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JP4022105B2 - 多層配線基板の製造方法 - Google Patents

多層配線基板の製造方法 Download PDF

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JP4022105B2 JP2002188454A JP2002188454A JP4022105B2 JP 4022105 B2 JP4022105 B2 JP 4022105B2 JP 2002188454 A JP2002188454 A JP 2002188454A JP 2002188454 A JP2002188454 A JP 2002188454A JP 4022105 B2 JP4022105 B2 JP 4022105B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は混成集積回路や半導体素子を収納する半導体素子収納用パッケージ等に使用される多層配線基板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化・多機能化に伴い、これに使用される半導体集積回路素子等の半導体デバイスは高集積化するとともに入出力端子数が増加している。こうした半導体デバイスが搭載される配線基板やそのデバイスを試験するために使用される配線基板に対しては、回路の高集積化の要求は当然のことながら、熱膨張率のミスマッチにより発生する入出力端子部のストレスや、試験時にプローブにより配線基板に負荷されるコンタクト圧力等、配線基板に加わるストレスが半導体デバイスの入出力端子数の増加に伴って増加しており、そのストレスが配線基板におけるクラックの発生や変形の原因となるため、半導体デバイスの入出力端子や試験用のプローブ等を支持するための支持体として十分な強度を有するよう、高強度化の要求がなされている。このため、きわめて細線な配線パターンを有する高強度な多層配線基板が求められている。
【0003】
このような多層配線基板に対する高集積化・高強度化の要求から、多層プリント配線基板やビルドアップ方式の多層配線基板に代わり、セラミックスから成る基板上に薄膜の絶縁層と配線導体層とから成る薄膜多層配線部を形成したセラミック薄膜混成多層配線基板が注目されている。
【0004】
かかるセラミック薄膜混成多層配線基板は、モリブデンやタングステン等から成るメタライズ配線層と酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック絶縁層とから成るセラミック多層配線基板の上面に、銅やアルミニウム等の金属から成り、めっき法や蒸着法等の薄膜形成技術およびフォトリソグラフィー技術を採用することによって形成される配線導体層と、スピンコート法および熱硬化処理等によって形成されるポリイミド樹脂等から成る薄膜の樹脂絶縁層とを交互に多層に積層させた薄膜多層配線部を有しており、高強度な支持体としての機能を持つとともにきわめて微細な配線パターンにより回路の高集積化に優れた多層配線基板として期待されている。
【0005】
このような薄膜多層配線部について、スピンコート法および熱硬化処理等によってポリイミド樹脂等から成る樹脂絶縁層を形成する場合においては、所望の厚みに樹脂絶縁層を形成するには多数回に分けてポリイミド樹脂の前駆体を塗布し、その後にポリイミド樹脂の前駆体をポリイミド化させるキュア工程を経て樹脂絶縁層が形成される。
【0006】
しかしながら、かかる樹脂絶縁層の形成法は製造工程が長くなるという問題点があるため、この形成法に代えて、ポリイミド樹脂等から成る複数の絶縁フィルム層を間にビスマレイミドトリアジン樹脂等から成る絶縁性接着剤層を介して積層して成る樹脂絶縁層の形成法が採用されてきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなセラミック薄膜混成多層配線基板では、配線導体層と基板の表面とが、化学結合による接合と、配線導体層が基板の表面の凹凸に食い込むことによって生じるアンカー効果による接合とにより強固に接合されているため、基板の表面のうち配線導体層の非形成領域に余分に形成された導体層をエッチング等により除去した際に、その配線導体層の非形成領域に導体層成分の残さが生じやすく、そのままの状態で配線導体層およびその非形成領域の上に樹脂絶縁層を形成して積層すると、配線導体間の絶縁性が低下しやすいという問題点があった。
