆S)字状曲線の曲率の半径は、流体用チューブが座屈しない最低の寸法とするのが好ましい。埋設溝は、全体として放熱板から均一に放熱されるように、または、暖房したい所定部分から均一に放熱されるように、分布させるのが好ましい。
【0013】
本発明に係る放熱板は、隣接する板状体の一方の板状体端部の流体用チューブ出口(流体の流出部分)開口部の位置と、他方の板状体端部の流体用チューブ入口(流体の流入部分)開口部の位置とを対向させずにずらして設ける(後記、図3および図6参照)。一方の出口と他方の入口の間(以下、この部分をチューブ渡り部分ということがある)に渡らせて流体用チューブを配置し、放熱板をチューブ渡り部分を含む折曲部で折曲げた際に、流体用チューブはこのチューブ渡り部分で直線状になって露出し、捩じれが少なく直角に折曲げられることがないので挫屈し難くなる。開口部の位置をずらす長さ(チューブ渡り部分の長さ)が小さすぎると、流体用チューブの捩じれが大きくなり、直角に近い角度で折曲げられるので挫屈し易くなり、逆に大きすぎると、折曲げた状態を開放して平面にする際に、この部分で露出した流体用チューブを流体用チューブ切欠部に嵌合し難くなり、いずれも好ましくない。位置をずらす長さは、流体用チューブ直径の5〜20倍の範囲とするのが好ましい。
【0014】
隣接する板状体の端部壁面の上記双方の開口部間(チューブ渡り部分)に、流体用チューブ配置用切欠部を設ける。流体用チューブ配置用切欠部は、二枚の板状体端部に鏡面対照に設け、二枚の板状体端部を突合わせた状態では、断面がU字形状を呈する埋設溝を形成するような構造とする(後記、図4および図5などを参照)。このようなチューブ渡り部分を設けることによって、板状体を端部同士の接触部で折曲げた際には、チューブ渡り部分で渡らせた流体用チューブを露出させ、折曲げ状態を開放し平面状態にして敷設する際には、流体用チューブをチューブ渡り部分に設けた流体用チューブ配置用切欠部に、容易に嵌合することができる。流体用チューブ配置用切欠部の長さは、チューブ渡り部分の長さと同一でもよいし、チューブ渡り部分を含む折曲部全体の長さとしてもよい。
【0015】
放熱板に流体用チューブ渡り部分を含む折曲部を設ける位置は、(1)板状体の幅方向端部のみ、(2)板状体の長さ方向端部のみ、(3)幅方向端部と長さ方向端部の双方、のいずれであってもよい。上記(1)は、長尺狭幅の板状体を複数枚組合せて広幅の放熱板とする際に採用され、上記(2)は、長尺狭幅の板状体を複数枚組合せて長尺とする際に採用され、上記(3)は、長尺狭幅の板状体を複数枚組合せて広幅で長尺とする際に採用される。
【0016】
本発明に係る放熱板は、流体用チューブの表面適所に流体用チューブ押さえ具を取付けると、放熱板を折曲げ状態を開放し平面状態にして敷設する際に、流体用チューブ渡り部分の流体用チューブを押し込み、流体用チューブ配置用切欠部に嵌合させることができ、流体用チューブ渡り部分から流体用チューブが放熱板の表面上側に突出するのを防止できるので、好ましい。流体用チューブ押さえ具を取付ける位置は、流体用チューブの表面上であって、深い切欠部を設けた部分に対応する位置とする。流体用チューブ押さえ具は、流体用チューブの長さ方向に対して直角に切断した際の断面がC字型で、短管状を呈する構造とする。流体用チューブ押さえ具は、架橋ポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレン、半硬質ポリ塩化ビニルなどの比較的硬い素材で、厚さは1.0〜5mm、長さ(幅)は3〜20mmの範囲で選ぶのが好ましい。
【0017】
流体用チューブ押さえ具を取付けるために、流体用チューブ配置用切欠部の入口開口部、出口開口部のそれぞれに隣接させて、流体用チューブ配置用切欠部の切欠より深い切欠部を設ける。深い切欠部の長さ方向に切断した際の断面はU字型を呈し、深さは、流体用チューブ表面に流体用チューブ押さえ具を取付けた状態で嵌合できる深さと同一ないし若干大きい寸法とし、深い切欠部の長さ(幅)は、流体用チューブ押さえ具の長さと同一ないし若干大きい寸法とする。
【0018】
