JP4015826B2 - 非水電解質空気電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質空気電池に係り、特に酸素を正極活物質として利用する非水電解質空気電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話や電子メール端末などの携帯型情報機器の市場は急速に拡大しつつあり、これらの機器の小型軽量化が進むにつれて、電源にも小型かつ軽量であることが求められるようになった。現在これらの携帯機器には主として高いエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が使用されているが、さらに高容量化が求められている。
空気中の酸素を正極活物質として用いる空気電池は、活物質を電池に内蔵する必要がないため、高容量化が期待できる。
ところで、従来負極活物質に金属リチウム、正極活物質に酸素を用いるリチウム二次電池として、J.Electrochem.Soc.、Vol.143、No.1、January 1996、あるいはUSP5、510、209には、以下に説明するような構成を有する空気リチウム二次電池が開示されている。すなわち、この空気リチウム二次電池は、コバルトを含有するアセチレンブラックからなる触媒層と、ポリアクリルニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びLiPF6からなるポリマー電解質フィルムとをニッケル網もしくはアルミニウム網に圧着させたものからなる正極と、リチウム箔からなる負極と、前記正極と前記負極の間に介装されたポリマー電解質層と、前記正極上に積層された酸素透過膜とを有し、この4層積層物を外装材であるラミネート製袋に封入した構造を有するものである。
【0003】
この空気リチウム二次電池においては、正極炭素の重量あたり1600mAh/gの容量を示し、リチウムイオン二次電池の一般的な正極活物質であるコバルト酸リチウムが160mAh/gの容量を示すのに対し、非常に大きい容量をもたらす。
しかしながら、前述の構造の空気リチウム二次電池においては、使用している間に空気孔から取り込まれた酸素や水分が電解質層に溶解し、さらに負極近傍まで移動してリチウム金属を初めとする負極活物質を酸化や加水分解により劣化してしまい、結果としてこの空気電池のサイクル性能や放電容量が低下してしまうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、酸素を正極活物質に使用する空気電池は高容量であるものの正極活物質である酸素による負極の直接酸化という問題があり、電池の長時間駆動やサイクル性能向上のためには前述の負極直接酸化反応の抑制が求められていた。
本発明は、このような要求に応えるべく、正極活物質である酸素による負極直接酸化反応を抑制し、長時間駆動が可能でサイクル性能に優れた非水電解質空気電池を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、リチウムイオンを放出する能力を有する負極と、正極と、前記負極および正極に挟持された非水電解質層と、前記正極に正極活物質となる酸素を取り込む空気孔が形成された外装材とを備えた非水電解質電池において、
前記非水電解質層は、二酸化炭素を溶解した非水電解液を含有するものであり、前記非水電解液中の二酸化炭素の濃度が、0.003×10 3 〜0.6×10 3 molm −3 であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の非水電解質空気電池の一例を示す断面図である図1を用いて、本発明を詳細に説明する。
図1で、例えばラミネートフィルムなどの外装材1内に、正極5、負極8、電解質層9からなる発電要素が収納されている。
この発電要素は、例えば多孔性導電性基板からなる正極集電体3に正極層4が担持された構造を有する正極5と、例えば多孔性導電性基板からなる負極集電体6に負極活物質層7が担持された構造を有する負極8と、正極5及び負極8の間に介在する非水電解質層9とから構成される。なお、非水電解液は、正極5と非水電解質層9と負極8にもそれぞれ保持されている。
正極集電体3および負極集電体6には、それぞれ正極端子11および負極端子12の一端が接続されており、正極端子11および負極端子12の他端は、それぞれ外装材1外部へ延出されている。
また、正極5に形成される外装材1面には、空気孔13が形成されており、空気孔13から供給された空気(空気中に含有される酸素)は空気拡散層10によって拡散し、正極層4に供給される。
さらに、外装材1の外表面には、空気孔13を閉孔するシールテープ14が着脱可能に配置されており、電池使用時にはこのシールテープ14を剥離することで正極層4に空気を供給できるようになっている。
【0009】
以下、本実施形態において用いられる非水電解質層について詳細に説明する。この非水電解質層に含まれている非水電解液に、二酸化炭素を溶解させて用いることにより、負極物質の酸化および加水分解を抑制して長時間駆動が可能な電池を実現するものである。
非水電解液に溶解させる二酸化炭素の濃度としては、0.003×103〜0.6×103molm−3の範囲が好ましく、より好ましくは、0.01×103〜0.1molm−3である。非水電解液の溶解する二酸化炭素の濃度が、上記範囲を下回った場合、負極の酸化および加水分解を抑制するという所期の効果を発揮できない。一方、二酸化炭素濃度が上記範囲を上回った場合、電池が未使用状態で密閉されている電池内部における二酸化炭素の圧力が高まり、空気孔のシールテープ14などの封口部が破壊されてしまうか、もしくは電池外装材1を変形させてしまうおそれがあるため好ましくない。