【0008】
本発明は以上のような従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の表面に形成された配線導体層間の絶縁性の低下を簡易な方法で有効に防止した、耐環境信頼性の優れた多層配線基板を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、基板の表面に形成された配線導体層間の絶縁性の低下を簡易な方法で有効に防止した、耐環境信頼性の優れた多層配線基板を得ることができる多層配線基板の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の多層配線基板の製造方法は、酸化物系セラミックス基板または表面に酸化物膜を有する非酸化物系セラミックス基板の表面に下地導体層を形成する工程と、この下地導体層上に配線導体層のパターンの開口を有するレジスト層を形成する工程と、前記開口から露出した前記下地導体層上にCuから成る主導体層を形成する工程と、前記レジスト層を除去する工程と、前記主導体層から露出した前記下地導体層を除去して配線導体層を形成するとともに、前記セラミックス基板の表面のうち前記配線導体層の非形成領域を燐酸またはフッ酸を含むエッチング液によるエッチングによって一部除去して前記配線導体層の直下の領域に対して凹ませる工程と、しかる後、前記基板の表面に前記配線導体層を覆って樹脂絶縁層を形成する工程とを具備することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の第2の多層配線基板の製造方法は、酸化物系セラミックス基板または表面に酸化物膜を有する非酸化物系セラミックス基板の表面に下地導体層を形成する工程と、この下地導体層上にCuから成る主導体層を形成する工程と、この主導体層上に配線導体層のパターンのレジスト層を形成する工程と、このレジスト層から露出した前記主導体層および前記下地導体層を除去して配線導体層を形成するとともに、前記セラミックス基板の表面のうち前記配線導体層の非形成領域を燐酸またはフッ酸を含むエッチング液によるエッチングによって一部除去して前記配線導体層の直下の領域に対して凹ませる工程と、前記レジスト層を除去する工程と、しかる後、前記基板の表面に前記配線導体層を覆って樹脂絶縁層を形成する工程とを具備することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の多層配線基板によれば、基板の表面のうち配線導体層の非形成領域を配線導体層の直下の領域に対して凹ませてあるため、隣接する配線導体層間の経路が長くなることにより、配線導体層間の絶縁性が低下することがなくなり、耐環境信頼性の優れた多層配線基板を実現することができる。
【0015】
また、本発明の多層配線基板によれば、配線導体層の非形成領域が、配線導体層の直下の領域に対して0.1乃至10μmの深さで凹んでいるときには、隣接する配線導体層間の経路を必要な長さに長くできることにより配線導体層間の絶縁性が低下することがなくなるとともに、基板の表面に配線導体層を覆って配線導体層の非形成領域にかけて樹脂絶縁層を形成した際の樹脂絶縁層の平坦性を良好なものとすることができ、耐環境信頼性の優れた、かつこの多層配線基板に搭載される半導体デバイスの入出力端子等との接続信頼性にも優れた多層配線基板を実現することができる。
【0016】
本発明の第1の多層配線基板の製造方法によれば、酸化物系セラミックス基板または表面に酸化物膜を有する非酸化物系セラミックス基板の表面に下地導体層を形成する工程と、この下地導体層上に配線導体層のパターンの開口を有するレジスト層を形成する工程と、レジスト層の開口から露出した下地導体層上にCuから成る主導体層を形成する工程と、レジスト層を除去する工程と、主導体層から露出した下地導体層を除去して開口のパターンに対応した形状の配線導体層を形成するとともに、セラミックス基板の表面のうち配線導体層の非形成領域を一部除去してこの配線導体層の非形成領域を燐酸またはフッ酸を含むエッチング液によるエッチングによって配線導体層の直下の領域に対して凹ませる工程と、しかる後、配線導体層を覆って配線導体層の非形成領域の上にかけて樹脂絶縁層を形成する工程とを具備することから、基板の表面のうち配線導体層の非形成領域を表面側から一部除去することによって、その配線導体層の非形成領域の基板の表面に発生した配線導体層成分の残さが確実に除去されるとともに、配線導体層の直下の領域に対して配線導体層の非形成領域に凹みが形成されて隣接する配線導体層間の経路が長くなることにより、配線導体層間の絶縁性が低下することがなくなり、耐環境信頼性の優れた多層配線基板を簡易な方法で実現することができる多層配線基板の製造方法を提供できる。