溝{直線状、U字状曲線およびS(逆S)字状曲線}に配置され埋設される流体用チューブは、その内側空間に熱媒、冷媒を通す機能を果すものであり、可撓性に優れ、機械強度、耐熱性、耐薬品性などにも優れている必要がある。このような特性を発揮するチューブとしては、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、ポリプロピレン管、軟質ポリ塩化ビニル管、ナイロン管、管の壁面に金属線を埋設した上記の樹脂管などが挙げられ、中でも好ましいのは、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管である。熱媒用チューブの外径は、建築物が構築される地域、建築物の種類などにより異なるが3〜20mm、肉厚は0.5〜5mmの範囲で選ぶことができる。
【0019】
流体用チューブに通すことができる媒体としては、熱媒および冷媒ともに水、エチレングリコール、プロピレングリコール、気体などが挙げられる。流体用チューブは、流体ヘッダを経由して、流体温度調節装置を装備した流体循環装置に連接される。流体温度調節装置は、放熱板を敷設した近傍、例えば、建造物の床下、屋外、屋上などに設置するのが好ましい。
【0020】
本発明に係る放熱板は、埋設溝に流体用チューブを埋設した後は、表面側の全面に放熱シートを、裏面側の全面または一部に裏面材を貼着する。放熱シートは放熱板の表面側の全面に貼着するが、裏面材は放熱板の裏面側全面または一部に貼着する。この際、上記複数の折曲部の放熱シートまたは裏面材のいずれか一方を、折曲部に沿って不連続とする。本発明において、連続とは折曲部で繋がっていること意味し、不連続とは折曲部で繋がっていないことを意味する。放熱板表面側の放熱シートを折曲部で連続させ、裏面側の裏面材を折曲部で不連続とさせた際には、放熱板を繋いでいる放熱シートがヒンジとして機能し、谷折り(以下「谷折り」という)可能構造とされる。放熱板裏面側の裏面材を折曲部で連続させ、表面側の放熱シートを折曲部で不連続とさせた際には、放熱板を繋いでいる裏面材がヒンジとして機能し、山折り(以下、「山折り」という)可能構造とされる。なお、裏面材の貼着は、ヒンジとしての機能を発揮する程度で十分であるので、折曲部の全長に渡って貼着する必要はなく、一定の隙間をあけて折曲部の一部に貼着してもよい。放熱シートまたは裏面材を不連続にするには、これらを全面に貼着した後、折曲部に沿ってナイフなどで切込みを入れて不連続としてもよい。
【0021】
本発明に係る放熱板は、チューブ渡り部分を含む折曲部を前記(3)のように幅方向端部と長さ方向端部の双方に設ける場合には、複数の折曲部の一部において、放熱シートと裏面材の双方を不連続とするのが好ましい(後記、図10〜図13参照)。放熱シートと裏面材の双方を不連続とするのは、複数の折曲部の一部で十分である。双方を不連続とする折曲部は、放熱板を構成する板状体の枚数に応じて適宜決めることができる(後記図10〜図13参照)。複数の板状体を二列(または二段)として配置した場合でも、複数の折曲部の一部で放熱シートと裏面材の双方を不連続とすることにより、円滑に折畳むことができる。
【0022】
放熱板の表面全面に貼着した放熱シートは、可撓性に優れた素材より構成すると、埋設溝に埋設した流体用チューブが埋設溝から外れないようにし、折曲部では上記したとおりヒンジとして機能する。放熱シートを上記のとおり硬い板状素材で構成すると、流体用チューブが流体用チューブ配置用切欠部に押込むように機能する。放熱シートとしては、アルミニウム箔、板などの金属箔、金属板、アルミニウム箔と不織布との積層体、プラスチックフィルムにアルミニウムなどの金属を蒸着したもの、または積層物などが挙げられ、裏面材はアルミニウム箔、プラスチックフィルム、不織布、アルミニウム箔と不織布との積層体などが挙げられる。放熱シートの厚さは、硬い板状素材では通常0.5mm〜3mmの範囲、可撓性に優れた素材では通常10μm〜0.3mmの範囲で選ぶのが好ましい。
【0023】
本発明に係る放熱板が、流体用チューブに流体用チューブ押さえ具を取付けたものであるときは、放熱シートの全面または放熱シート折曲部近傍を、硬い板状素材によって構成するのが好ましい。硬い板状素材によって構成し、山折り可能構造とすると、放熱板を敷設する際に折曲げた状態から平面状態に開放する途中で、硬い板状体が流体用チューブ表面よりも先に流体用チューブ押さえ具表面に接触し、流体用チューブ押さえ具を深い切欠部に押込む。この際同時に、流体用チューブが流体用チューブ配置用切欠部に押込まれるので、流体用チューブ渡り部分から突出するのを防止することができる。
【0024】