【0010】
本発明において用いている二酸化炭素は、非水電解液に易溶であり、二酸化炭素ガスを非水電解液に吹き込むか、あるいは密閉容器内で圧力をかけるなどの方法により非水電解液に溶解させることができる。二酸化炭素ガスは、電池に非水電解液を注液してから溶解させてもよいし、電池に注液する前に溶解させても良い。また、電池内部に炭酸リチウムやシュウ酸など二酸化炭素を容易に発生させる化合物を内蔵し、電池組み立て完成後に電池内部で二酸化炭素を発生させてもよい。
【0011】
非水電解液には非水溶媒にリチウム塩等の電解質を溶解することにより調製できる。非水溶媒としてはリチウム二次電池の溶媒として公知の非水溶媒を用いることができる。例えば、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)、またはその両者の混合溶媒(第1溶媒と称す)と前記PCやECより低粘度でありかつドナー数が18以下である1種以上の非水溶媒(以下第2溶媒と称す)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが好ましい。
第2溶媒としては、分子内に炭酸エステル結合あるいはエステル結合を含む鎖状カーボネートが好ましく、中でもジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、イソプロピオメチルカーボネート、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、酢酸エチル、酢酸メチルなどが挙げられる。これらの第2溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。特に、第2溶媒は沸点が90℃以上であることが好ましい。
前記混合溶媒中の前記ECまたはPCの配合量は、体積比で10〜80%であることが好ましい。より好ましいECまたはPCの配合量は体積比率で20〜75%である。
【0012】
前記非水溶媒の具体的な例は、ECとPC、ECとDEC、ECとPCとDEC、ECとγ−BL、ECとγ−BLとDEC、ECとPCとγ−BL、ECとPCとγ−BLとDECの混合溶媒で、ECの体積比率は10〜80%としたものが好ましい。より好ましいECの体積比率は、25〜65%の範囲である。
非水電解液に含まれる電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]などのリチウム塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5×103〜2.5×103molm−3とすることが望ましい。
【0013】
非水電解質層9は、通常多孔質体でできたセパレータと、このセパレータ中に含浸・保持された非水電解液とで構成される。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはPVdFを含む多孔質フィルムや、合成樹脂製不織布、あるいはガラス繊維製不織布などを用いることができる。
セパレータは、多孔度を30〜90%の範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。すなわち、多孔度を30%未満にすると、セパレータにおいて高い電解液保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が90%を越えると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35〜60%である。
【0014】
また、非水電解質層に、ゲル状体を使用することもできる。具体的には、高分子材料と非水電解液とを含有する非水電解質層を使用することができる。
このとき非水電解液に使用する非水溶媒は、二酸化炭素を溶解しかつイオン導電性を向上させるために必要である。かかる非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、フッ素含有のカーボネート類、鎖状カーボネート類等を挙げることができる。前記非水溶媒は、これらを単独で用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
非水電解液に使用される電解質には、例えば、過塩素酸リチウム、六フッ化燐酸リチウム、四フッ化硼酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]等のリチウム塩を挙げることができる。
また、非水電解質層中の高分子材料としては、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)等を挙げることができる。
【0015】
次に、本発明において用いられる他の発電要素である、正極5、および負極8について詳細に説明する。
【0016】
1)正極
正極5は、正極集電体3と、この正極集電体3に担持された正極層4とから形成されている。
前記集電体3としては、酸素の拡散を速やかに行わせるために多孔質の導電性基板(メッシュ、パンチドメタル、エクスパンディドメタル等)を用いることが好ましい。前記導電性基板の材質としては、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタンなどを挙げることができる。なお、前記集電体は、酸化を抑制するために表面に耐酸化性の金属または合金を被覆しても良い。
【0017】
前記正極層4は、例えば、炭素質物と結着剤とを混合し、この混合物をフィルム状に圧延して製膜し、乾燥することで形成することができる。
あるいは、例えば炭素質物と結着剤とを溶媒中で混合し、これを集電体3に塗布し、乾燥・圧延して形成することができる。