【0017】
本発明の第2の多層配線基板の製造方法によれば、酸化物系セラミックス基板または表面に酸化物膜を有する非酸化物系セラミックス基板の表面に下地導体層を形成する工程と、この下地導体層上にCuから成る主導体層を形成する工程と、この主導体層上に配線導体層のパターンのレジスト層を形成する工程と、このレジスト層から露出した主導体層および下地導体層を除去して配線導体層を形成するとともに、セラミックス基板の表面のうち配線導体層の非形成領域を一部除去してこの配線導体層の非形成領域を燐酸またはフッ酸を含むエッチング液によるエッチングによって配線導体層の直下の領域に対して凹ませる工程と、レジスト層を除去する工程と、しかる後、基板の表面に配線導体層を覆って樹脂絶縁層を形成する工程とを具備することから、第1の製造方法と同様に、基板の表面のうち配線導体層の非形成領域を表面側から一部除去することによって、その配線導体層の非形成領域の基板の表面に発生した配線導体層成分の残さが確実に除去されるとともに、配線導体層の直下の領域に対して配線導体層の非形成領域に凹みが形成されて隣接する配線導体層間の経路が長くなることにより、配線導体層間の絶縁性が低下することがなくなり、さらに、隣接する配線導体層間の絶縁性の低下を防止する配線導体層の非形成領域の凹みを第1の製造方法よりも少ない工数で形成できる、耐環境信頼性の優れた多層配線基板の製造方法を提供できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の多層配線基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、図2はその多層配線基板における配線導体層の非形成領域の凹みを示す要部拡大断面図である。
【0020】
これらの図において、1は基板、2は配線導体層、3は樹脂絶縁層、4は配線導体層の非形成領域、5は凹み、6は配線導体層2の一部としての下地導体層、7は配線導体層2の一部としての主導体層、8は樹脂絶縁層3の一部としての絶縁性接着剤層、9は樹脂絶縁層3の一部としての絶縁フィルム層、10は多層配線部、11は貫通孔、12は貫通導体である。
【0021】
基板1は、その表面、この例では上面に配線導体層2と樹脂絶縁層3とを交互に多層に積層した多層配線部10が配設されており、この多層配線部10を支持する支持部材として機能する。
【0022】
基板1は、酸化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等の酸化物系セラミックス、あるいは表面に酸化物膜を有する窒化アルミニウム質焼結体,炭化珪素質焼結体等の非酸化物系セラミックスで形成されている。
【0023】
例えば、酸化アルミニウム質焼結体で形成されている場合には、アルミナ,シリカ,カルシア,マグネシア等の原料粉末に適当な有機溶剤,溶媒を添加混合して泥漿状となすとともに、これより従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成し、しかる後、このセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施し所定形状となすとともに、必要に応じて配線導体と成る導体パターンを印刷形成し所定枚数を積層した後、高温(約1600℃)で焼成することによって製作される。あるいは、アルミナ等の原料粉末に適当な有機溶剤,溶媒を添加混合して原料粉末を調製するとともに、この原料粉末をプレス成形機によって所定形状に成形し、最後にこの成形体を高温(約1600℃)で焼成することによって製作される。
【0024】