埋設溝を板状体の裏面側に刻設する場合には、板状体の厚さを可及的に薄くし、裏面側に貼付ける放熱シートを裏面材とするのが好ましい。裏面材は、流体用チューブが埋設溝から外れないように機能するほか、熱を板状体の表面側に反射させるように機能するので、裏面側全面に貼着するのが好ましい。複数の板状体を組合せる手法、流体用チューブの埋設手法、折曲部の形成手法などは、上で説明した埋設溝を板状体の表面側に刻設したものと同じである。
【0025】
本発明に係る折畳み可能な放熱板は、敷設場所と異なる工場または製造所などであらかじめ製作するのが好ましい。放熱板は、複数枚の板状体を相互に端部同士を接触させて配列して所望の広い面積とされ、平面形状はほぼ四角形とされる。一方の面に刻設された流体用チューブの埋設溝に、連続する流体用チューブを埋設し、表面側の全面に放熱シートを、裏面側の全面または一部に裏面材を貼着し、折曲部の放熱シートおよび/または裏面材に切込みを入れて不連続とする。折曲部の放熱シートおよび/または裏面材が不連続とされているので、連続している面側をヒンジとし不連続とされている面側を開いて折曲げる(後記、図8参照)。
【0026】
以下、本発明に係る折畳み可能な放熱板の敷設方法について説明する。あらかじめ敷設場所と異なる場所で製作された折畳み可能な放熱板を、折畳んだ状態で建造物の敷設現場に運搬・搬入し、折畳み状態を開放して建造物床の下地面の所定位置に敷設する。建造物は新築のものだけでなく、既存のものであってもよい。下地面とは、マンション、商業ビル、ホテルなどのコンクリート製の建造物にあっては、スラブ面やこれらの上に配置された下地床合板などをいい、一戸建て住宅にあっては、下地床合板をいう。所定位置とは、部屋の床面の全体でもよく、部屋の床面の一部分の特定の位置であってもよい。敷設面積が広い場合は、複数の放熱板を組合せればよい。下地面や下地床合板の既存の床には、ビスや釘によって固定することができる。
【0027】
放熱板を敷設する場合には、放熱シートの上に表装材を配置するのが好ましい。表装材としては、合板、木板、繊維板、樹脂板、パーチクルボード、絨毯などが挙げられるが、これら例示したものに限定されるものではない。板状体の材料の種類によって、表装材を選ぶものとする。表装材は、広い面積のものを一枚で構成してもよいし、薄い小片を複数枚組合せて構成してもよい。表装材の表面には塗料を塗布したもの、木目模様や他の模様などを印刷したものなどが挙げられる。表装材の厚さは、通常1〜15mmの範囲で選ぶことができる。厚さが余り薄すぎると上記機能を発揮させることができず、余り厚すぎると流体用チューブからの伝熱効率が低下するので、いずれも好ましくない。
【0028】
本発明に係る折畳み可能な放熱板を壁面材、天井材などとして利用する際にも、上の暖房床の施工方法に準じて施工することができる。衝立として利用する際には、背面に補強板を貼付けて一定の幅として自立可能に脚部を取付けたり、蝶番を取付けたりして屏風のように応用することもできる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を図面に基いて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
【0030】
図1は本発明に係る折畳み可能な放熱板の一例の部分平面略図、図2は図1のI部分の拡大平面略図、図3は図2のII部分(チューブ渡り部分)の拡大平面略図、図4は裏面材をヒンジとした放熱板の図3のIII−III部分での縦断側面略図、図5は放熱シートをヒンジとした放熱板の図4に対応する縦断側面略図である。
【0031】
放熱板1は、長尺狭幅の板状体2を複数枚組合せてほぼ四角形とされる。図1は、4枚の板状体2を組合せた例を示したが、6枚組、8枚組、10枚組などとすることができる。板状体2の表面側には、流体用チューブ埋設溝3が刻設されており、埋設溝3は板状体2の端部で平面がU字状曲線とされて方向転換され、端部のU字状曲線を結ぶ直線状溝は板状体の長さ方向に沿って刻設されている。流体用チューブ4を一方の板状体から他方の板状体に渡らせる部分(チューブ渡り部分)には、平面がS(逆S)字状曲線を呈する埋設溝が刻設されている。
【0032】