また、本発明に係る炭素質物の表面にコバルトフタロシアニンなどの酸素発生過電圧を低下させる機能を有する微粒子を担持させ、酸素の還元反応の効率を高めることも可能である。
また、炭素質物にアセチレンブラックなどの高導電性炭素質物を添加し、正極層の導電性を高めることも可能である。
炭素質物を層状に形状維持するとともに、集電体に付着させるための結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフツ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを用いることができる。
前記炭素質物および前記結着剤の配合割合は、炭素質物70〜98重量%、結着剤2〜30重量%の範囲であることが好ましい。
【0018】
2)負極
図1に示す負極8は、負極集電体6に負極活物質層7を担持したものである。
負極集電体6としては、正極集電体3のように多孔質構造の導電性基板に限らず、無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
集電体6表面に形成される負極活物質層7としては、例えば負極活物質と結着剤とからなる層を形成すればよい。例えば負極活物質と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製することができる。
【0019】
負極活物質としては、例えばリチウムイオンを吸蔵放出する材料を使用することができる。前記リチウムイオンを吸蔵放出する材料としては、例えば、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、リチウム金属、リチウム合金、リチウム複合酸化物、またはリチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質のうち一つ以上からなり、従来よりリチウムイオン電池またはリチウム電池に使用されている材料がすべて使用可能である。
リチウムイオンを吸蔵放出できる前記炭素質物としては、例えば黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料、熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体などに500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料を挙げることができる。
前記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などを挙げることができる。
前記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物、チタン硫化物などを挙げることができる。
前記金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物などを挙げることができる。
前記リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金などを挙げることができる。
前記結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。
前記炭素質物および前記結着剤の配合割合は、炭素質物80〜98重量%、結着剤2〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0020】
また、負極活物資として、リチウムイオンやリチウム合金などの金属材料を使用すれば、これらの金属材料は単独でもシート形状に加工することが可能なため、結着剤を使用せずに負極活物質層を形成することができる。また、これらの金属材料で形成された負極活物質層は直接負極端子に接続することもできる。
なお、本発明の非水電解液電池を一次電池として使用する際には、負極活物質としては、金属イオンの放出能のみ有していれば良い。
【0021】
以上、本発明の非水電解質電池の一例として、空気リチウム二次電池を挙げて説明したが、負極活物質として、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、セシウムなどからなる金属イオンを吸蔵・放出できる材料を使用した他の空気金属二次電池として使用することもできる。
【0022】
なお、他の空気金属二次電池を作製する際には、前述の電解質としてナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、セシウムなどの金属塩を使用すればよい。
【0023】
【実施例】
実施例1
以下に実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
ケッチェンブラック(EC600JDTM)90重量%と、ポリテトラフルオロエチレン10重量%を乾式混合し、圧延することにより縦横20mm、厚さ200μmのフィルム状の正極層を得た。この正極層を正極集電体であるチタン製メッシュに圧着し、正極を作成した。さらに得られた正極の正極集電体が露出した部分に正極端子の一端を接続した。
次に、負極端子の一端が接続され、金属リチウム箔をニッケル製メッシュに圧着した負極、グラスフィルターからなるセパレータ、ポリプロピレン製不繊布からなる空気拡散層を準備した。
負極、セパレータ、正極および空気拡散層を順次積層し、この積層物を収納ケース用のラミネートフィルム内に収納した。なお、このラミネートフィルムには空気孔が設けられており、この空気孔が空気拡散層上に配置されるように収納した。さらに、この空気孔にシールテープを貼付して閉塞した。また、正極端子および負極端子の他端はラミネートフィルムの開口部から延出させた。
【0024】