また、基板1がガラスセラミックスで形成されている場合には、ガラスと無機質フィラー(無機絶縁体粉末)との混合物に有機バインダ,可塑剤,溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード法等によりガラスセラミックグリーンシートを成形した後、Cu,Ag,Au等の低抵抗金属の粉末を含有する導体ペーストをこのガラスセラミックグリーンシート上に印刷することにより導体パターンを形成し、その後、導体パターンを形成した複数枚のガラスセラミックグリーンシートを積層して800〜1000℃の温度で焼成することによって製作される。
【0025】
ガラスセラミックグリーンシートは、ガラス粉末,無機質フィラー(セラミック粉末),さらに有機バインダ,可塑剤,有機溶剤等を混合したものが用いられる。
【0026】
ガラス成分としては、例えばSiO2−B23系,SiO2−B23−Al23系,SiO2−B23−Al23−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO2−Al23−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は同一または異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO2−B23−Al23−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は前記と同じである),SiO2−B23−M3 2O系(但し、M3はLi,NaまたはKを示す),SiO2−B23−Al23−M3 2O系(但し、M3は前記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
【0027】
また、無機質フィラーとしては、例えばAl23,SiO2,ZrO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,Al23およびSiO2から選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等が挙げられる。
【0028】
本発明の多層配線基板においては、基板1の表面に、配線導体層2が形成されるとともに、この配線導体層2を覆って樹脂絶縁層3が形成された多層配線基板において、基板1の表面のうち配線導体層の非形成領域4が、配線導体層2の直下の領域の基板1の表面に対して凹んでいることが重要である。
【0029】
これにより、隣接する配線導体層2間の基板1の表面を経由する経路が長くなることにより、配線導体層2間の絶縁性が低下することがなくなり、耐環境信頼性の優れた多層配線基板を実現できるためである。
【0030】
これに対し、基板1の表面のうち配線導体層の非形成領域4が、配線導体層2の直下の領域の基板1の表面に対して凹んでいない場合には、隣接する配線導体層2間の経路が最短距離となって短くなることから、配線導体層2間の絶縁性が低下しやすくなる傾向がある。
【0031】
多層配線部10において、基板1の表面に形成される配線導体層2は、例えば以下のように形成すればよい。
【0032】
基板1の表面に、その表面との接合の役目を果たすTi,CrあるいはMo等の活性金属と主導体層7としてのCuとを含む下地導体層6を真空成膜法または電解もしくは無電解めっき法により形成し、次いで、下地導体層6の上に配線導体層2のパターンの開口を有するレジスト層を形成し、このレジスト層の開口から露出した下地導体層6上に真空成膜法または電解もしくは無電解めっき法によって、例えば電解CuめっきによりCuから成る主導体層7を所望の厚みまで形成する。その後、剥離液等を用いてレジスト層を除去し、主導体層7からはみ出して露出した下地導体層6をエッチングやブラスト,研磨等により除去してレジスト層の開口のパターンに対応した形状の配線導体層2を形成するとともに、基板1の表面のうち配線導体層の非形成領域4をエッチングにより表面側から一部除去して凹み5を形成する。これにより、配線導体層の非形成領域4に発生した配線導体層2の残さ、より具体的には下地導体層6の残さを基板1の表面から確実に除去できるとともに、配線導体層の非形成領域4に凹みが形成されて隣接する配線導体層2間の基板1の表面を経由する経路が長くなることにより、配線導体層2間の絶縁性が低下することがなく、所望のパターンを有する高密度に配設された配線導体層2を形成することができる。
【0033】