図4に図示した例では、放熱板1を構成し相互に隣接する板状体2Aと2Bには、その表面側に放熱シート5が、裏面側に裏面材6がそれぞれ貼着されている。放熱シート5は折曲部8で不連続とされており、裏面材6は折曲部8で連続とされヒンジとして機能する。板状体2A端部の流体用チューブ出口開口部2aの位置と、他方の板状体端部の流体用チューブ入口開口部2bの位置とは対向させずにずらして設けられている。板状体2Aと2Bの端部には、流体用チューブ配置用切欠部7A、7Bが設けられ、放熱板1が平面状にされている状態では、双方の切欠部で流体用チューブ埋設溝と同様に縦断面はU字状の溝を形成する(図4参照)。放熱板1を折曲部8で折曲げた際には、放熱シート5側が不連続部で分離し、流体用チューブ4は、開口部2aと開口部2bとの間のチューブ渡り部分で、一方の板状体2Aから他方の板状体2Bに渡り、露出する。以下、この例の折曲げ方が、前記した山折りとなる。
【0033】
図5に図示した例では、放熱板1を構成し相互に隣接する板状体2Aと2Bは、放熱シート5は折曲部8で連続とされヒンジとしても機能し、裏面材6は折曲部8で不連続とされる。放熱板1を折曲部8で折曲げた際には、不連続とされた裏面材6が不連続部で分離し、流体用チューブ4は、開口部2aと開口部2bとの間のチューブ渡り部分で、一方の板状体から他方の板状体に渡り、露出する。この例の折曲げ方が、前記した谷折りとなる。
【0034】
図6は図2のII部分(チューブ渡り部分)に、深い切欠部7C、7Dを設けた状態の拡大平面略図であり、図7は裏面材をヒンジとした放熱板の図6のIV−IV部分での縦断側面略図である。図6および図7に図示した例では、流体用チューブ埋設溝チューブ渡り部分に深い切欠部7C、7Dが、流体用チューブ配置用切欠部7A、7Bよりも深くされ、7A、7Bの湾曲部にも形成されている。この深い切欠部7C部分には、流体用チューブ表面に取付けた流体用チューブ押さえ具7Eが、流体用チューブの湾曲部近傍の位置で嵌合される。またこの流体用チューブ押さえ具7Eは、図7に示したように、上から被せるように嵌合させるのが流体用チューブの突出防止のために望ましいが、被せる角度は若干ずれても特に問題はない。図8は裏面材をヒンジとして折曲げる途中の状態の縦断側面略図、図9は図8の状態から折曲げを完了した状態の縦断側面略図である。
【0035】
放熱板の折曲部を板状体の幅方向端部のみ、または、長さ方向端部のみに形成する際には、折曲部は山折りと谷折りとを交互に配置すればよい。折曲部を板状体の幅方向端部と長さ方向端部の双方に配置する際には、図10〜図13に平面略図として示したように、放熱板を構成する板状体の枚数に応じて、複数の折曲部の一部において、放熱シートと裏面材の双方を不連続とすればよい。図10〜図13においては、流体用チューブは省略されており、11は山折りする折曲部であり、12は谷折りする折曲部をそれぞれ意味する。また、太線部分10は放熱シートと裏面材の双方を不連続とした折曲部であり、この太線部分10では山折り、谷折りのいずれの折曲げも可能である。また、これら図面における不連続部は、一態様例を示すものであり、これら例示したものに限定されるものではなく、不連続部は任意の折曲部に設けることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る折畳み可能な放熱板は、複数枚の板状体に連続した流体用チューブを埋設し、表面側に放熱シートを貼着し、裏側面に裏面材を貼着して一体化された1種類の部材で構成されているので、構成部材の種類が少なく、製作、梱包、保管、運搬、敷設する際の取り扱いが容易である。
2.本発明に係る折畳み可能な放熱板は、隣接する板状体の一方の板状体端部の流体用チューブ出口開口部の位置と、他方の板状体端部の流体用チューブ入口開口部位置とを対向させずにずらして設け、かつ、隣接する板状体の端部壁面の上記双方の開口部間に流体用チューブ配置用切欠部を設け、この流体用チューブ配置用切欠部を設けた部分で、出口開口部からの流体用チューブを入口開口部に渡らせているので、放熱板を折曲部で折曲げた際に流体用チューブが挫屈することがない。
3.本発明に係る折畳み可能な放熱板は、複数枚の板状体が放熱シートと裏面材とによって一体化されているが、上記複数の折曲部の放熱シートまたは裏面材のいずれか一方を、折曲部に沿って不連続とされているので、放熱板を折曲部で折曲げた際に、この不連続とされた部分がヒンジとして機能するので、放熱板を構成する複数の板状体に分解することがない。
【0037】
4.本発明に係る折畳み可能な放熱板は、複数の板状体を二列(または二段)として配置した場合でも、複数の折曲部の一部で放熱シートと裏面材の双方を不連続とすることにより、円滑に折畳むことができる。