エチレンカーボネート50体積%とプロピレンカーボネート50体積%を混合した非水溶媒中に、1.0×103molm−3の割合で過塩素酸リチウムからなる電解質を溶解させることにより非水電解液を調製した。得られた非水電解質を耐圧容器に収納し、容器を5℃に保ちながら二酸化炭素雰囲気下8.8×109Pa(9kg/cm2)の圧力を5時間保持することにより非水電解液に二酸化炭素を溶解させた。
二酸化炭素を溶解させた非水電解液を前記セパレータ部分に注液した後(セパレータ中に含浸した後)、二酸化炭素雰囲気下で袋状ラミネートフィルムの開口部を熱融着処理して封口することで、非水電解質二次電池を作製した。
20℃で24時間放置した後に非水電解液中の二酸化炭素の濃度をガスクロマトグラフにより測定したところ、0.09×103molm−3であった。
この非水電解質二次電池の大気中での放電容量を以下のようにして測定した。この非水電解質二次電池からシールテープを除去し、放電電流0.4mAで2.0Vまで放電した後、充電電流0.2mAで4.0Vまで充放電サイクル試験を20℃で実施した。
また、この非水電解質二次電池からシールテープを除去し、20℃放電電流0.04mAで放電を行った。
【0025】
実施例2
実施例1と同様にして非水電解液を作成し、温度を5℃に保ちながら二酸化炭素ガスを2時間吹き込むことにより、非水電解液に二酸化炭素を溶解させた。この二酸化炭素を溶解させた非水電解液を用い、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作成した。
20℃で24時間放置した後に電解液中の二酸化炭素の濃度をガスクロマトグラフにより測定したところ、0.05×103molm−3であった。
この非水電解質二次電池に対して実施例1と同様にして充放電サイクル試験と0.04mAの放電試験を実施した。
【0026】
実施例3
実施例1と同様にして袋状ラミネートに収納した電極群を用意し、二酸化炭素を溶解させていない非水電解液を注液した。これを圧力容器に収納し、容器を5℃に保ちながら二酸化炭素雰囲気下2.0×109Pa(3kg/cm2)の圧力を5時間保持することにより非水電解液に二酸化炭素を溶解させ、実施例1と同様の手法により非水電解質二次電池を作成した。
20℃で24時間放置した後に電池内圧をガスクロマトグラフにより測定したところ、0.07×103molm−3であった。
この非水電解質二次電池に対して実施例1と同様にして充放電サイクル試験と0.04mAの放電試験を実施した。
【0027】
実施例4
実施例1と同様にして作成した二酸化炭素を溶解させていない非水電解質93重量%と、ポリアクリロニトリル7重量%を混合し、120℃に加熱することによりポリアクリロニトリルを溶解させた後にポリテトラフルオロエチレン製の型に流し込むことにより厚さ0.1mmのゲル状の電解質層を作成した。得られた電解質層をセパレーターの代わりに用い、実施例1と同様の手法で電極群を作成した。これを袋ラミネートに収納し、実施例3と同様の手法で電解質層中の非水電解液に二酸化炭素を溶解させ、非水電解質二次電池を作成した。
20℃で24時間放置した後にガスクロマトグラフにより二酸化炭素濃度を測定したところ、0.04×103molm−3であった。
この非水電解質二次電池に対して実施例1と同様にして充放電サイクル試験と0.04mAの放電試験を実施した。
【0028】
比較例1
非水電解質としてアルゴン雰囲気下で調整した非水電解質を用い、アルゴン雰囲気下で封口したこと以外は実施例1と同様の手法で、非水電解質二次電池を作製した。
20℃で24時間放置した後に電解液中の二酸化炭素の濃度をガスクロマトグラフにより測定したところ、0.002×103molm−3であった。
この非水電解質二次電池に対して実施例1と同様にして充放電サイクル試験と0.04mAの放電試験を実施した。
【0029】
比較例2
非水電解質としてアルゴン下で調整した固体電解質膜を用い、アルゴン雰囲気下で、封口したこと以外は実施例1と同様の手法で、非水電解質二次電池を作製した。
20℃で24時間放置した後に電解液中の二酸化炭素の濃度をガスクロマトグラフにより測定したが、検出限界以下であった。
この非水電解質二次電池に対して実施例1と同様にして充放電サイクル試験と0.04mAの放電試験を実施した。
以上の本発明実施例および比較例の結果を図2および図3に示す。図2および図3に示すように、サイクル性能、放電容量ともに本発明の非水電解質二次電池は優れていた。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、非水電解質電池の放電容量およびサイクル性能を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる非水電解質電池の一例の構造を示す断面図。
【図2】本発明実施例および比較例の電池のサイクル性能を示す図。
【図3】本発明実施例および比較例の電池の放電容量を示す図。
【符号の説明】
1.外装材
3.正極集電体
4.正極層
5.正極
6.負極集電体
7.負極活物質層
8.負極
9.非水電解質層
10.空気拡散層
11.正極端子
12.負極端子
13.空気孔
14.シールテープ
Claims (1)
- リチウムイオンを放出する能力を有する負極と、正極と、前記負極および正極に挟持された非水電解質層と、前記正極に正極活物質となる酸素を取り込む空気孔が形成された外装材とを備えた非水電解質電池において、
前記非水電解質層は、二酸化炭素を溶解した非水電解液を含有するものであり、前記非水電解液中の二酸化炭素の濃度が、0.003×10 3 〜0.6×10 3 molm −3 であることを特徴とする非水電解質空気電池。
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