このとき、基板1としてガラスセラミックスを採用すると、誘電率が低いガラスセラミックスで絶縁層を構成できるとともに、Cu等の低抵抗金属で配線導体層2を構成できるため高周波特性が良好となり、電気特性に優れた支持体として機能するものとできるため好都合なものとなる。特に、比誘電率を7以下とすると、優れた高周波特性が得られ、より好都合である。
【0034】
また、配線導体層の非形成領域4の凹み5の配線導体層2の直下の領域に対する深さを0.1μm乃至10μmとすると、この基板1の表面に配線導体層2を覆って配線導体層の非形成領域4にかけて樹脂絶縁層3を形成した際に樹脂絶縁層3の表面の平坦性を損なうことなく配線導体層の非形成領域4に発生した配線導体層2の残さを除去でき、また隣接する配線導体層2間の配線導体層の非形成領域4を経由する経路を必要な長さに長くすることができるため配線導体層2間の絶縁性の低下を防止できるものとするのに効果的である。
【0035】
凹み5の深さが0.1μmを下回ると配線導体層の非形成領域4に発生した配線導体層2成分の残さの除去効果が薄れる傾向にあり、また10μmを超えるとその上に形成される樹脂絶縁層3の表面の平坦性が低化する傾向にある。なお、この場合の凹み5の深さは、基板1の表面を表面側から一部除去する際に、例えばフッ酸と硝酸との混合水溶液をエッチング液として用いることにより容易に制御できる。
【0036】
また、本発明の第2の多層配線基板の製造方法における凹み5の形成法としては、基板1の表面に、その表面との接合の役目を果たすTi,CrあるいはMo等の活性金属と主導体層7としてのCuとを含む下地導体層6と、主導体層7としてのCu層とを、真空成膜法により形成する。または、基板1の表面を燐酸やフッ酸を含むエッチング液により粗化した後、Pdを含む活性液で表面処理を行ない、無電解Cuめっきにより下地導体層6を形成して、次いで、電解Cuめっきにて主導体層7を形成する。次に、主導体層7の上面に配線導体層2のパターンのレジスト層を形成し、このレジスト層からはみ出して露出した主導体層7および下地導体層6をエッチング等の方法により除去してレジスト層のパターンの形状に配線導体層2を形成するとともに、基板1の表面のうち配線導体層の非形成領域4を燐酸やフッ酸を含むエッチング液によりエッチングする方法によって表面側から一部除去して、配線導体層の非形成領域4を配線導体層2の直下の領域の基板1の表面に対して凹ませると、配線導体層の非形成領域4に発生した配線導体層2、主として下地導体層6の成分の残さを基板1の表面の一部とともに確実に除去でき、所望のパターンを有し配線導体層2間の絶縁性の低下を防止できる高密度配線が可能な配線導体層2を少ない工数で形成することができる。
【0037】
多層配線部10の樹脂絶縁層3は絶縁フィルム層9と絶縁性接着剤層8とから構成され、絶縁フィルム層9はポリイミド樹脂,ポリフェニレンサルファイド樹脂,全芳香族ポリエステル樹脂,フッ素樹脂等から成る。また、絶縁性接着剤層8はポリアミドイミド樹脂,ポリイミドシロキサン樹脂,ビスマレイミドトリアジン樹脂,エポキシ樹脂等から成る。
【0038】
樹脂絶縁層3は、まず厚みが12.5〜50μm程度の絶縁フィルムに絶縁性接着剤をドクターブレード法等を用いて乾燥厚みで5〜20μm程度に塗布し乾燥させたものを準備し、この絶縁フィルム層9を基板1や下層の樹脂絶縁層3の上面に間に絶縁性接着剤層8が配されるように積み重ね、これを加熱プレス装置を用いて加熱加圧し接着することによって形成される。
【0039】
樹脂絶縁層3には所定位置に絶縁フィルム層9および絶縁性接着剤層8を貫通する貫通孔11が形成されており、この貫通孔11内に貫通導体12が被着形成されることにより、樹脂絶縁層3を挟んで上下に位置する配線導体層2の各々を電気的に接続する接続路が形成される。
【0040】
貫通孔11は、例えばレーザを使い絶縁フィルム層9および絶縁性接着剤層8の一部を除去することにより形成される。特に、貫通孔11の開口径が小さな場合は、貫通孔11の内壁面の角度をコントロールすることが容易で貫通孔11の内壁面が滑らかに加工される紫外線レーザで形成することが望ましい。
【0041】
貫通導体12は各樹脂絶縁層3の上面に配設される配線導体層2と別々に形成してもよいが、これらは同時に形成した方が工程数を少なくできるとともに両者の電気的な接続信頼性の点でも良好である。
【0042】