5.流体用チューブ配置用切欠部の入口開口部、出口開口部のそれぞれに隣接させて、流体用チューブ配置用切欠部の切欠より深い切欠部を設け、流体用チューブ配置用切欠部の間をわたる流体用チューブ上であって上記深い切欠部に対応する部分に、長さ方向に切断した際の断面がC字型で短管状を呈する流体用チューブ押さえ具を取付けたときは、放熱板を折畳み状態を開放して敷設する際に、流体用チューブ押さえ具が流体用チューブを流体用チューブ配置用切欠部に押し込むので、表面が平坦に仕上がり、この上に表装材を配置した床面も平坦性に優れている。
6.放熱シートの全面または放熱シート折曲部近傍が、硬い板状素材より構成してときは、流体用チューブ押さえ具を強く押圧して流体用チューブを流体用チューブ配置用切欠部に、正確に押し込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る折畳み可能な放熱板の一例の部分平面略図である。
【図2】 図1のA部分の拡大平面略図である。
【図3】 図2のII部分(チューブ渡り部分)のB部分の拡大平面略図である。
【図4】 裏面材をヒンジとした放熱板の図3のIII−III部分での縦断側面略図である。
【図5】 放熱シートをヒンジとした放熱板の図4に対応する縦断側面略図である。
【図6】 図2のII部分(チューブ渡り部分)に、深い切欠部を設けた状態の拡大平面略図である。
【図7】 裏面材をヒンジとした放熱板の図6のIV−IV部分での縦断側面略図である。
【図8】 裏面材をヒンジとして折曲げる途中の状態の縦断側面略図である。
【図9】 図8の状態から折曲げを完了した状態の縦断側面略図である。
【図10】 4枚の板状体からなる畳み可能な放熱板の一例の平面略図である。
【図11】 6枚の板状体からなる畳み可能な放熱板の一例の平面略図である。
【図12】 8枚の板状体からなる畳み可能な放熱板の一例の平面略図である。
【図13】 10枚の板状体からなる畳み可能な放熱板の一例の平面略図である。
【符号の説明】
1:放熱板
2、2A、2B:板状体
2a:流体用チューブ出口開口部
2b:流体用チューブ入口開口部
3:流体用チューブ埋設溝
4:流体用チューブ
5:放熱シート
6:裏面材
7A、7B:流体用チューブ配置用切欠部
7C、7D:深い切欠部
7E:流体用チューブ押さえ具
8:折曲部
9:流体用ヘッダ
10:放熱シートと裏面材の双方を不連続とした折曲部
11:山折りする折曲部
12:谷折りする折曲部

Claims (4)

  1. 一方の面に流体用チューブの埋設溝が刻設された長尺狭幅の複数枚の板状体を、相互に端部同士を接触させて配置して平面形状をほぼ四角形とされ、上記埋設溝には流体用チューブ埋設し、表面側の全面に放熱シートが、裏面側の全面または一部に裏面材がそれぞれ貼着され、隣接する板状体の端部同士が接触する複数の接触部を折曲部とした折畳み可能な放熱板において、隣接する板状体の一方の板状体端部の流体用チューブ出口開口部の位置と、他方の板状体端部の流体用チューブ入口開口部の位置とを対向させずにずらし、かつ、隣接する板状体の端部壁面の上記双方の開口部間に流体用チューブ配置用切欠部を設け、この流体用チューブ配置用切欠部を設けた部分で、出口開口部からの流体用チューブを入口開口部に渡らせ、この流体用チューブ配置用切欠部の入口開口部、出口開口部のそれぞれに隣接させて、この流体用チューブ配置用切欠部の深さより深い切欠部を設け、この流体用チューブ配置用切欠部の間をわたる流体用チューブ上であって上記深い切欠部に対応する部分に、長さ方向に直角に切断した際の断面が、C字状で短管状を呈する流体用チューブ押さえ具を取付けてなり、上記複数の折曲部の放熱シートまたは裏面材のいずれか一方を、折曲部に沿って不連続としたことを特徴とする、折畳み可能な放熱用板。
  2. 折曲部が、板状体の長尺狭幅の幅方向端部、および/または、板状体の長尺狭幅の長さ方向端部に設けられてなる、請求項1に記載の折畳み可能な放熱板。
  3. 放熱シートの全面または放熱シート折曲部近傍が、硬い板状素材より構成され、放熱板裏面側の裏面材を折曲部で連続させ、表面側の放熱シートを折曲部で不連続とさせて山折り可能構造とされてなる、請求項1または請求項に記載の折畳み可能な放熱板。
  4. 複数の折曲部の一部において、放熱シートと裏面材の双方が不連続とされてなる、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の折畳み可能な放熱板。
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