また、各樹脂絶縁層3の上面に配設される配線導体層2と貫通導体11とを一体形成する場合には、それぞれに所望の厚みのめっき膜を調整して形成することができるように、主として電解めっき法を用いて形成しておくのがよい。
【0043】
各樹脂絶縁層3の上面に配設される配線導体層2および貫通導体11の形成方法は、例えば以下のようにすればよい。まず、樹脂絶縁層3との接合の役目を果たすTi,Cr,Mo等の活性金属と主導体としてのCuとを含む下地導体層6を真空成膜法またはめっき法により形成し、次いで、下地導体層6の上に配線導体層2のパターンの開口を有するレジスト層を形成し、レジスト層の開口から露出した下地導体層6上に例えば電解Cuめっきにより主導体層7を所望の厚みまで形成する。その後、剥離液を用いること等によってレジスト層を除去し、主導体層7からはみ出して露出した下地導体層6をエッチング等により除去してレジスト層の開口のパターンに対応した形状の配線導体層2を形成する。
【0044】
なお、多層配線部10の表面となる樹脂絶縁層3の最上層の表面に形成された配線導体層2には、搭載される半導体デバイスやチップ部品等の実装性および耐環境性の点から、主導体層7がCu層から成る場合にはその上にNi層やAu層を形成しておくとよい。
【0045】
かくして、本発明の多層配線基板によれば、基板1の表面に配設された多層配線部10の上に半導体素子を始めとする半導体デバイスや容量素子,抵抗器といったチップ部品等の電子部品を搭載実装し、それら半導体デバイスや電子部品の各電極を配線導体層2に電気的に接続することによって、半導体装置や混成集積回路装置等となる。
【0046】
なお、本発明は上記の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0047】
例えば、上述の実施の形態の例では、配線導体層の非形成領域4の凹み5の深さを、エッチング液を用いて制御する方法を示したが、ガスを用いて制御する方法、例えば反応性イオンエッチング等を用いてもよく、サンドブラストやウェットブラスト、あるいは研磨や擦り取り等の機械的な除去手段によってその除去量を制御する方法等を用いてもよい。
【0048】
また、本発明の多層配線基板は、混成集積回路装置等を構成するモジュール基板等に適用できることはもとより、半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージに適用してもよいものである。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明の多層配線基板によれば、基板の表面のうち配線導体層の非形成領域を配線導体層の直下の領域に対して凹ませてあるため、隣接する配線導体層間の経路が長くなることにより、配線導体層間の絶縁性の低下を招くことがなくなり、耐環境信頼性の優れた多層配線基板を実現することができた。
【0050】
また、本発明の多層配線基板によれば、配線導体層の非形成領域が、配線導体層の直下の領域に対して0.1乃至10μmの深さで凹んでいるときには、隣接する配線導体層間の経路を必要な長さに長くできることにより配線導体層間の絶縁性が低下することがなくなるとともに、基板の表面に配線導体層を覆って配線導体層の非形成領域にかけて樹脂絶縁層を形成した際の樹脂絶縁層の平坦性を良好なものとすることができ、耐環境信頼性の優れた、かつこの多層配線基板に搭載される半導体デバイスの入出力端子等との接続信頼性にも優れた多層配線基板を実現することができた。
【0051】
本発明の第1の多層配線基板の製造方法によれば、酸化物系セラミックス基板または表面に酸化物膜を有する非酸化物系セラミックス基板の表面に下地導体層を形成する工程と、この下地導体層上に配線導体層のパターンの開口を有するレジスト層を形成する工程と、レジスト層の開口から露出した下地導体層上にCuから成る主導体層を形成する工程と、レジスト層を除去する工程と、主導体層から露出した下地導体層を除去して開口のパターンに対応した形状の配線導体層を形成するとともに、セラミックス基板の表面のうち配線導体層の非形成領域を燐酸またはフッ酸を含むエッチング液によるエッチングによって一部除去してこの配線導体層の非形成領域を配線導体層の直下の領域に対して凹ませる工程と、しかる後、配線導体層を覆って配線導体層の非形成領域の上にかけて樹脂絶縁層を形成する工程とを具備することから、基板の表面のうち配線導体層の非形成領域を表面側から一部除去することによって、その配線導体層の非形成領域の基板の表面に発生した配線導体層成分の残さが確実に除去されるとともに、配線導体層の直下の領域に対して配線導体層の非形成領域に凹みが形成されて隣接する配線導体層間の経路が長くなることにより、配線導体層間の絶縁性が低下することがなくなり、耐環境信頼性の優れた多層配線基板を簡易な方法で実現することができる多層配線基板の製造方法を提供できた。
【0052】
本発明の第2の多層配線基板の製造方法によれば、酸化物系セラミックス基板または表面に酸化物膜を有する非酸化物系セラミックス基板の表面に下地導体層を形成する工程と、この下地導体層上にCuから成る主導体層を形成する工程と、この主導体層上に配線導体層のパターンのレジスト層を形成する工程と、このレジスト層から露出した主導体層および下地導体層を除去して配線導体層を形成するとともに、セラミックス基板の表面のうち配線導体層の非形成領域を一部除去してこの配線導体層の非形成領域を燐酸またはフッ酸を含むエッチング液によるエッチングによって配線導体層の直下の領域に対して凹ませる工程と、レジスト層を除去する工程と、しかる後、基板の表面に配線導体層を覆って樹脂絶縁層を形成する工程とを具備することから、第1の製造方法と同様に、基板の表面のうち配線導体層の非形成領域を表面側から一部除去することによって、その配線導体層の非形成領域の基板の表面に発生した配線導体層成分の残さが確実に除去されるとともに、配線導体層の直下の領域に対して配線導体層の非形成領域に凹みが形成されて隣接する配線導体層間の経路が長くなることにより、配線導体層間の絶縁性が低下することがなくなり、さらに、隣接する配線導体層間の絶縁性の低下を防止する配線導体層の非形成領域の凹みを第1の製造方法よりも少ない工数で形成できる、耐環境信頼性の優れた多層配線基板の製造方法を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す多層配線基板における配線導体層の非形成領域の凹みを示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・・基板
2・・・・配線導体層
3・・・・樹脂絶縁層
4・・・・配線導体層の非形成領域
5・・・・凹み
6・・・・下地導体層
7・・・・主導体層
8・・・・絶縁性接着剤層
9・・・・絶縁フィルム層
10・・・・多層配線部
11・・・・貫通孔
12・・・・貫通導体

Claims (2)

  1. 酸化物系セラミックス基板または表面に酸化物膜を有する非酸化物系セラミックス基板の表面に下地導体層を形成する工程と、該下地導体層上に配線導体層のパターンの開口を有するレジスト層を形成する工程と、前記開口から露出した前記下地導体層上にCuから成る主導体層を形成する工程と、前記レジスト層を除去する工程と、前記主導体層から露出した前記下地導体層を除去して配線導体層を形成するとともに、前記セラミックス基板の表面のうち前記配線導体層の非形成領域を燐酸またはフッ酸を含むエッチング液によるエッチングによって一部除去して前記配線導体層の直下の領域に対して凹ませる工程と、しかる後、前記基板の表面に前記配線導体層を覆って樹脂絶縁層を形成する工程とを具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  2. 酸化物系セラミックス基板または表面に酸化物膜を有する非酸化物系セラミックス基板の表面に下地導体層を形成する工程と、該下地導体層上にCuから成る主導体層を形成する工程と、該主導体層上に配線導体層のパターンのレジスト層を形成する工程と、該レジスト層から露出した前記主導体層および前記下地導体層を除去して配線導体層を形成するとともに、前記セラミックス基板の表面のうち前記配線導体層の非形成領域を燐酸またはフッ酸を含むエッチング液によるエッチングによって一部除去して前記配線導体層の直下の領域に対して凹ませる工程と、前記レジスト層を除去する工程と、しかる後、前記基板の表面に前記配線導体層を覆って樹脂絶縁層を形成する工程とを具備することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
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